JP2020164618A - ポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形品、およびラミネート成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱試験前後において、優れた耐擦傷性、耐ブロッキング性、および耐ブリードアウト性を有するポリプロピレン樹脂成形品が得られるポリプロピレン樹脂を提供すること。【解決手段】ポリプロピレン樹脂と、表面物性改良剤組成物を含有し、前記表面物性改良剤組成物は、特定量の、エチレン−ビニル共重合体(A)と、脂肪酸ビスアミド(B)と、グラフト重合体(C)を含有する。また、前記グラフト重合体(C)は、特定量のエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)と、ビニル系共重合体セグメント(C2)を有し、前記ビニル系共重合体セグメント(C2)は、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、およびシアン化ビニル単量体からなる群より選ばれる1種以上のビニル系単量体に由来する構成単位を有する。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形品、およびラミネート成形品に関する。
ポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン樹脂成形品(成形体)は、透明性、機械的強度、防湿性、剛性などに優れるため、文具、建材、食用などの包装材料として幅広い分野で使用されているが、傷つきやすいといった欠点がある。傷には、尖ったもので引掻いた際の引掻き傷、物と物が擦れた時に生じるこすれ傷があり、これら傷は日常生活にて頻繁に生じるため、改善が求められている。
また、複数のポリプロピレンフィルムを重ねて置いておいた際に、フィルム同士が密着して剥がれなくなってしまう現象(ブロッキング)や、成形品の表面がべたつく現象(ブリードアウト)が問題となるため、耐ブロッキング性や耐ブリードアウト性を有するポリプロピレン樹脂成形品が求められている。
上記のような特性に優れるポリプロピレン樹脂成形品が得られるポリプロピレン樹脂組成物としては、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、またはエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムと、エチレン・ビニル共重合体と、脂肪酸モノアミドと、特定のグラフト共重合体を含有する表面物性改良剤組成物を、添加剤として使用することが具体的に開示されている(特許文献1および2)。
一方、ポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン樹脂成形品は、その用途が拡大するにつれて、様々な環境下で使用されるようになってきており、経年後でも性能が維持できる材料が求められている。
しかしながら、特許文献1および2で具体的に開示された表面物性改良剤組成物を用いたポリプロピレン樹脂成形品は、上記のような経年後でも性能が維持できることを想定した耐熱試験後では、耐擦傷性、耐ブロッキング性、または耐ブリードアウト性の改善の余地があることが判明した。
以上のような事情に鑑み、本発明は、耐熱試験前後において、優れた耐擦傷性、耐ブロッキング性、および耐ブリードアウト性を有するポリプロピレン樹脂成形品が得られるポリプロピレン樹脂を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、ポリプロピレン樹脂と、表面物性改良剤組成物を含有するポリプロピレン樹脂組成物であって、前記表面物性改良剤組成物は、エチレン−ビニル共重合体(A)と、脂肪酸ビスアミド(B)と、グラフト重合体(C)を含有し、前記グラフト重合体(C)は、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)と、ビニル系共重合体セグメント(C2)を有し、前記ビニル系共重合体セグメント(C2)は、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、およびシアン化ビニル単量体からなる群より選ばれる1種以上のビニル系単量体に由来する構成単位を有し、前記グラフト共重合体(C)中、前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)の割合が、50質量%以上85質量%以下であり、前記表面物性改良剤組成物中、前記エチレン−ビニル共重合体(A)は40質量%以上80質量%以下であり、前記脂肪酸ビスアミド(B)は15質量%以上55質量%以下であり、前記グラフト重合体(C)は0.1質量%以上20質量%以下であるポリプロピレン樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記ポリプロピレン樹脂組成物から得られるポリプロピレン樹脂成形品に関する。
さらに、本発明は、前記ポリプロピレン樹脂成形品を基材にラミネート加工して得られるラミネート成形品に関する。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。ただし、本発明は、この作用メカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂と、表面物性改良剤組成物を含有し、前記表面物性改良剤組成物は、特定量の、エチレン−ビニル共重合体(A)と、脂肪酸ビスアミド(B)と、グラフト重合体(C)を含有する。また、前記グラフト重合体(C)は、特定量のエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)と、ビニル系共重合体セグメント(C2)を有し、前記ビニル系共重合体セグメント(C2)は、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、およびシアン化ビニル単量体からなる群より選ばれる1種以上のビニル系単量体に由来する構成単位を有する。前記グラフト共重合体(C)は、上記の2つのセグメントを有するため、前記エチレン−ビニル共重合体(A)と前記脂肪酸ビスアミド(B)の相容化剤として機能すると推定されるため、前記エチレン−ビニル共重合体(A)と前記脂肪酸ビスアミド(B)が良好に混合できることから、ポリプロピレン樹脂中に前記脂肪酸ビスアミド(B)が良分散化されブリードアウトすることが抑制できる。また、前記脂肪酸ビスアミド(B)は、耐熱試験後においても、耐擦傷性および耐ブロッキング性を付与する滑剤としての機能を有すると推定される。よって、本発明のポリプロピレン樹脂成形品は、耐熱試験前後において、優れた耐擦傷性、耐ブロッキング性、および耐ブリードアウト性を有する。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂と、表面物性改良剤組成物を含有する。
<ポリプロピレン樹脂>
本発明のポリプロピレン樹脂は、主成分としてプロピレンに由来する構成単位を有するポリマーであり、例えば、プロピレンを単独で重合したホモポリプロピレン、プロピレンとエチレンなどのα−オレフィンを共重合したランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレンを重合し、引き続きホモポリプロピレンの存在下にプロピレンとエチレンなどのα−オレフィンを共重合したブロックポリプロピレンなどが挙げられる。これらの中でも、剛性とフィルムにした際の透明性が優れる観点から、ホモポリプロピレンもしくはランダムポリプロピレンが好ましい。前記ポリプロピレン樹脂は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
