JP2010121606A - エンジン制御パラメータの最適化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン燃焼の前後において炭素および酸素の原子数(モル数)に変化がないことに着目して、燃料成分および排ガス分析結果から固体炭素(PM)への反応速度およびNOへの反応速度を算出し、該反応速度に基づいて、排出黒煙およびNOの低減、さらに燃費向上に適するディーゼルエンジンの制御パラメータを設定することを目的とする。
【解決手段】排ガス成分分析の結果から炭素の主反応物(CO)および副反応物(固体炭素)の反応速度を求め、さらに酸素の主反応物(CO)および副反応物(NO)の反応速度をそれぞれ求め、求めた前記炭素の主反応物への反応速度および酸素の主反応物への反応速度を上げるように、さらに炭素の副反応物への反応速度および酸素の副反応物への反応速度を下げるようにエンジン制御パラメータの最適な組み合わせをタグチメソッドの手法を用いて選定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる黒煙およびNOxの排出量の低減および燃費向上のためのエンジンパラメータの最適化方法に関するものであり、具体的にはディーゼルエンジンの燃料噴射タイミングや圧縮比やスワール比等のようなエンジンの燃焼にかかわる種々の制御パラメータを黒煙、NOxの低減と燃費向上のための最適化方法に関するものである。
従来からディーゼルエンジンの排ガス中の黒煙、NOの低減および燃費向上のためのエンジン制御パラメータ、すなわち、燃料噴射タイミングや圧縮比やスワール比等の制御パラメータの設定には種々の手法が用いられている。たとえば、これら制御因子を1つずつ取り上げて、黒煙排出試験やNO排出試験をそれぞれ行って最適化する1因子実験方法によって行われている。
また、特許文献1(特許3959980号公報)で示すような実験計画法を用いて、直交表にエンジン制御パラメータを割りつけて、直交表に従って実験を行い、実験データを入手し、分散分析を行い、推定式を作成し、最適条件を決定するようにして排気黒煙濃度やNO排出を減少するための運転パラメータの最適化方法が知られている。
なお、ここでいう最適化とは単に排気黒煙、NO排出濃度および燃費を最小化することではなく、他の最適化対象(例えば、CO、HC排出濃度等)をも含めて最小化することをいう。
特開2004−293340号公報
しかし、前記のようなエンジン制御パラメータを1因子ずつ取り上げて、黒煙排出試験、NO排出試験、燃費試験を行って最適仕様を選択するには、制御因子が多数あり、実験によるデータ取得作業に工数を要し効率的ではない。
また、規制物質のPM(粒子状物質)を低減するのに、正確な排出PM量(黒煙質量)を測定する必要があるが計測が困難なため、黒煙の質量に代えて黒煙濃度で代用して判定しているが、PMは黒煙の質量に比例するのに対して、黒煙濃度とは比例しないため、黒煙濃度から推定するPM量による最適化手法では精度に限界がある。
また、特許文献1に示される手法の実験計画法に基づく直交表に従ってのデータ入手においても、前記のように黒煙量ではなく濃度を代用して測定しているため、正確な黒煙の量を検出し難く、実験データに基づく推定値の再現性が低く実測値と開きが生じる傾向があり、黒煙排出に対する精度の高い最適化手法が必要とされている。
また、排ガス濃度、PM、燃費という複数の指標に対して多次元のパラメータに対する効果を効率的かつ正確に判断することが困難な状況にあり、このような中で、1つの指標を用いて燃焼効率の良さと、排出ガス成分の低減を明確に方向付けできるような最適化手法が必要とされていた。
