JP2020159298A - 内燃機関制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】気筒の筒内における混合気の状態を正確に推定することができる内燃機関制御装置を提供する。【解決手段】内燃機関制御装置10は、点火プラグが筒内の混合気を点火する点火時期、インジェクターが筒内に燃料の噴射が開始される燃料噴射開始時期を取得する制御部101、110を備えている。制御部101、110は、点火時期及び燃料噴射開始時期に基づいて、筒内における混合気の分布の散らばり度合いを算出する。【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関制御装置に関するものである。
内燃機関では、燃料と空気が混合された混合気が燃焼する際に、粒子状物資(PM:Particulate Matter)が生成される。特に、シリンダの燃料室内に直接燃料を噴射するエンジン、いわゆる直噴エンジンでは、局所的に燃料の割合が濃くなる混合気(以下、リッチ混合気と称す)が存在する。そのため、直噴エンジンの燃料室内は、混合気における空気の燃料の割合が不均一な状態になりやすく、PM排出量が増加する。
そのため、内燃機関の排気に含まれるPMを低減させるために、PM捕集フィルタが設けられている。PM捕集フィルタは、目詰まりを防ぐために、捕集したPMを燃焼させて除去する必要がある。この際、PMがPM捕集フィルタに過大に堆積していると、PMの燃焼によりPM捕集フィルタの温度が過度に上昇し、フィルタが破損する恐れがある。そのため、PM捕集フィルタに堆積しているPMの量を正確に把握する必要があり、PM捕集フィルタに流入するPMの量を推定することが重要となる。
また、PMは、特定の温度域において、リッチ混合気と燃料が付着した箇所で生成量が増加する。そのため、PMの量を推定するためには、筒内内での混合気の状態や、筒内の壁面に付着した燃料の割合を推定することが重要となる。混合気の状態を推定する技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。
特許文献1には、噴射燃料区分手段と、混合気状態推定手段と、を備えた技術が記載されている。噴射燃料区分手段は、内燃機関の筒内内にて所定の噴射開始時点から所定の噴射期間だけ連続して噴射される燃料を複数の部分に区分する。そして、混合気状態推定手段は、区分された噴射燃料の各部分が所定の噴射開始時点からの時間経過に従って独立して順次噴射されていくとの仮定のもと、噴射燃料の各部分が筒内内に吸入されている筒内ガスと混ざり合って形成されていくそれぞれの混合気の状態を個別に推定する。
特許文献1に記載された技術は、内燃機関としてディーゼルエンジンにおける混合気の状態を推定する技術である。ディーゼルエンジンは、燃料噴射装置から噴射された燃料が蒸発し、空気を取り込みながら燃焼が進行する拡散燃焼である。そして、拡散燃焼は、燃料噴霧の移動と燃焼反応が同時に進行するため、燃料噴霧が燃焼を支配している。
特開2006−274991号公報
しかしながら、ガソリンエンジンは、燃料と空気からなる混合気が点火プラグで発生する点火エネルギーによって活性化され、燃焼を開始し、火炎伝播と呼ばれる燃焼形態で開演が筒内内を進行する予混合燃焼である。予混合燃焼は、混合気と点火時期が燃焼を支配しているため、ディーゼルエンジンの燃焼とは異なる。そして、ガソリンエンジンは、通常、吸気行程時に燃料を噴射している。
そのため、特許文献1に記載された技術を適用した場合、1サイクルあたりの計算期間が長期化し、燃料を分割する領域が増加する。その結果、特許文献1に記載された技術では、計算負荷が増大し、筒内内における燃料と空気の混合状態、すなわち混合気の状態を正確に推定することが困難なものとなっていた。
本目的は、上記の問題点を考慮し、気筒の筒内における混合気の状態を正確に推定することができる内燃機関制御装置を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するため、内燃機関制御装置は、内燃機関を制御する内燃機関制御装置である。内燃機関は、気筒と、気筒の筒内を摺動するピストンと、ピストンに接続されたクランクシャフトと、気筒の筒内に燃料を噴射するインジェクターと、筒内において空気と燃料が混合した混合気を点火させる点火プラグと、を有している。
内燃機関制御装置は、点火プラグが筒内の混合気を点火する点火時期、インジェクターが筒内に燃料の噴射が開始される燃料噴射開始時期を取得する制御部を備えている。制御部は、点火時期及び燃料噴射開始時期に基づいて、筒内における混合気の分布の散らばり度合いを算出する。
また、上記課題を解決し、目的を達成するため、内燃機関制御装置は、内燃機関を制御する内燃機関制御装置である。内燃機関は、気筒と、気筒の筒内を摺動するピストンと、ピストンに接続されたクランクシャフトと、気筒の筒内に燃料を噴射するインジェクターと、筒内において空気と燃料が混合した混合気を点火させる点火プラグと、を有している。
内燃機関制御装置は、気筒の排気ポートの開閉可能に配置された排気バルブの開閉タイミング、気筒に吸気される空気の圧力である吸気圧を取得する制御部を備えている。制御部は、排気バルブの開閉タイミング及び吸気圧に基づいて、筒内の壁面及びピストンの冠面に付着した燃料の量の割合である燃料付着割合を算出する。
上記構成の内燃機関制御装置によれば、気筒の筒内における混合気の状態を正確に推定することができる。
実施の形態例にかかる内燃機関制御装置が搭載された内燃機関のシステム構成を示す概略構成図である。 実施の形態例にかかる内燃機関制御装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態例にかかる内燃機関制御装置におけるGPF制御部の構成を示すブロック図である。 PMの生成速度を示す特性図である。 内燃機関の筒内における混合気割合を示すもので、混合気の割合と当量比の関係を示すグラフである。 確率密度関数であるベータ関数を示すグラフである。 実施の形態例にかかる内燃機関制御装置における混合気分布の散らばり度合いの算出動作を示すフローチャートである。 インジェクターから噴射された燃料噴霧の中心断面における噴霧の形状を示す説明図である。 燃料噴射後の燃料の気化率を示す説明図である。 燃料噴射直後と点火時期における筒内の混合分率を示すグラフである。 筒内における燃料の付着状態を示す図である。 実施の形態例にかかる内燃機関制御装置における燃料付着割合の算出動作を示すフローチャートである ピストンの位置と燃料付着の状態を示す図である。 実施の形態例にかかる内燃機関制御装置における温度圧力履歴の算出動作を示すフローチャートである。 混合気割合と燃料濃度との関係を示すグラフである。 混合気起因反応速度マップを示すもので、混合気である反応ガス温度と分布定数で表されたマップ上の混合気起因反応速度を示す特性図である。 燃料付着起因反応速度マップを示すもので、混合気である反応ガス温度と燃料付着起因反応速度の関係を示す特性図である。 実施の形態例にかかる内燃機関制御装置におけるPM排出量の算出動作を示すフローチャートである。 GPFの内部状態と、GPFに流入するPMを示す模式図である。 実施の形態例にかかる内燃機関制御装置におけるPM堆積量の算出動作を示すフローチャートである。 PM燃焼速度マップを示すもので、GPFの上流温度とPM燃焼速度との関係を示す特性図である。 PM燃焼速度補正係数マップを示すもので、空気過剰率とPM燃焼速度補正係数の関係を示す特性図である。 実施の形態例にかかる内燃機関制御装置における再生制御指令の判定動作を示すフローチャートである。
1.実施の形態例
以下、実施の形態例(以下、「本例」という)にかかる内燃機関制御装置について、図1〜図23を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
1−1.内燃機関の構成例
まず、内燃機関の構成例について説明する。
図1は、本例の内燃機関のシステム構成を示す概略構成図である。
