JP2020157481A - テープカセット - Google Patents
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Abstract
【課題】テープの搬送を安定化できるテープカセットを提供する。【解決手段】テープカセット1は第一抵抗力付与機構60と第二抵抗力付与機構80を備える。第一抵抗力付与機構60は第一テープスプール11の内周面114に接触する。第二抵抗力付与機構80は、第一テープ小巻13の外周面に接触し且つ第一テープスプール11の回転中心Qに向けて付勢される。第一テープ小巻13から印刷テープが引き出されることで第一テープスプール11が回転するとき、第一抵抗力付与機構60は、巻戻し方向への第一抵抗力を第一テープスプール11を介して印刷テープに付与し、第二抵抗力付与機構80は、巻戻し方向への第二抵抗力を印刷テープに付与する。第一テープ小巻13から印刷テープが引き出されることで第一テープ小巻13の外径が小さくなるに従って、第一抵抗力の大きさは大きくなり、且つ第二抵抗力の大きさは小さくなる。【選択図】図3
Description
本発明は、テープカセットに関する。
従来、テープを備えたカセットが知られている。特許文献1に記載のカセットは、テープ小巻を備える。テープ小巻は、スプールにテープが巻回されることで構成される。スプールには、クラッチバネが設けられている。テープ小巻からテープが引き出されることによってスプールが回転すると、テープ小巻の外周面の接線方向への抵抗力(いわゆるバックテンション)がクラッチバネによってスプールを介してテープに付与される。
テープ小巻からテープが引き出されることによって、テープ小巻の外径は小さくなる。テープに付与される抵抗力の大きさFは、クラッチバネのトルクの大きさT、およびテープ小巻の半径Rを用いて、F=T/Rとなる。このため、上記カセットでは、テープ小巻の外径が小さくなるに従って、テープに付与される抵抗力の大きさが大きくなる。テープに付与される抵抗力の大きさがテープ小巻の外径に応じて変化する場合、テープの搬送が不安定になる可能性がある。
本発明の目的は、テープの搬送を安定化できるテープカセットを提供することである。
本発明の一態様に係るテープカセットは、テープを保持するホルダと、前記ホルダによって回転可能に支持されたスプールと、前記スプールの外周面に前記テープが巻回されたテープ小巻と、前記スプールの内周面または外周面に接触する抵抗力付与手段であって、前記テープ小巻から前記テープが引き出されることによって前記スプールが回転するとき、前記テープ小巻の外周面の所定の位置を通る接線方向のうち前記テープ小巻から前記テープが引き出される引出し方向とは反対の巻戻し方向への第一抵抗力を、前記スプールを介して前記テープに付与する第一抵抗力付与手段と、前記テープ小巻の外周面に接触し且つ前記スプールの回転中心に向けて付勢される抵抗力付与手段であって、前記テープ小巻から前記テープが引き出されることによって前記スプールが回転するとき、前記巻戻し方向への第二抵抗力を、前記テープに付与する第二抵抗力付与手段とを備え、前記テープ小巻から前記テープが引き出されることによって前記テープ小巻の外径が小さくなるに従って、前記第一抵抗力の大きさは大きくなり、且つ前記第二抵抗力の大きさは小さくなる。
上記態様によれば、テープ小巻の外径が変化すると、第一抵抗力と第二抵抗力が互いの大きさの変化量を相殺するように変化する。このため、テープカセットは、テープ小巻の外径が変化しても、第一抵抗力と第二抵抗力の和の大きさの変化量を従来よりも小さくできる。よって、テープカセットは、テープの搬送を安定化できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記第一抵抗力付与手段は、前記スプールの内周面または外周面に対して摺動可能に連結されるクラッチバネを備えてもよい。この場合、テープカセットは、トルクをスプールに付与できるとともに、スプールがテープを巻き戻すように回転することを抑制できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記第一抵抗力付与手段は、前記スプールの内周面または外周面に対して摺動する摺動部材と、前記摺動部材を前記スプールに付勢する第一弾性体とを備えてもよい。この場合、テープカセットは、摺動部材の材質、第一弾性体の弾性力等を変更することで、スプールに付与するトルクの大きさを容易に変更できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記第二抵抗力付与手段は、前記テープ小巻の外周面に接触する接触部材と、前記接触部材を前記スプールの前記回転中心に向けて付勢する第二弾性体とを備えてもよい。この場合、テープカセットは、簡易な構造で第二抵抗力をテープに付与できる。テープカセットは、接触部材の材質、第二弾性体の弾性力等を変更することで、第二抵抗力の大きさを容易に変更できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記接触部材は、前記接触部材の中心周りに回転可能であってもよい。この場合、テープカセットは、接触部材が接触部材の中心周りに回転不能な場合よりも、接触部材とテープ小巻との間の摩擦力を小さくできる。このため、第二抵抗力の大きさを調整するために考慮すべきパラメータは、主に第二弾性体の弾性力となる。よって、テープカセットは、第二抵抗力の大きさを容易に調整できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記接触部材は、前記接触部材の中心周りに回転不能であってもよい。この場合、テープカセットは、接触部材が接触部材の中心周りに回転可能な場合よりも、接触部材とテープ小巻との間の摩擦力を大きくできる。このため、第二抵抗力の大きさを調整するために考慮すべきパラメータは、主に接触部材とテープ小巻との間の摩擦力および第二弾性体の弾性力となる。よって、テープカセットは、第二抵抗力の大きさを調整する方法の自由度を増加させることができる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記接触部材は、前記テープ小巻から前記テープが引き出される位置に設けられ、前記テープ小巻から引き出される前記テープの搬送経路を規定してもよい。この場合、テープカセットは、テープに第二抵抗力を付与するための部材とテープの搬送経路を規定するための部材とを接触部材で共通化できる。よって、テープカセットはホルダの大型化を抑制できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記第二弾性体は、前記接触部材と前記スプールとを接続する引きバネであってもよい。