JP2020167367A - 積層セラミック電子部品 - Google Patents

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俊雄 櫻井
Toshio Sakurai
俊雄 櫻井
田中 博文
Hirobumi Tanaka
博文 田中
圭祐 岡井
Keisuke Okai
圭祐 岡井
大介 岩永
Daisuke Iwanaga
大介 岩永
久士 中田
Hisashi Nakada
久士 中田
智也 柴▲崎▼
Tomoya Shibazaki
智也 柴▲崎▼
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Abstract

【課題】低背化が可能な積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品を提供すること。【解決手段】積層セラミック電子部品2に関する。端子電極6,8が、内部電極層12が引き出される素子本体4の引出端4a,4bを覆う端側電極部6a,8aと、素子本体4の積層方向に垂直な上面4cの一部を端側電極部6a,8aに連続して覆う上側電極部6b,8bと、を有し、一対の上側電極部6b,8bの間に位置する素子本体4の上面4cを上面被覆層18の表面が、上側電極部6b,8bの表面と実質的に面一となるように密着して存在しており、上面4cと積層方向に沿って反対側に位置する素子本体4の下面4dには、端子電極6,8が実質的に存在しない。【選択図】図1A

Description

本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどとして用いられる積層セラミック電子部品に係り、さらに詳しくは、薄型化が可能な積層セラミック電子部品に関する。
たとえば下記の特許文献1にも示すように、従来の積層セラミックコンデンサは、素子本体の長手方向の両端部に端子電極を有し、各端子電極は、素子本体の端側電極部と、素子本体の上面を覆う上側電極部と素子本体の下面を覆う下面電極部とを有することが一般的である。
端子電極の下地電極は、素子本体の端部を導電粒子含有溶液に浸漬して形成される。浸漬に際しては、複数の素子本体を保持板に形成してある複数の保持孔にそれぞれ差し込み、素子本体の片側端毎に溶液に浸漬させて下地電極を形成する。その後に、必要に応じて下地電極にメッキ膜を形成して端子電極とする。
いずれにしても、素子本体に端子電極を形成する際には、素子本体自体に、ある程度の厚みがないと、下地電極を形成しにくいとともに、メッキ膜を形成しにくい。すなわち、素子本体が薄いと、素子本体を保持板の保持孔で保持する際に、素子本体が破損しやすい。また、メッキを行う際にも、素子本体が薄いと、素子本体が破損しやすい。そのため、従来の積層セラミックコンデンサの構造では、素子本体の薄型化が困難であり、そのため積層セラミックコンデンサの低背化が困難であった。
また、たとえば下記の特許文献2に記載の積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層との積層方向(高さ方向)の一方の面において、第1外部電極および第2外部電極を有していない。これにより、コンデンサ本体の高さ方向寸法を大きくでき、容量増加に貢献できる。
しかし、特許文献2では、積層セラミックコンデンサの低背化に伴う素子本体の強度の向上については検討されていない。
特開2017−28254号公報 特開2017−152621号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、低背化が可能な積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る積層セラミック電子部品は、
第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部に前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
一対の前記上側電極部の間に位置する前記素子本体の前記上面を覆う上面被覆層の表面が、前記上側電極部の表面と実質的に面一となるように密着して存在しており、
前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面には、前記端子電極が実質的に存在しないことを特徴とする。
本発明の第2の観点に係る積層セラミック電子部品は、
第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸の方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部に前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
一対の前記上側電極部の間に位置する前記素子本体の前記上面を覆う上面被覆層の表面が、前記上側電極部の表面と実質的に面一となるように密着して存在しており、
前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面の全体が外部に露出していることを特徴とする。
本発明の第1の観点に係る積層セラミック電子部品ならびに後述する第3、第4および第6の観点に係る積層セラミック電子部品では、素子本体の下面に端子電極が実質的に形成されない。本発明の第2の観点に係る積層セラミック電子部品ならびに後述する第5および第7の観点に係る積層セラミック電子部品では、素子本体の下面の全体が露出する。従来の積層セラミック電子部品の構造では、素子本体の厚みを、たとえば100μm以下程度に単に薄くするのみでは、素子本体に端子電極を形成することが困難である。
本発明の第1および第2の観点に係る積層セラミック電子部品ならびに後述する第3〜第7の観点に係る積層セラミック電子部品は、たとえば二つ以上の薄い素子本体を組み合わせ、端子電極を形成した後に、素子本体が分離されて形成されることができる。そのため、たとえば従来の1/2以下程度に薄い積層セラミック電子部品が、容易に製造されることができる。
結果として得られる積層セラミック電子部品では、素子本体の下面に端子電極が実質的に形成されず、あるいは素子本体の下面の全体が露出する。そして、積層セラミック電子部品のトータル厚みは、100μm以下、好ましくは90μm以下、さらに好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下と薄くすることができ、積層セラミック電子部品の低背化に寄与する。
また、本発明の第1および第2の観点に係る積層セラミック電子部品では、一対の上側電極部の間に所定の上面被覆層を有する。これにより、素子本体の上面側の段差を軽減し、積層セラミック電子部品が低背化しても段差への応力の集中を抑制することができ、積層セラミック電子部品の曲げ強度を高めることができる。
また、曲げ強度が向上することで、素子本体の第1軸方向の寸法または第2軸方向の寸法を長くすることが容易になり、素子本体の内部における内部電極層の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの電子部品の特性が向上する。
上記の通り、上側電極部が形成された素子本体の上面に段差がない。このため、真空吸着して積層セラミックコンデンサをピックアップし易く、基板に内蔵し易い。
本発明の第1および第2の観点に係る積層セラミック電子部品では、好ましくは、前記素子本体の前記下面は、平坦面である。素子本体の下面が平坦面であることで、たとえば基板の内部に埋込みやすくなる。また、素子本体の下面である平坦面が実装面に設置される際に、素子本体が実装面に密着して取り付けられ、積層セラミック電子部品の曲げ強度が向上する。
本発明の第1および第2の観点に係る積層セラミック電子部品では、好ましくは、前記積層セラミック電子部品は、前記素子本体の前記第1軸の方向に沿って向き合う少なくとも一方の側面の一部に前記上面被覆層に連続して具備されているサイド被覆層を有する。
積層セラミック電子部品がサイド被覆層を有することで、積層セラミック電子部品の曲げ強度をより高めることができる。
本発明の第1および第2の観点に係る積層セラミック電子部品では、好ましくは、前記上面被覆層の材質は軟化点が600℃以上850℃以下であるガラスである。
上面被覆層の材質が所定の軟化点のガラスであることにより、上側電極部との密着性が向上し、曲げ強度をより高めることができる他、後工程でのクラック、割れを抑制することができる。
本発明の第1および第2の観点に係る積層セラミック電子部品では、前記素子本体は、上側電極部および上面被覆層の下部に上面強化層を含んでもよい。
このように構成することで、積層セラミック電子部品の曲げ強度がより向上する他、後工程でのクラック、割れをさらに抑制することができる。
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る積層セラミック電子部品は、
第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面には、前記端子電極が実質的に存在せず、前記素子本体の前記下面の全面が下面被覆層で覆われていることを特徴とする。
また、本発明の第3の観点に係る積層セラミック電子部品では、素子本体の下面の全面が下面被覆層で覆われている。これにより積層セラミック電子部品の曲げ強度を高めることができる。
また、曲げ強度が向上することで、素子本体の第1軸方向の寸法または第2軸方向の寸法を長くすることが容易になり、素子本体の内部における内部電極層の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの電子部品の特性が向上する。
本発明の第3の観点に係る積層セラミック電子部品では、好ましくは、前記下面被覆層の外表面は、平坦面である。下面被覆層の表面が平坦面であることで、たとえば基板の内部に埋め込みやすくなる。また、下面被覆層の表面である平坦面が実装面に設置される際に、積層セラミック電子部品が実装面に密着して取り付けられ、積層セラミック電子部品の曲げ強度が向上する。
本発明の第3の観点に係る積層セラミック電子部品では、好ましくは、一対の前記上側電極部の間に位置する前記素子本体の前記上面を覆う上面被覆層の表面が、前記上側電極部の表面と実質的に面一となるように密着して存在している。
本発明の第3の観点に係る積層セラミック電子部品では、一対の上側電極部の間に所定の上面被覆層を有する。所定の上面被覆層は、一対の前記上側電極部の間に位置する前記素子本体の前記上面を覆う上面被覆層の表面が、前記上側電極部の表面と実質的に面一となるように密着して積層セラミック電子部品に具備されている。これにより、素子本体の上面側の段差を軽減し、積層セラミック電子部品が低背化しても段差への応力の集中を抑制することができ、積層セラミック電子部品の曲げ強度を高めることができる。
上記の通り、上側電極部が形成された素子本体の上面に段差がない。このため、真空吸着して積層セラミックコンデンサをピックアップし易く、基板に内蔵し易い。
本発明の第3の観点に係る積層セラミック電子部品では、前記下面被覆層の厚みは前記上面被覆層の厚みより薄くてもよい。
本発明に係る積層セラミック電子部品では、前記下面被覆層の厚みが前記上面被覆層の厚みより薄いことから、第3軸方向の寸法が大きくなり過ぎず、問題なく実装できる。
本発明の第3の観点に係る積層セラミック電子部品では、前記端側電極部の外面が端側被覆層により覆われていてもよい。
前記端子電極部の外面が端側被覆層により覆われていることで、積層セラミック電子部品の耐湿性を高めることができる。
本発明の第3の観点に係る積層セラミック電子部品では、前記素子本体は、上側電極部および上面被覆層の下部に上面強化層を含んでもよい。
このように構成することで、積層セラミック電子部品の曲げ強度がより向上する。
本発明の第3の観点に係る積層セラミック電子部品では、好ましくは、前記上側電極部の表面がNiメッキ、Snメッキ、AuメッキおよびCuメッキから選ばれる少なくとも1種により覆われている。
上記目的を達成するために、本発明の第4の観点に係る積層セラミック電子部品は、
第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
前記素子本体が、前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の側面にそれぞれ露出する前記内部電極層の端部を覆う一対のサイド強化層を有し、
前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸の方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面には、前記端子電極が実質的に存在しないことを特徴とする。
本発明の第5の観点に係る積層セラミック電子部品は、
第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
前記素子本体が、前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の側面にそれぞれ露出する前記内部電極層の端部を覆う一対のサイド強化層を有し、
前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸の方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面の全体が外部に露出していることを特徴とする。
また、本発明の第4および第5の観点に係る積層セラミック電子部品では、素子本体の第1軸の方向に相互に向き合う一対の側面にそれぞれサイド強化層が内部電極層と接して存在する。これにより、誘電体層の第1軸の方向の両端に位置する誘電体層および内部電極層の第1軸の方向の両端に位置する内部電極層を保護するとともに、積層セラミック電子部品の曲げ強度を高めることができる。
また、曲げ強度が向上することで、素子本体の第1軸の方向の寸法または第2軸の方向の寸法を長くすることが容易になり、素子本体の内部における内部電極層の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの電子部品の特性が向上する。
また、本発明の第4および第5の観点に係る積層セラミック電子部品では、所定のサイド強化層が内部電極層と接して存在することから、積層セラミック電子部品の耐湿性を高めることができる。すなわち積層セラミック電子部品の内部への水分の侵入を防ぐことができる。このことから、水分がある環境や湿度の高い環境で積層セラミック電子部品を使用したり、積層セラミック電子部品の製造工程に水を使用する工程や湿式工程があったとしても、積層セラミック電子部品の内部への水分の侵入を防ぎ、絶縁性の低下を抑えることができる。
本発明の第4および第5の観点に係る積層セラミック電子部品では、好ましくは、前記素子本体の前記下面は、平坦面である。素子本体の下面が平坦面であることで、たとえば基板の内部に埋め込みやすくなる。また、素子本体の下面である平坦面が実装面に設置される際に、素子本体が実装面に密着して取り付けられ、積層セラミック電子部品の曲げ強度が向上する。
本発明の第4および第5の観点に係る積層セラミック電子部品では、好ましくは、前記サイド強化層が少なくともSiおよびBaを含むガラスで構成されている。
サイド強化層が少なくともSiおよびBaを含むガラスで構成されていることで、サイド強化層と絶縁層とが反応しづらく、絶縁特性を向上させることができる。
本発明の第4および第5の観点に係る積層セラミック電子部品では、前記端子電極は、前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の前記側面に、前記上側電極部および前記端側電極部に連続して覆う一対のサイド電極部を有し、好ましくは、(前記サイド強化層の平均厚み/前記サイド電極部の平均厚み)×100で示されるサイド強化層の相対厚みが100〜1500%である。
サイド強化層の相対厚みが所定の範囲であることにより、耐湿性をより高めるとともに、曲げ強度をより高めることができる。また、「積層セラミック電子部品の第1軸の方向の幅」に対する「容量部分の第1軸の方向の幅」の比が小さくなり過ぎないため、静電容量などの電子部品の特性を十分に確保することができる。
本発明の第4および第5の観点に係る積層セラミック電子部品では、前記素子本体の前記上面には、前記サイド強化層に連続して上面強化層が具備されていてもよい。
このように構成することで、積層セラミック電子部品の曲げ強度がより向上する他、強度が向上することで、素子本体4を薄くしても、素子本体4の長手方向寸法y0(図21A参照)または幅寸法x0(図22A参照)を長くすることが容易になり、素子本体4の内部における内部電極層12の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの積層セラミックコンデンサ2の特性をさらに向上させることができる。
本発明の第4および第5の観点に係る積層セラミック電子部品では、好ましくは、前記上側電極部の表面がNiメッキ、Snメッキ、AuメッキおよびCuメッキから選ばれる少なくとも1種により覆われている。
上記目的を達成するために、本発明の第6の観点に係る積層セラミック電子部品は、
第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸の方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面には、前記端子電極が実質的に存在せず、
前記素子本体は強化層を有し、
前記強化層は、前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の側面、前記上面および前記下面のうち少なくともいずれか1つの面を覆い、
前記強化層はフィラーおよび基質を含み、
前記フィラーの材質はガラスまたはアルミナであり、
前記フィラーの形状は、針状、柱状または板状である。
上記目的を達成するために、本発明の第7の観点に係る積層セラミック電子部品は、
第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸の方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面の全体が外部に露出しており、
前記素子本体は強化層を有し、
前記強化層は、前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の側面、前記上面および前記下面のうち少なくともいずれか1つの面を覆い、
前記強化層はフィラーおよび基質を含み、
前記フィラーの材質はガラスまたはアルミナであり、
前記フィラーの形状は、針状、柱状または板状である。
また、本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品では、素子本体の側面、上面および下面のうち少なくとも1つの面に所定の材質の針状、柱状または板状のフィラーを含む強化層を有する。これにより積層セラミック電子部品の曲げ強度を高めることができる。
また、曲げ強度が向上することで、素子本体の第1軸方向の寸法または第2軸方向の寸法を長くすることが容易になり、素子本体の内部における内部電極層の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの電子部品の特性が向上する。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品は、前記素子本体の前記上面を覆う前記強化層を有していてもよい。
このように、上面を覆う強化層が上側電極部と接して形成されていることにより、素子本体と端子電極との密着性を高めることができ、上面からの耐湿性が優れる傾向となる。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品では、前記基質の材質は、ガラスおよび樹脂から選ばれる少なくとも1つであってもよい。
基質の材質がガラスおよび樹脂から選ばれる少なくとも1つであることにより、積層セラミック電子部品の曲げ強度を高めることができる。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品では、前記上面を覆う前記強化層と前記側面を覆う前記強化層とは前記素子本体を連続して覆っていてもよい。
上面を覆う強化層と側面を覆う強化層とが素子本体を連続して覆うことにより、積層セラミック電子部品の曲げ強度を高めることが可能となる。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品は、一対の前記上側電極部の間に位置する前記素子本体の前記上面を覆う上面被覆層の表面が、前記上側電極部の表面と実質的に面一となるように密着して存在していてもよい。
