JP2004068729A - エンジン制御パラメータの適合方法及び適合システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン10の出力軸24の発生する負荷がダイナモメータ31に吸収されることで、エンジン10が擬似的に車両に搭載した状態とされる。そして、制御パラメータの値を様々に設定してエンジン10の各種特性値が計測される。この計測結果から、各種制御パラメータとエンジンの各種特性値との関係を定めたモデル式が解析ツール50で求められる。そして、このモデル式の予測値と計測値との残差が所定の基準を外れているものを除去した後、残った計測値に基づいてモデル式が再度求められる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン制御パラメータの適合方法及び適合システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、例えば車両用エンジンの制御に際しては、排気エミッション特性や点火特性、燃料消費特性等のエンジン特性が様々な要求を満たすべく、複雑な制御がなされている。すなわち、エンジンの回転速度や負荷に基づき決定されるエンジンの運転状態に応じた最適な燃料噴射量や最適な燃料噴射時期等、各制御パラメータの適合値を予め設定しておき、この設定した適合値に基づいてそれら対象とされるエンジン制御を行うようにする。これにより、上記排気エミッション等、エンジンの各特性についての様々な要求が満たされるようになる。
【0003】
また、この適合値は通常、エンジンベンチ上で試行錯誤を繰り返すなどして求められる。すなわち、エンジンの出力軸とダイナモメータとを回転駆動軸によって連結し、ダイナモメータにてエンジンの負荷トルクをテストトルクとして吸収することで、エンジンが車両に搭載されて運転される状態を擬似的に作り出す。そして、例えばエンジンの回転速度や負荷等に基づいて決定される各運転状態毎に、エンジン制御パラメータを様々な値に設定し、そのときのNOx排出量や燃料消費量等のエンジンの各特性値についての計測値から、同パラメータの最適な値を適合値として取得する。
【0004】
このように、エンジン制御パラメータの適合値の取得には、試行錯誤とそれに伴う膨大な時間を必要とする。
そこで従来は、例えば特開2000−248991号公報に見られるように、いくつかの計測点に基づきエンジンの出力特性に関する低次のモデル式を算出して上記適合値を取得する提案などもなされている。すなわち、エンジンの各回転速度とトルク毎に、いくつかのエンジン制御パラメータの値に対する上記エンジンの各特性値を計測し、これに基づいて制御パラメータとそれら特性値との関係を低次のモデル式で表現する。そして、この低次のモデル式を用いて、排気エミッション等のエンジンの特性が様々な要求を満たすときの制御パラメータの値を適合値として取得する。こうすることで、適合値の取得にかかる計測点の数を削減することができ、ひいては同適合値の取得に要する時間も短縮することができるようになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、低次のモデル式を用いることで適合値の取得にかかる計測点を削減することができるとはいえ、このモデル式を用いて取得した適合値の精度は、同モデル式の交互作用としていかなる項を加えたか等、モデル式としていかなるものを用いたかによって大きく影響される。更に、同モデル式を用いて取得した適合値の精度は、いかなる計測値を用いて求められたモデル式かによっても大きく影響されることとなる。
【0006】
こうした状況は、近年、エンジン制御の高度化、複雑化に伴い制御パラメータが大幅に増加してきているために、ますます深刻なものとなってきている。
このため、新規エンジンの開発において、精度のよい制御パラメータの適合値を効率的に取得するためには、いかなるモデル式を用いるべきか、また、いかなる計測値を用いてモデル式を求めるべきかについての指針を与える制御パラメータの適合手法が望まれている。
【0007】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジンの特性値と制御パラメータとの関係を定めたモデル式を用いてより精度のよい制御パラメータの適合値を効率的に取得することのできるエンジン制御パラメータの適合方法及び適合システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、エンジンの所定の運転状態における同エンジンの複数の特性値について、これら各特性値をそれぞれ目的変数として同エンジンの制御パラメータ及びそれらの高次で表記されるパラメータを説明変数とする重回帰式をそれぞれ求め、これら求められた複数の重回帰式に基づき前記所定の運転状態において前記複数の特性値がそれぞれの要求条件を満たすように前記制御パラメータを適合させるエンジン制御パラメータの適合方法において、前記エンジンの所定の運転状態における前記各特性値を計測する工程と、前記各計測値に基づいて前記各重回帰式を求める工程と、前記各重回帰式についてその予測値と計測値との残差が所定の基準から外れるものについてその計測値を外れ値として除去する工程と、前記外れ値の除去された特性値について、これを目的変数とする重回帰式を再度求める工程とを備えることをその要旨とする。
【0009】
重回帰分析においては、重回帰式の予測値と計測値との残差が所定の基準から外れているものがあるときには、この計測値に起因して重回帰式の精度が低下しているおそれがある。特に、制御パラメータの適合に際して計測点の数を低減すべく重回帰分析を用いる場合には、重回帰式に対する計測値1つあたりの影響が大きなものとなるためこうした問題は深刻である。
【0010】
この点、上記方法では、各重回帰式についてその予測値と計測値との残差が所定の基準から外れるものについてその計測値を外れ値として除去する工程を有し、外れ値として除去された計測値を有する特性値について、この外れ値を除いてこの特性値を目的変数とする重回帰式が再度求められる。このため、外れ値として除去された計測値を有する特性値についての重回帰式の精度を向上させることができるようになる。したがって、上記方法によれば、エンジンの特性値と制御パラメータとの関係を定めたモデル式を用いてより精度のよい制御パラメータの適合値を効率的に取得することができるようになる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記所定の基準は、前記各特性値毎に各別に定められてなることをその要旨とする。
制御パラメータに対するエンジンの特性値の計測値をプロットした計測結果は、各特性値毎に特有の分布を示す。したがって、エンジンの各特性値を目的変数とする重回帰式について、その予測値と計測値と残差が基準から外れているときにこれを分析対象として用いないようにする場合、複数の特性値の全てについて同一の基準を用いたのでは外れ値を適切に除去することはできない。
【0012】
この点、上記方法では、各重回帰式についてその予測値と計測値との残差が同各特性値毎に予め各別に定められた基準から外れるものについて、その計測値が外れ値として除去される。このため、各特性値毎に、制御パラメータを目的変数とする重回帰式にて当該特性値を表現する際に適切でない計測値を的確に除去することができる。このため、外れ値として除去された計測値を有する特性値についての重回帰式の精度を向上させることができるようになる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記各特性値を計測する工程の後の工程として、前記各重回帰式を求める工程に先立ち、前記計測された特性値のうち当該計測に用いた計測器の計測範囲の上限又は下限となるものを除去する工程を更に有し、前記外れ値を除去する工程に先立って行われる前記各特性値を目的変数とする各重回帰式を求める工程は、この除去された計測値を除いて前記各重回帰式を求めるものであることをその要旨とする。
【0014】
計測値が計測器の計測範囲の上限又は下限にある場合、その計測値の真の値は同計測範囲の上限又は下限なのか、あるいは同計測範囲を超えた点であるのか判断することはできない。このため、計測器の計測範囲の上限又は下限にある計測値を用いると、重回帰式の精度が低下するおそれがある。
【0015】
この点、上記方法では、計測された特性値のうち当該計測に用いた計測器の計測範囲の上限又は下限となるものを除去する工程を有する。そして、この除去された計測値を除いて各重回帰式を求めるために、重回帰式の精度をいっそう向上させることができるようになる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記各計測値に基づいて前記各重回帰式を求める工程は、前記説明変数として前記エンジンの制御パラメータを用いて当該特性値を目的変数とする重回帰式を求める工程と、前記エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと当該重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ、同高次として表記されるパラメータを当該重回帰式の説明変数に追加することが有意と判断されたときにこれを同重回帰式の説明変数として追加する工程とを含み、それら工程が前記複数の特性値毎に実行されることをその要旨とする。
【0017】
上記方法では、まず、説明変数としてエンジンの制御パラメータを用いて当該特性値を目的変数とする重回帰式が求められる。次に、エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと当該重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ同パラメータを当該重回帰式の説明変数に追加することが有意と判断されたときにこれが同重回帰式の説明変数として追加される。このため、特性値と制御パラメータとの関係を表現するモデル式(重回帰式)において、複数の制御パラメータの交互作用項等については、その有意性の判断と共にこれを付け加えるか否かが判断されることとなる。したがって、当該エンジン毎に適切な項を加えて上記モデル式(重回帰式)を求めることができる。
【0018】
また、この有意性の判断に対しては多重共線性が考慮されるため、その有意性の判断を的確に行うことができる。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記特性値を目的変数とする重回帰式を再度求める工程は、前記説明変数として前記エンジンの制御パラメータを用いて当該特性値を目的変数とする重回帰式を求める工程と、前記エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと当該重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ、同高次として表記されるパラメータを当該重回帰式の説明変数に追加することが有意であると判断されたときにこれを同重回帰式の説明変数として追加する工程とを含み、それら工程が前記外れ値の除去された特性値毎に実行されることをその要旨とする。
【0019】
上記方法では、まず、説明変数としてエンジンの制御パラメータを用いて当該特性値を目的変数とする重回帰式が求められる。次に、エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと当該重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ同パラメータを当該重回帰式の説明変数に追加することが有意と判断されたときにこれが同重回帰式の説明変数として追加される。このため、特性値と制御パラメータとの関係を表現するモデル式(重回帰式)において、複数の制御パラメータの交互作用項等については、その有意性の判断と共にこれを付け加えるか否かが判断されることとなる。したがって、外れ値として除去された計測値を有する特性値について、当該エンジン毎に適切な項を加えて上記モデル式(重回帰式)を再度求めることができる。
