以下、図1〜図13を参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る運搬車両およびこれを用いた車両運搬システムは、例えば、ユーザを乗せた被運搬車両(例えば小型電動車両)を、電車やバスに乗車する感覚で、ユーザごと運搬車両(例えば電動運搬車両)に乗車させて運行する車両運搬サービスに用いられる。
そして、被運搬車両は、運搬車両の進行方向に対して交差する方向、好ましくは直交する方向から運搬車両の有する車両収容部に進入し、交差する方向を向いた状態で車両収容部にて懸架される。このように懸架された状態で収容された複数台の被運搬車両が、運搬車両の進行方向に並んで配置され、この状態で運搬される。降車場所に到着すると、懸架状態が解除され、被運搬車両は交差する方向に直進することで個別に降車可能となる。
さらに、被運搬車両がバッテリを搭載した小型電動車両で、運搬車両がバッテリを搭載した電動運搬車両の場合、電動運搬車両および小型電動車両に対しては、運搬中に、互いに充電を受けたり、給電したりすることができる。このような動作を良好に実現するため、本実施形態は以下のような車両運搬システムを構成する。
車両運搬サービスを提供する事業体としては、例えば、スマートグリッドを構築する事業体等がある。スマートグリッドとは、IT技術を活用して電力需要を把握し、効率よく電力供給を行う送電網である。以下では、車両運搬サービスに用いる運搬車両およびこれを用いる車両運搬システムを、スマートグリッドを構築する事業体に用いた例を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電動運搬車両1を用いた車両運搬システム100の概略構成図であり、図2は、本実施形態に係る車両運搬システム100の要部構成を示すブロック図である。図3Aは、図1に示す車両運搬システム100に用いられる電動運搬車両1に複数の小型電動車両2および充電専用車両3が収容された状態の概略構成を示す斜視図であり、図3Bは、図3Aに示す電動運搬車両1、複数の小型電動車両2および充電専用車両3の側面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る車両運搬システム100は、電動運搬車両1(運搬車両)と、小型電動車両2(被運搬車両)と、サーバ装置40(制御装置)とを備える。本実施形態ではさらに、充電専用車両3を備える。なお、図1には、便宜上、1台の小型電動車両2が示されているが、図3Aおよび図3Bに示すように、小型電動車両2は実際には複数台設けられる。
本実施形態に係る車両運搬システム100では、スマートグリッドを構築する事業体が保有し、車両運搬サービスに用いる電動運搬車両1(運搬車両)、小型電動車両2(被運搬車両)および充電専用車両3に、車載端末110,120,130が搭載されている。図2に示すように、車載端末110,120,130は、これらを制御するサーバ装置40と通信可能である。
電動運搬車両1および充電専用車両3は、車両運搬サービスに用いるための専用車種である。小型電動車両2は、セダン、ミニバン、ワンボックスカーおよびワゴン等、車格の異なる種々の四輪車両でもよいが、車両運搬システム100では、充電専用車両3と同形状に形成された専用車種である。小型電動車両2は、ユーザが所有する車両でもよいが、車両運搬システム100では、事業体が所有し、ユーザが利用する車両である。
電動運搬車両1、小型電動車両2および充電専用車両3を制御する制御装置4は、車両運搬システム100では、図1および図2に示すように、電動運搬車両1、小型電動車両2および充電専用車両3の車載端末110,120,130を制御するサーバ装置40である。
電動運搬車両1、小型電動車両2および充電専用車両3は、ドライバによる手動運転で走行する手動運転車両でもよいが、車両運搬システム100では、自動運転で走行する自動運転車両である。自動運転車両には、手動運転モードおよび自動運転モードを有する車両も含まれる。例えば、小型電動車両2を、自動運転車両若しくは自動運転モードとすることで、小型電動車両2の車内は全くのプライベート空間となり、移動中もユーザは自由に過ごすことが可能になる。
小型電動車両2を利用するユーザは、車両運搬サービスを提供する事業体に必要な情報を予め登録した者である。小型電動車両2に搭載される車載端末120に代えて、ユーザの所有するユーザ端末(図示せず)を用いることもできる。この場合、ユーザ端末はサーバ装置40と通信可能である。
先ず、本実施形態に係る車両運搬システム100の備える電動運搬車両1、小型電動車両2および充電専用車両3の概略構成について、図3Aおよび図3Bに加え、図4〜図9を参照しながら説明する。なお、以下では、図示のように前後方向L1,L2,L3、上下方向H1,H2,H3および幅方向W1,W2,W3を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。
図4は、図1に示す車両運搬システム100に用いられる電動運搬車両1の概略構成を示す側面図である。図3A〜図4に示すように、電動運搬車両1は、車両本体10と、複数の小型電動車両2および充電専用車両3を収容可能な車両収容部11と、複数の小型電動車両2および充電専用車両3を懸架可能な複数の懸架装置14と、懸架された小型電動車両2および充電専用車両3の各バッテリ102,103(後述の図7Aおよび図8A参照)に接続する複数のバッテリ接続部13と、サーバ装置40と通信可能な車載端末110とを備える。
車両本体10は、前後方向L1に長い略直方体状に形成されており、その前方にドライバが乗車する運転席が設けられ、運転席の後方に上述の車両収容部11が設けられている。車両本体10は、電動機(図示せず)を駆動源として走行する電気自動車であり、電動機に電力を供給するバッテリ101を備えている。