これにより、素子本体の上面側の段差を軽減し、積層セラミック電子部品が低背化しても段差への応力の集中を抑制することができ、積層セラミック電子部品の曲げ強度を高めることができる。
上記の通り、上側電極部が形成された素子本体の上面に段差がない。このため、真空吸着して積層セラミック電子部品をピックアップし易く、基板に内蔵し易い。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品は、前記端側電極部の外面が端側被覆層で覆われていてもよい。
端側電極部の外面が端側被覆層で覆われていることにより、積層セラミック電子部品の耐湿性を高めることができる。すなわち、積層セラミック電子部品の低背化によって端子電極が薄くなったとしても、積層セラミック電子部品の内部への水分の侵入を防ぐことができる。このことから、水分がある環境や湿度の高い環境で積層セラミック電子部品を使用したり、積層セラミック電子部品の製造工程に水を使用する工程や湿式工程があったとしても、積層セラミック電子部品の内部への水分の侵入を防ぎ、絶縁性の低下を抑えることができる。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品では、前記素子本体の前記下面は、平坦面でもよい。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品は、前記下面を覆う前記強化層を有し、前記下面を覆う前記強化層の外表面は、平坦面でもよい。
下面の表面または、下面を覆う強化層の外表面が平坦面であることで、たとえば基板の内部に埋め込みやすくなる。また、下面の表面または下面を覆う強化層の外表面である平坦面が実装面に設置される際に、積層セラミック電子部品が実装面に密着して取り付けられ、積層セラミック電子部品の曲げ強度が向上する。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品では、前記フィラーの短軸方向の粒径が0.1μm以上3.0μm以下であり、
前記フィラーの長軸方向の粒径が0.5μm以上15.0μm以下であり、
前記フィラーの(前記短軸の粒径/前記長軸の粒径)×100で表されるアスペクト比(%)が0.7%以上60%以下であってもよい。
これにより、積層セラミック電子部品の曲げ強度を高めることができる。また、積層セラミック電子部品が、素子本体の上面に強化層を有する場合には、上面を覆う強化層と、上側電極部との密着性を高めることができ、その結果、積層セラミック電子部品の耐湿性を高めることができる。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品は、前記強化層中の前記フィラーの含有量が30体積%以上80体積%以下であってもよい。
これにより、積層セラミック電子部品の曲げ強度を高めることができる。また、積層セラミック電子部品が、素子本体の上面に強化層を有する場合には、上面を覆う強化層と、上側電極部との密着性を高めることができ、その結果、積層セラミック電子部品の耐湿性を高めることができる。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品は、前記基質の材質がSiおよびAlのうち少なくともいずれか1つを主成分とするガラスであってもよい。
これにより、積層セラミック電子部品の曲げ強度を高めることができる。また、積層セラミック電子部品が、素子本体の上面に強化層を有する場合には、上面を覆う強化層と、上側電極部との密着性を高めることができ、その結果、積層セラミック電子部品の耐湿性を高めることができる。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品は、前記フィラーの材質がアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびホウ素からなる群から選ばれる1以上を副成分とするガラスであってもよい。
フィラーの材質がアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびホウ素からなる群から選ばれる1以上を副成分とするガラスであることにより、上面を覆う強化層の表面の一部にメッキにより上側電極部を形成する際に、メッキし易くなる。
本発明の第6および第7の観点に係る積層セラミック電子部品は、前記上側電極部の表面がNiメッキ、Snメッキ、AuメッキおよびCuメッキから選ばれる少なくとも1つにより覆われていてもよい。
本発明の第1〜第7の観点に係る積層セラミック電子部品は、基板に埋め込まれることができてもよい。
本発明の第1〜第7の観点に係る積層セラミック電子部品は上側電極部を有する。このため、積層セラミック電子部品が基板に埋め込まれても上側電極部を介して電気的に接続することができる。
図1Aは本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 図1Bは本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 図2A1は図1Aに示すIIA1−IIA1線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図2A2は図1Aに示すIIA2−IIA2線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図2Bは図1Bに示すIIB−IIB線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図3は図1Aに示す積層セラミックコンデンサの平面図である。 図4は図1Aに示す積層セラミックコンデンサの製造過程を示す要部断面図および図11Aに示す積層セラミックコンデンサの製造過程を示す要部断面図である。 図5は図1Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 図6は図1Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 図11Aは本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 図11Bは本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 図12A1は図11Aに示すXIIA1−XIIA1線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図12A2は図1Aに示すXIIA2−XIIA2線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図12Bは図11Bに示すXIIB−XIIB線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図12Cは図12Bに示す積層セラミックコンデンサの変形例に係る横断面図である。 図13は図11Aに示す積層セラミックコンデンサの平面図である。 図15は図11Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 図16は図11Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 図21Aは本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 図21Bは本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 図22Aは図21Aに示すXXIIA−XXIIA線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図22Bは図21Bに示すXXIIB−XXIIB線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図23は図21Aに示す積層セラミックコンデンサの平面図である。 図24は図21Aに示す積層セラミックコンデンサの製造過程を示す要部断面図である。 図25は図21Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 図26は図21Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 図31Aは本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 図31Bは本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 図31Cは本発明のさらに他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 図32Aは図31Aに示すXXXIIA−XXXIIA線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図32Bは図31Bに示すXXXIIB−XXXIIB線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図33は図31Aに示す積層セラミックコンデンサの平面図である。 図34は図31Aに示す積層セラミックコンデンサの製造過程を示す要部断面図である。 図35は図31Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 図36は図31Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
本実施形態に係る積層セラミック電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサについて説明する。
図1Aに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、素子本体4と、第1端子電極6と、第2端子電極8とを有する。素子本体4は、X軸およびY軸を含む平面に実質的に平行な内側誘電体層(絶縁層)10と、内部電極層12とを有し、内側誘電体層10の間に、内部電極層12がZ軸の方向に沿って交互に積層してある。ここで、「実質的に平行」とは、ほとんどの部分が平行であるが、多少平行でない部分を有していてもよいことを意味し、内部電極層12と内側誘電体層10は、多少、凹凸があったり、傾いていたりしてもよいという趣旨である。
内側誘電体層10と内部電極層12とが交互に積層される部分が内装領域13である。また、素子本体4は、その積層方向Z(Z軸)の両端面に、外装領域11を有する。外装領域11は、内装領域13を構成する内側誘電体層10よりも厚い外側誘電体層が複数積層されて形成してある。内装領域13のZ軸方向の厚みは、積層セラミックコンデンサ2のトータル厚みz0の10〜75%の範囲内であることが好ましい。また、2つの外装領域11の合計厚みは、トータル厚みz0から内装領域13の厚み、端子電極6,8の厚みおよび後述の上面強化層16の厚みを引き算した値である。
なお、以下では、「内側誘電体層10」および「外側誘電体層」をまとめて、「誘電体層」と記載する場合がある。
内側誘電体層10および外装領域11を構成する誘電体層の材質は、同じでもよく、異なっていてもよく、特に限定されず、たとえば、ABOなどのペロブスカイト構造の誘電体材料を主成分として構成される。
ABOにおいて、Aは、たとえばCa、Ba、Srなどの少なくとも一種、Bは、Ti、Zrなどの少なくとも一種である。A/Bのモル比は、特に限定されず、0.980〜1.020である。このほか、副成分として、希土類(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)、アルカリ土類金属(MgおよびMn)、遷移金属(V、W、およびMoから選択される少なくとも1種)の酸化物やその混合物、複合酸化物およびガラスとしてSiOを含んだ焼結助剤等が含まれていてもよい。
交互に積層される一方の内部電極層12は、素子本体4のY軸方向第1端部の外側に形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある引出部12aを有する。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、素子本体4のY軸方向第2端部の外側に形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある引出部12bを有する。
なお、図において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に垂直であり、Z軸が、内側誘電体層10および内部電極層12の積層方向に一致し、Y軸が引出部12a,12bが引き出される方向に一致する。
内装領域13は、容量領域と引出領域とを有する。容量領域は、積層方向に沿って内部電極層12が内側誘電体層10を挟んで積層する領域である。引出領域は、端子電極6または8に接続する内部電極層12の引出部12a(12b)の相互間に位置する領域である。さらに、図2A1および図2A2に示すサイドギャップ領域14は、内部電極層12のX軸方向の両端に位置する内部電極層12の保護のための領域であり、一般的には、内側誘電体層10または外装領域11と同様な誘電体材料で構成される。ただし、サイドギャップ領域14は、後述する上面被覆層18、サイド被覆層18a、上面強化層16またはサイド強化層16aとなるガラス材などで構成されていてもよい。また、外装領域11も、ガラス材などで構成されてもよい。
内部電極層12に含有される導電材は特に限定されず、Ni、Cu、Ag、Pd、Al、Ptなどの金属、またはそれらの合金を用いることができる。Ni合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95質量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1質量%程度以下含まれていてもよい。
端子電極6,8の材質も特に限定されないが、Ni、Pd、Ag、Au、Cu、Pt、Rh、Ru、Ir等の少なくとも1種、またはそれらの合金を用いることができる。通常は、Cu、Cu合金、NiまたはNi合金等や、Ag、Ag−Pd合金、In−Ga合金等が使用される。
本実施形態では、端子電極6および8は、それぞれ素子本体4のY軸方向の端面4a,4bに密着して形成され、単一膜でも多層膜であってもよい。本実施形態の端子電極6および8は、それぞれ内部電極層12のリード部12a,12bが引き出される素子本体4の引出端である端面4a,4bを覆う端側電極部6a,8aを有する。また、端子電極6および8は、それぞれ、素子本体4のZ軸に実質的に垂直な上面4cの一部に端側電極部6a,8aに連続して形成される上側電極部6b,8bを有する。
ここで「実質的に垂直」とは、概ね垂直であるが、多少垂直でない部分を有していてもよいことを意味し、上側電極部6b,8bは、多少、凹凸があったり、傾いていたりしてもよいという趣旨である。
さらに、図2A1に示すように、端子電極6および8は、それぞれ、X軸に沿って素子本体4の相互に反対側の側面4e,4eに、上側電極部6b,8bおよび端側電極部6a,8a(図1A参照)に連続して形成されるサイド電極部6c,8cを有する。図1Aに示すように、端子電極6および8の相互は、素子本体4の外面でY軸方向に所定距離で離れて絶縁されている。
端子電極6および8のそれぞれの厚みは、上側電極部6b,8b、端側電極部6a,8aおよびサイド電極部6c,8cの相互間で同じでも異なっていてもよく、たとえば2〜15μmの範囲内である。本実施形態では、上側電極部6b,8bおよびサイド電極部6c,8cの厚みは、端側電極部6a,8aの厚みよりも100〜750%の範囲で大きい。
本実施形態では、素子本体4の上面4cとZ軸方向に沿って反対側に位置する素子本体4の下面4dには、端子電極6,8が実質的に形成されていない。すなわち、素子本体4の下面4dでは、端子電極6,8に覆われておらず、素子本体4の下面4dの全体が外部に露出している。しかも、下面4dは、平坦面に成形してある。下面4dは、端子電極6,8に覆われていないことから、段差状凸部が無く、平坦性に優れている。
本実施形態では、一対の上側電極部6b,8bの間に位置する素子本体4の上面4cを覆う上面被覆層18が上側電極部6b,8bの表面と実質的に面一となるように密着して具備されている。
ここで「実質的に面一」とは、概ね面一であるが、多少段差を有していてもよいことを意味し、たとえば、(上面被覆層18の平均厚み/上側電極部6b,8bの平均厚み)×100の式から求められる上面被覆層18の相対厚みが70〜110%であり、好ましくは90〜110%であればよい。さらに、「実質的に面一」とは、上面被覆層18と上側電極部6b,8bの間は多少隙間を有していてもよく、また、上面被覆層18自体にも多少隙間を有していてもよいことも意味し、たとえば上側電極部6b,8bの間に位置する素子本体4の上面4cの面積に対する上面被覆層18の面積は、70〜100%であればよい。これにより、素子本体4の上面4c側の段差を軽減し、積層セラミックコンデンサ2が低背化しても段差への応力の集中を抑制することができ、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度を高めることができる。また、基板等への実装工程において、チップの真空吸着を行う際に、より積層セラミックコンデンサ2をピックアップし易い。
上面被覆層18の材質は特に限定されず、たとえばガラス、アルミナ系コンポジット材料、ジルコニア系コンポジット材料、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アラミド繊維、繊維強化プラスチックなどが例示されるが、外装領域11および上側電極部6b,8bとの密着性を高めて、曲げ強度を向上させる観点から、軟化点が600℃以上850℃以下であるガラスが好ましい。
上記の観点から、上面被覆層18に用いられるガラスの軟化点は650℃以上850℃以下であることがより好ましい。このようなガラスとしては、たとえば、Si−B−Zn−O系ガラスおよびSi−B−Mg−Oなどが挙げられ、この他ガラス成分として、BaO、Al、アルカリ金属、CaO、SrOを含んでもよい。
上面被覆層18を構成するガラス成分はガラス成分中にSiOを30〜70質量%含み、Bを1〜20質量%含み、ZnOを20〜60質量%含むことが好ましい。これによりガラスの軟化点を適切な範囲内にし易くなる。
また、本実施形態の上面被覆層18を構成するガラス成分中にSiOとBとZnOが合計で70〜100質量%含まれることが好ましい。これによりガラスの軟化点を適切な範囲にし易くなる。
また、本実施形態の上面被覆層18の材質が樹脂を主成分とする膜である場合は、上面被覆層18は誘電体層に比べて弾性率が低い材質であることが好ましい。これにより、外部からの応力衝撃を緩和するため、後工程でのクラック、割れを抑制することができる。
さらに、本実施形態の上面被覆層18の材質がSiを主成分とするガラスである場合は、上面被覆層18は誘電体層に比べて線熱膨張係数が低い材質であることが好ましい。これにより、線膨張係数差を利用した応力調整による強度の向上を可能にすることができる。
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよいが、本実施形態では、積層セラミックコンデンサ2のZ軸方向のトータル厚みz0を、たとえば100μm以下、好ましくは90μm以下、さらに好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下と薄くすることができ、積層セラミックコンデンサ2の低背化に寄与する。
なお、本実施形態では、コンデンサ2の長手方向長さであるY軸方向の長さy0を、厚みz0の3倍以上、好ましくは300μm以上、好ましくは400〜1200μmとすることができる。また、コンデンサ2のX軸方向の幅x0は、厚みz0の2倍以上、好ましくは200μm以上、好ましくは200〜600μmとすることができる。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサによれば、積層セラミックコンデンサ2のZ軸方向のトータル厚みz0を、たとえば100μm以下、好ましくは90μm以下、さらに好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下と薄くすることができる。また、素子本体4の下面4dが平坦面であることで、たとえば図5に示すように、多層基板40の内部に、積層セラミックコンデンサ2を埋込みやすくなる。図5では、積層セラミックコンデンサ2の端子電極6,8の上側電極部6b,8bに、多層基板40に形成してある配線パターン42がスルーホール電極などを補通して接続してある。また、本実施形態では、素子本体4の下面4dである平坦面が実装面に設置される際に、素子本体4が実装面に密着して取り付けられ、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度が向上する。
