JP2020158706A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両外装用部品として必要な機械的強度、成形加工性を有し、かつ耐候性、意匠性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ジエン系ゴム質重合体(a)と芳香族ビニル系単量体を含む単量体がグラフト重合したグラフト共重合体(A)、アクリル系ゴム質重合体(b)と芳香族ビニル系単量体を含む単量体がグラフト重合したグラフト共重合体(B)、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を含む単量体が重合した共重合体(C)、を含む樹脂組成物100質量部に対して、耐候剤(D)を0.1〜2質量部含有する熱可塑性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、車両外装用部品として必要な機械的強度、成形加工性を有し、かつ耐候性、意匠性に優れる熱可塑性樹脂組成物に関する。
AXS系樹脂は、機械的強度、成形加工性、意匠性に優れた材料として幅広い用途で使用されている。特に車両分野においては内外装問わずに用いられており、車両外装用部品に関しては、耐候性を考慮して、ABS樹脂のゴム成分であるブタジエン成分を耐候性に優れるゴムに変更した、いわゆるAES樹脂やASA樹脂を用いるケースも多い。また、車両外装用部品は、車両外観の意匠性や耐候性を高める目的でこれら樹脂素材にめっきや塗装が施されるケースが多いが、近年では更なる意匠性向上を考慮し、車両外装用部品の一部分のみにめっきや塗装意匠を施すような複雑な仕様が増加しており、樹脂材料に意匠性と共に耐候性が求められるケースがある。車種、グレードによっては、車両外装用部品の製造原価抑制を目的に、樹脂材料自身が持つ外観のままで設定される場合もあり、その場合は樹脂自身に高度な耐候性が求められる。このようなことから、現状は車両外装部品に求められる意匠仕様毎に適した性能を有する樹脂材料を使い分けなければならないという煩雑さが懸念事項となっている。
かかる問題を解消すべく、一つのAXS樹脂材料にて車両外装用部品に求められる機械的強度、成形加工性、意匠性、および耐候性などの性能をバランスよく成立させようとすると、ABS樹脂の場合は耐候性に乏しく、AES樹脂やASA樹脂の場合だと意匠性に乏しくなる。
意匠性のうち、塗装性改善に関しては、AXS系樹脂に用いるシアン化ビニル化合物の含有比率や、ゴム質重合体の組成、及びこれらの構造を制御する方法が、以下に記載するような先行技術文献に挙げられている。
例えば、特開平8−199028号公報では、一定量以上のシアン化ビニル化合物を含有するグラフト共重合体に、ポリオルガノシロキサンゴム及びポリアルキル(メタ)アクリレ−トゴム成分からなる複合ゴムのグラフト共重合体を混合することにより、種々の薬品に対する耐薬品性、成形品の外観及び塗装後の外観に優れた樹脂組成物が得られることが提案されており、特開2005−320466号公報では、特定量のゴム質重合体を含有するゴム強化スチレン系樹脂において、その単量体成分として特定量のメタクリル酸エステルを使用し、樹脂中のオリゴマーの含有量を一定量以下とすることにより、耐候性、外観性および耐薬品性に優れ、無塗装で使用できる成形品が得られることが提案されている。WO2004/046243号公報では、アクリル系ゴム質重合体、およびジエン系ゴム質重合体の存在下にビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物において、結合シアン化ビニル含有量を特定量とすることにより、塗装性、耐候性等に優れ、車両外装用成形品を得るのに好適であることが提案されており、特開2014−1350号公報では、塗装される成形体において、シアン化ビニル成分含有率の異なる少なくとも2つ以上の共重合体の相が確認でき、それぞれの共重合体の相中にゴム成分の相が存在することにより、耐衝撃性や塗装前の耐擦過性及び塗装鮮映性と塗膜の密着性のバランスに優れた塗装成形体が提案されている。さらに、特開2016−188293号公報では、熱可塑性樹脂組成物中でアクリル系ゴム質重合体から得られるグラフト共重合体の粒子同士が凝集し、擬似的な大粒径粒子となり、さらに高シアン化ビニル系共重合体およびビニル系共重合体を配合することにより、流動性、耐候性および耐衝撃性のバランスに優れ、かつ塗装性に優れる成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物が得られることが提案されている。
しかしながら、これらの方法では、車両外装用部品に求められる意匠性のうち、めっき性においては十分な実用性能が得ることができない。車両外装用部品にめっき加工を施す場合には、美麗なめっき外観の形成と共に、車両実用環境における温度差によってめっき被膜の膨れや割れといった不具合が発生するのを抑制する必要があり、めっき意匠部にも実用耐久性が求められるが、先に示したような先行技術文献に挙げられている方法では、このような要求を十分満足することができず、車両外装用部品に求められる意匠仕様全般に対応することができないという課題が残る。
特開平8−199028号公報
特開2005−320466号公報
WO2004/046243号公報
特開2014−1350号公報
特開2016−188293号公報
本発明は、車両外装用部品として必要な機械的強度、成形加工性を有し、かつ耐候性、意匠性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は以下の[1]〜[4]の熱可塑性樹脂組成物を提供する。