そこで、本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、エンジン燃焼の前後において炭素および酸素の原子数(モル数)に変化がないことに着目して、燃料成分および排ガス分析結果から固体炭素(PM)への反応速度およびNOへの反応速度を算出し、該反応速度に基づいて、または指標にして排出黒煙およびNOの低減、さらに燃費向上に適するディーゼルエンジンの制御パラメータを設定する最適化方法を提供することを目的とする。
本発明はかかる課題を解決するもので、ディーゼルエンジンから排出される黒煙、NOxの排出量を低減するとともに燃費を向上するためのエンジン制御パラメータの最適化方法において、
排ガス(CO、CO、HC、HO、O)成分分析の結果から炭素原子が変化した不十分反応物(CO、HC)および主反応物(CO)および副反応物の固体炭素(C)の割合を算出し、さらに、上記成分分析結果から空気中の酸素原子が変化した不十分反応物(CO、O)および主反応物(CO、HO)および副反応物の窒素酸化物(NO)の割合を算出し、前記それぞれの算出割合から炭素の反応から見た前記主反応物(CO)および副反応物(固体炭素)の反応速度、および酸素の反応から見た前記主反応物(CO、HO)および副反応物(NO)の反応速度をそれぞれ算出し、前記反応速度によりエンジン制御パラメータを選定することを特徴とするエンジン制御パラメータの最適化方法を提供する。
本発明によれば、エンジンに供給される燃料成分中の炭素原子数およびエンジンに供給される空気中の酸素原子数は、燃焼中の化学反応を経ても変化しないことに基づいて、排ガス(CO、CO、HC、HO、O)成分分析の結果から燃料中の炭素が不十分反応物(CO、HC)および主反応物(CO)および副反応物の固体炭素(C)に変化した炭素数または炭素モル数の関係から、それぞれの反応物に変化した炭素の割合を算出する。
さらに、燃焼室に入って燃焼に寄与した酸素についても同様に、排ガス(CO、CO、HC、HO、O)成分分析の結果から酸素が不十分反応物(CO、O)および主反応物(CO、HO)および副反応物の窒素酸化物(NO)に変化した酸素数またはモル数の関係から、それぞれの反応物に変化した酸素の割合を算出する。
そして、この炭素量の変化割合から炭素の前記主反応物(CO)および副反応物(固体炭素)の反応速度を求め、さらに、酸素量の変化割合から酸素の前記主反応物(CO)および副反応物(NO)の反応速度をそれぞれ求める。
そして、求めた前記炭素の主反応物(CO)への反応速度および前記酸素の主反応物(CO)への反応速度を上げるように、さらに前記炭素の副反応物(固体炭素)への反応速度および前記酸素の副反応物(NO)への反応速度を下げるようにエンジン制御パラメータの最適な組み合わせを選定する。
従って、主反応物(CO)への反応速度を上げることは燃焼効率の向上であり、燃費向上を意味し、副反応物(固体炭素、NO)への反応速度を下げることはPM排出量の低減およびNO排出量の低減を意味し、一つの指標としての燃焼速度で燃焼効率の良さと排出ガス成分の低減とを明確に方向付けができ、燃焼の総合判断ができるようになる。その結果、エンジン開発の効率化が図れる。
また、黒煙であるPM量を黒煙濃度計測でなく、エンジンに供給される燃料成分中の炭素原子数が、燃焼中の化学反応を経て固体炭素とガス状炭素へと変化することに基づいて、排ガス(CO、CO、HC)濃度を測定してガス状炭素の原子数(モル数)を求めて、前記燃料成分中の炭素原子数より減算して固体炭素(C)の原子数(モル数)を算出することによって求めることができるので、従来のような黒煙濃度の計測、たとえば黒煙粒子の反射光による濃度測定では、PM質量を正確に測定できなかったが、そのような問題が解消されてPM質量を精度良く推定できる。
図4に、炭素、酸素の反応状態を示す。
炭素の場合には、ディーゼルエンジン1の燃焼室に供給される燃料3はHC成分からなり、燃焼室での化学反応を経て、CO、CO、HC、C(固体)の生成物5が排出される。