また、本実施形態において、素子本体4の上面4cまたは下面4dを構成する外装領域11は、内側誘電体層10よりも強度が高い誘電体材料で構成してあってもよい。このように構成することで、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度が、さらに向上する。また、強度が向上することで、素子本体4の長手方向寸法y0または幅寸法x0を長くすることが容易になり、素子本体4の内部における内部電極層12の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの特性が向上する。さらに、図2A1および図2A2に示すサイドギャップ領域14も内側誘電体層10よりも強度が高い誘電体材料で構成してあってもよい。
次に、本発明の一実施形態としての積層セラミックコンデンサ2の製造方法について具体的に説明する。
まず、焼成後に図1Aに示す内側誘電体層10を構成することになる内側グリーンシートおよび外装領域11を構成することとなる外側グリーンシートを製造するために、内側グリーンシート用ペーストおよび外側グリーンシート用ペーストを準備する。内側グリーンシート用ペーストおよび外側グリーンシート用ペーストは、通常、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
セラミック粉末の原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。セラミック粉末の原料は、本実施形態では、平均粒子径が0.45μm以下、好ましくは0.1〜0.3μm程度の粉体として用いられる。なお、内側グリーンシートをきわめて薄いものとするためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉体を使用することが望ましい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、アセトン、メチルエチルケトン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、グリーンシート用ペースト中には、必要に応じて、各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されていてもよい。
可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
次に、焼成後に図1Aに示す内部電極層12を構成することになる内部電極パターン層を製造するために、内部電極層用ペーストを準備する。内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
焼成後に図1Aに示す端子電極6,8を構成することになる端子電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記にて調製した内側グリーンシート用ペーストおよび内部電極層用ペーストを使用して、内側グリーンシートと、内部電極パターン層と、を交互に積層し、内部積層体を製造する。そして、内部積層体を製造した後に、外側グリーンシート用ペーストを使用して、外側グリーンシートを形成し、積層方向に加圧してグリーン積層体を得る。
なお、グリーン積層体の製造方法としては、上記の他、外側グリーンシートに直接内側グリーンシートと内部電極パターン層とを交互に所定数積層して、積層方向に加圧してグリーン積層体を得てもよい。
具体的には、まず、ドクターブレード法などにより、支持体としてのキャリアシート(たとえばPETフィルム)上に、内側グリーンシートを形成する。内側グリーンシートは、キャリアシート上に形成された後に乾燥される。
次に、内側グリーンシートの表面に、内部電極層用ペーストを用いて、内部電極パターン層を形成し、内部電極パターン層を有する内側グリーンシートを得る。次に、内部電極パターン層を有する内側グリーンシートを複数積層して、内部積層体を製造した後に、内部積層体の上下に外側グリーンシート用ペーストを使用して、適宜の枚数の外側グリーンシートを形成し、積層方向に加圧してグリーン積層体を得る。
次に、グリーン積層体を個片状に切断してグリーンチップを得る。なお、内部電極パターン層の形成方法としては、特に限定されず、印刷法、転写法の他、蒸着、スパッタリングなどの薄膜形成方法により形成されていてもよい。
グリーンチップは、固化乾燥により可塑剤が除去され固化される。固化乾燥後のグリーンチップは、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を行うことにより、素子本体4が得られる。脱バインダ工程、焼成工程およびアニール工程は、連続して行なっても、独立して行なってもよい。
次に、素子本体4のY軸方向の両端面に、端子電極用ペーストを塗布して焼成し、端子電極6,8を形成する。端子電極6,8を形成するに際しては、たとえば図4に示すように、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dの間に、ダミーブロック20を仮接着し、これらを一体化させたワーク22を、まず形成する。
ダミーブロック20は、後工程において除去可能な材料で構成されることが好ましく、端子電極用ペーストが付着し難い材料であることが好ましい。ダミーブロック20は、たとえばシリコンゴム、ニトリルゴム、ポリウレタン、フッ素樹脂、PET樹脂、PEN樹脂などで構成される。ダミーブロック20のX軸方向幅およびY軸方向幅は、素子本体4のサイズと略同じであることが好ましい。ダミーブロック20のZ軸方向の厚みは、素子本体4のZ軸方向厚みと同等、またはそれより薄くても厚くてもよい。
なお、ダミーブロック20を設けることなく、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dを、後工程で剥離可能な接着剤で直接に接着してワーク22を形成してもよい。接着剤としては、たとえば変性シリコーンポリマー、PVA水溶液のり、水溶性アクリル樹脂水溶液のり、変性ポリウレタン、変性シリコーン+エポキシ樹脂の2液型、デンプンのりなどが好ましい。また、ダミーブロック20の代わりに、一つ以上の素子本体4を、二つの素子本体4,4の間に接着してワーク22を形成してもよい。
ワーク22は、二つ以上の素子本体4,4が組み合わされているために、仮に素子本体4,4自体のZ軸方向厚みが薄くても、十分に取り扱いやすい厚みを持ち、従来と同様にして、保持板30の貫通孔32にワーク22を取り付けて、端子電極6および8の形成を行うことができる。なお、端子電極6,8の形成方法についても特に限定されず、端子電極用ペーストの塗布・焼付け、メッキ、蒸着、スパッタリングなどの適宜の方法を用いることができる。必要に応じ、端子電極6,8表面に、メッキ等により被覆層を形成する。被覆層としては、Niメッキ、Snメッキ、AuメッキまたはCuメッキなどが例示される。
端子電極6および8を形成した後には、ダミーブロック20を除去するなどで、二つの素子本体4,4を分離すれば、図1Aに示す積層セラミック電子部品2が得られる。すなわち、素子本体4の下面4dには、端子電極6,8が実質的に形成されておらず、素子本体4の下面4dの全体が外部に露出している積層セラミックコンデンサ2が得られる。
次に、上記素子本体4のZ軸に垂直な上面4cに上面被覆層18を形成する。上面被覆層18を形成する方法は特に限定されず、たとえば、ディップ、印刷、塗布、蒸着、スパッタリング等が挙げられる。
たとえば、塗布により上面被覆層18を形成する場合には、素子本体4の上面4cに被覆層用ペーストを塗布し、焼付けることにより形成することができる。被覆層用ペーストが塗布された素子本体4の焼き付け条件は特に限定されず、たとえば、加湿Nまたは乾燥Nの雰囲気において、600〜1000℃、0.1〜3時間保持し、焼き付けられる。
次に上側電極部6b,8bと上面被覆層18の表面が面一になるように研磨する。なお、上側電極部6b,8bの表面にメッキ膜が形成されている場合は、メッキ膜と上面被覆層18の表面が面一となるように研磨する。
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサ2は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。あるいは、図5に示すように、多層基板40の内部に、積層セラミックコンデンサ2を埋込まれて使用される。本実施形態の積層セラミックコンデンサ2の具体的な用途としては好ましくは、デカップリングコンデンサが挙げられるが、これに限定されず、高耐圧コンデンサ、低ESLコンデンサ、大容量コンデンサなどとしても使用される。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ2は、端子電極6,8の形成後に素子本体4が分離されることで、たとえば従来の1/2以下程度に薄い積層セラミックコンデンサ2となる。
結果として得られる積層セラミックコンデンサ2では、素子本体4の下面4dに端子電極6,8が実質的に形成されず、あるいは素子本体4の下面4dの全体が露出する。そして、積層セラミックコンデンサ2のトータル厚みz0は、100μm以下、好ましくは90μm以下、さらに好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下と薄くすることができる。すなわち、積層セラミックコンデンサ2の低背化に寄与する。
第2実施形態
図2A2に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、以下に示す以外は、第1実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。この積層セラミックコンデンサ2では、素子本体4のX軸の方向に沿って向き合う側面4eに第1実施形態の上面被覆層18に連続して具備されているサイド被覆層18aを有している。このように構成することで、積層セラミックコンデンサ2の強度がさらに向上する。
サイド被覆層18aの材質は特に限定されず、上面被覆層18と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、サイド被覆層18aの厚みも特に限定されず、上面被覆層18と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
サイド被覆層18aを形成する方法は特に限定されず、たとえば上面被覆層18と同様の方法により形成される。
第3実施形態
図1Bおよび図2Bに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2aでは、以下に示す以外は、第1実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。この積層セラミックコンデンサ2aでは、素子本体4の上面4c(または下面4d)は、内側誘電体層10よりも強度が高い材料で構成してある上面強化層16を含む。
上面強化層16は、第1実施形態と同様にして素子本体4を形成した後に、端子電極6および8を形成する前に、素子本体4の上面4cに形成される。上面強化層16の材質としては、特に限定されないが、たとえばガラス、アルミナ系コンポジット材料、ジルコニア系コンポジット材料、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アラミド繊維、繊維強化プラスチックなどが例示される。また、上面強化層16の材質は上面被覆層18の材質と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
このように構成することで、積層セラミックコンデンサ2aの曲げ強度がさらに向上する。また、強度が向上することで、素子本体4を薄くしても、素子本体4の長手方向寸法y0(図1A参照)または幅寸法x0(図2A1および図2A2参照)を長くすることが容易になり、素子本体4の内部における内部電極層12の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの積層セラミックコンデンサ2aの特性が、さらに向上する。
上記の観点から、(上面強化層16の平均厚み/上側電極部6b,8bの平均厚み)×100の式から求められる上面強化層16の相対厚みは20〜133%であることが好ましく、50〜100%であることがより好ましい。
なお、上面強化層16を構成するガラス成分は特に限定されない。本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスは、SiおよびAlのうち少なくともいずれか1つを主成分とすることがより好ましい。なお、主成分とは、ガラス中に30質量%〜70質量%含まれる成分である。本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスは、SiおよびAlを主成分とすることがさらに好ましい。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスは、SiOを30質量%〜70質量%含むことが好ましい。SiOを上記の範囲内で含む場合、上記の範囲よりも少ない場合に比べて、網目形成酸化物が十分な量となり、耐めっき性を良好にする。SiOを上記の範囲内で含む場合、上記の範囲よりも多い場合に比べて、軟化点が高くなりすぎるのを防ぎ、作業温度が高くなり過ぎるのを防ぐ。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスは、Alを1質量%〜15質量%含むことが好ましい。Alを上記の範囲内で含む場合、上記の範囲よりも少ない場合に比べて、耐めっき性が良好である。Alを上記の範囲内で含む場合、上記の範囲よりも多い場合に比べて、軟化点が上昇し過ぎるのを防ぐ。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびホウ素からなる群から選ばれる1以上を副成分として含むことが好ましい。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびホウ素からなる群から選ばれる1以上を副成分とするガラスであることにより、上面強化層16の表面の一部にメッキにより上側電極部6b,8bを形成する際に、メッキし易くなる。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスは、アルカリ金属、遷移金属およびホウ素を含むことにより、ガラスの軟化点を下げることができ、上面強化層16を構成するフィラーを析出させ易くなる。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスがアルカリ金属を含むことにより、耐めっき性が良好になる。本実施形態に用いられるアルカリ金属は特に制限されない。本実施形態に用いられるアルカリ金属としては、たとえばLi、Na、Kが挙げられる。アルカリ金属としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスがLiを含む場合には、ガラスが緻密に焼付できることでクラックを生じにくくできる。本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスがNaまたはKを含む場合は、熱膨張係数が高くなるため、クラックを生じにくくできる。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスには、アルカリ金属が0.1質量%〜15質量%含まれることが好ましい。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスがアルカリ土類金属を含むことにより、上面強化層16に含まれるガラスと誘電体層との密着性を良好にしてデラミネーションを生じにくくする。また、熱膨張係数が小さくなり過ぎるのを防ぎ、クラックを生じにくくする。さらに、アルカリ土類金属がBaであり、誘電体層がBaTiOである場合、Baがガラス成分に溶出してしまうのを防止し、HALT信頼性が低下することを抑制する。BaOを上記の範囲内で含む場合、上記の範囲よりも多い場合に比べて、ガラス化を良好にし、さらに、耐めっき性を良好にする。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスを構成するアルカリ土類金属としては、特に制限されない。本実施形態に用いられるアルカリ土類金属としては、Mg、Ba、Ca、Srが挙げられる。アルカリ土類金属としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本実施形態では、アルカリ土類金属としてBaまたはCaを用いることが好ましい。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスには、BaOが20質量%〜60質量%含まれることが好ましい。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスにSiOとBaOとAlが合計で70質量%〜100質量%含まれることが好ましい。これにより誘電体層と上面強化層16との界面でBa−Ti−Si−O相が形成され易くなる。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスには、CaOが0質量%〜15質量%含まれることが好ましい。これにより熱膨張係数を高めることができる。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスには、SrOが0質量%〜20質量%含まれることが好ましい。これにより熱膨張係数を高めることができ、SrOを上記の範囲内で含む場合、上記の範囲よりも多い場合に比べて、SrOがBaTiOと反応することを防ぎ、チップの絶縁性と信頼性を向上できる。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスに用いられる遷移金属は特に制限されない。本実施形態の上面強化層16に用いられる遷移金属としては、たとえばV、Zn、W、およびMoなどが挙げられる。本実施形態の上面強化層16に用いられる遷移金属としては、VまたはZnであることが好ましい。これにより、上側電極部6b,8bとしてメッキを形成し易くなり、また、第31実施形態で説明するフィラーを析出させ易くなる。本実施形態に係る遷移金属は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスには、遷移金属が0質量%〜20質量%含まれることが好ましい。
本実施形態の上面強化層16に含まれるガラスには、Bが0質量%〜10質量%含まれることが好ましい。これによりガラスの網目形成酸化物としての効果を発揮できる。Bを上記の範囲内で含む場合、上記の範囲よりも多い場合に比べて、耐めっき性を良好にできる。
本実施形態では、上面強化層16は、外装領域11の外面側の一部のみを構成しているが、外装領域11の大部分、または全てを占めていてもよい。上面強化層16は、素子本体4の上面4cまたは下面4dに強化層用ペーストを塗布し、焼き付けることにより形成することができる。
この強化層用ペーストは、たとえば上記したガラス原料と、エチルセルロースを主成分とするバインダと分散媒であるターピネオールおよびアセトンとをミキサーで混練して得られる。素子本体4への強化層用ペーストの塗布方法は特に限定されず、たとえば、ディップ、印刷、塗布、蒸着、噴霧等の方法が挙げられる。
強化層用ペーストが塗布された素子本体4の焼き付け条件は特に限定されず、たとえば、加湿Nまたは乾燥Nの雰囲気において、700℃〜1300℃、0.1時間〜3時間保持し、焼き付けられる。
第11実施形態
図11Aに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、以下に示す以外は第1実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。本実施形態では、素子本体4の下面4dの全面が下面被覆層18cで覆われている。
