JP2020158387A - プリント配線板用表面処理ガラスクロス及びプリプレグ - Google Patents

プリント配線板用表面処理ガラスクロス及びプリプレグ Download PDF

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【課題】プリプレグとしたときに絶縁信頼性を向上することができるプリント配線板用表面処理ガラスクロス及びプリント配線板用プリプレグを提供する。【解決手段】表面に表面処理層を備えるプリント配線板用表面処理ガラスクロスであって、該ガラスクロスを構成するガラスは、全量に対し、52.0〜60.0質量%のSiO2と、15.0〜26.0質量%のB2O3と、9.0〜18.0質量%のAl2O3と、1.0〜8.0質量%のMgOと、1.0〜10.0質量%のCaOと、0〜6.0質量%のSrOと、0〜6.0質量%のTiO2と、合計で0.1〜3.0質量%のF2及びCl2とを含む組成を備え、該ガラスクロスは、75.0〜100.0%の範囲の表面被覆率と、8〜95μmの範囲の厚さとを備え、該表面処理層は、メタクリル基を有するシランカップリング剤を含有し、界面活性剤を不含有である。【選択図】 なし

Description

本発明は、プリント配線板用表面処理ガラスクロス及び該プリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いるプリント配線板用プリプレグに関する。
従来、プリント配線板を構成するプリプレグに用いられる表面処理ガラスクロスが知られている。また、前記表面処理ガラスクロスを構成するガラス繊維として、15質量%以上のBを含む組成を備えるものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許第4269194号公報 特許第6468409号公報
しかしながら、本発明者は、Bの含有量が15質量%以上の組成を備えるガラス繊維を用いて製織されたガラスクロスを、メタクリル基を有するシランカップリング剤で表面処理して得られた表面処理ガラスクロスではプリプレグとしたときに、ガラスと樹脂との界面において界面剥離が生じ、絶縁信頼性が低くなるという不都合があることを見出した。
本発明は、かかる不都合を解消して、プリプレグとしたときに絶縁信頼性を向上することができるプリント配線板用表面処理ガラスクロス及び該プリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いるプリント配線板用プリプレグを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明者が鋭意検討を進めた結果、メタクリル基を有するシランカップリング剤による表面処理をする時に、界面活性剤を含有しないことでガラスと樹脂との界面の剥離を抑制できることを見出した。
界面活性剤は、通常、表面処理剤中のシランカップリング剤を均一に分散するために使われ、それによりガラスクロスの表面に均一な表面処理層を形成することができる。均一な表面処理層が形成されることで、ガラスと樹脂との界面の剥離が抑制される。そのため、ガラスクロスの表面処理剤に界面活性剤を添加することが一般的である。しかしながら、驚くべきことに、本発明者は、Bの含有量が15質量%以上の組成を備えるガラス繊維で構成された、一定の要件を満たすガラスクロスの表面処理層にメタクリル基を有するシランカップリング剤を用いた時に限って、界面活性剤を含有しないことで、ガラスと樹脂との界面剥離を抑止できるという、従来予想できなかった事実を発見した。
本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスは、表面に表面処理層を備えるプリント配線板用表面処理ガラスクロスであって、該ガラスクロスを構成するガラスは、全量に対し、52.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、15.0〜26.0質量%の範囲のBと、9.0〜18.0質量%の範囲のAlと、1.0〜8.0質量%の範囲のMgOと、1.0〜10.0質量%の範囲のCaOと、0〜6.0質量%の範囲のSrOと、0〜6.0質量%の範囲のTiOと、合計で0.1〜3.0質量%の範囲のF及びClとを含む組成を備え、該ガラスクロスは、75.0〜100.0%の範囲の表面被覆率と、8〜95μmの範囲の厚さとを備え、該表面処理層は、メタクリル基を有するシランカップリング剤を含有し、界面活性剤を不含有であり、前記表面被覆率は、100×(25000(μm)×経糸の糸幅(μm)×経糸の織密度(本/25mm)+25000(μm)×緯糸の糸幅(μm)×緯糸の織密度(本/25mm)−経糸の糸幅(μm)×経糸の織密度(本/25mm)×緯糸の糸幅(μm)×緯糸の織密度(本/25mm))/(25000(μm)×25000(μm))により計算される、ことを特徴とする。
本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスは、該ガラスクロスを構成するガラスが15質量%以上のBを含む組成、具体的には、全量に対し、52.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、15.0〜26.0質量%の範囲のBと、9.0〜18.0質量%の範囲のAlと、1.0〜8.0質量%の範囲のMgOと、1.0〜10.0質量%の範囲のCaOと、0〜6.0質量%の範囲のSrOと、0〜6.0質量%の範囲のTiOと、合計で0.1〜3.0質量%の範囲のF及びClとを含む組成を備え、前記表面処理層がメタクリル基を有するシランカップリング剤を含有し、界面活性剤を不含有であることにより、プリプレグとしたときに、ガラスと樹脂との界面において生じる界面剥離を抑制することができ、絶縁信頼性を向上することができる。
前記プリント配線板用表面処理ガラスクロスは、前記表面処理層がメタクリル基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤を含有した時は、界面活性剤を不含有であることによる界面剥離を抑止する効果を得ることができない。
