JP2020164426A - ロールオン型エアゾール製品 - Google Patents

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康輝 稲田
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Abstract

【課題】転動体の転がりの不都合を生じ難いロールオン型エアゾール製品を提供する。【解決手段】原液及び噴射剤からなる内容物が加圧充填されたエアゾール容器3に、球状の外表面を有する転動体6と、球状の内表面を有する凹部41内に前記転動体6を、その一部分が露出する状態で転動可能に保持するホルダー4と、を具備するアクチュエータ2が装着され、前記転動体6を押圧することで、前記エアゾール容器3に突設されたステム94が押し込まれ、前記内容物が噴出するように構成されたロールオン型エアゾール製品1であり、前記原液がシリカを含有し、シリカが20〜80質量%の所定の疎水性シリカ及び20〜80質量%の所定の親水性シリカを含有するシリカである、又は80質量%超、100質量%以下の所定の疎水性シリカを含有するシリカである【選択図】図1

Description

本発明は、転動体を介して内容物を皮膚表面に塗布するように構成されたロールオン型エアゾール製品に関するものである。
球状の転動体を介して体臭抑制剤やサンスクリーン剤等の皮膚外用剤を皮膚に塗布する、いわゆるロールオン型の皮膚外用製品等においても、近年、エアゾール容器を利用したものが提案されている(特許文献1)。その種のエアゾール容器には、球状の転動体と、その転動体を回動可能に保持するホルダーとを備えたアクチュエータが取り付けられる。転動体を皮膚に押し当てるとアクチュエータがステムを押し込んでエアゾールバルブが開弁され、エアゾール容器に充填された内容物がステムから噴出し、ホルダーに設けられた噴出孔を通って転動体の外表面に付着する。その転動体を皮膚に沿って転動させることで、内容物を対象部位に塗布することができる。
一方、体臭抑制効果及び使用感を向上させることを目的としてシリカなどの粉体を含有する体臭抑制剤が知られている(特許文献2)。
特開2001−354512号公報 特開2001−240163号公報
しかし、上記従来のようなロールオン型エアゾール製品は、転動体を塗布対象の皮膚に押し当てて内容物を噴出させることで使用するが、内容物がシリカなどの粉体を含有する場合、ホルダーと転動体との間隙に粉体が残留するなどして、転動体の転がりに不都合を生じる。
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、転動体の転がりの不都合を生じ難いロールオン型エアゾール製品を提供することを目的としている。
上記課題を解決するための本発明のロールオン型エアゾール製品は、原液及び噴射剤からなる内容物が加圧充填されたエアゾール容器に、球状の外表面を有する転動体と、球状の内表面を有する凹部内に前記転動体を、その一部分が露出する状態で転動可能に保持するホルダーと、を具備するアクチュエータが装着され、前記転動体を押圧することで、前記エアゾール容器に突設されたステムが押し込まれ、前記内容物が噴出するように構成されたロールオン型エアゾール製品であり、前記原液がシリカを含有し、前記シリカが、20〜80質量%の下記シリカA及び20〜80質量%の下記シリカBを含有するシリカである、又は80質量%超100質量%以下の下記シリカAを含有するシリカである。
シリカA:疎水性シリカ
シリカB:平均粒子径が10.0〜15.0μmであり、球状の親水性シリカ
上記ロールオン型エアゾール製品において、エアゾール容器の内容物は、原液10〜40質量%、噴射剤60〜90質量%、原液中のシリカの含有量が0.2〜2.0質量%となされたものであってもよい。
上記ロールオン型エアゾール製品において、内容物がデオドラント組成物であってもよい。
以上述べたように、本発明のロールオン型エアゾール製品は、内容物の原液に含有されたシリカが、20〜80質量%の所定の疎水性シリカ及び20〜80質量%の所定の親水性シリカを含有するシリカである、又は80質量%超、100質量%以下の所定の疎水性シリカを含有するシリカであるので、当該エアゾール製品の内容物は、ホルダーと転動体との間隙に残留し難く、転がりの不都合を生じ難くすることができる。