ここで「下面4dの全面」とは、概ね下面4dの全面が覆われているが、多少覆われていない部分を有していてもよいことを意味し、たとえば、(下面被覆層18cの面積/下面4dの面積)×100の式から求められる下面被覆層18cの被覆率が90〜100%であればよい。これにより、積層セラミックコンデンサ2が低背化しても、曲げ強度を高めることができる。
本実施形態の下面被覆層18cの厚みは特に限定されないが、(下面被覆層18cの平均厚み/上側電極部6b,8bの平均厚み)×100の式から求められる下面被覆層18cの相対厚みが12〜120%であることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度がより高まる。
また、本実施形態の下面被覆層18cの厚みは、後述する上面被覆層18の厚みより薄いことが好ましい。これにより、Z軸方向の寸法が大きくなり過ぎず、問題なく実装できる。
下面被覆層18cの材質は特に限定されず、たとえばガラス、アルミナ系コンポジット材料、ジルコニア系コンポジット材料、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アラミド繊維、繊維強化プラスチックなどが例示されるが、外装領域11との密着性を高めて、曲げ強度を向上させる観点から、軟化点が600℃以上850℃以下であるガラスが好ましい。
上記の観点から、下面被覆層18cに用いられるガラスの軟化点は600℃以上850℃以下であることがより好ましい。このようなガラスとしては、たとえば、Si−B−Zn−O系ガラスおよびSi−Ba−Al−O系ガラスなどが挙げられ、この他ガラス成分として、BaO、Al、アルカリ金属、CaO、SrOを含んでもよい。
下面被覆層18cを構成するガラス成分はガラス成分中にSiOを30〜70質量%含み、Bを1〜20質量%含み、ZnOを1〜60質量%含むことが好ましい。これによりガラスの軟化点を適切な範囲内にし易くなる。
また、本実施形態の下面被覆層18cを構成するガラス成分中にSiOとBとZnOが合計で70〜100質量%含まれることが好ましい。これによりガラスの軟化点を適切な範囲にし易くなる。
また、本実施形態の下面被覆層18cは誘電体層に比べて弾性率が低い材質であることが好ましい。これにより、外部からの応力衝撃を緩和するため、後工程でのクラック、割れを抑制することができる。
さらに、本実施形態の下面被覆層18cは誘電体層に比べて線熱膨張係数が低い材質であることが好ましい。これにより、線膨張係数差を利用した応力調整による強度の向上を可能にすることができる。
本実施形態では端側電極部6a,8aの外面が端側被覆層18b,18bにより覆われている。これにより、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性を高めることができる。すなわち、積層セラミックコンデンサ2の低背化によって端子電極6,8が薄くなったとしても、積層セラミックコンデンサ2への水分の侵入を防ぐことができる。このことから、積層セラミックコンデンサ2の製造工程に水を使用する工程や湿式工程があったとしても、積層セラミックコンデンサ2への水分の侵入を防ぎ、絶縁性の低下を抑えることができる。
また、本実施形態の積層セラミックコンデンサ2は端側電極部6a,8aの外面が端側被覆層18b,18bにより覆われていることから強度を高めることができる。
本実施形態では、(端側被覆層18b,18bの被覆面積/端側電極部6a,8aの外面の面積)×100で示される端側被覆層18bの被覆率が、好ましくは96〜100%である。これにより、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性をより高めることができるとともに、強度をより高めることができる。上記の観点から、端側被覆層18bの被覆率が98〜100%であることがより好ましい。
本実施形態では、(端側被覆層18b,18bの平均厚み/端側電極部6a,8aの平均厚み)×100で示される端側被覆層18bの相対厚みが、20〜500%である。これにより、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性をより高めることができるとともに、強度を高めることができる他、積層セラミックコンデンサ2のY軸方向の寸法が大きくなり過ぎず、問題なく実装ができる。
端側被覆層18bの材質は特に限定されず、たとえばガラス、アルミナ系コンポジット材料、ジルコニア系コンポジット材料、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アラミド繊維、繊維強化プラスチックなどが例示されるが、Siを主成分とするガラスまたは樹脂を主成分とする膜であることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性をより高めることができるとともに、強度を高めることができる。
上記の観点から、Siを主成分とするガラスとしては、たとえばSi−B−Zn−O系ガラスまたはSi−Al−M−O系ガラス(Mはアルカリ土類金属)などが挙げられ、この他ガラス成分として、BaO、アルカリ金属を含んでもよい。
本実施形態のSi−B−Zn−O系ガラスはガラス成分中にSiOを30〜70質量%含み、Bを1〜20質量%含み、ZnOを1〜60質量%含むことが好ましい。これにより積層セラミックコンデンサ2の耐湿性をより高めることができるとともに、強度を高めることができる。
また、本実施形態のSi−B−Zn−O系ガラスはガラス成分中にSiOとBとZnOが合計で70〜100質量%含まれることが好ましい。これにより積層セラミックコンデンサ2の耐湿性をより高めることができるとともに、強度を高めることができる。
本実施形態のSi−Al−M−O系ガラスはガラス成分中にSiOを30〜70質量%含み、Alを2〜20質量%含み、MOを5〜20質量%含むことが好ましい。これにより積層セラミックコンデンサ2の耐湿性をより高めることができるとともに、強度を高めることができる。なお、MとしてはCaまたはSrが好ましい。
また、本実施形態のSi−Al−M−O系ガラスはガラス成分中にSiOとAlとMOが合計で70〜100質量%含まれることが好ましい。これにより積層セラミック電子部品の耐湿性をより高めることができるとともに、強度を高めることができる。
本実施形態の端側被覆層18bは軟化点が600℃以上1000℃以下であるガラスを用いることができる。これにより、端側電極部6a,8aとの密着性を高めて耐湿性を高める他、曲げ強度を向上させることができる。上記の観点から、端側被覆層18bに用いられるガラスの軟化点は600℃以上850℃以下であることがより好ましい。
また、下面被覆層18cと同様の理由により、本実施形態の端側被覆層18bは誘電体層に比べて弾性率が低い材質であることが好ましい。
さらに、下面被覆層18cと同様の理由により、本実施形態の端側被覆層18bは誘電体層に比べて線熱膨張係数が低い材質であることが好ましい。
本実施形態では、一対の上側電極部6b,8bの間に位置する素子本体4の上面4cを覆う上面被覆層18が上側電極部6b,8bの表面と実質的に面一となるように密着して存在している。
上面被覆層18の材質は特に限定されず、上記の下面被覆層18cまたは下記の端側被覆層18bと同じでもよいし、異なっていてもよい。ただし、上記の通り、下面被覆層18cは下面4dを覆うことにより曲げ強度を向上させることを重視して材質が選択されるのに対して、上面被覆層18は上面4側の段差を軽減する観点から、上側電極部6b,8bおよび外装領域11との密着性を重視して材質が選択される。さらに、端側被覆層18bは耐湿性を向上させることを重視して材質が選択される。このような観点からは、下面被覆層18c、上面被覆層18および端側被覆層18bの材質が異なっていることが好ましい。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2によれば、下面被覆層18cの外表面が平坦面であることで、たとえば図15に示すように、多層基板40の内部に、積層セラミックコンデンサ2を埋め込みやすくなる。また、本実施形態では、下面被覆層18cの表面である平坦面が実装面に設置される際に、積層セラミックコンデンサ2が実装面に密着して取り付けられ、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度が向上する。
なお、下面被覆層18は樹脂フィルムで構成してもよく、その場合には端側被覆層18bおよび上面被覆層18cを形成した後、下面4dに接着剤または粘着シートなどにより樹脂フィルムを接着してもよい。樹脂フィルムとしては、PET、PENなどのフィルムが用いられる。
次に、本発明の一実施形態としての積層セラミックコンデンサ2の製造方法について具体的に説明する。
第1実施形態と同様にして、端子電極6および8を形成した後には、ダミーブロック20を除去するなどで、二つの素子本体4,4を分離し、図11Aに示す積層セラミック電子部品2が得られる。すなわち、素子本体4の下面4dには、端子電極6,8が実質的に形成されていない積層セラミックコンデンサ2を得る。
次に、端側電極部6a,8aの外面に端側被覆層18b,18bを形成し、上記素子本体4のZ軸に垂直な上面4cに上面被覆層18を形成し、下面4dに下面被覆層18cを形成する。端側被覆層18b,18b、上面被覆層18、および下面被覆層18cを形成する方法は特に限定されず、たとえば、ディップ、印刷、塗布、蒸着、スパッタリング等が挙げられる。
たとえば塗布により端側被覆層18b,18b、上面被覆層18および下面被覆層18cを形成する場合には、最初に端側電極部6a,8aの外面に被覆層用ペーストを塗布し、焼き付けることにより端側被覆層18b,18bを形成した後、次に、素子本体4の上面4cに被覆層用ペーストを塗布し、焼き付けることにより上面被覆層18を形成し、最後に素子本体4の下面4dに被覆層用ペーストを塗布し、焼き付けることにより下面被覆層18を形成することができる。被覆層用ペーストが塗布された素子本体4の焼き付け条件は特に限定されず、端側被覆層18b,18b、上面被覆層18および下面被覆層18cのいずれの場合も、たとえば、加湿Nまたは乾燥Nの雰囲気において、600〜1000℃、0.1〜3時間保持し、焼き付けられる。
次に上側電極部6b,8bの表面、上面被覆層18の表面および端側被覆層18bのZ軸方向の端部が面一になるように研磨する。また、下面被覆層18cの外表面も平坦になるように研磨してもよい。なお、上側電極部6b,8bの表面にメッキ膜が形成されている場合は、メッキ膜と上面被覆層18の表面が面一となるように研磨してもよい。
第12実施形態
図12A2に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、以下に示す以外は、第11実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。この積層セラミックコンデンサ2では、素子本体4のX軸の方向に沿って向き合う側面4eに第11実施形態の下面被覆層18cおよび上面被覆層18に連続して具備されているサイド被覆層18aを有している。このように構成することで、積層セラミックコンデンサ2の強度がさらに向上する。
サイド被覆層18aの材質は特に限定されず、下面被覆層18cと同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、サイド被覆層18aの厚みも特に限定されず、下面被覆層18と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
サイド被覆層18aを形成する方法は特に限定されず、たとえば下面被覆層18cと同様の方法により形成される。
第13実施形態
図11Bおよび図12Bに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2aでは、以下に示す以外は、第11実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。この積層セラミックコンデンサ2aでは、素子本体4の上面4c(または下面4d)は、内側誘電体層10よりも強度が高い材料で構成してある上面強化層16を含む。本実施形態の上面強化層16は、第3実施形態の上面強化層16と同様である。
第14実施形態
図12Cに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2bでは、以下に示す以外は、第13実施形態の積層セラミックコンデンサ2aと同様である。この積層セラミックコンデンサ2bでは、素子本体4のX軸の方向に沿って向き合う側面4eに第13実施形態の上面強化層16に連続して具備されているサイド強化層16aを有している。このように構成することで、積層セラミックコンデンサ2の強度がさらに向上する。本実施形態のサイド強化層16aは、後述する第21実施形態のサイド強化層16aと同様である。
第21実施形態
図22Aに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、以下に示す以外は、第1実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。本実施形態では、図22Aに示すように、素子本体4が、素子本体4のX軸方向に相互に向き合う一対の側面4e,4eにそれぞれ露出する内部電極層12の端部を覆う一対のサイド強化層16a,16aを有している。言い換えると、素子本体4のX軸方向に相互に向き合う一対の側面4e,4eにそれぞれサイド強化層16a,16aが内部電極層12と接して存在している。これにより、誘電体層のX軸方向の両端に位置する誘電体層および内部電極層12のX軸方向の両端に位置する内部電極層12を保護するとともに、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度を高めることができる。
また、強度が向上することで、素子本体4を薄くしても、素子本体4の長手方向寸法y0(図21A参照)または幅寸法x0(図22A参照)を長くすることが容易になり、素子本体4の内部における内部電極層12の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの積層セラミックコンデンサ2の特性が、さらに向上する。
さらに、本実施形態では素子本体4のX軸方向に相互に向き合う一対の側面4e,4eにそれぞれサイド強化層16a,16aが内部電極層12と接して存在することから、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性を高めることができる。すなわち、積層セラミックコンデンサ2の内部への水分の侵入を防ぐことができる。このことから、水分がある環境や湿度の高い環境で積層セラミックコンデンサ2を使用したり、積層セラミックコンデンサ2の製造工程に水を使用する工程や湿式工程があったとしても、積層セラミックコンデンサ2の内部への水分の侵入を防ぎ、絶縁性の低下を抑えることができる。
本実施形態では、(サイド強化層16aの平均厚みta/サイド電極部6c,8cの平均厚みt1)×100で示されるサイド強化層16aの相対厚みが、好ましくは100〜1500%である。これにより、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性をより高めることができるとともに、強度を高めることができる他、「積層セラミックコンデンサ2のX軸方向の幅」に対する「容量領域のX軸方向の幅」が十分に確保され、容量特性が良好となる。さらに、積層セラミックコンデンサ2のX軸方向の寸法が大きくなり過ぎず、問題なく実装ができる。
なお、サイド強化層16aは、素子本体4の側面4eのうち少なくとも内部電極層12の端部を覆っていることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性を高めることができるとともに、強度を高めることができる。上記の観点から、サイド強化層16aは素子本体4の側面4eの全面を覆っていることがより好ましい。ここで、「側面4eの全面」とは、概ね側面4eの全面が覆われているが、多少覆われていない部分を有してもよいことを意味する。
サイド強化層16aの材質は特に限定されず、たとえばガラス、アルミナ系コンポジット材料、ジルコニア系コンポジット材料などが例示されるが、好ましくは、ガラスであり、より好ましくは少なくともSiおよびBaを含むガラスである。これにより、サイド強化層16aと誘電体層が反応することを抑制でき、絶縁特性が向上する。
上記の観点から、サイド強化層16aを構成するガラスは、Siを30〜70質量%含み、Baを20〜60質量%含むことが好ましい。
また、SiOを上記の範囲で含む場合、上記の範囲よりも少ない場合に比べて、網目形成酸化物が十分な量となり、耐めっき性を良好にする。SiOを上記の範囲で含む場合、上記の範囲よりも多い場合に比べて、軟化点が高くなりすぎるのを防ぎ、作業温度が高くなり過ぎるのを防ぐ。
さらに、BaOを上記の範囲で含む場合、上記の範囲よりも少ない場合に比べて、誘電体層との密着性を良好にしてデラミネーションを生じにくくする。また、熱膨張係数が小さくなり過ぎるのを防ぎ、クラックを生じにくくする。さらに、誘電体層がBaTiOの場合、Baがガラス成分に溶出してしまうのを防止し、HALT信頼性が低下することを抑制する。BaOを上記の範囲で含む場合、上記の範囲よりも多い場合に比べて、ガラス化を良好にし、さらに、耐めっき性を良好にする。
これらの観点から、サイド強化層16aを構成するガラスは、Siを30〜70質量%含み、Baを20〜60質量%含むことがより好ましい。
また、ガラスに含まれる成分としては、他にZn、Al、B、アルカリ土類金属、アルカリ金属を含んでもよい。
本実施形態では、図22Aに示すように、素子本体4のZ軸方向に垂直な上面4cに上面強化層16がサイド強化層16aに連続して形成されている。
上面強化層16の厚みは特に限定されないが、(上面強化層16の平均厚みt/サイド強化層16aの平均厚みta)は、33〜150%であることがより好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度がより向上する他、強度が向上することで、素子本体4を薄くしても、素子本体4の長手方向寸法y0(図21A参照)または幅寸法x0(図22A参照)を長くすることが容易になり、素子本体4の内部における内部電極層12の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの積層セラミックコンデンサ2の特性が、さらに向上する。
本実施形態では、上面強化層16は、外装領域11の外面側の一部のみを構成してもよいし、外装領域11の大部分、または全てを占めていてもよい。
なお、上面強化層16の材質は特に限定されず、サイド強化層16aと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
次に、本発明の一実施形態としての積層セラミックコンデンサ2の製造方法について具体的に説明する。
サイド強化層16a、上面強化層16および端子電極6,8を形成するに際しては、たとえば図24に示すように、第1実施形態と同様にして、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dの間に、ダミーブロック20を仮接着し、これらを一体化させたワーク22を、まず形成する。
サイド強化層16aおよび上面強化層16の形成方法については特に限定されず、たとえば、素子本体4の側面4eにサイド強化層用ペーストを塗布し、上面4cに上面強化層用ペーストを塗布し、焼き付けることにより形成することができる。サイド強化層16aと上面強化層16は同時に形成してもよいし、別々に形成してもよい。
サイド強化層用ペーストおよび上面強化層用ペーストは、たとえば上記したガラス原料と、エチルセルロースを主成分とするバインダと分散媒であるターピネオールおよびアセトンとをミキサーで混練してそれぞれ得られる。素子本体4へのサイド強化層用ペーストおよび上面強化層用ペーストの塗布方法は特に限定されず、たとえば、ディップ、印刷、塗布、蒸着、噴霧等の方法が挙げられる。
サイド強化層用ペーストおよび上面強化層用ペーストが塗布された素子本体4の焼き付け条件は特に限定されず、たとえば、加湿Nまたは乾燥Nの雰囲気において、700℃〜1300℃、0.1時間〜3時間保持し、焼き付けられる。
なお、端子電極6,8の形成方法についても特に限定されず、保持板30の貫通孔32にサイド強化層16aおよび上面強化層16が形成されたワーク22を取り付けて、その後、端子電極用ペーストの塗布・焼付け、メッキ、蒸着、スパッタリングなどの適宜の方法を用いることができる。必要に応じ、端子電極6,8表面に、メッキ等により被覆層を形成する。被覆層としては、Niメッキ、Snメッキ、AuメッキまたはCuメッキなどが例示される。
