JP2020164805A - 乾性潤滑被膜形成用の塗料組成物、乾性潤滑被膜、及び摺動部材 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施の形態に係る塗料組成物は、例えば、基材の表面に摺動層を備える摺動部材において、その摺動層を構成する乾性潤滑被膜を形成するためのものであり、いわゆる乾性潤滑被膜形成用塗料組成物である。なお、摺動層をその表面上に形成させる基材としては、例えば鋼製の基材が挙げられる。
[バインダー樹脂]
塗料組成物は、バインダー樹脂としてポリアミドイミド樹脂を含有する。ポリアミドイミド樹脂は、ポリイミド樹脂の主鎖にアミド結合を導入した樹脂であり、摺動特性に優れている。また、耐熱性にも優れており熱成形が可能であって、良好な機械的強度、耐薬品性、電気特性を奏する。
塗料組成物は、固体潤滑剤を含有する。このように、固体潤滑剤が含まれていることにより、形成される乾性潤滑被膜の摩擦係数を小さくすることができ、優れた摺動特性を発揮する。また、耐焼付性を向上させることができる。
本発明の塗料組成物においては、フィラーとして金属水和物を含有する。そして、その金属水和物はアルミナ水和物を含むことを特徴とする。このように、アルミナ水和物を含有することにより、例えば潤滑油中等の高面圧の条件下や高速度の摺動環境が高温になりやすい摺動条件下でも、優れた耐熱性を示し、摺動特性がより向上した乾性潤滑被膜を形成することができる。
有機溶剤は、上述した各成分を溶解して塗料を形成するためのものである。有機溶剤としては、特には限定されないが、各成分に対する溶解力、乾燥性等を考慮して選定することが好ましい。具体的には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロペンタノン等の有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、1種単独で、あるいは2種以上を併せて用いることができる。
なお、塗料組成物においては、必要に応じて、種々の添加剤成分を含有させることができる。具体的には、例えば、充填剤、沈降防止剤、湿潤分散剤、消泡剤、表面調整剤等の添加剤を使用することができる。
本発明に係る塗料組成物の製造方法としては、特には限定されず、従来公知の方法により製造することができる。具体的には、固形成分であるバインダー樹脂(ポリアミドイミド樹脂を含有)と、固体潤滑剤と、アルミナ水和物を含む金属水和物と、揮発成分である有機溶剤とを、所定の割合となるように配合させ混練することによって製造できる。なお、必要に応じて、固形分である充填剤等、種々の添加剤成分を含有させることができる。
本発明に係る摺動部材は、基材の表面に摺動層を備えるものであり、その摺動層は上述した塗料組成物(乾性潤滑被膜形成用の塗料組成物)を用いて形成される乾性潤滑被膜によって構成される。
(乾性潤滑被膜形成用の塗料組成物の調製)
[実施例1、実施例2]
ポリアミドイミド樹脂と、固体潤滑剤として二硫化モリブデンと、金属水和物であるアルミナ水和物(板状)とを用い、それぞれを所定量秤量し、有機溶剤と共にボールミルに投入して混合撹拌することにより、バインダー樹脂に二硫化モリブデンとアルミナ水和物とが分散した塗料組成物を調製した。なお、有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンと、キシレンとエチルベンゼンとを40:60の割合で含む溶剤(キシロール,三協化学社製)との混合溶剤を用いた。
実施例3では、板状のアルミナ水和物に代えて、鱗片状のアルミナ水和物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。
比較例1、2、4では、実施例にて用いたアルミナ水和物に代えて、リン酸アルミニウム水和物(比較例1)、アルミナ(比較例2)、タルク(比較例4)を用いた。また、比較例3では、アルミナ水和物を用いず、ポリアミドイミド樹脂に対して二硫化モリブデンのみを分散させた。