[1] ジエン系ゴム質重合体(a)、及び芳香族ビニル系単量体を含む単量体がグラフト重合したグラフト共重合体(A)、
アクリル系ゴム質重合体(b)、及び芳香族ビニル系単量体を含む単量体がグラフト重合したグラフト共重合体(B)、
芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を含む単量体が重合した共重合体(C)、
を含む樹脂組成物100質量部に対して、耐候剤(D)を0.1〜2質量部含有し、下記(1)〜(5)を満足する熱可塑性樹脂組成物。
(1)樹脂組成物100質量%に対して、ジエン系ゴム質重合体(a)とアクリル系ゴム質重合体(b)の合計が10〜25質量%
(2)ジエン系ゴム質重合体(a)とアクリル系ゴム質重合体(b)の合計100質量%に対して、アクリル系ゴム質重合体(b)が50〜85質量%
(3)ジエン系ゴム質重合体(a)の重量平均粒子径が、50〜1000nm。
(4)共重合体(C)100質量%に対して、シアン化ビニル系単量体(c−1)が30〜40質量%
(5)熱可塑性樹脂組成物100質量%に対して、オリゴマー成分の含有量が1.5質量%以下
[2] アクリル系ゴム質重合体(b)の重量平均粒子径が50〜200nmである、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] 樹脂組成物100質量部に対して、着色剤(E)を0.5〜5質量部含有する、[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4] 車両外装用である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
本発明によれば、車両外装用部品として必要な機械的強度、成形加工性を有し、かつ耐候性、意匠性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、及び共重合体(C)を含む樹脂組成物を含有するものである。
グラフト共重合体(A)は、ジエン系ゴム質重合体(a)、及び芳香族ビニル系単量体を含む単量体がグラフト重合したグラフト共重合体である。
ジエン系ゴム質重合体(a)は、共役ジエン系単量体が50質量%を超えて含有されるものであり、公知の重合方法により得られるポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等のジエン系ゴムを1種又は2種以上用いることができる。
ジエン系ゴム質重合体(a)の重量平均粒子径は、機械的強度、めっき析出性、及びめっき密着性の点から、50〜1000nmであり、200〜500nmであることが好ましい。ジエン系ゴム質重合体(a)の重量平均粒子径は下記実施例で記載した方法で測定することができ、また公知の方法により調節することができるが、重量平均粒子径が50〜300nmのゴム質重合体を凝集肥大化させることで調整することもできる。
グラフト共重合体(A)中のジエン系ゴム質重合体(a)の含有量は、機械的強度、成形加工性の点から、10〜80重量%であることが好ましく、40〜70重量%であることがより好ましい。
グラフト共重合体(A)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
グラフト共重合体(A)には芳香族ビニル系単量体と共重合可能なその他の単量体が含まれていてもよく、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、アミド系単量体、不飽和カルボン酸系単量体等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸(ジ)ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸クロルフェニル等が挙げられる。アミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられ、不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。
ジエン系ゴム質重合体(a)とグラフト重合する単量体の組成比率は、耐衝撃性の点から、芳香族ビニル系単量体50〜90重量%、シアン化ビニル系単量体10〜50重量%、及び共重合可能な他の単量体0〜40重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体30〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%、及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜50重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体20〜70重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%、シアン化ビニル系単量体10〜60重量%、及び共重合可能な他の単量体0〜50重量%の組成比率であることが好ましい(ゴム質重合体とグラフト重合する単量体の合計量を100重量%とする)。
グラフト共重合体(A)のグラフト率、及びアセトン可溶部の還元粘度は、機械的強度、成形加工性の点から、グラフト率は20〜150%であることが好ましく、30〜100%であることがより好ましく、36〜75%であることがさらに好ましい。アセトン可溶部の還元粘度は、0.2〜1.5dl/gであることが好ましく、0.3〜1.0dl/gであることがより好ましい。グラフト率、及びアセトン可溶部の還元粘度は、下記の方法で測定することができる。