端子電極6および8を形成した後には、ダミーブロック20を除去するなどで、二つの素子本体4,4を分離すれば、図21Aに示す積層セラミックコンデンサ2が得られる。すなわち、素子本体4の下面4dには、端子電極6,8が実質的に形成されておらず、素子本体4の下面4dの全体が外部に露出している積層セラミックコンデンサ2が得られる。
第22実施形態
図21Bおよび図22Bに示すように、本実施形態では積層セラミックコンデンサ2aが、端側被覆層18b、上面被覆層18およびサイド被覆層18cを有する以外は、第21実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。
また、本実施形態の端側被覆層18bは、第11実施形態の端側被覆層18bと同様である。本実施形態の上面被覆層18は、第1実施形態の上面被覆層18と同様である。本実施形態のサイド被覆層18aは、第2実施形態のサイド被覆層18aと同様である。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2aでは、素子本体4のX軸方向に沿って向き合う一対のサイド強化層16aをサイド被覆層18aが覆い、サイド被覆層18aは上面被覆層18に連続して存在している。このように構成することで、積層セラミックコンデンサ2aの強度がさらに向上する。
サイド被覆層18aの厚みは特に限定されず、上面被覆層18と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
端側被覆層18b、上面被覆層18およびサイド被覆層18aの材質はそれぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし、上記の通り、端側被覆層18bは耐湿性を向上させることを重視して材質が選択される。また、上面被覆層18は上面4c側の段差を軽減する観点から、上側電極部6b,8bおよび上面強化層16との密着性を重視して材質が選択される。さらに、サイド被覆層18aは強度を向上させることを重視して材質が選択される。このような観点からは、端側被覆層18b、上面被覆層18およびサイド被覆層18aの材質が異なっていることが好ましい。
端側被覆層18b、上面被覆層18およびサイド被覆層18aの材質が異なっている場合は、お互いの性質が大きく異なっていないことが好ましい。具体的には、端側被覆層18bの材質、上面被覆層18の材質およびサイド被覆層18aの材質がともに樹脂を主成分とする膜である場合は、端側被覆層18b、上面被覆層18およびサイド被覆層18aの弾性率の差は相互に20×10−6Pa以下であることが好ましい。また、端側被覆層18bの材質、上面被覆層18およびサイド被覆層18aの材質がともにSiを主成分とするガラスである場合は、端側被覆層18b、上面被覆層18およびサイド被覆層18aの熱膨張係数の差は相互に20×10−6/K以下であることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ2aの製造が容易になり、積層セラミックコンデンサ2aの不具合も生じにくくなる。
第31実施形態
図31Aに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、以下に示す以外は第1実施形態のセラミックコンデンサ2と同様である。図31Aに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、素子本体4のX軸方向に相互に向き合う側面4e,4eから上面4cにかけて連続して素子本体4を覆う強化層116を有する。これにより、素子本体4の曲げ強度を向上させることができ、積層セラミックコンデンサ2の破損を防ぐことができる。
図32Aは図31AのIIA−IIA線に沿う断面図である。図32Aに示すよう素子本体4の側面4e,4eを覆う強化層116は、内部電極層12のX軸方向の端部に接触していてもよい。
上面4cを覆う強化層116および側面4e,4eを覆う強化層116は、素子本体4を形成した後に、端子電極6,8を形成する前に、素子本体4の上面4cおよび側面4e,4eに形成される。
本実施形態の強化層116は、フィラーおよび基質を含む。
本実施形態の強化層116のフィラーの形状は、針状、柱状または板状である。本実施形態では、フィラーの形状は針状であることが好ましい。これにより、より強固な強化層116を形成することができる。
本実施形態では、フィラーの短軸方向の粒径は、特に制限されない。本実施形態では、フィラーの短軸方向の粒径は、好ましくはが0.1μm以上3.0μm以下である。
本実施形態では、フィラーの短軸方向の粒径が上記の範囲内であることにより、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度を高めることができる。また、上面4cを覆う強化層116と、上側電極部6b,8bとの密着性を高めることができ、その結果、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性を高めることができる。本実施形態では、フィラーの短軸方向の粒径は、より好ましくは0.5μm以上3.0μm以下である。
本実施形態では、フィラーの長軸方向の粒径は、特に制限されない。本実施形態では、フィラーの長軸方向の粒径は、好ましくは0.5μm以上15.0μm以下である。
本実施形態では、フィラーの長軸方向の粒径が上記の範囲内であることにより、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度を高めることができる。また、上面4cを覆う強化層116と、上側電極部6b,8bとの密着性を高めることができ、その結果、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性を高めることができる。
本実施形態では、フィラーの長軸方向の粒径は、より好ましくは3.0μm以上15.0μm以下である。
本実施形態では、フィラーの(短軸の粒径/長軸の粒径)×100で表されるアスペクト比(%)は特に制限されない。本実施形態では、フィラーのアスペクト比が、好ましくは0.7%以上60%以下である。
本実施形態では、フィラーのアスペクト比が上記の範囲内であることにより、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度を高めることができる。また、上面4cを覆う強化層116と、上側電極部6b,8bとの密着性を高めることができ、その結果、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性を高めることができる。本実施形態では、フィラーのアスペクト比が、より好ましくは0.7%以上30%以下である。
本実施形態では、フィラーの形状やサイズを上記の通りにする方法は特に制限されない。たとえば、強化層116を形成するための強化層用ペーストに、予め上記の形状およびサイズとなっているフィラーを添加する混入型による方法や、フィラーがガラスである場合には、強化層116を形成するための強化層用ペーストに所定のガラス原料を含ませておき、焼き付け温度または焼き付け時間を所定の範囲内に設定して焼き付ける析出型による方法が挙げられる。
本実施形態では、析出型の方法によりフィラーの形状やサイズを上記の通りにすることが好ましい。本実施形態の析出型の方法の焼き付け温度は、後述する「強化層116に含まれるガラス」の軟化点よりも50℃以上高いことが好ましい。焼き付け温度を高くすることで、ガラスが緻密に焼結する傾向にある。また、本実施形態の析出型の方法の焼き付け温度は、後述する「強化層116に含まれるガラス」の軟化点よりも50℃〜80℃高いことがより好ましい。
本実施形態の析出型の方法の焼き付け時間は、0.1時間〜2時間であることが好ましい。焼き付け時間を長くすることで、ガラスが緻密に焼結する傾向にある。また、本実施形態の析出型の方法の焼き付け時間は、0.1時間〜1時間であることが好ましい。
本実施形態では、強化層116中のフィラーの含有量は特に制限されない。本実施形態では、強化層116中のフィラーの含有量は、好ましくは30体積%以上80体積%以下であり、より好ましくは45体積%以上80体積%以下である。
本実施形態では、強化層116中のフィラーの含有量が上記の範囲内であることにより、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度を高めることができる。また、上面4cを覆う強化層116と、上側電極部6b,8bとの密着性を高めることができ、その結果、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性を高めることができる。本実施形態では、強化層116中のフィラーの含有量が、より好ましくは55体積%以上80体積%以下である。
本実施形態の強化層116を構成するフィラーの材質は、特に制限されない。本実施形態のフィラーの材質は、ガラスまたはアルミナであることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度を高めることができる。また、上面4cを覆う強化層116と、上側電極部6b,8bとの密着性を高めることができ、その結果、積層セラミックコンデンサ2の耐湿性を高めることができる。
本実施形態のフィラーの材質は、SiおよびAlのうち少なくともいずれか1つを主成分とするガラスであることが好ましい。なお、主成分とは、ガラス中に30質量%〜70質量%含まれる成分である。本実施形態のフィラーの材質は、SiおよびAlを主成分とするガラスであることがより好ましい。
本実施形態のフィラーの材質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ホウ素を副成分とするガラスであることが好ましい。
フィラーの材質がアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびホウ素からなる群から選ばれる1以上を副成分とするガラスであることにより、上面4cを覆う強化層116の表面の一部にメッキにより上側電極部6b,8bを形成する際に、メッキし易くなる。
本実施形態のフィラーの材質であるガラスの副成分として含まれるアルカリ金属は特に制限されない。本実施形態のフィラーの材質であるガラスの副成分として含まれるアルカリ金属は、たとえばLi、Na、Kである。
本実施形態のフィラーの材質であるガラスの副成分として含まれるアルカリ土類金属としては、Ba、Ca、Srが挙げられる。
本実施形態の強化層116を構成する基質の材質は特に制限されない。本実施形態の基質の材質は、ガラスおよび樹脂のうち少なくともいずれか1つであることが好ましい。本実施形態の基質の材質はガラスであることがより好ましい。
たとえば、基質がガラスおよび樹脂を含む場合には、強化層116において、ガラス100質量部に対して、樹脂が10質量部〜40質量部含まれることが好ましい。
本実施形態では、強化層116において、ガラス100質量部に対して、樹脂が15質量部〜30質量部であることがより好ましい。
なお、本実施形態では、強化層116を強化層用ペーストにより形成するが、強化層用ペーストに粘性を付与するためにエチルセルロースなどを主成分とする樹脂が含まれている。基質にガラスが含まれ、製造時に脱バインダ処理を行う場合には、強化層用ペースト中のエチルセルロースなどを主成分とする樹脂は焼失するため、製品完成時には含まれない。
本実施形態の基質の材質は、SiおよびAlのうち少なくともいずれか1つを主成分とするガラスであることがより好ましい。なお、主成分とは、ガラス中に30質量%〜70質量%含まれる成分である。本実施形態の基質の材質は、SiおよびAlを主成分とするガラスであることがさらに好ましい。
本実施形態の基質の材質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ホウ素を副成分とするガラスであることが好ましい。
本実施形態の基質の材質であるガラスの副成分として含まれるアルカリ金属は特に制限されない。本実施形態の基質の材質であるガラスの副成分として含まれるアルカリ金属は、たとえばLi、Na、Kである。
本実施形態の基質の材質であるガラスの副成分として含まれるアルカリ土類金属としては、Ba、Ca、Srが挙げられる。
本実施形態の基質の材質である樹脂の材質は、特に制限されない。本実施形態の基質の材質である樹脂は、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂である。本実施形態の基質の材質である樹脂は、好ましくはポリイミド樹脂である。本実施形態の基質の材質である樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態では、強化層116のフィラーおよび基質の両方がガラスである場合、強化層116のフィラーのみがガラスである場合、または基質のみがガラスである場合、各ガラスの組成は制限されない。本実施形態では、強化層116のフィラーおよび基質の両方がガラスである場合、強化層116のフィラーのみがガラスである場合、または基質のみがガラスである場合、各ガラスの組成は下記の通りであることが好ましい。以下ではこれらのガラスをまとめて、「強化層116に含まれるガラス」とする。なお、強化層116のフィラーおよび基質の両方がガラスである場合は、フィラーおよび基質に含まれるそれぞれの元素を合計したフィラーおよび基質の全体としての組成である。
本実施形態の強化層116に含まれるガラスは、第3実施形態の上面強化層16を構成するガラス成分と同様である。
なお、本実施形態の強化層116に含まれるガラスは、アルカリ金属、遷移金属およびホウ素を含むことにより、ガラスの軟化点を下げることができ、強化層116を構成するフィラーを析出させ易くなる。
また、本実施形態の強化層116に用いられる遷移金属としては、VまたはZnであることが好ましい。これにより、上側電極部6b,8bとしてメッキを形成し易くなり、また、強化層116を構成するフィラーを析出させ易くなる。
なお、本実施形態の強化層116に含まれるガラスの組成は、後述の上面被覆層18または端側被覆層18bを構成するガラスと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態の強化層116に含まれるガラスを上記のような構成にすることで、所定のフィラーを析出させることができる。その結果、強化層116の強度が内側誘電体層10よりも高くなる。したがって、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度がさらに向上する。また、強度が向上することで、素子本体4を薄くしても、素子本体4の長手方向寸法y0(図31A参照)または幅寸法x0(図32A参照)を長くすることが容易になり、素子本体4の内部における内部電極層12の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの積層セラミックコンデンサ2の特性が、さらに向上する。
上記の観点から、(強化層116の平均厚み/上側電極部6b,8bの平均厚み)×100の式から求められる強化層116の相対厚みは20%〜133%であることが好ましく、50%〜100%であることがより好ましい。
次に、本発明の一実施形態としての積層セラミックコンデンサ2の製造方法について具体的に説明する。
まず、第1実施形態と同様にして素子本体4を得る。
次に、たとえば図34に示すように、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dの間に、ダミーブロック20を仮接着し、これらを一体化させたワーク22を、まず形成する。ワーク22を形成した段階で、素子本体4の側面4eから上面4cにかけて強化層用ペーストを塗布し、焼き付けることにより強化層116を形成する。
フィラーがガラスであり、基質がガラスである場合、強化層用ペーストは、たとえば上記した強化層116を構成する成分を含むガラス原料と、エチルセルロースを主成分とする樹脂と分散媒であるターピネオールおよびアセトンとをミキサーで混練して得られる。
また、フィラーがガラスであり、基質が樹脂である場合、強化層用ペーストは、たとえばフィラーを構成する成分を含むガラスと、所定の樹脂と分散媒であるターピネオールおよびアセトンとをミキサーで混練して得られる。
素子本体4への強化層用ペーストの塗布方法は特に制限されない。素子本体4への強化層用ペーストの塗布方法は、たとえば、ディップ、印刷、塗布、蒸着、噴霧等の方法が挙げられる。本実施形態では、素子本体4に対して強化層用ペーストを多層塗布することが好ましい。具体的には、強化層用ペーストを一層塗布した後に、乾燥させ、次いで、その上に、さらに強化層用ペーストを塗布し、乾燥させる。この工程を繰り返し、強化層用ペーストの膜を2層〜10層に重ねることが好ましい。これにより、強化層116の密度を高めることができ、また、強化層116中の空孔(ボイド)を低減することができる。その結果、より強度の高い強化層116を得ることができる。
さらに、上記の方法により得られた強化層116は、上面4cを覆う強化層116と上側電極部6b,8bとの密着性が高いことから、上面4cからの耐湿性に優れている。
本実施形態の強化層用ペーストが塗布された素子本体4の焼き付け条件は特に限定されず、たとえば、加湿Nまたは乾燥Nの雰囲気において、焼き付けられる。
本実施形態では、フィラーがガラスである場合、フィラーを構成するガラスの軟化点より50℃以上高い温度で焼き付けることにより、針状、柱状または板状のフィラーを得ることができる。本実施形態では、フィラーを構成するガラスの軟化点より50℃〜80℃高い温度で焼き付けることが好ましい。
具体的には、フィラーを構成するガラスの軟化点は600℃〜850℃であることが好ましく、焼き付け温度は650℃〜930℃であることが好ましい。また、焼き付け時間は0.1時間〜2時間であることが好ましい。
次に、保持板30の貫通孔32にワーク22を取り付けて、端子電極6,8の形成を行う。なお、端子電極6,8の形成方法は、特に限定されず、端子電極用ペーストの塗布・焼付け、メッキ、蒸着、スパッタリングなどの適宜の方法を用いることができる。必要に応じ、端子電極6,8表面に、メッキ等により被覆層を形成する。被覆層としては、Niメッキ、Snメッキ、AuメッキまたはCuメッキなどが例示される。
端子電極6,8を形成した後には、ダミーブロック20を除去するなどで、二つの素子本体4,4を分離すれば、図31Aに示す積層セラミックコンデンサ2が得られる。すなわち、素子本体4の下面4dには、端子電極6,8が実質的に形成されていない積層セラミックコンデンサ2が得られる。
第32実施形態
図31Bに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2aでは、以下に示す以外は、第31実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。本実施形態では、一対の上側電極部6b,8bの間に位置する素子本体4の上面4cを覆う上面被覆層18が上側電極部6b,8bの表面と実質的に面一となるように密着して存在している。本実施形態の上面被覆層18は、第1実施形態の上面被覆層18と同様である。
本実施形態では端側電極部6a,8aの外面が端側被覆層18b,18bにより覆われている。本実施形態の端側被覆層18b,18bは、第11実施形態の端側被覆層18b,18bと同様である。
第33実施形態
図31Cに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2bでは、以下に示す以外は、第32実施形態の積層セラミックコンデンサ2aと同様である。本実施形態では、素子本体4の下面4dの全面が強化層116で覆われている。
ここで「下面4dの全面」とは、概ね下面4dの全面が覆われているが、多少覆われていない部分を有していてもよいことを意味し、たとえば、(下面4dを覆う強化層116の面積/下面4dの面積)×100の式から求められる強化層116の被覆率が90%〜100%であればよい。これにより、積層セラミックコンデンサ2bが低背化しても、曲げ強度を高めることができる。
また、本実施形態の下面4dを覆う強化層116の厚みと、側面4eを覆う強化層116の厚みと、上面4cを覆う強化層116とは相互に同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態の下面4dを覆う強化層116の厚みは特に限定されないが、下面4dを覆う強化層116の厚みは、上面を覆う強化層116の厚みより薄いことが好ましい。これにより、Z軸方向の寸法が大きくなり過ぎず、問題なく実装できる。