なお、車両本体10は、原動機および電動機を有するハイブリッド自動車であってもよい。また車両本体10は、手動運転モードおよび自動運転モードを有する車両であってもよく、ドライバを有する自動運転車両であることが好ましい。自動運転モードを有する車両あるいは自動運転車両とすることで、ドライバは、車両の運転以外に注力を払うことが可能になり、例えば安全性およびサービスを向上させることができる。
車両本体10の走行機能については、一般的な電気自動車およびハイブリッド自動車と同様の構成を用いることができることから、ここではその説明を省略する。
車両収容部11は、上述したように車両本体10の運転席の後方に設けられている。車両収容部11は、車両本体10の前後方向L1と直交する幅方向W1に貫通し、幅方向W1から小型電動車両2が進入可能な収容空間を有するように形成されている。言い換えると、車両収容部11は、下方に開口を有する略凹形状に形成されている。
車両収容部11の前後方向L1の長さ(全長)は、幅方向W1を進行方向(前後方向L2)とした小型電動車両2が、車両本体10の前後方向L1に複数並んで配置可能な大きさを有している。本実施形態では、車両収容部11の全長は、幅方向W1を進行方向(前後方向L2)とした小型電動車両2が、車両本体10の前後方向L1に8台並んで収容可能な大きさを有している。すなわち、本実施形態に係る車両収容部11には、8台の小型電動車両2が収容可能となっている。
車両収容部11の幅方向W1の長さ(全幅)、すなわち車両本体10の幅方向W1の長さ(全幅)は、小型電動車両2の全長(前後方向L2の長さ)以上の大きさを有しており、小型電動車両2の全長と同じかあるいは小型電動車両2の全長よりも僅かに長い大きさを有している。本実施形態では、車両収容部11の全幅は、小型電動車両2の全長と略同じ大きさを有している。車両収容部11の全幅を小型電動車両2の全長と同じか、僅かに長くすることで、例えば、車両収容部11に収容した小型電動車両2が車両収容部11から食み出さなくなり、安全に小型電動車両2を運搬することができる。
車両収容部11の上下方向H1の長さ(全高)は、小型電動車両2の全高以上の大きさを有しており、小型電動車両2を懸架可能な大きさを有している。本実施形態では、車両収容部11の全高は、小型電動車両2を懸架装置14で懸架した状態で、運搬中に小型電動車両2の車輪等が地面に接触しない高さを有している。
図5Aは、図4に示す電動運搬車両1の車両収容部11に設けられる懸架装置14の一例の概略構成を示す側面図であり、図5Bは、図5Aに示す懸架装置14の底面図である。図5Aおよび図5Bに示すように、複数の懸架装置14は、車両収容部11の天井部15に設けられており、本実施形態では、車両収容部11の天井部15に形成された複数の凹状部16に設けられている(図4等参照)。各凹状部16は、懸架装置14を収容可能な凹状に形成されており、複数の凹状部16は、車両収容部11の天井部15にて前後方向L1に所定のピッチで形成されている(図4等参照)。すなわち複数の懸架装置14も、車両収容部11の天井部15にて前後方向L1に所定のピッチで設けられている(図4参照)。
具体的には、複数の凹状部16(複数の懸架装置14)は、図3Bおよび図4に示すように、車両収容部11の前後方向L1に並んで収容される複数の小型電動車両2のルーフ部20と対向する位置にそれぞれ設けられており、本実施形態では、車両収容部11の天井部15には8個の凹状部16(懸架装置14)が形成されている(設けられている)。
懸架装置14は、小型電動車両2が地上から離れるまで懸架して小型電動車両2を支持可能に形成されている。懸架装置14は、車両収容部11の両側部から小型電動車両2が食み出さないように懸架する。これにより、例えば、運搬中に小型電動車両2が障害物等に接触したり、運搬中に小型電動車両2の車輪等が地面に接触したりすることを防止可能になり、安全に小型電動車両を運搬することができる。
本実施形態では、懸架装置14は、図5Aおよび図5Bに示すように、小型電動車両2を把持する把持部141と、把持部141を昇降させる昇降部142とを有する。把持部141は、小型電動車両2の前後方向L2および幅方向W2から食み出さないように、小型電動車両2を把持可能に形成されている。
把持部141は、略矩形板状のベース部143と、ベース部143の幅方向W1の両側に設けられる一対のアーム部144とを有する。一対のアーム部144は、前後方向L1に延びる回転軸145を中心にベース部143に回動自在に取り付けられており、それぞれの先端には、係止爪146が設けられている。係止爪146は、小型電動車両2の後述する突出部21(後述の図7A等参照)を係止可能に形成されている。
昇降部142は、一端が車両収容部11の天井部15に設けられた凹状部16に接続され、他端がベース部143の上面に接続されている。昇降部142は、車両収容部11の上下方向H1に収縮自在に形成されており、把持部141を凹状部16に収容した位置から、把持部141で小型電動車両2の突出部21を把持可能な位置まで収縮自在に形成されている。
図5Aおよび図5Bに示す懸架装置14では、小型電動車両2を把持して懸架したが、懸架装置は、他の方法で小型電動車両を懸架してもよい。図6Aは、図4に示す電動運搬車両1の車両収容部11に設けられる懸架装置14の他の例の概略構成を示す側面図であり、図6Bは、図6Aに示す懸架装置14Aの底面図である。
例えば、図6Aおよび図6Bに示す懸架装置14Aは、小型電動車両2を磁力で懸架可能に形成されている。懸架装置14Aは、磁力で小型電動車両2を引き寄せて吸着する磁力部147と、磁力部147を昇降させる昇降部148とを有している。磁力部147には、電磁石が設けられており、電流を流すことで小型電動車両2を吸着可能に構成されている。
昇降部148は、一端が車両収容部11の天井部15に設けられた凹状部16に接続され、他端が磁力部147の上面に接続されている。昇降部148は、車両収容部11の上下方向H1に収縮自在に形成されており、磁力部147を凹状部16に収容した位置から、磁力部147で小型電動車両2を吸着可能な位置まで収縮自在に形成されている。