燃料3と空気7をシリンダ内で化学反応させて、CがOとだけ化学反応をして、COに変化すれば理想的な反応である。しかし、反応はそれだけではなく、燃料のHCからHが遊離して固体炭素(C)が発生する。これがPMとして排出される。
従って、主反応(起こってほしい反応)が、C+O→COであり、副反応(起こらないでほしい反応)がHC→H+Cである。
そこで、ガス状炭素のうちの二酸化炭素(CO)への反応速度を上げ、前記方法で推定した固体炭素(C)への反応速度を下げるようにエンジン制御パラメータの最適な組み合わせを選定することで、燃費を向上しつつ黒煙の排出を抑えたエンジン制御パラメータの設定が可能となる。
また、酸素について、燃料3と空気7をシリンダ内で化学反応させて、OがCおよびHとだけ化学反応をして、COおよびHOだけに変化すれば理想的な反応である。しかし、反応はそれだけではなく、空気中のNと反応してNOが発生して生成物9が排出される。
従って、主反応(起こってほしい反応)が、O+C→CO、O+H→HOであり、副反応(起こらないでほしい反応)がO+N→NOである。
そこで、主反応の二酸化炭素(CO)への反応速度を上げ、副反応の窒素酸化物(NO)への反応速度を下げるようにエンジン制御パラメータの最適な組み合わせを選定することで、燃費を向上しつつNOの排出を抑えたエンジン制御パラメータの設定が可能となる。
本発明において好ましくは、初期濃度Aとし反応時間T後に残存する濃度Yとすると、反応速度βは、Y=Ae−βTの関係式によって表され、該式を用いて前記それぞれの反応速度が算出されるとよい。
化学反応は初期濃度をAとしたとき、反応時間T後に残存する濃度は、一般的に式(1)で表せる。
Y=Ae−βT (1)
ここでβは反応速度を示す。
従って、式(1)で設定される反応速度βを用いて評価することで、エンジン制御パラメータの設定が可能となる。
また、本発明において好ましくは、前記選定はタグチメソッドの最適化手法を用いて、前記炭素の主反応の反応速度βC1と前記酸素の主反応の反応速度βO1は望大特性のSN比ηのη=10log((βC1+βO1)/2)によってあらわされ、前記炭素の副反応の反応速度βC2と前記酸素の副反応の反応速度βO2は望小特性のSN比ηのη=−10log((βC2+βO2)/2)によってあらわされ、前記主反応と副反応とのSN比を合成したSN比η=η+ηが、SN比の平均値より大きくなる制御パラメータを選択するとよい。
タグチメソッド(田口法)は、「直交表」を用いた実験と、「SN比」と呼ばれるばらつき(誤差)による評価法とを特長としている。「直交表」とは、試験するパラメータの組み合わせを表す表であり、試験者は試験するパラメータを選定しそのパラメータに応じて予め用意されている「直交表」を選択しさえすれば、実験回数と試験条件が決まり、それに従って実験を進めれば良いようになっている。
また、その結果得られたデータに「分散分析」と呼ばれる統計解析処理を施すことで、各パラメータの効果の大きさを数値として評価することができる。
本発明では、タグチメソッドの最適化手法のうち、反応速度比法または機能窓法と呼ばれる手法を用いて評価する。その際に、制御因子としてエンジン制御パラメータである、圧縮比、燃焼室形状(ピストン頂部のキャビティ形状)、スワール比、噴射角(燃料噴射ノズルからの噴射角度)、噴射時期、コモンレール圧力、EGR(排ガス再循環)弁開度、VG開度(可変過給機制御弁開度)等を選択し、誤差因子であるエンジンの運転条件の変動に対してロバスト性のある制御因子の値を選択できるようにしたものである。
すなわち、n個の誤差因子で試験した場合の排ガス(CO、CO、HC、HO、O)をとり成分分析をする。図5に示すように燃料中の炭素の総量が燃焼によってサイクル時間T後に不十分反応物(CO、HC)に変化した炭素数または炭素モル数の割合pおよび主反応物(CO)に変化した炭素数または炭素モル数の割合qおよび副反応物の固体炭素(C)に入った炭素数または炭素モル数の割合(1−p−q)を求める。
