JP2020164697A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた自己修復性及び耐熱性を有する樹脂組成物を提供すること。【解決手段】DABBFで示されているジオール化合物及びヘキサメチレンジイソシアネートをモノマー成分として有する自己修復性ポリマーを含む樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。
近年、コスト低減又は環境負荷軽減の観点から、材料の長寿命化を図るべく、自己修復力を有する材料が注目を浴びている。このような自己修復材料は、スマートフォン、自動車、又はインフラ設備への応用が期待される。
非特許文献1に示すような、修復材内包カプセルを含有する自己修復材料が提案されている。かかる自己修復材料を高分子材料の表面に処理しておくことにより、高分子材料の表面に微小なクラックが形成されても、上記カプセル内の修復材がクラックに放出され、クラックを修復するというものである。
しかし、非特許文献1に開示される自己修復材料においては修復剤内包カプセルを自己修復材料に分散させておく必要があるところ、かかる修復剤内包カプセルを別途に製造する必要がある。さらに、カプセル内の修復剤が尽きると、修復性能が消失してしまうという課題も存在する。
そこで、非特許文献2では、ポリウレタンにポリオールを分散させた自己修復材料も提案されている。水素結合の再結合を利用し、ポリウレタンの弾性又は塑性変形の回復を行うというものであり、自動車のコーティング塗料として既に利用されている。
しかし、上述した水素結合の再結合反応には50〜60℃の温度条件が必須であることから、より温和な条件でも自己修復可能な材料があれば、広範な用途への展開が可能である。
非特許文献3は、所定のポリマー材料からなる自己修復材料を開示している。自発的に組み替え可能な動的共有結合(共有結合でありながら、可逆的な解離―付加を実現できる結合))を有することにより、自己修復作用を有するとされている。
しかしながら、こうしたポリマー材料には、自動車内の部材など、発熱する部材の表面において使用する用途が存在しており、より優れた耐熱性が求められる。このように、非特許文献3に記載される自己修復材料よりも、その自己修復性及び耐熱性が高い材料が切望されている。
S. R. White et al., Nature (2001), Vol. 409, p794 桐原 修 「自己修復(キズ復元)材料の最新技術−メーカー採用のトレンド−」技術情報協会 (2011), p127 K. Imato et al., Macromolecules (2015), Vol. 48, pp5632-5639
上記のような事情に鑑み、本発明の目的とするところは、優れた自己修復性及び耐熱性を有する樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、所定のものモノマー成分を有するポリマーを含有する樹脂組成物とすることで、優れた自己修復性及び耐熱性を有する樹脂組成物を提供可能であることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の樹脂組成物を提供する。
項1.
下記式(I)及び下記式(II)で表されるモノマー成分を有する自己修復性ポリマー(但し、下記式(I)、(II)、(III-1)及び(IV-1)で表されるモノマー成分のみからなるポリマーは除く。)を含む樹脂組成物。
Figure 2020164697
項2.
前記自己修復性ポリマーは、さらに下記式(III-1)〜(III-3)で表されるモノマー成分からなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1に記載の組成物。
Figure 2020164697
項3.