本発明の一実施形態に係るロールオン型エアゾール製品の外観と、そのアクチュエータ部分の部品構成を示す斜視図である。 図1に係るロールオン型エアゾール製品における不使用時(内容物を噴出させないとき)を示す部分破断断面図である。 図2における使用時(内容物を噴出させるとき)を示す部分破断断面図である。 (a)は、前記ロールオン型エアゾール製品におけるホルダーの上面図、(b)は同底面図(b)である。 (a)は、前記ロールオン型エアゾール製品における肩カバーの上面図、(b)は同肩カバーのA−A断面図である。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、部位・部材の位置関係や向きを示す際には、ロールオン型エアゾール製品1を直立させた図1に示す状態を基準にして、上下方向及び水平方向を特定することとする。
図1は、本発明に係るロールオン型エアゾール製品1の全体構成の概略を示し、図2及び図3は、同ロールオン型エアゾール製品1の不使用時(内容物を噴出させないとき)及び使用時(内容物を噴出させるとき)を示している。
このロールオン型エアゾール製品1は、アクチュエータ2が、エアゾール容器3に装着されてなり、アクチュエータ2の転動体6を押圧することにより、エアゾール容器3内と外気とが連通することで、原液及び噴射剤からなる内容物が噴出するようになされている。前記原液は、シリカを含有し、当該シリカが、20〜80質量%の所定の疎水性シリカ及び20〜80質量%の所定の親水性シリカを含有するシリカである、又は80質量%超、100質量%以下の所定の疎水性シリカを含有するシリカである。
アクチュエータ2は、球状の滑らかな外表面を有する転動体6と、その転動体6を転動自在に保持するホルダー4と、ホルダー4を転動体6の押圧に応じて上下動可能に保持する肩カバー5と、肩カバー5の上方に被せられてホルダー4及び転動体6を覆うキャップ7と、の4部材を組み合わせて構成されている。
転動体6は、球状に形成されており、外表面は、エアゾール容器3から噴出された内容物が付着して濡れ、当該内容物を保持できる程度の荒さに形成されている。転動体6は、外表面の一部分に、当該外表面に噴射された内容物を保持するための溝(図示省略)が形成されたものであってもよい。この転動体6の大きさとしては、特に限定されるものではなく、例えば、直径1cm以上5cm以下に形成されたものを使用することができ、直径2cm以上4cm以下に形成されたものがより好ましい。直径が1cm未満になると、転動体6を皮膚表面に押し当てた際に皮膚が減り込んでしまいやすくなり、直径が5cmを超えると、転動体6に付着した内容物を皮膚表面に塗る際に所望の位置に塗り難くなる。
ホルダー4は、球状の滑らかな内表面を有する凹部41が、上向きに開口するように形成されている。この凹部41は、その底部中央に形成された噴出孔42を除いて内表面全体が隙間なく液密的に連続するように一体成形されている。この凹部41内の噴出孔42の周囲には、図4に示すように、当該凹部41内に圧入される転動体6の外表面を点支持するための突起部43が設けられている。これにより、この凹部41内に圧入された転動体6は、一部分が上方に露出した状態で、突起部43によって点支持され、任意の方向に転動可能に保持される。凹部41の底側には、噴出孔42に連通する略円筒状のステム接続部44が下向きに突設されている。このステム接続部44は、エアゾール容器3から突出するステム94の上部に嵌装されて、内容物の導出路となる。
また、ステム接続部44と同心状をなすようにして、ステム接続部44の外側に略円筒状の遊挿筒部45が下向きに突設されている。この遊挿筒部45は、肩カバー5の内側に収容されて、転動体6の押圧によるホルダー4の上下動を安定させる作用をなす。ステム接続部44と遊挿筒部45とは、互いの下端縁の高さがほぼ揃えられている。
また、凹部41の高さ方向における中間部分の側面には、その全周を取り巻くようにして、縦断面略L字形のカラー部46が設けられている。さらに、カラー部46の周方向における3か所から下向きに係合片47が延設されている。3か所の係合片47は、平面視においてホルダー4の軸心周りの中心角を略三等分する位置に設けられており、下方への延出長さは揃えられている。係合片47の外側面には鈎状の係合突起48が突設されて、この係合突起48が後述する肩カバー5の被係合部に係止される。
肩カバー5は、中央にホルダー4を収容する孔部を備えた略円筒状の部材である。肩カバー5には、内側から順に、ホルダー4の遊挿筒部45を包囲してホルダー4の上下動を案内する略円筒状のガイド筒部51と、その外側を包囲する略円筒状の内側周壁部52と、さらにその外側を包囲する略円筒状の外側周壁部53と、外側周壁部53の下端部から外側周壁部53よりも若干、拡径して下向きに延設された略円筒状のスカート部54と、が設けられている。
ガイド筒部51と内側周壁部52とは、ガイド筒部51の下端縁から全周にわたって水平方向に張り出したフランジ部55を介して同心状に結合されている。内側周壁部52の上端縁はガイド筒部51の上端縁よりも上方まで立ち上げられている。フランジ部55よりも下方に延設された内側周壁部52の下端縁は、エアゾール容器3の容器本体8とマウンテンカップ81とのクリンチ部分に嵌装可能な嵌着部56となっており、この嵌着部56を介して肩カバー5がエアゾール容器3に取り付けられる。