同様に、図6に示すように酸素の総量が燃焼によってサイクル時間T後に不十分反応物(CO、O)に入った酸素数または酸素モル数の割合p、および主反応物(CO、HO)に変化した酸素数または酸素モル数の割合q、および副反応物の窒素酸化物(NO)に変化した酸素数または酸素モル数の割合(1−p−q)を求める。
そして、式(1)を用いて、炭素の主反応物(CO)の主反応速度βC1、および副反応物(固体炭素)の副反応速度βC2を式(2)、(3)によって求める。
=e−βC1T (2)
+q=e−βC2T (3)
さらに、酸素の主反応物(CO)の主反応速度βo1、および副反応物(NO)の副反応速度βo2を式(4)、(5)によって求める。
=e−βO1T (4)
+q=e−βO2T (5)
炭素の反応から言うと、主反応速度βcが大きいほどよく図5のqが広いほうがよい。酸素の反応から言うと、主反応速度βoが大きいほどよく図6のqが広いほうがよい。
この図5、および図6に示される、q、qの領域、すなわち、反応速度線図βo、βoで挟まれる領域、βc、βcで挟まれた領域をそれぞれ機能窓といい、この領域が広いほど良い反応ということができる。
また、本発明において好ましくは、前記反応時間Tを横軸にとり炭素量を縦軸にとり炭素量の時間的変化を示した第1反応速度マップと、反応時間前Tを横軸にとり酸素量を縦軸にとり酸素の時間的変化を示した第2反応速度マップとを、前記時間軸で合わせて合成して新たな評価軸を縦軸にとった第3反応速度マップを作成し、該第3反応速度マップの縦軸に、炭素の主反応速度βC1と酸素の主反応速度βO1との合成反応速度と、炭素の副反応速度βC2と酸素の副反応速度βO2との合成反応速度とをそれぞれ表すとよい。
炭素の主反応速度βC1と、酸素の主反応速度βO1との両方を同時に評価する手法として、図5(第1反応速度マップM1)の機能窓と、図6(第2反応速度マップM2)の機能窓とを時間軸で合わせて合成して新たな評価軸を縦軸にとった第3反応速度マップM3を作成し、該第3反応速度マップM3(図7(B))の縦軸に、炭素の主反応速度βC1と酸素の主反応速度βO1との合成反応速度と、炭素の副反応速度βC2と酸素の副反応速度βO2との合成反応速度とを表すことで、1つの機能窓で炭素の反応速度と酸素の反応速度とを同時に評価できる。
新たな第3反応速度マップM3の機能窓によって得られるSN比をもとにNOとPMとのトレードオフ関係の改善を表現できるようになる。
このSN比は前記したように、望大特性のSN比ηをη=10log((βC1+βO1)/2)であり、望小特性のSN比ηをη=−10log((βC1+βO1)/2)であり、主反応と副反応とのSN比を合成したSN比η=η+ηによって評価する。
本発明によれば、黒煙濃度の計測値を用いることなく、黒煙量が算出可能になるとともに、エンジン燃焼の前後において炭素および酸素の原子数(モル数)に変化がないことに着目して、燃料成分および排ガス分析結果から固体炭素(PM)への反応速度およびNOへの反応速度を算出し、該反応速度に基づいて、または指標にして排出黒煙およびNOの低減、さらに燃費向上に適するディーゼルエンジンの制御パラメータを設定する最適化方法を提供できる。
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
本発明をディーゼルエンジンから排出される黒煙(PM)、NOの低減、および燃費向上に適用した一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
図1に本実施形態の手順を示す。まずステップS1で、システムの明確化を行う。すなわち、最適化の目的を明確化する。ここでは、黒煙(PM)、NOの低減、および燃費向上を目的としたエンジン仕様の最適化を目的とする。
