JP5483349B2 - 潤滑被膜形成用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、摺動部材表面に潤滑被膜を形成するための樹脂組成物に関し、更に詳しくは内燃機関用摺動部材、例えばシリンダーボア及びピストンスカート部において、厳しい潤滑環境下でも低摩擦係数と高硬度を有する潤滑被膜を形成できる樹脂組成物に関する。
近年、世界的な問題となっている地球温暖化に伴う自動車等の排ガス規制に対応するため、内燃機関についても燃費向上が求められている。内燃機関の燃費向上の対策として、部材変更による軽量化、小型化、高出力化などと並んで、摺動部材の摩擦係数を低減するための検討が進められている。
例えば、特許文献1には、樹脂被膜を形成する結合剤成分が71〜81wt%の耐熱性樹脂からなり、3〜5wt%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、19〜24wt%の二硫化モリブデン(MoS)を含有し、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した前記ポリテトラフルオロエチレンの平均粒子径が0.1〜2μmの範囲であり、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した前記二硫化モリブデンの粒子径が0.5〜3μmの範囲である摺動部材被覆組成物が記載されている。
また、特許文献2には、母材の摺動面となる表面の少なくとも一部に表面粗さが十点平均粗さRzで8〜18μmとなるように条痕を有し、その表面に形成する乾性被膜潤滑剤は、ポリアミドイミド樹脂、エポキシシラン及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の塗膜改質剤と、窒化珪素及びアルミナから選ばれる少なくとも1種の硬質粒子とを含有することを特徴とする摺動部材が記載されている。
更に、特許文献3には、結合剤としてのポリアミドイミド樹脂及びポリイミド樹脂のうちの少なくとも一方を50〜73wt%と、固体潤滑剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を3〜15wt%、二硫化モリブデン20〜30wt%及びグラファイト2〜8wt%とからなり、固体潤滑剤の総和が27〜50wt%であることを特徴とする摺動用樹脂組成物が開示されている。
特開2009−068390号公報 特開2004−149622号公報 特許第3017626号公報
排ガス規制に対応したエンジンピストンでは、高出力化による高速、高温、高面圧の厳しい環境条件が予想されている。そのため、エンジンピストンスカート部用のコーティング剤においては、上記の条件を踏まえて、更なる摩擦低減と耐摩耗性の向上が求められている。
従来のエンジンピストンスカート部用のコーティング剤には、摩擦低減や耐摩耗性にあわせて、耐荷重性能が重要であった。例えば、エンジンを停止して放置した場合、ピストンスカート部に付着したオイルは垂れ落ちてドライ状態となる。この状態でエンジンを始動したとき、エンジンピストンスカート部に焼付きが発生する恐れがあった。また、運転状態の場合、エンジンピストンの上下死点では摺動速度が0m/sとなり、流体潤滑を行うことが困難な領域となるため、焼付を発生する恐れがあった。
ただし、最近の自動車エンジンは、シリンダブロックの変形抑制、例えばダミーシリンダヘッドを組付けた状態で加工し、組付け変形をキャンセルするなどの加工技術の向上によって、爆発工程の潤滑条件が緩和してきたため、焼付き発生の可能性は低減してきている。しかしながら、エンジン始動時にオイル切れにより発生するスカッフィングが問題となっており、この観点から耐摩耗性が重視される状況となっている。
また、エンジンの加工技術の向上により爆発工程の潤滑条件が緩和されてきたため、従来のコーティング剤で得られる摩擦低減効果が減少してきた。最近のエンジンでは、総摩擦損失において、吸排気工程の最大摺速時近傍のピストン慣性力によって発生する摩擦損失の占める比率が高くなってきており、この部分での摩擦低減が重要視されてきている。
そこで、前述の先行技術文献を検討すると、以下のことが予想される。例えば上記特許文献1では、PTFEの添加量が少ないため潤滑油に対する濡れ性は良好で摩擦係数の低減が期待できるが、固体潤滑剤の二硫化モリブデンが高濃度に配合されているため、被膜硬度が低下し、耐摩耗性が不十分になることが予想される。尚、耐焼付き性に関しては、高濃度の二硫化モリブデンによって高い効果が予想される。また、上記特許文献2では、硬質粒子を配合し、耐摩耗性の改善を図っているが、硬質粒子の影響によって摩擦係数の低減効果が不十分となることが予想される。
更に、上記特許文献3では、摩擦係数の低減及び耐摩耗性に関して、乾燥潤滑状態において摩擦係数低減と耐摩耗性に効果のある組成物の検討を行っている。また、オイルの保持性は、条痕形状による最適化を行っている。しかし、撥油性のPTFEの含有比率が3〜15重量%であることから、摺動被膜のオイルに対する濡れ性を改善することによって摩擦係数の低減効果を期待した組成物ではない。そのため、二硫化モリブデンを高濃度に配合することで耐焼付き性を高めている。
