JP2020158255A - 線状体監視装置、線状体巻き取り装置、および線状体巻き出し巻き取り方法 - Google Patents
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Description
このような装置では、観測能力向上の観点から数百メートルの深度までセンサを下げる必要があり、また観測効率向上の観点から巻き出し・巻き取りを高速で行うことが必要である。このため全長が数百メートルにおよぶ吊下げケーブルをドラムに巻きつけ、これを油圧モータ等の駆動装置により高速で回転させ、センサを海中に投入し、観測終了後に回収を行う。
この整列巻き取り装置は、ドラムの回転軸からチェーン等により動力を取り出し、これによりリードネジを回転させ、リードナットを有するケーブルガイドをドラムと平行に動かす、いわゆる送りネジの機構を有する。前記リードネジのピッチは、ドラム回転と同期しながら、ドラム1回転でケーブル直径分だけ移動するように設定されており、また、ドラムの内幅の範囲で往復運動を行うようにリードの形状が設定されている。これにより、ケーブルはドラムに隙間なく並べられながら、多層で巻き付けられる。
このようなドラムの回転運動の制御は、ドラムに連結された回転検出器から回転信号が制御装置に送られ、この信号に基づき制御装置が駆動装置の運動を制御し、必要なリール回転速度および、ケーブル巻き取り量を制御する。
しかし、このような投入方法では、投入を高速で行うことができない。これはセンサが海中を沈降していく際、海中センサは自重により吊下げケーブルを引っ張り、巻上げ機の駆動装置を回転させるが、ケーブルによる流体抵抗、巻上げ機の駆動装置の回転抵抗が大きいため、センサの自重による沈降力の大部分を消費してしまうため、センサ単体が自由沈降する場合の速度に比べて、はるかに遅い速度でしか沈降しないためである。
最も問題となるのは、センサが海中の障害物に乗り上げた場合や、海流に流された場合などで、海中センサ自体の沈降速度が遅くなった場合、海中センサの沈降速度以上の速度で吊下げケーブルを巻き出し続ける状況が生起してしまうことである。
この状況が生起すると、吊下げケーブルがドラムから押し出される恰好となり、ドラムに巻かれたケーブルの緩み、浮き上がりが生じる。この状態でさらに巻き出しを継続した場合、最終的にケーブルがドラムの外側にはみ出し、ドラム軸に絡まり、巻上げ機が停止してしまい、観測を中断するだけでなく、海中センサの回収ができなくなる場合がある。
図19は特許文献1に開示された装置の概要を示すものである。
この装置は、モータ4により駆動され、ブレーキ5により制動される巻きドラム1により、ワイヤロープ6を巻き取り、巻き出すものである。前記巻きドラム1の一側部に、ドラムの表面へ近接する方向にばね付勢力を付与された一個のワイヤロープ押さえ2を配置し、巻きドラム1の他側部にドラムの表面に近接したワイヤロープ6の浮き上がりを検出する検出部材3を配置して、常時ばね付勢力で一個のワイヤロープ押さえ2のローラ2Aによってワイヤロープ6をドラムの表面側に押し付けて巻き付けられるようにし、ワイヤロープ6の緩みで浮き上がりを検出部材3が検出すると、巻き取りを停止させ、乱巻きを防止している。
また前記ワイヤロープ6は、プーリ8、9により案内されて、動滑車70に巻き掛けられ、巻き出しあるいは巻き取られることによって、動滑車70に吊り下げられたフック7を上下動させる。
作動信頼性が低い第1の理由は、ワイヤロープの緩みを検出し易くするために設けたワイヤロープ押さえ2が、ドラム幅と同じ長さのローラ2Aで構成されており、これを巻きドラム1上のワイヤロープ6の巻き列の全てに常時押し付けて使用するため、押しつけによって発生する抵抗が大きい。海洋環境観測装置用の巻上げ機のように、高速回転するドラムに適用する場合、この抵抗のため、ドラムの回転にロープ押さえが追従しきれず、ケーブルに傷をつける、ワイヤロープ押さえ自体が破損するなどの不具合が生じるためである。
第2の理由は、巻きドラム1上に巻かれたワイヤロープ6の巻き列全てに対し、浮き上がりを検出できるようにするため、浮き上がり検出に用いるバー3Aを、巻きドラム1の幅と同じ長さとしている。このため、ワイヤロープ6の浮き上がりによって発生する力と比較した場合、検出部材としてのバー3Aの重量が大きく、ワイヤロープ6の浮き上がりの初期段階では浮き上がったワイヤロープ6が検出部材を押し切れずに、浮き上がりの検出が遅れる。