前記自己修復性ポリマーは、さらに下記式(IV-1)〜(IV-4)で表されるモノマー成分からなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1又は2に記載の組成物。
Figure 2020164697
〔式中、m、n及びpは各々、1以上の任意の整数である。〕
本発明の樹脂組成物は、優れた自己修復性及び耐熱性を有する
本発明の樹脂組成物は、下記式(I)で表されるモノマー成分及び下記式(II)で表されるモノマー成分を有する自己修復性ポリマーを含んで構成される。但し、前記自己修復性ポリマーには、下記式(I)で表されるモノマー成分、下記式(II)で表されるモノマー成分、下記式(III-1)で表されるモノマー成分及び下記式(IV-1)で表されるモノマー成分のみからなるポリマーは含まれない。また、前記自己修復性ポリマーには、下記式(I)で表されるモノマー成分、下記式(II)で表されるモノマー成分、下記式(III-1)で表されるモノマー成分及び下記式(IV-1)で表されるモノマー成分を含むポリマーが含まれないことが好ましい。
Figure 2020164697
自己修復性ポリマーにおける各モノマー成分の含有量は、自己修復性を担保する為の動的共有結合をネットワーク上に形成するという理由から、式(I)で表されるモノマー成分1モルに対して、式(II)で表されるモノマー成分が1〜5モルであることが好ましく、1.2〜4モルであることがより好ましい。
自己修復性ポリマーは、各モノマー成分によるランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体から選ばれる何れであってもよく、中でもブロック共重合体であることが好ましい。
自己修復性ポリマーの重量平均分子量は、固体としての形態維持を考慮し、5000〜100000であることが好ましく、8000〜70000であることがより好ましい。
自己修復性ポリマーは、さらに、下記式(III-1)〜(III-3)で表されるモノマー成分からなる群より選択される少なくとも1種(以下、本明細書において、単に「式(III)で表されるモノマー成分」ともいう。)を含むことが好ましい。
Figure 2020164697
自己修復性を担保する為の動的共有結合をネットワーク上に形成するために、上記式(III-1)〜(III-3)で表されるモノマー成分のように分岐構造を有するものを使用することが好ましい。
上記式(III)で表されるモノマー成分の含有量は、自己修復性を担保する為の動的共有結合をネットワーク上に形成するという理由から、式(I)で表されるモノマー成分1モルに対して、0.1〜2.0モルであることが好ましく、0.2〜1.9モルであることがより好ましい。
自己修復性ポリマーは、さらに、下記式(IV-1)〜(IV-4)で表されるモノマー成分からなる群より選択される少なくとも1種(以下、本明細書において、単に「式(IV)で表されるモノマー成分」ともいう。)を含むことが好ましい。
Figure 2020164697
〔式中、m、n及びpは各々、1以上の任意の整数である。〕
上記式(IV-1)〜(IV-4)で表されるモノマー成分の中でも、重合性などの面で優れた性質を有するポリマーを形成するために、式(IV-2)で表されるモノマー成分を使用することが好ましい。
また、式(IV-4)で表されるモノマー成分を使用する場合、MV(粘度平均分子量)は500〜500000のものを使用することが好ましい。
上記式(IV)で表されるモノマー成分の含有量は、自己修復性を担保する為の動的共有結合をネットワーク上に形成するという理由から、式(I)で表されるモノマー成分1モルに対して、0.5〜4.0モルであることが好ましく、0.6〜3.0モルであることがより好ましい。
また、既述の如く自己修復性ポリマーは、上述した各モノマー成分によるランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体から選ばれる何れであってもよい。中でも、ブロック共重合体であることが好ましい。
ここで、自己修復性ポリマーが式(I)で表されるモノマー成分、式(II)で表されるモノマー成分、上記式(III)で表されるモノマー成分、及び上記式(IV)で表されるモノマー成分を含む場合、上記各成分を含むブロック共重合体であることが好ましい。この場合、各モノマー成分の配列は、上記式(III)で表されるモノマー成分、式(II)で表されるモノマー成分、上式(IV)で表されるモノマー成分、式(II)で表されるモノマー成分、式(I)で表されるモノマー成分の順であることが好ましい。