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、摺動部材表面に潤滑被膜を形成するための樹脂組成物、特に低摩擦係数であって且つ耐摩耗性の向上が得られる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、以下の検討を行った。即ち、排ガス規制への対応には従来以上の摩擦の低減と耐摩耗性の向上が必要であり、摩擦係数の低減には固体潤滑剤の増量が有効であるが、固体潤滑剤を増量すると耐摩耗性が低下する。また、耐摩耗性の向上には被膜の高硬度化が求められるが、硬質粒子を配合すると摩擦係数が上昇する。この二つの相反する効果を両立させることを検討した結果、被膜とオイルの相乗効果により、摩擦の低減と耐摩耗性の向上が可能であるとの考えに至った。
被膜とオイルの相乗効果を得るには、オイルとの濡れが重要な要因となる。オイルに対する被膜の濡れ性を向上するために、結合剤であるポリアミドイミド樹脂の比率を従来以上に高めることが有効である。これにより、オイルとの濡れ性が改善され、摩擦係数を下げることが期待できる。ただし、従来のポリアミドイミド樹脂では樹脂硬度が低く、耐摩耗性が劣るため、高硬度が得られる高分子量のポリアミドイミド樹脂を選択することで耐摩耗性の改善を図る必要があることが分った。
上記高分子量のポリアミドイミド樹脂の選択による被膜の高硬度化は、高速摺動時の被膜弾性変形によるエネルギー吸収損失を低減するので、同時に摩擦係数の低減効果が得られることも期待できる。その結果、オイルとの濡れ性向上より摩擦係数の低減効果が飛躍的に向上することが期待できる。
また、従来のエンジンピストンコーティング剤では、固体潤滑剤は耐焼付き性のため高濃度に配合されてきた。しかしながら、最近のエンジン加工技術の向上により、焼付き発生の可能性が低減されている。そのため、従来では適用できなかった固体潤滑剤の低濃度の配合領域も適用可能であると考え、更に検討を重ねた結果、本発明をなすに至ったものである。
即ち、本発明が提供する摺動部材の潤滑被膜形成用樹脂組成物は、摺動部材表面に潤滑被膜を形成するための樹脂組成物であって、結合剤であるポリアミドイミド樹脂、固体潤滑剤及び有機溶剤を含有し、ポリアミドイミド樹脂が重量平均分子量10000〜50000のポリアミドイミド樹脂であって、前記有機溶剤を除いた各成分の配合量が、ポリアミドイミド樹脂89.0〜97.5体積%、フッ素系固体潤滑剤1〜7体積%、含硫黄化合物系固体潤滑剤1〜5体積%、炭素系固体潤滑剤0.5〜5体積%であり、且つ上記した各固体潤滑剤の含有量の合計が2.5〜11体積%であることを特徴とする。
上記本発明による摺動部材の潤滑被膜形成用樹脂組成物においては、前記フッ素系固体潤滑剤が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、トリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記本発明による摺動部材の潤滑被膜形成用樹脂組成物においては、前記含硫黄化合物系固体潤滑剤が、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、三硫化アンチモンからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。更に、前記炭素系固体潤滑剤としては、黒鉛、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
本発明によれば、結合剤として高分子量のポリアミドイミド樹脂を使用し且つ配合する固体潤滑剤の総量を抑えることによって、オイルに対する濡れ性が向上し、摩擦係数が低減すると同時に耐摩耗性が向上した被膜の形成が可能な潤滑被膜形成用樹脂組成物を提供することができる。
従って、本発明の潤滑被膜形成用樹脂組成物を用いて表面に潤滑被膜を形成した摺動部材は、内燃機関用ピストンとして、特にエンジンのピストンスカート部のごとく高速・高負荷で摺動する厳しい環境に好適に使用することができ、従来に比較して極めて優れた耐摩耗性と低摩擦係数化により、更なる燃費の低減効果を期待することができる。
本発明に係る潤滑被膜形成用樹脂組成物は、結合剤と有機溶剤及び固体潤滑剤を含有しているが、有機溶剤を除いた必須の成分として、結合剤は重量平均分子量10000〜50000のポリアミドイミド樹脂を使用し、固体潤滑剤はフッ素系固体潤滑剤、含硫黄化合物系固体潤滑剤及び炭素系固体潤滑剤の3種を使用する。尚、上記樹脂組成物の不揮発性成分、即ち、ポリアミドイミド樹脂、フッ素系固体潤滑剤、含硫黄化合物系固体潤滑剤、炭素系固体潤滑剤によって、潤滑被膜が形成される。