本発明のポリプロピレン樹脂は、主成分としてプロピレンに由来する構成単位を有するポリマーであり、例えば、プロピレンを単独で重合したホモポリプロピレン、プロピレンとエチレンなどのα−オレフィンを共重合したランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレンを重合し、引き続きホモポリプロピレンの存在下にプロピレンとエチレンなどのα−オレフィンを共重合したブロックポリプロピレンなどが挙げられる。これらの中でも、剛性とフィルムにした際の透明性が優れる観点から、ホモポリプロピレンもしくはランダムポリプロピレンが好ましい。前記ポリプロピレン樹脂は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記ホモポリプロピレンとしては、例えば、「プライムポリプロ F113G」、「プライムポリプロ F109V」(以上、(株)プライムポリマー製)、ランダムポリプロピレンとしては、「プライムポリプロ F227D」、「プライムポリプロ F219DA」、「プライムポリプロ F329RA」(以上、(株)プライムポリマー製)などが挙げられる。なお、ポリプロピレン樹脂の重合度(分子量)は特に限定されない。
<表面物性改良剤組成物>
本発明の表面物性改良剤組成物は、エチレン−ビニル共重合体(A)と、脂肪酸ビスアミド(B)と、グラフト重合体(C)を含有する。
本発明の表面物性改良剤組成物は、エチレン−ビニル共重合体(A)と、脂肪酸ビスアミド(B)と、グラフト重合体(C)を含有する。
<エチレン−ビニル共重合体(A)>
前記エチレン−ビニル共重合体(A)は、主成分のエチレンと、ビニル系単量体から合成される共重合体であり、ポリプロピレン樹脂成形品中で脂肪酸ビスアミド(B)を保持できるため、脂肪酸ビスアミド(B)のブリードアウトを抑制する機能を有すると推定される。前記エチレン−ビニル共重合体(A)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。前記ビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどの飽和カルボン酸ビニルエステル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸グリシジルエステルなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸などのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類などが挙げられる。
前記エチレン−ビニル共重合体(A)は、主成分のエチレンと、ビニル系単量体から合成される共重合体であり、ポリプロピレン樹脂成形品中で脂肪酸ビスアミド(B)を保持できるため、脂肪酸ビスアミド(B)のブリードアウトを抑制する機能を有すると推定される。前記エチレン−ビニル共重合体(A)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。前記ビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどの飽和カルボン酸ビニルエステル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸グリシジルエステルなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸などのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類などが挙げられる。
前記エチレン−ビニル共重合体(A)としては、例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体(EGMA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル共重合体などが挙げられる。これらの中でも、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体(EGMA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。なお、前記酢酸ビニルは、末端がケン化されていてもよい。
<脂肪酸ビスアミド(B)>
前記脂肪酸ビスアミド(B)は、ポリプロピレン樹脂成形品に耐擦傷性および耐ブロッキング性を付与する滑剤としての機能を有すると推定される。前記脂肪酸ビスアミド(B)としては、公知のものが制限なく使用でき、例えば、一般式(1):R1−CONH−(CH2)n−NHCO−R2(一般式(1)中、R1およびR2は、独立して、炭素数6以上35以下の飽和または不飽和の炭化水素基を表し、nは1〜6の整数を表す。)で表される化合物が挙げられる。前記脂肪酸ビスアミド(B)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記脂肪酸ビスアミド(B)は、ポリプロピレン樹脂成形品に耐擦傷性および耐ブロッキング性を付与する滑剤としての機能を有すると推定される。前記脂肪酸ビスアミド(B)としては、公知のものが制限なく使用でき、例えば、一般式(1):R1−CONH−(CH2)n−NHCO−R2(一般式(1)中、R1およびR2は、独立して、炭素数6以上35以下の飽和または不飽和の炭化水素基を表し、nは1〜6の整数を表す。)で表される化合物が挙げられる。前記脂肪酸ビスアミド(B)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記一般式(1)中、R1およびR2は、ポリプロピレン樹脂成形品の耐熱試験後の耐擦傷性および耐ブロッキング性を向上させる観点から、独立して、炭素数11以上27以下の飽和または不飽和の炭化水素基であることが好ましく、炭素数17以上21以下の飽和または不飽和の炭化水素基であることがより好ましい。また、前記一般式(1)中、nは、エチレン−ビニル共重合体(A)成分との相容化の観点から、1〜3の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。前記脂肪酸ビスアミド(B)としては、例えば、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスエルカ酸アミド、メチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミドなどが挙げられる。
<グラフト重合体(C)>
前記グラフト重合体(C)は、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)と、ビニル系共重合体セグメント(C2)を有する。前記グラフト共重合体(C)は、上記の2つのセグメントを有するため、前記エチレン−ビニル共重合体(A)と前記脂肪酸ビスアミド(B)の相容化剤として機能すると推定される。よって、前記エチレン−ビニル共重合体(A)と前記脂肪酸ビスアミド(B)が良好に混合できるため、ポリプロピレン樹脂組成物中に前記脂肪酸ビスアミド(B)が良分散化し、ブリードアウトすることが抑制でき、かつ耐熱試験後においても、優れた耐擦傷性、耐ブロッキング性を有するポリプロピレン樹脂成形品が得られる。前記グラフト重合体(C)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記グラフト重合体(C)は、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)と、ビニル系共重合体セグメント(C2)を有する。前記グラフト共重合体(C)は、上記の2つのセグメントを有するため、前記エチレン−ビニル共重合体(A)と前記脂肪酸ビスアミド(B)の相容化剤として機能すると推定される。よって、前記エチレン−ビニル共重合体(A)と前記脂肪酸ビスアミド(B)が良好に混合できるため、ポリプロピレン樹脂組成物中に前記脂肪酸ビスアミド(B)が良分散化し、ブリードアウトすることが抑制でき、かつ耐熱試験後においても、優れた耐擦傷性、耐ブロッキング性を有するポリプロピレン樹脂成形品が得られる。前記グラフト重合体(C)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)は、グラフト共重合体(C)の主鎖部分に相当する。当該セグメントを構成するエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、主成分のエチレンと、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体から合成される共重合体である。