図1に示す内燃機関2は、ガソリンからなる燃料を筒内に直接噴射する筒内噴射型の内燃機関(直噴エンジン)である。内燃機関2は、吸入行程、圧縮行程、燃焼(膨張)行程、排気行程の4行程を繰り返す4サイクルエンジンである。さらに、内燃機関2は、例えば、4つの気筒(シリンダ)を備えた多気筒エンジンである。なお、内燃機関2が有する気筒の数は、4つに限定されるものではなく、6つ又は8つ以上の気筒を有していてもよい。また、内燃機関2のサイクル数は、4サイクルに限定されるものではない、
図1に示すように、内燃機関2は、気筒21と、ピストン22と、クランクシャフト23と、吸気バルブ24と、排気バルブ25と、点火プラグ26と、燃料噴射装置であるインジェクター27とを有している。この内燃機関2は、内燃機関制御装置10により制御される。
ピストン22は、気筒21の筒内21aに摺動可能に配置されている。ピストン22は、気筒21の筒内21aに流入した燃料とガスの混合気を圧縮する。そして、ピストン22は、筒内21aに生じた燃焼圧力により気筒21の筒内21aを往復運動する。
ピストン22には、クランクシャフト23がコンロッドを介して接続されている。そして、ピストン22の往復運動がクランクシャフト23により回転運動に変換される。また、クランクシャフト23には、クランクシャフト23のクランク角度を検出するクランク角度センサ29が設けられている。クランク角度センサ29は、クランクシャフト23に設けた回転円盤からクランクシャフト23のクランク角度を検出する。クランク角度センサ29は、後述する内燃機関制御装置10に接続されている。そして、クランク角度センサ29は、検出したクランク角度に関する角度情報を内燃機関制御装置10に出力する。
吸気バルブ24は、気筒21における吸気ポートに開閉可能に配置されており、排気バルブ25は、気筒21における排気ポートに開閉可能に配置されている。吸気バルブ24は、不図示の吸気側カムシャフトに当接し、排気バルブ25は、不図示の排気側カムシャフトに当接している。そして、吸気側カムシャフト及び排気側カムシャフトが回転することで、吸気バルブ24及び排気バルブ25が駆動する。吸気バルブ24が駆動することで、吸気ポートから気筒21の筒内21aにガス(空気)が流入する。また、排気バルブ25が駆動することで、燃焼後の排気ガスが気筒21の排気ポートから排出される。
インジェクター27は、気筒21の筒内21aに燃料を噴射する。インジェクター27は、内燃機関制御装置10に接続されている。内燃機関制御装置10は、後述するエアフローセンサ42から出力された吸気量を、回転数、吸気圧力等で決まる目標空燃比で割ることで、目標燃料噴射量を算出する。そして、内燃機関制御装置10は、算出した目標燃料噴射量にしたがってインジェクター27から燃料を噴射させる。これにより、筒内21aでは、空気と燃料が混合された混合気が生成される。
気筒21には、点火プラグ26と、インジェクター27が取り付けられている。点火プラグ26には、不図示の点火コイルが接続されている。点火コイルは、内燃機関制御装置10の制御の下、高電圧を生成し、点火プラグ26に印加する。これにより、点火プラグ26に火花が発生する。そして、点火プラグ26に発生した火花により、筒内21aの混合気が燃焼し、爆発する。爆発した混合気によりピストン22が押し下げられる。このピストン22の押し下げ運動がクランクシャフト23の回転運動に変換されて、車両等の駆動力となる。
また、気筒21には、気筒21を冷却する冷却水の温度を測定する冷却水センサ28が設けられている。冷却水センサ28は、内燃機関制御装置10に接続されており、測定した冷却水の温度を内燃機関制御装置10に出力する。
気筒21の吸気ポートには、空気からなるガスを取り込む吸気管31が接続され、気筒21の排気ポートには、排気ガスを排気する排気管32が接続されている。また、吸気管31と排気管32は、EGR管33により接続されている。
EGR管33は、排気管32を通過する排気ガスの一部を吸気管31に戻す。これにより、ポンピングロスが低減される。EGR管33には、EGR弁45が設けられている。EGR弁45は、EGR管33を通るガスの流量を調整する。
吸気管31には、スロットル弁41と、エアフローセンサ42が設けられている。スロットル弁41は、吸気管31における吸気ポートやEGR管33との接続箇所よりも上流側に設けられている。スロットル弁41は、不図示の駆動モータにより開閉可能に駆動する。そして、運転者のアクセル操作に基づいて、スロットル弁41の開度が調整される。これにより、吸気管31に取り込まれたガスの量(吸気量)が調整される。
エアフローセンサ42は、吸気管31に取り込まれた吸気量を測定する。エアフローセンサ42は、内燃機関制御装置10に接続されている。エアフローセンサ42は、測定した吸気量を内燃機関制御装置10に出力する。
また、吸気管31には、吸気圧力センサ43及び吸気温度センサ44が設けられている。吸気圧力センサ43及び吸気温度センサ44は、内燃機関制御装置10に接続されている。吸気圧力センサ43は、吸気管31を通るガスの圧力(吸気圧力)を測定する。そして、吸気圧力センサ43は、測定した吸気圧力を内燃機関制御装置10に出力する。また、吸気温度センサ44は、吸気管31を通るガスの温度(吸気温度)を測定する。そして、吸気温度センサ44は、測定した吸気温度を内燃機関制御装置10に出力する。
排気管32には、空燃比センサ46、三元触媒34と、ガソリンパーティキュートフィルタ(Gasoline Particulate Filter:以下「GPF」という)35が設けられている。空燃比センサ46は、排気管32を通る排気ガス中に含まれる酸素濃度を測定する。そして、そして、空燃比センサ46は、内燃機関制御装置10に接続されており、測定した酸素濃度を内燃機関制御装置10に出力する。
三元触媒34は、排気管32に中間部に設けられている。三元触媒34は、酸化・還元反応により排気ガスに含まれる有害物質を浄化する。
排気管32における三元触媒34よりも下流側には、GPF35が設けられている。PM捕集フィルタであるGPF35は、排気ガス中に含まれる粒子状物質、いわゆるPMを捕集する。また、GPF35よりも上流側、すなわち三元触媒34とGPF35との間には、GPF上流温度センサ47が設けられている。GPF上流温度センサ47は、GPF35に流入する排気ガスの温度を測定する。そして、GPF上流温度センサ47は、内燃機関制御装置10に接続されており、測定した排気ガスの温度を内燃機関制御装置10に出力する。
また、GPF35には、差圧センサ48が設けられている。差圧センサ48は、GPF35の上流側と下流側の圧力の差(差圧)を測定する。そして、差圧センサ48は、内燃機関制御装置10に接続されており、測定した差圧を内燃機関制御装置10に出力する。
なお、本例では、三元触媒34とGPF35を別部材として構成した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、GPF35に三元触媒34の浄化機能を付与した四限触媒等のPM捕集フィルタであってもよい。
1−2.内燃機関制御装置10の構成例
次に、図2を参照して内燃機関制御装置10の構成例について説明する。
図2は、内燃機関制御装置10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、ECU(Engine Control Unit)である内燃機関制御装置10は、制御部の一例を示すCPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、入出力ポート104と、入力回路105を有している。また、内燃機関制御装置10は、制御部の一例を示すGPF制御部110を有している。
受信部の一例を示す入力回路105には、エアフローセンサ42から吸気量、吸気圧力センサ43から吸気圧力、吸気温度センサ44から吸気温度やクランク角度センサ29から回転数等の各センサの出力が入力される。なお、入力回路105に入力される入力信号は、上述したものに限定されない。入力回路105は、入力された信号に対してノイズ除去等の信号処理を行って、入出力ポート104へ送る。入出力ポート104の入力ポートに入力された値はRAM102に格納される。