分別方法
三角フラスコにグラフト共重合体(A)を約2g、アセトンを60ml投入し、24時間浸漬させた。その後、遠心分離器を用いて15,000rpmで30分間、遠心分離することで可溶部と不溶部に分離する。不溶部は、真空乾燥により常温で一昼夜乾燥させることで得られる。可溶部は、アセトン可溶部をメタノールに沈殿させ、真空乾燥により常温で一昼夜乾燥させることで得られる。
グラフト率
グラフト率(%)=(X―Y)/Y×100
X:真空乾燥後のアセトン不溶部量(g)
Y:グラフト共重合体中のゴム質重合体量(g)
アセトン可溶部の還元粘度(dl/g)
アセトン可溶部をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、0.4g/100mlの濃度の溶液とした後、キャノンフェンスケ型粘度管を用い30℃で測定した流下時間より還元粘度を求める。
本発明のグラフト共重合体(B)は、アクリル系ゴム質重合体(b)、及び芳香族ビニル系単量体を含む単量体がグラフト重合したグラフト共重合体である。
アクリル系ゴム質重合体(b)は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が50質量%を超えて含有されるものであり、公知の重合方法により得られるポリブチルアクリレートゴム、共役ジエン系ゴム/アクリル系ゴムで構成される複合ゴム、ポリオルガノシロキサン系ゴム/アクリル系ゴムで構成される複合ゴム、硬質重合体(ガラス転移温度が20℃以上)/アクリル系ゴムで構成される複合ゴム等が挙げられる。硬質重合体(ガラス転移温度が20℃以上)としては、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体から選ばれる1種以上を含有する単量体を重合してなる重合体等が挙げられる。中でも、共役ジエン系ゴム/アクリル系ゴムで構成される複合ゴム、ポリオルガノシロキサン系ゴム/アクリル系ゴムで構成される複合ゴム、硬質重合体(ガラス転移温度が20℃以上)/アクリル系ゴムで構成される複合ゴムが好ましい。硬質重合体のガラス転移温度は、FOXの式より算出することができる。
アクリル系ゴム質重合体(b)の重量平均粒子径は、機械的強度、耐候性、めっき密着性、めっき析出性の点から、50〜200nmであることが好ましく、80〜150nmであることがより好ましい。アクリル系ゴム質重合体(b)の重量平均粒子径は下記実施例で記載した方法で測定することができ、また公知の方法により調節することができる。
グラフト共重合体(B)中のアクリル系ゴム質重合体(b)の含有量は、機械的強度、成形加工性の点から、20〜80重量%であることが好ましく、40〜70重量%であることがより好ましい。
グラフト共重合体(B)には芳香族ビニル系単量体が含まれる。また、芳香族ビニル系単量体と共重合可能なその他の単量体が含まれていてもよい。芳香族ビニル系単量体、及び、芳香族ビニル系単量体と共重合可能なその他の単量体としては、グラフト共重合体(A)と同様のものを用いることができる。また、好ましい組成比率も、グラフト共重合体(A)と同様の理由で、グラフト共重合体(A)と同様の比率が挙げられる。
グラフト共重合体(B)のグラフト率、及びアセトン可溶部の還元粘度は、グラフト共重合体(A)と同様の理由で、同様の範囲が好ましく、同様の方法で測定することができる。
本発明の共重合体(C)は、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を含む単量体が重合した共重合体である。
共重合体(C)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
共重合体(C)を構成するシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。
共重合体(C)には、芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体と共重合可能なその他の単量体が含まれていてもよく、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、アミド系単量体、不飽和カルボン酸系単量体等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸(ジ)ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸クロルフェニル等が挙げられ、アミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。
共重合体(C)100質量%中に含まれるシアン化ビニル系単量体の割合は、めっき析出性、及び耐候性の点から、30〜40質量%であり、31〜35質量%が好ましい。また、共重合体(C)を構成する単量体の組成比率としては、めっき析出性、及び耐候性の点から、芳香族ビニル系単量体60〜70重量%、シアン化ビニル系単量体30〜40重量%、及び共重合可能な他の単量体0〜10重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体55〜65重量%、シアン化ビニル系単量体30〜40重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体5〜15重量%、及び共重合可能な他の単量体0〜10重量%の組成比率であることが好ましい。