【0020】
また、この有意性の判断に対しては多重共線性が考慮されるため、その有意性の判断を的確に行うこともできる。
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の発明において、前記高次で表記されるパラメータを重回帰式の説明変数として追加する工程は、前記制御パラメータの高次として表記されるパラメータのうち、当該重回帰式の説明変数となっていないパラメータを前記追加するパラメータの候補として、これを追加した場合の前記重回帰式の決定係数を算出する工程と、前記追加するパラメータの候補のうち前記算出された決定係数がもっとも大きくなるものについて当該パラメータを前記重回帰式に加えることの有意性をF検定にて判断する工程と、前記F検定の結果、当該パラメータを付け加えることが有意と判断されたときには、これを説明変数として付け加えた後、今回説明変数として付け加えたパラメータ以外のパラメータであって、それ以前に付け加えた各パラメータについて、これを説明変数から削除する場合の決定係数を算出する工程と、前記各説明変数を削除する場合の決定係数が最大となるものについて、同削除するパラメータの当該重回帰式における優位性をF検定によって判断する工程と、前記削除するパラメータの当該重回帰式における優位性を判断するF検定によって当該パラメータが有意でないと判断されたときには、これを当該重回帰式の説明変数から削除する工程と、の各工程を、前記F検定によってパラメータを付け加えることが有意でないと判断されるまで繰り返すものであることをその要旨とする。
【0021】
上記方法によれば、追加するパラメータの各候補を追加した場合の重回帰式の決定係数をそれぞれ算出することで、その決定係数の最も大きなものを追加する最も有力な候補として的確に選択することができる。そして、この決定係数の最も大きなものについて、F検定を行うことで、当該パラメータを重回帰式に付け加えることの有意性を的確に判断することができるようになる。
【0022】
更に、パラメータを新たに付け加えた場合には、それ以前に付け加えた各パラメータについて、これを削除する場合の決定係数を算出することで、同決定係数が最も大きくなるものを重回帰式の説明変数として有意でない可能性の最も大きなパラメータとして的確に選択することができる。そして、この決定係数の最も大きなパラメータについて、F検定を行うことで、当該パラメータを重回帰式から削除することの適切性を的確に判断することができるようになる。
【0023】
そして、こうした一連の処理を追加することが有意であると判断されるパラメータがなくなるまで行うことで、上記多重共線性を考慮した上で、高次として表記されるパラメータのうちの適切なパラメータの追加された重回帰式を取得することができるようになる。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記各特性値を計測する工程は、前記エンジンの所定の複数の運転状態のそれぞれについて前記各特性値を計測する工程であるとともに、前記特性値を目的変数とする重回帰式は、これらエンジンの所定の複数の運転状態毎に各別に求められるものであり、前記高次として表記されるパラメータを前記特性値を目的変数とする重回帰式に加えることの有意性をF検定にて判断する工程は、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて行われることをその要旨とする。
【0025】
重回帰式に新たなパラメータを付け加えることの優位性をF検定にて判断する際には、そのF検定にかかる判定値の最適値はエンジンの運転状態によって異なる。
【0026】
この点、上記方法では、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて、特性値を目的変数とする重回帰式に高次として表記されるパラメータを加えることの有意性を判断するF検定を行うことで、この優位性の判断を精度よく行うことができるようになる。
【0027】
請求項8記載の発明は、請求項6又は7記載の発明において、前記各特性値を計測する工程は、前記エンジンの所定の複数の運転状態のそれぞれについて前記各特性値を計測する工程であるとともに、前記特性値を目的変数とする重回帰式は、これらエンジンの所定の複数の運転状態毎に各別に求められるものであり、前記削除するパラメータの当該重回帰式における優位性をF検定にて判断する工程は、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて行われることをその要旨とする。
【0028】
重回帰式からパラメータを削除することの適切性をF検定にて判断する際には、そのF検定にかかる判定値の最適値はエンジンの運転状態によって異なる。
この点、上記方法では、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて、特性値を目的変数とする重回帰式から高次として表記されるパラメータを削除することの適切性を判断するF検定を行うことで、この判断を精度よく行うことができるようになる。
【0029】
請求項9記載の発明は、請求項6〜8のいずれかに記載の発明において、前記高次として表記されるパラメータを前記特性値を目的変数とする重回帰式に加えることの有意性をF検定にて判断する工程は、前記各特性値毎に各別に定められた判定値に基づいて行われることをその要旨とする。
【0030】
重回帰式に新たなパラメータを付け加えることの優位性をF検定にて判断する際には、そのF検定にかかる判定値の最適値は各特性値毎に異なる。
この点、上記方法では、各特性値毎に各別に設定される判定値に基づいて、特性値を目的変数とする重回帰式に高次として表記されるパラメータを加えることの有意性を判断するF検定を行うことで、この優位性の判断を精度よく行うことができるようになる。
【0031】
請求項10記載の発明は、請求項6〜9のいずれかに記載の発明において、前記削除するパラメータの当該重回帰式における優位性をF検定にて判断する工程は、前記各特性値毎に各別に定められた判定値に基づいて行われることをその要旨とする。
【0032】
重回帰式からパラメータを削除することの適切性をF検定にて判断する際には、そのF検定にかかる判定値の最適値は各特性値毎に異なる。
この点、上記方法では、各特性値毎に各別に設定される判定値に基づいて、特性値を目的変数とする重回帰式から高次として表記されるパラメータを削除することの適切性を判断するF検定を行うことで、この判断を精度よく行うことができるようになる。
【0033】
請求項11記載の発明は、請求項4〜10のいずれかに記載の発明において、前記各特性値を計測する工程は、前記エンジンの所定の運転状態において、前記重回帰式の説明変数として加える可能性のあるパラメータを考慮した実験計画法によって定められた複数の実験点のそれぞれに前記制御パラメータを設定して前記各特性値を計測する工程であることをその要旨とする。
【0034】
上記方法では、重回帰式の説明変数として加える可能性のあるパラメータを考慮した実験計画法によって定められた複数の実験点のそれぞれに制御パラメータを設定して各特性値が計測される。このため、各制御パラメータについての計測点の数の増大を抑制しつつも、各制御パラメータ及びその高次として表記されるパラメータとエンジンの特性値との関係を得るための適切な情報量を得ることができる。
【0035】
ちなみに、実験計画法に従った実験点にて計測を行う場合、その計測値の一部を除去したものから取得される情報は理論的には適切なものとならないこととなる。しかし、このような場合にあっても、上記各請求項に記載の処理によってその一部の除去された計測値を用いて求められた重回帰式は、計測点の全ての値を用いて求められた重回帰式よりも精度のよいものとなることがあることが、発明者の行った一連の実験から示された。
【0036】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明において、前記複数の実験点は、前記エンジンの制御パラメータの全てがセンターポイントとなる実験点を3個含み、前記複数の実験点のそれぞれに前記制御パラメータを設定して行われる前記各特性値の一連の計測において、その最初及び中間及び最後に前記エンジンの制御パラメータの全てがセンターポイントとなる実験点を定めることをその要旨とする。
【0037】
実験計画法に基づいて実験点を定める場合、そのセンターポイントとなる点における計測値が重回帰式の精度に大きな影響を与えるものとなる。
この点、上記方法によれば、複数の実験点についての一連の計測の最初及び中間及び最後にエンジンの制御パラメータの全てがセンターポイントとなる実験点を定めるようにすることで、センターポイントとなる点における計測値の計測ばらつきの影響を除くことができるようになる。また、センターポイントにおける計測を複数回行うために、たとえセンターポイントにおける計測値の中から重回帰式の生成に際して除去される点が生じた場合であれ、残りのセンターポイントにおける計測値を用いて同センターポイントにおける計測値を重回帰式に反映させることもできる。したがって、上記方法によれば、センターポイントにおける計測値として適切な値を用いて重回帰式を求めることができ、重回帰式の精度を向上させることができる。
【0038】
請求項13記載の発明は、エンジンの所定の運転状態における同エンジンの特性値を目的変数とし同エンジンの制御パラメータ及びそれらの高次で表記されるパラメータを説明変数とする重回帰式を求め、同重回帰式に基づき前記所定の運転状態において前記特性値が要求条件を満たすように前記制御パラメータを適合させるエンジン制御パラメータの適合方法において、前記エンジンの所定の運転状態において、前記重回帰式の説明変数として加える可能性のあるパラメータを考慮した実験計画法によって定められた複数の実験点のそれぞれに前記制御パラメータを設定して前記特性値を計測する工程と、前記計測値のうち、所定の基準を外れた値を除去する工程と、前記除去された計測値以外の計測値に基づき、前記説明変数として前記エンジンの制御パラメータを用いて前記重回帰式を求める工程と、前記エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと前記重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ、同高次で表記されるパラメータを前記重回帰式の説明変数に追加することが有意と判断されたときにこれを同重回帰式の説明変数として追加する工程とを有することをその要旨とする。
【0039】
実験計画法に従った複数の実験点に制御パラメータを設定して各特性値を計測する場合、各制御パラメータについての計測点の数の増大を抑制しつつも、各制御パラメータ及びその高次として表記されるパラメータとエンジンの特性値との関係を得るための適切な情報量を得ることができる。
【0040】
ところで、実験計画法に従った実験点についての計測値のうち所定の基準を外れた値を除去したものから得られる上記情報は、理論的には適切なものでないこととなる。
【0041】
しかし、このような場合、残りの計測値を用いて求められた重回帰式は、計測点の全ての値を用いて求められた重回帰式よりも精度のよいものとなることがあることが、発明者の行った一連の実験から示された。
【0042】