本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスを構成するガラスフィラメントは表面にシリカ微粒子が付着していることが好ましい。本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスは、前記ガラスクロスを構成するガラスフィラメントの表面にシリカ微粒子が付着していることにより、前記表面処理層が界面活性剤を含有しているときにも前記ガラスと樹脂との界面において生じる界面剥離を抑制することができ、該表面処理層が界面活性剤を含有していないことにより、絶縁信頼性をさらに向上することができる。
また、本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスは、85.5〜100.0%の範囲の表面被覆率を備えることが好ましい。本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスは、前記ガラスクロスが、85.5〜100.0%の範囲の表面被覆率を備えることにより、前記表面処理層が界面活性剤を含有しているときにも前記ガラスと樹脂との界面において生じる界面剥離を抑制することができ、該表面処理層が界面活性剤を含有していないことにより、絶縁信頼性をさらに向上することができる。
なお、前記表面被覆率は、次式により算出することができる。
表面被覆率=100×(25000(μm)×経糸の糸幅(μm)×経糸の織密度(本/25mm)+25000(μm)×緯糸の糸幅(μm)×緯糸の織密度(本/25mm)−経糸の糸幅(μm)×経糸の織密度(本/25mm)×緯糸の糸幅(μm)×緯糸の織密度(本/25mm))/(25000(μm)×25000(μm))
ここで、経糸及び緯糸の糸幅は、プリント配線板用表面処理ガラスクロスから60mm×100mmのサンプル3枚を切り出し、各サンプル当たりそれぞれ30本の経糸又は緯糸について、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製、商品名:VHX−2000、倍率:200倍)で測定したときの測定値の平均値を採用することができる。また、経糸及び緯糸の織密度は、JIS R 3420に準拠して、織物分解鏡を用い、経(緯)方向の25mmの範囲にある、経(緯)糸の本数を数えて求めることができる。
また、本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスが85.5〜100.0%の範囲の表面被覆率を備えるときに、該ガラスクロスは、8〜60μmの範囲の厚さを備えることが好ましく、8〜40μmの範囲の厚さを備えることがより好ましい。本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスは、前記ガラスクロスが85.5〜100.0%の範囲の表面被覆率を備えるときに、該ガラスクロスが、8〜60μm、より好ましくは8〜40μmの範囲の厚さを備えることにより、前記表面処理層が界面活性剤を含有していないことによる絶縁信頼性を向上する効果をさらに大きくすることができる。
また、本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスは、該ガラスクロスを構成するガラスの組成が、例えば、全量に対し、52.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、15.0質量%以上20.0質量%未満の範囲のBと、9.0〜18.0質量%の範囲のAlと、1.0〜6.0質量%の範囲のMgOと、1.0〜9.0質量%の範囲のCaOと、0質量%以上〜0.5質量%未満の範囲のSrOと、1.0〜6.0質量%の範囲のTiOと、合計で0.1〜2.5質量%の範囲のF及びClとを含む第1の態様、又は、全量に対し、52.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、20.0〜26.0質量%未満の範囲のBと、9.0〜18.0質量%の範囲のAlと、1.0〜6.0質量%の範囲のMgOと、1.0〜9.0質量%の範囲のCaOと、0.5〜6.0質量%未満の範囲のSrOと、0〜6.0質量%の範囲のTiOと、合計で0.1〜2.5質量%の範囲のF及びClとを含む第2の態様であることが好ましい。
本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスは、該ガラスクロスを構成するガラスの組成が前記第1の態様であるときには、前記第2の態様であるときよりも大きな引張強度を得ることができる。また、本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスは、該ガラスクロスを構成するガラスの組成が前記第2の態様であるときには、前記表面処理層が界面活性剤を含有していないことによる絶縁信頼性を向上する効果を、該ガラスクロスを構成するガラスの組成が前記第1の態様であるときよりも大きくすることができる。
また、本発明のプリント配線板用プリプレグは、前記本発明のプリント配線板用表面処理ガラスクロスを含むことを特徴とする。
アルカリ白化試験に用いる試験片の形状を示す平面図。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスは、表面に表面処理層を備え、該ガラスクロスを構成するガラスが、全量に対し、52.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、15.0〜26.0質量%の範囲のBと、9.0〜18.0質量%の範囲のAlと、1.0〜8.0質量%の範囲のMgOと、1.0〜10.0質量%の範囲のCaOと、0〜6.0質量%の範囲のSrOと、0〜6.0質量%の範囲のTiOと、合計で0.1〜3.0質量%の範囲のF及びClとを含む組成を備える。