共重合体(C)の還元粘度は、機械的強度、成形加工性の点から、0.2〜1.5dl/gであることが好ましく、0.3〜1.0dl/gであることがより好ましい。共重合体(C)の還元粘度は、下記の方法で測定することができる。
共重合体(C)を、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、0.4g/100mlの濃度の溶液とした後、キャノンフェンスケ型粘度管を用い30℃で測定した流下時間より還元粘度を求める。
グラフト共重合体(A)及び(B)には、通常、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体を含む単量体がグラフトしたグラフト重合体が主として含有される他、芳香族ビニル系単量体を含む単量体がゴム質重合体にグラフトしていない、芳香族ビニル系単量体を含む単量体が共重合された共重合体(以下、X成分)が含まれる。本発明では、グラフト共重合体(A)及び(B)が芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合している場合において、グラフト共重合体にX成分が含まれている場合には、そのX成分は共重合体(C)とする。
グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)及び共重合体(C)の重合方法には特に制限はなく、例えば乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法及びこれらを組み合わせた方法により製造することができる。
本発明の樹脂組成物は、機械的強度、めっき密着性の点から、ジエン系ゴム質重合体(a)とアクリル系ゴム質重合体(b)の合計の含有量が、樹脂組成物100質量%に対して10〜25質量%であり、15〜22質量%であることが好ましい。
さらに、耐候性、機械的強度の点から、ジエン系ゴム質重合体(a)とアクリル系ゴム質重合体(b)の合計100質量%に対して、アクリル系ゴム質重合体(b)の含有量が50〜85質量%であり、55〜70質量%であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐候性、冷熱サイクル性の点から、樹脂組成物100質量部に対して、耐候剤(D)の含有量が0.1〜2質量部であり、0.5〜1.5質量%であることが好ましい。
耐候剤(D)は、光安定剤と紫外線吸収剤から選択される1種以上であり、光安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられ、紫外線吸収剤としてはベンゾエート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物等が挙げられ、ベンゾトリアゾール系化合物が好適に使用できる。また、光安定剤と紫外線吸収剤を併用することが、耐候性の点で好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、ヒンダードフェノール系、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、有機ニッケル系、高級脂肪酸アミド類等の滑剤、リン酸エステル類等の可塑剤、ポリブロモフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、臭気マスキング剤、着色剤等を添加することもできる。更に、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスウール、炭素繊維、金属繊維等の補強剤や充填剤を添加することもできる。中でも、着色剤(E)を含有することが好ましい。
耐候性、意匠性の点から、樹脂組成物100質量部に対して、着色剤(E)の含有量が0.5〜5質量部であることが好ましく、1.5〜3質量部であることがより好ましい。着色剤(E)は、染料及び顔料から選択させる1種以上であり、染料としては、有機溶剤可溶性染料等が挙げられ、顔料としては、無機顔料等が挙げられる。中でも、顔料のみから構成されることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、冷熱サイクル性、耐候性の点から、熱可塑性樹脂組成物100質量%に対して、オリゴマー成分の含有量が1.5質量%以下であり、0.8質量%未満であることが好ましい。
本発明におけるオリゴマー成分としては、熱可塑性樹脂組成物に含まれる重合に用いた単量体の2量体及び3量体であり、例えば、スチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体などが挙げられる。オリゴマー成分の含有量は、ガスクロマトグラフィーを用いて下記の方法で測定することができる。
<測定試料作成>
サンプルを1g精秤し、N,N−ジメチルホルムアミド50mlに溶解した後、密閉容器内で24時間放置後、これを測定試料とした。
<ガスクロマトグラフ測定条件>
装置:島津製作所社製ガスクロマトグラフGC−2010
カラム名:DB−5(液膜厚×長さ=0.25μm×30m)
カラム温度:70℃で5分間維持後、20分間かけて320℃まで昇温し、320℃に到達後9分間維持した。
サンプル量:1μl
検出器:FID
Inj温度:230℃
Det温度:330℃
キャリアガス:ヘリウム、1.38ml/min
水素:40ml/min
エアー:400ml/min
<定量方法>