結合剤として使用するポリアミドイミド樹脂は、重量平均分子量が10000〜50000のものである。重量平均分子量が10000未満の場合は、被膜硬度が低下するため、摩擦係数の低減効果が得られず、耐摩耗性が不十分となる。逆に重量平均分子量が50000を超えると、十分な被膜硬度は得られるが、樹脂粘度が上昇するため取扱が困難となり、塗布などの作業性が低下するため好ましくない。
ポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量は以下の方法により測定する。即ち、ワニス状のポリアミドイミド樹脂にアセトンを添加し、生じた沈殿をろ過して得たろ過物を乾燥させる。得られた乾燥ろ過物を0.01g量り取り、臭化リチウム濃度0.03MのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)10gに溶解する。このようにして得られた溶液を、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)で測定し、示差屈折率計で検出する。尚、主なGPC測定条件は、分離カラムとしてShodex製のD−G+KD−804K+KD−803+KD−802を使用し、流速は1ml/分、試料注入量は100μl、カラム温度は50℃とする。
上記樹脂組成物における必須成分の配合量(有機溶剤を除く)は、結合剤であるポリアミドイミド樹脂を89.0〜97.5体積%とし、フッ素系固体潤滑剤を1〜7体積%、含硫黄化合物系固体潤滑剤を1〜5体積%、及び炭素系固体潤滑剤を0.5〜5体積%とすると共に、これら固体潤滑剤の含有量の合計を2.5〜11体積%とする。
上記ポリアミドイミド樹脂の配合量を89.0〜97.5体積%の範囲とするのは、89.0体積%未満では耐摩耗性が得られなくなり、また97.5体積%を超えると摩擦係数の低減効果が得られなくなるからである。
また、フッ素系固体潤滑剤の配合量が1体積%未満では、濡れ性は良好であるが、摩擦係数の低減効果が得られない。逆に7体積%を超えると、エンジンオイルに対する濡れ性が低下する。含硫黄化合物系固体潤滑剤の配合量が5体積%を超えると、被膜硬度が低下し、耐摩耗性が不十分となる。逆に1体積%未満になると、摩擦係数の低減効果が得られない。炭素系固体潤滑剤の配合量が5体積%を超えると、被膜硬度が低下し、耐摩耗性が不十分である。また、0.5体積%未満では、摩擦係数の低減効果が得られない。
上記した3種の固体潤滑剤については、組成物中の配合量(有機溶剤を除く)の総量を2.5〜11体積%の範囲とする。固体潤滑剤の配合量の合計が11体積%を超えると、耐摩耗性が得られなくなる。また、逆に2.5体積%未満では、固体潤滑剤による摩擦低減効果が低下してしまう。
上記フッ素系固体潤滑剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、トリクロロトリフルオロエチレンなどを、単独あるいは2種以上組み合わせて配合することができる。これらの中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が特に好ましい。
上記含硫黄化合物系固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、三硫化アンチモンなどがあり、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて配合することができる。これらの中でも、特に二硫化モリブデンを好適に使用できる。
また、上記炭素系固体潤滑剤としては、黒鉛、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどが好ましく、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて配合することができる。これらの中では、黒鉛、カーボンナノチューブが特に好ましい。尚、上記有機溶剤としては、結合剤のポリアミドイミド樹脂を溶解することができるものであればよく、例えばN−メチル−2−ピロリドンなどを好適に使用することができる。
本発明の潤滑被膜形成用樹脂組成物を作製する場合、例えば、ポリアミドイミド樹脂の1部又は全部と有機溶剤の1部又は全部、及び固体潤滑剤を撹拌機にて撹拌混合し、得られた混合物をビーズミル、3本ロールミルなどの分散機を用いて分散してミルベースとする。このミルベースに残り必要量のポリアミドイミド樹脂と溶剤を加えて樹脂組成物とする。尚、上記した必須成分と有機溶剤の外に、必要に応じて、分散剤や消泡剤などの通常用いられている各種添加剤を配合することができる。
また、本発明の潤滑被膜形成用樹脂組成物は、必要に応じて、含窒素系溶剤、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤などの希釈溶剤を用いて希釈して、摺動部材表面に塗布あるいはコーティングすることにより、潤滑被膜を形成することができる。溶剤による希釈比率は、部品への塗布又はコーティングの方法により、それぞれ適した粘度に調整することができる。