次に、ステップS2で、エンジンの基本機能を定義する。
図4において、エンジン1の燃焼室に供給される燃料3はHC成分からなり、燃焼室での化学反応を経て、CO、CO、HC、C(固体)を生成する。また、燃焼室に供給された空気7はO、N成分からなり、燃焼室で化学反応を経てCO、CO、NO、HOを生成する。
エンジンは燃料3と空気7をシリンダ内で化学反応させて、CがOとだけ化学反応をして、COに変化すれば理想的な反応である。しかし、反応はそれだけではなく、燃料のHCからHが遊離して固体炭素(C)が発生する。これがPMとして排出されることを定義する。また、空気中のNと酸素とが化合して排出されるのがNOであると定義する。
次にステップS3で、ディーゼルエンジン1の制御因子(制御パラメータ)を選択する。A:圧縮比、B:燃焼室形状(ピストン頂部のキャビティ形状)、C:スワール比、D:噴射角(燃料噴射ノズルからの噴射角度)、E:噴射時期、F:コモンレール圧力、G:EGR(排ガス再循環)弁開度、H:VG開度(可変過給機制御弁開度)を制御因子として選択する。そしてそれぞれの制御因子について水準を設定する。
例えば、圧縮比の大を第1基準に、小を第2基準の2水準に設定し、燃焼室形状では、ピストン頂部のキャビティ形状に応じて2水準に設定し、さらに、スワール比であれば、大を第1基準に、中を第2基準に、小を第3基準のように3水準に設定し、さらに、同様に、噴射角を3水準、噴射時期を3水準、コモンレール圧を3水準、EGR弁開度を3水準、VG開度を3水準についてもそれぞれ設定する。
また、誤差因子としては、例えば、試験時のエンジン回転数と負荷との組み合わせとして、低回転Ne、中回転Ne、高回転Neの3つの誤差因子を設定して、それぞれについて低負荷L11、L21、L31と、高負荷L12、L22、L32との2水準に設定する、また、負荷を一定にして始動時と一定時間後のようなに2水準として設定してもよい。
また、測定すべき特性を決定する。本実施形態の場合には、前記誤差因子の運転条件で運転するとともに、まず、燃料成分中の炭素数と水素数との数量比を把握する。これは燃料メーカからの成分データ等に基づいて把握することができる。
エンジンに供給される燃料成分中の炭素原子数および空気中の酸素原子数は、燃焼中の化学反応を経ても変化しないことに基づいて、排ガス(CO、CO、HC、HO、O)成分分析の結果から燃料中の炭素が不十分反応物(CO、HC)および主反応物(CO)および副反応物の固体炭素(C)に変化した割合を算出し、さらに、空気中の酸素が不十分反応物(CO、O)および主反応物(CO、HO)および副反応物の窒素酸化物(NO)に変化した割合を算出する。
次にステップS4に進んで、図2に示すような制御因子、誤差因子の直交表への割り付けを行う。
その後、ステップS5で、誤差因子の運転条件に基づいて試験を行い、図3に示すような動的機能窓のデータを算出および収集する。そのデータを基にSN比、感度を算出する。
排ガス(CO、CO、HC、HO、O)をとり成分分析をする。図5に示すように燃料中の炭素の総量が燃焼によって燃焼サイクル時間(反応時間)T後に不十分反応物(CO、HC)に入った炭素数または炭素モル数の割合pおよび主反応物(CO)に入った炭素数または炭素モル数の割合qおよび副反応物の固体炭素(C)に入った炭素数または炭素モル数の割合(1−p−q)を求める。
不十分反応物(CO、HC)の割合pと副反応物(C)の割合(1−p−q)とに挟まれた領域が目的物(CO)の割合qが得られ、この割合q1の領域を機能窓という。そして、ここでの狙いは、不十分反応物の割合pと副反応物の割合(1−p−q)を小さくして、目的物の割合qの領域(機能窓)を拡大することにある。
