JP2004231426A - 表面処理ガラスクロス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラスクロスに対して0.1〜10.0質量%の酸化チタンもしくは酸化亜鉛のいずれかからなる酸化物、該酸化物の混合物、または該酸化物を含む組成物のいずれかからなり、平均一次粒子径が1〜100nmである超微粒子からなる酸化物薄膜を表面に有する表面処理ガラスクロス。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子・電気分野で使用されるプリント回路基板に用いられるガラスクロスに関し、特にYAGレーザー加工性を改良したガラスクロスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板における穴の形成には、主として精密ドリルによる加工が行われてきた。しかし、今日のプリント配線板の高密度回路形成及び、高密度実装化に伴い、スルーホール、インナービアホール、ブラインドビアホール、マーカー穴等の微細穴加工が要求されるようになってきた。
これらプリント配線板に対する市場の要求を受けて、従来のドリル加工技術に替わるものとして、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等を用いたレーザー加工技術が発達してきた。
【0003】
とりわけ後者のYAGレーザーは小径穴加工対応の加工技術であるが、一般にプリント配線板に使用されるEガラスはYAGレーザーから出射される波長355nm光をほとんど吸収しないため、ガラスクロスを使用した積層板へのYAGレーザー加工の適応は困難とされていた。
一方、プリント配線板用に使用されるガラスクロスにおいては、紫外線両面同時露光時の裏焼きを防ぐために紫外線遮蔽性を付与する目的で、金属酸化物をガラスクロスの表面に付着させることが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭62−271487号公報(第2頁左下欄6行〜右下欄4行)
【特許文献2】
特開平4−104920号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平9−291474号公報(特許請求の範囲)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、YAGレーザー加工性に優れたプリント配線板のための表面処理ガラスクロス及びその製法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸化チタンもしくは酸化亜鉛のいずれかからなる酸化物、該酸化物の混合物、または該酸化物を含む組成物のいずれかからなり、平均一次粒子径が1〜100nmである超微粒子により、ガラスクロス表面に酸化物薄膜を形成することで、YAGレーザーから出射される波長355nm光に対する吸光度を著しく高め、且つ絶縁性を損なわず、安価で安全なガラスクロスが得られることを見出した。さらに該ガラスクロスを使用することにより、YAGレーザー加工性に優れたプリント配線板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のものである。
1.ガラス糸を製織してなるガラスクロスであって、該ガラス糸に対して0.1〜10.0質量%の酸化チタンもしくは酸化亜鉛のいずれかからなる酸化物、該酸化物の混合物、または該酸化物を含む組成物のいずれかからなり、平均一次粒子径が1〜100nmである超微粒子からなる酸化物薄膜を表面に有することを特徴とする表面処理ガラスクロス。
2.上述の超微粒子が、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、または酸化ケイ素を表層に有する組成物からなる超微粒子であることを特徴とする上記1に記載の表面処理ガラスクロス。
3.上述の酸化物薄膜が、該ガラス糸と化学的に固着していることを特徴とする上記1又は2のいずれか1つに記載の表面処理ガラスクロス。
4.扁平化加工されたことを特徴とする上記1、2、3のいずれか1つに記載の表面処理ガラスクロス。
5.表面処理ガラスクロスの製法であって、酸化チタンもしくは酸化亜鉛のいずれかからなる酸化物、該酸化物の混合物、または該酸化物を含む組成物のいずれかからなり、平均一次粒子径が1〜100nmである超微粒子をガラスクロスに塗布することによって、ガラス糸の0.1〜10.0質量%の酸化物薄膜を該ガラスクロスの表面に表面に形成し、加熱によって該ガラス糸に固着させることを特徴とする表面処理ガラスクロスの製法。