また、本実施形態では、下面4dを覆う強化層116の表面は、平坦面である。下面4dを覆う強化層116の外表面が平坦面であることで、多層基板40の内部に積層セラミックコンデンサ2bを埋め込みやすくなる。また、下面4dを覆う強化層116の表面である平坦面が実装面に設置される際には、積層セラミックコンデンサ2cが実装面に密着して取り付けられ、積層セラミックコンデンサ2bの曲げ強度が向上する。
下面4dを覆う強化層116の形成方法は特に制限されない。下面4dを覆う強化層116は、たとえば、素子本体4に対して、素子本体4dの下面4dに強化層用ペーストを塗布し、焼き付けることにより形成され、その後、端子電極6,8および端側被覆層18bが形成される。または、端子電極6,8および端側被覆層18bが形成された素子本体4に対して、素子本体4dの下面4dに強化層用ペーストを塗布し、焼き付けることにより形成されてもよい。焼き付けた後、下面4dを覆う強化層116の外表面を平坦に研磨してもよい。
その他の実施形態
本発明は上記の実施形態に限られず、種々に改変してもよく、または、それぞれの実施形態を組み合わせてもよい。たとえば、図1B、図2B、図11B、図12B、図12C、図21A、図21B、図22A、図22B、図24、図25、図26に示す上面強化層16および図2C、図12C、図22A、図22B、図23に示すサイド強化層16aが、図31A〜図36に示す強化層116であってもよい。具体的には、上面強化層16および/またはサイド強化層16aがフィラーおよび基質を含み、フィラーの材質はガラスまたはアルミナであり、フィラーの形状は、針状、柱状または板状であってもよい。
第11〜第13実施形態では一対の上側電極部6b,8bの間に位置する素子本体4の上面4cを上面被覆層18が覆っており、端側電極部6a,8aの外面を端側被覆層18bが覆っているが、いずれも覆っていなくてもよい。
第21〜第22実施形態では、素子本体4の上面4cを上面強化層16が覆っているが、覆っていなくてもよい。
第1〜第3、第21〜第22および第31〜第33実施形態では、素子本体4の下面4dの全面が下面被覆層で覆われていてもよい。これにより、より曲げ強度を高めることができる。
第31〜第33実施形態では、強化層116は素子本体4の上面4cのみに形成されていてもよいし、下面4dのみに形成されていてもよいし、側面4eのみに形成されていてもよい。また、強化層116は一対の側面4e,4eの両方に形成されていなくてもよく、片方の側面4eのみに形成されていてもよい。
第31実施形態では、フィラーがガラスであり、基質がガラスである場合の焼き付け方法を示したが、フィラーがアルミナである場合の焼き付け方法は以下の通りである。
まず、フィラーがアルミナで基質がガラスの場合は、下記の通りである。
予め針状、柱状または板状のアルミナを焼き付け後に基質となるガラス原料と共に、強化層用ペーストに含ませておく。そして、この強化層用ペーストを上記と同様に素子本体4に塗布する。
強化層用ペーストが塗布された素子本体4の焼き付け条件は、たとえば、加湿Nまたは乾燥Nの雰囲気において、焼き付け温度を650℃〜930℃とし、焼き付け温度保持時間を0.1時間〜2時間とする。
また、フィラーがアルミナであり、基質が樹脂である場合は、下記の通りである。
予め針状、柱状または板状のアルミナを焼き付け後に基質となる樹脂と共に、強化層用ペーストに含ませておく。そして、この強化層用ペーストを上記と同様に素子本体4に塗布する。
強化層用ペーストが塗布された素子本体4の焼き付け条件は、たとえば、加湿Nまたは乾燥Nの雰囲気において、焼き付け温度を250℃〜450℃とし、焼き付け温度保持時間を0.1時間〜2時間保持とする。以上はフィラーがアルミナである場合の焼き付け方法の例である。
また、図4、図24および図34に示すダミーブロック20の代わりに、一つ以上の素子本体4を配置して接着した場合には、それらの素子本体4には、端側電極部6a,8aとサイド電極部6c,8cのみが形成される。すなわち、その場合には、素子本体4の下面4dおよび上面4cの双方に端子電極6,8が実質的に形成されない端子電極を持つ積層セラミックコンデンサが得られる。この積層セラミックコンデンサは、素子本体4の下面4dおよび上面4cの双方に端子電極6,8が実質的に形成されない端子電極を持つため、さらに薄型の積層セラミックコンデンサが得られる。
上記では、上記では素子本体4に端子電極6,8を形成した後に上面被覆層18およびサイド被覆層18aを形成したが、上面被覆層18およびサイド被覆層18aを形成した後に端子電極6,8を形成してもよい。
被覆層を形成する順番は限定されない。たとえば端側被覆層18bを形成し、上面被覆層18を形成してもよい。さらに、上面被覆層18および端側被覆層18bの材質が実質的に同一であれば、上面被覆層18および端側被覆層18bを同時に形成してもよい。また、たとえば下面被覆層18cを形成した後に端側被覆層18bを形成し、最後に上面被覆層18を形成してもよい。さらに、下面被覆層18c、上面被覆層18および端側被覆層18bの材質が実質的に同一であれば、下面被覆層18c、上面被覆層18および端側被覆層18bを同時に形成してもよい。
なお、本実施形態の積層セラミックコンデンサ2は、図6、図16、図26および図36に示すように回路基板40aの上に、ハンダ50を用いて実装されてもよい。その場合には、積層セラミックコンデンサ2は、Z軸方向の上下が逆に配置され、端子電極6および8の上側電極部6b,8bが、図面上で下を向き、ハンダ50により回路基板40aの配線パターン42aにそれぞれ接続される。なお、ハンダ50には、ハンダフィレットが形成され、端子電極6,8の端側電極部6a,8aにもハンダ50が接触する。
上記のそれぞれの実施形態では、積層セラミックコンデンサ2の長手方向をY軸方向とし、積層セラミックコンデンサ2の短手方向をX軸方向としたが、積層セラミックコンデンサの長手方向をX軸方向とし、積層セラミックコンデンサの短手方向をY軸方向に設計することもできる。すなわち、向かい合う2つの外部電極6,8の間の距離を、向かい合う2つの側面4e,4eの間の距離よりも短くすることができる。この場合、X軸方向の長さx0を、厚みz0の3倍以上、好ましくは300μm以上、好ましくは400μm〜1200μmとすることができる。また、積層セラミックコンデンサのy軸方向の幅y0は、厚みz0の2倍以上、好ましくは200μm以上、好ましくは200μm〜600μmとすることができる。
また、本発明の積層セラミック電子部品は、積層セラミックコンデンサに限らず、その他の積層電子部品に適用することが可能である。その他の積層電子部品としては、誘電体層(絶縁層)が内部電極を介して積層される全ての電子部品であり、たとえばバンドパスフィルタ、インダクタ、積層三端子フィルタ、圧電素子、PTCサーミスタ、NTCサーミスタ、バリスタなどが例示される。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
[実験1]
試料番号1
下記の通り、試料番号1の積層セラミックコンデンサ2を作製した。
まず、BaTiO系セラミック粉末:100質量部と、ポリビニルブチラール樹脂:10質量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP):5質量部と、溶媒としてのアルコール:100質量部とをボールミルで混合してペースト化し、内側グリーンシート用ペーストを得た。
また、上記とは別に、Ni粒子44.6質量部と、テルピネオール:52質量部と、エチルセルロース:3質量部と、ベンゾトリアゾール:0.4質量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極層用ペーストを作製した。
上記にて作製した内側グリーンシート用ペーストを用いて、PETフィルム上に内側グリーンシートを形成した。次に、内部電極層用ペーストを用いて、内部電極パターン層を所定パターンで形成した後、PETフィルムからシートを剥離し、内部電極パターン層を有する内側グリーンシートを得た。
このようにして得られた内部電極パターン層を有する内側グリーンシートを交互に積層し、内部積層体を製造した。
次に、内部積層体の上下に外側グリーンシート用ペーストを使用して、適宜の枚数の外側グリーンシートを形成し、積層方向に加圧接着してグリーン積層体を得た。外側グリーンシート用ペーストは、内側グリーンシート用ペーストと同様の方法により得た。
次に、グリーン積層体を切断してグリーンチップを得た。
次に、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、素子本体4を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度60℃/時間、保持温度:260℃、保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
焼成条件は、昇温速度200℃/時間、保持温度1000℃〜1200℃とし、温度保持時間を2時間とした。冷却速度は200℃/時間とした。なお、雰囲気ガスは、加湿したN+H混合ガスとした。
アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:500℃〜1000℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガスとした。
なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを使用した。
次に、図4に示すように、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dの間に、ダミーブロック20を仮接着し、これらを一体化させたワーク22を、まず形成して、保持板30の貫通孔32にワーク22を取り付けた。
次に、平均粒径0.4μmの球状のCu粒子とフレーク状のCu粉の混合物100質量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂5質量部をブチルカルビトール95質量部に溶解したもの)30質量部、およびブチルカルビトール6質量部とを混練し、ペースト化した端子電極用ペーストを得た。
得られた端子電極用ペーストをセラミック焼結体のY軸方向の端面にディップにより塗布し、N雰囲気で850℃にて10分間焼成して端子電極6,8を形成した。
次に、ダミーブロック20を除去して、二つの素子本体4,4を分離した。
次に、軟化点が600℃であるSi−B−Zn−O系ガラス粉末と、エチルセルロースを主成分とするバインダと分散媒であるターピオネールおよびアセトンとをミキサーで混練し、被覆層用ペーストを調製した。
被覆層用ペーストを用いて、上側電極部6b,8bの間に位置する素子本体4のZ軸に垂直な上面4cに焼き付け前上面被覆層を印刷した。
印刷した後、乾燥させたチップに対して、Nガスの雰囲気において、700℃、0.1時間保持し、上面被覆層18を焼き付けた。
次に上側電極部6b,8bと上面被覆層18の表面が実質的に面一になるように研磨し積層セラミックコンデンサ2を得た。
積層セラミックコンデンサ2の厚みは、80μmであった。また、素子本体4の厚みは65μmであり、このうち、上面4c側の外装領域11の厚みは5μm、内装領域13の厚みは40μm、下面4d側の外装領域11の厚みは20μmであった。さらに、上側電極部6b,8bの厚みは15μmであり、(上面被覆層18の平均厚み/上側電極部6b,8bの平均厚み)×100の式から求められる上面被覆層18の相対厚みは90〜110%であった。
試料番号2
試料番号2では、上面被覆層18を形成しなかった以外は試料番号1と同様にして積層セラミックコンデンサ2を作製した。試料番号2の仕様を表1に示す。
試料番号3〜5
試料番号3〜5では、上面被覆層18のガラス軟化点を表1に記載の通り変化させた以外は試料番号1と同様にして積層セラミックコンデンサ2を作製した。試料番号3〜5の仕様を表1に示す。
試料番号6
試料番号6では、積層セラミックコンデンサ2の厚みを60μmにした以外は試料番号1と同様にして積層セラミックコンデンサ2を作製した。試料番号6の仕様を表1に示す。
試料番号7
試料番号7では、積層セラミックコンデンサ2の厚みを60μmにした以外は試料番号2と同様にして積層セラミックコンデンサ2を作製した。試料番号7の仕様を表1に示す。
試料番号8
試料番号8では、サイド被覆層18aを形成する工程を設けた以外は試料番号1と同様にして積層セラミックコンデンサ2を作製した。サイド被覆層18aは上面被覆層18と同様にして形成した。試料番号8の仕様を表1に示す。
試料番号9
試料番号9では、上面強化層16を形成する工程を設けた以外は試料番号1と同様にして積層セラミックコンデンサ2を作製した。
上面強化層16を形成する工程は以下の通りである。
まず、Si−Al−M−O系ガラス粉末(Mはアルカリ土類金属類で、Mg、Ca、SrおよびBaのいずれか1種以上であった)と、エチルセルロースを主成分とするバインダと分散媒であるターピオネールおよびアセトンとをミキサーで混練し、強化層用ペーストを調製した。
ワーク22の素子本体4のZ軸に垂直な上面4cの全面に強化層用ペーストをディップにより塗布した後、乾燥させてチップを得た。次に、チップに対して、加湿Nの雰囲気において、700℃、0.1時間保持し、上面強化層16を焼き付けた。
試料番号9の仕様を表1に示す。
<3点曲げ強度>
得られた積層セラミックコンデンサ2に対して、測定器(商品名:5543、Instron社製)を用いて3点曲げ強度を測定した。測定時に試験片を支える2点間の治具距離は400μmとし、測定速度は0.5mm/minとし、試験数10個で測定して得られた値の平均値(単位:MPa)を測定した。試料番号2の3点曲げ強度を100%としたときの各試料の相対値を表1に示す。なお、試料番号2の3点曲げ強度の平均値は200MPaであった。
<上側電極部と上面被覆層の密着性>
上側電極部と上面被覆層の密着性は目視により判定した。結果を表1に示す。
Figure 2020167367
試料番号1および2より、上面被覆層を有する試料番号1は、上面被覆層を有していない試料番号2に比べて、3点曲げ強度が良好であることが確認できた。
試料番号1、3〜5より、上面被覆層のガラス軟化点が550℃より高く、950℃未満である試料番号1および試料番号4は、上面被覆層のガラス軟化点が550℃である試料番号3および上面被覆層のガラス軟化点が950℃である試料番号5に比べて上側電極部と上面被覆層の密着性が良好であることが確認できた。
試料番号6および7より、上面被覆層を有する試料番号6は、上面被覆層を有していない試料番号7に比べて、3点曲げ強度が良好であることが確認できた。
サイド被覆層を有する試料番号8は3点曲げ強度がより良好であることが確認できた。
上面強化層を有する試料番号9は3点曲げ強度がより良好であることが確認できた。
[実験2]
試料番号11
下記の通り、試料番号11の積層セラミックコンデンサ2を作製した。
実験1と同様にして、図4に示すように、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dの間に、ダミーブロック20を仮接着し、これらを一体化させたワーク22を、まず形成して、保持板30の貫通孔32にワーク22を取り付けた。
次に、平均粒径0.4μmの球状のCu粒子とフレーク状のCu粉の混合物100質量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂5質量部をブチルカルビトール95質量部に溶解したもの)30質量部、およびブチルカルビトール6質量部とを混練し、ペースト化した端子電極用ペーストを得た。
得られた端子電極用ペーストをセラミック焼結体のY軸方向の端面にディップにより塗布し、N雰囲気で850℃にて10分間焼成して端子電極6,8を形成した。
次に、ダミーブロック20を除去して、二つの素子本体4,4を分離した。
次に、軟化点が600℃であるSi−B−Zn−O系ガラス粉末と、エチルセルロースを主成分とするバインダと分散媒であるターピオネールおよびアセトンとをミキサーで混練し、被覆層用ペーストを調製した。
被覆層用ペーストを用いて、上側電極部6b,8bの間に位置する素子本体4のZ軸に垂直な下面4dに焼き付け前下面被覆層を印刷した。
印刷した後、乾燥させたチップに対して、Nの雰囲気において、700℃、0.1時間保持し、下面被覆層18cを焼き付けて積層セラミックコンデンサ2を得た。
積層セラミックコンデンサ2の厚みは、60μmであった。また、上側電極部6b,8bの厚みは15μmであり、下面被覆層18cの被覆率は100%であり、下面被覆層18cの相対厚みは100%であった。
試料番号12
試料番号12では、下面被覆層18cを形成しなかった以外は試料番号11と同様にして積層セラミックコンデンサ2を作製した。試料番号12の仕様を表11に示す。
試料番号13〜15
試料番号13〜15では、下面被覆層18cを形成する前に、上面被覆層18を形成し、下面被覆層18cの厚みを表11に記載の通り変化させた以外は試料番号11と同様にして積層セラミックコンデンサ2を作製した。試料番号13〜15の仕様を表11に示す。
<3点曲げ強度>
3点曲げ強度は実験1と同様に測定した。試料番号12の3点曲げ強度を100%としたときの各試料の相対値を表11に示す。なお、試料番号12の3点曲げ強度は200MPaであった。
Figure 2020167367
表11より、下面被覆層を有する場合(試料番号11および13〜15)は、下面被覆層を有しない場合(試料番号12)に比べて3点曲げ強度が良好であることが確認できた。
[実験3]
試料番号101〜111
下記の通り、試料番号101〜111の積層セラミックコンデンサ2を作製した。
実験1と同様にして、図24に示すように、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dの間に、ダミーブロック20を仮接着し、これらを一体化させたワーク22を、まず形成した。
次に、ガラス原料中のSiおよびBaの含有量が表21に記載の通りであるガラス原料を準備した。なお、ガラス原料中の残部の元素はCaOおよびZnO、Alであった。
次に、エチルセルロースを主成分とするバインダと分散媒であるターピネオール、アセトンとおよび上記のガラス原料をミキサーで混練してサイド強化層用ペーストを得た。
ワーク22の素子本体4の側面4eの全面にサイド強化層用ペーストをディップにより塗布した後、乾燥させてチップを得た。次に、チップに対して、加湿Nの雰囲気において、850℃、1時間保持し、サイド強化層16aを焼き付けた。
次に、平均粒径0.4μmの球状のCu粒子とフレーク状のCu粉の混合物100質量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂5質量部をブチルカルビトール95質量部に溶解したもの)30質量部、およびブチルカルビトール6質量部とを混練し、ペースト化した端子電極用ペーストを得た。
保持板30の貫通孔32にワーク22を取り付けた後、得られた端子電極用ペーストをセラミック焼結体のY軸方向の端面にディップにより塗布し、N雰囲気で850℃にて10分間焼成して端子電極6,8を形成した。
次に、ダミーブロック20を除去して、二つの素子本体4,4を分離して積層セラミックコンデンサ2を得た。
積層セラミックコンデンサ2の厚みは、80μmであった。また、素子本体4の厚みは65μmであり、このうち、上面4c側の外装領域11の厚みは5μm、内装領域13の厚みは40μm、下面4d側の外装領域11の厚みは20μmであった。さらに、サイド電極部6c,8cの厚みは5μmであり、(サイド強化層16aの平均厚み/サイド電極部6c,8cの平均厚み)×100の式から求められるサイド強化層16aの相対厚みは100〜1500%であった。
試料番号112
試料番号112では、サイド強化層16aを形成しなかった以外は試料番号101と同様にして積層セラミックコンデンサ2を作製した。試料番号112の仕様を表21に示す。
試料番号113および114
試料番号113および114では、サイド強化層16aの相対厚みを表21に記載の通り変化させた以外は試料番号101と同様にして積層セラミックコンデンサ2を作製した。試料番号113および114の仕様を表21に示す。
試料番号115