前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)において、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、分子末端にアルキル基を有する(メタ)アクリレートであれば、その種類に制限はなく使用できる。当該アルキル基は、炭素数1以上18以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、炭素数1以上6以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1以上3以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることがさらに好ましい。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体などが挙げられる。これらの中でも、前記エチレン−ビニル共重合体(A)との相容性の観点から、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)が好ましい。
前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)中、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の割合は、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく10質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。なお、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の割合は、例えば、赤外線吸収スペクトルによる1039cm−1の吸光度から、予め核磁気共鳴スペクトルによって(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の濃度が決められた標準試料を用い、上記吸光度を測定した検量線より求められる。
前記ビニル系共重合体セグメント(C2)は、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、およびシアン化ビニル単量体からなる群より選ばれる1種以上のビニル系単量体に由来する構成単位を有する(当該ビニル系単量体から合成される)共重合体である。
前記芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。前記芳香族ビニル単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、分子末端にアルキル基を有する(メタ)アクリレートであれば、その種類に制限はなく使用できる。当該アルキル基は、炭素数1以上18以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、炭素数1以上6以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることがより好ましい。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。前記シアン化ビニル単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記ビニル系共重合体セグメント(C2)は、上記の単量体以外のその他の単量体に由来する構成単位を含むことができる。前記その他の単量体としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシベンジルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのグリコール系単量体などが挙げられる。前記その他の単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記ビニル系共重合体セグメント(C2)中、前記芳香族ビニル単量体、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、および前記シアン化ビニル単量体からなる群より選ばれる1種以上のビニル系単量体に由来する構成単位の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%超であることがよりさらに好ましく、95質量%以上であることがよりさらに好ましい。
前記グラフト共重合体(C)中、前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)の割合が、50質量%以上85質量%以下である。前記グラフト共重合体(C)中、前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)の割合は、60質量%以上、そして、70質量%以下であることが好ましい。
<グラフト共重合体(C)の製造方法>
前記グラフト共重合体(C)の製造方法は、特に制限はなく、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法などの公知の重合法を使用することができる。これらの中でも、懸濁重合法が好ましい。また、グラフト化する方法としては、特に制限はなく、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法などの公知のグラフト化方法を採用することができる。これらの中でも、ラジカル重合法が好ましく、とくに、グラフト共重合体を工業的に大量かつ効率的に製造できる観点から、過酸化結合を有するビニル系単量体(ラジカル重合性有機過酸化物)を用いたラジカル重合法がより好ましい。
前記グラフト共重合体(C)の製造方法は、特に制限はなく、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法などの公知の重合法を使用することができる。これらの中でも、懸濁重合法が好ましい。また、グラフト化する方法としては、特に制限はなく、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法などの公知のグラフト化方法を採用することができる。これらの中でも、ラジカル重合法が好ましく、とくに、グラフト共重合体を工業的に大量かつ効率的に製造できる観点から、過酸化結合を有するビニル系単量体(ラジカル重合性有機過酸化物)を用いたラジカル重合法がより好ましい。
前記過酸化結合を有するビニル系単量体(ラジカル重合性有機過酸化物)は、分子内にペルオキシ基およびエチレン性不飽和基を有する単量体であれば、その種類に特に制限はなく使用でき、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。前記過酸化結合を有するビニル系単量体としては、例えば、以下の一般式(2)または一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
(式(2)中、R1は水素原子、またはメチル基を表し、R2は水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、R3およびR4はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R5は炭素原子数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、または炭素原子数3〜12のシクロアルキル基を表す。mの値は、1または2である。)
(式(3)中、R6は水素原子、またはメチル基を表し、R7は水素原子、または炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R8およびR9はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R10は炭素原子数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、または炭素原子数3〜12のシクロアルキル基を表す。nの値は、0、1または2である。)
前記一般式(2)で表される単量体としては、例えば、t−ブチルペルオキシ(メタ)アクリロイロキシエチルカーボネート、t−アミルペルオキシ(メタ)アクリロイロキシエチルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシ(メタ)アクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシ(メタ)アクリロイロキシエトキシエチルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシ(メタ)アクリロイロキシエトキシエチルカーボネートなどが挙げられる。