本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、該ガラスクロスを構成するガラスの組成は、例えば、ガラス全量に対し、52.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、15.0質量%以上20.0質量%未満の範囲のBと、9.0〜18.0質量%の範囲のAlと、1.0〜6.0質量%の範囲のMgOと、1.0〜9.0質量%の範囲のCaOと、0質量%以上〜0.5質量%未満の範囲のSrOと、1.0〜6.0質量%の範囲のTiOと、合計で0.1〜2.5質量%の範囲のF及びClとを含む第1の態様、又は、ガラス全量に対し、52.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、20.0〜26.0質量%未満の範囲のBと、9.0〜18.0質量%の範囲のAlと、1.0〜6.0質量%の範囲のMgOと、1.0〜9.0質量%の範囲のCaOと、0.5〜6.0質量%未満の範囲のSrOと、0〜6.0質量%の範囲のTiOと、合計で0.1〜2.5質量%の範囲のF及びClとを含む第2の態様とすることができる。
上記第1の態様において、SiOの含有量は、好ましくは、52.5〜59.0質量%の範囲にあり、より好ましくは、53.0〜58.0質量%範囲にあり、さらに好ましくは、53.5〜57.0質量%の範囲にある。また、Bの含有量は、好ましくは、16.0〜19.8質量%の範囲にあり、より好ましくは17.0〜19.7質量%の範囲にあり、さらに好ましくは、18.0〜19.6質量%の範囲にある。また、Alの含有量は、好ましくは、10.0〜17.5質量%の範囲にあり、より好ましくは、11.0〜17.0質量%であり、さらに好ましくは、12.0〜16.5質量%の範囲にある。また、MgOの含有量は、好ましくは、1.5〜6.0質量%の範囲にあり、より好ましくは、2.0〜5.5質量%の範囲にあり、さらに好ましくは、3.0〜5.0質量%の範囲にある。また、CaOの含有量は、好ましくは、1.5〜8.0質量%の範囲にあり、より好ましくは、2.0〜7.0質量%の範囲にあり、さらに好ましくは3.0〜5.0質量%の範囲にある。また、SrOの含有量は、好ましくは、0〜0.1質量%の範囲にあり、より好ましくは、0〜0.05質量%の範囲にあり、さらに好ましくは、0〜0.01質量%の範囲にある。TiOの含有量は、好ましくは、1.0〜5.5質量%の範囲にあり、より好ましくは、1.0〜5.5質量%の範囲にあり、さらに好ましくは、1.5〜4.5質量%の範囲にある。また、F及びClの合計含有量は、好ましくは、0.1〜2.0質量%の範囲にあり、より好ましくは0.1〜1.5質量%の範囲にあり、さらに好ましくは、0.2〜1.2質量%の範囲にある。
上記第2の態様において、SiOの含有量は、好ましくは、52.5〜59.0質量%の範囲にあり、より好ましくは53.0〜58.0質量%の範囲にあり、さらに好ましくは、53.5〜57.0質量%の範囲にある。また、Bの含有量は、好ましくは、21.0〜24.8質量%の範囲にあり、より好ましくは、22.0〜24.6質量%の範囲にあり、さらに好ましくは、23.0〜24.4質量%の範囲にある。また、Alの含有量は、好ましくは、9.5〜17.0質量%の範囲にあり、より好ましくは、10.0〜16.0質量%の範囲にあり、さらに好ましくは、10.5〜14.5質量%の範囲にある。また、MgOの含有量は、好ましくは、1.0〜5.0質量%の範囲にあり、より好ましくは1.0〜4.0質量%の範囲にあり、さらに好ましくは、1.5〜3.0質量%の範囲にある。また、CaOの含有量は、好ましくは、1.0〜7.0質量%の範囲にあり、より好ましくは、1.0〜5.0質量%の範囲にあり、さらに好ましくは、1.5〜3.0質量%の範囲にある。また、SrOの含有量は、好ましくは1.0〜6.0質量%の範囲にあり、より好ましくは、1.5〜5.5質量%の範囲にあり、さらに好ましくは2.0〜5.0質量%の範囲にある。また、TiOの含有量は、好ましくは、0〜4.5質量%の範囲にあり、より好ましくは0〜3.0質量%の範囲にあり、さらに好ましくは0〜1.0質量%の範囲にある。また、F及びClの合計含有量は、好ましくは、0.1〜2.0質量%の範囲にあり、より好ましくは、0.1〜1.5質量%の範囲にあり、さらに好ましくは、0.2〜1.2質量%の範囲にある。
また、本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、該ガラスクロスを構成するガラスの組成は、上記した成分以外に、Pを、ガラス全量に対し、0〜15.0質量%の範囲で含んでもよい。また、前記ガラスの組成は、Feを、ガラス全量に対し、0〜1.0質量%の範囲、好ましくは、0.05〜0.5質量%の範囲で含んでもよい。また、前記ガラスの組成は、LiO、KO及びNaOを、ガラス全量に対し、合計で0〜1.0質量%の範囲で含んでもよい。
ここで、前述したガラスの組成の各成分の含有量の測定は、軽元素であるLiについてはICP発光分光分析装置を用いて、その他の元素は波長分散型蛍光X線分析装置を用いて行うことができる。
測定方法としては、ガラスクロス(ガラスクロス表面に有機物が付着している場合、又は、ガラスクロスが有機物(樹脂)中に主に強化材として含まれている場合には、例えば、300〜600℃のマッフル炉で2〜24時間程度加熱する等して、有機物を除去してから用いる)を適宜の大きさに裁断した後、白金ルツボに入れ、電気炉中で1550℃の温度に6時間保持して撹拌を加えながら溶融させることにより、均質な溶融ガラスを得る。次に、得られた溶融ガラスをカーボン板上に流し出してガラスカレットを作製した後、粉砕し粉末化する。軽元素であるLiについてはガラス粉末を酸で加熱分解した後、ICP発光分光分析装置を用いて定量分析する。その他の元素はガラス粉末をプレス機で円盤状に成形した後、波長分散型蛍光X線分析装置を用いて定量分析する。これらの定量分析結果を酸化物換算して各成分の含有量及び全量を計算し、これらの数値から前述した各成分の含有量(質量%)を求めることができる。
また、本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスは、75.0〜100.0%の範囲の表面被覆率と、8〜95μmの範囲の厚さとを備え、前記表面処理層は、メタクリル基を有するシランカップリング剤を含有し、界面活性剤を含有していない。
本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、メタクリル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランを挙げることができる。