記憶部の一例を示すROM103には、CPU101により実行される各種演算処理の内容を記述した制御プログラムや、各処理に用いられるMAPやデータテーブル等が記憶されている。RAM102には、入出力ポート104の入力ポートに入力された値や、制御プログラムに従って演算された各アクチュエータの操作量を表す値を格納する格納領域が設けられている。また、RAM102に格納された各アクチュエータの操作量を表す値は、入出力ポート104の出力ポートに送られる。
また、入出力ポート104には、インジェクター27、点火プラグ26や、スロットル弁41を駆動するためのそれぞれの駆動回路が接続されている。そして、入出力ポート104の出力ポートにセットされた駆動信号は、各駆動回路を経て、インジェクター27、点火プラグ26やスロットル弁41に送られる。
また、入出力ポート104には、GPF制御部110が接続されている。GPF制御部110は、各種センサから出力された情報に基づいて、GPF35の内部温度(以下、GPF温度)や、GPF35に堆積するPM堆積量を算出する。そして、算出したGPF温度やPM堆積量が設定した閾値を超えた場合、点火プラグ26やインジェクター27を制御し、空燃比や点火タイミングを調整することで、GPF35中のPMを燃焼除去する。このGPF中のPMを燃焼除去する動作を本例では、GPF35の再生制御と称す。
1−3.GPF制御部110の構成例
次に、図3を参照してGPF制御部110の構成例について説明する。
図3は、GPF制御部110の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、GPF制御部110は、散らばり度合い算出処理部201と、燃料付着割合算出処理部202と、温度圧力状態算出処理部203と、PM排出量算出処理部204と、PM堆積量算出処理部205と、再生制御処理部206とを有している。PM排出量算出処理部204には、散らばり度合い算出処理部201、燃料付着割合算出処理部202、及び温度圧力状態算出処理部203が接続されている。そして、PM堆積量算出処理部205には、PM排出量算出処理部204が接続され、再生制御処理部206には、PM堆積量算出処理部205が接続されている。
散らばり度合い算出処理部201は、エンジン回転数、燃料噴射パルス、燃料噴射開始時期、及び点火時期等に基づいて、気筒21の筒内21aにおける混合気分布の散らばり度合い、すなわち筒内21aにおける混合気の状態を算出する。そして、散らばり度合い算出処理部201は、算出した混合気分布の散らばり度合いをPM排出量算出処理部204に出力する。なお、散らばり度合い算出処理部201における、混合気分布の散らばり度合いの算出方法については、後述する。
燃料付着割合算出処理部202は、エンジン回転数、燃料噴射パルス、燃料噴射開始時期、点火時期、冷却水温度、吸気圧力、燃圧、排気バルブの開閉タイミング、吸気圧力等に基づいて、筒内21aに噴射された燃料の噴射量を算出する。また、燃料付着割合算出処理部202は、上述した情報に基づいて、筒内21aの壁面に付着した燃料N2やピストン22の冠面22aに付着した燃料N3(図11参照)の割合(燃料付着割合)を算出する。そして、燃料付着割合算出処理部202は、算出した燃料付着割合をPM排出量算出処理部204に出力する。なお、燃料付着割合算出処理部202における、燃料付着割合の算出方法については、後述する。
温度圧力状態算出処理部203は、吸気圧力、吸気温度及び気筒21の筒内容積に基づいて、筒内21aにおける混合気の温度履歴及び筒内21aの圧力履歴を算出する。温度圧力状態算出処理部203は、算出した温度圧力履歴をPM排出量算出処理部204に出力する。なお、温度圧力状態算出処理部203における温度圧力履歴の算出方法については、後述する。
PM排出量算出処理部204は、混合気分布の散らばり度合い、燃料付着割合及び温度圧力履歴に基づいて、内燃機関2から排出されたPMの排出量(PM排出量)を算出する。そして、PM排出量算出処理部204は、算出したPM排出量をPM堆積量算出処理部205に出力する。なお、PM排出量算出処理部204におけるPM排出量の算出方法については、後述する。
PM堆積量算出処理部205は、PM排出量に基づいて、GPF35中に堆積しているPMの量(PM堆積量)を算出する。そして、PM堆積量算出処理部205は、算出したPM堆積量を再生制御処理部206に出力する。なお、PM堆積量算出処理部205におけるPM堆積量の算出方法については、後述する。
再生制御処理部206は、PM堆積量に基づいて、GPF35の再生制御を行うか否かを判定する。そして、再生制御処理部206は、判定結果に基づいて、再生制御を指令する。不図示の駆動回路は、再生制御処理部206からの再生制御指令に基づいて、駆動信号を生成し、点火プラグ26やインジェクター27を駆動させる。なお、再生制御処理部206における判定動作については、後述する。
なお、上述したGPF制御部110は、CPU101に設けられていてもよい。そのため、GPF制御部110が有する各種算出処理部は、CPU101に設けられる。そして、CPU101が、混合気の散らばり度合い、燃料付着割合、混合気の温度圧力履歴、PM排出量、PM堆積量の算出処理を行うと共に、GPF35の再生制御の判定を行う。
また、図2に示すように、GPF制御部110をCPU101とは別の制御部として内燃機関制御装置10に設けてもよい。
2.PMの生成の特性
次に、PMの生成の特性について図4を参照して説明する。
図4は、PMの生成速度を示す特性図であり、図5は、筒内21a内における混合気分布を示すもので、混合気の割合と当量比の関係を示すグラフ図である。
図4では、横軸に反応ガス、すなわち混合気の温度を示し、縦軸に当量比を示している。当量比は、混合気中における燃料濃度を表す指標で、実際の空燃比で、理論上最も燃焼効率の高い空燃比である理論空燃比を割った値である。図4に示すように、当量比の増加に戸もない、PMの生成速度が増加する。このように、PMの量を高精度に推定するためには、筒内21a内における当量比の大きな混合気がどの程度存在するのを推定することが重要となる。
なお、図4に示す例では、縦軸として当量比を用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、燃料と空気の比に関連する指標として、空燃比や燃空比、燃料質量分率等を適用してもよい。
次に、混合気が高均質な状態と低均質な状態における筒内21aにおける混合気分布について説明する。
図5は、筒内21aにおける混合気分布を示す図である。図5では、横軸に当量比、縦軸に混合気割合を示している。
ガソリンエンジンは、通常、燃料と空気が均一に混合した状態(高均質な状態)で燃焼する。しかしながら、図1に示すような、燃料を筒内21aに直接噴射する筒内噴射型の内燃機関2では、圧縮行程での燃料の噴射等の燃料噴射開始時期が遅い場合や、空気の流動が弱い場合等には、燃料と空気の混合が不十分となる。そのため、筒内21aには、局所的に燃料の割合が濃くなる混合気(以下、リッチ混合気)が存在する状態(低均質な状態)になりやすい。また、図5に示すように、当量比が一定値よりも高い状態(リッチ)、すなわち燃料の割合が濃くなると、PMの生成量が増大する。
そのため、筒内21aにおける混合気分布を推定することで、PMの生成の推定を行うことができる。この混合気分布を推定する一つの手段としては、混合気分布を混合分率空間の確率密度関数を用いて推定する方法がある。
3.確立密度関数を用いた算出方法
次に、筒内21aにおける混合気分布を混合分率空間(混合分率を横軸にしたグラフ)の確率密度関数を用いて算出する方法について説明する。なお、本例では、確率密度関数を用いて筒内21aの混合気分布を推定する方法について説明するが、混合気分布の推定方法については、これに限定されるものではない。
確率密度関数の一つにベータ関数がある。混合分率空間におけるベータ関数P(Z)は、以下の式1〜式4で求められる。