前記一般式(3)で表される単量体としては、例えば、t−ブチルペルオキシ(メタ)アリルカーボネート、t−アミルペルオキシ(メタ)アリルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシ(メタ)アリルカーボネートなどが挙げられる。
前記過酸化結合を有するビニル系単量体を用いたラジカル重合法は、例えば、前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を、水を主成分とする媒体に懸濁した溶液(エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の濃度:10〜30質量%)に、前記ビニル系単量体を含むモノマー成分と、前記過酸化結合を有するビニル系単量体と、重合開始剤を加え、前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の粒子)中に、前記ビニル系単量体を含むモノマー成分と前記過酸化結合を有するビニル系単量体と前記重合開始剤を含浸させて、前記モノマー成分を重合してグラフト化前駆体を得る工程と、当該前駆体を溶融して混練(溶融混練)して、グラフト共重合体(C)を製造する工程を含む方法が挙げられる。なお、前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を懸濁する際、必要に応じ、懸濁剤(例えば、ポリビニルアルコール)を前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部に対して、0.1〜2質量部程度使用してもよく、また、分散剤(例えば、リン酸カルシウム)を前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部に対して、1〜20質量部程度使用してもよい。また、上記の含浸の際、前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体中にモノマー成分などを十分に含浸させるため、加温(例えば、60〜80℃程度)しながら、攪拌してもよい。
前記重合開始剤は、熱によりラジカルを発生するものであれば、特に限定されず、例えば、アゾ系重合開始剤、有機過酸化物、過硫酸塩、過酸化水素水、レドックス重合開始剤(酸化剤及び還元剤を組み合わせた重合開始剤)などの公知の重合開始剤が挙げられる。特に、懸濁重合法で使用する場合は、油溶性の有機過酸化物が好ましい。重合開始剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
前記重合開始剤は、重合開始剤の急激な分解を抑制し、重合開始剤や前記モノマー成分の残存を抑制する観点から、10時間半減期温度が、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、そして、130℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。
前記グラフト化前駆体を製造する工程において、前記過酸化結合を有するビニル系単量体は、前記ビニル系単量体を含むモノマー成分100質量部に対し、0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部以上であることがより好ましい。
前記グラフト化前駆体を製造する工程において、前記重合開始剤は、前記ビニル系単量体を含むモノマー成分100質量部に対し、0.1〜10質量部以上であることが好ましく、0.5〜5質量部以上であることがより好ましい。
前記前駆体を製造する工程において、重合温度は、原料(特に、前記重合開始剤の10時間半減期温度)などによって異なるので一概には決定できないが、通常、65℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、そして、90℃以下であることが好ましく、85℃以下であることがより好ましい。また、重合時間は、原料や反応温度などによって異なるので一概には決定できないが、通常、目的物の収率性を高める観点から、1.5時間以上であることが好ましく、2時間以上であることがより好ましく、そして、6時間以下であることが好ましく、5時間以下であることがより好ましい。
前記溶融混練としては、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押出機、一軸押出機、二軸押出機、ロールなどの混練機を用いて、前記前駆体を溶融して混練りする方法が挙げられる。混練りする回数は、1回または複数回であってもよい。混練りする時間は、使用する混練機の大きさなどによって異なるが、通常、3〜10分程度とすればよい。また、混練機の排出温度は、130〜350℃とすることが好ましく、150〜250℃とすることがより好ましい。
以下、本発明の表面物性改良剤組成物の配合量について説明する。
前記表面物性改良剤組成物中、前記エチレン−ビニル共重合体(A)の割合は40質量%以上80質量%以下である。前記表面物性改良剤組成物中、前記エチレン−ビニル共重合体(A)の割合は、耐ブリードアウト性を向上させる観点から、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、そして、耐擦傷性および耐ブロッキング性を向上させる観点から、70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましい。
前記表面物性改良剤組成物中、前記脂肪酸ビスアミド(B)の割合は15質量%以上55質量%以下である。前記表面物性改良剤組成物中、前記脂肪酸ビスアミド(B)の割合は、耐擦傷性および耐ブロッキング性を向上させる観点から、25質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、そして、耐ブリードアウト性を向上させ、表面物性改良剤組成物のペレタイズ化を容易にする観点から、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。
前記表面物性改良剤組成物中、前記グラフト重合体(C)の割合は0.1質量%以上20質量%以下である。前記表面物性改良剤組成物中、前記グラフト重合体(C)の割合は、耐擦傷性および耐ブロッキング性を向上させる観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、そして、耐ブリードアウト性を向上させる観点から、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
前記表面物性改良剤組成物中、前記エチレン−ビニル共重合体(A)と前記脂肪酸ビスアミド(B)と前記グラフト重合体(C)の合計の割合は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%超であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがよりさらに好ましい。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、前記ポリプロピレン樹脂と、前記表面物性改良剤組成物を含有する。前記表面物性改良剤組成物は、耐擦傷性、耐ブロッキング性、および耐ブリードアウト性をバランスよく向上させる観点から、前記ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、1質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、3質量部以上7質量部以下であることがさらに好ましい。
なお、本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、各種配合剤を用いることができる。配合剤としては、例えば、後述するポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン樹脂成形品と基材との密着性を向上させるために、ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、アイオノマーなどの樹脂組成物が挙げられる。また、配合剤としては、例えば、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、分散剤、発泡剤、可塑剤、耐衝撃改良剤などの添加剤が挙げられる。
<ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、前記ポリプロピレン樹脂、表面物性改良剤組成物、任意の前記各種配合剤を混合することによって得られる。混合の方法は、とくに制限はなく、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押出機、一軸押出機、二軸押出機、ロールなどの混練機を用いて、溶融して混練りする方法などが挙げられる。また、上記の各成分を、任意の順序で添加し混練りしてもよく、同時に添加して混練りしてもよい。混練りする回数は、1回または複数回であってもよい。混練りする時間は、使用する混練機の大きさなどによって異なるが、通常、3〜10分程度とすればよい。また、混練機の排出(押出)温度は、150〜300℃程度とすることが好ましい。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、前記ポリプロピレン樹脂、表面物性改良剤組成物、任意の前記各種配合剤を混合することによって得られる。混合の方法は、とくに制限はなく、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、混練押出機、一軸押出機、二軸押出機、ロールなどの混練機を用いて、溶融して混練りする方法などが挙げられる。また、上記の各成分を、任意の順序で添加し混練りしてもよく、同時に添加して混練りしてもよい。混練りする回数は、1回または複数回であってもよい。混練りする時間は、使用する混練機の大きさなどによって異なるが、通常、3〜10分程度とすればよい。また、混練機の排出(押出)温度は、150〜300℃程度とすることが好ましい。
<ポリプロピレン樹脂成形品>
本発明のポリプロピレン樹脂成形品は、前記ポリプロピレン樹脂組成物を所定の形状に成形することにより得られる。成形方法としては、何ら限定されるものではないが、例えば、射出成形、押出成形などが挙げられ、成形の加熱温度、圧力、時間などは適宜設定できる。また、前記所定の形状がフィルム(シート)形状である場合、その成形方法としては、例えば、押出機の先端にTダイと呼ばれる金型を設置して成形を行うTダイ押出法や、溶融させた樹脂をロールで圧延しながら成形するカレンダー法などの公知の成形方法が挙げられる。なお、成形したポリプロピレンフィルムは、さらに延伸してフィルム厚を調整してもよい。
本発明のポリプロピレン樹脂成形品は、前記ポリプロピレン樹脂組成物を所定の形状に成形することにより得られる。成形方法としては、何ら限定されるものではないが、例えば、射出成形、押出成形などが挙げられ、成形の加熱温度、圧力、時間などは適宜設定できる。また、前記所定の形状がフィルム(シート)形状である場合、その成形方法としては、例えば、押出機の先端にTダイと呼ばれる金型を設置して成形を行うTダイ押出法や、溶融させた樹脂をロールで圧延しながら成形するカレンダー法などの公知の成形方法が挙げられる。なお、成形したポリプロピレンフィルムは、さらに延伸してフィルム厚を調整してもよい。
前記ポリプロピレン樹脂成形品がポリプロピレンフィルムの場合、厚さは0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上50μm以下であることがより好ましい。ポリプロピレンフィルムの厚さを0.1μm以上とし、さらには1μm以上とすることにより、ポリプロピレンフィルムの強度が更に向上する。これにより、特に高い耐傷付き性を有するポリプロピレンフィルムが得られる。また、ポリプロピレンフィルムの厚さを100μm以下とし、さらには50μm以下とすることにより、ポリプロピレンフィルムの成形性が向上する。これにより、ポリプロピレンフィルムの生産性が向上するとともに、ラミネート加工性、又は後述する熱可塑性樹脂層への積層性が向上する。
前記ポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン成形品の表面には、熱可塑性樹脂層を設けることができる。前記熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂から形成される層であればよく、単層でも複層であってもよい。当該熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、アイオノマーなどが挙げられる。
前記熱可塑性樹脂層は、前記熱可塑性樹脂を所定の形状に成形することにより得られ、上述したポリプロピレン樹脂成形品の成形方法と同様の方法が適用できる。
前記熱可塑性樹脂層がフィルム(シート)形状(熱可塑性樹脂フィルム)である場合、当該熱可塑性樹脂フィルムおよび前記ポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン成形品は、両者を貼り合わせた積層フィルムとして使用することができる。当該貼り合わせの方法は、フィルム同士を加熱圧着する方法や、ポリプロピレン樹脂組成物の溶融物と熱可塑性樹脂の溶融物を密着させた状態で成形する方法など、公知の方法が適用できる。
<ラミネート成形品>
本発明のラミネート成形品は、前記ポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン成形品、あるいは前記積層フィルムを基材にラミネート加工して得られる。前記基材としては、上質紙、コート紙などの紙基材などが挙げられる。前記基材の形状はとくに制限されないが、ラミネート成形品の形態として好適である観点から、フィルムやシート形状が好ましい。前記ラミネート成形品としては、例えば、百貨店などの紙袋、冊子、化粧板などが挙げられる。また、ラミネート加工の方法としては、例えば、前記ポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン成形品、あるいは前記積層フィルムを熱しながら基材へ圧着する方法や、ポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン成形品、あるいは前記積層フィルムの成形と同時に基材へ圧着する方法などが挙げられる。また、ラミネート成形品が前記熱可塑性樹脂層を有する場合、前記熱可塑性樹脂層とポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン成形品とを前記基材に順に積層させてもよい。
本発明のラミネート成形品は、前記ポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン成形品、あるいは前記積層フィルムを基材にラミネート加工して得られる。前記基材としては、上質紙、コート紙などの紙基材などが挙げられる。前記基材の形状はとくに制限されないが、ラミネート成形品の形態として好適である観点から、フィルムやシート形状が好ましい。前記ラミネート成形品としては、例えば、百貨店などの紙袋、冊子、化粧板などが挙げられる。また、ラミネート加工の方法としては、例えば、前記ポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン成形品、あるいは前記積層フィルムを熱しながら基材へ圧着する方法や、ポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン成形品、あるいは前記積層フィルムの成形と同時に基材へ圧着する方法などが挙げられる。また、ラミネート成形品が前記熱可塑性樹脂層を有する場合、前記熱可塑性樹脂層とポリプロピレンフィルムなどのポリプロピレン成形品とを前記基材に順に積層させてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例>
<グラフト重合体(C)の製造>
<製造例1−1>