特に、海洋環境観測装置用の巻上げ機のように、高速回転するドラムに適用する場合、この遅れにより、浮き上がりを検出した時点でケーブルの乱れが大きく広がってしまう現象が起こり得る。
その理由は、浮き上がり検出部材としてバー3Aを使用する場合、巻きドラム1への巻き付け方法は単層巻きつけである必要があり、海洋環境観測装置用の巻上げ機のように、巻き付けるケーブルの長さが長い場合、巻きドラム1の直径を大きくするか、幅を増やす必要があり、機材が大型化してしまうためである。
符号11は線状体、例えば電力ケーブル、通信ケーブル、光ファイバケーブルであって、ドラム12に巻き取られ、あるいはドラム12から巻き出さされる。ドラム12に巻き取られ、巻き出される1本の線状体11は、例えば回転自在なプーリ等により構成された案内部12’に接触して案内される。これらドラム12と案内部12’との間の線状体11は、検出部Sによってその走行位置が検出される。
すなわち、ドラム12が図1の矢印a方向へ回転することにより線状体11がドラム12に巻き取られるとともに、案内部12’より先の部分が引き上げられる。またドラム12が図1の矢印b方向へ回転することにより線状体11がドラム12から巻き出されるとともに、案内部12’より先の部分が下方へ下げられる。この動作に伴う線状体11の走行経路が検出部Sによって検出される。
例えばドラムを回転させることにより巻き出された(あるいは巻き取られる)線状体は、例えばプーリに巻き掛けることによって所定の経路を走行するよう案内される。所定の経路を走行する線状体は、その走行位置が検出される。この位置に基づき、巻き取りの乱れを検出することができる。
図3〜9は、第1実施形態の監視装置が適用される巻き出し巻き取り装置の基本構成を示し、図3〜5は、ドラム12への吊下げケーブル11の巻き量が多い状態、図6〜9は、吊下げケーブル11の巻き量が少ない場合を各々示している。
ドラム12は、例えば誘導電動機により構成された主電動機13により伝導機構13aを介して回転駆動され、軸Cを中心として回転し、その回転は回転検出器16により検出される。ドラム12から巻き出し、あるいはドラム12へ巻き取られる吊下げケーブル11は、案内部としてのプーリ12’に巻き掛けられて、下方に案内され、その先端には、音響探査装置、磁気探査装置等の水中センサ14が吊り下げられている。前記プーリ12’は、例えば吊下げケーブル11の断面形状に応じた溝が外周に形成されていて、1本の吊下げケーブル11を案内するよう構成されている。またプーリ12’の外側には、二つの補助プーリ12”が設けられていて、プーリ12’からの吊下げケーブル11の脱落を防止している。
この巻き出し、巻き取りに伴う、巻き出し、巻き取りの開始位置の軸Cの方向への移動に伴い、ガイドローラ18を軸Cに沿って移動させることにより、ドラム12からの巻き出し、ドラム12への巻き取りを整然と行うことができる。この巻き出し、巻き取りに伴い、ドラム12に巻き取られた吊下げケーブル11の外周(いわゆる巻き径)は、図4、5に示すように巻き径が大きい状態と、図7、8に示すように巻き径が小さい状態との間で増減する。
また前記ガイドローラ18は、ドラム12の回転速度と連動して回転する送りネジ機構を備えた軸方向移動装置17により駆動されて、軸C方向へ往復動する。前記ガイドローラ18を軸Cと平行な方向へ移動させる軸方向移動装置17に採用された送りねじ機構のリードネジのピッチは、ドラム12の回転と同期しながら、ドラムの1回転でケーブル11の直径分だけ移動するように設定されていて、ドラム12のケーブル18が巻き取られる領域内で往復運動を行うようにリードの形状が設定されている。
図10では、小プーリ31がアーム32の先端に、プーリ軸32aを介して取り付けられており、小プーリ31は、プーリ軸32aを軸として自由に回転することができる。アーム32は、アーム33に、ヒンジ33aを介して取り付けられており、アーム32と、アーム33は、ヒンジ33aを中心とした互いに連動して、互いがなす角度を増大あるいは減少させるように回転することができる。
本発明によるケーブル巻き乱れ検出装置は、案内部としてのプーリ12’と、ドラム12との間にある、軸方向ガイド装置15に実装し、ドラム12から巻きだされた直後の吊下げケーブル11に対し、下側から小プーリ31を接触させることができる位置に配置する。
ステッピングモータ34と、制御装置20とは、制御線37により接続されており、制御装置20の指令によって、ステッピングモータ34を作動させ、前記アーム33を回転運動させる。