この点、上記方法によれば、計測値のうち所定の基準を除去した後に、重回帰式を求めることで、この重回帰式の精度を向上させることができる。しかも、エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと当該重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ同パラメータを当該重回帰式の説明変数に追加することが有意と判断されたときにこれが同重回帰式の説明変数として追加される。このため、特性値と制御パラメータとの関係を表現するモデル式(重回帰式)において、複数の制御パラメータの交互作用項等については、その有意性の判断と共にこれを付け加えるか否かが判断されることとなる。このため、当該エンジン毎に適切な項を加えて上記モデル式(重回帰式)を求めることができる。したがって、上記方法によれば、エンジンの特性値と制御パラメータとの関係を定めたモデル式を用いてより精度のよい制御パラメータの適合値を効率的に取得することができるようになる。
【0043】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明において、前記所定の基準を外れた値を除去する工程は、前記計測された特性値のうち当該計測に用いた計測器の計測範囲の上限又は下限となるものを除去する工程であることをその要旨とする。
【0044】
計測値が計測器の計測範囲の上限又は下限にある場合、その計測値の真の値は同計測範囲の上限又は下限なのか、あるいは同計測範囲を超えた値であるのか判断することはできない。このため、計測器の計測範囲の上限又は下限にある計測値を用いると、重回帰式の精度が低下するおそれがある。
【0045】
この点、上記方法では、計測された特性値のうち当該計測に用いた計測器の計測範囲の上限又は下限となるものを除去する。そして、この除去された計測値を除いて各重回帰式を求めるために、重回帰式の精度をいっそう向上させることができるようになる。
【0046】
請求項15記載の発明は、請求項13記載の発明において、前記特性値を計測する工程の後の工程として、前記計測値に基づいて前記重回帰式を求める工程を更に有し、前記所定の基準を外れた値を除去する工程は、前記重回帰式についてその予測値と計測値との残差が予め定められた基準を外れるものについてその計測値を外れ値として除去する工程であることをその要旨とする。
【0047】
重回帰分析においては、重回帰式の予測値と計測値との残差が所定の基準から外れているものがあるときには、この計測値に起因して重回帰式の精度が低下しているおそれがある。特に、計測点の数を低減すべく実験計画法を用いる場合には、重回帰式に対する計測値1つあたりの影響が大きなものとなるためこうした問題は深刻である。
【0048】
この点、上記方法では、各重回帰式についてその予測値と計測値との残差が所定の基準から外れるものについてその計測値を外れ値として除去する工程を有し、外れ値として除去された計測値を有する特性値について、この外れ値を除いてこの特性値を目的変数とする重回帰式が再度求められる。このため、外れ値として除去された計測値を有する特性値について求められた重回帰式の精度を向上させることができるようになる。
【0049】
請求項16記載の発明は、請求項13〜15のいずれかに記載の発明において、前記高次で表記されるパラメータを重回帰式の説明変数として追加する工程は、前記制御パラメータの高次として表記されるパラメータのうち、当該重回帰式の説明変数となっていないパラメータを前記追加するパラメータの候補として、これを追加した場合の前記重回帰式の決定係数を算出する工程と、前記追加するパラメータの候補のうち前記算出された決定係数がもっとも大きくなるものについて当該パラメータを前記重回帰式に加えることの有意性をF検定にて判断する工程と、前記F検定の結果、当該パラメータを付け加えることが有意と判断されたときには、これを説明変数として付け加えた後、今回説明変数として付け加えたパラメータ以外のパラメータであって、それ以前に付け加えた各パラメータについて、これを説明変数から削除する場合の決定係数を算出する工程と、前記各説明変数を削除する場合の決定係数が最大となるものについて、同削除するパラメータの当該重回帰式における優位性をF検定によって判断する工程と、前記削除するパラメータの当該重回帰式における優位性を判断するF検定によって当該パラメータが有意でないと判断されたときには、これを当該重回帰式の説明変数から削除する工程と、の各工程を、前記F検定によってパラメータを付け加えることが有意でないと判断されるまで繰り返すものであることをその要旨とする。
【0050】
上記方法によれば、追加するパラメータの各候補を追加した場合の重回帰式の決定係数をそれぞれ算出することで、その決定係数の最も大きなものを追加する最も有力な候補として的確に選択することができる。そして、この決定係数の最も大きなものについて、F検定を行うことで、当該パラメータを重回帰式に付け加えることの有意性を的確に判断することができるようになる。
【0051】
更に、パラメータを新たに付け加えた場合には、それ以前に付け加えた各パラメータについて、これを削除する場合の決定係数を算出することで、同決定係数が最も大きくなるものを重回帰式の説明変数として有意でない可能性の最も大きなパラメータとして的確に選択することができる。そして、この決定係数の最も大きなパラメータについて、F検定を行うことで、当該パラメータを重回帰式から削除することの適切性を的確に判断することができるようになる。
【0052】
そして、こうした一連の処理を追加することが有意であると判断されるパラメータがなくなるまで行うことで、上記多重共線性を考慮した上で、高次として表記されるパラメータのうちの適切なパラメータの追加された重回帰式を取得することができるようになる。
【0053】
請求項17記載の発明は、請求項16記載の発明において、前記特性値を計測する工程は、前記エンジンの所定の複数の運転状態のそれぞれについて前記各特性値を計測する工程であるとともに、前記特性値を目的変数とする重回帰式は、これらエンジンの所定の複数の運転状態毎に各別に求められるものであり、前記高次として表記されるパラメータを前記特性値を目的変数とする重回帰式に加えることの有意性をF検定にて判断する工程は、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて行われることをその要旨とする。
【0054】
重回帰式に新たなパラメータを付け加えることの優位性をF検定にて判断する際には、そのF検定にかかる判定値の最適値はエンジンの運転状態によって異なる。
【0055】
この点、上記方法では、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて、高次として表記されるパラメータを特性値を目的変数とする重回帰式に加えることの有意性を判断するF検定を行うことで、この優位性の判断を精度よく行うことができるようになる。
【0056】
請求項18記載の発明は、請求項16又は17記載の発明において、前記各特性値を計測する工程は、前記エンジンの所定の複数の運転状態のそれぞれについて前記各特性値を計測する工程であるとともに、前記特性値を目的変数とする重回帰式は、これらエンジンの所定の複数の運転状態毎に各別に求められるものであり、前記削除するパラメータの当該重回帰式における優位性をF検定にて判断する工程は、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定されるF値に基づいて行われることをその要旨とする。
【0057】
重回帰式からパラメータを削除することの適切性をF検定にて判断する際には、そのF検定にかかるF値の最適値はエンジンの運転状態によって異なる。
この点、上記方法では、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定されるF値に基づいて、特性値を目的変数とする重回帰式から所定の高次として表記されるパラメータを削除することの適切性を判断するF検定を行うことで、この判断を精度よく行うことができるようになる。
【0058】
請求項19記載の発明は、請求項13〜18記載の発明において、前記複数の実験点は、前記エンジンの制御パラメータの全てがセンターポイントとなる実験点を3個含み、前記複数の実験点のそれぞれに前記制御パラメータを設定して行われる前記各特性値の一連の計測において、その最初及び中間及び最後に前記エンジンの制御パラメータの全てがセンターポイントとなる実験点を定めることをその要旨とする。
【0059】
実験計画法に基づいて実験点を定める場合、そのセンターポイントとなる点における計測値が重回帰式の精度に大きな影響を与えるものとなる。
この点、上記方法によれば、複数の実験点における計測の最初及び中間及び最後にエンジンの制御パラメータの全てがセンターポイントとなる実験点を定めるようにすることで、センターポイントとなる点における計測値の計測ばらつきの影響を除くことができるようになる。また、センターポイントにおける計測を複数回行うために、たとえセンターポイントにおける計測値の中から重回帰式の生成に際して除去される点が生じた場合であれ、残りのセンターポイントにおける計測値を用いて同センターポイントにおける計測値を重回帰式に反映させることもできる。したがって、上記方法によれば、センターポイントにおける計測値として適切な値を用いて重回帰式を求めることができ、重回帰式の精度を向上させることができる。
【0060】
請求項20記載の発明は、エンジンの所定の運転状態における同エンジンの複数の特性値について、これら各特性値をそれぞれ目的変数とし同エンジンの制御パラメータ及びそれらの高次で表記されるパラメータを説明変数とする重回帰式をそれぞれ求め、これら求められた複数の重回帰式に基づき前記所定の運転状態において前記複数の特性値がそれぞれの要求条件を満たすように前記制御パラメータを適合させるエンジン制御パラメータの適合システムにおいて、前記エンジンの所定の運転状態における前記各特性値を計測する手段と、前記各計測値に基づいて前記各重回帰式を求める手段と、前記各重回帰式についてその予測値と計測値との残差が所定の基準から外れるものについてその計測値を外れ値として除去する手段と、前記外れ値の除去された特性値について、これを目的変数とする重回帰式を再度求める手段とを備えることをその要旨とする。
【0061】
重回帰分析においては、重回帰式の予測値と計測値との残差が所定の基準から外れているものがあるときには、この計測値に起因して重回帰式の精度が低下しているおそれがある。特に、計測点の数を低減すべく重回帰分析を用いる場合には、重回帰式に対する計測値1つあたりの影響が大きなものとなるためこうした問題は深刻である。
【0062】
この点、上記構成では、各重回帰式についてその予測値と計測値との残差が所定の基準から外れるものについてその計測値を外れ値として除去する手段を備え、外れ値として除去された計測値を有する特性値について、この外れ値を除いてこの特性値を目的変数とする重回帰式が再度求められる。このように、外れ値として除去された計測値を有する特性値について、この外れ値を除いてこの特性値を目的変数とする重回帰式を再度求めることによって、求められた重回帰式の精度を向上させることができるようになる。したがって、上記構成によれば、エンジンの特性値と制御パラメータとの関係を定めたモデル式を用いてより精度のよい制御パラメータの適合値を効率的に取得することができるようになる。
【0063】
なお、上記所定の基準は、各特性値毎に各別に定められるようにすることが望ましい。また、各計測値に基づいて各重回帰式を求める手段は、請求項4又は請求項6〜10のいずれかに記載の処理を行う手段であってもよい。また、外れ値を除いてこの特性値を目的変数とする重回帰式を再度求める手段は、請求項5又は請求項6〜10のいずれかに記載の処理を行う手段であってもよい。更に、上記エンジンの所定の運転状態における各特性値を計測する手段は、上記請求項11又は12に記載の処理を行う手段であってもよい。
【0064】