同様に、図6に示すように酸素の総量が燃焼によって燃焼サイクル時間(反応時間)T後に不十分反応物(CO、O)に入った酸素数または酸素モル数の割合p、および主反応物(CO、HO)に入った酸素数または酸素モル数の割合q、および副反応物の窒素酸化物(NO)に入った酸素数または酸素モル数の割合(1−p−q)を求める。
不十分反応物(CO、O)の割合pと副反応物(NO)の割合(1−p−q)とに挟まれた領域が目的物(CO)の割合qが得られ、この割合qの領域を機能窓という。そして、ここでの狙いは、不十分反応物の割合pと副反応物の割合(1−p−q)を小さくして、目的物の割合qの領域(機能窓)を拡大することにある。
この機能窓の拡大のための制御因子の選択手法として、タグチメソッドの機能窓法を用いる。
初期濃度Aと一定時間T後に残存する濃度Yには、式(1)で示すようにY=Ae−βTの関係があり、この式(1)を用いて、炭素の主反応物(CO)の主反応速度βC1、および副反応物(固体炭素)の副反応速度βC2を式(2)、(3)によって求める。
=e−βC1T (2)
+q=e−βC2T (3)
さらに、酸素の主反応物(CO)の主反応速度βO1、および副反応物(NO)の副反応速度βO2を式(4)、(5)によって求める。
=e−βO1T (4)
+q=e−βO2T (5)
炭素の反応から言うと、主反応速度βC1が大きいほどよく図5のqが広いほうがよい。酸素の反応から言うと、主反応速度βO1が大きいほどよく図6のqが広いほうがよい。
この図5、および図6に示される、q、qの領域、すなわち、反応速度線図βC1、βC2で挟まれる領域、βO1、βO2で挟まれた領域をそれぞれ機能窓といい、この領域が広いほど良い反応ということができる。
炭素の主反応速度βC1と、酸素の主反応速度βO1との両方を同時に評価する手法として、図5(第1反応速度マップM1)の機能窓と、図6(第2反応速度マップM2)の機能窓とを時間軸で合わせて直交させ、機能窓を含む評価軸を両軸に取った新たな平面に、各値を合成した結果として面積で表現(機能窓の二次元化)する。
また、これらの面積をさらに平方することで合成された一つの機能窓を表現する。すなわち、図7(A)において、
(a)の面積:Sa=p・p
(b)の面積:Sb=q・q
(c)の面積:Sc=(1−p−q)・(1−p−q
(d)の面積:Sd=(p+q)(p+q
と表わせて、これらの面積をさらに平方することで合成された一つの機能窓を表現する。
前記第3反応速度マップM3の縦軸に、炭素の主反応速度βC1と酸素の主反応速度βO1との合成反応速度と、炭素の副反応速度βC2と酸素の副反応速度βO2との合成反応速度とを表すことで、1つの機能窓で炭素の反応速度と酸素の反応速度とを同時に評価できる。
この第3反応速度マップの詳細を図7(B)に示す。
縦軸に合成した炭素量と酸素量との合成量をとり、横軸に時間をとる。第3反応速度マップM3の機能窓によって得られるSN比について説明する。
Figure 2010121606
(6)式でβ=(βC1+βO1)/2
(7)式でβ=(βC2+βO2)/2
と置き換えると、
p=e−β1/T (6')
q=e−β2/T (7')
となる。
(6')は望大特性であり、n個の誤差因子で試験した場合、主反応のSN比ηは、

Figure 2010121606
によってあらわされる
ここで、β1i=(βC1i+βO1i)/2である。
(7')は望小特性であり、n個の誤差因子で試験した場合、副反応のSN比ηは、
Figure 2010121606
によってあらわされる。
ここでβ2i=(βC2i+βO2i)/2である。
従って、合成したSN比ηは、η=η+η=10log(β /β )となり、ηという1つの指標で表現できる。また、感度は、入力条件のエンジンの運転条件に対して出力の大きさを示すη=10logβ を用いて表す。
ステップS5では、図3に示すような動的機能窓のデータの収集を行い、前記したSN比、感度の算出式に基づいて算出し、その結果を図2の直交表に割りつけていく。