複数のバッテリ接続部13は、複数の懸架装置14のそれぞれに設けられている。具体的には、バッテリ接続部13は、図5Aおよび図5Bに示すように、把持部141を構成するベース部143の下面から突出して設けられており、把持部141にて小型電動車両2を把持した状態で、小型電動車両2のルーフ部20に形成される突出部21に設けられた後述の被接続部22(後述の図7A等参照)に接続可能に形成されている。
本実施形態では、バッテリ接続部13は、小型電動車両2の突出部21を把持することで被接続部22に接続するようになっている。そして、バッテリ接続部13を小型電動車両2の被接続部22に接続することで、電動運搬車両1のバッテリ101および小型電動車両2のバッテリ102を充放電可能になる。なお、バッテリ接続部13と小型電動車両2の被接続部22とは、非接触で電気的に接続する構成であってもよい。
例えばバッテリ接続部13は、後述のバッテリ充電処理部113d(後述の図10参照)が出力する充電処理または給電処理を行う信号を受信することで、電動運搬車両1のバッテリ101および小型電動車両2のバッテリを充放電させることができる。また例えば複数のバッテリ接続部13は、後述するバッテリ切替処理部113c(後述の図10参照)が出力する切替処理を行う信号を受信することで、走行に使用するバッテリの切り替えを行うことができるようになっている。
なお、バッテリ接続部13については、例えば、一般的な電気自動車の充電スタンドに設けられる充電プラグ等と同様の構成を用いることができるので、ここではその説明を省略する。また車載端末110については後述する。
図7Aは、図1に示す車両運搬システム100に用いられる小型電動車両2の概略構成を示す斜視図であり、図7Bは、図7Aに示す小型電動車両2の平面図である。図7Aおよび図7Bに示すように、小型電動車両2は、前後方向L2に長い略直方体状に形成されており、その前方にドライバが乗車する運転席が設けられている。小型電動車両2は、前後方向L2の長さ(全長)が車両収容部11の幅方向W1の長さ以下となっており、上下方向H2の長さ(全高)が車両収容部11の全高以下となっている。小型電動車両2の幅方向W2の長さ(全幅)は、小型電動車両2の全長および全高のいずれよりも短く、全体として全幅の短い一人乗り車両となっている。
小型電動車両2は、電動機(図示せず)を駆動源として走行する電気自動車であり、電動機に電力を供給するバッテリ102と、車載端末120とを備えている。なお、小型電動車両2は、原動機および電動機を有するハイブリッド自動車であってもよい。また小型電動車両2は、手動運転モードおよび自動運転モードを有する車両であってもよく、自動運転車両であることが好ましい。自動運転モードを有する車両あるいは自動運転車両とすることで、車内は全くのプライベート空間となり、移動中も自由に過ごすことが可能になる。
小型電動車両2の走行機能については、一般的な電気自動車およびハイブリッド自動車と同様の構成を用いることができることから、ここではその説明を省略する。
小型電動車両2は、図7Aに示すように、ルーフ部20に、電動運搬車両1の車両収容部11に設けられた懸架装置14の把持部141によって把持可能に形成された突出部21が設けられている。図7Bに示すように、突出部21は矩形板状に形成されており、ルーフ部20から上方に突出形成されている。突出部21の幅方向W2に沿う側面には、把持部141の一対のアーム部144の先端に形成された係止爪146を係止可能に凹状に形成された被係止部(図示せず)が設けられており、把持した状態を保持可能に構成されている。
突出部21の略中央には、バッテリ接続部13を接続可能な被接続部22が形成されている。被接続部22は、小型電動車両2のバッテリ102に接続されており、被接続部22を介して、該バッテリ102を充放電可能に構成されている。
なお、バッテリ接続部13を接続可能な被接続部22については、例えば、一般的な電気自動車に設けられ、充電スタンドに設けられる充電プラグ等が接続される被接続部と同様の構成を用いることができるので、ここではその説明を省略する。また車載端末120については後述する。
図8Aは、図1に示す車両運搬システム100に用いられる充電専用車両3の概略構成を示す斜視図であり、図8Bは、図8Aに示す充電専用車両3の平面図である。図8Aおよび図8Bに示すように、充電専用車両3は、小型電動車両2と同形状に形成されている。
充電専用車両3は、小型電動車両2と同様に、電動機(図示せず)を駆動源として走行する電気自動車であり、電動機に電力を供給するバッテリ103と、車載端末130とを備えている。なお、充電専用車両3は、原動機および電動機を有するハイブリッド自動車であってもよい。また充電専用車両3は、手動運転モードおよび自動運転モードを有する車両であってもよく、ドライバを有する自動運転車両であることが好ましい。自動運転モードを有する車両あるいは自動運転車両とすることで、ドライバは、車両の運転以外に注力を払うことが可能になり、例えば安全性およびサービスを向上させることができる。
充電専用車両3の走行機能については、小型電動車両2と同様に、一般的な電気自動車およびハイブリッド自動車と同様の構成を用いることができることから、ここではその説明を省略する。
充電専用車両3は、図8Aに示すように、ルーフ部30に、電動運搬車両1の車両収容部11に設けられた懸架装置14の把持部141によって把持可能に形成された突出部31が設けられている。図8Bに示すように、突出部31は矩形板状に形成されており、ルーフ部30から上方に突出形成されている。突出部31の幅方向W3に沿う側面には、把持部141の一対のアーム部144の先端に形成された係止爪146を係止可能に凹状に形成された被係止部(図示せず)が設けられており、把持した状態を保持可能に構成されている。