内側周壁部52と外側周壁部53とは、内側周壁部52の上端縁寄りの位置から水平方向に張り出したブリッジ部57を介して同心状に結合されている。外側周壁部53の上端縁は内側周壁部52の上端縁よりも上方まで立ち上げられている。ブリッジ部57には、図5に示すように、上面視略円弧状の係合溝58が、周方向にわたって6か所に形成されている。6か所の係合溝58は、平面視において肩カバー5の軸心周りの中心角を略六等分する位置に設けられている。
そして、ホルダー4に突設された3か所の係合片47が、内側周壁部52と外側周壁部53との間からこれらの係合溝58に挿入されて、図2に示すように、係合片47の係合突起48がブリッジ部57の下面(外側周壁部53の下端縁)に係合される。つまり、ブリッジ部57に形成された係合溝58の下側開口縁が、係合片47を係合させるための被係合部となる。かかる係合形態により、ホルダー4が肩カバー5に対して、容易には抜脱しないように装着される。この状態でホルダー4が、一定のストローク(図2中の白抜矢符)で上下動可能となり、転動体6及びホルダー4の押下げに応じてエアゾール容器3のステム94が押込まれるようになる。
エアゾール容器3は、容器本体8、容器本体8に取り付けられたバルブ9等により構成されている。
容器本体8は、頭頂部に備えられたマウンテンカップ81のボス部81aにバルブ9のハウジング91等が嵌着され、バルブ9上端部にアクチュエータ2が装着されている。また、バルブ9の下端部からはディップチューブ92が下方に延設されており、ディップチューブ92の下部は容器本体8の液相L内に浸漬されている。
バルブ9は、エアゾール容器3の容器本体8の頭頂部に設けられたハウジング91と、ハウジング91上部から突出して設けられ且つ付勢手段93により上方向に付勢されたステム94を有する。また、ハウジング91の内部空間は、ステム基端部94aが挿入される上方空間901と、ディップチューブ92の内部空間と連通する下方空間902とを備えており、上方空間901と下方空間902とは連通している。ディップチューブ92から吸い上げられた液相Lは、下方空間902を通ってハウジング91内へ吸い上げられる。即ち、ハウジング91は、容器本体8に充填された内容物が流入孔から流入するように構成されている。また、ステム94は、該ステム94の内部流路に内容物を導入するためのステムオリフィス孔940を少なくとも有する。このステムオリフィス孔940としては、その大きさを特に限定されるものではないが、アクチュエータ2の転動体6を押圧して内容物を噴出させるために必要な押圧力を6N以上14N以下に調整しやすいという観点から、ステムオリフィス孔940が0.28mm以上の開口面積を有するものであることが好ましい。開口面積の上限値としては、特に限定されないが、1.6mm以下が好ましい。なお、ステムオリフィス孔940は、一つであってもよいし(本実施の形態)、複数であってもよい。複数の場合は、当該複数のステムオリフィス孔940の開口面積の総合計が上記した範囲内であることが好ましい。
なお、付勢手段93としてはコイルバネ等を用いることができる。
エアゾール容器3における内容物の噴出操作について説明することにより、アクチュエータ2についてより詳しく説明する。
図2は不使用時(噴出時以外のとき)の状態を示し、図3は使用時(噴出時)の状態を示している。図2に示すように、不使用時、ステム94は付勢手段93により上方向へと付勢されている。これにより、ステム94下部とハウジング91上部とがシールラバー95を介して密接した状態、即ちアクチュエータ2が閉鎖した状態となっている。
そして、内容物を噴出させる際は、図3に示すように、付勢手段93の上方向の付勢力に抗してステム94を下動させることにより、アクチュエータ2を開放する。具体的には、アクチュエータ2の転動体6を皮膚に押し当てて、当該転動体6が圧入されたホルダー4ごと押圧することで、ステム94を押し下げる。ステム94を押し下げると、シールラバー95が下方へ撓みステムオリフィス孔940が開放される。そして、容器本体8内に充填された液相Lの界面が気相Gによって下方向に押され、内容物がディップチューブ92から吸い上げられる。ディップチューブ92から吸い上げられた内容物は、下方空間902、上方空間901、ステムオリフィス孔940、ステム94の内部流路941を順に通って、ホルダー4の噴出孔42から、当該ホルダー4と転動体6との間隙に噴出されて、当該間隙に充填されることで、転動体6の外表面を濡らす。この状態で、露出している転動体6の外表面を皮膚に沿って、転動させることで、転動体6の外表面に付着した内容物は、転動体6を介して皮膚に塗布することができることとなる。