この場合、テープカセットは、接触部材に対してスプールとは反対側に、第二弾性体が配置される領域を確保する必要がない。よって、テープカセットは、接触部材とスプールとが並ぶ方向におけるホルダの大型化を抑制できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記第二弾性体は、前記接触部材と前記ホルダとを接続する押しバネであってもよい。この場合、テープカセットは、テープ小巻に対してテープの幅方向外側に、第二弾性体が配置される領域を確保する必要がない。よって、テープカセットは、テープの幅方向におけるホルダの大型化を抑制できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記ホルダは、前記スプールの周方向に前記接触部材が移動することを規制し、且つ前記スプールの径方向に前記接触部材を案内する案内部を備えてもよい。この場合、テープカセットは、テープ小巻に接触部材が接触する位置がテープ小巻からテープが引き出される位置に対して変化することを抑制できる。よって、テープカセットは、テープに付与される第二抵抗力の大きさを安定化できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記テープは、インクリボンであってもよい。この場合、テープカセットは、インクリボンの搬送不具合に起因する印刷不良を抑制できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記テープは、印刷テープであってもよい。この場合、テープカセットは、印刷テープの搬送不具合に起因する印刷不良を抑制できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記第一抵抗力と前記第二抵抗力の和を合計抵抗力とした場合、前記第一抵抗力付与手段および前記第二抵抗力付与手段は、前記テープ小巻の外径が最大となるときの前記合計抵抗力の大きさと、前記テープ小巻の外径が最小となるときの前記合計抵抗力の大きさとを結ぶ直線の傾きの絶対値が、前記テープ小巻の外径が最大となるときの前記第一抵抗力の大きさと、前記テープ小巻の外径が最小となるときの前記第一抵抗力の大きさとを結ぶ直線の傾きの絶対値よりも小さく、且つ前記テープ小巻の外径が最大となるときの前記第二抵抗力の大きさと、前記テープ小巻の外径が最小となるときの前記第二抵抗力の大きさとを結ぶ直線の傾きの絶対値よりも小さくなるように構成されてもよい。この場合、テープカセットは、テープカセットの使い始めと使い終わりにおける合計抵抗力の大きさの変化量を従来よりも小さくできる。よって、テープカセットは、テープの搬送を安定化できる。
本発明の一態様に係るテープカセットにおいて、前記第一抵抗力付与手段および前記第二抵抗力付与手段は、前記テープ小巻の外径が最大値から最小値まで変位する場合において、前記合計抵抗力の最大値と最小値との差分が、前記第一抵抗力の最大値と前記第一抵抗力の最小値との差分よりも小さく、且つ前記第二抵抗力の最大値と前記第二抵抗力の最小値との差分よりも小さくなるように構成されてもよい。この場合、テープカセットは、テープカセットの使い始めから使い終わりまで、合計抵抗力の大きさの変化量を小さくできる。よって、テープカセットは、テープの使い始めから使い終わりまで、テープの搬送をさらに安定化できる。
以下、本発明の一実施形態に係るテープカセット1について図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下では、図1の左下側、右上側、右下側、左上側、下側、および上側を、それぞれ、テープカセット1の左側、右側、前側、後側、下側、および上側と定義する。
なお、本実施形態では、各種のテープ種類を実装可能な汎用カセットを、ラミネートタイプとして実装したテープカセット1を例示する。テープカセット1は、プリンタ(図示略)に装着されて使用される。プリンタは、テープカセット1が装着された状態で、インクリボン32を使用して印刷テープ12に印刷することで、ラベルテープ7を作成できる。
図1を参照し、テープカセット1の全体構造を説明する。テープカセット1は、カセットケース3を有する。カセットケース3は、直方体状の筐体であり、下壁4と上壁5と周壁6とを含む。周壁6は、下壁4の周縁と上壁5の周縁とを接続するように延びる。カセットケース3の前部には、アーム部50が設けられる。アーム部50は、カセットケース3の右前部から左方に延びる。アーム部50の左端は開口する。アーム部50によって、ヘッド挿入部51が形成される。ヘッド挿入部51は、カセットケース3を上下方向に貫通し、且つ前方に開口する。カセットケース3の左前部には、ラベル排出口52が設けられる。ラベル排出口52は、開口であり、作成されたラベルテープ7をテープカセット1の外へ排出する。
図2を参照し、テープカセット1の内部構造を説明する。カセットケース3内には、第一テープスプール11、第二テープスプール21、リボン供給スプール31、およびリボン巻取スプール35が収納される。第一テープスプール11は、カセットケース3内の右後部に設けられ、支持部55(図1参照)によって回転可能に支持される。第一テープスプール11には、印刷テープ12が巻回される。これにより、第一テープ小巻13が構成される。印刷テープ12は、透明なフィルムテープである。印刷テープ12の片面は、印刷面である。第一テープスプール11は、印刷テープ12が第一テープ小巻13から引き出されることによって、平面視で時計回り方向に回転する。
第二テープスプール21は、第一テープスプール11の左側に設けられ、支持部56(図1参照)によって回転可能に支持される。第二テープスプール21には、両面粘着テープ22が巻回される。これにより、第二テープ小巻23が構成される。両面粘着テープ22の一方の面には剥離紙が貼着される。両面粘着テープ22の他方の面は、印刷済みの印刷テープ12の印刷面に貼り合わされる。第二テープスプール21は、両面粘着テープ22が第二テープ小巻23から引き出されることによって、平面視で反時計回り方向に回転する。
リボン供給スプール31は、第一テープスプール11の前側に設けられ、支持部57(図1参照)によって回転可能に支持される。リボン供給スプール31には、インクリボン32が巻回される。これにより、リボン小巻33が構成される。リボン供給スプール31は、インクリボン32がリボン小巻33から引き出されることによって、平面視で反時計回り方向に回転する。
リボン巻取スプール35は、第二テープスプール21と第一テープスプール11とリボン供給スプール31とによって囲まれた位置に設けられ、支持部58(図1参照)によって回転可能に支持される。リボン巻取スプール35は、平面視で反時計回り方向に回転することで、リボン供給スプール31からインクリボン32を引き出すとともに、印刷に使用されたインクリボン32を巻き取る。