突出部31の略中央には、バッテリ接続部13を接続可能な被接続部32が形成されている。被接続部32は、充電専用車両3のバッテリ103に接続されており、被接続部32を介して、該バッテリ103を充放電可能に構成されている。
なお、バッテリ接続部13を接続可能な被接続部32については、例えば、一般的な電気自動車に設けられ、充電スタンドに設けられる充電プラグ等が接続される被接続部と同様の構成を用いることができるので、ここではその説明を省略する。また車載端末130については後述する。
図9は、図5Aに示す電動運搬車両1の懸架装置14により懸架された小型電動車両2を充電する状態を示す概略構成図である。図9に示すように、上述のように構成された電動運搬車両1、小型電動車両お2よび充電専用車両3は、車両収容部11に設けられた複数の懸架装置14のそれぞれに小型電動車両お2よび充電専用車両3が懸架された状態で、バッテリ接続部13および被接続部22,32を介して、バッテリ101,102,103が充放電可能となるように構成されている。
この状態で、バッテリ充電処理部113d(後述の図10参照)が出力する充電処理または給電処理を行う信号をバッテリ接続部13受信することで、バッテリ接続部13によって電動運搬車両1のバッテリ101および小型電動車両2のバッテリが充放電される。またバッテリ切替処理部113c(後述の図10参照)が出力する切替処理を行う信号をバッテリ接続部13が受信することで、バッテリ接続部13によって走行に使用するバッテリが切り替えられる。
次に、本実施形態に係る車両運搬システム100を構成する電動運搬車両1、小型電動車両2、充電専用車両3およびサーバ装置40による車両運搬機能について、図2に加え、図10〜図13を参照しながら説明する。上述したように、車両運搬システム100は、電動運搬車両1(運搬車両)と、小型電動車両2(被運搬車両)と、充電専用車両3と、サーバ装置40(制御装置)とを備える。
図2に示すように、電動運搬車両1の有する車載端末110、小型電動車両2の有する車載端末120および充電専用車両3の有する車載端末130と、サーバ装置40とは、無線通信網、インターネット網、電話回線網などの通信ネットワーク5に接続される。図2には、便宜上、1つの車載端末120が示されているが、複数の小型電動車両2が設けられるのと同様に、車載端末120は実際には複数設けられる。また、図2および図13では、単一のサーバ装置40が示されるが、図2および図13に示すサーバ装置40の機能を、複数のサーバ装置に分散させてもよい。通信経路の少なくとも一部は、無線でなく有線であってもよい。
図10は、図2に示す車両運搬システム100の電動運搬車両1の車載端末110の要部構成を示すブロック図である。車載端末110は、例えば車載ナビゲーション装置を含んで構成される。車載端末110は、図10に示すように、通信部111と、入出力部112と、演算部113と、記憶部114と、センサ群115とを有する。車載端末110には、アクチュエータ116が接続される。
通信部111は、通信ネットワーク5を介して、サーバ装置40、各小型電動車両2の車載端末120および充電専用車両3の車載端末130と無線通信可能に構成される。通信部111は、電動運搬車両1を識別する運搬車両IDとともに、センサ群115からの信号の一部を、所定時間毎にサーバ装置40に送信する。また通信部111は、運搬車両IDとともに、演算部113にて作成された運行計画をサーバ装置40に送信する。
入出力部112は、電動運搬車両1のドライバが操作可能な各種スイッチやボタン、マイク、スピーカ、モニタ等を有する。例えば、通信部111を介して小型電動車両2の被運搬車両IDおよび運行計画が送信されると、ドライバは入出力部112を介して被運搬車両IDを入力する。被運搬車両IDを入力すると、小型電動車両2の運行計画が表示され、小型電動車両2の乗降場所を知ることができる。
同様に、通信部111を介して充電専用車両3の充電車両IDおよび運行計画が送信されると、ドライバは入出力部112を介して充電車両IDを入力する。充電車両IDを入力すると、充電専用車両3の運行計画が表示され、充電専用車両3の乗降場所を知ることができる。なお、電動運搬車両1が無人の自動運転車両の場合は、これら入力は自動で行われる。
演算部113はCPUを有し、入出力部112を介して入力された信号、通信部111を介して外部から受信した信号、および記憶部114に記憶されたデータに基づいて所定の処理を実行し、電動運搬車両1の各部のアクチュエータ116、入出力部112や記憶部114に制御信号を出力する。演算部113は、さらに通信部111に制御信号を出力し、車載端末110とサーバ装置40との間の信号の送受信を制御する。演算部113の機能的構成については後述する。
記憶部114は、図示しない揮発性または不揮発性メモリを有する。記憶部114には、演算部113が実行する各種のプログラムや、各種のデータが記憶される。例えばセンサ群115による検出データ等が一時的に記憶される。記憶された検出データは、演算部113での処理により、通信部111を介して所定時間毎にサーバ装置40に送信される。また記憶部114は、メモリが担う機能的構成の一例として、運行計画の作成に用いられる地図データベース114a等を有している。
センサ群115は、電動運搬車両1の状態を検出する各種センサを含む。センサ群115は、一例として、GPS衛星からの信号を受信して電動運搬車両1の位置を検出するGPSセンサ115aと、バッテリ容量を検出するバッテリセンサ115bと、小型電動車両2または充電専用車両3の収容位置を検出する収容位置センサ115cとを有する。
なお、図示は省略するが、電動運搬車両1の車速を検出する車速センサ、電動運搬車両1に作用する加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ、走行距離を検出する走行距離センサ、ドアの開閉を検出するドア開閉センサなどもセンサ群115に含まれる。