また、この場合、式(I)で表されるモノマー成分1モルに対して、式(II)で表されるモノマー成分が1.2〜4.0モル、式(III)で表されるモノマー成分が0.2〜1.9モル、式(IV)で表されるモノマー成分が0.6〜3.0モル含まれることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、自己修復性ポリマーに加えて、その効果を損なわない範囲で適宜の添加剤を配合することも好ましい。かかる添加剤として、アクリル樹脂などの各種公知の樹脂、充填剤、難燃剤、粘度調節剤、可塑剤、着色剤、安定剤等を例示することができる。添加剤の配合量については、樹脂組成物の目的等に応じ、適宜設定することができる。
以上の式(I)〜(V)で表される各モノマー成分は、例えば本明細書の製造例及び実施例に記載された方法により、製造することが可能である。
各モノマー成分を共重合させる際に採用する方法としては、公知の方法を広く採用することが可能であり、特に限定はない。具体的には、連鎖重合、逐次重合、リビング重合等の方法を採用することが可能である。これらの中でも、工業的に広く用いられているという理由から、逐次重合分類に含まれる重縮合を採用することが好ましい。
得られた自己修復性ポリマーに、上述の添加剤を公知の方法により添加することも好ましい。かかる方法としては特に限定は無く、例えば混練などの方法を挙げることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
Figure 2020164697
(製造例1)
Figure 2020164697
上記反応式1において、試薬は、2,4-di-tert-butylphenol、DL-4-hydroxymandelic acid monohydrateは東京化成社製を、クロロホルムは和光純薬社製を、残りはナカライテスク社製を精製することなくそのまま実験に用いた。
アルゴンガス雰囲気下、リービッヒ冷却管、温度計を装着した500ml反応器に2,4-di-tert-butylphenol474.3 mmol(純度97%換算)、DL-4-hydroxymandelic acid monohydrate 351.3mmol(純度98%換算)、酢酸 196mlを仕込んだ後、95℃に昇温し撹拌した。その後、メタンスルホン酸 0.65ml添加し、反応温度95℃で3時間撹拌し、反応温度を室温に下げて1時間撹拌したところ固体が析出した。当該固体を室温で一晩静置した後、クロロホルムに溶解し、不溶成分を濾別後、濃縮した。得られた薄桃色固体をクロロホルム/ヘキサンで再結晶化し、目的の薄白桃色の化合物1(アリールベンゾフラノン)を得た。
Figure 2020164697
上記反応式1で得られた化合物1を反応式2に使用した。その他の反応式2における試薬については、ヘキサンは富士フィルム和光純薬社製のものを、残りはナカライテスク社製を精製することなく使用した。
アルゴンガス雰囲気下、リービッヒ冷却管、温度計を装着した3000ml反応器に水酸化ナトリウムを636.1mmol、蒸留水を983 ml、化合物1を223.3 mmol仕込み、80℃で加熱撹拌した。この反応混合液に3-クロロプロパノール 426.9mmolを添加し、3時間80℃で加熱撹拌した。その後、室温に戻し、別途調整した塩酸(蒸留水701mlに濃塩酸66.2 mlを加えたもの)を加え、さらに80℃で1時間加熱撹拌したのち、室温に戻して1日静置し、上澄み液を除くことにより黄土色の沈殿物を得た。得られた沈殿物を酢酸エチルに溶解し、有機層を水、食塩水でそれぞれ3回ずつ洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することで赤褐色半固体の粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物2(エーテル体)を得た。
Figure 2020164697
上記反応式2で得られた化合物2を、反応式3に使用した。反応式3において、ジターシャリーブチルパーオキサイドは東京化成品を、それ以外はナカライテスク社製を精製することなくそのまま実験に用いた。
アルゴンガス雰囲気下、三方コックを装着した光化学実験装置(反応容器、電源、水冷ジャケット、高圧水銀ランプ400W)に化合物2を161.9 mmol、ベンゼンを350 ml、ジターチャリーブチルパーオキサイドを270 ml加え、90分間UV処理をした。得られた反応混合物の溶媒を溜去することにより、粗生成物を得た。次にシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物3を得た。
(製造例2)
Figure 2020164697
上記反応式1で得られた化合物1を、反応式4に使用した。反応式4におけるその他の試薬に関しては、ナカライテスク社製のものを、精製することなく使用した。