ここで、前記メタクリル基を有するシランカップリング剤は、例えば、GC−MS(例えば、株式会社島津製作所製、GC−MSQP2010Ultra(商品名))により同定することができる。
前記界面活性剤は、ガラスクロスの表面処理にシランカップリング剤の分散剤として通常使われるものであって、具体的には、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、これらを単独又は組み合わせて採用される。
ノニオン系界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ジアルキルスルホこはく酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリン塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩、アルキルりん酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルりん酸塩などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウムなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジエチレントリアミノ酢酸、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。
ここで、本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスが界面活性剤を含有しないことは、例えば、GC−MS(例えば、株式会社島津製作所製、GC−MSQP2010Ultra(商品名))を用いて、プリント配線板用表面処理ガラスクロスから前記した界面活性剤由来の成分が検出されないことで確認することができる。
本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記表面処理層は、例えば、プリント配線板用表面処理ガラスクロス100質量部に対して、0.05〜3.0質量部の範囲で形成される。また、前記表面処理層の全量に対する、メタクリル基を有するシランカップリング剤の含有量は、例えば、80〜100質量%の範囲にあり、好ましくは、90〜100質量%の範囲にあり、より好ましくは、95〜100質量%の範囲にある。
ここで、プリント配線板用表面処理ガラスクロスの質量に対する表面処理層の質量の割合は、JIS R 3420に準拠して、試験片の加熱乾燥前後の質量を測定することによって求めることができる。また、表面処理層の質量に対する、メタクリル基を有するシランカップリング剤の割合は、例えばGC−MS(例えば、株式会社島津製作所製、GC−MSQP2010Ultra(商品名))を用いてシランカップリング剤を定量し表面処理層の質量と比較することによって求めることができる。
本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記表面処理層は、メタクリル基を有するシランカップリング剤以外に、例えば、メタクリル基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤(例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤、グリシドキシ基を有するシランカップリング剤、ビニル基を有するシランカップリング剤、アクリル基を有するシランカップリング剤、イソシアネート基を有するシランカップリング剤、メルカプト基を有するシランカップリング剤、スチリル基を有するシランカップリング剤、ウレイド基を有するシランカップリング剤)、弱酸(例えば、酢酸、クエン酸、ギ酸)、消泡剤(シリコン系消泡剤、エマルション系消泡剤、界面活性剤系消泡剤、オイル系消泡剤)を、前記表面処理層の全量に対して、合計で20質量%以下の範囲で含んでもよい。
また、本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスを構成するガラスフィラメントは表面にシリカ微粒子が付着していることが好ましい。
ここで、前記シリカ微粒子としては、体積平均粒径が、30〜300nmのシリカ微粒子を用いることができる。また、シリカ微粒子の付着量は、例えば、表面処理されていないガラスクロス100質量部に対して、シリカ微粒子0.001〜1質量部とすることができる。
本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、シリカ微粒子が付着していることは、SEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)で観察することにより確認することができる。また、シリカ微粒子の付着量については、SEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)で観察しシリカ微粒子の数を計測することにより求めることができる。
また、本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスは、85.5〜100.0%の範囲の表面被覆率を備えることが好ましく、このとき、該ガラスクロスは、8〜60μm、より好ましくは8〜40μmの範囲の厚さを備えることが好ましい。
本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記表面被覆率は、87.0〜99.9%の範囲にあることがより好ましく、89.0〜99.8%の範囲にあることがさらに好ましく、90.0〜99.7%の範囲にあることが特に好ましく、90.5〜99.6%にあることが最も好ましい。
また、本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスの厚さは、9〜35μmの範囲にあることがさらに好ましい。
ここで、プリント配線板用表面処理ガラスクロスの厚さとしては、JIS R 3420に準拠して、プリント配線板用表面処理ガラスクロス中15点でその厚さをマイクロメーターで測定したときの測定値の平均値を採用することができる。