[式1]
Figure 2020159298
[式2]
Figure 2020159298
[式3]
Figure 2020159298
[式4]
Figure 2020159298
上述した式1〜式4におけるZは混合分率[−]、Zaveは混合分率の筒内平均値、σは混合分率の分散、A/Fは空燃比、a、bは分布定数を示している。
図6は、ベータ関数の分布を示す図である。
図6に示すように、ベータ関数P(Z)は、混合分率の筒内平均値Zaveと混合分率の分散σの組み合わせにより、上に凸、下に凸、又は混合分率Zに対して単調減少などの分布が得られる。例えば、燃料と空気がよく混合した状態(高均質な状態)は、σ=a,Zave=bでは、ベータ関数P(Z)は、上に凸となる。また、燃料と空気が筒内21aで分離している状態(低均質な状態)は、σ=a、Zave=bでは、ベータ関数P(Z)は、下に凸となる。ここれ、混合分率の筒内平均値Zaveは、筒内21aの平均空燃比A/Fから与えることができる。なお、本例では、平均空燃比A/Fを理想空燃比として14.7とした例を説明したが、これに限定されるものではない。
ここで、確率密度関数において混合気の状態を推定する際の重要なパラメータは、分散σである。車両の運転条件や、インジェクター27や点火プラグ26等の各アクチュエータの操作量により、分散の変化を算出することができれば、確率密度関数によって筒内21aの混合気分布の状態を算出することができる。
4.混合気分布の散らばり度合いの算出動作
次に、図7を参照して散らばり度合い算出処理部201における、混合気分布の散らばり度合いの算出動作について説明する。
図7は、散らばり度合い算出処理部201における、混合気分布の散らばり度合いの算出動作を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず散らばり度合い算出処理部201は、内燃機関2の運転条件を取得する(ステップS11)。ステップS11の処理では、散らばり度合い算出処理部201は、内燃機関2の運転条件として、各種センサの出力情報や、各アクチュエータの操作量等を取得する。センサの出力情報や操作量としては、例えば、回転数Ne、燃料噴射パルスti、燃料噴射開始時期θSOI、点火時期θADV等である。
回転数Neは、クランクシャフト23の回転数であり、燃料噴射パルスtiは、インジェクター27から燃料が噴射される期間である。また、燃料噴射開始時期θSOIは、クランク角度に対するインジェクター27から燃料の噴射が開始される時期である。そして、点火時期θADVは、クランク角度に対する点火プラグ26が筒内21aの混合気を点火する時期である。回転数Neは、クランク角度センサ29の検出情報に基づいて取得される。燃料噴射パルスti及び燃料噴射開始時期θSOIは、インジェクター27の制御量、点火時期θADVは点火プラグ26の制御量として、それぞれ既知である。
次に、散らばり度合い算出処理部201は、取得した回転数Neに基づいて、回転周期tcを計算する(ステップS12)。回転周期tc[s]は、回転数Ne[rpm]を用いて下記式5により算出される。
[式5]
Figure 2020159298
次に、回転周期tcを計算した後、散らばり度合い算出処理部201は、燃料噴射終了時期θEOI[ATDC]を計算する(ステップS13)。燃料噴射終了時期θEOIは、燃料噴射パルスti[s]、燃料噴射開始時期θSOI[ATDC]、回転数Ne[rpm]を用いて下記式6により算出される。
[式6]
Figure 2020159298
燃料噴射終了時期θEOIを計算した後、散らばり度合い算出処理部201は、混合時間tmを計算する(ステップS14)。ここで、混合時間tmは、燃料噴射が終了してから点火するまでの時間を表す。混合時間tm[s]は、点火時期θADV[ATDC]、回転数Ne[rpm]、燃料噴射終了時期θEOI[ATDC]を用いて下記式7により算出される。
[式7]
Figure 2020159298
混合時間tmを計算した後、散らばり度合い算出処理部201は、混合気分布の散らばり度合い、すなわち分散σを計算する(ステップS15)。混合気分布の散らばり度合いσは、混合時間tm[s]を用いて、下記式8により算出される。
[式8]
Figure 2020159298
また、混合気分布の散らばり度合いσは、噴射パルスti[s]、回転周期tc[s]、混合時間tm[s]を用いて、下記式9からより正確に算出することもできる。
[式9]
Figure 2020159298
これにより、散らばり度合い算出処理部201における、混合気分布の散らばり度合いσの算出動作が完了する。
4−1.混合気分布の散らばり度合いの算出根拠
次に、噴射パルスti[s]、回転周期tc[s]、混合時間tm[s]を用いて、混合気分布の散らばり度合いσが算出される根拠について図8〜図10を参照して説明する。
ここで、燃料と空気からなる混合気は、「燃料噴霧の形成」、「形成した噴霧の蒸発」、「蒸発した燃料と空気との混合」の3つのプロセスを経て形成される。
[燃料噴霧の形成]
まず、「燃料噴霧の形成」と燃料噴射パルスti[s]との関係について図8を参照して説明する。
図8は、インジェクター27から噴射された燃料噴霧の中心断面における噴霧の形状を示す説明図である。
図8に示すように、インジェクター27から噴射された燃料は、略円錐形状に噴霧される。そのため、燃料噴霧の中心断面は、三角形となる。ここで、噴霧の先端速度utipは、下記式10により算出される。
[式10]
Figure 2020159298
式10に示すuは、噴射の初期速度[m/s]であり、tは噴射時間[s]である。
また、式10の積分により噴射終了時の三角形となる噴霧中心断面の面積S1は下記式11により算出される。
[式11]
Figure 2020159298
式11に示すθは噴射角[rad]、tiは燃料噴射パルス[s]である。
式11に示すように、噴射終了時の噴霧の初期位置は、噴射初期速度u、噴射時間t、噴射角度θの関数により算出することができる、ここで、噴射初期速度u、噴射角度θが一定である場合、噴射終了時の噴霧の初期位置は、燃料噴射パルスtiの関数である。そのため、燃料噴射パルスti、いわゆる燃料が噴射される期間を用いることで、燃料の初期分布を考慮して、筒内21aの混合気分布の散らばり度合いσを推定することができる。その結果、燃料噴射パルスtiにより混合気分布の散らばり度合いσの計算精度を向上させることができる。
[形成した噴霧の蒸発]
次に、「形成した噴霧の蒸発」と回転周期tc[s]との関係について図9を参照して説明する。
図9は、燃料噴射後の燃料の気化率を示す説明図である。図9におけるSOIは燃料噴射の開始時期を示し、EOIは燃料噴射の終了時期を示す。
図9に示すように、燃料は、噴射が終了EOIすると、気化率が0から上昇する。そして、燃料噴射の終了時期EOIから気化率が1になるまでの時間が混合開始までの遅れ時間、いわゆる燃料が蒸発するまでに生じる時間(蒸発遅れ時間)となる。ここで、蒸発速度が燃料の飽和蒸気圧と圧力の比で律速されるとしたモデル式を下記式12に示す。
[式12]
Figure 2020159298
また、吸気行程中の温度変化が筒内21aの壁面の熱伝達により支配されるとしたモデル式を下記式13に示す。
[式13]
Figure 2020159298
ここで、ρは燃料成分のガス密度[kg/m]、ρは燃料成分の液体密度[kg/m]、Dは核酸係数[m/s]、dは粒子径[m]、ρs,fは飽和蒸気圧[Pa]、Mは筒内21aの質量[kg]、Cは定圧比熱[J/Kg/K]、αは熱伝達率[W/m/K]、Sは筒内21aの表面積[m]、Tはガス温度[K]、Tは壁面温度[K]である。
そして、式12と式13から下記式14を導出することができる。
[式14]
Figure 2020159298
式14は、図9に示される蒸発遅れ時間が回転周期tcの関数であることを示している。これにより、回転周期tcを用いることで、蒸発遅れ時間を求めることができる。その結果、回転周期tcを用いることで、形成した噴霧の蒸発遅れ時間を考慮して、筒内21aの混合気分布の散らばり度合いσを推定することができる。そのため、回転周期tcにより混合気分布の散らばり度合いσの計算精度を向上させることができる。