アーム32には、プランジャ35aの反力により上方に持ち上げられる力が作用しているが、吊下げケーブル11は自身に働く張力により、浮き上がることはなく直線を保っている。
図13〜18により第1実施形態の作動例とともに作用を説明する。
図13、17に示す巻き出し開始時(A)において、吊下げケーブル11は、ドラム12に多層で巻かれており、ドラム12の反時計回りの回転により、巻き層の最外層から送り出されている。ステッピングモータ34のステッピングモータ軸34aの回転角度は、小プーリ31が、吊下げケーブル11に対し、下側から接触を保ちつつ、プランジャ35aをスイッチ押さえ32bが押し込み、リミットスイッチ35の接点が、短絡となっている状態となる角度を保持している。
送り出しをしている巻き層の正確な層数は、回転検出器16によるドラム12の回転量と、巻き出し開始時における巻き列数、巻き層数、各巻き層毎の巻き取り直径、吊下げケーブル11の直径、から計算することで導出する。制御装置20がこれを計算し、ステッピングモータ34を回転させることにより、小プーリ31が、吊下げケーブル11に対し、下側から接触を保ちつつ、プランジャ35a をスイッチ押さえ32bが押し込み、リミットスイッチ35の接点が、短絡となっている状態となる角度を保持するようにする。
すなわち第1実施形態の構成により、検出装置の信頼性向上を実現し、海洋環境観測装置用の巻上げ機の小型軽量化を実現できる。
具体的には、ケーブル浮き上がり検出装置を、巻き列全部を一括で検出する構造ではなく、ドラムから繰り出されるケーブル1本に対して検出を行う構造として、ケーブル浮き上がりの初期段階において迅速に検出できるようにしたからである。これによりケーブル浮き上がり検出の遅れが最小限となり、検出遅れによる巻き乱れの拡大を回避することができる。
また、ケーブル浮き上がり検出装置を、前述のように1本のケーブルを検出する方式に変更することで、関連する技術で使用されていた、ワイヤの緩みを検出するためのローラ状のワイヤロープ押さえが不要となるためである。
また、ケーブルに対する検出部の位置を、巻き層の数によって変化させることにより、巻き径が大きく変化する多層巻きのドラムに対しても適応可能とした。これにより長い吊下げケーブルを巻き付ける場合、すなわち巻き径が大きく変化する場合においても、監視が可能となり、小径のドラムに多量のケーブルを巻き取って使用することができる。
12 ドラム
12’プーリ(案内部)
12”補助プーリ
13 主電動機
14 水中センサ
15 軸方向ガイド装置
16 回転検出器
16a ベルト
17 軸方向移動装置
18 ガイドローラ
19 支持部
20 制御装置
31 小プーリ
32 アーム
32a プーリ軸
32b スイッチ押さえ
33 アーム
33a ヒンジ
34 ステッピングモータ
34a ステッピングモータ軸
35 リミットスイッチ
35a プランジャ
36 制御線
37 制御線
S 検出部
Claims (7)
- 巻き取り状態の線状体を巻き出すドラムと、
このドラムから巻き出された線状体に接して案内する案内部と、
この案内部と前記ドラムとの間の線状体の浮き上がりを検出する検出部と、
を有する線状体監視装置。 - 線状体を巻き取るドラムと、
このドラムに巻き取られる線状体に接して案内する案内部と、
この案内部と前記ドラムとの間の線状体の浮き上がりを検出する検出部と、
を有する線状体監視装置。 - 前記検出部は、線状体に接触する接触子と、
この接触子の移動から前記線状体の浮き上がりを判定する判定部と、
を有する請求項1または2のいずれか1項に記載の線状体監視装置。 - 前記接触子は、線状体を案内しながら回転するプーリである、請求項3に記載の線状体監視装置。
- 前記接触子は、前記ドラムに巻き取られた線状体の外径に応じて位置が変えられる請求項3または4のいずれか1項に記載の線状体監視装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の線状体監視装置と、前記線状体を巻き取るドラムとを有する線状体巻き取り装置。
- 線状体をドラムに巻き取りあるいはドラムから巻き出す工程と、
前記ドラムに巻き取られあるいは巻き出される線状体に接して案内する工程と、
案内される線状体の浮き上がりを検出する工程と、
を有する線状体巻き出し巻き取り方法。
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