【0008】
【発明の実施の形態】
(A)超微粒子
本発明の表面処理ガラスクロスにおいては、絶縁性を確保しつつYAGレーザーから出射される波長355nm光を吸収させるために、酸化チタンもしくは酸化亜鉛のいずれかからなる酸化物、該酸化物の混合物、または該酸化物を含む組成物のいずれかからなる超微粒子により、ガラスクロスの表面に酸化物薄膜を形成する。
該超微粒子のガラスクロス表面への付着量は、ガラス糸の質量に対して0.1〜10.0質量%である必要があり、0.5〜5.0質量%であることがより好ましい。付着量が0.1質量%よりも小さい場合にはYAGレーザー加工性改良効果が小さく、10.0質量%よりも大きい場合には積層板形成時の絶縁性、耐熱性、誘電率特性に問題が生じ、かつプリプレグ製造時に、マトリックス樹脂の樹脂浴への粒子脱落の問題が生じる可能性がある。
【0009】
該酸化物薄膜は、平均一次粒子径1〜100nmの超微粒子からなる必要があり、5〜80nmの超微粒子からなることがより好ましい。平均一次粒子径が1nmより小さい場合には、取扱い性が極端に悪くなる。
平均一次粒子径が100nmより大きい微粒子の場合には、溶媒中での分散性が平均一次粒子径1〜100nmである超微粒子ほどよくないため、表面処理ガラスクロスの表面に酸化物薄膜で覆われていない部分(以下、「付着欠陥」という。)が塗布時に生じやすい。また、該微粒子は該超微粒子に比較してガラス糸を構成するフィラメント間への浸入性も劣るため、表面処理ガラスクロスをマトリックス樹脂の樹脂浴に通してプリプレグを作成する際に、付着した微粒子の脱落による付着欠陥が発生しやすい。
【0010】
このように表面処理ガラスクロスに付着欠陥が多く存在する場合は、積層板を形成した後のYAGレーザーによる穴加工時に、穴径のばらつきとなって現れる。穴径のばらつきが大きいと加工不良が発生しやすいので、ばらつきが少ないほうが好ましいことはいうまでもない。
前述の特許文献1には、平均粒径が0.001〜3μm程度の酸化チタン微粒子を0.01〜3.0重量%付着せしめたガラス繊維基材が記載されており、実施例として平均粒径0.2μm(200nm)の酸化チタン微粒子が十分な紫外線遮蔽性能を示すことも開示されている。しかしながら、本発明者が検討したところ、平均粒径200nmの酸化チタン微粒子を使用した場合は付着欠陥に由来するものと思われる穴径のばらつきが大きいことが判明した(後述の比較例2参照)。
【0011】
上述の超微粒子は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、または酸化ケイ素を表層に有する超微粒子であることがより好ましい。酸化チタン、酸化亜鉛は室内灯や太陽光を受けると光触媒活性を帯びるため、表面処理ガラスクロスに塗布されているシランカップリング剤を損傷させる可能性がある。また、該表面処理ガラスクロスにマトリックス樹脂を含浸させプリプレグを作成した場合に、ガラスクロスに接するマトリックス樹脂を損傷させる可能性がある。上述の光活性のない酸化物で該超微粒子の表面を覆うことによって光触媒活性の問題を解決することができる。
【0012】
(B)ガラスクロス
本発明では、バスケットホール部分(ガラスクロスにおいて、経糸も緯糸も存在しない部分)の占める面積の割合が少ないガラスクロスを好ましく使用することができる。バスケットホール部分の割合が大きなガラスクロスは、面内でのガラス充填密度のばらつきが大きくなり、面内でのYAGレーザー加工性のばらつきも大きくなるからである。バスケットホール部分の割合が小さなガラスクロスは、ガラスクロスに扁平化加工を行うことで得ることができる。扁平化加工法の例としては、高圧水による開繊加工があげられる。
【0013】
ガラスクロスの経糸及び緯糸の打ち込み密度は、10〜100本/25mmの範囲のものが好ましく、30〜80本/25mmがより好ましい。また、布重量(目付け)は15〜110g/m2 の範囲のものが好ましく、15〜90g/m2 のものがより好ましい。
織り構造については平織り構造を基本とするが、ななこ織り、朱子織り、綾織り、等の織り構造を有するガラスクロスでもよい。YAGレーザー加工性のばらつきを小さくするためには、経糸及び緯糸の交差部の隙間が小さい平織り構造がより好ましい。