炭素鋼(S45C)を基材(前処理:#180研磨)として用い、各実施例、比較例にて調製した塗料組成物をエアースプレーにより吹き付けて塗布した。その後、塗料組成物中に含まれる有機溶剤を乾燥により除去し、250℃で30分間焼成した。これにより、基材の表面に、膜厚が15μmの乾性潤滑被膜を形成した。なお、このようにして形成した乾性潤滑被膜を摺動層とする摺動部材のテストピースを用いて評価を行った。
下記表1に、各実施例、比較例にて形成した乾性潤滑被膜の組成を示す。
<2−1.潤滑性及び耐熱性の評価>
(試験条件)
下記表2に示す摺動試験条件(条件1)により、各実施例、比較例にて作製した乾性潤滑被膜(摺動層)の潤滑性及び耐熱性(焼付き発生の評価)を行った。
下記表3に摺動試験条件1での試験結果を示す。なお、上記表2に示したように条件1では、荷重(面圧)を200Nから200N/5分毎のペースで昇荷していき、乾性潤滑被膜に焼付きが発生する荷重について測定した。また併せて、焼付き発生時の基材温度と、焼付き発生直前の摩擦係数について測定した。
実施例1、2、及び比較例2にて作製したテストピースの乾性潤滑被膜について、その摺動層(乾性潤滑被膜)の摺動側表面(摺動面)と、摺動層の断面をそれぞれ観察した。この観察試験により、アルミナ水和物(実施例1、2)、アルミナ(比較例2)に由来する金属元素Alを検出して濃度分布を測定し、摺動面、摺動層断面のそれぞれにおけるAlの露出面積率を測定した。
具体的には、乾性潤滑被膜についてマッピング用試験片を切り出し、試験片の摺動側表面(摺動面)の金属元素Alの測定を、FE−EPMA装置(JXA−8530F,日本電子株式会社製)を用いて行った。測定条件を以下に示す。
加速電圧:15kV
照射電流:3.0e−008A
倍率 :2000倍
摺動面における測定と同様の手順により行ったが、この摺動層断面では、下地となる基材が含まれない領域(樹脂層の領域)を指定して測定した。具体的に、本試験では、摺動層断面における特定の45μm(長さ)×10μm(深さ)の領域を指定した。
実施例1、2、及び比較例2にて、得られた摺動面における露出面積率をAとし、摺動層断面における露出面積率をBとしたときの、露出面積率Aの露出面積率Bに対する比の値(A/B)を、それぞれ算出した。
Claims (9)
- 基材の表面に摺動層となる乾性潤滑被膜を形成するための乾性潤滑被膜形成用の塗料組成物であって、
ポリアミドイミド樹脂と、固体潤滑剤と、金属水和物と、を含有し、
前記金属水和物はアルミナ水和物を含む
塗料組成物。 - 基材の表面に形成されて摺動層を構成する乾性潤滑被膜であって、
ポリアミドイミド樹脂と、固体潤滑剤と、金属水和物と、を含有し、
前記金属水和物はアルミナ水和物を含む
乾性潤滑被膜。 - 前記アルミナ水和物を0.2体積%〜5体積%の割合で含有する
請求項2に記載の乾性潤滑被膜。 - 前記固体潤滑剤を20体積%〜60体積%の割合で含有する
請求項2又は3に記載の乾性潤滑被膜。 - 基材の表面に摺動層を備える摺動部材であって、
前記摺動層は、ポリアミドイミド樹脂と、固体潤滑剤と、金属水和物と、を含有する乾性潤滑被膜により構成されており、 前記金属水和物はアルミナ水和物である
摺動部材。 - 前記乾性潤滑被膜は、前記アルミナ水和物を0.2体積%〜5体積%の割合で含有する
請求項5に記載の摺動部材。 - 前記摺動層の摺動側表面(摺動面)における前記アルミナ水和物を構成する金属元素であるアルミニウムの露出面積率をA、前記摺動層の断面における前記アルミナ水和物を構成する金属元素であるアルミニウムの露出面積率をBとしたとき、露出面積率Aの露出面積率Bに対する比の値(A/B)が0.60以下である
請求項5又は6に記載の摺動部材。 - 前記摺動層は、表面粗さがRa1.5μm以下である
請求項5乃至7のいずれかに記載の摺動部材。 - 前記摺動層は、膜厚が3μm〜30μmである
請求項5乃至8のいずれかに記載の摺動部材。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JPH02178395A (ja) * | 1988-12-28 | 1990-07-11 | Taiho Kogyo Co Ltd | 摺動材料 |
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