なお、ハウジング91の上方空間901には、当該上方空間901と容器本体8内とを連通させる気相取込開口903が設けられていてもよい。この気相取込開口903があると、上方空間901に吸い上げられた液相Lの内容物が、気相取込開口903から上方空間901に取り入れられる気相Gと混合されて、内容物を霧状にすることができる。ただし、気相Gが多すぎると、噴射剤の消耗が多くなってしまい、かつ、転動体6に十分な量の液相Lの内容物を噴射することができなくなってしまうので、全体に対する気相Gの割合が0〜30%の範囲となるように、気相取込開口903の大きさを設定することが好ましい。
(内容物)
エアゾール容器3に充填される内容物は、原液と噴射剤とから構成される。上記原液と上記噴射剤とは、原液中に噴射剤の一部が溶け込み完全に相溶して均一になった状態で存在していてもよいし、噴射剤が原液に溶け込まず両者が不均一な状態で存在していてもよい。
図2及び図3は、内容物が容器内に収容されている一例を示す。一般的には、上記内容物は、容器本体8の中において、液相Lと気相Gに分離して存在している。気相Gは噴射剤の気体成分から構成されている。また、液相Lは、原液のみから構成されているか、又は、噴射剤の液体成分と原液とから構成されている。なお、液相Lは、原液中の固体成分(粉体など)を含んでいる。本願発明では、原液中の必須の固形成分として、体臭抑制効果や使用感の向上を図るために、シリカを含んでいる。
上記シリカは、原液中に0.2質量%以上2.0質量%以下の範囲で含有されていることが好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下の範囲で含有されていることがより好ましく、0.8質量%以上1.2質量%以下の範囲で含有されていることがさらに好ましい。原液中にシリカを0.2質量%以上含有することで、シリカ配合による優れた使用感が充分に得られることとなり、2.0質量%以下含有することで、きしみを抑制して優れた使用感が得られることとなる。
上記シリカは、20〜80質量%の下記シリカA及び20〜80質量%の下記シリカBを含有するシリカである、又は80質量%超100質量%以下の下記シリカAを含有するシリカである。
シリカA:疎水性シリカ
シリカB:平均粒子径が10〜15μmであり、球状の親水性シリカ
シリカAは、疎水性シリカである。疎水性シリカは、無水ケイ酸(例えば、未処理の無水ケイ酸)が疎水化処理された物質である。疎水化処理に用いられる処理剤としては、有機シリル化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。上記有機シリル化合物としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、トリメチルアルコキシシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、長鎖アルキルトリクロロシラン、エチルトリアルコキシシラン、プロピルトリアルコキシシラン、ヘキシルトリアルコキシシラン、長鎖アルキルトリアルコキシシラン、メタクリルシラン、フルオロアルキルシラン及びペルフルオロアルキルシラン等が挙げられる。上記シリコーン化合物としては、ジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン及びアミノ変性シリコーン等が挙げられる。上記疎水化処理の方法として、公知の方法を採用可能である。上記疎水化処理の方法としては、液相法、気相法及びオートクレーブ法等が挙げられる。
シリカAとして用いることができるシリカとしては、球状シリカや不定形シリカが挙げられる。球状シリカとしては、その形状が球状であれば、特に限定されるものではなく、その表面が無孔質あるいは多孔質のいずれであってもよい。球状シリカの製造方法についても特に制限はなく、種々の方法で製造したシリカを使用することができる。例えば、界面活性剤を含む非極性有機溶媒中で珪酸塩の微粒子状の液滴を形成した後、炭酸ガスでゲル化し、洗浄、乾燥することにより球状シリカが得られる。また、溶剤中で珪酸エステルの微粒子の液滴を形成した後、アンモニア等でゲル化することによっても得られる。さらに、シリカゾルをスプレードライで乾燥することによっても球状シリカが得られる。尚、前記方法で得られるシリカは多孔質であるが、無孔質シリカの場合、例えば、球状の多孔質シリカを高温の気流中で焼成することにより、無孔質の球状シリカを得ることができる(例えば、特開平4−83712号公報参照)。一方、不定形シリカとしては、その形状が球状以外であれば、いずれの形状であっても特に限定されるものではなく、例えば、破砕、粉砕等された不定形な形状、鱗片状、楕円体状、直方体状、多面体形状、中空球状、薄片状等を例示することができる。使用感の観点から、球状シリカをシリカAとして用いることが好ましい。