本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスは、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、所定のガラスバッチ(ガラス原材料)を溶融して繊維化することにより、ガラスフィラメントを得る。前記ガラスフィラメントは、例えば、前記第1の態様又は第2の態様の組成を備えている。
前記ガラスフィラメントのフィラメント径は、特に限定されないが、薄型繊維強化樹脂成形体の補強材用途には、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、3〜5μmの範囲であることが特に好ましい。
前記ガラスフィラメントは、例えば、25〜500本、好ましくは40〜300本の範囲の本数で、それ自体公知の方法により集束され、ガラス繊維糸とされる。なお、ガラスバッチを溶融し、繊維化してガラスフィラメントを得て、次いで、このガラスフィラメント複数本を集束してガラス繊維糸を得ることを紡糸という。
前記ガラス繊維糸の番手は、0.8〜135texであることが好ましく、1〜25texであることがより好ましい。なお、ガラス繊維糸の番手(tex)とは、ガラス繊維の1000mあたりの質量(単位:g)に相当する。
次に、前記ガラス繊維糸を経糸又は緯糸として製織することによりガラスクロスを得る。前記製織の方法は、特に限定されないが、例えば、平織、朱子織、綾織等を挙げることができ、平織であることが好ましい。前記製織の際の前記ガラス繊維糸の織密度は、特に限定されないが、例えば、10〜150本/25mmが好ましく、40〜100本/25mmであることがより好ましい。
前記製織の際には、前記ガラスフィラメントの集束や経糸の整経等にサイズ剤を用いる。前記サイズ剤としては、例えば、被膜形成剤成分がデンプン系又はPVA(ポリビニルアルコール)系であるサイズ剤を挙げることができる。前記サイズ剤は、油剤又は柔軟剤等を含んでもよい。
前記ガラスクロスにおける前記サイズ剤の付着量は、前記ガラス繊維糸100質量部に対して該サイズ剤の付着量が0.1〜3質量部であることが好ましく、0.5〜1.5質量部であることがより好ましい。なお、前記サイズ剤の付着量の範囲や特に指定しない場合のサイズ剤の付着量は、経糸又は緯糸に対するサイズ剤の付着量の平均を表したものである。
前記製織により得られる前記ガラスクロスは、プリント配線板の基材用途という観点から、その単位面積あたりの質量が110g/m以下であることが好ましく、50g/m以下であることがより好ましい。一方、製織性の観点からは、ガラスクロスの単位面積あたりの質量が8g/m以上であることが好ましい。
次に、前記ガラスクロスに対して開繊処理を施す。前記開繊処理としては、例えば、水流圧力による開繊、液体を媒体とした高周波の振動による開繊、面圧を有する流体の圧力による開繊、ロールによる加圧での開繊等を挙げることができる。前記開繊処理の中では、水流圧力による開繊、又は液体を媒体とした高周波の振動による開繊を使用することが、経糸及び緯糸のそれぞれにおいて、開繊処理後の糸幅のバラツキが低減されるので好ましい。また、前記開繊処理は、複数の処理方法を併用してもよい。
次に、前記開繊処理が施されたガラスクロスに対し、脱油処理を施す。前記脱油処理は、例えば、前記ガラスクロスを雰囲気温度が350℃〜450℃の加熱炉内に40〜80時間配置し、該ガラスクロスに付着している紡糸用集束剤と製織用集束剤とを加熱分解することにより行うことができる。
次に、前記脱油処理が施されたガラスクロスを、表面処理剤水溶液に浸漬し、余分な水分を絞液した後、80〜180℃の範囲の温度で、1〜30分間の時間、例えば110℃で5分間加熱乾燥することにより、本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスを得る。
前記表面処理剤水溶液としては、前記メタクリル基を有するシランカップリング剤を、表面処理剤水溶液全量に対して、固形分として、0.1〜2.0質量%含み、pH調整剤としての弱酸(例えば、酢酸、クエン酸等)を、0.1〜1.0質量%含むものを用いることができる。なお、弱酸は、加熱乾燥の過程で揮発するので、プリント配線板用表面処理ガラスクロス中の表面処理層に残留しない場合がある。
本実施形態のプリント配線板用プリプレグは、前述した本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスを含む。
本実施形態のプリント配線板用プリプレグは、前述したプリント配線板用表面処理ガラスクロスに、それ自体公知の方法により、樹脂を含浸させ、半硬化させることにより得られる。
本実施形態のプリント配線板用プリプレグにおいて、前述したプリント配線板用表面処理ガラスクロスに含浸される樹脂は、特に限定されない。このような樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いることによる、絶縁信頼性向上の効果が特に大きいことから、ポリフェニレンエーテル樹脂、又は、変性ポリフェニレンエーテル樹脂を好ましく用いることができる。
本実施形態のプリント配線板用表面処理ガラスクロスを含むプリプレグ又は繊維強化樹脂成形品は、プリント配線板以外に、アンテナ、レーダー、電子機器の筐体等の用途に用いることができる。
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
〔実施例1〕
本実施例では、まず、IPC4412規格のクロススタイル#1078(使用ヤーン:D450(フィラメント径5.0μm、ヤーン重量11.0tex)、経糸織密度:53本/25mm、緯糸織密度:53本/25mm)のガラスクロスを、体積平均粒子径が約100nmのシリカ微粒子が水に分散された分散液が収容されたシリカ微粒子付着槽を通過させることにより、シリカ微粒子が付着したガラスクロスを得た。
前記ガラスクロスを構成するガラスは、全量に対し、54.5質量%のSiOと、19.4質量%のBと、14.6質量%のAlと、4.2質量%のMgOと、4.1質量%のCaOと、0質量%のSrOと、1.9質量%のTiOと、0.1質量%のFeと、合計で0.2質量%のLiO、NaO及び、KOと、1.0質量%のFとを含む組成(以下、ガラス組成Aという)を備えており、ガラス組成Aは前記第1の態様に対応する組成となっている。
次に、前記シリカ微粒子が付着したガラスクロスに、2MPaの圧力を有する40℃の高圧水流を噴射して水流圧力による開繊処理を施した後、360℃で60時間加熱して脱油を行った。