カセットケース3内の左前部には、テープ駆動ローラ46が設けられる。テープ駆動ローラ46は、支持部59(図1参照)によって回動可能に支持され、印刷テープ12および両面粘着テープ22の引き出しを行う。
カセットケース3には、複数の経路コロ41〜44が設けられる。経路コロ41は、第一テープ小巻13から印刷テープ12が引き出される位置(以下、「引出し位置P」という。)に設けられ、第一テープ小巻13の外周面に接触する。経路コロ42は、経路コロ41の前方に設けられ、第一テープ小巻13から引き出された印刷テープ12に左側から接触する。経路コロ43は、経路コロ42の前方に設けられ、第一テープ小巻13から引き出された印刷テープ12に右側から接触する。経路コロ44は、経路コロ43の前方に設けられ、第一テープ小巻13から引き出された印刷テープ12に左側から接触する。経路コロ41〜44は、それぞれ、上下方向に延びる円柱体または円筒体であり、平面視でそれぞれの径方向中心周りに回転可能である。経路コロ41〜44は、印刷テープ12の搬送経路Hを規定する。
上記構成によれば、プリンタ(図示略)にテープカセット1が装着されると、ヘッド挿入部51にプリンタのサーマルヘッド(図示略)が挿入され、テープ駆動ローラ46にプリンタのテープ駆動軸(図示略)が挿入され、リボン巻取スプール35にプリンタのリボン巻取軸(図示略)が挿入される。
プリンタにテープカセット1が装着された状態でプリンタによる印刷動作が実行されると、プリンタのテープ駆動軸によってテープ駆動ローラ46が回転駆動され、且つプリンタのリボン巻取軸によってリボン巻取スプール35が回転駆動される。テープ駆動ローラ46とプリンタの搬送ローラ(図示略)との協働によって、第一テープ小巻13から印刷テープ12が引き出されるとともに、第二テープ小巻23から両面粘着テープ22が引き出される。リボン巻取スプール35によって使用済みのインクリボン32が巻き取られることで、リボン小巻33から未使用のインクリボン32が引き出される。
印刷テープ12は、第一テープ小巻13から引き出されると、搬送経路Hに沿って搬送される。詳細には、印刷テープ12は、経路コロ41の位置(引出し位置P)において第一テープ小巻13から引き出される。第一テープ小巻13から引き出された印刷テープ12は、経路コロ42に向けて搬送され、経路コロ42〜44を介して、カセットケース3の左前部に向けてアーム部50内を通過するように搬送される。
リボン小巻33から引き出されたインクリボン32は、カセットケース3の左前部に向けてアーム部50内を通過するように搬送される。アーム部50内では、印刷テープ12とインクリボン32とがともに案内される。印刷テープ12およびインクリボン32は、互いに重なり合った状態で、アーム部50の左端からカセットケース3の外に出る。印刷テープ12には、印刷テープ12上に重なった状態のインクリボン32が使用されて、プリンタのサーマルヘッド(図示略)による印刷が行われる。印刷に使用されたインクリボン32は、リボン巻取スプール35に巻き取られる。印刷済みの印刷テープ12は、テープ駆動ローラ46に向けて搬送される。
第二テープ小巻23から引き出された両面粘着テープ22は、カセットケース3の左前部に向けて搬送され、テープ駆動ローラ46とプリンタの搬送ローラ(図示略)との間に案内されながら、印刷済みの印刷テープ12の印刷面に重ねられて貼着される。両面粘着テープ22が貼着された印刷済みの印刷テープ12は、ラベルテープ7としてラベル排出口52に向かって搬送され、ラベル排出口52からテープカセット1の外へ排出される。
図3および図4を参照し、第一テープスプール11の詳細構造を説明する。第一テープスプール11は、円筒体111と支持板112(図3参照)と軸113とを備える。円筒体111は、上下方向に延びる。支持板112は、円筒体111内において、円筒体111の上下方向略中央に設けられ、上下方向に直交するように延びる(図3参照)。円筒体111の内周面114のうち支持板112よりも下方の部位には、複数の溝117が設けられる(図4参照)。複数の溝117は、円筒体111の下端から上方に延びる。複数の溝117には、それぞれ、後述の複数の凸部621(図4参照)が嵌まる。軸113は、支持板112の径方向中心から上方に、円筒体111の上端よりも上側まで延び、且つ支持板112の径方向中心から下方に、円筒体111の下端よりも下側まで延びる。
図3に示すように、支持部55は、下支持凹部551と上支持凹部552とを含む。下支持凹部551は、下壁4の上面から下方に凹む。上支持凹部552は、上壁5の下面から上方に凹む。軸113の下端は、下支持凹部551に上方から嵌まる。軸113の上端は、上支持凹部552に下方から嵌まる。これにより、支持部55は、下支持凹部551と上支持凹部552との間で、第一テープスプール11を軸113周りに回転可能に支持する。第一テープスプール11の回転中心Qは、第一テープスプール11の径方向中心(つまり、軸113の径方向中心)を通って上下方向に延びる。
なお、平面視で円筒体111の内周面114と回転中心Qとの間の距離は、内周面114の周方向において一定である。換言すれば、円筒体111の内周面114は、平面視で円形状に形成される。平面視で円筒体111の外周面115と回転中心Qとの間の距離は、外周面115の周方向において一定である。換言すれば、円筒体111の外周面115は、平面視で円形状に形成される。以下では、円筒体111の内周面114を「第一テープスプール11の内周面114」ともいい、円筒体111の外周面115を、「第一テープスプール11の外周面115」ともいう。
図3〜図6を参照し、印刷テープ12に抵抗力(いわゆるバックテンション)を付与するための構造を説明する。以下では、平面視で第一テープ小巻13の外周面の所定の位置における接線方向のうち第一テープ小巻13からテープが引き出される方向を、「引出し方向」といい、引出し方向とは反対方向を、「巻戻し方向」という。すなわち、引出し位置Pにおける巻戻し方向は、引出し位置Pにおける第一テープ小巻13の外周面の接線方向と一致する。テープカセット1は、第一抵抗力付与機構60と第二抵抗力付与機構80とを備え、第一抵抗力付与機構60および第二抵抗力付与機構80によって、印刷テープ12に抵抗力を付与する。
第一抵抗力付与機構60の詳細構造を説明する。図4に示すように、第一抵抗力付与機構60は、クラッチバネ65と連結部材61とを備える。クラッチバネ65は、連結部材61を介して第一テープスプール11に連結される。以下詳細に説明する。連結部材61は筒状であり、大径部62と小径部63とを含む。大径部62には、複数の凸部621が設けられる。なお、図4では、1つの凸部621のみ図示されている。複数の凸部621は、大径部62の外周面から大径部62の径方向外側に向かって突出し、且つ上下方向に延びる。小径部63は大径部62から下方に延びる。小径部63の外径は、大径部62の外径よりも小さい。