請求項21記載の発明は、エンジンの所定の運転状態における同エンジンの特性値を目的変数とし同エンジンの制御パラメータ及びそれらの高次で表記されるパラメータを説明変数とする重回帰式を求め、同重回帰式に基づき前記所定の運転状態において前記特性値が要求条件を満たすように前記制御パラメータを適合させるエンジン制御パラメータの適合システムにおいて、前記エンジンの所定の運転状態において、前記重回帰式の説明変数として加える可能性のあるパラメータを考慮した実験計画法に従った複数の実験点のそれぞれに前記制御パラメータを設定して前記特性値を計測する手段と、前記計測値のうち、所定の基準を外れた値を除去する手段と、前記除去された計測値以外の計測値に基づき、前記説明変数として前記エンジンの制御パラメータを用いて前記重回帰式を求める手段と、前記エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと前記重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ、同高次として表記されるパラメータを前記重回帰式の説明変数に追加することが有意と判断されたときにこれを同重回帰式の説明変数として追加する手段とを有することをその要旨とする。
【0065】
実験計画法に従った複数の実験点のそれぞれに制御パラメータを設定して各特性値を計測する場合、各制御パラメータについての計測点の数の増大を抑制しつつも、各制御パラメータ及びその高次として表記されるパラメータとエンジンの特性値との関係を得るための適切な情報量を得ることができる。
【0066】
ところで、実験計画法に従った実験点での計測値のうち所定の基準を外れた値を除去したものから得られる上記情報は、理論的には適切なものでないこととなる。
【0067】
しかし、このような場合、残りの計測値を用いて求められた重回帰式は、計測点の全ての値を用いて求められた重回帰式よりも精度のよいものとなることがあることが、発明者の行った一連の実験から示された。
【0068】
この点、上記構成によれば、計測値のうち所定の基準を除去した後に、重回帰式を求めることで、この重回帰式の精度を向上させることができる。しかも、エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと当該重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ同パラメータを当該重回帰式の説明変数に追加することが有意と判断されたときにこれが同重回帰式の説明変数として追加される。このため、特性値と制御パラメータとの関係を表現するモデル式(重回帰式)において、複数の制御パラメータの交互作用項等については、その有意性の判断と共にこれを付け加えるか否かが判断されることとなる。このため、当該エンジン毎に適切な項を加えて上記モデル式(重回帰式)を求めることができる。したがって、上記構成によれば、エンジンの特性値と制御パラメータとの関係を定めたモデル式を用いてより精度のよい制御パラメータの適合値を効率的に取得することができるようになる。
【0069】
なお、上記所定の基準を外れた値を除去する手段は、請求項14又は15記載の発明の処理をする手段であってもよい。また、上記パラメータを重回帰式の説明変数として追加する手段は、請求項16〜18のいずれかに記載の発明の処理を行う手段であってもよい。更に、上記計測する手段は、請求項19記載の発明の処理を行う手段であってもよい。
【0070】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるエンジン制御パラメータの適合方法及び適合システムを、筒内噴射式ガソリンエンジンにおける成層燃焼時の制御マップに対してその適合値の算出に適用した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、この制御マップは、エンジンの運転状態を回転速度(ne)及び負荷(kl)とで定義し、これら回転速度と負荷の少なくとも一方が互いに異なる所定個の点(例えば120点)の運転条件に対して、それぞれ制御パラメータの適合値を設定したものである。
【0071】
図1は、本実施形態にかかるエンジン制御パラメータの適合システムの全体構成を示すブロック図である。
同図1に示されるように、制御パラメータによって制御される対象となる筒内噴射型ガソリンエンジン10は、シリンダ11及びピストン12によって区画形成される燃焼室13に燃料を直接噴射可能とすべく同燃焼室13の上方にインジェクタ14を備えている。更に、エンジン10は、燃焼室13内の混合気に点火するための点火プラグ15を備えている。
【0072】
上記燃焼室13には吸気通路16から空気が吸入され、これが上記噴射される燃料とともに混合気になるとともに、この混合気の上記点火による燃焼ガスが排気として同燃焼室13から排気通路17へ排出される構造となっている。この吸気通路16からの空気の吸入及び排気通路17への排気の排出の各タイミングは、それぞれ吸気バルブ18及び排気バルブ19の開弁タイミングによって設定される。そして、ここに例示するエンジン10の場合、この吸気バルブ18の開弁タイミング(排気バルブ19の開弁期間とのオーバーラップ量)は、可変バルブタイミング機構(以下VVTという)20によって可変設定される。
【0073】
一方、エンジン10の燃焼室13に取り込まれる空気量は、吸気通路16の途中に設けられた電子制御スロットル21によって調量される。また、排気通路17へ排出された排気の一部は、EGR通路22を介して吸気通路16に戻される。そして、この戻される排気量は、EGRバルブ23の開弁量によって調量される。
【0074】
こうしたエンジン10の制御は、電子制御装置(以下、ECUという)30によって行われる。また、このECU30には、水温センサ26やエンジン10の出力軸24近傍に設けられた回転速度センサ25等、エンジンの運転状態を計測する各種センサからの情報が計測情報として入力される。
【0075】
一方、上記エンジン10の各種制御パラメータを適切な値に設定する制御マップの各適合値を算出する本実施形態の適合システムは、次のものを備えている。すなわち、同システムは、エンジン10の出力軸24と連結されるダイナモメータ31や、ダイナモメータ31を操作するダイナモ操作盤32、ダイナモメータ31を所定の条件に制御すべくダイナモ操作盤32に指令を送る自動計測装置33を備えている。
【0076】
ここで、ダイナモメータ31は、エンジン10の出力軸24の発生するトルクを吸収することで、エンジン10を擬似的に車両に搭載した負荷状態にして各種試験を行うためのものである。そして、ダイナモメータ31の吸収するトルクは、自動計測装置33からの指令にしたがって、ダイナモ操作盤32が操作されることで制御される。
【0077】
また、同適合システムは、ECU30及び自動計測装置33間でのデータのやりとりを仲介するパネルチェッカー34を備えている。そして、自動計測装置33では、このパネルチェッカー34を介して、ECU30内に保持されるエンジン10の上記計測情報を取得する。一方、同自動計測装置33では、この計測情報によってモニタされるエンジン10の状態に基づいて、アクセルペダルの踏み込み量に相当するデータ等をパネルチェッカー34を介してECU30に供給する。
【0078】
すなわち、エンジン10が実際に車両に搭載されるときには、上記各種センサ等からECU30に入力される計測情報に基づきその運転状態が制御される。これに対し、ダイナモメータ31を用いて擬似的に車両に搭載された状態を作り出す場合には、運転者の意志を反映したアクセルペダルの踏み込み量等のデータがECU30に供給されない。そこで自動計測装置33では、このようなアクセルペダルの踏み込み量に相当するデータ等を上記パネルチェッカー34を介してECU30に供給することで、同エンジン10を所望の運転状態に制御する。
【0079】
一方、ECU30内には、エンジン10の制御情報として、同エンジン10に類似する機種のエンジンの制御マップ等、当該エンジン10を大まかに制御することのできる制御マップを備えている。したがって、この適合システムによるエンジン10の走行試験時には、同エンジン10の状態を検出する上記各種センサからの計測情報や自動計測装置33から入力されるデータに基づき、この制御マップを通じてECU30によるエンジン10の制御が行われる。
【0080】
こうした自動計測装置33によるエンジン10やダイナモメータ31を制御する指令は、大きくは自動計測装置33内の条件ファイルに基づいて設定される。この条件ファイルには、基本的には、計測を所望するエンジン10の各運転状態(回転速度及び負荷)毎に、その制御パラメータが書き込まれている。そして、この各運転状態毎にエンジン10が固定制御されてそのときのエンジン10の出力が計測器35によって計測される。なお、この条件ファイル内に設定される各条件は、条件設定ツール53によって設定される。
【0081】
この条件ファイルに設定された各運転状態にエンジン10の運転状態を制御するために、自動計測装置33では、パネルチェッカー34を介してECU30にアクセルペダルの踏み込み量に相当するデータ等を供給する。そして、エンジン10がこの条件ファイルを通じて設定された運転状態に制御されると、自動計測装置33では、パネルチェッカー34を介してECU30内のメモリあるいはレジスタ等にマニュアルフラグをセットする。このマニュアルフラグは、上記制御マップによるエンジン10の制御を禁止するフラグである。エンジン10が上記条件ファイルを通じて設定された運転状態となると、自動計測装置33では、このフラグをセットするとともに、エンジン10の制御パラメータを同条件ファイル内に設定された値に固定制御する。
【0082】
こうして上記条件ファイルに設定されたエンジン運転条件下、制御パラメータが所定の制御値にて固定制御された状態で、燃料消費量や排気中のNOx濃度、出力トルクの変動量等、エンジン10の各特性値が計測器35により計測される。
【0083】
詳しくは、この計測器35は、エンジン10に供給される燃料量を計測する燃費計や、エンジン10の排気通路17から排出されるガス成分中のNOx濃度を分析する分析計、エンジン10及びダイナモメータ31間に設置されたトルクメータ及び同トルクメータの値を計算処理するトルク変動計を備えている。そして、燃料消費量に関しては、燃費計による計測値が、自動計測装置33内で計算処理される。また、NOx濃度は、分析計で算出された濃度が計測値として用いられ、自動計測装置33によって計算処理される。更に、出力トルクの変動量は、トルク変動計の値として計測され、自動計測装置33で計算処理される。これら自動計測装置33内で計算処理されたデータが計測データとなる。
【0084】
この計測データを上記各条件ファイル毎に保持すべく、この適合システムは、サーバ40を備えている。また、同適合システムは、このサーバ40に保持された計測データを各条件ファイルの情報とともに解析する解析ツール50や、この解析ツール50による解析結果を表示する表示器51、同解析結果の一部を記憶保持するデータベース52を備えている。更に、これら解析ツール50や、条件設定ツール53等を操作すべく、上記適合システムは、操作部60を備えている。
【0085】
ここで、上記条件ファイルに設定されるエンジン10の運転状態についてその設定態様や、上記解析ツール50によるエンジン制御パラメータの適合値の算出態様について説明する。
【0086】
上述したように、本実施形態では、エンジン10の成層燃焼領域において、回転速度と負荷とで定まる120点の運転条件に対して、それら各点におけるエンジン制御パラメータの適合値を算出する。
【0087】
そして、この120点の適合値の算出は、基本的には、
・各運転状態毎に、制御パラメータの値をいくつか設定してエンジン10の上述した各特性値を計測する。
・こうした計測結果に基づいて、各運転状態毎に、各制御パラメータとエンジン10の各特性値との関係を定めた低次のモデル式を求める。
・各運転状態毎に上記エンジン10の各特性値に対して予め設定された要求条件に基づいて、この求めたモデル式から各運転状態における制御パラメータの適合値を算出する。
といった手順にて行われる。
【0088】