内容積5Lの反応槽に、水2000gを入れ、懸濁剤としてポリビニルアルコール2.0gを溶解させ、さらに分散剤として第三リン酸カルシウム20gを分散させた。この中に、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体として、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(商品名「レクスパールEEA A4200」、日本ポリエチレン(株)製)700gと、ビニル系単量体として、スチレン100gと、メチルメタクリレート100gと、アクリロニトリル100gと、過酸化結合を有するビニル系単量体として、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート3gとを加え、攪拌しながら70℃に昇温した。続いて、反応槽内の温度が70℃に到達してから、さらに1時間攪拌を継続した後、ラジカル重合開始剤として、ジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド4.5gを投入し、70℃で5時間重合反応を行った。その後、室温まで冷却し、水洗、濾過、乾燥工程を経てグラフト化前駆体を得た。得られたグラフト化前駆体を、ラボプラストミル単軸押出機((株)東洋精機製作所製)を使用し、180℃にて押し出しを行い、グラフト化反応させることにより、製造例1−1のグラフト共重合体(C)を製造した。
<グラフト重合体(C)の製造>
<製造例1−1>
内容積5Lの反応槽に、水2000gを入れ、懸濁剤としてポリビニルアルコール2.0gを溶解させ、さらに分散剤として第三リン酸カルシウム20gを分散させた。この中に、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体として、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(商品名「レクスパールEEA A4200」、日本ポリエチレン(株)製)700gと、ビニル系単量体として、スチレン100gと、メチルメタクリレート100gと、アクリロニトリル100gと、過酸化結合を有するビニル系単量体として、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート3gとを加え、攪拌しながら70℃に昇温した。続いて、反応槽内の温度が70℃に到達してから、さらに1時間攪拌を継続した後、ラジカル重合開始剤として、ジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド4.5gを投入し、70℃で5時間重合反応を行った。その後、室温まで冷却し、水洗、濾過、乾燥工程を経てグラフト化前駆体を得た。得られたグラフト化前駆体を、ラボプラストミル単軸押出機((株)東洋精機製作所製)を使用し、180℃にて押し出しを行い、グラフト化反応させることにより、製造例1−1のグラフト共重合体(C)を製造した。
<製造例1−2〜1−5、比較製造例1−1〜1−4>
各製造例および比較製造例において、各原料の種類とその配合量を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1−1と同様の方法により、グラフト共重合体(C)を製造した。
各製造例および比較製造例において、各原料の種類とその配合量を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1−1と同様の方法により、グラフト共重合体(C)を製造した。
表1中、
EEAは、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名「レクスパールEEA A4200」、アクリル酸エチルに由来する構成単位の割合が20質量%);
EMAは、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名「レクスパールEMA EB240H」、アクリル酸メチルに由来する構成単位の割合が20質量%);
HDPEは、 高密度ポリエチレン((株)プライムポリマー製、商品名「ハイゼックス1300J」);
Stは、スチレン;
MMAは、メタクリル酸メチル;
BAは、アクリル酸ブチル;
ANは、アクリロニトリル;
HPMAは、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル;を示す。
EEAは、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名「レクスパールEEA A4200」、アクリル酸エチルに由来する構成単位の割合が20質量%);
EMAは、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名「レクスパールEMA EB240H」、アクリル酸メチルに由来する構成単位の割合が20質量%);
HDPEは、 高密度ポリエチレン((株)プライムポリマー製、商品名「ハイゼックス1300J」);
Stは、スチレン;
MMAは、メタクリル酸メチル;
BAは、アクリル酸ブチル;
ANは、アクリロニトリル;
HPMAは、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル;を示す。
<表面物性改良剤組成物の製造>
<製造例2−1>
エチレン−ビニル共重合体(A)として、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(商品名「レクスパールEEA A4200」、日本ポリエチレン(株)製)600gと、脂肪酸ビスアミド(B)として、エチレンビスステアリン酸アミド(商品名「スリパックスE」、三菱ケミカル(株)製)350gと、製造例1−1のグラフト共重合体(C)50gをドライブレンドした。その後、スクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機((株)池貝製)を用いて、溶融混練(押出温度:180℃)した後、ペレタイズすることにより、製造例2−1の表面物性改良剤組成物を製造した。
<製造例2−1>
エチレン−ビニル共重合体(A)として、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(商品名「レクスパールEEA A4200」、日本ポリエチレン(株)製)600gと、脂肪酸ビスアミド(B)として、エチレンビスステアリン酸アミド(商品名「スリパックスE」、三菱ケミカル(株)製)350gと、製造例1−1のグラフト共重合体(C)50gをドライブレンドした。その後、スクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機((株)池貝製)を用いて、溶融混練(押出温度:180℃)した後、ペレタイズすることにより、製造例2−1の表面物性改良剤組成物を製造した。
<製造例2−2〜2−6、比較製造例2−1〜2−7>
各製造例および比較製造例において、各原料の種類とその配合量を表2に示すように変えたこと以外は、製造例2−1と同様の方法により、表面物性改良剤組成物を製造した。
各製造例および比較製造例において、各原料の種類とその配合量を表2に示すように変えたこと以外は、製造例2−1と同様の方法により、表面物性改良剤組成物を製造した。
表2中、
EEAは、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名「レクスパールEEA A4200」、アクリル酸エチルに由来する構成単位の割合が20質量%);
EGMAは、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体(住友化学(株)製、商品名「ボンドファーストBF−E」、メタクリル酸グリシジルに由来する構成単位の割合が12質量%);
EVAは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン751」、酢酸ビニルに由来する構成単位の割合が28質量%);
EBSAは、エチレンビスステアリン酸アミド(三菱ケミカル(株)製、商品名「スリパックスE」);
EBOAは、エチレンビスオレイン酸アミド(三菱ケミカル(株)製、商品名「スリパックスO」);
EBEAは、エチレンビスエルカ酸アミド(三菱ケミカル(株)製、商品名「スリパックスR」);
EAは、エルカ酸アミド(日本精化(株)製、商品名「ニュートロンS」);を示す。
EEAは、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(日本ポリエチレン(株)製、商品名「レクスパールEEA A4200」、アクリル酸エチルに由来する構成単位の割合が20質量%);
