JP6713980B2 - ルイボス飲料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[1] 不発酵ルイボス抽出液を有効成分とする、ルイボス飲料の清涼感付与剤。
[2] 不発酵ルイボス抽出液を有効成分とする、ルイボス飲料の甘香強化剤。
[3] 不発酵ルイボス抽出液を有効成分とする、ルイボス飲料の劣化抑制剤。
[4] 前記[1]に記載の清涼感付与剤、前記[2]に記載の甘香強化剤、又は前記[3]に記載の劣化抑制剤を含有することを特徴とするルイボス飲料。
[5] 前記ルイボス飲料が容器詰めしたものであることを特徴とする、前記[4]に記載のルイボス飲料。
[6] 20〜110ppmのアスパラチンを含有することを特徴とする容器詰ルイボス飲料。
[7] 不発酵ルイボス抽出液の含有量が、飲料全体に対して10〜60重量%であることを特徴とする容器詰ルイボス飲料。
[8] 不発酵ルイボス抽出液を添加することを特徴とする、ルイボス飲料に清涼感を付与する方法。
[9] 不発酵ルイボス抽出液を添加することを特徴とする、ルイボス飲料の甘香を強化する方法。
[10] 不発酵ルイボス抽出液を添加することを特徴とする、ルイボス飲料の劣化を抑制する方法。
[11] 発酵ルイボスを抽出して得た抽出液に不発酵ルイボスを抽出して得た抽出液を配合し、得られた抽出液を容器充填することを特徴とする容器詰ルイボス飲料の製造方法。
[12] 発酵ルイボス葉と不発酵ルイボス葉とのルイボス葉混合物を調製し、該混合物を抽出することにより抽出液を調製し、該抽出液を容器に充填することを特徴とする容器詰ルイボス飲料の製造方法。
に関する。
本発明において「発酵ルイボス」とは、ルイボス茶葉が発酵したものをいう。ルイボス茶葉は、もともと緑色であるが、ルイボス葉中の酵素の働きにより時間が経過すると徐々に赤色に変化する。一般的にルイボス茶と称されるものは、発酵ルイボスに相当するものであり、ルイボス茶が赤色であるという一般的な印象が普及していることからも裏付けられる。
本発明において「発酵ルイボス」は、ルイボス葉中それ自身に含まれる酵素の働きにより発酵したものを用いるのが簡便である。
本発明において「不発酵ルイボス」とは、ルイボス葉に含まれる酵素を失活させることにより前記「発酵ルイボス」の状態にまで至らなかったものをいう。ルイボス葉に含まれる酵素は、例えば蒸気等の熱処理により酵素失活させることができるが、本発明においてはルイボス葉に含まれる酵素の働きを抑制できる限りにおいて、他の手段を用いてもよい。
また、本発明において「不発酵ルイボス」は、ルイボス葉が発酵状態にまで至らなかったものを指すものであって、発酵工程を全く経なかったルイボス葉が含まれるのは勿論のこと、いわゆる弱発酵や中発酵などの発酵工程が完了しなかった途中段階のものも含む。
本発明において「発酵ルイボス抽出液」とは、前記発酵ルイボス葉を溶媒で抽出して得た抽出液をいう。溶媒としては熱水等を用いるのが好ましいが、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されるものではない。また、抽出方法については、公知の手段を用いることができる。
なお、溶媒の各種条件については、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されるものではないが、水を用いた場合の抽出温度は、高温抽出(70〜100℃のいずれか)、低温抽出(0℃〜70℃のいずれか)であってよい。また、高温抽出して得た抽出液と低温抽出して得た抽出液とを混合して併用してもよい。
本発明において「不発酵ルイボス抽出液」とは、前記不発酵ルイボス葉を溶媒で抽出して得た抽出液をいう。溶媒としては熱水等を用いるのが好ましいが、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されるものではない。また、抽出方法については、公知の手段を用いることができる。
なお、溶媒の各種条件については、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されるものではないが、水を用いた場合の抽出温度は、高温抽出(70〜100℃のいずれか)、低温抽出(0℃〜70℃のいずれか)であってよいが、低温抽出(0℃〜70℃のいずれか)であるのが好ましい。また、高温抽出して得た抽出液と低温抽出して得た抽出液とを混合して併用してもよい。
本発明においてルイボス飲料とは、前述の発酵ルイボス抽出液及び/又は不発酵ルイボス抽出液を飲料化したものをいう。また、本発明において容器詰ルイボス飲料とは、発酵ルイボス抽出液及び/又は不発酵ルイボス抽出液を飲料化したものを容器に充填したものをいう。
本発明における飲料は、アスパラチンを含むものであってよく、その含有量は、20〜110ppmが好ましく、30〜100ppmがより好ましく、30〜80ppmがさらに好ましく、30〜50ppmが最も好ましい。