アクチュエータ116は、車載端末110(演算部113)からの指令により電動運搬車両1に搭載された各種機器を駆動する。アクチュエータ116は、一例として、懸架装置14を駆動する懸架装置駆動用アクチュエータ116aを有する。懸架装置駆動用アクチュエータ116aは、演算部113の後述する懸架装置操作部113bから懸架信号または降車信号が出力されると、出力された信号に基づいて懸架装置14を駆動する。例えば懸架信号を受信すると、懸架装置14を駆動して車両収容部11に進入した小型電動車両2または充電専用車両3を懸架し、降車信号を受信すると、懸架装置14を駆動して小型電動車両2または充電専用車両3を降車させる。
なお、図示は省略するが、アクチュエータ116には、変速機駆動用アクチェータ、制動装置駆動用アクチュエータ、転舵用アクチュエータ、ドアロックアクチュエータ等も含まれる。
演算部113は、プロセッサが担う機能的構成として、運行計画作成部113aと、懸架装置操作部113bと、バッテリ切替処理部113cと、バッテリ充電処理部113dと、位置情報取得部113eとを有する。運行計画作成部113aは、通信部111を介して受信した各小型電動車両2の運行計画に基づいて、電動運搬車両1の最適な運行計画を作成する。例えば運行計画作成部113aは、各小型電動車両2の乗降場所が最適となるような電動運搬車両1の運行計画を作成する。
懸架装置操作部113bは、運行計画作成部113aにて作成した運行計画に基づいて、センサ群115の有するGPSセンサ115aが所定の乗車場所に到着したことを検出し、収容位置センサ115cが、小型電動車両2または充電専用車両3が所定の収容位置に位置したことを検出すると、アクチュエータ116の有する懸架装置駆動用アクチュエータ116aに懸架信号を出力する。また懸架装置操作部113bは、運行計画に基づいて、GPSセンサ115aが所定の降車場所に到着したことを検出すると、アクチュエータ116の有する懸架装置駆動用アクチュエータ116aに降車信号を出力する。
バッテリ切替処理部113cは、通信部111を介して受信した、サーバ装置40の後述するバッテリ選択部434(図13参照)から送信されたバッテリ選択信号に基づいて、走行に使用するバッテリの切替処理を行う信号を出力する。例えば、電動運搬車両1の有するバッテリ接続部13が、小型電動車両2の有する被接続部22に電気的に接続されている場合において、電動運搬車両1の走行に小型電動車両2のバッテリ102を使用するバッテリ選択信号を通信部111を介して受信すると、バッテリ切替処理部113cは、電動運搬車両1の電動機を駆動する電力を供給するバッテリを、バッテリ101からバッテリ102に切り替える切替処理を行う信号を出力する。
バッテリ充電処理部113dは、通信部111を介して受信した、サーバ装置40の後述するバッテリ充電指示部435(図13参照)から送信された充放電信号に基づいて、バッテリ101の充電処理またはバッテリ101による給電処理を行う信号を出力する。
例えば、電動運搬車両1の有するバッテリ接続部13が小型電動車両2の有する被接続部22に接続されている場合において、小型電動車両2のバッテリ102に充電を行う充電信号を通信部111を介して受信すると、バッテリ充電処理部113dは、バッテリ101の電力をバッテリ102に給電する給電処理を行う信号を出力する。また電動運搬車両1のバッテリ101に充電を行う充電信号を通信部111を介して受信すると、バッテリ充電処理部113dは、充電専用車両3のバッテリ103の電力をバッテリ101に給電する給電処理を行う信号を出力する。
位置情報取得部113eは、運行計画作成部113aにて作成した運行計画に基づいて、小型電動車両2の位置情報を受け付ける。例えば、位置情報取得部113eは、小型電動車両2の車載端末120の通信部121を介して送信された、GPSセンサ125aが検出した位置情報を、通信部111を介して受け付ける。
図11は、図2に示す車両運搬システム100の小型電動車両2の車載端末120の要部構成を示すブロック図である。車載端末120は、例えば車載ナビゲーション装置を含んで構成される。車載端末120は、図11に示すように、通信部121と、入出力部122と、演算部123と、記憶部124と、センサ群125とを有する。車載端末120には、アクチュエータ126が接続される。
通信部121は、通信ネットワーク5を介して、サーバ装置40、電動運搬車両1の車載端末110、他の小型電動車両2の車載端末120および充電専用車両3の車載端末130と無線通信可能に構成される。通信部121は、小型電動車両2を識別する被運搬車両IDとともに、センサ群125からの信号の一部を、所定時間毎にサーバ装置40に送信する。また通信部121は、被運搬車両IDとともに、演算部123にて作成された運行計画をサーバ装置40に送信する。
入出力部122は、小型電動車両2のドライバが操作可能な各種スイッチやボタン、マイク、スピーカ、モニタ等を有する。ユーザは、入出力部122を介してユーザ情報を入力する。ユーザ情報には、ユーザの住所、氏名、連絡先、免許証番号、決済に必要な情報(例えばクレジットカード番号)等が含まれる。ユーザは、ユーザ情報を入力して会員登録した後に、小型電動車両2の利用が可能となる。
車両運搬の申し込み時には、車両運搬予約情報がユーザにより入力される。例えば、入出力部122を介して、ドライバにより、小型電動車両2の運行スケジュール等が入力される。車載ナビゲーション装置に入力される行き先をこれに代えることもできる。
演算部123はCPUを有し、入出力部122を介して入力された信号、通信部121を介して外部から受信した信号、および記憶部124に記憶されたデータに基づいて所定の処理を実行し、小型電動車両2の各部のアクチュエータ126、入出力部122や記憶部124に制御信号を出力する。また演算部123は、さらに通信部121に制御信号を出力し、車載端末120とサーバ装置40との間の信号の送受信を制御する。