シリカAの平均粒子径は、1.0μm以上10.0μm以下が好ましく、4.0μm以上8.0μm以下がより好ましい。シリカAの平均粒子径を1.0μm以上とすることで、使用感がより一層向上することとなる。また、シリカAの平均粒子径を10.0μm以下とすることで、皮膚に塗布された内容物が白浮きし難くなる。シリカAの平均粒子径(平均1次粒子径)は、体積平均粒子径であり、レーザー光回折による粒度分布測定装置を用いて測定可能な値である。前記粒度分布測定装置としては、株式会社堀場製作所製「LA−920」等が挙げられる。
シリカAのシリカ全体中の含有量が20質量%以上であれば、シリカ全量の100質量%までの範囲で含有されていても良い。ただし、シリカAのシリカ全体中の含有量が20質量%以上80質量%以下の場合は、シリカA以外のシリカとして後述のシリカBを用いることで、転動体6の不都合を生じ難くすることができ、シリカ全体がシリカA及びシリカBのみを含有することが好ましい。シリカA及びシリカBを併用する場合のシリカAのシリカ全体中の含有量は、20質量%以上80質量%以下であり、25質量%以上60質量%以下が好ましい。シリカAの含有量がシリカ全体の20質量%未満の場合は、転動体6の転がりに不都合を生じることとなる。シリカAの含有量がシリカ全体の80質量%以下であり、シリカBを含有する場合は、内容物が転動体6を介して皮膚に接触する際の馴染みが良くなり、使用感が向上することとなる。一方、シリカAのシリカ全体中の含有量が80質量%超100質量%未満の場合は、シリカB以外のシリカと併用することができる。
シリカBは、平均粒子径が10.0μm以上15.0μm以下であり、球状の親水性シリカである。親水性シリカには、一般的なシリカ、例えば、疎水化処理が施されていないシリカ(さらに、表面処理が施されていないシリカ)が該当する。
シリカBの平均粒子径は、10.0μm以上15.0μm以下であり、11.0μm以上14.0μm以下が好ましく、12.0μm以上13.0μm以下がより好ましい。シリカBの平均粒子径を10.0μm以上15.0μm以下とすることで、シリカAとシリカBとを併用する場合であっても、転動体6の不都合を生じ難くすることができる。シリカBの平均粒子径(平均1次粒子径)は、体積平均粒子径であり、レーザー光回折による粒度分布測定装置を用いて測定可能な値である。前記粒度分布測定装置としては、株式会社堀場製作所製「LA−920」等が挙げられる。
シリカBは球状シリカである。球状シリカとしては、シリカAと同様の球状シリカを用いることができる。
シリカAとシリカBとを併用する場合、シリカBのシリカ全体中の含有量は、20質量%以上80質量%以下であり、40質量%以上75質量%以下が好ましい。シリカBの含有量をシリカ全体の20質量%以上の量とすることで、内容物が転動体6を介して皮膚に接触する際の馴染みが良くなり、使用感が向上することとなる。シリカBの含有量をシリカ全体の80質量%以下とすることで、転動体6の転がりの不都合をより生じ難くすることができる。
上記噴射剤としては、特に限定されないが、空気、窒素、炭酸ガス、亜酸化窒素等のガス(特に、圧縮ガスが好ましい);液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)、ジメチルエーテル(DME:Dimethyl ether)、イソペンタン、フロロカーボン等の液化ガスなどが挙げられる。上記噴射剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、例えば、液化ガスのみ、圧縮ガスのみを用いてもよいし、液化ガスと圧縮ガスを併用してもよい。
上記液化ガスとしては、中でも、噴射力、環境保全や生産性の観点から、LPG、DMEが好ましく、特にLPGはプロパンやブタンの比率により冷却能、噴射能を制御できるためより好ましい。上記LPGとしては、特に限定されないが、プロパンを0.1〜50質量%(より好ましくは1〜20質量%)、及びブタンを50〜99.9質量%(より好ましくは80〜99質量%)含むLPGが好ましい。
噴射剤として用いられる液化ガスの20℃における蒸気圧は、0.20MPa以下(例えば、0.1〜0.20MPa)が好ましく、より好ましくは0.15〜0.20MPaである。上記蒸気圧が0.20MPa以下であることにより、ロールオン型エアゾール製品1の転動体6を押圧して内容物を噴出させるために必要な押圧力を6N以上14N以下に調整しやすくなるため好ましい。