クラッチバネ65は、コイルバネであり、クラッチバネ65の径方向外側に弾性変形した状態(つまり、クラッチバネ65の径方向内側に加圧可能な状態)で、クラッチバネ65の上端66からクラッチバネ65の下端67に向かって平面視で時計回り方向に小径部63の外周面に巻回される。これにより、第一抵抗力付与機構60が構成される。このようにクラッチバネ65が小径部63に装着された状態で、連結部材61の内側に、軸113が挿入される。このとき、複数の凸部621が複数の溝117に嵌まる。これにより、連結部材61は、第一テープスプール11の内周面114に接触し、且つ軸113に保持される。
図3に示すように、下壁4には係合部69が設けられる。係合部69は、第一テープスプール11の内周面114よりも径方向内側に設けられ、下壁4から上方に、クラッチバネ65の下端67まで延びる。クラッチバネ65に平面視で時計回り方向または反時計回り方向への回転力が付与されると、クラッチバネ65の下端67が係合部69と係合する。
上記構成によれば、図5、図6に示すように、第一テープ小巻13から印刷テープ12が引き出された場合、第一テープスプール11が平面視で時計回り方向に回転する。この場合、クラッチバネ65には平面視で時計回り方向への回転力が連結部材61を介して付与される。クラッチバネ65の下端67が係合部69と係合することで、クラッチバネ65が拡径する。この場合、連結部材61とクラッチバネ65との間の摩擦力が小さくなる。このため、連結部材61は、クラッチバネ65に対して摺動しながら平面視で時計回り方向に回転する。第一テープスプール11は、連結部材61とともに平面視で時計回り方向に回転する。このように、クラッチバネ65は、連結部材61との間の摩擦力によって、第一テープスプール11に対して一定の大きさのトルクtを付与できる。よって、第一抵抗力付与機構60は、第一テープ小巻13から印刷テープ12が引き出される場合、第一テープ小巻13の外周面において、トルクtに応じた大きさの巻戻し方向への第一抵抗力f1を、第一テープスプール11を介して印刷テープ12に付与できる。
なお、第一テープスプール11が印刷テープ12を巻き戻す方向へ回転された場合、クラッチバネ65には平面視で反時計回り方向への回転力が連結部材61を介して付与される。クラッチバネ65の下端67が係合部69と係合することで、クラッチバネ65が縮径する。この場合、連結部材61の回転が規制される。第一テープスプール11の回転は、連結部材61の回転とともに規制される。よって、クラッチバネ65は、第一テープスプール11が印刷テープ12を巻き戻す方向へ回転すること規制できる。このように、クラッチバネ65は、第一テープスプール11の一方への回転を許容し、且つ第一テープスプール11の他方への回転を規制する。
第二抵抗力付与機構80の詳細構造を説明する。図3に示すように、第二抵抗力付与機構80は、経路コロ41と一対の引きバネ81、82とを備える。経路コロ41は、上述したように印刷テープ12の搬送経路Hを規定するともに、以下説明するように引出し位置Pにおいて巻き戻し方向への第二抵抗力f2を印刷テープ12に付与する部材としても機能する。
経路コロ41は、一対の下側案内壁84および一対の上側案内壁85によって支持される。一対の下側案内壁84は、それぞれ、下壁4から上方に円筒体111の下端よりも下側の位置まで延び、且つ未使用の第一テープ小巻13の外周面よりも径方向外側から第一テープスプール11の内周面114よりも径方向内側まで延びる。なお、図3では、一対の下側案内壁84のうち一方のみ図示されている。一対の下側案内壁84は、平面視で経路コロ41と第一テープスプール11の回転中心Qとを結ぶ方向に直交する方向に間隔を空けて互いに対向する(図2参照)。
一対の上側案内壁85は、それぞれ、上壁5から下方に円筒体111の上端よりも上側の位置まで延び、且つ未使用の第一テープ小巻13の外周面よりも径方向外側から第一テープスプール11の内周面114よりも径方向内側まで延びる。なお、図3では、一対の上側案内壁85のうち一方のみ図示されている。一対の上側案内壁85は、平面視で経路コロ41と第一テープスプール11の回転中心Qとを結ぶ方向に直交する方向に間隔を空けて互いに対向する。
一対の下側案内壁84の間に経路コロ41の下端が嵌まり、一対の上側案内壁85の間に経路コロ41の上端が嵌まる。一対の下側案内壁84の間隔は、経路コロ41の下端の外径と略等しい。一対の上側案内壁85の間隔は、経路コロ41の上端の外径と略等しい。したがって、一対の下側案内壁84および一対の上側案内壁85は、経路コロ41の径方向中心周りに回転可能に経路コロ41を支持し、経路コロ41が第一テープスプール11の周方向に移動することを規制し、且つ第一テープ小巻13の外径の変化に伴って第一テープスプール11の径方向に経路コロ41を案内する。
一対の引きバネ81、82は、それぞれ、伸びるように弾性変形した状態(つまり、伸縮方向内側に加圧可能な状態)で、経路コロ41と第一テープスプール11とを接続する。詳細には、引きバネ81の一端811は、経路コロ41の下端の径方向中心に接続される。引きバネ81の他端812は、軸113の下端の径方向中心に接続される。引きバネ82の一端821は、経路コロ41の上端の径方向中心に接続される。引きバネ82の他端822は、軸113の上端の径方向中心に接続される。これにより、一対の引きバネ81、82は、経路コロ41を第一テープスプール11の回転中心Qに向けて付勢する。よって、経路コロ41は、第一テープ小巻13の外周面を第一テープスプール11の回転中心Qに向けて押圧する。一対の引きバネ81、82の自然長は互いに等しく、且つ一対の引きバネ81、82のバネ定数も互いに等しい。よって、第二抵抗力付与機構80は、一対の引きバネ81、82の付勢力によって上下方向において均一の力で経路コロ41を第一テープスプール11の回転中心Qに向けて付勢できる。
上記構成によれば、図5、図6に示すように、第一テープ小巻13から印刷テープ12が引き出された場合、第一テープスプール11が平面視で時計回り方向に回転する。経路コロ41は、第一テープスプール11の回転に伴って平面視で反時計回り方向に回転し、且つ一対の引きバネ81、82の付勢力によって引出し位置Pにおいて印刷テープ12に対して垂直抗力fNを付与する。これにより、第二抵抗力付与機構80は、引出し位置Pにおいて巻戻し方向への第二抵抗力f2を印刷テープ12に付与する。