EGMAは、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体(住友化学(株)製、商品名「ボンドファーストBF−E」、メタクリル酸グリシジルに由来する構成単位の割合が12質量%);
EVAは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名「ウルトラセン751」、酢酸ビニルに由来する構成単位の割合が28質量%);
EBSAは、エチレンビスステアリン酸アミド(三菱ケミカル(株)製、商品名「スリパックスE」);
EBOAは、エチレンビスオレイン酸アミド(三菱ケミカル(株)製、商品名「スリパックスO」);
EBEAは、エチレンビスエルカ酸アミド(三菱ケミカル(株)製、商品名「スリパックスR」);
EAは、エルカ酸アミド(日本精化(株)製、商品名「ニュートロンS」);を示す。
<ポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形品、およびラミネート加工品の製造>
<実施例1−1>
ポリプロピレン樹脂(商品名「プライムポリプロ F113G」、(株)プライムポリマー製)1000gと、製造例2−1の表面物性改良剤組成物10gをドライブレンドした。その後、シリンダ温度210℃に設定されたスクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機((株)池貝製)を用いて、溶融混練(押出温度:180℃)した後、ペレタイズすることにより、ポリプロピレン樹脂組成物を製造した。得られたポリプロピレン樹脂組成物を、シリンダ温度210℃に設定されたラボプラストミル((株)東洋精機製)を用いて、先端にTダイ金型を設置して薄膜シートを作製した後、二軸延伸により厚さ5μmのポリプロピレン樹脂成形品(ポリプロピレンフィルム)を製造した。このポリプロピレンフィルムを厚さ0.5mmのA4サイズ紙の両面に加熱圧着することで、ラミネート加工品(ラミネート紙)を製造した。
<実施例1−1>
ポリプロピレン樹脂(商品名「プライムポリプロ F113G」、(株)プライムポリマー製)1000gと、製造例2−1の表面物性改良剤組成物10gをドライブレンドした。その後、シリンダ温度210℃に設定されたスクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機((株)池貝製)を用いて、溶融混練(押出温度:180℃)した後、ペレタイズすることにより、ポリプロピレン樹脂組成物を製造した。得られたポリプロピレン樹脂組成物を、シリンダ温度210℃に設定されたラボプラストミル((株)東洋精機製)を用いて、先端にTダイ金型を設置して薄膜シートを作製した後、二軸延伸により厚さ5μmのポリプロピレン樹脂成形品(ポリプロピレンフィルム)を製造した。このポリプロピレンフィルムを厚さ0.5mmのA4サイズ紙の両面に加熱圧着することで、ラミネート加工品(ラミネート紙)を製造した。
<実施例1−2〜1−7、比較例1−1〜1−10>
各実施例および比較例において、各原料の種類とその配合量を表3に示すように変えたこと以外は、実施例1−1と同様の方法により、ポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形品、およびラミネート加工品を製造した。
各実施例および比較例において、各原料の種類とその配合量を表3に示すように変えたこと以外は、実施例1−1と同様の方法により、ポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形品、およびラミネート加工品を製造した。
<実施例1−8>
ポリプロピレン樹脂(商品名「プライムポリプロ F113G」、(株)プライムポリマー製)1000gと、製造例2−2の表面物性改良剤組成物50gをドライブレンドした。その後、シリンダ温度210℃に設定されたスクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機((株)池貝製)を用いて、溶融混練(押出温度:210℃)した後、ペレタイズすることにより、ポリプロピレン樹脂組成物を製造した。得られたポリプロピレン樹脂組成物を、シリンダ温度210℃に設定されたラボプラストミル((株)東洋精機製)を用いて、先端にTダイ金型を設置して薄膜シート(1)を作製した。また、上記とは別のポリプロピレン樹脂(商品名「プライムポリプロ F113G」、(株)プライムポリマー製)を、シリンダ温度210℃に設定されたラボプラストミル((株)東洋精機製)を用いて、先端にTダイ金型を設置して、薄膜シート(2)(熱可塑性樹脂フィルム)を作製した。得られた薄膜シート(1)および(2)を加熱圧着した後、二軸延伸により厚さ30μmのポリプロピレン樹脂成形品(積層フィルム)を製造した。この積層フィルムの薄膜シート(2)側を厚さ0.5mmのA4サイズ紙の両面に加熱圧着することで、ラミネート加工品(ラミネート紙)を製造した。
ポリプロピレン樹脂(商品名「プライムポリプロ F113G」、(株)プライムポリマー製)1000gと、製造例2−2の表面物性改良剤組成物50gをドライブレンドした。その後、シリンダ温度210℃に設定されたスクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機((株)池貝製)を用いて、溶融混練(押出温度:210℃)した後、ペレタイズすることにより、ポリプロピレン樹脂組成物を製造した。得られたポリプロピレン樹脂組成物を、シリンダ温度210℃に設定されたラボプラストミル((株)東洋精機製)を用いて、先端にTダイ金型を設置して薄膜シート(1)を作製した。また、上記とは別のポリプロピレン樹脂(商品名「プライムポリプロ F113G」、(株)プライムポリマー製)を、シリンダ温度210℃に設定されたラボプラストミル((株)東洋精機製)を用いて、先端にTダイ金型を設置して、薄膜シート(2)(熱可塑性樹脂フィルム)を作製した。得られた薄膜シート(1)および(2)を加熱圧着した後、二軸延伸により厚さ30μmのポリプロピレン樹脂成形品(積層フィルム)を製造した。この積層フィルムの薄膜シート(2)側を厚さ0.5mmのA4サイズ紙の両面に加熱圧着することで、ラミネート加工品(ラミネート紙)を製造した。
<実施例1−9、比較例1−11>
各実施例および比較例において、各原料の種類とその配合量を表3に示すように変えたこと以外は、実施例1−8と同様の方法により、ポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形品、およびラミネート加工品を製造した。
各実施例および比較例において、各原料の種類とその配合量を表3に示すように変えたこと以外は、実施例1−8と同様の方法により、ポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形品、およびラミネート加工品を製造した。
上記で得られたラミネート加工品を用いて、耐ブリードアウト性、耐擦傷性、および耐ブロッキング性を以下の方法にて評価した。結果を表3に示す。
<耐ブリードアウト性の評価>
耐ブリードアウト性は、上記で得られたラミネート加工品(ラミネート紙)を目視により、以下の基準により評価した。
〇:ブリードアウト、小さな凹凸、およびムラなどの外観異常がない
△:ブリードアウト、小さな凹凸、およびムラなどの外観異常が少数ある
×:ブリードアウト、小さな凹凸、およびムラなどの外観異常が多数ある
耐ブリードアウト性は、上記で得られたラミネート加工品(ラミネート紙)を目視により、以下の基準により評価した。
〇:ブリードアウト、小さな凹凸、およびムラなどの外観異常がない
△:ブリードアウト、小さな凹凸、およびムラなどの外観異常が少数ある
×:ブリードアウト、小さな凹凸、およびムラなどの外観異常が多数ある
<耐擦傷性(スクラッチ試験)の評価>
耐擦傷性(スクラッチ試験)は、スクラッチテスター(カトーテック(株)製、製品名「KK−01」)を用いて、ISO19252に準拠した方法により、荷重1〜30N、スクラッチ速度100mm/s、スクラッチ距離100mm、チップφ=1mm(ステンレス)の条件にて、上記で得られたラミネート加工品(ラミネート紙)の表面に対して、スクラッチ試験を行い、白化傷が見え始める荷重(N)を測定して評価した。なお、荷重(N)は、異なる3つのラミネート紙における平均荷重値(N)である。