ロールオン型エアゾール製品1の製品初期内圧は、35℃において0.2MPa以上0.35MPa以下に調整することが好ましく、0.25MPa以上0.3MPa以下に調整することがより好ましい。上記製品初期内圧が35℃で0.2MPa未満になると、ロールオン型エアゾール製品1の使用末期に内容物を十分に噴射することができなくなってしまう。また、上記製品初期内圧が35℃で0.35MPaを超えると、ロールオン型エアゾール製品1の使用初期に、製品内圧が高すぎるため、転動体6を腋窩に押し当てて内容物を噴射させる際に強く押し当てる必要があり、転動体6を押圧して内容物を噴出させるために必要な押圧力を14N以下に調整することが困難になってしまう。上記した製品初期内圧の調整は、使用する噴射剤の蒸気圧や、この噴射剤と内容物との使用割合等に応じて行われる。充填時に容器本体8内を減圧して所望の真空度にしてから充填することで、上記した範囲に内圧を調整するものであってもよい。
上記内容物中の原液の含有量は、特に限定されないが、内容物100質量%に対して、10質量%以上40質量%以下が好ましく、20質量%以上35質量%以下がより好ましい。また、上記内容物中の噴射剤の含有量は、内容物100質量%に対して、60質量%以上90質量%以下が好ましく、65質量%以上80質量%以下がより好ましい。なお、上記内容物は、原液と噴射剤のみから構成される。即ち、内容物中の原液の含有量と噴射剤の含有量の合計量は100質量%である。
上記原液としては、ロールオン型で使用できるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、デオドラント組成物やサンスクリーン組成物などが挙げられる。特にデオドラント組成物が好ましい。
デオドラント組成物としては、溶媒としてのエタノールに、制汗剤、殺菌剤、増粘剤、界面活性剤、シリカ以外の粉体、その他の成分等を含有して構成される。
エタノールは、組成物100質量%中50質量%以上の使用量で使用される。特に、組成物100質量%中90質量%以上の含有量とすることで、優れた清涼感を得ることができる。また、エタノールは適量の水で希釈されたものであってもよい。
制汗剤としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。
殺菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、ハロカルバン、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、塩化リゾチーム等の殺菌剤が挙げられる。
増粘剤としては、シャクヤク、ボタンピ、ビワ、アロエ等の植物抽出エキス;カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム等の増粘性高分子が挙げられる。
界面活性剤としては、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素;1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、グリセリン等の多価アルコール;セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテル(3E.O.)等の界面活性剤が挙げられる。
その他の成分として含まれる成分は、本発明に係るロールオン型エアゾール製品1の用途によっても異なり、特に限定されないが、例えば、香料;酸化亜鉛、酸化チタン等の紫外線散乱剤;メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等の紫外線吸収剤;シクロペンタシロキサン、ハイドロゲンジメチコン、カプリリルメチコン、ジメチコン等のシリコーン油;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル等の脂肪酸エステル;フェノキシエタノール、オクトキシグリセリン、メチルパラベン等の防腐剤;メントール、メンチルグリセリルエーテル、メンチルラクテート、メントール配糖体、カンファー、ハッカ油、ペパーミント油、ユーカリプタスオイル等の冷感剤;グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ステアリル等の抗炎症剤;トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;アルブチン、アスコルビン酸等の美白剤;酸化亜鉛、アルキルジエタノールアミド、ヒドロキシアパタイト、茶抽出物等の消臭剤;アクリル樹脂アルカノールアミン液、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩液、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体液等の皮膜剤高分子化合物;クエン酸、クエン酸ナトリウム等のpH調整剤;エデト酸塩、リン酸、ポリリン酸ナトリウム等の金属イオン封鎖剤などが挙げられる。