図5〜図7を参照し、第一抵抗力f1と第一テープ小巻13の外径の半径R1との関係、および第二抵抗力f2と第一テープ小巻13の外径の半径R1との関係を説明する。第一抵抗力f1の大きさF1は、クラッチバネ65によって第一テープスプール11に付与されるトルクtの大きさT、および第一テープ小巻13の外径の半径R1が用いられて、以下の式(1)によって示される。なお、第一テープ小巻13の外径の半径R1は、印刷テープ12の使用量に応じて変化する変数である。
F1=T/R1 ・・・(1)
このように、第一抵抗力f1の大きさF1は、第一テープ小巻13の外径の半径R1に反比例する。
F1=T/R1 ・・・(1)
このように、第一抵抗力f1の大きさF1は、第一テープ小巻13の外径の半径R1に反比例する。
第二抵抗力f2の大きさF2は、経路コロ41と第一テープ小巻13との間の動摩擦係数μ、引きバネ81、82のそれぞれのバネ定数の和(以下、単に「引きバネ81、82のバネ定数k」という。)、引きバネ81、82の自然長L、第一テープ小巻13の外径の半径R1、および経路コロ41の外径の半径R2が用いられて、以下の式(2)によって示される。
F2=μk(R1+R2−L) ・・・(2)
このように、第二抵抗力f2の大きさF2は、第一テープ小巻13の外径の半径R1に比例する。
F2=μk(R1+R2−L) ・・・(2)
このように、第二抵抗力f2の大きさF2は、第一テープ小巻13の外径の半径R1に比例する。
したがって、第一抵抗力f1と第二抵抗力f2の和(以下、「合計抵抗力f3」という。)の大きさF3は、以下の式(3)によって示される。
F3=F1+F2
=T/R1+μk(R1+R2−L) ・・・(3)
F3=F1+F2
=T/R1+μk(R1+R2−L) ・・・(3)
図5に示すように、未使用のテープカセット1における第一テープ小巻13の外径の半径R1を、「最大半径R1max」とする。つまり、最大半径R1maxは、第一テープ小巻13の外径の半径R1の最大値である。図6に示すように、印刷テープ12が全て使用されたテープカセット1における第一テープ小巻13の外径の半径R1を、「最小半径R1min」とする。つまり、最小半径R1minは、第一テープ小巻13の外径の半径R1の最小値である。
以下、図5に示すように、第一テープ小巻13の外径の半径R1が最大半径R1maxとなるときの第一抵抗力f1を、「最大径第一抵抗力f1R1max」という。第一テープ小巻13の外径の半径R1が最大半径R1maxとなるときの第二抵抗力f2を、「最大径第二抵抗力f2R1max」という。第一テープ小巻13の外径の半径R1が最大半径R1maxとなるときの合計抵抗力f3を、「最大径合計抵抗力f3R1max」という。図6に示すように、第一テープ小巻13の外径の半径R1が最小半径R1minとなるときの第一抵抗力f1を、「最小径第一抵抗力f1R1min」という。第一テープ小巻13の外径の半径R1が最小半径R1minとなるときの第二抵抗力f2を、「最小径第二抵抗力f2R1min」という。第一テープ小巻13の外径の半径R1が最小半径R1minとなるときの合計抵抗力f3を、「最小径合計抵抗力f3R1min」という。
図7に示すように、直線D1は、最大径第一抵抗力f1R1maxの大きさF1R1maxと最小径第一抵抗力f1R1minの大きさF1R1minとを結ぶ。直線D2は、最大径第二抵抗力f2R1maxの大きさF2R1maxと最小径第二抵抗力f2R1minの大きさF2R1minとを結ぶ。直線D3は、最大径合計抵抗力f3R1maxの大きさF3R1maxと最小径合計抵抗力f3R1minの大きさF3R1minとを結ぶ。
本実施形態において、直線D3の傾きの絶対値が、直線D1の傾きの絶対値よりも小さく、且つ直線D2の傾きの絶対値よりも小さくなるように、第一抵抗力付与機構60および第二抵抗力付与機構80は構成されている。すなわち、最大半径R1maxおよび最小半径R1minに応じて、直線D3の傾きの絶対値が、直線D1の傾きの絶対値よりも小さく、且つ直線D2の傾きの絶対値よりも小さくなるように、バネ定数kを有する引きバネ81、82、動摩擦係数μとなる経路コロ41、および大きさTのトルクtを第一テープスプール11に付与するクラッチバネ65が、それぞれ、設計時に選定される。本実施形態では、直線D3の傾きの絶対値は、「0」である。
式(1)によれば、第一テープ小巻13の外径の半径R1が最大半径R1maxから最小半径R1minまで変位する場合、第一抵抗力f1と第一テープ小巻13の外径の半径R1との関係は、グラフG1によって示される。したがって、第一テープ小巻13の外径の半径R1が最大半径R1maxから最小半径R1minまで変位する場合、最大径第一抵抗力f1R1maxの大きさF1R1maxは、第一抵抗力f1の最小値F1minとなり、最小径第一抵抗力f1R1minの大きさF1R1minは、第一抵抗力f1の最大値F1maxとなる。
式(2)によれば、第一テープ小巻13の外径の半径R1が最大半径R1maxから最小半径R1minまで変位する場合、第二抵抗力f2と第一テープ小巻13の外径の半径R1との関係は、グラフG2によって示される。したがって、第一テープ小巻13の外径の半径R1が最大半径R1maxから最小半径R1minまで変位する場合、最大径第二抵抗力f2R1maxの大きさF2R1maxは、第二抵抗力f2の最大値F2maxとなり、最小径第二抵抗力f2R1minの大きさF2R1minは、第二抵抗力f2の最小値F2minとなる。
式(3)によれば、第一テープ小巻13の外径の半径R1が最大半径R1maxから最小半径R1minまで変位する場合、合計抵抗力f3と第一テープ小巻13の外径の半径R1との関係は、グラフG3によって示される。本実施形態では、直線D3の傾きの絶対値が「0」なので、第一テープ小巻13の外径の半径R1が最大半径R1maxから最小半径R1minまで変位する場合、最大径合計抵抗力f3R1maxの大きさF3R1maxおよび最小径合計抵抗力f3R1minの大きさF3R1minは、合計抵抗力f3の最大値F3maxとなる。
本実施形態では、第一テープ小巻13の外径の半径R1が最大半径R1maxから最小半径R1minまで変位する場合において、合計抵抗力f3の最大値F3maxと合計抵抗力f3の最小値F3minとの差分ΔF3maxminが、第一抵抗力f1の最大値F1maxと第一抵抗力f1の最小値F1minとの差分ΔF1maxminよりも小さく、且つ第二抵抗力f2の最大値F2maxと第二抵抗力f2の最小値F2minとの差分ΔF2maxminよりも小さくなるように、第一抵抗力付与機構60および第二抵抗力付与機構80は構成されている。なお、合計抵抗力f3の最大値F3maxと合計抵抗力f3の最小値F3minとの差分ΔF3maxminは、「0」に近いほど好ましい。