積層板に使用される基材には、通常Eガラス(無アルカリガラス)と呼ばれるガラスが使用されるが、Dガラス、Sガラス、高誘電率ガラス等を使用してもよい。安価であるという点からEガラスが好適に使用される。
【0014】
(C)シランカップリング剤
本発明においては、下記の一般式(1)で示されるシラン化合物で示されるシランカップリング剤を使用してガラスクロスを処理することが好ましい。
【化1】
(式中Xは有機官能基、Yはアルコキシ基、Rは炭素数6以下の炭化水素基、nは1以上3未満の整数を意味する。)
【0015】
該シランカップリング剤が有するアルコキシ基Yとしては、何れのアルコキシ基でも使用できるが、ガラスクロスへの安定処理化の為には、炭素数5以下のアルコキシ基が好ましい。
該シランカップリング剤が有する有機官能基Xとしては、マトリックス樹脂との硬化反応を考慮して、選択することが好ましい。マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の場合は、有機官能基Xとしてアミノ基、エポキシ基、メルカプト基、を有するシランカップリング剤を選択するのが好ましい。また、マトリックス樹脂がエポキシアクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアネート等の、ラジカル重合により硬化する樹脂の場合は、有機官能基Xとして、ビニルベンジル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基を有するシランカップリング剤を選択することが好ましい。
【0016】
(D)表面処理ガラスクロスの製法
本発明では、(B)ガラスクロスに(A)超微粒子、及び(C)シランカップリング剤を処理する際には、超微粒子、シランカップリング剤を溶媒にそれぞれ分散、溶解させた処理液をガラスクロスに塗布し、乾燥して溶媒成分を除去する製法が好適に採用される。溶媒には水、有機溶媒の何れも使用できるが、安全性、地球環境保護の観点から、水を主溶媒とすることが好ましい。
表面処理ガラスクロスを製造する工程としては、製織したガラスクロスの脱糊処理前に超微粒子を塗布し、次に、加熱によるガラスクロスの脱糊と同時に、脱水縮合反応によりガラスと超微粒子を化学的に固着し、最後にシランカップリング剤を塗布する手順、製織したガラスクロスの加熱脱糊後に超微粒子を塗布し、加熱乾燥によりガラスフィラメント上へ超微粒子を固着し、最後にシランカップリング剤を塗布する手順のいずれかを採用することが好ましい。
【0017】
該表面処理ガラスクロスにおいて、ガラスと酸化物薄膜の固着状態は、化学結合と物理結合の混在であるが、平均粒子径が1〜100nmの超微粒子を使用することによって、ガラス糸を構成するフィラメント間への超微粒子の浸入が容易になり、該酸化物薄膜とガラスの接触面積が増加するため、化学結合の割合が大きく強固になるものと考えられる。従って、本製法によって酸化物薄膜を形成することにより、マトリックス樹脂含浸後の付着欠陥を少なくすることができる表面処理ガラスクロスを得ることができる。
【0018】
表面処理において使用される処理液中の超微粒子の濃度は、均一薄膜の形成、処理液の安定性確保、及び処理時間短縮の目的から、0.5質量%以上、60質量%以下で選定されるのが好ましい。また、処理液中のシランカップリング剤の濃度は、均一シランカップリング層の形成、処理液の安定性確保、及び、処理時間短縮の目的から、0.1質量%以上、4質量%以下に選定されるのが好ましい。
該処理液でガラスクロスを表面処理する方法としては、(i)処理液をバスに溜め、ガラスクロスを浸漬、通過させ、処理する方法、(ii)ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等でガラスクロスに直接塗布する方法、等が可能である。
【0019】
ガラスクロスに処理液を塗布した後、溶媒を乾燥させる方法としては、熱風、電磁波、等公知の方法が適用可能であり、特にこれらの方法が制限されるものではない。超微粒子による酸化物薄膜の形成においては、先ず塗布に使用した溶媒を乾燥する。溶媒乾燥後、酸化物薄膜をガラス糸に化学的に固着させるため、さらに加熱を行うことが好ましい。加熱を行う場合の加熱温度は、150〜500℃が好ましく、350〜450℃がより好ましい。ガラスクロスを製織するための糊剤の脱糊においては、400℃程度で実施されるので、酸化物薄膜の形成は脱糊と同時に行うことができる。また、シランカップリング剤処理については、シランカップリング剤と無機酸化物の反応を促進するために乾燥温度は90℃以上が好ましく、100℃以上であればより好ましい。また、シランカップリング剤の有機官能基の劣化を抑制するために、乾燥温度は300℃以下が好ましく、200℃以下であればより好ましい。