尚、上記塗布又はコーティング方法としては、スプレー塗布、ロール塗布、パッド法による塗布、浸漬塗布、スクリーン印刷、オフセット印刷など公知の方法を用いることができるが、工業的にはスプレー塗布又はスクリーン印刷による塗布が好ましい。
[樹脂組成物の作製]
ポリアミドイミド樹脂は、すでに有機溶媒で希釈し、ワニス化された以下のものを使用した。即ち、バイロマックスHR−11NN(商品名;東洋紡製、重量平均分子量42000)、バイロマックスHR−26NX(商品名;東洋紡製、重量平均分子量17500)、バイロマックスHR−15ET(商品名;東洋紡製、重量平均分子量8200)、バイロマックスHR−13NX(商品名;東洋紡製、重量平均分子量4700)を用いた。これらのポリアミドイミド樹脂の密度は、いずれも1.4g/cmである。
含硫黄化合物系固体潤滑剤として二硫化モリブデンのモリパウダーPS(商品名;住鉱潤滑剤製、密度4.8g/cm)、フッ素系固体潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレンのルブロンL2(商品名;ダイキン製、密度2.2g/cm)、炭素系固体潤滑剤としてグラファイトの鱗片状黒鉛W−5(商品名;伊藤黒鉛工業製、密度2.2g/cm)及びカーボンナノチューブのVGCF(商品名;昭和電工製、密度2.1g/cm)を使用した。
上記のポリアミドイミド樹脂と固体潤滑剤を、下記表1〜2に示す実施例1〜8及び下記表3〜4に示す比較例1〜7の体積比率(体積%)となるように秤量した。
尚、以下の各表中では、ポリアミドイミド樹脂をPAI樹脂と、二硫化モリブデンをMoSと、ポリテトラフルオロエチレンをPTFEと略記した。また、加熱残分とは200℃で1時間加熱したときの被膜の残分であり、被膜成分に対する体積比率(%)で示した。
秤量したポリアミドイミド樹脂の1部と固体潤滑剤を混合し、分散機にて分散可能な粘度となるようにN−メチル−2−ピロリドンを用いて希釈撹拌した後、分散を行いミルベースとした。得られたミルベースに、残りのポリアミドイミド樹脂とN−メチル−2−ピロリドンを添加し、3本ロールミルで混合分散して、下記表1及び表2に示す各塗料試料を得た。尚、下記表1〜4に示す体積%は、有機溶剤のN−メチル−2−ピロリドンを除いた値である。
Figure 0005483349
Figure 0005483349
Figure 0005483349
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耐摩耗性の向上には、結合剤であるポリアミドイミド樹脂が高硬度であることが必要である。そこで予備評価として、ポリアミドイミド樹脂単体で形成した被膜の硬度を評価した。テストピースは、メッシュサイズが250メッシュの印刷用スクリーンを用い、予熱温度を40〜50℃として、150mm×100mm×0.8mmの冷間圧延鋼板(SPCC−SB)の基板上に、上記した重量平均分子量の異なる各ポリアミドイミド樹脂をスクリーン印刷した後、温度190℃で90分焼成して作製した。
得られた各テストピースにおける被膜硬度の評価は、引っかき硬度試験(鉛筆法)によりJIS K 5600−5−4に基づいて測定した。測定結果は、鉛筆硬度が5H以上であれば良好(○)、5H未満では不十分(×)として、下記表5に示した。
Figure 0005483349
上記表5に示すように、ポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量が高くなるに伴って、被膜の鉛筆硬度が上昇することが分る。これらの結果から、重量平均分子量が10000以上50000以下のポリアミドイミド樹脂を結合剤として使用することによって、高い硬度の被膜が得られ、耐摩耗性を改善できることが分った。
[塗料試料の評価]
上記した各塗料試料を用いて評価用テストピースを作製した。具体的には、メッシュサイズが250メッシュの印刷用スクリーンを用い、予熱温度を40〜50℃とし、基板表面上に各塗料試料をスクリーン印刷した後、温度190℃で90分焼成して、焼成後の被膜の膜厚が約7〜13μmのテストピースを作製した。作製したテストピースを用い、濡れ性(接触角)、摩擦係数(動摩擦係数)、耐摩耗性(摩耗量)を評価した。
まず、濡れ性の評価として、接触角を測定した。即ち、25mm×75mm×15mmのアルミニウム合金(AC8A)の基板上に被膜形成したテストピースを用い、液滴法により接触角計CA−DT・A型(協和界面科学製)を用いて接触角を測定した。使用したオイルは、市販のエンジンオイル(OW−20)である。得られた結果を下記表6〜7に示した。
Figure 0005483349
Figure 0005483349
上記表6〜7に示す結果のとおり、固体潤滑剤の配合量の合計を2.5〜11体積%の範囲にすることによって、オイルに対する濡れ性の良い樹脂成分が増加するため、被膜に対するオイルの濡れ性を改善できることが分る。ただし、ポリテトラフルオロエチレンが上限値の7体積%を超えて配合された比較例2では、撥油性のため接触角が極端に大きくなっている。また、各成分が上限値内でも、合計配合量が11体積%を超えた比較例5も接触角が大きくなっている。