ここで、本実施形態では、エンジン10の上記計測する各特性値を、燃料消費量BSFC、窒素酸化物排出量NOx、トルク変動量TFとする。また、上記制御パラメータを、電子制御スロットル21の開度x1、点火時期x2、燃料噴射時期x3、EGRバルブ23の開度(EGR量)x4、吸気バルブ18の開弁時期(バルブオーバーラップ量またはVVT進角値)x5とする。そして、上記モデル式を、これら制御パラメータ、及び例えば「x12」や「x1×x2」等、その2次として表記されるパラメータを説明変数とし、各特性値を目的変数とする重回帰式とする。
【0089】
そして、上記各運転状態毎に、これら各特性値を目的変数とする重回帰式を求めるために、同各運転状態毎に制御パラメータの値をいくつか設定してエンジン10の上記対象とする特性値の計測を行う。
【0090】
この計測の関しては、上記重回帰式の説明変数として、制御パラメータ及びその2次として表記されるパラメータを全てを考慮した実験計画法に従った実験点に上記制御パラメータを設定することで行う。すなわち、上記5つの制御パラメータと、それらの各2乗として表記される5つのパラメータ、及び2つの制御パラメータの交互作用項となる10個のパラメータについての実験計画法による実験点を用いる。
【0091】
詳しくは、この実験計画法としては、複数の実験計画法の混合型である中心複合計画を用いる。具体的には、線形モデルに対して適用される2水準のもの(各制御パラメータの値を2値的に変化させるもの)と、2次のモデルに適用される3水準のもの(各制御パラメータの値を3値的に変化させるもの)とを複合した中心複合計画を用いる。
【0092】
そして、各運転状態毎に、各制御パラメータを、センターポイント及びその上下の値の3点に設定する。そして、センターポイントを「0」、その上下の値を「+1」及び「−1」として、図2に例示するような直交表を用いて29点の計測を行う。この直交表は、上記交互作用項を含む各モデル式に対して計測点の数を削減しつつ、同計測から得られる情報を最適化するための設定がなされたものである。なお、図2においては、センターポイントを計測の最初(第1点)、中間(第12点)、最後(第29点)の3回計測することにしているが、これはセンターポイント計測時の試験ばらつきの影響を除くための配慮である。
【0093】
また、上記直交表における「+1」及び「−1」に対応して、各制御パラメータ毎に振り幅を予め設定しておく。したがって、例えば点火時期x2のセンターポイントを上記ピストン12の上死点から「30度」の進角された点とし、振り幅を「4度」とすると、計測に用いられる制御パラメータの値は、上記直交表の「0」、「+1」、「−1」に対応して、それぞれ「30度」、「34度」「26度」となる。
【0094】
ここで、上記各特性値を目的変数とする重回帰式を求める手順について図3を用いて説明する。図3は、同重回帰式を求める手順を示すフローチャートである。
【0095】
この一連の手順においては、まずステップ100において、各マップ点(ここでは、120点)によって定義されるエンジンの各運転状態毎に、エンジンの上記各特性値を計測する。この処理は、以下のような手順で行われる。
(イ)先の図1に示した条件設定ツール53において、各マップ点毎に条件ファイルが設定される。
(ロ)操作部60を介して外部から、各マップ点における制御パラメータのセンターポイントとなる値が入力される。
(ハ)条件設定ツール53において、上記各マップ毎に、上記入力された値をセンターポイントとし、実験計画法の直交表と上記振り幅とに基づいて計測に用いる制御パラメータの値が設定される。この設定された制御パラメータの値は、上記条件ファイルに記入される。
(ニ)全てのマップ点について条件ファイルが設定されると、この条件ファイルは、自動計測装置33に転送される。
(ホ)自動計測装置33では、ECU30内にセットされる前記マニュアルフラグをリセットする。この状態で、ダイナモメータ31及びECU30に所定の指令が送られることで、特定の条件ファイルに設定された回転速度に一致するようにエンジン10の回転速度が制御される。次に、エンジン10の負荷が同条件ファイルに設定されたものとなるように制御される。
(ヘ)そして、パネルチェッカー34を介してECU30から供給される計測データに基づき、エンジン10の運転状態が条件ファイルでの設定に一致した旨判断されると、自動計測装置33では、パネルチェッカー34を介してECU30に前記マニュアルフラグをセットする。更に自動計測装置33では、エンジン10の各制御パラメータを条件ファイルに設定された29通りのうちの1つに固定する。
(ト)この状態でエンジン10の各種特性値が計測される。そして、所定期間に渡る計測が終了されると、制御パラメータが上記条件ファイルに設定された他の値に固定制御され、再度計測が行われる。
(チ)こうして1つの条件ファイルに設定された上記29ポイントの計測が終了すると、この計測データはサーバ40に自動登録される。そして、次の条件ファイルが選択されるとともに、ECU30内のマニュアルフラグがリセットされ、新たに選択された条件ファイルに設定されている運転状態へとエンジン10の運転状態が制御される。
【0096】
こうした一連の手順によって全てのマップ点の計測が終了すると、ステップ200に移行する。このステップ200では、上記解析ツール50において、上記各特性値の計測値から各特性値毎に計測器の計測範囲の上限又は下限となるものを除去する。すなわち、各特性値毎に計測器の計測範囲の上限又は下限にあるものについては、上記重回帰式を求める際に用いないようにする。これは、計測値が計測器の計測範囲の上限又は下限にある場合、その計測値の真の値は同計測範囲の上限又は下限なのか、あるいは同計測範囲を超えた点であるのか判断することができないためである。
【0097】
例えば所定の運転状態において先の図2に示した直交表の実験点「26」について、特性値としての出力トルクの変動量の計測値が計測器35の計測範囲の上限にある場合、出力トルクの変動量については、当該運転状態における実験点「26」の計測値を除去する。この際、勿論、特性値としての燃料消費量についての同運転状態における実験点「26」の計測値が計測器35の計測範囲にある場合には、特性値としての燃料消費量については、当該運転状態における実験点「26」の計測値が除去されない。
【0098】
なお、解析ツール50におけるこの処理は、例えば、
・サーバ40に自動登録されている各特性値についての計測データを取り込む。・特性値について変数変換が必要なものについてはこれを変数変換する。すなわち、上記各パラメータを説明変数とする重回帰式の目的変数としては、計測値をそのまま用いるよりも、変数変換した方がより整合性があると判断されるものについてはこれを変数変換する。なお、この変数変換の実施については、実験や制御パラメータの適合値についての経験値等から判断して予め解析ツール50の処理プログラムに組み込んでおく。
・各特性値毎に、計測値のうち計測範囲の上限又は下限にあるものを除去する。という手順にて行えばよい。
【0099】
そして、ステップ300では、上記解析ツールにおいて、計測値に基づき、特性値を目的変数とする重回帰式を求める。すなわち、上記特性値のうちの任意の1つの特性値を選択し、上記ステップ200において除去された計測値があるときには、これを除去した上で、この選択された特性値を目的変数とする重回帰式を求める。この重回帰式を求める処理の手順は、図4及び図5のフローチャートに示される。
【0100】
ここで、重回帰式においては、上記5つの制御パラメータ(x1、x2、…)とその高次として表記される15個のパラメータ(x12、x22、…x1・x2、x1・x3、…)とをそれぞれ独立な説明変数とする。なお、上記高次として表記される15個のパラメータをx6〜x20と定義する。
【0101】
これにより、各特性値をyとする重回帰式は、これら20個のパラメータを全て説明変数として含む場合には、その偏回帰係数をai(i=1、2、…20)として、
y=a0+a1・x1+a2・x2+…+a20・x20
と表記される。
【0102】
この重回帰式を求めるに先立ち、本実施形態では、各マップ点における各説明変数の計測値とその平均値との偏差積和(c1)を求める。
【0103】
【数1】
ここで、xi(m)、xj(m)は、各説明変数(xi、xj)について、変数「m」で示される各実験点における計測値を示す。したがって、計測値のうち除去されたものがなければ、上式(c1)における「m」についての和として「1」から「29」まで(n=29)が想定されている。このように「29」点の和をとることからもわかるように、本実施形態においては、先の図2に示した実験点の3つのセンターポイントをそれぞれ独立に重回帰分析に用いる。なお、先の図3のステップ200において、除去された計測値があれば、上記(c1)の和からこの除去された計測値に対応する実験点についてはこれを含まないものとする。
【0104】
更に、各マップ点における各目的変数yの計測値とその平均値との偏差積和(c2)を求める。
【0105】
【数2】
ここで、y(m)は、各説明変数について、変数「m」で示される各実験点における計測値を示す。したがって、計測値のうち除去されたものがなければ、上式(c2)における「m」についての和は「1」から「29」まで(n=29)が想定されている。
【0106】
更に、上式(c1)で示される説明変数の偏差積和や上式(c2)で示される各目的変数についての偏差積和から、相関係数rij(i=1〜20又はy,j=1〜20又はy)を算出する。
【0107】
【数3】
こうした各偏差積和や、相関係数を算出した後、図4のステップ310に移行する。このステップ310では、制御パラメータの全てを説明変数とし、先の図3のステップ300にて選択された特性値を目的変数とする重回帰式を算出する。詳しくは、ここでは、上記各説明変数に対する偏回帰係数a1〜a5を上記偏差積和と相関係数とを用いて以下のように算出する。
【0108】
【数4】
ここで、各係数a1’、…a5’は、偏回帰係数と以下の関係がある。
【0109】
【数5】
こうしてステップ310において、制御パラメータを説明変数とする重回帰式の各偏回帰係数が算出されると、ステップ315において追加できるパラメータがあるか否かが判断される。ここでは、上記制御パラメータの高次として表記されるパラメータx6〜x20のうちで重回帰式に含まれていないものがあるか否かが判断される。したがって、少なくともこのステップ315がステップ310において制御パラメータの全てを説明変数とする重回帰式を求めた後の処理であるときには、追加できるパラメータがあると判断されることとなる。
【0110】
そして、追加できるパラメータがあると判断されると、ステップ320に移行する。ここでは、追加可能なパラメータを重回帰式の説明変数として追加した場合の決定係数を算出する。ここでは、例えばこのステップ315の時点において、重回帰式に「p(p<20)」個の説明変数が含まれており、「p+1」個目の説明変数を追加する場合を例にとって説明する。
【0111】
この場合、まず、「p」個の説明変数が含まれる当該重回帰式の決定係数を以下のように算出する。
【0112】
【数6】
ここで、Speは、以下で定義される。
【0113】
【数7】
ここで、y(m)は、上述したように、当該特性値について、各実験点「m」での計測値を示す。また、Yp(m)は、上記「p」個の説明変数が含まれる当該重回帰式において各実験点「m」における当該特性値の予測値である。
【0114】
次に、制御パラメータの高次で表記されるもののうち、当該重回帰式の説明変数に含まれていないものを1つ選択して追加したときの決定係数R(p+1)2を以下のように算出する。
【0115】
【数8】
この決定係数は、制御パラメータの高次で表記されるもののうち、当該重回帰式の説明変数に含まれていないもののそれぞれについて算出する。ちなみにここで、説明変数x(p+1)についての偏回帰係数a(p+1)は、上式(c3)によって算出した相関係数を用いて、上式(c5)及び下式(c9)から算出される。
【0116】
【数9】
こうして各決定係数が算出されると、ステップ325に移行する。