以上説明したように、第一テープ小巻13の外径の半径R1が変化すると、第一抵抗力f1と第二抵抗力f2が互いの大きさF1、F2変化量を相殺するように変化する。このため、テープカセット1は、第一テープ小巻13の外径の半径R1が変化しても、合計抵抗力f3の大きさF3の変化量を従来よりも小さくできる。よって、テープカセット1は、印刷テープ12の搬送を安定化できる。このため、テープカセット1は、印刷テープ12の搬送不具合に起因する印刷不良を抑制できる。
クラッチバネ65は、第一テープスプール11の一方への回転を許容し、且つ第一テープスプール11の他方への回転を規制する。このため、テープカセット1は、トルクtを第一テープスプール11に付与できるとともに、第一テープスプール11が印刷テープ12を巻き戻すように回転することを抑制できる。
経路コロ41は、第一テープ小巻13の外周面に接触する。引きバネ81、82は、経路コロ41を第一テープスプール11の回転中心Qに向けて付勢する。このため、テープカセット1は、簡易な構造で第二抵抗力f2を印刷テープ12に付与できる。よって、テープカセット1は、例えば印刷テープ12の搬送を安定化させるために第一テープ小巻13の外径変化に伴ってトルクtの大きさTを変化させるような構成が設けられる場合よりも、部品コストの増加を抑制でき、且つカセットケース3の大型化を抑制できる。テープカセット1は、経路コロ41の材質、引きバネ81、82の弾性力(バネ定数k)等を変更することで、第二抵抗力f2の大きさF2を容易に変更できる。
経路コロ41は、経路コロ41の径方向中心周りに回転可能である。したがって、テープカセット1は、経路コロ41が経路コロ41の径方向中心周りに回転不能な場合よりも、経路コロ41と第一テープ小巻13との間の摩擦力を小さくできる。このため、第二抵抗力f2の大きさF2を調整するために考慮すべきパラメータは、主に引きバネ81、82の弾性力(バネ定数k)となる。よって、テープカセット1は、第二抵抗力f2の大きさF2を容易に調整できる。
経路コロ41は、引出し位置Pに設けられ、第一テープ小巻13から引き出される印刷テープ12の搬送経路Hを規定する。このため、テープカセット1は、第一テープ小巻13の外径変化による引出し位置Pのバラツキを抑制できる。これにより、テープカセット1は、第一テープ小巻13から印刷テープ12が引き出される角度を、第一テープ小巻13の外径変化によらず安定化できる。よって、テープカセット1は、印刷テープ12の搬送をさらに安定化できる。さらに、テープカセット1は、印刷テープ12に第二抵抗力f2を付与するための部材と印刷テープ12の搬送経路Hを規定するための部材とを経路コロ41で共通化できる。よって、テープカセット1はカセットケース3の大型化を抑制でき、且つ部品コストおよび部品数の増加を抑制できる。
引きバネ81、82は、経路コロ41と第一テープスプール11とを接続する。このため、テープカセット1は、平面視で経路コロ41に対して第一テープスプール11とは反対側に、経路コロ41を第一テープスプール11に付勢するための弾性体が配置される領域を確保する必要がない。よって、テープカセット1は、経路コロ41と第一テープスプール11とが並ぶ方向におけるカセットケース3の大型化を抑制できる。
一対の下側案内壁84および一対の上側案内壁85は、第一テープスプール11の周方向に経路コロ41が移動することを規制し、且つ印刷テープ12の使用によって第一テープ小巻13の外径の半径R1が小さくなる場合に、第一テープスプール11の径方向に経路コロ41を案内する。このため、テープカセット1は、第一テープ小巻13に経路コロ41が接触する位置が引出し位置Pに対して変化することを抑制できる。よって、テープカセット1は、印刷テープ12に付与される第二抵抗力f2の大きさF2を安定化できる。
直線D3の傾きの絶対値が、直線D1の傾きの絶対値よりも小さく、且つ直線D2の傾きの絶対値よりも小さくなるように、第一抵抗力付与機構60および第二抵抗力付与機構80は構成されている。このため、テープカセット1は、テープカセット1の使い始めと使い終わりにおける合計抵抗力f3の大きさF3の変化量を従来よりも小さくできる。よって、テープカセット1は、印刷テープ12の搬送を安定化できる。
第一テープ小巻13の外径の半径R1が最大半径R1maxから最小半径R1minまで変位する場合において、合計抵抗力f3の最大値F3maxと合計抵抗力f3の最小値F3minとの差分ΔF3maxminが、第一抵抗力f1の最大値F1maxと第一抵抗力f1の最小値F1minとの差分ΔF1maxminよりも小さく、且つ第二抵抗力f2の最大値F2maxと第二抵抗力f2の最小値F2minとの差分ΔF2maxminよりも小さくなるように、第一抵抗力付与機構60および第二抵抗力付与機構80は構成されている。このため、テープカセット1は、テープカセット1の使い始めから使い終わりまで、合計抵抗力f3の大きさF3の変化量(合計抵抗力f3の最大値F3maxと合計抵抗力f3の最小値F3minとの差分ΔF3maxmin)を小さくできる。よって、テープカセット1は、印刷テープ12の使い始めから使い終わりまで、印刷テープ12の搬送を安定化できる。
なお、上記実施形態において、印刷テープ12が、本発明の「テープ」に相当する。カセットケース3が、本発明の「ホルダ」に相当する。第一テープスプール11が、本発明の「スプール」に相当する。第一テープ小巻13が、本発明の「テープ小巻」に相当する。第一抵抗力付与機構60が、本発明の「第一抵抗力付与手段」に相当する。第二抵抗力付与機構80が、本発明の「第二抵抗力付与手段」に相当する。経路コロ41が、本発明の「接触部材」に相当する。一対の下側案内壁84および一対の上側案内壁85が、本発明の「案内部」に相当する。
本発明は、上記実施形態から種々の変更が可能である。例えば上記実施形態では、カセットケース3は、下壁4と上壁5と周壁6とを含む。これに対し、周壁6の一部または全部はなくてもよい。下壁4および上壁5のいずれか一方のみでもよい。例えば、テープカセット1は、上壁5および周壁6を備えることなく、下壁4で印刷テープ12等を保持してもよい。
本発明は、上記実施形態のテープカセット1のみならず、外径変化がテープカセット1よりも比較的大きいテープ小巻を備えたテープカセットにも適用できる。テープ小巻の外径変化が大きいテープカセットの場合には、テープ小巻の外径変化に応じて第一抵抗力f1の大きさF1の変化が大きくなる。すなわち、テープ小巻の外径変化が比較的大きいテープカセットでは、本発明が適用されていない場合、テープの搬送がより不安定になる可能性がある。したがって、本発明は、適用されるテープカセットにおけるテープ小巻の外径変化が大きいほど、テープの搬送の安定化の観点において、より大きな効果を奏することができる。.