[蒸発した燃料と空気との混合]
次に、「蒸発した燃料と空気との混合」と混合時間tm[s]との関係について図10を参照して説明する。
図10は、燃料噴射直後と点火時期における筒内21aの混合分率を示している。図10に示す実線は燃料噴射直後の混合分率を示し、点線は点火時期における混合分率を示している。
図10に示すように、燃料噴射直後の混合分率の分散は大きいが、乱流拡散により燃料と空気の混合が進み、筒内平均値Zaveに近づく。そして、点火時期には、分散が小さい状態となる。燃料の空気の拡散は、拡散現象の基本式である1次元拡散方程式から検討することができる。1次元拡散方程式を下記式15に示す。
[式15]
Figure 2020159298
式15は、無限遠でZ=0とする境界条件を課すことで厳密解が得られる。厳密解は下記式16により示される。
[式16]
Figure 2020159298
また、式16において分散σは、下記式17で示される
[式17]
Figure 2020159298
ここで、乱流拡散による混合を対象とする場合、Dは乱流拡散係数で評価する。そして、乱流拡散係数Dは、乱流エネルギーk及び乱流エネルギー散逸率εを用いて下記式18により示すことができる。
[式18]
Figure 2020159298
なお、Reは、レイノルズ数である。
簡単化のため、燃料の空気の混合は、噴射終わりから点火時期までの時間で進行すると仮定すると、式17における時間tは噴射終了時期から点火時期までの時間、すなわち混合時間tmで与えられる。その結果、実空間における混合気分布の分散σは、下記式19により求められる。
[式19]
Figure 2020159298
このように、混合時間tmを用いることで、燃料と空気の乱流拡散プロセスを考慮して、筒内21aの混合気分布の散らばり度合いσを推定することができる。その結果、混合時間tmにより混合気分布の散らばり度合いσの計算精度を向上させることができる。
5.燃料付着割合の算出動作及びPMの生成特性
次に、図11から図13を燃料付着割合算出処理部202における燃料付着割合の算出動作及びPMの生成特性について説明する。
まず、図11を参照して燃料の付着割合とPMの生成の関係について説明する。
図11は、筒内21aにおける燃料の付着状態を示す図である。
筒内噴射型の内燃機関2では、特に機関の冷間時に気筒21の筒内21aにおける燃料の霧化が促進され難くなる。そのため、図11に示すように、インジェクター27から筒内21aに燃料N1が噴射されると、筒内21aの壁面やピストン22の冠面22aに燃料N2、N3が付着する。このため、機関の冷間時に通常は、燃料噴射開始時期を吸気行程中に設定し、いわゆる吸気行程噴射を行う。そして、燃料噴射から点火までの機関を極力長く確保して、噴射された燃料の霧化を促進するようにしている。
ただし、吸気行程噴射を行っても、筒内21aの壁面やピストン22の冠面22aに付着した燃料N2、N3を全て解消することは困難である。そして、付着した燃料N2、N3のうち一部の燃料は燃焼に供されることなく、機関の燃焼後も筒内21aの壁面やピストン22の冠面22aに付着した状態で残留する。残留した燃料は、その後の機関燃焼時に除々に霧化され、不完全燃焼して気筒21から排出される。燃料が不完全燃焼して排出されることで、PMの生成の起因となっていた。このように、機関の冷間時には燃料の付着割合を推定することが、PMの生成の推定を行う際に重要となる。
次に、図12を参照して燃料付着割合算出処理部202における、燃料付着割合の算出動作について説明する。
図12は、燃料付着割合算出処理部202における、燃料付着割合の算出動作を示すフローチャートである。
図12に示すように、燃料付着割合算出処理部202は、内燃機関2の運転条件を取得する(ステップS21)。ステップS21の処理では、燃料付着割合算出処理部202は、内燃機関2の運転条件として、各種センサの出力情報や、各アクチュエータの操作量等を取得する。センサの出力情報や操作量としては、例えば、排気バルブタイミングθevc、吸気圧Pi、インジェクター27から燃料にかけられる圧力である燃圧Pf、燃料噴射開始時期θSOI、燃料噴射パルスti、回転数Ne、冷却水温度Tw等である。
吸気圧Piは、気筒21の筒内21aに流入する際の圧力であり、吸気圧力センサ43が計測した計測情報に基づいて取得される。回転数Neは、クランク角度センサ29の検出情報に基づいて取得される。排気バルブタイミングθevcは、排気バルブ25の開閉タイミングである。燃料噴射パルスti、燃圧P、燃料噴射開始時期θSOIは、インジェクター27の制御量、排気バルブタイミングθevcは、インジェクター27や排気バルブ25の制御量として、それぞれ既知である。また、冷却水温度Twは、気筒21に設けられた冷却水センサ28から取得される。
次に、燃料付着割合算出処理部202は、排気バルブタイミングθevc、吸気圧Pi、燃圧Pf、燃料噴射開始時期θSOI、燃料噴射パルスti、回転数Ne、冷却水温度Twに基づいて、筒内21aの壁面やピストン22の冠面22aに付着する燃料量の割合(燃料付着割合)αを計算する(ステップS22)。燃料付着割合αは、下記式20により算出される。なお、回転周期tcは、回転数Neにより上述した式5により算出される。
[式20]
Figure 2020159298
式20に示すように、排気バルブタイミングθevc、吸気圧Pi、燃圧Pf、燃料噴射開始時期θSOI、燃料噴射パルスti、回転周期tc、冷却水温度Twの関数として燃料付着割合αを算出することができる。これにより、燃料付着割合算出処理部202における燃料付着割合αの算出動作が完了する。
6.燃料付着の制御要因
次に、筒内噴射型の内燃機関2における燃料付着の制御要因について説明する。
筒内噴射型の内燃機関2における燃料付着の制御要因としては、次のような要因が考えられる。まず、筒内混合気状態要因として、筒内21aでの混合気の温度、圧力が燃料のペネトレーション(噴射距離)に影響を与えるものと考えられる。また、燃料分布要因として、噴射された燃料の初期分布と筒内21aの壁面やピストン22の冠面22aとの距離が近いほど燃料付着が増加するものと考えられる。そして、燃料蒸発要因として、壁面温度と気化温度が付着した燃料の蒸発に影響を与えるものと考えられる。
[筒内混合気状態要因]
まず、筒内混合気状態要因の制御因子について説明する。
噴霧先端距離Sは、燃料圧力と周囲気体の圧力差ΔP、周囲気体密度ρ、燃料を噴射してからの経過時間tに基づいて、下記式21により算出される。
[式21]
Figure 2020159298
式21に示すように、噴霧先端距離Sは、燃料圧力と周囲気体の圧力差ΔP、周囲気体密度ρに依存していることが分かる。また、気体の状態方程式から、下記式22に示す関係を得ることができる。なお、式22におけるTは、筒内21aの温度、Pは筒内21aの圧力、Rはガス定数である。
[式22]
Figure 2020159298
式22に示すように、噴射先端距離Sは、周囲気体の圧力Pと負の相関を持ち、温度Tと性の相関を持つことが分かる。そして、筒内21aの温度Tが変化する一因としては、例えば、可変バルブタイミング機構(Variable Valve Timing機構:以下、VVTという)等の操作により内部EGR(Exhaust Gas Recirculation)ガス量の変化がある。例えば、排気バルブ25の閉じ時期が下死点から離れると、前サイクルの燃焼ガスの残留量が増加するため、筒内21aの温度Tが上昇する。その結果、式22に示すように、噴射先端距離Sが短くなる。
また、筒内21aの圧力Pが変化する一因としては、例えば、吸入空気量制御のために行うスロットル弁41の開度調整による吸気圧変化がある。例えば、スロットル弁41の開度が小さくなると、吸気圧が低下し、筒内21aの圧力Pが低下する。その結果、式22に示すように、噴射先端距離Sが長くなる。