演算部123は、プロセッサが担う機能的構成として、運行計画作成部123aと、位置情報取得部と123bを有する。運行計画作成部123aは、ドライバによって入出力部122を介して入力された運行スケジュールまたは車載ナビゲーション装置に入力される行き先に基づいて、最適な運行計画を作成する。
位置情報取得部123bは、電動運搬車両1の位置情報を受け付ける。例えば、位置情報取得部123bは、電動運搬車両1の車載端末110の通信部111を介して送信された、GPSセンサ115aが検出した位置情報を、通信部121を介して受け付ける。
記憶部124は、図示しない揮発性または不揮発性メモリを有する。記憶部124には、演算部123が実行する各種のプログラムや、各種のデータが記憶される。例えばセンサ群125による検出データ等が一時的に記憶される。記憶された検出データは、演算部123での処理により、通信部121を介して所定時間毎にサーバ装置40に送信される。また記憶部124は、メモリが担う機能的構成の一例として、運行計画の作成に用いられる地図データベース124a等を有している。
センサ群125は、小型電動車両2の状態を検出する各種センサを含む。センサ群125は、一例として、GPS衛星からの信号を受信して小型電動車両2の位置を検出するGPSセンサ125aと、バッテリ容量を検出するバッテリセンサ125bとを有する。
なお、図示は省略するが、小型電動車両2の車速を検出する車速センサ、小型電動車両2に作用する加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ、走行距離を検出する走行距離センサ、ドアの開閉を検出するドア開閉センサなどもセンサ群125に含まれる。
アクチュエータ126は、車載端末120(演算部123)からの指令により小型電動車両2に搭載された各種機器を駆動する。なお、図示は省略するが、アクチュエータ126には、変速機駆動用アクチェータ、制動装置駆動用アクチュエータ、転舵用アクチュエータ、ドアロックアクチュエータ等も含まれる。
図12は、図2に示す車両運搬システム100の充電専用車両3の車載端末130の要部構成を示すブロック図である。車載端末130は、例えば車載ナビゲーション装置を含んで構成される。車載端末130は、図12に示すように、通信部131と、入出力部132と、演算部133と、記憶部134と、センサ群135とを有する。
通信部131は、通信ネットワーク5を介して、サーバ装置40、電動運搬車両1の車載端末110および各小型電動車両2の車載端末120と無線通信可能に構成される。通信部131は、充電専用車両3を識別する充電搬車両IDとともに、センサ群135からの信号の一部を、所定時間毎にサーバ装置40に送信する。
入出力部132は、充電専用車両3のドライバが操作可能な各種スイッチやボタン、マイク、スピーカ、モニタ等を有する。演算部133はCPUを有し、入出力部132を介して入力された信号、通信部131を介して充電専用車両3の外部から入力された信号、および記憶部134に記憶されたデータに基づいて所定の処理を実行し、入出力部132や記憶部134に制御信号を出力する。また演算部133は、通信部131に制御信号を出力し、車載端末130とサーバ装置40との間の信号の送受信を制御する。
演算部133は、プロセッサが担う機能的構成として、位置情報取得部133aと、収容信号取得部133bとを有する。位置情報取得部133aは、電動運搬車両1の位置情報を受け付ける。例えば、位置情報取得部133aは、電動運搬車両1の車載端末110の通信部111を介して送信された、GPSセンサ115aが検出した位置情報を、通信部131を介して受け付ける。収容信号取得部133bは、充電専用車両3の収容信号を受け付ける。例えば収容信号取得部133bは、サーバ装置40の通信部41を介して送信された、バッテリ充電指示部435が出力する収容信号を、通信部131を介して受け付ける。
記憶部134は、図示しない揮発性または不揮発性メモリを有する。記憶部134には、演算部133が実行する各種のプログラムや、各種のデータが記憶される。例えばセンサ群135による検出データ等が一時的に記憶される。記憶された検出データは、演算部133での処理により、通信部131を介して所定時間毎にサーバ装置40に送信される。また記憶部134は、メモリが担う機能的構成の一例として、電動運搬車両1への収容に用いられる地図データベース134a等を有している。
センサ群135は、充電専用車両3の状態を検出する各種センサを含む。センサ群135は、一例として、GPS衛星からの信号を受信して充電専用車両3の位置を検出するGPSセンサ135aと、バッテリ容量を検出するバッテリセンサ135bとを有する。
なお、図示は省略するが、充電専用車両3の車速を検出する車速センサ、充電専用車両3に作用する加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ、走行距離を検出する走行距離センサ、ドアの開閉を検出するドア開閉センサなどもセンサ群135に含まれる。
アクチュエータ136は、車載端末130(演算部133)からの指令により充電専用車両3に搭載された各種機器を駆動する。なお、図示は省略するが、アクチュエータ136には、変速機駆動用アクチェータ、制動装置駆動用アクチュエータ、転舵用アクチュエータ、ドアロックアクチュエータ等も含まれる。
図13は、図2に示す車両運搬システム100のサーバ装置40の要部構成を示すブロック図である。サーバ装置40は、例えば車両運搬サービスを行う事業体に設けられる。クラウド上で仮想サーバ機能を利用して、サーバ装置40を構成することもできる。図13に示すように、サーバ装置40は、通信部41と、入出力部42と、演算部43と、記憶部44とを有する。