耐擦傷性(スクラッチ試験)は、スクラッチテスター(カトーテック(株)製、製品名「KK−01」)を用いて、ISO19252に準拠した方法により、荷重1〜30N、スクラッチ速度100mm/s、スクラッチ距離100mm、チップφ=1mm(ステンレス)の条件にて、上記で得られたラミネート加工品(ラミネート紙)の表面に対して、スクラッチ試験を行い、白化傷が見え始める荷重(N)を測定して評価した。なお、荷重(N)は、異なる3つのラミネート紙における平均荷重値(N)である。
<耐擦傷性(学振摩耗試験)の評価>
耐擦傷性(学振摩耗試験)の評価は、学振摩耗試験機((株)YASUDA製、製品名「NO416−TMI」)を用いて、綿帆布かなきん3号、垂直荷重700g、往復回数100回の条件で、上記で得られたラミネート加工品(ラミネート紙)と綿帆布とを擦れ合わせる試験を行い、以下の基準により評価した。下記評価点の値が高いほど、耐擦傷性が良好である。
1:傷がつき、摩耗粉が残る
2:傷の面積が75%以上100%未満
3:傷の面積が50%以上75%未満
4:傷の面積が25%以上50%未満
5:傷の面積が25%未満
6:傷が全く観察されない
耐擦傷性(学振摩耗試験)の評価は、学振摩耗試験機((株)YASUDA製、製品名「NO416−TMI」)を用いて、綿帆布かなきん3号、垂直荷重700g、往復回数100回の条件で、上記で得られたラミネート加工品(ラミネート紙)と綿帆布とを擦れ合わせる試験を行い、以下の基準により評価した。下記評価点の値が高いほど、耐擦傷性が良好である。
1:傷がつき、摩耗粉が残る
2:傷の面積が75%以上100%未満
3:傷の面積が50%以上75%未満
4:傷の面積が25%以上50%未満
5:傷の面積が25%未満
6:傷が全く観察されない
<耐ブロッキング性の評価>
耐ブロッキング性は、上記で得られたラミネート加工品(ラミネート紙)を5枚重ねて置き、その上に10kgfの荷重をかけた状態で温度23℃、湿度50%RHの恒温槽に10日間保管した後、ラミネート紙を恒温槽から取り出して、1枚ずつ剥がした際、ラミネート紙同士の密着、又は表面にラミネートしたポリプロピレンフィルムの破れの有無を目視で確認して、以下の基準により評価した。
〇:ブロッキングなし
×:ブロッキングあり
耐ブロッキング性は、上記で得られたラミネート加工品(ラミネート紙)を5枚重ねて置き、その上に10kgfの荷重をかけた状態で温度23℃、湿度50%RHの恒温槽に10日間保管した後、ラミネート紙を恒温槽から取り出して、1枚ずつ剥がした際、ラミネート紙同士の密着、又は表面にラミネートしたポリプロピレンフィルムの破れの有無を目視で確認して、以下の基準により評価した。
〇:ブロッキングなし
×:ブロッキングあり
<加熱試験後の各評価>
加熱試験は、上記で得られたラミネート加工品(ラミネート紙)を80℃に設定した恒温槽に300時間放置した後、上記同様に、耐ブリードアウト性、耐擦傷性、および耐ブロッキング性の評価を行って評価した。
加熱試験は、上記で得られたラミネート加工品(ラミネート紙)を80℃に設定した恒温槽に300時間放置した後、上記同様に、耐ブリードアウト性、耐擦傷性、および耐ブロッキング性の評価を行って評価した。
<総合評価の基準>
総合評価の基準は、耐熱試験前後において、耐ブリードアウト性の評価が△または〇、スクラッチ試験による耐擦傷性の評価が10N以上、学振摩耗試験による耐擦傷性の評価が3以上、耐ブロッキング性の評価が〇であるものを合格基準とした。
総合評価の基準は、耐熱試験前後において、耐ブリードアウト性の評価が△または〇、スクラッチ試験による耐擦傷性の評価が10N以上、学振摩耗試験による耐擦傷性の評価が3以上、耐ブロッキング性の評価が〇であるものを合格基準とした。
表3中、
PPは、ポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製、商品名「プライムポリプロ F113G」);
PETは、ポリエチレンテレフタレート((株)ベルポリエステルプロダクツ製、商品名「ベルペットBK1」);
EAは、エルカ酸アミド(日本精化(株)製、商品名「ニュートロンS」);
EBSAは、エチレンビスステアリン酸アミド(三菱ケミカル(株)製、商品名「スリパックスE」);を示す。
PPは、ポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製、商品名「プライムポリプロ F113G」);
PETは、ポリエチレンテレフタレート((株)ベルポリエステルプロダクツ製、商品名「ベルペットBK1」);
EAは、エルカ酸アミド(日本精化(株)製、商品名「ニュートロンS」);
EBSAは、エチレンビスステアリン酸アミド(三菱ケミカル(株)製、商品名「スリパックスE」);を示す。
Claims (7)
- ポリプロピレン樹脂と、表面物性改良剤組成物を含有するポリプロピレン樹脂組成物であって、
前記表面物性改良剤組成物は、エチレン−ビニル共重合体(A)と、脂肪酸ビスアミド(B)と、グラフト重合体(C)を含有し、
前記グラフト重合体(C)は、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)と、ビニル系共重合体セグメント(C2)を有し、
前記ビニル系共重合体セグメント(C2)は、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、およびシアン化ビニル単量体からなる群より選ばれる1種以上のビニル系単量体に由来する構成単位を有し、
前記グラフト共重合体(C)中、前記エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体セグメント(C1)の割合が、50質量%以上85質量%以下であり、
前記表面物性改良剤組成物中、前記エチレン−ビニル共重合体(A)の割合は40質量%以上80質量%以下であり、前記脂肪酸ビスアミド(B)の割合は15質量%以上55質量%以下であり、前記グラフト重合体(C)の割合は0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物。 - 前記脂肪酸ビスアミド(B)は、
一般式(1):R1−CONH−(CH2)n−NHCO−R2
(一般式(1)中、R1およびR2は、独立して、炭素数6以上35以下の飽和または不飽和の炭化水素基を表し、nは1〜6の整数を表す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン樹脂組成物。 - 前記表面物性改良剤組成物中、エチレン−ビニル共重合体(A)と、脂肪酸ビスアミド(B)と、グラフト重合体(C)の合計の割合が、90質量%超であることを特徴とする請求項1または2記載のポリプロピレン樹脂組成物。
- 前記ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、前記表面物性改良剤組成物が0.1質量部以上20質量部以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物から得られることを特徴とするポリプロピレン樹脂成形品。
- ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項5記載のポリプロピレン樹脂成形品。
- 請求項5または6記載のポリプロピレン樹脂成形品を基材にラミネート加工して得られることを特徴とするラミネート成形品。
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JP2019065455A JP2020164618A (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | ポリプロピレン樹脂組成物、ポリプロピレン樹脂成形品、およびラミネート成形品 |
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CN114350061A (zh) * | 2021-11-30 | 2022-04-15 | 金发科技股份有限公司 | 一种聚丙烯组合物及其制备方法和应用 |
-
2019
- 2019-03-29 JP JP2019065455A patent/JP2020164618A/ja active Pending
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