【0117】
このステップ325では、上記追加するパラメータのうち、上記ステップ320において算出された決定係数が最も大きくなるものについてこれを当該重回帰式に追加することの優位性をF検定にて判断する。すなわち、上記決定係数が最も大きくなるものは、(少なくとも決定係数を判断材料とした場合には)当該重回帰式に加えることが有意である可能性が最も大きなものであるため、これについてF検定を行う。
【0118】
ここでは、決定係数が最も大きくなったときのパラメータを追加した重回帰式について、同追加したパラメータの当該重回帰式における寄与率を示すF値を以下の式にて算出する。
【0119】
【数10】
ここで、「n」は、実験点のうち当該重回帰式の算出に用いられるものの数である。すなわち、先の図2に示した29点の実験点のうち、先の図3のステップ200において除去されたものを除いた数である。
【0120】
そして、この式で表記されるF値と所定の判定値(Fin)との値の大小を比較する。このF検定に際しては、エンジンの運転状態毎(当該マップ点毎)に、また、各特性値毎に、各別の判定値を用いて行う。これは、このF検定にかかる判定値の最適値がエンジンの運転状態によって異なるためである。図6に、各エンジンの運転状態及び各特性値と判定値との関係を示す。
【0121】
同図6において、アイドル領域は、エンジンの無負荷の運転領域である。また、レーシング領域は、低負荷高回転となる運転領域である。更に、常用領域は、上記アイドル領域及びレーシング領域を除く運転領域である。
【0122】
また、図6において示されるトルク変動、スモーク等は、本実施形態において扱われる特性値ではないが、制御パラメータの適合に際してのF検定に用いる判定値として適切な値が、エンジンの運転状態に応じて変化することを示すために記載した。なお、これら特性値のうちのいくつかについては、所定の変数変換がなされている。
【0123】
この図6に示す判定値のなかの該当する判定値にてF検定を行うと、ステップ330において、上記F値が判定値以上であるか否かが判断される。そして、上記F値が判定値以上である場合には、当該パラメータを重回帰式に追加することが有意であるとして図5に示すステップ335にてこのパラメータを追加する。
【0124】
続いて、ステップ340では、削除できるパラメータがあるか否かを判断する。すなわち、この時点での重回帰式の説明変数が上記制御パラメータの高次として表記されるパラメータを含んでいるか否かを判断する。そして、削除できるパラメータがあると判断されると、ステップ345に移行する。このステップ345においては、重回帰式の説明変数から、制御パラメータの2次で表記されるものを削除する場合の決定係数を算出する。
【0125】
例えば重回帰式の説明変数として「p+1(>5)」個の変数が含まれている場合、重回帰式の説明変数のうち、制御パラメータの1次で表記される変数以外の変数であるx6、x7、…x(p+1)の中から1つを除いたものについて、上式(c6)に従って決定係数を算出する。この決定係数は、上記各変数x6、x7、…x(p+1)について、これらのうちの各1つを除いた場合についてそれぞれ算出する。
【0126】
そして、ステップ350において、決定係数が最も大きくなるものについて、当該説明変数を重回帰式から削除することについての適切性をF検定にて判断する。ここでは、例えば説明変数としてxkを削除する場合の決定係数が最も大きかったとすると、説明変数としてx1、x2、…x(k−1)、x(k+1)、…x(p+1)の「p」個の変数に対してxkを追加する場合の上式(c10)に基づくF値F(p+1)を算出する。なお、上式(c10)において、決定係数R(p)2は、これら「p」個の説明変数x1、x2、…x(k−1)、x(k+1)、…x(p+1)についての重回帰式の決定係数として算出されるものである。
【0127】
そして、ステップ355では、こうして算出されたF値が判定値(Fout)よりも小さいか否かが判断される。ここで、この判定値(Fout)は、上述した重回帰式の説明変数として新たなパラメータを付け加えることの優位性を判断するための判定値(Fin)よりも小さな値に設定する。詳しくは、本実施形態では、先の図6にて設定された各判定値(Fin)を「0.9」倍したものを、重回帰式から所定の説明変数を除くことの適切性を判断するための各判定値(Fout)とする。
【0128】
そして、この判定値(Fout)よりも小さいと判断されると、ステップ360に移行し、この変数を当該重回帰式の説明変数から削除する。すなわち、上記F値が判定値(Fout)を下回る場合には、この変数の重回帰式への寄与率が低いと判断されることから、これを削除する。
【0129】
このステップ315〜360の処理は、ステップ315において、追加できるパラメータがないと判断されるかステップ330において判定値以下であると判断されるまで繰り返し実行される。
【0130】
このように、ステップ315〜360の処理を繰り返し実行することで、多重共線性を考慮した上で、2次として表記されるパラメータのうちの適切なパラメータが自動的に追加された重回帰式を取得することが可能となる。
【0131】
そして、ステップ315において、追加できるパラメータがないと判断されたときや、ステップ330において判定値以下であると判断されたときには、ステップ365に移行する。このステップ365では、この時点で重回帰式の説明変数として定められているものについての偏回帰係数を算出する。
【0132】
そして、こうして求められた偏回帰係数を用いて、重回帰式の定数項a0が、下式(c11)にて算出される。
【0133】
【数11】
こうして重回帰式が算出されると、先の図3に示すステップ400に移行する。このステップ400では、ステップ300で求めた重回帰式による予測値と計測値との残差が所定以上である実験点(計測値)を、図7に示すように外れ値として除去する。ここで残差RSDは、下式(c12)にて定義される。
【0134】
【数12】
この式においても「n」は、除去されていない実験点についての計測値の数である。また、分母において「p」は、当該重回帰式の説明変数の数である。
【0135】
この残差は、各特性値毎に定められた各別の基準と比較され、この基準を上回ったものを外れ値とする。このように各特性値毎に各別の基準を用いるのは、制御パラメータに対するエンジンの特性値の計測値をプロットした計測結果は、各特性値毎に特有の分布を示すためである。例えばNOxは燃料消費量と比較して、その特性上、制御パラメータの2次以下で表記されるパラメータを説明変数とする重回帰式に対する計測値のばらつきが小さい。このため、NOxについては、燃料消費量と比較して基準値を小さく設定することが望ましい。このように、特性値毎に各別の基準を用いることで、外れ値を適切に検出することが可能となる。
【0136】
そして、こうした処理に基づき、ステップ500において外れ値がある判断されると、ステップ600に移行する。このステップ600では、外れ値として検出されたものの数が、許容範囲にあるか否かが判断される。ここでは、ステップ400の処理に基づき外れ値と判断されたものの数とステップ200の処理において外れ値と判断されたものの数との和が所定値以下であるか否かが判断される。この所定値は、この外れ値とされた計測値を除去した方が重回帰式の精度を向上することができる範囲を規定する値である。
【0137】
そして、ステップ600にて外れ値の検出個数が許容範囲にあると判断されると、ステップ700において外れ値を除去する。すなわち、ステップ300で求めた重回帰式による予測値と計測値との残差が所定以上である実験点(計測値)を除去する。なお、この際、ステップ500で外れ値として判断されたものが複数あるときには、除去するものの数が許容範囲にある間、その残差の大きなものから順に削除していく。
【0138】
そして、この除去された計測値を除いたうえで、ステップ800において再度重回帰式を求める。この重回帰式を再度求める処理も、基本的には、先の図4及び図5に示す処理と同様の処理である。ただし、このステップ800において重回帰式を求める際には、上式(c1)、(c2)に示した偏差積和や上式(c3)に示した相関係数等は、ステップ200において除去されたものに加えてステップ700において除去された計測値を除いて算出する。
【0139】
こうして再度重回帰式を求めた後には、解析ツール50では、この重回帰式をデータベース52等に出力するようにする。
こうしたステップ300〜ステップ800の処理は、ステップ900において全ての特性値についての重回帰式が求められたと判断されるまで行われる。
【0140】
このように、本実施形態では、外れ値を除去しつつ重回帰式を求めることで、重回帰式の精度の向上を図る。すなわち、重回帰式の予測値と計測値との残差が所定の基準から外れているものがあることに起因した重回帰式の精度の低下を回避する。
【0141】
ちなみに、ステップ200やステップ800にて除去された計測値についてのみ再度計測をし直すことで計測値を取得するということも考えられる。しかし、この場合、ステップ100における測定、すなわち、先の図2の各実験点についての特性値の連続的な測定とは、その測定環境等が異なるものとなることがある。このため、こうして取得された計測値を付け加えて重回帰式を求めるようにすると、その信頼性に乏しいものとなるおそれがある。
【0142】
なお、実験計画法に従った各実験点は、各制御パラメータについての計測点の数の増大を抑制しつつも、各制御パラメータ及びその2次として表記されるパラメータとエンジンの特性値との関係を得るための適切な情報量を得るためのものである。したがって、上記各実験点での計測値のうちのいくつかを除去したものから得られる情報は、理論的には上記関係を得るための情報として適切なものでないこととなる。
【0143】
しかし、ステップ200やステップ700により計測値の除去を行った上で重回帰式を求めた方が、計測点の全ての値を用いて求められた重回帰式よりも精度のよいものとなることがあることが、発明者の行った一連の実験から示された。
【0144】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)各重回帰式についてその予測値と計測値との残差が所定の基準から外れるものについてその計測値を外れ値として除去するとともに、外れ値として除去された計測値を有する特性値について、この外れ値を除いてこの特性値を目的変数とする重回帰式を再度求めた。このため、外れ値として除去された計測値を有する特性値についての重回帰式の精度を向上させることができるようになる。
【0145】
(2)各重回帰式についてその予測値と計測値との残差が同各特性値毎に予め各別に定められた基準から外れるものについて、その計測値を外れ値として除去した。これにより、各特性値毎に、制御パラメータを目的変数とする重回帰式にて当該特性値を表現する際に適切でない計測値を的確に除去することができる。
【0146】
(3)計測された特性値のうち当該計測に用いた計測器の計測範囲の上限又は下限となるものを除去した。これにより、重回帰式の精度を向上させることができるようになる。
【0147】
(4)説明変数としてエンジンの制御パラメータを用いて当該特性値を目的変数とする重回帰式を求めた。次に、エンジンの制御パラメータの2次として表記されるパラメータと当該重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ同パラメータを当該重回帰式の説明変数に追加することが有意と判断されたときにこれが同重回帰式の説明変数として追加した。このため、複数の制御パラメータの交互作用項等については、これらを説明変数として付け加えることが有意であるものを自動的に追加することができるようになる。
【0148】
(5)当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて、2次として表記されるパラメータを特性値を目的変数とする重回帰式に加えることの有意性を判断するF検定を行うことで、この優位性の判断を精度よく行うことができるようになる。