次に、全量に対し、メタクリル基を有するシランカップリング剤として、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製)を固形分として1.0質量%、酢酸を0.1質量%となるように水に混合し、マグネチックスターラーにて1時間撹拌して、表面処理剤水溶液を調製した。前記表面処理剤水溶液は、界面活性剤を全く含んでいない。
次に、前記脱油を行った前記ガラスクロスを表面処理剤水溶液に浸漬し、余分な水分を絞液した後、110℃で5分間加熱乾燥することにより、本実施例のプリント配線板用表面処理ガラスクロスを得た。得られたガラスクロスを350mm×400mmの大きさにカットし、プリント配線板用表面処理ガラスクロス片とした。このとき、前記ガラスクロスに付着されたシランカップリング剤は、プリント配線板用表面処理ガラスクロス100質量部に対して、0.53質量部であった。なお、実施例1のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、表面処理層は、メタクリル基を有するシランカップリング剤のみで構成される。
次に、前記プリント配線板用表面処理ガラスクロス片を、ポリフェニレンエーテル樹脂ワニスに浸漬し、150℃で10分間乾燥して、界面活性剤不含有プリント配線板用プリプレグを得た。前記ポリフェニレンエーテル樹脂ワニスには、OPE−2St/トルエン(商品名、三菱ガス化学株式会社製)450質量部、TAICROS トリアリルイソシアヌレート(商品名、エボニック・ジャパン株式会社製)100質量部、パーブチルP(商品名、日油株式会社製)4質量部、トルエン(Wako株式会社製)250質量部からなる。
次に、前記界面活性剤不含有プリント配線板用プリプレグを4枚積層し、上下にセロハンフィルムを重ね、真空ホットプレス(北川精機株式会社製)を用いて205℃、1.8MPaで、真空中で一時間加熱加圧して板厚が約0.3mmの界面活性剤不含有積層板を得た。
次に、前記表面処理剤水溶液に代えて、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製)を固形分として1.0質量%、酢酸を0.1質量%、界面活性剤としてのポリオキシエチレンアルキルエーテル(東邦化学工業株式会社製)を0.05質量%となるように水に混合し、マグネチックスターラーにて1時間撹拌して調製した表面処理剤水溶液を用いた以外は、界面活性剤不含有積層板の場合と全く同一にして、板厚が約0.3mmの界面活性剤含有積層板を得た。
次に、前記界面活性剤不含有積層板と、前記界面活性剤含有積層板とをそれぞれ7cm×4cmに切り出し、ダイヤモンドカッターを用いて縦と横にそれぞれ長さ2cmのスリット2本ずつを入れ、図1に示す試験片を得た。図1に示す試験片はA=4cm、B=7cm、スリットの長さL=2cm、スリットの幅D=2mmである。
次に、ビーカーに1モル/LのNaOH(Wako株式会社製)水溶液を入れ、60℃に加熱し、前記各試験片を該NaOH水溶液中に30時間浸漬した後、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製)を用いて100倍の倍率で経糸方向と緯糸方向への樹脂とガラス界面との剥離による白化距離を測定するアルカリ白化試験を行った。前記アルカリ白化試験では、経糸方向、緯糸方向をそれぞれ24点における白化距離を測定し、平均値を白化距離とした。前記樹脂とガラス界面との剥離による白化距離はプリント配線板の絶縁信頼性と相関性があり、白化距離が小さいほど絶縁信頼性に優れている。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
本実施例では、ガラスクロスにシリカ微粒子を付着させなかった以外は、実施例1と全く同一にして、プリント配線板用表面処理ガラスクロスを得た。次に、本実施例で得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アルカリ白化試験を行い、白化距離を測定した。
また、本実施例で得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスについて、JIS R 3420に準拠し、サンプル数N=5で緯糸方向の引張強度を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
本実施例では、0.1MPaの圧力を有する40℃の高圧水流を噴射して水流圧力による開繊処理を施した以外は、実施例2と全く同一にして、プリント配線板用表面処理ガラスクロスを得た。次に、本実施例で得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アルカリ白化試験を行い、白化距離を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
本実施例では、IPC4412規格のクロススタイル#2116(使用ヤーン:E225(フィラメント径7.0μm、ヤーン重量22.0tex)、経糸織密度:59.1本/25mm、緯糸織密度:57.1本/25mm)のガラスクロスを用いた以外は、実施例2と全く同一にして、プリント配線板用表面処理ガラスクロスを得た。前記ガラスクロスに付着されたシランカップリング剤は、プリント配線板用表面処理ガラスクロス100質量部に対して、0.36質量部であった。なお、本実施例のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、表面処理層は、メタクリル基を有するシランカップリング剤のみで構成される。
次に、本実施例で得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アルカリ白化試験を行い、白化距離を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