試料番号115では、上面強化層16を形成した以外は試料番号101と同様にして積層セラミックコンデンサ2を作製した。試料番号115の仕様を表21に示す。なお、上面強化層16はサイド強化層16aと同時に、サイド強化層16aと同様にして形成した。(上面強化層16の平均厚み/上側電極部6b,8bの平均厚み)×100の式から求められる上面強化層16の相対厚みは75%であった。
<3点曲げ強度>
3点曲げ強度は、実験1と同様に測定した。試料番号112の3点曲げ強度を100%としたときの各試料の相対値を表21に示す。なお、試料番号112の3点曲げ強度は200MPaであった。
<耐湿負荷試験後の絶縁性IR>
得られた積層セラミックコンデンサ2を酸性液に浸漬した後、121℃95%RH/20hrs/6.3V印加し、絶縁抵抗値を測定した。1×1010Ωを100%としたときの各試料の相対値を表21に示す。
Figure 2020167367
表21より、サイド強化層を有する場合(試料番号101〜111および試料番号113〜115)は、サイド強化層を有していない場合(試料番号112)に比べて、3点曲げ強度が良好であり、耐湿負荷試験後の絶縁性IRが良好であることが確認できた。
表21より、上面強化層を有する場合(試料番号115)は、3点曲げ強度がより良好になることが確認できた。
[実験4]
<製造例1>
試料番号201
下記の通り、試料番号201の積層セラミックコンデンサ2を作製した。
実験1と同様にして、図34に示すように、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dの間に、ダミーブロック20を仮接着し、これらを一体化させたワーク22を形成した。
次に、下記の方法により、上面4cを覆う強化層116を形成した。
Si−Al−Ca−Zn−O系ガラス100質量部、エチルセルロースを主成分とする樹脂10質量部、分散媒であるターピネオール35質量部およびアセトン20質量部とをミキサーで混練し、強化層用ペーストを準備した。
ワーク22の素子本体4のZ軸に垂直な上面4cの全面に強化層用ペーストをディップにより塗布した後、乾燥させてチップを得た。次に、チップに対して、加湿Nの雰囲気において、850℃、0.1時間保持し、上面4cに強化層116を焼き付けた。
次に、平均粒径0.4μmの球状のCu粒子とフレーク状のCu粉の混合物100質量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂5質量部をブチルカルビトール95質量部に溶解したもの)30質量部、およびブチルカルビトール6質量部とを混練し、ペースト化した端子電極用ペーストを得た。
得られた端子電極用ペーストをセラミック焼結体のY軸方向の端面にディップにより塗布し、N雰囲気で850℃にて10分間焼成して端子電極6,8を形成した。
次に、ダミーブロック20を除去して、二つの素子本体4,4を分離した。
積層セラミックコンデンサ2の仕様を表31に示す。積層セラミックコンデンサ2の厚みは80μmであった。また、上側電極部6b,8bの厚みは15μmであり、端側電極部6a,8aの厚みは10μmであり、上面4cを覆う強化層116の相対厚みは20%であった。
試料番号202〜209、215〜220
上面4cを覆う強化層116のフィラーの材質、基質の材質、フィラーの含有量、フィラーの形状およびサイズならびに強化層用ペーストの焼き付け温度および焼き付け時間を表31または表32に記載の通り変化させた以外は、試料番号201と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表31または表32に示す。
試料番号210
上面4cを覆う強化層116を形成する際に、板状のアルミナと、Si−Al−Zn−O系ガラスと、エチルセルロースを主成分とする樹脂と、分散媒であるターピネオールおよびアセトンとをミキサーで混練し、強化層用ペーストを準備し、強化層用ペーストの焼き付け温度および焼き付け時間を表31に記載の通りとした以外は、試料番号201と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表31に示す。
試料番号211
上面4cを覆う強化層116を形成する際に、強化層用ペーストに板状のアルミナに変えて柱状のアルミナ加えた以外は、試料番号210と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表32に示す。
試料番号212
上面4cを覆う強化層116を形成する際に、Si−Al−Ca−Zn−Li−B−O系ガラスと、ポリイミド樹脂と、分散媒であるターピネオールおよびアセトンとをミキサーで混練し、強化層用ペーストを準備し、強化層用ペーストの焼き付け温度および焼き付け時間を表32に記載の通りとした以外は、試料番号201と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表32に示す。
試料番号213
上面4cを覆う強化層116を形成する際に、強化層用ペーストに、Si−Al−Ca−Zn−Li−B−O系ガラスに変えて、板状アルミナを加えて、強化層用ペーストの焼き付け温度および焼き付け時間を表32に記載の通りとした以外は、試料番号212と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表32に示す。
試料番号214
上面4cを覆う強化層を形成する際に、強化層用ペーストに板状のアルミナに変えて柱状のアルミナを加えた以外は、試料番号213と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表32に示す。
試料番号221
上面4cを覆う強化層116を形成しなかった以外は試料番号201と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表32に示す。
<製造例2>
試料番号231〜239、245〜250
下記の方法により、上面被覆層18および端側被覆層を設けて、強化層116のフィラーの材質、基質の材質、フィラーの含有量、フィラーの形状およびサイズならびに強化層用ペーストの焼き付け温度および焼き付け時間を表33または表34に記載の通り変化させた以外は、試料番号201と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表33または表34に示す。
上面被覆層および端側被覆層を形成する方法は下記の通りとした。
まず、製造例1の方法により、ダミーブロックを除去して二つの素子本体4,4を分離して、端子電極6,8が形成された素子本体を準備した。
次に、軟化点が600℃であるSi−B−Zn−O系ガラス粉末、エチルセルロースを主成分とするバインダ、分散媒であるターピネオールおよびアセトンをミキサーで混練し、被覆層用ペーストを調製した。
被覆層用ペーストを用いて、端子電極6,8の端側電極部6a,8aの外面に焼き付け前端側被覆層を印刷した。
次に、上記の被覆層用ペーストを用いて、上側電極部6b,8bの間に焼き付け前端側被覆層を印刷した。
印刷した後、乾燥させたチップに対して、Nの雰囲気において、650℃、0.1時間保持し、端側被覆層18bと上面被覆層18を焼き付けた。
上側電極部6b,8bの表面、上面被覆層18の表面および端側被覆層18bのZ軸方向の端部が面一になるように研磨し、積層セラミックコンデンサを得た。
端側被覆層18bの相対厚みは100%であり、端側被覆層の被覆率は99%であり、上面被覆層の相対厚みは90%〜110%であった。なお、端側被覆層の被覆率は端側表面をSEM観察することにより測定した。
試料番号240
試料番号231と同様の方法により上面被覆層18および端側被覆層18bを形成した以外は、試料番号210と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表33に示す。
試料番号241
試料番号231と同様の方法により上面被覆層18および端側被覆層18bを形成した以外は、試料番号211と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表34に示す。
試料番号242
試料番号231と同様の方法により上面被覆層18および端側被覆層18bを形成した以外は、試料番号212と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表34に示す。
試料番号243
試料番号231と同様の方法により上面被覆層18および端側被覆層18bを形成した以外は、試料番号213と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表34に示す。
試料番号244
試料番号231と同様の方法により上面被覆層18および端側被覆層18bを形成した以外は、試料番号214と同様にして積層セラミックコンデンサを得た仕様を表34に示す。
<製造例3>
試料番号251〜270
強化層116を上面4cに形成せず、下面4dを覆う強化層116を設けて、下面4dを覆う強化層116のフィラーの材質、基質の材質、フィラーの含有量、フィラーの形状およびサイズならびに強化層用ペーストの焼き付け温度および時間を表35または表36に記載の通り変化させた以外は、試料番号231と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表35に示す。
下面4dを覆う強化層116を形成する方法は下記の通りとした。まず、素子本体4のZ軸に垂直な下面4dの全面に強化層用ペーストをディップにより塗布した後、乾燥させてチップを得た。次に、チップに対して、表35または表36に記載の焼き付け温度および焼き付け時間にて、下面4dを覆う強化層116を焼き付けた。下面4dを覆う強化層116が焼き付けられた素子本体4に対して、製造例2の方法により、端子電極6,8、端側被覆層18b、上面被覆層18を形成した。
端子電極6,8の下面4d側のZ軸方向端部、端側被覆層18bの下面4d側のZ軸方向端部および下面4dを覆う強化層116の外表面が平坦になるように研磨して、積層セラミックコンデンサを得た。
試料番号260
強化層116を上面4cに形成せず、試料番号251と同様の方法により、強化層116を下面4dに形成した以外は、試料番号240と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表35に示す。
試料番号261
強化層116を上面4cに形成せず、試料番号251と同様の方法により、強化層116を下面4dに形成した以外は、試料番号241と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表36に示す。
試料番号262
強化層116を上面4cに形成せず、試料番号251と同様の方法により、強化層116を下面4dに形成した以外は、試料番号242と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表36に示す。
試料番号263
強化層116を上面4cに形成せず、試料番号251と同様の方法により、強化層116を下面4dに形成した以外は、試料番号243と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表36に示す。
試料番号264
強化層116を上面4cに形成せず、試料番号251と同様の方法により、強化層116を下面4dに形成した以外は、試料番号244と同様にして積層セラミックコンデンサを得た。仕様を表36に示す。
<3点曲げ強度>
3点曲げ強度は実験1と同様に測定した。試料番号221の3点曲げ強度を100%としたときの各試料の相対値を表31〜表36に示す。なお、試料番号221の3点曲げ強度は200MPaであった。
<熱衝撃後IR>
得られた積層セラミックコンデンサに対して、気槽−55℃での10分保持、125℃までの昇温を5分、その後気槽125℃での10分保持、−55℃までの降温を5分の一連の繰り返しを2000サイクル実施した20個のコンデンサ試料を準備した。これらのコンデンサに対して、絶縁抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用いて、20℃において6.3Vの直流電圧を10秒印加し、印加後20秒放置した後の絶縁抵抗IRを測定した。試料番号221の絶縁抵抗IRを100%としたときの各試料の相対値を表31〜表36に示す。なお、試料番号221の絶縁抵抗IRは7.7×10^9Ωであった。
Figure 2020167367
Figure 2020167367
Figure 2020167367
Figure 2020167367
Figure 2020167367
Figure 2020167367
表31および表32より、上面を覆う強化層を有する場合(試料番号201〜220)は、上面を覆う強化層を有していない場合(試料番号221)に比べて3点曲げ強度が高いことが確認できた。
表31および表32より、上面を覆う強化層を有する場合(試料番号201〜220)は、上面を覆う強化層を有していない場合(試料番号221)に比べて、熱衝撃後のIRが良好であることが確認できた。これにより、上面を覆う強化層を有する場合(試料番号201〜220)は、上面を覆う強化層を有していない場合に比べて上面電極部と上面を覆う強化層との密着性が高いことが確認できた。
表33〜表34より、上面被覆層および端側被覆層を有する場合(試料番号231〜250)は、上面被覆層および端側被覆層を有していない場合(試料番号201〜220)に比べて、3点曲げ強度が高いことが確認できた。
表35および表36より、下面を覆う強化層を有する場合(試料番号251〜270)は、下面を覆う強化層を有していない場合(試料番号221)に比べて、3点曲げ強度が高いことが確認できた。
2,2a,2b… 積層セラミックコンデンサ
4… 素子本体
4a,4b… 引出端
4c… 上面
4d… 下面
4e… 側面
6… 第1端子電極
6a… 端側電極部
6b… 上側電極部
6c… サイド電極部
8… 第2端子電極
8a… 端側電極部
8b… 上側電極部
8c… サイド電極部
10… 内側誘電体層
11… 外装領域
12… 内部電極層
12a,12b… 引出部
13… 内装領域
14… サイドギャップ領域
16… 上面強化層
16a… サイド強化層
116… 強化層
18… 上面被覆層
18a… サイド被覆層
18b… 端側被覆層
18c… 下面被覆層
20… ダミーブロック
22… ワーク
30… 保持板
32… 貫通孔
40… 多層基板
40a… 回路基板
42,42a… 配線パターン
50… ハンダ
このように構成することで、積層セラミック電子部品の曲げ強度がより向上する他、強度が向上することで、素子本体4を薄くしても、素子本体4の長手方向寸法y0(図12A参照)または幅寸法x0(図13A参照)を長くすることが容易になり、素子本体4の内部における内部電極層12の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの積層セラミックコンデンサ2の特性をさらに向上させることができる。
図1Aは本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 図1Bは本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 図2A1は図1Aに示すIIA1−IIA1線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図2A2は図1Aに示すIIA2−IIA2線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図2Bは図1Bに示すIIB−IIB線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 図3は図1Aに示す積層セラミックコンデンサの平面図である。 図4は図1Aに示す積層セラミックコンデンサの製造過程を示す要部断面図および図7Aに示す積層セラミックコンデンサの製造過程を示す要部断面図である。 図5は図1Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 図6は図1Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 Aは本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 Bは本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 A1は図7Aに示すXIIA1−XIIA1線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 A2は図1Aに示すXIIA2−XIIA2線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 Bは図Bに示すXIIB−XIIB線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 Cは図Bに示す積層セラミックコンデンサの変形例に係る横断面図である。 は図Aに示す積層セラミックコンデンサの平面図である。 10は図Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 11は図Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 12Aは本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 12Bは本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 13Aは図12Aに示すXXIIA−XXIIA線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 13Bは図12Bに示すXXIIB−XXIIB線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 14は図12Aに示す積層セラミックコンデンサの平面図である。 15は図12Aに示す積層セラミックコンデンサの製造過程を示す要部断面図である。 16は図12Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 17は図12Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 18Aは本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 18Bは本発明の他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 18Cは本発明のさらに他の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの縦断面図である。 19Aは図18Aに示すXXXIIA−XXXIIA線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 19Bは図18Bに示すXXXIIB−XXXIIB線に沿う積層セラミックコンデンサの横断面図である。 20は図18Aに示す積層セラミックコンデンサの平面図である。 21は図18Aに示す積層セラミックコンデンサの製造過程を示す要部断面図である。 22は図18Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。 23は図18Aに示す積層セラミックコンデンサの使用例を示す要部断面図である。
第11実施形態
Aに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、以下に示す以外は第1実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。本実施形態では、素子本体4の下面4dの全面が下面被覆層18cで覆われている。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2によれば、下面被覆層18cの外表面が平坦面であることで、たとえば図10に示すように、多層基板40の内部に、積層セラミックコンデンサ2を埋め込みやすくなる。また、本実施形態では、下面被覆層18cの表面である平坦面が実装面に設置される際に、積層セラミックコンデンサ2が実装面に密着して取り付けられ、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度が向上する。
第1実施形態と同様にして、端子電極6および8を形成した後には、ダミーブロック20を除去するなどで、二つの素子本体4,4を分離し、図Aに示す積層セラミック電子部品2が得られる。すなわち、素子本体4の下面4dには、端子電極6,8が実質的に形成されていない積層セラミックコンデンサ2を得る。