アルゴンガス雰囲気下、リービッヒ冷却管、温度計を装着した500ml反応器に水酸化ナトリウムを100.47mmol、蒸留水を89 ml、化合物1を29.55 mmol仕込み、80℃で加熱撹拌した。得られた反応混合液に2-クロロエタノールを51.42mmol添加し、3時間80℃で加熱撹拌した。その後、室温に戻し、別途調整した塩酸(蒸留水123.5mlに濃塩酸10.6 mlを加えたもの)を反応混合物に加え、さらに80℃で1時間加熱撹拌し、室温に戻して1日静置し、上澄み液を除くことにより、黄土色の沈殿物を得た。得られた沈殿物を、酢酸エチルに溶解し、有機層を水、食塩水でそれぞれ3回ずつ洗浄した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮することにより、赤褐色半固体の粗生成物を得た。さらに粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製するにより、化合物4(エーテル体)を得た。
Figure 2020164697
上記反応式4で得られた化合物4を、反応式5において使用した。反応式5におけるそれ以外の試薬に関しては、ナカライテスク社製のものを、精製することなく使用した。
アルゴンガス雰囲気下、三方コックを装着した試験管に、化合物4を0.66 mmol、ベンゼンを2.1 ml、ジターチャリーブチルパーオキサイドを1.4ml加え、メタハラランプ(アイグラフィックス株式会社製、アイミニグランデージECS-15U電源一体型、高圧水銀ランプ、出力1.0kW )で60分間UV処理をした。得られた反応混合物の溶媒を溜去後、粗生成物を得た。次にシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、化合物5を得た。
(製造例3)
Figure 2020164697
反応式6において、4-ビニルピリジンは富士フィルム和光純薬製のものを、残りはナカライテスク社製のものを精製することなくそのまま使用した。
反応器に4-ビニルピリジン24.1mmol及びアセトン30mlを添加し、内温1℃で撹拌し、アセトン溶液を得た。別途、過マンガン酸カリウム16mmol、硫酸マグネシウム7.98mmol、及び蒸留水50mlを混合した水溶液を滴下漏斗に仕込み、前記アセトン溶液に20分かけて滴下した。その後、氷冷下で10分撹拌した後、氷浴を外し、反応温度を室温まであげた。その後、ハイドロキノン0.0268gを添加し、撹拌後、反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。得られた濃縮液にエタノール20mlを加え、さらに硫酸カリウムを添加し、冷蔵庫で一晩静置した。その後、ろ過、濃縮、乾燥することで褐色粘性液体を得た。
(製造例4)
Figure 2020164697
反応式7において、パラホルムアルデヒドは東京化成製を、それ以外の試薬は、富士フィルム和光純薬社製のものを精製することなくそのまま使用した。
アルゴンガス雰囲気下、Dean-Stark管を装着した反応管にジエチレングリコール300mmol、パラホルムアルデヒド11.72g、ポリリン酸0.4ml、ヘプタン60mlを加え、110℃で16時間加熱撹拌し、反応により生じた水をDean-Stark管から採取した。溶媒であるヘプタンを濃縮により除去し、得られた反応混合物を減圧蒸留(150℃ 0.2mmHg)した。得られた留分をさらに減圧蒸留(28℃、0.2mmHg)することで無色透明液体の1,3,6-トリオキソカンを得た。
(製造例5)
Figure 2020164697
反応式8において、1,3,6-トリオキソカンは合成したものを、三フッ化ホウ素字エチルエーテル錯体、クロロホルムは富士フィルム和光純薬社製を、それ以外はナカライテスク社製のものを精製することなくそのまま使用した。
アルゴンガス雰囲気下、反応器に1,3,6-トリオキソカンを120.3mmol、クロロホルムを35ml加え室温で撹拌した。そこに三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体12mmolを加え、室温で2時間撹拌した。その後、反応混合液に水を加え、クロロホルムで分液抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過、濃縮し、ヘキサンで再沈殿した。生じた固体をろ取、乾燥して白色粉体の2EO-MOを得た。
(実施例1)