これらにより、排気バルブタイミングθevcと吸気圧Piを変数として用いることで、筒内21aにおける混合気の温度や圧力の状態に起因する燃料付着の変化を算出することができる。その結果、排気バルブタイミングθevcと吸気圧Piによって、燃料付着割合αの計算精度を向上させることができる。
[燃料分布要因]
次に、燃料分布要因の制御因子について図13を参照して説明する。
図13は、ピストン22の位置と燃料付着の状態を示す図である。
燃料分布要因の制御因子を検討する際には、燃料噴射終了時期における噴射された燃料の先端位置と、ピストン22との相対的な位置関係が重要である。図13に示すように、ピストン22とインジェクター27との間隔が近い位置で、燃料N1を噴射すると、噴射された燃料N1がピストン22の冠面22aに到達する。そのため、ピストン22の冠面22aに付着する燃料N3は増加する。
また、ピストン22とインジェクター27との間隔が遠い位置で、燃料N1を噴射すると、噴射された燃料N1は、ピストン22の冠面22aに到達し難い。そのため、ピストン22の冠面22aに付着する燃料N3は減少する。
上述した式22に示すように、噴射先端距離Sは、燃圧Pfと、噴射からの経過時間tに比例する。また、噴射からの経過時間tは、噴射期間である燃料噴射パルスtiにより算出することができる。そのため、噴射先端距離Sは、燃料噴射パルスtiにより算出することができる。また、ピストン22の位置は、クランク角度センサ29が検出したクランク角度により一義的に決まる。
これらにより、燃圧pf、燃料噴射パルスtiを変数として用いることで、燃料分布に起因する燃料付着の変化を算出することができる。その結果、燃圧pf、燃料噴射パルスti、回転数Neによって、燃料付着割合αの計算精度を向上させることができる。
[燃料蒸発要因]
次に、燃料蒸発要因の制御要因について説明する。
筒内21aの壁面やピストン22の冠面22aに付着した燃料N2、N3には、付着してから点火までの期間に蒸発が発生する。この蒸発期間は、上述した式14で示したように回転周期tcに比例する。また、蒸発は、筒内21aの壁面の温度が高いほど促進する。そして、筒内21aの壁面の温度は、冷却水温度Twに大きく依存する。そのため、回転周期tc及び冷却水温度Twを用いることで、燃料の蒸発に起因する燃料付着の変化を算出することができる。その結果、回転周期tc及び冷却水温度Twによって、燃料付着割合αの計算精度を向上させることができる。
7.温度圧力状態算出処理部の動作例
次に、温度圧力状態算出処理部203の動作例について図14を参照して説明する。
図14は、温度圧力状態算出処理部203における温度圧力履歴の算出動作を示すフローチャートである。
図14に示すように、まず温度圧力状態算出処理部203は、内燃機関2の運転条件を取得する(ステップS31)。ステップS31の処理では、散らばり度合い算出処理部201は、内燃機関2の運転条件として、各種センサの出力情報や、各アクチュエータの操作量等を取得する。センサの出力情報や操作量としては、例えば、吸気圧Pi、吸気温度Ti、筒内容積V等が挙げられる。
吸気温度Tiは、気筒21に吸気される空気の温度であり、吸気温度センサ44が計測した計測情報に基づいて取得される。吸気圧Piは、気筒21に吸気される際の圧力であり、吸気圧力センサ43が計測した計測情報に基づいて取得される。筒内容積Vは、クランク角度センサ29の検出情報に基づいて取得される。
次に、温度圧力状態算出処理部203は、点火時期での筒内圧力(以下、点火時期筒内圧力という)PADVを計算する(ステップS32)。ステップS32の処理では、温度圧力状態算出処理部203は、吸気圧Pi、筒内容積V、点火時期筒内容積V(θADV)、吸気バルブ24が閉じる時期での筒内容積(以下、吸気バルブ閉じ時期筒内容積という)V(θIVC)に基づいて、下記式23により点火時期筒内圧力PADVを算出する。
[式23]
Figure 2020159298
なお、点火時期筒内容積V(θADV)及び吸気バルブ閉じ時期筒内容積V(θIVC)は、予め設定された定数であってもよい。また、点火時期筒内容積V(θADV)及び吸気バルブ閉じ時期筒内容積V(θIVC)は、サイクル毎に、クランク角度センサ29の検出情報に基づいて算出してもよい。この場合、点火時期筒内圧力PADVの算出精度を向上させることができる。
次に、温度圧力状態算出処理部203は、筒内圧力履歴Pappを計算する(ステップS33)。ステップS33の処理では、温度圧力状態算出処理部203は、点火時期筒内圧力PADV、筒内容積V、点火時期筒内容積V(θADV)及び比熱比γに基づいて、下記式24及び式25によって筒内圧力履歴Pappを算出する。
[式24]
Figure 2020159298
[式25]
Figure 2020159298
ここで、a、mは定数、Qは総発熱量、Δθburnは燃焼期間である。式24及び式25から燃焼期間中も含めて筒内21aの圧力を算出することができる。また、比熱比γは、予め設定された定数であってもよく、あるいは他の方法により求めてもよい。
次に、温度圧力状態算出処理部203は、点火時期温度TADVを計算する(ステップS34)。ステップS34の処理では、温度圧力状態算出処理部203は、吸気温度Ti、点火時期筒内容積V(θADV)及び吸気バルブ閉じ時期筒内容積V(θIVC)と比熱比に基づいて、点火時期温度TADVを算出する。
[式26]
Figure 2020159298
次に、温度圧力状態算出処理部203は、筒内空気質量と気体定数の積MRを、点火時期筒内圧力PADV、点火時期筒内容積V(θADV)及び点火時期温度TADVに基づいて、下記式27により計算する(ステップS35)。
[式27]
Figure 2020159298
次に、温度圧力状態算出処理部203は、筒内21aにおける混合気の温度履歴である筒内ガス温度履歴Tave(θ)を計算する(ステップS36)。ステップS36の処理では、温度圧力状態算出処理部203は、筒内圧力履歴Papp、筒内容積Vと、筒内空気質量と気体定数の積MRに基づいて、下記式28により筒内ガス温度履歴Tave(θ)を算出する。
[式28]
Figure 2020159298
これにより、温度圧力状態算出処理部203における温度圧力履歴の算出動作が完了する。この結果、運転条件により様々に変化する筒内21aの圧力及び混合気の筒内ガス温度を算出することができるため、後述するPMの算出精度を向上させることができる。
8.PM排出量算出処理部の動作例
次に、PM排出量算出処理部204の動作例について図15〜図18を参照して説明する。
図15は、混合気割合と燃料濃度との関係を示すグラフである。
上述したようにPMの生成は、混合気の割合に大きく依存している。図15に示すように、PMの生成に大きく依存する混合気の割合は、混合気分布に起因する混合気起因確率密度関数P(Z)と、燃料付着に起因する燃料付着起因確率密度関数P(Z)で増加する。そして、PMの平均反応速度W(θ)[g/m・s]は、混合気起因確率密度関数P(Z)と、燃料付着起因確率密度関数P(Z)により下記式20により算出することができる。
[式29]
Figure 2020159298
ここで、wは混合気起因反応速度[g/m・s]、wは燃料付着起因反応速度[g/m・s]、Zは混合分率、Tは温度[K]、pは圧力[pa]である。
混合気起因確率密度関数P(Z)は、上述した式1により算出される。また、燃料付着起因確率密度関数P(Z)は、予め設定された、ある大きさを持つ確率密度関数とした固定値である。
また、内燃機関2の冷機状態では、燃料付着の影響が大きく作用し、内燃機関2の暖機状態では、混合気分布の散らばり度合いの影響が大きく作用する。そのため、式29に示すように混合気起因確率密度関数P(Z)と、燃料付着起因確率密度関数P(Z)は、上述した式20により算出された燃料付着割合αで重み付けされて和算されている。これにより、内燃機関2における冷機状態から暖機状態までの混合気の割合を正確に検出することができる。