【0020】
【実施例】
次に実施例、及び比較例によって本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
加熱脱糊前のガラスクロス(旭シュエーベル社製、スタイル1037MS、経糸密度70本/25mm、緯糸密度73本/25mm、布重量24g/m2 )に、酸化アルミニウムで表面処理された平均一次粒子径40nmの酸化チタン超微粒子の10質量%水分散処理液を塗布し、170℃で1分間加熱乾燥し、次に390℃で24時間の加熱脱糊及び固着を行い、ガラスクロスの1.5質量%の酸化物薄膜を形成した。さらに、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩(東レダウコーニング株式会社製、SZ6032)と酢酸を、水にそれぞれ0.5質量%、0.05質量%溶解させた処理液で表面処理したガラスクロスを得た。表面処理後の処理液への酸化チタン超微粒子の脱落は観察されなかった。なお、この表面処理ガラスクロスの波長355nm光に対する吸光度は0.21であった。
【0021】
(実施例2)
加熱脱糊前のガラスクロス(旭シュエーベル社製、スタイル1037MS)に、酸化アルミニウムで表面処理された平均一次粒子径40nmの酸化亜鉛超微粒子の10質量%水分散処理液を塗布し、170℃で1分間加熱乾燥し、次に390℃で24時間の加熱脱糊及び固着を行い、ガラスクロスの1.5質量%の酸化物薄膜を形成した。さらに、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩(東レダウコーニング株式会社製、SZ6032)と酢酸を、水にそれぞれ0.5質量%、0.05質量%溶解させた処理液で表面処理したガラスクロスを得た。表面処理後の処理液への酸化亜鉛超微粒子の脱落は観察されなかった。なお、この表面処理ガラスクロスの波長355nm光に対する吸光度は0.25であった。
【0022】
(比較例1)
加熱脱糊前のガラスクロス(旭シュエーベル社製、スタイル1037MS)に、水を塗布し、170℃で1分間加熱乾燥し、次に390℃で24時間の加熱脱糊を行った。さらに、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩(東レダウコーニング株式会社製、SZ6032)と酢酸を、水にそれぞれ0.5質量%、0.05質量%溶解させた処理液で表面処理したガラスクロスを得た。
【0023】
(比較例2)
加熱脱糊前のガラスクロス(旭シュエーベル社製、スタイル1037MS)に、酸化アルミニウムで表面処理された平均一次粒子径200nmの酸化チタン微粒子の10質量%水分散処理液を塗布し、170℃で1分間加熱乾燥し、次に390℃で24時間の加熱脱糊及び固着を行い、ガラスクロスの1.7質量%の酸化物薄膜を形成した。さらに、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩(東レダウコーニング株式会社製、SZ6032)と酢酸を、水にそれぞれ0.5質量%、0.05質量%溶解させた処理液で表面処理したガラスクロスを得た。表面処理後の処理液には、酸化チタン微粒子の脱落が観察された。なお、この表面処理ガラスクロスの波長355nm光に対する吸光度は0.16であった。
【0024】
▲1▼ 積層板の作成方法:上述の実施例・比較例の表面処理ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させ、乾燥後プリプレグを得た。このプリプレグの上下に厚さ9μmの銅箔を重ね、175℃、40kg/cm2 で加熱加圧して積層板を得た。
▲2▼ 積層板のYAGレーザー加工性評価方法:esi社製UV−YAGレーザーMODEL5150機を使用し、トレパン加工法により、スルーホール加工を施し、加工穴の底面径を光学顕微鏡により測定し、YAGレーザー加工性を評価した。また、同加工法によりブラインドビアホール加工を施し、加工穴の底面を走査型電子顕微鏡により観察し、YAGレーザー加工性を評価した。
【0025】