アルゴンガス雰囲気下、三方コックを装着した反応器にC-3090を9.48g、化合物3を 1.58 mmol、トリエタノールアミン(TEA)を1.05 mmol、DMFを7.0 ml加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘキサメチレンジイソシアネート6.33 mmolを加え、室温でさらに15分撹拌後、ジラウリン酸ブチルスズのTHF溶液(50%)を0.02 ml添加し、2日間撹拌した。反応混合液は2日後にはゲルになっていた。このゲルにクロロホルムを加え、冷凍庫で2日間静置し、ヘキサンを加え、さらに5時間静置した。上澄み液を取り除き、乾燥することでゴム状の薄黄色透明固体を得た。尚、THF、DMFは、富士フィルム和光純薬社製を、DBTDLは東京化成社製を、カーボネート系ポリオールはクラレ製C-3090を、残りはナカライテスク社製を精製することなくそのまま実験に使用した。
(実施例2)
アルゴンガス雰囲気下、三方コックを装着した反応器にポリエチレングリコール#4000を9.62g、化合物3を1.58 mmol、トリエタノールアミン(TEA)を1.05 mmol、DMFを10.0 ml加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘキサメチレンジイソシアネート6.48 mmolを加え、室温でさらに15分撹拌後、ジラウリン酸ブチルスズのTHF溶液(50%)を0.02 ml添加し、2日間撹拌した。反応混合液は2日後にはゲルになっていた。このゲルにクロロホルムを加え、冷凍庫で2日間静置し、ヘキサンを加え、さらに5時間静置した。上澄み液を取り除き、乾燥することでゴム状の薄黄色透明固体を得た。尚、THF、DMFは富士フィルム和光純薬社製を、DBTDLは東京化成社製を、残りはナカライテスク社製を精製することなくそのまま実験に使用した。
(実施例3)
アルゴンガス雰囲気下、三方コックを装着した反応器にポリエチレングリコール(Mv100,000)を28.54g、化合物3を0.63 mmol、DMFを120ml加え、110℃で加熱撹拌し、ポリエチレングリコールを溶解させた。その後室温に戻し、トリエタノールアミン(TEA) 0.42mmol、DMF 1.0ml、ヘキサメチレンジイソシアネート2.44 mmol、及びジラウリン酸ブチルスズのTHF溶液(50%)8μlを添加し、2日間撹拌した。反応混合液は2日後にはゲルになっていた。このゲルにクロロホルムを加え、冷凍庫で2日間静置し、ヘキサンを加え、さらに5時間静置した。上澄み液を取り除き、乾燥することでゴム状の薄黄色透明固体を得た。尚、THF、DMFは和光純薬社製を、DBTDLは東京化成社製を、ポリエチレングリコール(Mv100,000 )はAldrich社製、残りはナカライテスク社製を精製することなくそのまま実験に使用した。
(実施例4)
アルゴンガス雰囲気下、三方コックを装着した反応器にC-3090を19.96g、化合物3を3.16 mmol、トリエタノールアミン(TEA)を2.1mmol、DMFを24.0 ml加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘキサメチレンジイソシアネート12.66 mmol及びジラウリン酸ブチルスズのTHF溶液(50%) 0.04mlを添加し、2日間撹拌した。反応混合液は2日後にはゲルになっていた。このゲルにクロロホルムを加え、冷凍庫で2日間静置し、ヘキサンを加え、さらに5時間静置した。上澄み液を取り除き、乾燥することでゴム状の薄黄色透明固体を得た。尚、THF、DMFは富士フィルム和光純薬社製を、DBTDLは東京化成社製を、カーボネート系ポリオールはクラレ製C-3090を、残りはナカライテスク社製を精製することなくそのまま実験に使用した。
(実施例5)
アルゴンガス雰囲気下、三方コックを装着した反応器にC-3090を9.48g、化合物3を1.58 mmol、(4−ピリジル)‐1,2‐エタンジオールを0.1762g、DMFを6ml加え、室温撹拌した。その後、トリエタノールアミン(TEA)を6.48mmol、DMFを24.0 ml加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘキサメチレンジイソシアネートを12.66mmol加え、ジラウリン酸ブチルスズのTHF溶液(50%)を0.02ml添加し、2日間撹拌した。反応混合液は2日後にはゲルになっていた。このゲルにクロロホルムを加え、冷凍庫で2日間静置し、ヘキサンを加え、さらに5時間静置した。上澄み液を取り除き、乾燥することでゴム状の薄黄色透明固体を得た。尚、(4-ピリジル)-1,2‐エタンジオールは合成した物を、THF、DMFは和光純薬社製を、DBTDLは東京化成社製を、カーボネート系ポリオールはクラレ製C-3090を、残りはナカライテスク社製を精製することなくそのまま実験に使用した。
(実施例6)