図16は、混合気起因反応速度wマップを示すもので、混合気である反応ガス温度と分布定数aで表されたマップ上の混合気起因反応速度wを示す特性図である。図16では、反応ガス温度を横軸、分布定数aを縦軸として混合気起因反応速度w1をマップ化している。また、図17は、燃料付着起因反応速度wマップを示すもので、混合気である反応ガス温度と燃料付着起因反応速度wの関係を示す特性図である。
図16及び図17に示す特性図は、予め作成されてROM103等の記憶部に格納されている。これにより、混合気起因反応速度w及び燃料付着起因反応速度wの計算時間の短縮を図ることができる。
次に、PM排出量算出処理部204におけるPM排出量の算出動作について図18を参照して説明する。
図18は、PM排出量算出処理部204におけるPM排出量の算出動作を示すフローチャートである。
図18に示すように、PM排出量算出処理部204は、分布定数aを計算する(ステップS41)。ステップS41の処理では、PM排出量算出処理部204は、混合分率の筒内平均値Zaveと、散らばり度合い算出処理部201が算出した分散σに基づいて、上述した式3から分布定数aを算出する。
次に、PM排出量算出処理部204は、混合気起因反応速度w及び燃料付着起因反応速度wを計算する(ステップS42)。ステップS42の処理では、PM排出量算出処理部204は、ステップS41の処理で算出した分布定数aと、反応ガス温度Tbに基づいて、図16及び図17に示すマップを用いて、混合気起因反応速度w及び燃料付着起因反応速度wを算出する。なお、反応ガス温度Tbは、温度圧力状態算出処理部203が算出した筒内ガス温度履歴Tave(θ)から求められる。
次に、PM排出量算出処理部204は、PM排出量を計算する(ステップS43)。ステップS43では、PM排出量算出処理部204は、まず上述した式29からPMの平均反応速度W(θ)[g/m・s]を算出する。次に、PM排出量算出処理部204は、下記式30に示すように、PMの平均反応速度W(θ)を点火時期θADVから排気バルブ開き時期θEVOまでのクランク角度θで積分する。
[式30]
Figure 2020159298
そして、式30により、PM排出量算出処理部204は、1サイクル当たりのPM排出量PMcycle[g]を算出することができる。次に、PM排出量算出処理部204は、下記式31により、標準状態時(25℃、100kPa)のPM濃度PMout[g/m]を算出する。また、式31に示すように、PM濃度PMout[g/m]の算出には、温度圧力状態算出処理部203が算出した筒内圧力履歴Pappが用いられる。
[式31]
Figure 2020159298
これにより、PM排出量算出処理部204におけるPM排出量の算出動作が完了する。このように、混合気分布の散らばり度合いσと、燃料付着割合αを用いることで、内燃機関2における冷機状態から暖機状態までのPMの反応速度及びPM排出量を正確に推定することができる。なお、内燃機関2が冷機状態では、燃料付着割合αと燃料付着起因確率密度関数P(Z)だけを用いて、PMの反応速度及びPM排出量を算出してもよいあるいは内燃機関2が暖機状態では、混合気分布の散らばり度合いσと、混合気起因確率密度関数P(Z)だけを用いて、PMの反応速度及びPM排出量を算出してもよい。
9.PM堆積量算出処理部の動作例
次に、PM堆積量算出処理部205の動作例について図19〜図22を参照して説明する。
図19は、GPF35の内部状態と、GPF35に流入するPMを示す模式図である。
図19に示すように、GPF35には、排気ガスと共にPMが流入する。そして、GPF35は、内部に設けられたフィルタ部35aによってPMを捕集する。また、GPF35に捕集されたPMは、燃焼により消滅する。そのため、GPF35に堆積するPMの量(PM堆積量)は、GPF35が捕集するPMの量(PM捕集量)と、燃焼により消滅するPMの量(PM燃焼量)に基づいて、以下のように算出される。
PM堆積量=PM捕集量−PM燃焼量
次に、図20〜図22を参照して、PM堆積量算出処理部205におけるPM堆積量の算出動作について説明する。
図20は、PM堆積量算出処理部205におけるPM堆積量の算出動作を示すフローチャートである。図21は、GPF35の上流温度とPM燃焼速度との関係を示す特性図、図22は、空気過剰率とPM燃焼速度補正係数Aの関係を示す特性図である。
図20に示すように、まずPM堆積量算出処理部205は、GPF35に流入するPMの量を計算する(ステップS51)。ステップS51の処理では、PM堆積量算出処理部205は、PM排出量算出処理部204が算出したPM濃度PMout[g/m]と、排気流量QEXH[m/s]に基づいて、PM流入量PMusGPF[g/s]を下記式32により算出する。
[式32]
Figure 2020159298
なお、排気流量QEXH[m/s]は、吸気管31に取り付けられたエアフローセンサ42が測定した吸気量Qin[m/s]により求められる。
次に、PM堆積量算出処理部205は、GPF35に捕集されるPMの量、すなわちPM捕集量を計算する(ステップS52)。ステップS52の処理では、PM堆積量算出処理部205は、PM流入量PMusGPF[g/s]とPM捕集効率ηadpに基づいて、PM捕集量PMadp[g/s]を下記式33により算出する。
[式33]
Figure 2020159298
なお、PM捕集効率ηadpは、予め設定されROM103に格納されている。
次に、PM堆積量算出処理部205は、予め設定されROM103に格納されたPM燃焼速度マップと、GPF35の上流温度に基づいて、PM燃焼速度Vburn[g/s]を取得する(ステップS53)。GPF35の上流温度[K]は、GPF35の上流側に設けられたGPF上流温度センサ47が検出した温度である。
PM燃焼速度マップを図21に示す。図21では、横軸にGPF35の上流温度、縦軸にPM燃焼速度を示している。図21に示すように、GPF35の上流温度が上昇することで、PM燃焼速度が増加する。
次に、PM堆積量算出処理部205は、補正係数Aを取得する(ステップS54)。ステップS54の処理では、PM堆積量算出処理部205は、予め設定されROM103に格納されたPM燃焼速度補正係数マップと、排気管32に設けられた空燃比センサ46によって検出された空気過剰率λに基づいて、PM燃焼速度補正係数Aを取得する。
PM燃焼速度補正係数マップを図22に示す。図22では、横軸に空気過剰率λ、縦軸にPM燃焼速度補正係数Aを示している。排気中の酸素濃度の上昇によりPM燃焼速度が増加することを考慮して、図22に示すように、PM燃焼速度補正係数マップでは、空気過剰率λの増加に伴って、PM燃焼速度補正係数Aが増加している。
次に、PM堆積量算出処理部205は、PM燃焼量を計算する(ステップS55)。ステップS55の処理では、PM堆積量算出処理部205は、1秒あたりのPM燃焼速度Vburn[g/s]と、PM燃焼速度補正係数Aを用いて、PM燃焼量PMburn[g/s]を下記式34により算出する。
[式34]
Figure 2020159298
次に、PM堆積量算出処理部205は、PM堆積量を算出する(ステップS55)。ステップS55の処理において、PM堆積量算出処理部205は、nサイクル(現サイクル)目のPM堆積量PMload(n)を、n−1サイクル(前サイクル)目のPM堆積量PMload(n−1)、PM捕集量PMadp、PM燃焼量PMburn、と単位時間Δtに基づいて、下記式35より算出する。
[式35]
Figure 2020159298
これにより、PM堆積量算出処理部205におけるPM堆積量の算出動作が完了する。上述したPM排出量算出処理部204によって正確なPM排出量を算出することができ、さらにGPF35が捕集するPM捕集量とGPF35内部で燃焼されるPM燃焼量を算出することで、GPF35に堆積するPM堆積量を正確に算出することができる。
10.再生制御処理部の動作例
次に、再生制御処理部206における再生制御指令の判定動作について図23を参照して説明する。
図23は、再生制御処理部206における再生制御指令の判定動作を示すフローチャートである。