FID検出器では、炭化水素成分に対しては、相対モル感度がほぼ含有炭素数に正比例するとして、計算により求めることが出来る。またO,Cl,Nなどのヘテロ元素を含む有機成分についてもSternbergらによって提唱された化合物中の有効炭素数から相対モル感度を算出して求めることが出来る。検定液として試薬特級DMF溶液中にスチレンを1000ppmになるように秤量し、上記法よりスチレンに対する各成分の相対モル感度を算出し、これをもとにスチレンの2量体、アクリロ二トリルとスチレンの2量体、スチレンの3量体及びアクリロ二トリルとスチレンの3量体について定量した。定量の際、1つの試料について3回測定し、平均値をオリゴマー成分の含有量とした。
オリゴマー成分の含有量の調整方法としては公知の方法を用いることができるが、オリゴマー成分の含有量が低減された各構成樹脂を配合する方法、樹脂組成物を溶融混練する際の脱気工程を増やしたり、脱気の真空度を上げたりする方法などが挙げられる。各構成樹脂のオリゴマー成分の含有量の低減方法としては、重合時の単量体組成の最適化、重合時の温度を下げる、重合時の触媒の種類や添加量の最適化等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その目的を損なわない範囲内において、他の熱可塑性樹脂組成物を混合することができる。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、イミド系樹脂、ポリ乳酸樹脂等を使用することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の混合は、通常使用されるロール、バンバリーミキサー、押出機、ニーダー等公知の混練機を用い、溶融混練することで実施できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、ブロー成形等により成形され、得られた樹脂成形品は、公知の塗装方法、めっき方法などの加飾二次加工が採用できる。
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す部及び%は重量に基づくものである。
[測定及び評価]
オリゴマー成分の含有量
各実施例及び比較例で得られたペレットを、ガスクロマトグラフィーを用い、段落番号0049に記載した方法で測定した。 単位:質量%
シャルピー衝撃強度(NC)
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO試験方法294に準拠して各種試験片を成形し、ISO試験方法179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。 単位:kJ/m
メルトボリュームフローレイト(MVR)
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO試験方法1133に準拠して、220℃、98.07N荷重の条件でメルトボリュームフローレイトを測定した。 単位:cm/10分
めっき密着強度
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、射出成形機にて平板(55×90×3mm)を成形し、以下の方法にてダイレクトめっきを施した後、析出しためっき膜の密着強度を、JIS H−8630に基づき、めっき成形品の金属膜に基材に達する1cm間隔の切傷を入れ、金属膜を垂直な方向に引き剥がす時の応力を測定した。 単位:N
<めっき処理工程>
平板を40℃のCRPクリーナーに3分間浸し脱脂した。脱脂後の平板を30℃の水で水洗した後、67℃のエッチング液(クロム酸:400g/l、硫酸:200cc/l)に10分間浸しエッチングを行った。エッチング後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、25℃のCRPレデューサーに3分間浸し中和処理を行った。中和後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、25℃の塩酸に1分間プリディップし、続いて35℃のCRPキャタリストに6分間浸し、Pd−Snコロイド触媒化処理を行った。触媒化後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、45℃のCRPセレクターA,Bに3分間浸して導体化処理を行った。導体化処理した平板を30℃の水で2分間水洗した後、CRPカッパーを用いた電気銅めっき浴に25℃で2時間、電流密度3A/dm2の電流を通電して、膜厚50μmの電気銅めっき膜を平板に析出させた。電気銅めっき後の平板を30℃の水で水洗した後、電気銅めっきされた平板を80℃で2時間エージングし一晩放置させた。
冷熱サイクル性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、射出成形機にて平板(55×90×3mm)を成形し、以下の方法にてダイレクトめっきを施した後、−30℃(1時間)→23℃(0.5時間)→80℃(1時間)→23℃(0.5時間)の順に環境温度を変化させる。これを10サイクル実施した後、各めっき成形品外観に膨れ等の異常の有無を目視判定し、以下の判定基準にて判定した。
○:めっき膨れ/割れがなく良好。
△:一部にめっき膨れ/割れが見られる状態。
×:全体的にめっき膨れ/割れが見られ不良。
<めっき処理工程>