シリカ以外の粉体としては、タルク、ナイロンパウダー等が挙げられ、塗布部位に優れたサラサラ感を付与できるという観点からタルクを用いることが好ましい。
シリカ以外の粉体を含有する場合、原液中のシリカ以外の粉体の含有量は、0.2質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.2質量%以上3.0質量%以下がより好ましい。この範囲内で知り海外の粉体を含有することで転動体6の転がりの不都合を生じ難さを損なうことなく、シリカ以外の粉体を含有することの効果が充分に得られる。転動体6の転がりの不都合がより生じ難くいという観点からはシリカ以外の粉体を含有しないことが好ましい。
このようにして構成されるロールオン型エアゾール製品1によると、内容物の原液に含有されたシリカが、20〜80質量%の所定の疎水性シリカ及び20〜80質量%の所定の親水性シリカを含有するシリカである、又は80質量%超、100質量%以下の所定の疎水性シリカを含有するシリカであるのでので、当該エアゾール製品の内容物は、ホルダーと転動体との間隙に残留し難く、転がりの不都合を生じ難くすることができる。
(実施例1−12、比較例1−11)
各種の親水性及び疎水性のシリカを用いて、表1に示す内容物を調製し、各ロールオン型エアゾール製品を製造した。
内容物に用いた疎水性シリカ及び親水性シリカとしては表2に示すものを使用し、噴射剤としては液化石油ガス(LPG)を用いた。
そして、下記の評価方法により、転動性試験を行った。結果を表1に示す。
<評価方法>
転動性試験
表1に示す各実施例及び比較例の処方で調製された内容物が充填された、各ロールオン型エアゾール製品を用意した。
各ロールオン型エアゾール製品は、卓上に敷いたペーパータオル(日本製紙クレシア株式会社製 商品名:キムタオル)に対して転動体を転がすことにより転動性試験を行った。
なお、当該試験は、転動体を下方にした状態で、当該転動体をペーパータオルに2秒間押し当てて、エアゾール容器内の内容物を転動体の外表面に噴出させた後、ペーパータオル上で10cmを5往復転がすことを1セット(2秒噴射+5往復)とし、これを15セットの合計75往復行うことによって実施した。評価は、下記の評価基準に従った。
A:転動体の動作の不都合が75往復中2回未満
B:転動体の動作の不都合が75往復中2回以上、5回未満
C:転動体の動作の不都合が75往復中5回以上、10回未満
D:転動体の動作の不都合が75往復中10回以上
「転動体の動作の不都合」とは、転動体を10cmの範囲で1往復させた際に、ペーパータオルに接して転動体が転がらなかった場合を少しでも生じた場合を言う。
Figure 2020164426
Figure 2020164426
以上の結果から、本発明にかかるロールオン型エアゾール製品は、転動体の転がりに不都合を生じることなく、優れた使用感が得られることが確認できた。
1 ロールオン型エアゾール製品
2 アクチュエータ
3 エアゾール容器
4 ホルダー
41 凹部
6 転動体
94 ステム

Claims (3)

  1. 原液及び噴射剤からなる内容物が加圧充填されたエアゾール容器に、
    球状の外表面を有する転動体と、球状の内表面を有する凹部内に前記転動体を、その一部分が露出する状態で転動可能に保持するホルダーと、を具備するアクチュエータが装着され、
    前記転動体を押圧することで、前記エアゾール容器に突設されたステムが押し込まれ、前記内容物が噴出するように構成されたロールオン型エアゾール製品であり、
    前記原液がシリカを含有し、
    前記シリカが、20〜80質量%の下記シリカA及び20〜80質量%の下記シリカBを含有するシリカである、又は80質量%超100質量%以下の下記シリカAを含有するシリカであるロールオン型エアゾール製品。
    シリカA:疎水性シリカ
    シリカB:平均粒子径が10.0〜15.0μmであり、球状の親水性シリカ
  2. エアゾール容器の内容物は、
    原液10〜40質量%、
    噴射剤60〜90質量%、
    原液中のシリカの含有量が0.2〜2.0質量%となされた請求項1に記載のロールオン型エアゾール製品。
  3. 内容物がデオドラント組成物である請求項1又は2に記載のロールオン型エアゾール製品。
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