図23に示すように、再生制御処理部206は、再生制御を行うか否かを判定する(ステップS61)。ステップS61の処理において、再生制御処理部206は、再生制御を行わないと判定した場合(ステップS61のNO判定)。そして、再生制御処理部206は、判定動作を終了する。
また、ステップS61の処理において、再生制御処理部206は、再生制御を行うと判定した場合(ステップS61のYES判定)、再生制御指令を出力する(ステップS62)。これにより、再生制御処理部206における再生制御指令の判定動作が完了する。
なお、ステップS61の判定処理において、再生制御処理部206は、上述したPM堆積量算出処理部205が算出したPM堆積量PMloadがROM103等の格納されているPM堆積許容量を超えたか否かで判断する。また、ステップS61の判定処理において、再生制御処理部206は、GPF上流温度センサ47が計測した温度がROM103等の格納されているGPF許容温度を超えたか否かで判断する。
また、ステップS62の再生制御指令としては、例えば、PM堆積量がPM堆積量許容量を超えた際に、再生制御処理部206は、リーンバーン制御指令や、燃料カット禁止指令を行う。リーンバーン制御指令は、スロットル弁41やインジェクター27を制御し、理想空燃比以上の燃焼となるように制御する指令である。また、燃料カット禁止指令は、インジェクター27を制御し、気筒21の筒内21aへの燃料供給の停止を禁止する指令である。これらの指令により、GPF35の温度がGPF破損温度以上になることを防止し、GPF35が破損することを防止できる。
このように、本例の内燃機関制御装置10によれば、混合気分布の散らばり度合いσと、燃料付着割合α、反応ガス温度Tbを考慮して、GPF35に流入するPMの量を正確に算出することができる。これにより、適切なタイミングでGPF35の再生制御を行うことができ、PMの過大堆積によるGPF35が破損することを防止することができる。
なお、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
2…内燃機関、 10…内燃機関制御装置、 21…気筒、 21a…筒内、 22…ピストン、 22a…冠面、 23…クランクシャフト、 24…吸気バルブ、 25…排気バルブ、 26…点火プラグ、 27…インジェクター、 28…冷却水センサ、 29…クランク角度センサ、 31…吸気管、 32…排気管、 33…EGR管、 34…三元触媒、 35…ガソリンパーティキュートフィルタ(PM捕集フィルタ)、 41…スロットル弁、 42…エアフローセンサ、 43…吸気圧力センサ、 44…吸気温度センサ、 45…EGR弁、 46…空燃比センサ、 47…GPF上流温度センサ、 48…差圧センサ、 101…CPU(制御部)、 102…RAM、 103…ROM(記憶部)、 104…入出力ポート、 105…入力回路(受信部)、 110…GPF制御部(制御部)、 201…散らばり度合い算出処理部、 202…燃料付着割合算出処理部、 203…温度圧力状態算出処理部、 204…PM排出量算出処理部、 205…PM堆積量算出処理部、 206…再生制御処理部

Claims (14)

  1. 気筒と、前記気筒の筒内を摺動するピストンと、前記ピストンに接続されたクランクシャフトと、前記気筒の筒内に燃料を噴射するインジェクターと、前記筒内において空気と前記燃料が混合した混合気を点火させる点火プラグと、を有する内燃機関を制御する内燃機関制御装置において、
    前記点火プラグが前記筒内の前記混合気を点火する点火時期、前記インジェクターが前記筒内に燃料の噴射が開始される燃料噴射開始時期を取得し、前記点火時期及び前記燃料噴射開始時期に基づいて、前記筒内における前記混合気の分布の散らばり度合いを算出する制御部を備えた内燃機関制御装置。
  2. 前記制御部は、前記インジェクターから燃料が噴射される期間である燃料噴射パルスを取得し、前記点火時期及び前記燃料噴射開始時期に加えて、前記燃料噴射パルスに基づいて、前記混合気の分布の散らばり度合いを算出する
    請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  3. 前記制御部は、前記クランクシャフトの回転数を取得し、前記点火時期及び前記燃料噴射開始時期、前記燃料噴射パルスに加えて、前記回転数に基づいて、前記混合気の分布の散らばり度合いを算出する
    請求項2に記載の内燃機関制御装置。
  4. 前記制御部は、前記気筒の排気ポートの開閉可能に配置された排気バルブの開閉タイミング、前記気筒に吸気される空気の圧力である吸気圧を取得し、前記排気バルブの開閉タイミング及び前記吸気圧に基づいて、前記筒内の壁面及び前記ピストンの冠面に付着した前記燃料の量の割合である燃料付着割合を算出する
    請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  5. 前記制御部は、前記クランクシャフトの回転数及び前記気筒を冷却する冷却水の温度を取得し、前記排気バルブの開閉タイミング及び前記吸気圧に加えて、前記回転数及び前記冷却水の温度に基づいて、前記燃料付着割合を算出する
    請求項4に記載の内燃機関制御装置。
  6. 前記制御部は、前記インジェクターにより前記燃料に加えられる圧力である燃圧と、前記インジェクターから燃料が噴射される期間である燃料噴射パルスを取得し、前記排気バルブの開閉タイミング、前記吸気圧、前記回転数及び前記冷却水の温度に加えて、前記燃圧、前記燃料噴射開始時期及び前記燃料噴射パルスに基づいて、前記燃料付着割合を算出する
    請求項5に記載の内燃機関制御装置。
  7. 前記制御部は、算出した前記混合気の分布の散らばり度合いに基づいて、前記気筒から排出される粒子状物資の量を算出する
    請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  8. 前記制御部は、算出した前記混合気の分布の散らばり度合い及び前記燃料付着割合に基づいて、前記気筒から排出される粒子状物質の排出量を算出する
    請求項4に記載の内燃機関制御装置。
  9. 前記制御部は、前記粒子状物質の平均反応速度を算出し、算出した前記平均反応速度から前記粒子状物質の排出量を算出する
    請求項7又は8に記載の内燃機関制御装置。
  10. 前記制御部は、前記気筒に吸気される空気の温度である吸気温度、前記気筒に吸気される空気の圧力である吸気圧及び前記気筒における筒内容積を取得し、前記吸気温度、前記吸気圧及び前記筒内容積に基づいて、前記筒内における前記混合気の温度履歴、及び前記筒内の圧力履歴を算出する
    請求項9に記載の内燃機関制御装置。
  11. 前記制御部は、算出した前記混合気の温度履歴から前記粒子状物質の排出量を算出する
    請求項10に記載の内燃機関制御装置。
  12. 前記制御部は、算出した前記粒子状物質の排出量に基づいて、前記内燃機関に設けられた前記粒子状物質を捕集するPM捕集フィルタに堆積された前記粒子状物質の堆積量を算出する
    請求項7又は8に記載の内燃機関制御装置。
  13. 前記制御部は、算出した前記粒子状物質の堆積量に基づいて、前記PM捕集フィルタから前記粒子状物質を除去する再生制御指令を出力するか否かを判断する
    請求項12に記載の内燃機関制御装置。
  14. 気筒と、前記気筒の筒内を摺動するピストンと、前記ピストンに接続されたクランクシャフトと、前記気筒の筒内に燃料を噴射するインジェクターと、前記筒内において空気と前記燃料が混合した混合気を点火させる点火プラグと、を有する内燃機関を制御する内燃機関制御装置において、
    前記気筒の排気ポートの開閉可能に配置された排気バルブの開閉タイミング、前記気筒に吸気される空気の圧力である吸気圧を取得し、前記排気バルブの開閉タイミング及び前記吸気圧に基づいて、前記筒内の壁面及び前記ピストンの冠面に付着した前記燃料の量の割合である燃料付着割合を算出する制御部を備えた内燃機関制御装置。
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