平板を40℃のCRPクリーナーに3分間浸し脱脂した。脱脂後の平板を30℃の水で水洗した後、67℃のエッチング液(クロム酸:400g/l、硫酸:200cc/l)に10分間浸しエッチングを行った。エッチング後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、25℃のCRPレデューサーに3分間浸し中和処理を行った。中和後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、25℃の塩酸に1分間プリディップし、続いて35℃のCRPキャタリストに6分間浸し、Pd−Snコロイド触媒化処理を行った。触媒化後の平板を30℃の水で2分間水洗した後、45℃のCRPセレクターA,Bに3分間浸して導体化処理を行った。導体化処理した平板を30℃の水で2分間水洗した後、CRPカッパーを用いた電気銅めっき浴に25℃で15分間、電流密度2A/dm2の電流を通電して、15μmの電気銅めっき膜を平板に析出させた。続いて一般的な装飾用電気めっき工程にて、半光沢ニッケル膜:6μm、光沢ニッケル膜:4μm、クロムめっき膜:0.1〜0.3μmを析出させた。
耐候性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、射出成形機(山城精機製作所製 SAV−30−30 シリンダー温度:210℃ 金型温度:50℃)にて成形された成形品(90mm×55mm×2.5mm)を用いた。スガ試験機(株)製、スーパーキセノンウェザーメーターSC−750−WPを使用し、ブラックパネル温度63℃、放射照度150W/mにて降雨条件下で、放射露光量150MJの促進耐候試験を行った。その後測色計を用い、曝露前と曝露後の色差(ΔE)を測定した。
グラフト共重合体(A−1)の製造
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエン系ゴム質重合体(a−1)(組成比率(質量%):スチレン/ブタジエン=5/95、重量平均粒子径400nm)を固形分換算で50重量部仕込み、撹拌を開始させ、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し65℃に到達したところで、ラクトース0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、70℃に昇温した。その後、アクリロニトリル15重量部、スチレン35重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.05部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及びオレイン酸カリウム1.0重量部を脱イオン水20重量部に溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックスを得た。その後、塩析、脱水、乾燥し、グラフト共重合体(A−1)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−1)のグラフト率は41.2%、アセトン可溶部の還元粘度は0.48dl/gであった。
凝集肥大化スチレン−ブタジエン系ゴム質重合体(a−1)の重量平均粒子径は下記の方法で測定した。四酸化オスミウム(OsO4)で染色した超薄切片を透過型電子顕微鏡で写真撮影した。画像解析処理装置(装置名:旭化成(株)製IP−1000PC)を用いて1000個のゴム粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求め、重量平均粒子径を算出した。なお、ゴム質重合体(a−2)、(a−3)の重量平均粒子径も同様の方法で測定した。
グラフト共重合体(A−2)の製造
容積が15リットルのプラグフロー塔型反応槽(「新ポリマー製造プロセス」(工業調査会、佐伯康治/尾見信三著)185頁、図7.5(b)記載の三井東圧タイプと同種の反応槽で10段に仕切られたC1/C0=0.955を示すもの。) に10リットルの完全混合槽2基を直列に接続した連続的重合装置を用いて熱可塑性樹脂を製造した。プラグフロー塔型反応槽が粒子形成工程を、第2反応器である1基目の完全混合槽が粒子径調整工程を、第3反応器が後重合工程を構成する。
プラグフロー塔型反応槽にスチレン53.2重量部、アクリロニトリル17.7重量部、エチルベンゼン22.3重量部、スチレン−ブタジエンゴム(組成比率(質量%):スチレン/ブタジエン=20/80)を6.8重量部、t−ドデシルメルカプタン0.17重量部、1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサン0.04重量部からなる原料を調整し、この原料を3段の攪拌式重合槽列反応器に10kg/hで連続的に供給して単量体の重合をおこなった。3段目の槽より重合液を予熱器と減圧室より成る分離回収工程に導いた。回収工程から出た樹脂は押出工程を経て粒状のペレットとして樹脂組成物を得た。得られた樹脂のゴム質重合体(a−2)の重量平均粒子径は1200nmであった。
グラフト共重合体(A−3)の製造
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエン系ゴム質重合体(a−3)(組成比率(質量%):スチレン/ブタジエン=5/95、重量平均粒子径250nm)を固形分換算で50重量部仕込み、撹拌を開始させ、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し65℃に到達したところで、ラクトース0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、70℃に昇温した。その後、アクリロニトリル15重量部、スチレン35重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.05部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及びオレイン酸カリウム1.0重量部を脱イオン水20重量部に溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックスを得た。その後、塩析、脱水、乾燥し、グラフト共重合体(A−3)のパウダーを得た。得られたグラフト共重合体(A−3)のグラフト率は37.6%、アセトン可溶部の還元粘度は0.52dl/gであった。