通信部41は、通信ネットワーク5を介して、電動運搬車両1、小型電動車両2および充電専用車両3の車載端末110,120,130と無線通信可能に構成される。入出力部42は、例えばキーボード、マウス、モニタ、ダッチパネル等を有する。演算部43はCPUを有し、入出力部42を介して入力された信号、通信部41を介してサーバ装置40の外部から受信した信号、および記憶部44に記憶されたデータに基づいて所定の処理を実行し、入出力部42や記憶部44に制御信号を出力する。演算部43の機能的構成については後述する。
記憶部44は、図示しない揮発性または不揮発性メモリを有する。記憶部44には、演算部43が実行する各種のプログラムや、各種のデータが記憶される。記憶部44は、メモリが担う機能的構成として、車両データベース441と、ユーザデータベース442と、地図データベース443とを有する。
車両データベース441は、車両運搬サービスを行う事業体が保有する電動運搬車両1、小型電動車両2および充電専用車両3のそれぞれの車両情報を記憶する。例えば、各車両の車種、年式、車体番号、車両番号、走行距離、メンテナンス履歴、稼働率等の車両状態や車両特性を表す車両情報等を記憶する。ユーザデータベース442は、小型電動車両2を介して入力された各ユーザのユーザID、住所、氏名、連絡先、免許証番号等のユーザ情報を記憶する。
演算部43は、プロセッサが担う機能的構成として、運行計画取得部431と、必要電力量演算部432と、電力量取得部433と、バッテリ選択部434と、バッテリ充電指示部435と、位置情報取得部436とを有する。
運行計画取得部431は、小型電動車両2の演算部123の有する運行計画作成部123aが作成した運行計画を、通信部41を介して受け付ける。また運行計画取得部431は、通信部41を介して電動運搬車両1の演算部113の有する運行計画作成部113aに小型電動車両2の運行計画を送信し、これに基づいて作成された電動運搬車両1の運行計画を受け付ける。すなわち運行計画取得部431は、電動運搬車両1および小型電動車両2の運行計画を取得する。
必要電力量演算部432は、運行計画取得部431が取得した運行計画に基づいて、運搬後の小型電動車両2が必要とする電力量を演算する。例えば必要電力量演算部432は、電動運搬車両1から降車するA地点から、B地点を経由してC地点に向かう運行計画に基づいて、B地点を経由したA地点からC地点までの走行に必要な小型電動車両2の電力量を演算する。
電力量取得部433は、電動運搬車両1および小型電動車両2の電力量を受け付ける。例えば電力量取得部433は、電動運搬車両1の車載端末110の通信部111を介して送信されたバッテリセンサ115bが検出した電力量、および小型電動車両2の車載端末120の通信部121を介して送信されたバッテリセンサ125bが検出した電力量を、通信部41を介して受け付ける。
バッテリ選択部434は、通信部121を介して送信された小型電動車両2の電力量(残電力)が、必要電力量演算部432にて演算された電力量を超えている場合、通信部41を介して、電動運搬車両1の演算部113の有するバッテリ切替処理部113cに、小型電動車両2のバッテリ102を使用するバッテリ選択信号を送信する。
バッテリ切替処理部113cは、この信号を受信すると、電動運搬車両1の電動機を駆動する電力を供給するバッテリを、バッテリ101からバッテリ102に切り替える処理を行う信号を出力する。
バッテリ選択部434は、小型電動車両2の電力量(残電力)が必要電力量演算部432にて演算された電力量に至るまで上述の信号を送信し、バッテリ切替処理部113cは、小型電動車両2の電力量(残電力)が必要電力量演算部432にて演算された電力量に至るまでバッテリ102を使用させる信号を出力する。
バッテリ選択部434は、通信部121を介して送信された小型電動車両2の電力量(残電力)が必要電力量演算部432にて演算された電力量に至ると、上述の信号の送信を停止し、バッテリ切替処理部113cは、電動運搬車両1の電動機を駆動する電力を供給するバッテリを、バッテリ102からバッテリ101に切り替える処理を行う信号を出力する。
バッテリ充電指示部435は、通信部121を介して送信された小型電動車両2の電力量(残電力)が、必要電力量演算部432にて演算された電力量に満たない場合、通信部41を介して、電動運搬車両1の電力を小型電動車両2のバッテリ102に供給して充電させる信号を送信する。例えば、バッテリ充電指示部435は、通信部41を介して、電動運搬車両1の演算部113の有するバッテリ充電処理部113dに、小型電動車両2のバッテリ102に対してバッテリ101による給電処理を行う充放電信号を送信する。
バッテリ充電処理部113dは、この信号を受信すると、バッテリ101の電力をバッテリ102に給電する処理を行う信号を出力する。
またバッテリ充電指示部435は、通信部111を介して送信された電動運搬車両1の電力量(残電力)もしくは通信部121を介して送信された小型電動車両2の電力量(残電力)が所定値以下になった場合、電動運搬車両1に充電専用車両3を収容させるとともに充電専用車両3に電気的に接続させて、電動運搬車両1のバッテリ101もしくは小型電動車両2のバッテリ102に給電する給電処理を行う信号を出力する。例えばバッテリ充電指示部435は、通信部41を介して受信した電動運搬車両1の電力量(残電力)もしくは小型電動車両2の電力量が所定値以下になった場合、通信部41を介して、充電専用車両3を収容する信号を、充電専用車両3に送信する。
通信部131を介して、充電専用車両3の演算部133が有する収容信号取得部133bがこの信号を受信すると、位置情報取得部133aが電動運搬車両1の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、充電専用車両3が電動運搬車両1に収容される。充電専用車両3が電動運搬車両1に収容されると、バッテリ充電指示部435は、電動運搬車両1のバッテリ101に対して充電専用車両3のバッテリ103による給電処理を行う信号を送信する。若しくは、バッテリ充電指示部435は、小型電動車両2のバッテリ102に対して充電専用車両3のバッテリ103による給電処理を行う信号を送信する。