上記実施形態では、クラッチバネ65は、第一テープスプール11の内側に配置され、連結部材61を介して第一テープスプール11の内周面114に対して摺動可能に連結される。これに対し、クラッチバネ65は、連結部材61を介さずに第一テープルスプール11に対して摺動可能に直接連結されてもよい。例えば、クラッチバネ65は、第一テープスプール11の外周面115に巻回されてもよい。この場合、例えば第一テープスプール11の円筒体111が印刷テープ12よりも幅方向外側に突出し、クラッチバネ65は、第一テープスプール11のうち印刷テープ12よりも幅方向外側に突出した部分に設けられればよい。クラッチバネ65は、軸113に巻回されてもよい。これらの場合でも、クラッチバネ65は、第一テープスプール11にトルクtを付与できる。
第一抵抗力付与機構60は、第一テープスプール11に対してトルクtを付与できる機構であればよい。例えば、第一抵抗力付与機構60は、クラッチバネ65に代えて、第一テープスプール11の内周面114または外周面115に対して摺動可能に設けられた摺動部材(例えばフェルト)と、摺動部材を第一テープスプール11に付勢する弾性体(例えば、板バネ、皿バネ、Oリング)とを備えてもよい。この場合、テープカセット1は、摺動部材の材質、弾性体の弾性力等を変更することで、第一テープスプール11に付与するトルクtの大きさTを容易に変更できる。なお、第一抵抗力付与機構60は、弾性体を直接第一テープスプール11に対して摺動させてもよい。
図8に示すように、第二抵抗力付与機構80は、一対の引きバネ81、82に代えて、一対の押しバネ88、89を備えてもよい。この場合、カセットケース3には、平面視で経路コロ41に対して第一テープスプール11とは反対側に固定壁2が設けられる。一対の押しバネ88、89は、縮むように弾性変形した状態で経路コロ41と固定壁2とを接続する。詳細には、経路コロ41の下端には、軸受86が設けられる。経路コロ41の上端には、軸受87が設けられる。軸受86、87は、経路コロ41を回転可能に支持する。押しバネ88の一端は、軸受86に接続される。押しバネ88の他端は、固定壁2に接続される。押しバネ89の一端は、軸受87に接続される。押しバネ89の他端は、固定壁2に接続される。これにより、押しバネ89は、経路コロ41を第一テープスプール11に付勢する。この場合、テープカセット1は、第一テープ小巻13に対して印刷テープ12の幅方向外側に、経路コロ41を第一テープスプール11に付勢するための弾性体が配置される領域を確保する必要がない。よって、テープカセット1は、印刷テープ12の幅方向におけるカセットケース3の大型化を抑制できる。
なお、経路コロ41が回転不能な場合、テープカセット1は、軸受86、87を省略してもよい。つまり、押しバネ88、89は、それぞれ、経路コロ41に直接接続されてもよい。押しバネ88、89および引きバネ81、82の個数は、それぞれ、2個に限定されず、1個でもよいし、3個以上でもよい。引きバネ81、82および押しバネ88、89の種類は、巻きバネに限定されず、トーションバネ、板バネ等でもよいし、バネに代えて、ゴム、スポンジ等の弾性体であってもよい。
本発明は、印刷テープ12のみならず、両面粘着テープ22、インクリボン32等にも適用できる。具体的には、両面粘着テープ22に本発明が適用される場合、第二テープスプール21に、第一抵抗力付与機構60および第二抵抗力付与機構80が設けられればよい。この場合、テープカセット1は、上記実施形態と同様に、両面粘着テープ22の搬送を安定化できる。よって、テープカセット1は、両面粘着テープ22の搬送不具合に起因する印刷テープ12への両面粘着テープ22の貼り合わせ不良を抑制できる。インクリボン32に本発明が適用される場合、リボン供給スプール31に、第一抵抗力付与機構60および第二抵抗力付与機構80が設けられればよい。この場合、テープカセット1は、上記実施形態と同様に、インクリボン32の搬送を安定化できる。よって、テープカセット1は、インクリボン32の搬送不具合に起因する印刷不良を抑制できる。
経路コロ41は、第一テープ小巻13の外周面のうち引出し位置Pとは異なる位置に設けられてもよい。つまり、経路コロ41は、印刷テープ12の搬送経路Hを規定しなくてもよい。
カセットケース3は、一対の下側案内壁84および一対の上側案内壁85の両方を備えなくてもよい。つまり、経路コロ41は、第一テープ小巻13の外周面上を第一テープスプール11の回転中心Qを中心として回転可能であってもよい。この場合、第一テープ小巻13から印刷テープ12が引き出されると、経路コロ41は、第一テープ小巻13の外周面のうち、経路コロ41に付与される回転力と摩擦力とが互いに釣り合う位置、または引出し位置Pで保持される。.