アクリル系ゴム質重合体(b−1)の製造
ガラスリアクターに、ポリオルガノシロキサンゴムラテックス(重量平均粒子径0.05μm)を固形分換算で10重量部、純水160部仕込み、撹拌を開始させ、窒素置換を行った。窒素置換後、過硫酸カリウム0.3部を仕込み60℃ に昇温した。60℃到達後、アクリル酸ブチル90重量部、アリルメタクリレート0.7部からなる混合モノマー溶液およびオレイン酸カリウム塩(花王製OSソープ)2.1部を含む乳化剤水溶液20部を各々3時間かけて連続的に滴下した。滴下後3時間保持し、冷却することでポリオルガノシロキサンゴム/アクリル系ゴムで構成される複合ゴムであるアクリル系ゴム質重合体(b−1)を得た。得られたアクリル系ゴム質重合体(b−1)の重量平均粒子径は80nmであった。
アクリル系ゴム質重合体(b−1)の重量平均粒子径は下記の方法で測定した。四酸化ルテニウム(RuO4)で染色した超薄切片を透過型電子顕微鏡で写真撮影した。画像解析処理装置(装置名:旭化成(株)製IP−1000PC)を用いて1000個のゴム粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求め、重量平均粒子径を算出した。なお、ゴム質重合体(b−2)、(b−3)の重量平均粒子径も同様の方法で測定した。
アクリル系ゴム質重合体(b−2)の製造
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(組成比率(質量%):スチレン/ブタジエン=5/95、重量平均粒子径0.25μm)を固形分換算で20重量部、純水140部仕込み、撹拌を開始させ、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し35℃に到達したところで脱イオン水20重量部にナトリウムホルムアルデヒド・スルホキシレート0.05重量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.01重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル16重量部、アリルメタクリレート0.1重量部を添加した。槽内の温度が40℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、過硫酸カリウム0.09重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル64重量部、アリルメタクリレート0.4重量部を3時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持し、冷却することでジエン系ゴム/アクリル系ゴムで構成される複合ゴムであるアクリル系ゴム質重合体(b−2)を得た。得られたアクリル系ゴム質重合体(b−2)の重量平均粒子径は400nmであった。
アクリル系ゴム質重合体(b−3)の製造
ガラスリアクターに、スチレン−アクリル酸ブチル系共重合体ラテックス(組成比率(質量%):スチレン/アクリル酸ブチル/アリルメタクリレート=47.6/52/0.4、重量平均粒子径40nm)を固形分換算で10重量部、純水140部仕込み、撹拌を開始させ、窒素置換を行った。窒素置換後、アクリル酸ブチル5重量部、メタクリル酸アリル0.05重量部、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王株式会社製のラテムルASK)0.05重量部(固形分換算)、及び過硫酸カリウム0.3重量部を仕込み、65℃で1時間反応させた。その後、アクリル酸ブチル85重量部とアリルメタクリレート0.45重量部の混合液および脱イオン水20重量にアルケニルコハク酸ジカリウム(花王株式会社製のラテムルASK)0.45重量部(固形分換算)を溶解した乳化剤水溶液の各々を、4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持し、冷却することで硬質重合体/アクリル系ゴムで構成される複合ゴムであるアクリル系ゴム質重合体(b−3)を得た。得られたアクリル系ゴム質重合体(b−3)の重量平均粒子径は120nmであった。
グラフト共重合体(B−1)の製造
ガラスリアクターに、アクリル系ゴム質重合体(b−1)50部(固形分換算)仕込み、撹拌を開始させ、窒素置換を行った。窒素置換後、デキストリン0.25部、無水ピロリン酸ナトリウム0.15部および硫酸第1鉄0.005部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後、70℃に昇温した。70℃到達後、アクリロニトリル13部、スチレン37部、クメンハイドロパーオキサイド0.35部の混合液を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後3時間保持し、冷却することでグラフト重合体(B−1)ラテックスが得られた。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−1)を得た。得られたグラフト共重合体(B−1)のグラフト率は63%、アセトン可溶部の還元粘度は0.58dl/gであった。