本実施例では、IPC4412規格のクロススタイル#1035(使用ヤーン:D900(フィラメント径5.0μm、ヤーン重量5.5tex)、経糸織密度:65本/25mm、緯糸織密度:67本/25mm)のガラスクロスを用いた以外は、実施例2と全く同一にして、プリント配線板用表面処理ガラスクロスを得た。前記ガラスクロスに付着されたシランカップリング剤は、プリント配線板用表面処理ガラスクロス100質量部に対して、0.47質量部であった。なお、本実施例のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、表面処理層は、メタクリル基を有するシランカップリング剤のみで構成される。
次に、本実施例で得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アルカリ白化試験を行い、白化距離を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
本実施例では、ガラスクロスを構成するガラスを、全量に対し、55.0質量%のSiOと、24.0質量%のBと、12.0質量%のAlと、2.0質量%のMgOと、2.0質量%のCaOと、4.0質量%のSrOと、0.0質量%のTiOと、0.0質量%のFeと、合計で0.0質量%のLiO、NaO及び、KOと、1.0質量%のFとを含む組成(以下、ガラス組成Bという)を備えるものとした以外は、実施例2と全く同一にして、プリント配線板用表面処理ガラスクロスを得た。ガラス組成Bは前記第2の態様に対応する組成となっている。前記ガラスクロスに付着されたシランカップリング剤は、プリント配線板用表面処理ガラスクロス100質量部に対して、0.70質量部であった。なお、本実施例のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、表面処理層は、メタクリル基を有するシランカップリング剤のみで構成される。
次に、本実施例で得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アルカリ白化試験を行い、白化距離を測定した。
また、本実施例で得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例2と全く同一にして引張強度を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
本比較例では、シランカップリング剤として、N−β−(N−ビニルベンジルアミノ)エチル−アミノプロピルメトキシシランを含む表面処理剤水溶液を用いた以外は、実施例2と全く同一にして、プリント配線板用表面処理ガラスクロスを得た。前記ガラスクロスに付着されたシランカップリング剤は、ガラス繊維糸100質量部に対して、0.44質量部であった。
次に、本比較例で得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アルカリ白化試験を行い、白化距離を測定した。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
本比較例では、シランカップリング剤として、3−アミノプロピルトリメトキシシランを含む表面処理剤水溶液を用いた以外は、実施例2と全く同一にして、プリント配線板用表面処理ガラスクロスを得た。前記ガラスクロスに付着されたシランカップリング剤は、ガラス繊維糸100質量部に対して、0.35質量部であった。
次に、本比較例で得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アルカリ白化試験を行い、白化距離を測定した。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
本比較例では、ガラスクロスを構成するガラスを、全量に対し、54.6質量%のSiOと、6.1質量%のBと、14.1質量%のAlと、1.2質量%のMgOと、22.4質量%のCaOと、0質量%のSrOと、0.3質量%のTiOと、0.2質量%のFeと、合計で0.5質量%のLiO、NaO及び、KOと、0.6質量%のFとを含む組成(以下、ガラス組成Cという)を備えるものとした以外は、実施例2と全く同一にして、プリント配線板用表面処理ガラスクロスを得た。前記ガラスクロスに付着されたシランカップリング剤は、ガラス繊維糸100質量部に対して、0.21質量部であった。
次に、本比較例で得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アルカリ白化試験を行い、白化距離を測定した。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
本比較例では、シランカップリング剤として、N−β−(N−ビニルベンジルアミノ)エチル−アミノプロピルメトキシシランを含む表面処理剤水溶液を用いた以外は、比較例3と全く同一にして、プリント配線板用表面処理ガラスクロスを得た。前記ガラスクロスに付着されたシランカップリング剤は、ガラス繊維糸100質量部に対して、0.21質量部であった。
次に、本比較例で得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、アルカリ白化試験を行い、白化距離を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2020158387
Figure 2020158387
表1から、Bの含有量が15質量%以上の組成を備えるガラス繊維を用いて製織されたガラスクロスを表面処理して得られた実施例1〜6のプリント配線板用表面処理ガラスクロスでは、表面処理層がメタクリル基を有するシランカップリング剤を含有し、界面活性剤を不含有であることにより白化距離及び、界面活性剤含有の白化距離に対する界面活性剤不含有の白化距離の比が小さく、絶縁信頼性を向上することができることが明らかである。
また、ガラスクロスを構成するガラスフィラメント表面にシリカ微粒子が付着している実施例1のプリント配線板用表面処理ガラスクロスによれば、表面処理層がメタクリル基を有するシランカップリング剤を含有し、界面活性剤を不含有であることにより、ガラスフィラメント表面にシリカ微粒子が付着していない実施例2〜5のプリント配線板用表面処理ガラスクロスに比較しても白化距離が小さく、絶縁信頼性をさらに向上することができることが明らかである。
また、ガラスクロスを構成するガラスの組成が前記第1の態様に対応するガラス組成Aである実施例2のプリント配線板用表面処理ガラスクロスによれば、ガラスクロスを構成するガラスの組成が前記第2の態様に対応するガラス組成Bである実施例6のプリント配線板用表面処理ガラスクロスに比較して引張強度が大になることが明らかである。