位置情報取得部436は、電動運搬車両1、小型電動車両2および充電専用車両3の位置情報を受け付ける。例えば、位置情報取得部436は、電動運搬車両1の車載端末110の通信部111を介して送信されたGPSセンサ115aが検出した位置情報、小型電動車両2の車載端末120の通信部121を介して送信されたGPSセンサ125aが検出した位置情報、および充電専用車両3の車載端末130の通信部131を介して送信されたGPSセンサ135aが検出した位置情報を、通信部121を介して受け付ける。
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)バッテリ102を搭載した小型電動車両2と、小型電動車両2を収容し、バッテリ101を搭載した電動運搬車両1と、小型電動車両2および電動運搬車両1のバッテリ101,102の充放電を制御するサーバ装置40とを備えている。電動運搬車両1と小型電動車両2とは、小型電動車両2を電動運搬車両1に収容した状態で、互いに電気的に接続可能に構成されている。サーバ装置40は、電動運搬車両1と小型電動車両2とを電気的に接続すると、小型電動車両2のバッテリ102を充放電させる。
この構成により、電動運搬車両1に収容された小型電動車両2のバッテリ102を電動運搬車両1のバッテリ101に充放電させながら、小型電動車両2を運搬させることができる。例えば、電動運搬車両1のバッテリ101で小型電動車両2のバッテリ102を充電しながら運搬したり、小型電動車両2のバッテリ102で電動運搬車両1を走行させたりすることができる。
(2)サーバ装置40は、電動運搬車両1と小型電動車両2とを電気的に接続すると、小型電動車両2のバッテリ102の電力で電動運搬車両1を走行させる。このように、小型電動車両2のバッテリ102の電力で電動運搬車両1を走行させることで、電動運搬車両1の走行可能距離を伸ばすことが可能になる。その結果、例えば利便性等を向上させることができる。
(3)サーバ装置40は、小型電動車両2の運搬後の運行計画を取得する運行計画取得部431と、運行計画取得部431が取得した運行計画に基づいて運搬後の小型電動車両2が必要とする電力量を演算する必要電力量演算部432とを有している。小型電動車両2のバッテリ102の残電力が必要電力量演算部432にて演算した電力量に至るまで、小型電動車両2のバッテリ102の電力で電動運搬車両1を走行させる。これにより、例えば、小型電動車両2のバッテリ102の電力量が、運搬後の小型電動車両2が必要とする電力量を超えている場合等において、小型電動車両2のバッテリ102の電力で電動運搬車両1を走行させることで、電動運搬車両1の走行可能距離を伸ばすことが可能になる。その結果、例えば利便性等を向上させることができる。
(4)電動運搬車両1は、複数の小型電動車両2を収容して運搬可能に構成されている。サーバ装置40は、小型電動車両2のバッテリ102の電力量が必要電力量演算部432にて演算した電力量に満たない場合、電動運搬車両1および他の小型電動車両2の電力を小型電動車両2のバッテリ102に供給して充電させる。これにより、例えば、必要以上に電力を消費してしまった場合においても運搬中に給電を受けることが可能なので、車両運搬サービスの利便性を向上させることができる。
(5)電動運搬車両1に収容可能、かつ電動運搬車両1に電気的に接続可能な充電専用車両3を備え、サーバ装置40は、電動運搬車両1もしくは複数の小型電動車両2うちの1台以上のいずれかのバッテリ101の電力量が所定値以下になった場合、電動運搬車両1に充電専用車両3を収容させるとともに充電専用車両3に電気的に接続させて、電動運搬車両1もしくは複数の小型電動車両2のバッテリ101を充電させる。これにより、小型電動車両2を収容する態様と同様の態様にて収容する充電専用車両3のバッテリから給電を受けることにより、電動運搬車両1の走行可能距離を伸ばすことが可能になる。その結果、例えば利便性等を向上させることができる。
(6)電動運搬車両1は、小型電動車両2を収容する車両収容部11を有し、車両収容部11は、電動運搬車両1の前後方向L1と直交する幅方向W1に貫通し、幅方向W1から小型電動車両2が進入可能な収容空間を有するように形成され、かつ収容空間の上方に、幅方向W1から侵入する小型電動車両2を所定の位置で吊り上げる懸架装置14を有している。小型電動車両2は、懸架装置14にて懸架された状態で、電動運搬車両1に電気的に接続される。
これにより、例えば、車両収容部11における小型電動車両2の収容位置に関わらず、ユーザの所望する任意の場所で、個別に小型電動車両2を電動運搬車両1から乗降させることができる。その結果、ユーザを乗せた小型電動車両2を、電車やバスに乗車する感覚で、ユーザごと電動運搬車両1に乗車させて運搬することができる。
上記実施形態では、車両運搬システム100は、小型電動車両2、電動運搬車両1、充電専用車両3およびサーバ装置40を備えて構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば車両運搬システムは、小型電動車両2、電動運搬車両1およびサーバ装置40を備えていればよい。
上記実施形態では、小型電動車両2は、車両収容部11の前後方向と直交する幅方向から進入し、この状態で懸架されたが、本発明はこれに限定されない。例えば小型電動車両2は、車両収容部11の前後方向と交差する方向から進入し、この状態で懸架される構成であってもよい。例えば複数の小型電動車両2は、互いに平行に並べられた状態で懸架されることが好ましい。交差する角度としては、小型電動車両2を効率的に乗降させる観点から、幅方向W1に対して30度以内であることが好ましい。
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態により本発明が限定されるものではない。