グラフト共重合体(B−2)の製造
アクリル系ゴム質重合体(b−1)をアクリル系ゴム質重合体(b−2)に変更した以外は、グラフト共重合体(B−1)と同様に実施した。得られたグラフト共重合体(B−2)のグラフト率は55%、アセトン可溶部の還元粘度は0.65dl/gであった。
グラフト共重合体(B−3)の製造
アクリル系ゴム質重合体(b−1)をアクリル系ゴム質重合体(b−3)に変更した以外は、グラフト共重合体(B−1)と同様に実施した。得られたグラフト共重合体(B−3)のグラフト率は50%、アセトン可溶部の還元粘度は0.42dl/gであった。
共重合体(C−1)の製造
公知の塊状重合法により、スチレン67重量部、アクリロニトリル33重量部からなる共重合体(C−1)を得た。得られた共重合体(C−1)の還元粘度は0.51dl/gであり、オリゴマー成分の含有量は、0.47重量%であった。
共重合体(C−2)の製造
公知の塊状重合法により、スチレン68重量部、アクリロニトリル32重量部からなる共重合体(C−2)を得た。得られた共重合体(C−2)の還元粘度は0.74dl/gであり、オリゴマー成分の含有量は、0.24重量%であった。
共重合体(C−3)の製造
公知の塊状重合法により、スチレン70重量部、アクリロニトリル30重量部からなる共重合体(C−3)を得た。得られた共重合体(C−3)の還元粘度は0.43dl/gであり、オリゴマー成分の含有量は、2.43重量%であった。
共重合体(C−4)の製造
公知の塊状重合法により、スチレン75重量部、アクリロニトリル25重量部からなる共重合体(C−4)を得た。得られた共重合体(C−4)の還元粘度は0.51dl/gであり、オリゴマー成分の含有量は、0.59重量%であった。
共重合体(C−5)の製造
公知の塊状重合法により、スチレン74重量部、アクリロニトリル26重量部からなる共重合体(C−5)を得た。得られた共重合体(C−5)の還元粘度は0.49dl/gであり、オリゴマー成分の含有量は、2.36重量%であった。
耐候剤
(D−1)HALS:ADEKA(株)製 アデカスタブ LA77Y。
(D−2)UVA:住友化学(株)製 スミソーブ200。
着色剤
(E−1)白顔料:Tioxide社製 二酸化チタンR−TC30顔料。
(E−2)黒顔料:三菱化学(株)製 カーボンブラック#45顔料。
(E−3)茶顔料:戸田ピグメント(株)製 弁柄120ED顔料。
(E−4)黄顔料:東罐マテリアル・テクノロジー(株)製 複合酸化物顔料42−118S顔料。
実施例1〜8、比較例1〜8
グラフト共重合体(A)、グラフト共重合体(B)、共重合体(C)、耐候剤(D)及び着色剤(E)を表1、2記載の配合割合で混合した後、シリンダー温度250℃に設定したφ35mmの2軸押出機にて主スクリュー回転数300rpm、吐出量15kg/hrの条件で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを用いて、オリゴマー成分の含有量の測定を行った。また、このペレットを用いて射出成形機(シリンダー温度250℃、金型温度60℃)にて試験片及び平板を成形した。次いで、その試験片及び平板を用いてNC、MVRならびにめっき密着強度、冷熱サイクル性、耐候性を測定した。結果を表1、2に示す。
上記のとおり、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、車両外装用部品として必要な機械的強度、成形加工性を有し、かつ耐候性、意匠性に優れることから、市場のニーズに合わせて多彩な車両外装用部品等の用途に使用することができる。

Claims (4)

  1. ジエン系ゴム質重合体(a)、及び芳香族ビニル系単量体を含む単量体がグラフト重合したグラフト共重合体(A)、
    アクリル系ゴム質重合体(b)、及び芳香族ビニル系単量体を含む単量体がグラフト重合したグラフト共重合体(B)、
    芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を含む単量体が重合した共重合体(C)、
    を含む樹脂組成物100質量部に対して、耐候剤(D)を0.1〜2質量部含有し、下記(1)〜(5)を満足する熱可塑性樹脂組成物。
    (1)樹脂組成物100質量%に対して、ジエン系ゴム質重合体(a)とアクリル系ゴム質重合体(b)の合計が10〜25質量%
    (2)ジエン系ゴム質重合体(a)とアクリル系ゴム質重合体(b)の合計100質量%に対して、アクリル系ゴム質重合体(b)が50〜85質量%
    (3)ジエン系ゴム質重合体(a)の重量平均粒子径が、50〜1000nm。
    (4)共重合体(C)100質量%に対して、シアン化ビニル系単量体(c−1)が30〜40質量%
    (5)熱可塑性樹脂組成物100質量%に対して、オリゴマー成分の含有量が1.5質量%以下
  2. アクリル系ゴム質重合体(b)の重量平均粒子径が50〜200nmである、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 樹脂組成物100質量部に対して、着色剤(E)を0.5〜5質量部含有する、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 車両外装用である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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