すなわち、前記したようにエンジンの運転条件を誤差因子として、試験時のエンジン回転数と負荷との組み合わせとして、低回転Ne、中回転Ne、高回転Neの3つの誤差因子を設定して、それぞれについて低負荷L11、L21、L31と、高負荷L12、L22、L32との2水準に設定する、また、負荷を一定にして始動時と一定時間後のようなに2水準として設定して、そのときの排ガスデータを採取して分析して、炭素量(モル数)、酸素量(モル数)を算出して、燃焼室に供給されて燃焼に寄与した炭素量に対して、それぞれの反応物への割合p、q、1−p−qを求める。また、同様に酸素量に対しても、それぞれの反応物への割合p、q、1−p−qを求める。
そして、前記したSN比、感度の算出式に基づいて算出した結果を図2の直交表に記載する。
なお、反応時間Tは、本実施形態では燃焼サイクル時間を用いて、図3、5、6における反応時間tは、反応開始からの燃焼時間であり1サイクルでの燃焼行程の時間に相当し、エンジン回転数の逆数に対応して算出する。
以上のように、図3の動的機能窓のデータについて収集、算出し、さらにSN比の算出を行った次に、ステップS6では、前記ステップS5で求めたSN比、感度に関する要因効果図を作成する。
図9に示すように、望大特性のSN比η(感度S)に関する要因効果図が作成される。また、図8に示すように、望大特性のSN比ηと望小特性のSN比ηとからSN比η=η+ηに関する要因効果図が作成される。
そして、これら要因効果図を基に、SN比η=η+ηがSN比の平均値より大きくなる制御パラメータを選定することで、ノイズの影響を受けにくいロバスト性が高い制御パラメータ、さらに感度が高く効率のよい制御パラメータを選定することができる。
次に、ステップS7で、利得と再現性の確認を行う。図8、9の要因効果図を用いて、全ての制御パラメータの最適水準を抽出し、その後、SN比の平均値に対し、それぞれのパラメータの最適水準の効果を足し合わせて、どのくらいの効果があるかを推定する。
また、初期の水準でのSN比も求めておいて、その値と最適水準でのSN比を比較し、その差を推定利得として求めておく。次に最適水準で試験を実施し、実験的にSN比を求める。初期の水準でのSN比も求めておいて、推定SN比と同様に実験での利得も求める。
そして、指標の正しさを確認するために、推定利得と実験利得とを比較し、同等であれば、この指標の正しさを証明することができる。
以上のように、本実施形態によれば、タグチメソッドの機能窓法を採用して、複数の制御因子(A:圧縮比、B:燃焼室形状(ピストン頂部のキャビティ形状)、C:スワール比、D:噴射角(燃料噴射ノズルからの噴射角度)、E:噴射時期、F:コモンレール圧力、G:EGR(排ガス再循環)弁開度、H:VG開度(可変過給機制御弁開度))を選択すると共に、エンジン回転数と、負荷または始動からの時間等を、誤差因子として、すなわちPM排出力が多い条件の場合と、少ない条件の場合とを誤差因子とし、これらをL18直交表に割りつけて試験を実施し、パラメータのどの水準がPM、NOの排出量および燃費で良好かを求めることができる。
最適化手法の適用に際して、炭素の主反応速度βC1と、酸素の主反応速度βO1との両方を同時に評価するため、図5(第1反応速度マップM1)の機能窓と、図6(第2反応速度マップM2)の機能窓とを時間軸で合わせて合成して新たな評価軸を縦軸にとった第3反応速度マップM3を作成し、該第3反応速度マップM3の縦軸に、炭素の主反応速度βC1と酸素の主反応速度βO1との合成反応速度と、炭素の副反応速度βC2と酸素の副反応速度βO2との合成反応速度とを表すことで、1つの機能窓で炭素の反応速度と酸素の反応速度とを同時に評価できる。
そして、新たな第3反応速度マップM3の機能窓によって得られるSN比をもとに評価することで、NOとPMとのトレードオフ関係を改善できる制御パラメータの選定ができるようになる。