アルゴンガス雰囲気下、三方コックを装着したシュレンク管にポリカプロラクトンジオールを2.32 mmol、化合物3を1.15 mmol、TEAを0.77 mmol、DMFを4.7 ml加え、ドライヤーで加熱した。その後、HDIを4.87 mmol、及びDBTDLのTHF溶液(50%)8.5 μlを添加し、2日間撹拌した。反応混合液は2日後にはゲルになっていた。このゲルにクロロホルムを加え、冷凍庫で2日間静置し、ヘキサンを加え、さらに5時間静置した。上澄み液を取り除き、乾燥することでゴム状の薄黄色透明固体を得た。尚、THF、DMFは和光純薬社製を、DBTDLは東京化成社製を、ポリカプロラクトンジオール(Mn2000)はAldrich社製を、残りはナカライテスク社製を精製することなくそのまま実験に使用した。
(比較例1)
アルゴンガス雰囲気下、三方コックを装着した試験管にPPGを0.72mmol、化合物5を0.42 mmol、トリエタノールアミン(TEA)を0.27mmol、DMFを1.3 ml加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘキサメチレンジイソシアネート1.62 mmolを加え、室温でさらに15分撹拌後、ジラウリン酸ブチルスズのTHF溶液(50%)を4.6μl添加し、2日間撹拌した。反応混合液は2日後にはゲルになっていた。このゲルにクロロホルムを加え、冷凍庫で2日間静置し、ヘキサンを加え、さらに5時間静置した。上澄み液を取り除き、乾燥することでゴム状の黄色固体を得た。尚、PPG、THF、DMFは和光純薬社製を、DBTDLは東京化成社製を、残りはナカライテスク社製を精製することなくそのまま実験に使用した。
(比較例2)
アルゴンガス雰囲気下、三方コックを装着した反応器にC-3090を0.95g、化合物3を0.158 mmol、トリエタノールアミン(TEA)を0.105 mmol、ジクロロメタンを2.0 ml加え、室温で30分撹拌した。その後、セバシン酸0.632 mmolを加え、室温でさらに15分撹拌後、Ti(OiPr)4を2滴添加し、3日間撹拌したが目的のポリマーは得られなかった。尚、THF、DMFは富士フィルム和光純薬社製を、DBTDLは東京化成社製を、カーボネート系ポリオールはクラレ製C-3090を、残りはナカライテスク社製を精製することなくそのまま実験に使用した。
全ての実施例及び比較例において、上記式(III)で表されるモノマー成分、式(II)で表されるモノマー成分、上式(IV)で表されるモノマー成分、式(II)で表されるモノマー成分、式(I)で表されるモノマー成分の順に重合されたポリマーが合成された。また、各実施例及び比較例における、式(III)で表されるモノマー成分及び式(IV)で表されるモノマー成分に関する詳細は、下記表1に示した通りである。尚、比較例1においては式(I)で表されるモノマー成分の替わりに化合物5が、比較例2においては、式(II)で表されるモノマー成分の替わりに下記式(V)で表されるモノマー成分が使用された。
Figure 2020164697
(自己修復性評価試験)
得られたポリマーでバルク体を作成し、カッターナイフで完全に2つに切断した。その後、切断したバルク体を互いに接触させた状態で50℃で12時間保持した。12時間後のサンプルを確認し、外観およびマイクロスコープ観察で断面の傷有無を確認し、傷が確認できないものを○、うっすらと傷跡は見えるものの、バルク体同士は接合しているものを△、全く接合していないものを×と判定した。
(耐熱性評価試験)
耐熱性評価はTG-DTA(日立ハイテク社製、STA7200)を用い、N2雰囲気下で5%重量減温度を測定した。測定の際の昇温速度は10℃/minと設定した。
下記表1に示すとおり、各実施例のポリマーは、各比較例のポリマーと比較して、自己修復能力に優れていることが確認された。
Figure 2020164697

Claims (3)

  1. 下記式(I)及び下記式(II)で表されるモノマー成分を有する自己修復性ポリマー(但し、下記式(I)、(II)、(III-1)及び(IV-1)で表されるモノマー成分のみからなるポリマーは除く。)を含む樹脂組成物。
    Figure 2020164697
  2. 前記自己修復性ポリマーは、さらに下記式(III-1)〜(III-3)で表されるモノマー成分からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の組成物。
    Figure 2020164697
  3. 前記自己修復性ポリマーは、さらに下記式(IV-1)〜(IV-4)で表されるモノマー成分からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
    Figure 2020164697
    〔式中、m、n及びpは各々、1以上の任意の整数である。〕
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