不発酵ルイボス抽出液は、発酵ルイボス抽出液と比較してアスパラチンを多く含むものであるから、両抽出液におけるアスパラチンの含有量を公知の方法で分析測定すれば、所望のとおり調整することができる。また、アスパラチンは、製剤などを使用することもできるが、ルイボス飲料の健康性を鑑みると、製剤を極力使用せずに調整することが好ましい。
なお、不発酵ルイボスに含まれるアスパラチン量は、ルイボス茶葉の栽培環境や収穫時期、加工工程等の諸条件による影響を受けるため、不発酵ルイボスを抽出することでアスパラチンを所望の量に調整するためには、アスパラチンの調整に適した原料を選定することが好ましい。
本発明における飲料は、ポリフェノールを含むものであってよく、その含有量は、60.5〜63.5mg/100gが好ましく、60.5〜62.5mg/100gがより好ましく、60.5〜62.0mg/100gがさらに好ましく、60.5〜61.5mg/100gが最も好ましい。
不発酵ルイボス抽出液は、発酵ルイボス抽出液と比較してポリフェノールを多く含むものであるから、両抽出液におけるポリフェノールの含有量を公知の方法で分析測定すれば、所望のとおり調整することができる。また、ポリフェノールは、製剤などを使用することもできるが、ルイボス飲料の健康性を鑑みると、製剤を極力使用せずに調整することが好ましい。
本発明における不発酵ルイボス抽出液は、これを含有しないルイボス飲料に清涼感を付与することができる。よって、本発明における不発酵ルイボス抽出液は、これを含有しないルイボス飲料の清涼感付与剤として用いることができる。かかる不発酵ルイボス抽出液は、本発明の効果を奏する限りにおいて、その製法には限定されるものではないが、例えば、不発酵ルイボス葉を低温抽出することにより得ることができる。
本発明における不発酵ルイボス抽出液は、これを含有しないルイボス飲料の甘香を強化することができる。よって、本発明における不発酵ルイボス抽出液は、これを含有しないルイボス飲料の甘香強化剤として用いることができる。かかる不発酵ルイボス抽出液は、本発明の効果を奏する限りにおいて、その製法には限定されるものではないが、例えば、不発酵ルイボス葉を低温抽出することにより得ることができる。
本発明における不発酵ルイボス抽出液は、これを含有しないルイボス飲料の劣化を抑制することができる。よって、本発明における不発酵ルイボス抽出液は、これを含有しないルイボス飲料の劣化抑制剤として用いることができる。かかる不発酵ルイボス抽出液は、本発明の効果を奏する限りにおいて、その製法には限定されるものではないが、例えば、不発酵ルイボス葉を低温抽出することにより得ることができる。
また、不発酵ルイボス抽出液を発酵ルイボス抽出液に添加して得た混合液は、後述のとおり飲料化することができる。
(1)原料及び抽出
200gの発酵ルイボス葉(南アフリカ共和国産)と、200gの不発酵ルイボス葉(南アフリカ共和国産)を用意して、それぞれを100gずつ2群に分けた。
発酵ルイボス葉の第1群については、90℃の熱水(2000mL)を用いて攪拌操作をしながら720秒抽出した。なお、前記攪拌操作は、1秒に2回転の速さの回転速度で抽出開始時及び抽出開始から2分毎に10秒間実施した。なお、得られた抽出液は、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、この濾液を10℃に冷却した後に遠心分離を行い、発酵ルイボス抽出液を得た(高温抽出)。
発酵ルイボス葉の第2群については、50℃の温水(2000mL)を用いて攪拌操作をしながら720秒抽出した。なお、前記攪拌操作は、1秒に2回転の速さの回転速度で抽出開始時及び抽出開始から2分毎に10秒間実施した。なお、得られた抽出液は、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、この濾液を10℃に冷却した後に遠心分離を行い、発酵ルイボス抽出液を得た(低温抽出)。
不発酵ルイボス葉の第1群については、90℃の熱水(2000mL)を用いて攪拌操作をしながら720秒抽出した。なお、前記攪拌操作は、1秒に2回転の速さの回転速度で抽出開始時及び抽出開始から2分毎に10秒間実施した。なお、得られた抽出液は、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、この濾液を10℃に冷却した後に遠心分離を行い、発酵ルイボス抽出液を得た(高温抽出)。
不発酵ルイボス葉の第2群については、50℃の温水(2000mL)を用いて攪拌操作をしながら720秒抽出した。なお、前記攪拌操作は、1秒に2回転の速さの回転速度で抽出開始時及び抽出開始から2分毎に10秒間実施した。なお、得られた抽出液は、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、この濾液を10℃に冷却した後に遠心分離を行い、発酵ルイボス抽出液を得た(低温抽出)。
次に、得られた発酵ルイボス抽出液と不発酵ルイボス抽出液の各々に純水を加えてBxが0.20となるように調整した後、表1に記載の割合で混合して複数のルイボス抽出液を調整した。この抽出液に、アスコルビン酸を300ppm添加した後、重曹を添加してpH6.2に調整し、複数のルイボス調合液を調製した。