本発明によれば、黒煙濃度の計測値を用いることなく、黒煙量が算出可能になるとともに、エンジン燃焼の前後において炭素および酸素の原子数(モル数)に変化がないことに着目して、燃料成分および排ガス分析結果から固体炭素(PM)への反応速度およびNOへの反応速度を算出し、該反応速度に基づいて、または指標にして排出黒煙およびNOの低減、さらに燃費向上に適するディーゼルエンジンの制御パラメータを設定できるので、エンジン制御パラメータの最適化方法に適用して有用である。
本発明の実施形態にかかるエンジン制御パラメータの最適化方法を示すフローチャートである。 実施形態の直交表の概要図である。 実施形態の動的機能のデータを示す説明図である。 エンジン内部での化学反応を示す説明図である。 実施形態における第1反応速度マップの説明図である。 実施形態における第2反応速度マップの説明図である。 (A)は第1反応速度マップと第2反応速度マップとを合成して第3反応速度マップの作成を示す説明図であり、(B)は第3反応速度マップの説明図である。 SN比に関する要因効果図の一例である。 感度Sに関する要因効果図の一例である。
符号の説明
1 ディーゼルエンジン
3 燃料
5、9 生成物
7 空気
M1 第1反応速度マップ
M2 第2反応速度マップ
M3 第3反応速度マップ

Claims (4)

  1. ディーゼルエンジンから排出される黒煙、NOxの排出量を低減するとともに燃費を向上するためのエンジン制御パラメータの最適化方法において、
    排ガス(CO、CO、HC、HO、O)成分分析の結果から炭素原子が変化した不十分反応物(CO、HC)および主反応物(CO)および副反応物の固体炭素(C)の割合を算出し、
    さらに、上記成分分析結果から空気中の酸素原子が変化した不十分反応物(CO、O)および主反応物(CO、HO)および副反応物の窒素酸化物(NO)の割合を算出し、
    前記それぞれの算出割合から炭素の反応から見た前記主反応物(CO)および副反応物(固体炭素)の反応速度、および酸素の反応から見た前記主反応物(CO、HO)および副反応物(NO)の反応速度をそれぞれ算出し、
    前記反応速度によりエンジン制御パラメータを選定することを特徴とするエンジン制御パラメータの最適化方法。
  2. 初期濃度Aとし反応時間T後に残存する濃度Yとすると、反応速度βは、Y=Ae−βTの関係式によって表され、該式を用いて前記それぞれの反応速度が算出されることを特徴とする請求項1記載のエンジン制御パラメータの最適化方法。
  3. 前記選定はタグチメソッドの最適化手法を用いて、前記炭素の主反応の反応速度βC1と前記酸素の主反応の反応速度βO1は望大特性のSN比ηのη=10log((βC1+βO1)/2)によってあらわされ、前記炭素の副反応の反応速度βC2と前記酸素の副反応の反応速度βO2は望小特性のSN比ηのη=−10log((βC2+βO2)/2)によってあらわされ、前記主反応と副反応とのSN比を合成したSN比η=η+ηが、SN比の平均値より大きくなる制御パラメータを選択することを特徴とする請求項2記載のエンジン制御パラメータの最適化方法。
  4. 前記反応時間Tを横軸にとり炭素量を縦軸にとり炭素量の時間的変化を示した第1反応速度マップと、反応時間Tを横軸にとり酸素量を縦軸にとり酸素の時間的変化を示した第2反応速度マップとを、前記時間軸で合わせて合成して新たな評価軸を縦軸にとった第3反応速度マップを作成し、該第3反応速度マップの縦軸に、炭素の主反応速度βC1と酸素の主反応速度βO1との合成反応速度と、炭素の副反応速度βC2と酸素の副反応速度βO2との合成反応速度とをそれぞれ表したことを特徴とする請求項3記載のエンジン制御パラメータの最適化方法。
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