【0149】
(6)各特性値毎に各別に設定される判定値に基づいて、2次として表記されるパラメータを特性値を目的変数とする重回帰式に加えることの有意性を判断するF検定を行うことで、この優位性の判断を精度よく行うことができるようになる。
【0150】
(7)当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて、特性値を目的変数とする重回帰式から2次として表記されるパラメータを削除することの適切性を判断するF検定を行うことで、この判断を精度よく行うことができるようになる。
【0151】
(8)各特性値毎に各別に設定される判定値に基づいて、特性値を目的変数とする重回帰式から2次として表記されるパラメータを削除することの適切性を判断するF検定を行うことで、この判断を精度よく行うことができるようになる。
【0152】
(9)特性値を目的変数とする重回帰式から制御パラメータの2次として表記されるパラメータを削除することの適切性を判断する判定値を、特性値を目的変数とする重回帰式に同パラメータを加えることの有意性を判断する判定値よりも小さな値に設定した。これにより、重回帰式の説明変数への追加及び削除の処理のハンチングを回避することができる。
【0153】
(10)中心複合計画に従った各実験点に制御パラメータを設定して各特性値を計測した。このため、各制御パラメータについての計測点の数の増大を抑制しつつも、各制御パラメータ及びその高次として表記されるパラメータとエンジンの特性値との関係を得るための適切な情報量を得ることができる。
【0154】
(11)計測にかかる実験点の最初及び中間及び最後にエンジンの制御パラメータの全てがセンターポイントとなる実験点を定めるようにすることで、センターポイントとなる点における計測値の計測ばらつきの影響を除くことができるようになる。また、センターポイントにおける計測を複数回行うために、たとえセンターポイントにおける計測値の中から重回帰式の生成に際して除去される点が生じた場合であれ、残りのセンターポイントにおける計測値を用いて同センターポイントにおける計測値を重回帰式に反映させることもできる。
【0155】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・特性値を目的変数とする重回帰式の説明変数は、制御パラメータ、及び同制御パラメータの2次で表記されるパラメータに限らず、例えば同制御パラメータの3次以上で表記されるパラメータを含めてもよい。なお、例えば制御パラメータの3次で表記されるパラメータを加える場合には、3次モデルに適用される例えば5水準からなるものを含んだ中心複合計画を用いることが望ましい。
【0156】
・実験計画法としては、中心複合計画に限らない。更に、計測にかかる制御パラメータの値の設定態様が実験計画法に従ったものでなくても、外れ値を除去するなどの処理をすることで重回帰式の精度を向上させることはできる。
【0157】
・特性値を目的変数とする重回帰式を算出する手法は、先の図4及び図5に例示したものに限らない。例えば、これら図4及び図5に例示した処理では変数増減法を用いたが、これにも限らない。いずれにせよ、多重共線性を考慮しつつ説明変数の追加や削除を行うなら、予め重回帰式の説明変数を設定しておかずとも、同説明変数として適切なものを含めることができる。
【0158】
この多重共線性を考慮しつつ説明変数を追加する手法としては、上記実施形態で例示したものの他にも例えば以下のものがある。
a.制御パラメータの高次として表記されるパラメータのうち、当該重回帰式の説明変数となっていないパラメータを付け加えるパラメータの候補として、同重回帰式の説明変数を説明変数とし、各パラメータの候補をそれぞれ目的変数とする各重回帰式を求める。
【0159】
【数13】
なお、上式(c13)において、fは、線形関数。X(p+1)は、付け加えるパラメータの候補について、これを目的変数としたものである。
b.当該特性値を目的変数とする重回帰式の予測値と計測値との残差を目的変数とし、前記付け加える各パラメータの候補を目的変数とする各重回帰式についての予測値と計測値との残差をそれぞれ説明変数とする各単回帰式を算出する。そして、この単回帰式の係数を、同付け加えるパラメータの候補を当該特性値を目的変数とする重回帰式に付け加えた場合の同パラメータについての偏回帰係数とする。
【0160】
ここで、上記単回帰式は、下式(c14)となる。
【0161】
【数14】
c.上記追加するパラメータの候補を当該特性値を目的変数とする重回帰式に付け加える場合の決定係数を算出する。決定係数は、下式(c15)となる。
【0162】
【数15】
なお、上式(c15)において、和は、当該重回帰式を求めるに当たり用いられる計測点についてのものである。
d.前記付け加えるパラメータの候補のうち前記算出された決定係数がもっとも大きくなるものについて当該パラメータを当該特性値を目的変数とする重回帰式に加えることの有意性をF検定にて判断する。
【0163】
ここで、F値は、下式で与えられる。
【0164】
【数16】
なお、上式(c16)において、和は、当該重回帰式を求めるに当たり用いられる計測点についてのものである。
e.前記F検定の結果、当該パラメータを付け加えることが有意と判断されたときには、これを説明変数として付け加えて当該特性値を目的変数とする重回帰式を求める。
【0165】
なお、上記a〜eの各工程は、前記F検定によってパラメータの付け加えが有意でないと判断されるまで繰り返すようにしてもよい。
・F検定にかかる判定値の設定態様としては、先の図6等、上記実施形態で例示したものに限らない。
【0166】
・先の図3に示すステップ700の処理の後には、ステップ300に帰還するようにしてもよい。すなわち、外れ値の除去の後に重回帰式を再度求めるという処理を、外れ値がなくなるまで或いは外れ値の数が許容範囲を超えるまで繰り返し実行してもよい。
【0167】
・計測器の計測範囲の上限又は下限となる計測値を除去する工程を有していなくても、外れ値を除去することで重回帰式の精度を向上させることはできる。
・その他、エンジンの各種特性値の計測態様等も任意である。すなわち、先の図1に示したECU30からパネルチェッカーに各種データが取り込まれる構成である必要もなく、例えば、専用のセンサからの計測結果が直接自動計測装置33に供給されるようにするなど、適宜変更して実施することもできる。
【0168】
・適合パラメータは、上記各実施形態において例示したものに限られない。他に例えば、エンジン10の燃焼室13に噴射される燃料の燃圧等のパラメータを適宜導入することができる。
【0169】
・また、要求条件が課されるエンジンの各種特性値も、上記各実施形態で例示したNOx、トルク変動量、燃料消費量に限られない。
・上記各実施形態では、筒内噴射式ガソリンエンジンにおける成層燃焼領域の制御パラメータの適合に本発明の適合方法及び適合システムを適用したが、他のエンジン制御パラメータの適合にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるエンジン制御パラメータの適合システムの一実施形態についてその全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態のシステムにおいて各種エンジン特性値の計測時に用いる制御パラメータの設定態様を示す図。
【図3】同実施形態における制御パラメータの適合にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図4】同実施形態における制御パラメータの適合にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図5】同実施形態における制御パラメータの適合にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図6】同実施形態におけるF検定にかかる判定値の設定態様を示す図。
【図7】同実施形態における外れ値の処理態様を例示する図。
【符号の説明】
10…エンジン、11…シリンダ、12…ピストン、13…燃焼室、14…インジェクタ、15…点火プラグ、16…吸気通路、17…排気通路、18…吸気バルブ、19…排気バルブ、20…可変バルブタイミング機構、21…電子制御スロットル、22…EGR通路、23…EGRバルブ、24…出力軸、25…回転速度センサ、26…水温センサ、30…電子制御装置、31…ダイナモメータ、32…ダイナモ操作盤、33…自動計測装置、34…パネルチェッカー、35…計測器、40…サーバ、50…解析ツール、51…表示器、52…データベース、53…条件設定ツール、60…操作部。
Claims (21)
- エンジンの所定の運転状態における同エンジンの複数の特性値について、これら各特性値をそれぞれ目的変数として同エンジンの制御パラメータ及びそれらの高次で表記されるパラメータを説明変数とする重回帰式をそれぞれ求め、これら求められた複数の重回帰式に基づき前記所定の運転状態において前記複数の特性値がそれぞれの要求条件を満たすように前記制御パラメータを適合させるエンジン制御パラメータの適合方法において、
前記エンジンの所定の運転状態における前記各特性値を計測する工程と、
前記各計測値に基づいて前記各重回帰式を求める工程と、
前記各重回帰式についてその予測値と計測値との残差が所定の基準から外れるものについてその計測値を外れ値として除去する工程と、
前記外れ値の除去された特性値について、これを目的変数とする重回帰式を再度求める工程とを備える
ことを特徴とするエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記所定の基準は、前記各特性値毎に各別に定められてなる
請求項1記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 請求項1又は2記載のエンジン制御パラメータの適合方法において、
前記各特性値を計測する工程の後の工程として、前記各重回帰式を求める工程に先立ち、前記計測された特性値のうち当該計測に用いた計測器の計測範囲の上限又は下限となるものを除去する工程を更に有し、
前記外れ値を除去する工程に先立って行われる前記各特性値を目的変数とする各重回帰式を求める工程は、この除去された計測値を除いて前記各重回帰式を求めるものである
ことを特徴とするエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記各計測値に基づいて前記各重回帰式を求める工程は、
前記説明変数として前記エンジンの制御パラメータを用いて当該特性値を目的変数とする重回帰式を求める工程と、
前記エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと当該重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ、同高次として表記されるパラメータを当該重回帰式の説明変数に追加することが有意と判断されたときにこれを同重回帰式の説明変数として追加する工程とを含み、
それら工程が前記複数の特性値毎に実行される
請求項1〜3のいずれかに記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記特性値を目的変数とする重回帰式を再度求める工程は、
前記説明変数として前記エンジンの制御パラメータを用いて当該特性値を目的変数とする重回帰式を求める工程と、
前記エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと当該重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ、同高次として表記されるパラメータを当該重回帰式の説明変数に追加することが有意であると判断されたときにこれを同重回帰式の説明変数として追加する工程とを含み、