なお、得られたルイボス調合液は、高温短時間殺菌処理(137.5℃,30秒)の後、25℃に冷却し、ペットボトルに無菌環境で充填し、プラスチックキャップにて巻き締め、密封することにより容器詰ルイボス飲料を得た。
得られた容器詰ルイボス飲料における各成分の測定を実施した。なお、各成分の測定方法は、下記に記載のとおりである。
フォーリンデニス法にてポリフェノール量を定量した(「分析実務者が解説 栄養表示のための成分分析のポイント」,「分析実務者が書いた 五訂日本食品標準成分表分析マニュアルの解説」参照)。
公知の定量方法(Muller 2012 Phytomedicine 20(1) 32-39)に従い、試料中のアスパラチンを定量した。ルイボス茶葉については、茶葉0.11gをアセトニトリル(0.1%リン酸)に30分間溶解し、下記条件によるHPLCで定量した。また、液体については、そのままで下記条件によるHPLCで定量した。
HPLC条件:
カラム:Waters XBridge Shield RP18 3.5μm 3.0×150mm
流速:0.35ml/min 温度:40℃ 検出:340nm
A液:0.1%ギ酸水溶液、B液:100%MeOH
グラジェント:0-3min(A75%)→13min(A40%)→15min(A20%)
各実施例試料、比較例試料の調製で得られた容器詰ルイボス飲料を秤取し、1%塩酸で抽出し、ろ過をした。その濾過液を定容し、原子吸光法により測定した。
各実施例試料、比較例試料の調製で得られた容器詰ルイボス飲料を秤取し、1%硝酸で抽出し、ろ過をした。その濾過液を定容し、ICP発光分析法により測定した。
測定装置の温度を所定の温度に調整し、測定装置(屈折計)を校正し、各実施例試料、比較例試料の調製で得られた容器詰ルイボス含有飲料を糖度光学屈折率計(アタゴ社製、Digital Refractometers、RX-DD7α-Tea)を用いて測定した。
pHメーターをpH標準溶液による校正を実施し、各実施例試料、比較例試料の調製で得られた容器詰ルイボス飲料をビーカーに採取し、pHメーターのガラス電極をサンプル中に挿入し、測定 (機器の表示値を記録)した。
訓練を受けたパネラー9名が、得られた各容器詰ルイボス飲料につき評価を実施した。なお、評価方法としては、発酵ルイボス抽出液のみを用いて調製した飲料を基準サンプルとして、各ルイボス飲料について評価した。
<発酵ルイボスらしい甘みのある香り(甘香)>
・基準サンプルと比較して
5点:強く感じられる。
4点:やや感じられる。
3点:同程度に感じられる。
2点:やや感じられない。
1点:ほとんど又は全く感じられない。
・基準サンプルと比較して
5点:強く感じられる。
4点:やや感じられる。
3点:同程度に感じられる。
2点:やや感じられない。
1点:ほとんど又は全く感じられない。
表1が示すとおり、不発酵ルイボス抽出液を、これを含有しないルイボス飲料に添加することにより、基準品(発酵ルイボス葉を高温抽出したもの)と比較して、ルイボス飲料の清涼感(すっきりとした後味)が向上した。この効果は、加熱殺菌後にとりわけ顕著に認められた。
また、かかる効果は、加熱殺菌処理後のルイボス飲料を冷却して飲用した場合においても同様に認められた。
さらに、長期保存を想定しての経時劣化試験後においても、同様の効果が認められた。
また、表1は、発酵ルイボス抽出液に所定量の不発酵発酵ルイボス抽出液(低温抽出と高温抽出とにかかわらず)を添加することにより、基準品と比較してルイボス飲料の甘香が強化できたことを示している(発酵ルイボスらしい甘みのある香り)。
さらに、これらの効果は、長期保存を想定しての経時劣化試験後においても、同様に認められた。
(1)原料、抽出及び評価
試験1(1)原料に記載と同様、発酵ルイボス葉不発酵ルイボス葉を用意し、表2に記載の割合で発酵ルイボス葉不発酵ルイボス葉を混合し、複数のルイボス葉混合物を調製した。90℃の熱水(2000mL)を用いて攪拌操作をしながら、得られたルイボス葉混合物を720秒抽出した。なお、前記攪拌操作は、1秒に2回転の速さの回転速度で抽出開始時及び抽出開始から2分毎に10秒間実施した。なお、得られた抽出液は、ステンレスメッシュ(80メッシュ)で濾過し、この濾液を10℃に冷却した後に遠心分離を行い、ルイボス抽出液を得た。なお、評価方法については、試験1と同様の方法にて実施した。
試験1の結果と同様、発酵ルイボス葉に少量の不発酵ルイボス葉を添加することにより、ルイボス飲料の清涼感(すっきりとした後味)が向上した。また、発酵ルイボス葉に少量の不発酵ルイボス葉を添加することにより、発酵ルイボス抽出液らしい甘みのある香り(甘香)が向上した。いずれの効果についても、不発酵ルイボス葉の配合量が1〜60重量%である場合に顕著に見られた。
Claims (1)
- 不発酵ルイボス抽出液を有効成分とする、ルイボス飲料の清涼感付与剤。
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