第12実施形態
A2に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、以下に示す以外は、第11実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。この積層セラミックコンデンサ2では、素子本体4のX軸の方向に沿って向き合う側面4eに第11実施形態の下面被覆層18cおよび上面被覆層18に連続して具備されているサイド被覆層18aを有している。このように構成することで、積層セラミックコンデンサ2の強度がさらに向上する。
第13実施形態
Bおよび図Bに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2aでは、以下に示す以外は、第11実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。この積層セラミックコンデンサ2aでは、素子本体4の上面4c(または下面4d)は、内側誘電体層10よりも強度が高い材料で構成してある上面強化層16を含む。本実施形態の上面強化層16は、第3実施形態の上面強化層16と同様である。
第14実施形態
Cに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2bでは、以下に示す以外は、第13実施形態の積層セラミックコンデンサ2aと同様である。この積層セラミックコンデンサ2bでは、素子本体4のX軸の方向に沿って向き合う側面4eに第13実施形態の上面強化層16に連続して具備されているサイド強化層16aを有している。このように構成することで、積層セラミックコンデンサ2の強度がさらに向上する。本実施形態のサイド強化層16aは、後述する第21実施形態のサイド強化層16aと同様である。
第21実施形態
13Aに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、以下に示す以外は、第1実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。本実施形態では、図13Aに示すように、素子本体4が、素子本体4のX軸方向に相互に向き合う一対の側面4e,4eにそれぞれ露出する内部電極層12の端部を覆う一対のサイド強化層16a,16aを有している。言い換えると、素子本体4のX軸方向に相互に向き合う一対の側面4e,4eにそれぞれサイド強化層16a,16aが内部電極層12と接して存在している。これにより、誘電体層のX軸方向の両端に位置する誘電体層および内部電極層12のX軸方向の両端に位置する内部電極層12を保護するとともに、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度を高めることができる。
また、強度が向上することで、素子本体4を薄くしても、素子本体4の長手方向寸法y0(図12A参照)または幅寸法x0(図13A参照)を長くすることが容易になり、素子本体4の内部における内部電極層12の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの積層セラミックコンデンサ2の特性が、さらに向上する。
本実施形態では、図13Aに示すように、素子本体4のZ軸方向に垂直な上面4cに上面強化層16がサイド強化層16aに連続して形成されている。
上面強化層16の厚みは特に限定されないが、(上面強化層16の平均厚みt/サイド強化層16aの平均厚みta)は、33〜150%であることがより好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度がより向上する他、強度が向上することで、素子本体4を薄くしても、素子本体4の長手方向寸法y0(図12A参照)または幅寸法x0(図13A参照)を長くすることが容易になり、素子本体4の内部における内部電極層12の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの積層セラミックコンデンサ2の特性が、さらに向上する。
サイド強化層16a、上面強化層16および端子電極6,8を形成するに際しては、たとえば図15に示すように、第1実施形態と同様にして、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dの間に、ダミーブロック20を仮接着し、これらを一体化させたワーク22を、まず形成する。
端子電極6および8を形成した後には、ダミーブロック20を除去するなどで、二つの素子本体4,4を分離すれば、図12Aに示す積層セラミックコンデンサ2が得られる。すなわち、素子本体4の下面4dには、端子電極6,8が実質的に形成されておらず、素子本体4の下面4dの全体が外部に露出している積層セラミックコンデンサ2が得られる。
第22実施形態
12Bおよび図13Bに示すように、本実施形態では積層セラミックコンデンサ2aが、端側被覆層18b、上面被覆層18およびサイド被覆層18cを有する以外は、第21実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。
第31実施形態
18Aに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、以下に示す以外は第1実施形態のセラミックコンデンサ2と同様である。図18Aに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、素子本体4のX軸方向に相互に向き合う側面4e,4eから上面4cにかけて連続して素子本体4を覆う強化層116を有する。これにより、素子本体4の曲げ強度を向上させることができ、積層セラミックコンデンサ2の破損を防ぐことができる。
19Aは図18AのIIA−IIA線に沿う断面図である。図19Aに示すよう素子本体4の側面4e,4eを覆う強化層116は、内部電極層12のX軸方向の端部に接触していてもよい。
本実施形態の強化層116に含まれるガラスを上記のような構成にすることで、所定のフィラーを析出させることができる。その結果、強化層116の強度が内側誘電体層10よりも高くなる。したがって、積層セラミックコンデンサ2の曲げ強度がさらに向上する。また、強度が向上することで、素子本体4を薄くしても、素子本体4の長手方向寸法y0(図18A参照)または幅寸法x0(図19A参照)を長くすることが容易になり、素子本体4の内部における内部電極層12の相互間の対向面積が広くなり、静電容量などの積層セラミックコンデンサ2の特性が、さらに向上する。
次に、たとえば図21に示すように、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dの間に、ダミーブロック20を仮接着し、これらを一体化させたワーク22を、まず形成する。ワーク22を形成した段階で、素子本体4の側面4eから上面4cにかけて強化層用ペーストを塗布し、焼き付けることにより強化層116を形成する。
端子電極6,8を形成した後には、ダミーブロック20を除去するなどで、二つの素子本体4,4を分離すれば、図18Aに示す積層セラミックコンデンサ2が得られる。すなわち、素子本体4の下面4dには、端子電極6,8が実質的に形成されていない積層セラミックコンデンサ2が得られる。
第32実施形態
18Bに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2aでは、以下に示す以外は、第31実施形態の積層セラミックコンデンサ2と同様である。本実施形態では、一対の上側電極部6b,8bの間に位置する素子本体4の上面4cを覆う上面被覆層18が上側電極部6b,8bの表面と実質的に面一となるように密着して存在している。本実施形態の上面被覆層18は、第1実施形態の上面被覆層18と同様である。
第33実施形態
18Cに示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2bでは、以下に示す以外は、第32実施形態の積層セラミックコンデンサ2aと同様である。本実施形態では、素子本体4の下面4dの全面が強化層116で覆われている。
その他の実施形態
本発明は上記の実施形態に限られず、種々に改変してもよく、または、それぞれの実施形態を組み合わせてもよい。たとえば、図1B、図2B、図B、図B、図C、図12A、図12B、図13A、図13B、図15、図16、図17に示す上面強化層16および図2C、図C、図13A、図13B、図14に示すサイド強化層16aが、図18A〜図23に示す強化層116であってもよい。具体的には、上面強化層16および/またはサイド強化層16aがフィラーおよび基質を含み、フィラーの材質はガラスまたはアルミナであり、フィラーの形状は、針状、柱状または板状であってもよい。
また、図4、図15および図21に示すダミーブロック20の代わりに、一つ以上の素子本体4を配置して接着した場合には、それらの素子本体4には、端側電極部6a,8aとサイド電極部6c,8cのみが形成される。すなわち、その場合には、素子本体4の下面4dおよび上面4cの双方に端子電極6,8が実質的に形成されない端子電極を持つ積層セラミックコンデンサが得られる。この積層セラミックコンデンサは、素子本体4の下面4dおよび上面4cの双方に端子電極6,8が実質的に形成されない端子電極を持つため、さらに薄型の積層セラミックコンデンサが得られる。
なお、本実施形態の積層セラミックコンデンサ2は、図6、図11、図17および図23に示すように回路基板40aの上に、ハンダ50を用いて実装されてもよい。その場合には、積層セラミックコンデンサ2は、Z軸方向の上下が逆に配置され、端子電極6および8の上側電極部6b,8bが、図面上で下を向き、ハンダ50により回路基板40aの配線パターン42aにそれぞれ接続される。なお、ハンダ50には、ハンダフィレットが形成され、端子電極6,8の端側電極部6a,8aにもハンダ50が接触する。
実験1と同様にして、図15に示すように、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dの間に、ダミーブロック20を仮接着し、これらを一体化させたワーク22を、まず形成した。
実験1と同様にして、図21に示すように、二つの素子本体4,4のそれぞれの下面4d,4dの間に、ダミーブロック20を仮接着し、これらを一体化させたワーク22を形成した。

Claims (20)

  1. 第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
    前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
    前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
    一対の前記上側電極部の間に位置する前記素子本体の前記上面を覆う上面被覆層の表面が、前記上側電極部の表面と実質的に面一となるように密着して存在しており、
    前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面には、前記端子電極が実質的に存在しないことを特徴とする積層セラミック電子部品。
  2. 第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
    前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
    前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸の方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
    一対の前記上側電極部の間に位置する前記素子本体の前記上面を覆う上面被覆層の表面が、前記上側電極部の表面と実質的に面一となるように密着して存在しており、
    前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面の全体が外部に露出していることを特徴とする積層セラミック電子部品。
  3. 第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
    前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
    前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
    前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面には、前記端子電極が実質的に存在せず、前記素子本体の前記下面の全面が下面被覆層で覆われていることを特徴とする積層セラミック電子部品。
  4. 一対の前記上側電極部の間に位置する前記素子本体の前記上面を覆う上面被覆層の表面が、前記上側電極部の表面と実質的に面一となるように密着して存在しており、
    前記下面被覆層の厚みが前記上面被覆層の厚みより薄い請求項3に記載の積層セラミック電子部品。
  5. 第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
    前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
    前記素子本体が、前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の側面にそれぞれ露出する前記内部電極層の端部を覆う一対のサイド強化層を有し、
    前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸の方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
    前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面には、前記端子電極が実質的に存在しないことを特徴とする積層セラミック電子部品。
  6. 第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
    前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
    前記素子本体が、前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の側面にそれぞれ露出する前記内部電極層の端部を覆う一対のサイド強化層を有し、
    前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸の方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
    前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面の全体が外部に露出していることを特徴とする積層セラミック電子部品。
  7. 前記サイド強化層は少なくともSiおよびBaを含むガラスで構成されている請求項5または6に記載の積層セラミック電子部品。
  8. 前記端子電極は、前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の前記側面に、前記上側電極部および前記端側電極部に連続して覆う一対のサイド電極部を有し、
    (前記サイド強化層の平均厚み/前記サイド電極部の平均厚み)×100で示されるサイド強化層の相対厚みが100〜1500%である請求項5〜7のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  9. 前記素子本体の前記上面には、前記サイド強化層に連続して上面強化層が具備されている請求項5〜8のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  10. 第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
    前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
    前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸の方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
    前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面には、前記端子電極が実質的に存在せず、
    前記素子本体は強化層を有し、
    前記強化層は、前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の側面、前記上面および前記下面のうち少なくともいずれか1つの面を覆い、
    前記強化層はフィラーおよび基質を含み、
    前記フィラーの材質はガラスまたはアルミナであり、
    前記フィラーの形状は、針状、柱状または板状である積層セラミック電子部品。
  11. 第1軸および第2軸を含む平面に実質的に平行な内部電極層と絶縁層とが第3軸の方向に沿って交互に積層してある素子本体と、
    前記素子本体の外面に密着して形成され、前記内部電極層に電気的に接続してある端子電極と、を有する積層セラミック電子部品であって、
    前記端子電極が、前記内部電極層が引き出される前記素子本体の前記第2軸の方向の端部を覆い前記第2軸の方向に相互に向き合う一対の端側電極部と、前記素子本体の前記第3軸に実質的に垂直な上面の一部を前記端側電極部にそれぞれ連続して覆う一対の上側電極部と、を有し、
    前記素子本体の前記上面と前記第3軸の方向に沿って反対側に位置する前記素子本体の下面の全体が外部に露出しており、
    前記素子本体は強化層を有し、
    前記強化層は、前記素子本体の前記第1軸の方向に相互に向き合う一対の側面、前記上面および前記下面のうち少なくともいずれか1つの面を覆い、
    前記強化層はフィラーおよび基質を含み、
    前記フィラーの材質はガラスまたはアルミナであり、
    前記フィラーの形状は、針状、柱状または板状である積層セラミック電子部品。
  12. 前記素子本体の前記上面を覆う前記強化層を有する請求項10または11に記載の積層セラミック電子部品。
  13. 前記基質の材質は、ガラスおよび樹脂から選ばれる少なくとも1つである請求項10〜12のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  14. 前記上面を覆う前記強化層と前記側面を覆う前記強化層とは前記素子本体を連続して覆う請求項10〜13のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  15. 一対の前記上側電極部の間に位置する前記素子本体の前記上面を覆う上面被覆層の表面が、前記上側電極部の表面と実質的に面一となるように密着して存在している請求項3、5〜14のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  16. 前記素子本体の前記第1軸の方向に沿って向き合う少なくとも一方の側面の一部に前記上面被覆層に連続して具備されているサイド被覆層を有する請求項1〜3および15のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  17. 前記上面被覆層の材質は軟化点が600℃以上850℃以下であるガラスである請求項1、2、15および16のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  18. 前記素子本体の前記下面は、平坦面である請求項1〜17のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  19. 前記上側電極部の表面がNiメッキ、Snメッキ、AuメッキおよびCuメッキから選ばれる少なくとも1種により覆われている請求項1〜18のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  20. 基板に埋め込まれることができる請求項1〜19のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
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