カセットケース3は、一対の下側案内壁84のうちいずれか一方のみを備え、且つ一対の上側案内壁85のうち一対の下側案内壁84に対応する一方のみを備えてもよい。この場合、第一テープ小巻13から印刷テープ12が引き出されると、経路コロ41は、下側案内壁84および上側案内壁85に接触することによって、第一テープスプール11の周方向の位置が下側案内壁84および上側案内壁85の位置に規定される。
カセットケース3には、一対の下側案内壁84および一対の上側案内壁85の一方または両方(例えば、両方)に代えて溝が設けられてもよい。上下一対の溝は、未使用の第一テープ小巻13よりも径方向外側から第一テープスプール11の内周面114よりも径方向内側まで延びる。上下一対の溝には、それぞれ、経路コロ41の上端および下端が嵌まる。これにより、上下一対の溝は、経路コロ41の径方向中心周りに回転可能に経路コロ41を支持し、経路コロ41が第一テープスプール11の周方向に移動することを規制し、且つ第一テープスプール11の径方向に経路コロ41を案内する。
経路コロ41は、経路コロ41の径方向中心周りに回転不能であってもよい。この場合、テープカセット1は、経路コロ41が経路コロ41の径方向中心周りに回転可能な場合よりも、経路コロ41と第一テープ小巻13との間の摩擦力を大きくできる。このため、第二抵抗力f2の大きさF2を調整するために考慮すべきパラメータは、主に経路コロ41と第一テープ小巻13との間の摩擦力(動摩擦係数μ)および引きバネ81、82の弾性力(バネ定数k)となる。よって、テープカセット1は、第二抵抗力f2の大きさF2を調整する方法の自由度を増加させることができる。
上記実施形態では、式(2)において、経路コロ41の外径の半径R2が考慮された。これに対し、例えば引きバネ81、82の一端811、821が経路コロ41の外周面のうち第一テープ小巻13の外周面と接触する位置(つまり、引出し位置P)に接続すれば、式(2)において、経路コロ41の外径の半径R2は考慮されなくてもよい。
1 テープカセット
3 カセットケース
11 第一テープスプール
12 印刷テープ
13 第一テープ小巻
60 第一抵抗力付与機構
65 クラッチバネ
80 第二抵抗力付与機構
84 下側案内壁
85 上側案内壁
3 カセットケース
11 第一テープスプール
12 印刷テープ
13 第一テープ小巻
60 第一抵抗力付与機構
65 クラッチバネ
80 第二抵抗力付与機構
84 下側案内壁
85 上側案内壁
Claims (14)
- テープを保持するホルダと、
前記ホルダによって回転可能に支持されたスプールと、
前記スプールの外周面に前記テープが巻回されたテープ小巻と、
前記スプールの内周面または外周面に接触する抵抗力付与手段であって、前記テープ小巻から前記テープが引き出されることによって前記スプールが回転するとき、前記テープ小巻の外周面の所定の位置を通る接線方向のうち前記テープ小巻から前記テープが引き出される引出し方向とは反対の巻戻し方向への第一抵抗力を、前記スプールを介して前記テープに付与する第一抵抗力付与手段と、
前記テープ小巻の外周面に接触し且つ前記スプールの回転中心に向けて付勢される抵抗力付与手段であって、前記テープ小巻から前記テープが引き出されることによって前記スプールが回転するとき、前記巻戻し方向への第二抵抗力を、前記テープに付与する第二抵抗力付与手段と
を備え、
前記テープ小巻から前記テープが引き出されることによって前記テープ小巻の外径が小さくなるに従って、前記第一抵抗力の大きさは大きくなり、且つ前記第二抵抗力の大きさは小さくなる
ことを特徴とするテープカセット。 - 前記第一抵抗力付与手段は、前記スプールの内周面または外周面に対して摺動可能に連結されるクラッチバネを備えたことを特徴とする請求項1に記載のテープカセット。
- 前記第一抵抗力付与手段は、
前記スプールの内周面または外周面に対して摺動する摺動部材と、
前記摺動部材を前記スプールに付勢する第一弾性体とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のテープカセット。 - 前記第二抵抗力付与手段は、
前記テープ小巻の外周面に接触する接触部材と、
前記接触部材を前記スプールの前記回転中心に向けて付勢する第二弾性体とを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のテープカセット。 - 前記接触部材は、前記接触部材の中心周りに回転可能であることを特徴とする請求項4に記載のテープカセット。
- 前記接触部材は、前記接触部材の中心周りに回転不能であることを特徴とする請求項4に記載のテープカセット。
- 前記接触部材は、前記テープ小巻から前記テープが引き出される位置に設けられ、前記テープ小巻から引き出される前記テープの搬送経路を規定することを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載のテープカセット。
- 前記第二弾性体は、前記接触部材と前記スプールとを接続する引きバネであることを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載のテープカセット。
- 前記第二弾性体は、前記接触部材と前記ホルダとを接続する押しバネであることを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載のテープカセット。
- 前記ホルダは、前記スプールの周方向に前記接触部材が移動することを規制し、且つ前記スプールの径方向に前記接触部材を案内する案内部を備えたことを特徴とする請求項4から9のいずれかに記載のテープカセット。
- 前記テープは、インクリボンであることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のテープカセット。
- 前記テープは、印刷テープであることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のテープカセット。
- 前記第一抵抗力と前記第二抵抗力の和を合計抵抗力とした場合、
前記第一抵抗力付与手段および前記第二抵抗力付与手段は、前記テープ小巻の外径が最大となるときの前記合計抵抗力の大きさと、前記テープ小巻の外径が最小となるときの前記合計抵抗力の大きさとを結ぶ直線の傾きの絶対値が、前記テープ小巻の外径が最大となるときの前記第一抵抗力の大きさと、前記テープ小巻の外径が最小となるときの前記第一抵抗力の大きさとを結ぶ直線の傾きの絶対値よりも小さく、且つ前記テープ小巻の外径が最大となるときの前記第二抵抗力の大きさと、前記テープ小巻の外径が最小となるときの前記第二抵抗力の大きさとを結ぶ直線の傾きの絶対値よりも小さくなるように構成されることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のテープカセット。 - 前記第一抵抗力付与手段および前記第二抵抗力付与手段は、前記テープ小巻の外径が最大値から最小値まで変位する場合において、前記合計抵抗力の最大値と最小値との差分が、前記第一抵抗力の最大値と前記第一抵抗力の最小値との差分よりも小さく、且つ前記第二抵抗力の最大値と前記第二抵抗力の最小値との差分よりも小さくなるように構成されることを特徴とする請求項13に記載のテープカセット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019055889A JP2020157481A (ja) | 2019-03-25 | 2019-03-25 | テープカセット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019055889A JP2020157481A (ja) | 2019-03-25 | 2019-03-25 | テープカセット |
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Citations (4)
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---|---|---|---|---|
JPH0723558U (ja) * | 1993-10-12 | 1995-05-02 | 神鋼電機株式会社 | 張力制御装置 |
JPH08216471A (ja) * | 1995-02-16 | 1996-08-27 | Mitsubishi Electric Corp | 熱転写プリント装置 |
JP2010076302A (ja) * | 2008-09-26 | 2010-04-08 | Nec Personal Products Co Ltd | ブレーキ機構及びプリンタ装置 |
JP2011056755A (ja) * | 2009-09-09 | 2011-03-24 | Brother Industries Ltd | テープカセット |
-
2019
- 2019-03-25 JP JP2019055889A patent/JP2020157481A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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