それら工程が前記外れ値の除去された特性値毎に実行される
請求項1〜4のいずれかに記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記高次で表記されるパラメータを重回帰式の説明変数として追加する工程は、
前記制御パラメータの高次として表記されるパラメータのうち、当該重回帰式の説明変数となっていないパラメータを前記追加するパラメータの候補として、これを追加した場合の前記重回帰式の決定係数を算出する工程と、
前記追加するパラメータの候補のうち前記算出された決定係数がもっとも大きくなるものについて当該パラメータを前記重回帰式に加えることの有意性をF検定にて判断する工程と、
前記F検定の結果、当該パラメータを付け加えることが有意と判断されたときには、これを説明変数として付け加えた後、今回説明変数として付け加えたパラメータ以外のパラメータであって、それ以前に付け加えた各パラメータについて、これを説明変数から削除する場合の決定係数を算出する工程と、
前記各説明変数を削除する場合の決定係数が最大となるものについて、同削除するパラメータの当該重回帰式における優位性をF検定によって判断する工程と、
前記削除するパラメータの当該重回帰式における優位性を判断するF検定によって当該パラメータが有意でないと判断されたときには、これを当該重回帰式の説明変数から削除する工程と、
の各工程を、前記F検定によってパラメータを付け加えることが有意でないと判断されるまで繰り返すものである
請求項4又は5記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記各特性値を計測する工程は、前記エンジンの所定の複数の運転状態のそれぞれについて前記各特性値を計測する工程であるとともに、前記特性値を目的変数とする重回帰式は、これらエンジンの所定の複数の運転状態毎に各別に求められるものであり、
前記高次として表記されるパラメータを前記特性値を目的変数とする重回帰式に加えることの有意性をF検定にて判断する工程は、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて行われる
請求項6記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記各特性値を計測する工程は、前記エンジンの所定の複数の運転状態のそれぞれについて前記各特性値を計測する工程であるとともに、前記特性値を目的変数とする重回帰式は、これらエンジンの所定の複数の運転状態毎に各別に求められるものであり、
前記削除するパラメータの当該重回帰式における優位性をF検定にて判断する工程は、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて行われる
請求項6又は7記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記高次として表記されるパラメータを前記特性値を目的変数とする重回帰式に加えることの有意性をF検定にて判断する工程は、前記各特性値毎に各別に定められた判定値に基づいて行われる
請求項6〜8のいずれかに記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記削除するパラメータの当該重回帰式における優位性をF検定にて判断する工程は、前記各特性値毎に各別に定められた判定値に基づいて行われる
請求項6〜9のいずれかに記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記各特性値を計測する工程は、前記エンジンの所定の運転状態において、前記重回帰式の説明変数として加える可能性のあるパラメータを考慮した実験計画法によって定められた複数の実験点のそれぞれに前記制御パラメータを設定して前記各特性値を計測する工程である
請求項4〜10のいずれかに記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記複数の実験点は、前記エンジンの制御パラメータの全てがセンターポイントとなる実験点を3個含み、前記複数の実験点のそれぞれに前記制御パラメータを設定して行われる前記各特性値の一連の計測において、その最初及び中間及び最後に前記エンジンの制御パラメータの全てがセンターポイントとなる実験点を定める
請求項11記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - エンジンの所定の運転状態における同エンジンの特性値を目的変数とし同エンジンの制御パラメータ及びそれらの高次で表記されるパラメータを説明変数とする重回帰式を求め、同重回帰式に基づき前記所定の運転状態において前記特性値が要求条件を満たすように前記制御パラメータを適合させるエンジン制御パラメータの適合方法において、
前記エンジンの所定の運転状態において、前記重回帰式の説明変数として加える可能性のあるパラメータを考慮した実験計画法によって定められた複数の実験点のそれぞれに前記制御パラメータを設定して前記特性値を計測する工程と、
前記計測値のうち、所定の基準を外れた値を除去する工程と、
前記除去された計測値以外の計測値に基づき、前記説明変数として前記エンジンの制御パラメータを用いて前記重回帰式を求める工程と、
前記エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと前記重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ、同高次で表記されるパラメータを前記重回帰式の説明変数に追加することが有意と判断されたときにこれを同重回帰式の説明変数として追加する工程とを有する
ことを特徴とするエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記所定の基準を外れた値を除去する工程は、前記計測された特性値のうち当該計測に用いた計測器の計測範囲の上限又は下限となるものを除去する工程である
請求項13記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 請求項13記載のエンジン制御パラメータの適合方法において、
前記特性値を計測する工程の後の工程として、前記計測値に基づいて前記重回帰式を求める工程を更に有し、
前記所定の基準を外れた値を除去する工程は、前記重回帰式についてその予測値と計測値との残差が予め定められた基準を外れるものについてその計測値を外れ値として除去する工程である
ことを特徴とするエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記高次で表記されるパラメータを重回帰式の説明変数として追加する工程は、
前記制御パラメータの高次として表記されるパラメータのうち、当該重回帰式の説明変数となっていないパラメータを前記追加するパラメータの候補として、これを追加した場合の前記重回帰式の決定係数を算出する工程と、
前記追加するパラメータの候補のうち前記算出された決定係数がもっとも大きくなるものについて当該パラメータを前記重回帰式に加えることの有意性をF検定にて判断する工程と、
前記F検定の結果、当該パラメータを付け加えることが有意と判断されたときには、これを説明変数として付け加えた後、今回説明変数として付け加えたパラメータ以外のパラメータであって、それ以前に付け加えた各パラメータについて、これを説明変数から削除する場合の決定係数を算出する工程と、
前記各説明変数を削除する場合の決定係数が最大となるものについて、同削除するパラメータの当該重回帰式における優位性をF検定によって判断する工程と、
前記削除するパラメータの当該重回帰式における優位性を判断するF検定によって当該パラメータが有意でないと判断されたときには、これを当該重回帰式の説明変数から削除する工程と、
の各工程を、前記F検定によってパラメータを付け加えることが有意でないと判断されるまで繰り返すものである
請求項13〜15のいずれかに記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記特性値を計測する工程は、前記エンジンの所定の複数の運転状態のそれぞれについて前記各特性値を計測する工程であるとともに、前記特性値を目的変数とする重回帰式は、これらエンジンの所定の複数の運転状態毎に各別に求められるものであり、
前記高次として表記されるパラメータを前記特性値を目的変数とする重回帰式に加えることの有意性をF検定にて判断する工程は、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて行われる
請求項16記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記各特性値を計測する工程は、前記エンジンの所定の複数の運転状態のそれぞれについて前記各特性値を計測する工程であるとともに、前記特性値を目的変数とする重回帰式は、これらエンジンの所定の複数の運転状態毎に各別に求められるものであり、
前記削除するパラメータの当該重回帰式における優位性をF検定にて判断する工程は、当該エンジンの運転状態に応じて各別に設定される判定値に基づいて行われる
請求項16又は17記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - 前記複数の実験点は、前記エンジンの制御パラメータの全てがセンターポイントとなる実験点を3個含み、前記複数の実験点のそれぞれに前記制御パラメータを設定して行われる前記各特性値の一連の計測において、その最初及び中間及び最後に前記エンジンの制御パラメータの全てがセンターポイントとなる実験点を定める
請求項13〜18記載のエンジン制御パラメータの適合方法。 - エンジンの所定の運転状態における同エンジンの複数の特性値について、これら各特性値をそれぞれ目的変数とし同エンジンの制御パラメータ及びそれらの高次で表記されるパラメータを説明変数とする重回帰式をそれぞれ求め、これら求められた複数の重回帰式に基づき前記所定の運転状態において前記複数の特性値がそれぞれの要求条件を満たすように前記制御パラメータを適合させるエンジン制御パラメータの適合システムにおいて、
前記エンジンの所定の運転状態における前記各特性値を計測する手段と、
前記各計測値に基づいて前記各重回帰式を求める手段と、
前記各重回帰式についてその予測値と計測値との残差が所定の基準から外れるものについてその計測値を外れ値として除去する手段と、
前記外れ値の除去された特性値について、これを目的変数とする重回帰式を再度求める手段とを備える
ことを特徴とするエンジン制御パラメータの適合システム。 - エンジンの所定の運転状態における同エンジンの特性値を目的変数とし同エンジンの制御パラメータ及びそれらの高次で表記されるパラメータを説明変数とする重回帰式を求め、同重回帰式に基づき前記所定の運転状態において前記特性値が要求条件を満たすように前記制御パラメータを適合させるエンジン制御パラメータの適合システムにおいて、
前記エンジンの所定の運転状態において、前記重回帰式の説明変数として加える可能性のあるパラメータを考慮した実験計画法に従った複数の実験点のそれぞれに前記制御パラメータを設定して前記特性値を計測する手段と、
前記計測値のうち、所定の基準を外れた値を除去する手段と、
前記除去された計測値以外の計測値に基づき、前記説明変数として前記エンジンの制御パラメータを用いて前記重回帰式を求める手段と、
前記エンジンの制御パラメータの高次として表記されるパラメータと前記重回帰式の説明変数との多重共線性を考慮しつつ、同高次として表記されるパラメータを前記重回帰式の説明変数に追加することが有意と判断されたときにこれを同重回帰式の説明変数として追加する手段とを有する
ことを特徴とするエンジン制御パラメータの適合システム。
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