また、動摩擦係数の評価については、25mm×75mm×15mmのアルミ合金(AC8A)の基板上に被膜形成したテストピースを用い、直径8mm×長さ20mmの塗装無しのピン(材質FC25)で、往復動試験機を用いて動摩擦係数を測定した。測定条件は、摺動形式を往復摺動とし、摺動距離は片道50mm、摺動速度は1m/s、サイクル数は12000サイクル、荷重は4MPa、添加オイルは市販のエンジンオイル(OW−200)0.5mlとした。得られた結果を下記表8〜9に示した。
Figure 0005483349
Figure 0005483349
上記表8〜9に示すとおり、実施例は比較例に比べて大幅に動摩擦係数が低減していることが分る。この動摩擦係数の低減は、オイルに対する濡れが改善されたことにより、オイル保持力が向上し、これが摩擦係数の低減に寄与したものと考えられる。
一方、比較例1では二硫化モリブデンが上限値の5体積%を超えて配合され、比較例3ではグラファイトが上限値の5体積%を超えて配合されているため、共に濡れ性の低下により摩擦係数が上昇している。また、比較例2では、ポリテトラフルオロエチレンが上限値の7体積%を超えて過剰に配合されているため、密着性が低下して被膜の剥離が発生した。
また、比較例4では、固体潤滑剤の合計配合量が下限値の2.5体積%より少ないため、固体潤滑剤の添加効果が得られていない。更に、比較例5では、固体潤滑剤の合計配合量が上限値の11体積%を超えているため、濡れ性が低下し、摩擦係数が上昇する結果となった。尚、比較例6、7は、ポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量が10000未満であるが、固体潤滑剤の合計配合量は2.5〜11.0%の範囲内にあるため摩擦の低減効果が得られている。
最後に、耐摩耗性について、15mm×35mm×20mmの形状のアルミ合金(AC8A)のブロックからなる基板上に被膜形成したテストピースを用い、直径35mm×幅20mmの塗装無しリング(材質FC25)で、LFW−1試験機により摩耗量の測定を行った。測定条件は、摺動形式を回転とし、回転数は20rpm、運転時間は3分、荷重は3kgf、添加オイルは市販のエンジンオイル(OW−20)180mlとした。得られた結果を下記表10〜11に比膜の膜厚と共に示した。
Figure 0005483349
Figure 0005483349
上記の結果から分るように、本発明の実施例は、比較例と比較して著しく耐摩耗性が改善されている。即ち、固体潤滑剤の合計配合量を本願発明の範囲内に抑え、且つポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量を10000〜50000の範囲に高分子量化した結果、被膜硬度の上昇との相乗効果により、形成された被膜の硬度が改善され、耐摩耗性が向上したものと考えられる。尚、比較例4は、耐摩耗性は良好な結果であったが、往復動試験において摩擦係数の上昇が認められた。
以上のように、低摩擦係数と耐摩耗性を両立させ、高速・高負荷で摺動する厳しい環境に好適に使用するためには、固体潤滑剤の配合量を本願発明の範囲内とすることが重要である。

Claims (4)

  1. 自動車エンジンの摺動部表面に潤滑被膜を形成するための樹脂組成物であって、結合剤であるポリアミドイミド樹脂、固体潤滑剤及び有機溶剤を含有し、ポリアミドイミド樹脂が重量平均分子量10000〜50000のポリアミドイミド樹脂であり、前記有機溶剤を除いた各成分の配合量が、ポリアミドイミド樹脂89.0〜97.5体積%、フッ素系固体潤滑剤1〜7体積%、含硫黄化合物系固体潤滑剤1〜5体積%、炭素系固体潤滑剤0.5〜5体積%であり、且つ前記各固体潤滑剤の含有量の合計が2.5〜11体積%であることを特徴とする潤滑被膜形成用樹脂組成物。
  2. 前記フッ素系固体潤滑剤が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、トリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の潤滑被膜形成用樹脂組成物。
  3. 前記含硫黄化合物系固体潤滑剤が、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、三硫化アンチモンからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の潤滑被膜形成用樹脂組成物。
  4. 前記炭素系固体潤滑剤が、黒鉛、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑被膜形成用樹脂組成物。
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