これに対して、Bの含有量が15質量%以上の組成を備えるガラス繊維を用いて製織されたガラスクロスを表面処理して得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスであって、表面処理層がメタクリル基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤を含有する比較例1、2のプリント配線板用表面処理ガラスクロスでは、表面処理層が界面活性剤を不含有の場合の白化距離が、表面処理層が界面活性剤を含有する場合より大となるか、又は同等であり、表面処理層が界面活性剤を不含有であることによる絶縁信頼性を向上する効果を得ることができないことが明らかである。
また、Bの含有量が15質量%未満である組成を備えるガラス繊維を用いて製織されたガラスクロスを表面処理して得られた比較例3のプリント配線板用表面処理ガラスクロスでは、表面処理層がメタクリル基を有するシランカップリング剤を含有していても、表面処理層が界面活性剤を不含有の場合の白化距離が、表面処理層が界面活性剤を含有する場合より大であり、表面処理層が界面活性剤を不含有であることによる絶縁信頼性を向上する効果を得ることができないことが明らかである。
また、Bの含有量が15質量%未満である組成を備えるガラス繊維を用いて製織されたガラスクロスを表面処理して得られたプリント配線板用表面処理ガラスクロスであって、表面処理層がメタクリル基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤を含有する比較例4のプリント配線板用表面処理ガラスクロスでは、表面処理層が界面活性剤を不含有の場合の白化距離が、表面処理層が界面活性剤を含有する場合と同等であり、表面処理層が界面活性剤を不含有であることによる絶縁信頼性を向上する効果を得ることができないことが明らかである。
符号なし。

Claims (8)

  1. 表面に表面処理層を備えるプリント配線板用表面処理ガラスクロスであって、
    該ガラスクロスを構成するガラスは、全量に対し、52.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、15.0〜26.0質量%の範囲のBと、9.0〜18.0質量%の範囲のAlと、1.0〜8.0質量%の範囲のMgOと、1.0〜10.0質量%の範囲のCaOと、0〜6.0質量%の範囲のSrOと、0〜6.0質量%の範囲のTiOと、合計で0.1〜3.0質量%の範囲のF及びClとを含む組成を備え、
    該ガラスクロスは、75.0〜100.0%の範囲の表面被覆率と、8〜95μmの範囲の厚さとを備え、
    該表面処理層は、メタクリル基を有するシランカップリング剤を含有し、界面活性剤を不含有であり、
    前記表面被覆率は、100×(25000(μm)×経糸の糸幅(μm)×経糸の織密度(本/25mm)+25000(μm)×緯糸の糸幅(μm)×緯糸の織密度(本/25mm)−経糸の糸幅(μm)×経糸の織密度(本/25mm)×緯糸の糸幅(μm)×緯糸の織密度(本/25mm))/(25000(μm)×25000(μm))により計算される、ことを特徴とするプリント配線板用表面処理ガラスクロス。
  2. 請求項1記載のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスを構成するガラスフィラメントは表面にシリカ微粒子が付着していることを特徴とするプリント配線板用表面処理ガラスクロス。
  3. 請求項1又は請求項2記載のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスは、85.5〜100.0%の範囲の表面被覆率を備えることを特徴とするプリント配線板用表面処理ガラスクロス。
  4. 請求項3記載のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスは、8〜60μmの範囲の厚さを備えることを特徴とするプリント配線板用表面処理ガラスクロス。
  5. 請求項3記載のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスは、8〜40μmの範囲の厚さを備えることを特徴とするプリント配線板用表面処理ガラスクロス。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスを構成するガラスは、全量に対し、52.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、15.0質量%以上20.0質量%未満の範囲のBと、9.0〜18.0質量%の範囲のAlと、1.0〜6.0質量%の範囲のMgOと、1.0〜9.0質量%の範囲のCaOと、0質量%以上〜0.5質量%未満の範囲のSrOと、1.0〜6.0質量%の範囲のTiOと、合計で0.1〜2.5質量%の範囲のF及びClとを含む組成を備えることを特徴とするプリント配線板用表面処理ガラスクロス。
  7. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のプリント配線板用表面処理ガラスクロスにおいて、前記ガラスクロスを構成するガラスは、全量に対し、52.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、20.0〜26.0質量%未満の範囲のBと、9.0〜18.0質量%の範囲のAlと、1.0〜6.0質量%の範囲のMgOと、1.0〜9.0質量%の範囲のCaOと、0.5〜6.0質量%未満の範囲のSrOと、0〜6.0質量%の範囲のTiOと、合計で0.1〜2.5質量%の範囲のF及びClとを含む組成を備えることを特徴とするプリント配線板用表面処理ガラスクロス。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のプリント配線板用表面処理ガラスクロスを含むことを特徴とするプリント配線板用プリプレグ。
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