▲3▼ 酸化物薄膜付着量の評価方法:実施例1、2の超微粒子、または比較例2の微粒子を塗布乾燥後、390℃で24時間加熱したガラスクロス1m2 と単に390℃で24時間加熱したガラスクロス1m2 の重量を電子天秤により測定し、両測定値の差から酸化物薄膜の付着量を評価した。
▲4▼ 表面処理ガラスクロスの波長355nm光に対する吸光度評価方法:表面処理ガラスクロスと未処理のガラスクロスを短冊状に切り、2枚のAガラス板に挟み、紫外可視吸光光度計(島津製作所社製)により吸光度を測定し、測定値の差から超微粒子処理ガラスクロスの吸光度を評価した。
【0026】
実施例1、2と比較例1、2のYAGレーザーによるスルーホール底面径の測定結果を表1に示す。また、実施例1、2と比較例1、2のYAGレーザーによるブラインドビアホール底面の観察結果をそれぞれ図1、2、3、4に示す。
実施例1、2と比較例1の結果を比較すると、酸化チタン、酸化亜鉛を塗布したガラスクロスを用いた積層板では、スルーホール底面平均径が著しく大きく、ブラインドビアホール底面のガラス溶け残り量は著しく少ないことが分かり、本発明の表面処理ガラスクロスが、YAGレーザー加工性に極めて優れることが明らかになった。
また、実施例1と比較例2の結果を比較すると、超微粒子の酸化チタンを処理したガラスクロスを用いた積層板では、スルーホール底面平均径が大きく、かつ底面径のばらつきは小さく、またブラインドビアホール底面のガラス溶け残り量は少ないことが分かり、本発明の超微粒子処理により付着欠陥の発生量を著しく抑えられることが明らかになった。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明による超微粒子酸化チタン、酸化亜鉛処理ガラスクロスを用いることにより、YAGレーザー加工性に優れ、かつ安全性、絶縁性を損なわないプリント配線板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である超微粒子で表面処理を行ったガラスクロスを用いて製造した積層板に、YAGレーザーで加工したブラインドビアホールの電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の別の一実施例である超微粒子で表面処理を行ったガラスクロスを用いて製造した積層板に、YAGレーザーで加工したブラインドビアホールの電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の比較例である酸化物による表面処理を行っていないガラスクロスを用いて製造した積層板に、YAGレーザーで加工したブラインドビアホールの電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の比較例である微粒子で表面処理を行ったガラスクロスを用いて製造した積層板に、YAGレーザーで加工したブラインドビアホールの電子顕微鏡写真である。
Claims (5)
- ガラス糸を製織してなるガラスクロスであって、該ガラス糸に対して0.1〜10.0質量%の酸化チタンもしくは酸化亜鉛のいずれかからなる酸化物、該酸化物の混合物、または該酸化物を含む組成物のいずれかからなり、平均一次粒子径が1〜100nmである超微粒子からなる酸化物薄膜を表面に有することを特徴とする表面処理ガラスクロス。
- 上述の超微粒子が、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、または酸化ケイ素を表層に有する組成物からなる超微粒子であることを特徴とする請求項1記載の表面処理ガラスクロス。
- 上述の酸化物薄膜が、該ガラス糸と化学的に固着していることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の表面処理ガラスクロス。
- 扁平化加工されたことを特徴とする請求項1、2、3のいずれか1項に記載の表面処理ガラスクロス。
- 表面処理ガラスクロスの製造方法であって、酸化チタンもしくは酸化亜鉛のいずれかからなる酸化物、該酸化物の混合物、または該酸化物を含む組成物のいずれかからなり、平均一次粒子径が1〜100nmである超微粒子をガラスクロスに塗布することによって、ガラス糸の0.1〜10.0質量%の酸化物薄膜を該ガラス糸の表面に形成し、加熱によって該ガラス糸に固着させることを特徴とする表面処理ガラスクロスの製法。
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