<<実施例1>>
以下に、図面および実施例を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の機能、材質、形状、その相対配置などは、特定の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
以下、第1の実施例について図を用いて説明する。
なお、以下の実施形態では画像形成装置として、4個のプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置を例示している。
なお、画像形成装置に装着するプロセスカートリッジの個数はこれに限定されるものではない。必要に応じて適宜設定されるものである。
また、以下説明する実施形態では、画像形成装置の一態様としてレーザービームプリンタを例示している。
[画像形成装置の概略構成]
図2は画像形成装置Mの断面概略図である。また、図3はプロセスカートリッジ100の断面図である。
この画像形成装置Mは、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーレーザプリンタであり、記録媒体Sにカラー画像形成を行う。画像形成装置Mはプロセスカートリッジ方式であり、プロセスカートリッジを画像形成装置本体(装置本体、電子写真画像形成装置本体)170に取り外し可能に装着して、記録媒体Sにカラー画像を形成するものである。
ここで、画像形成装置Mに関して、前ドア11を設けた側を正面(前面)、正面と反対側の面を背面(後面)とする。また、画像形成装置Mを正面から見て右側を駆動側、左側を非駆動側と称す。
また、画像形成装置Mを正面から見て上側を上面、下側を下面とする。図2は画像形成装置Mを非駆動側から見た断面図であり、紙面手前が画像形成装置Mの非駆動側、紙面右側が画像形成装置Mの正面、紙面奥側が画像形成装置Mの駆動側となる。
また、プロセスカートリッジ100の駆動側とは、感光体ドラムの軸線方向において、後述するドラムカップリング(感光体カップリング)が配置された側である。また、プロセスカートリッジ100の駆動側とは、現像ローラ(現像部材)の軸線方向において、後述する現像カップリングが配置された側でもある。
なお感光体ドラムの軸線方向とは、後述する感光体ドラムの回転軸線と平行な方向である。同様に、現像ローラの軸線方向とは、後述する現像ローラの回転軸線と平行な方向である。本実施例では感光体ドラムの軸線と現像ローラの軸線が略平行なので、感光体ドラムの軸線方向と現像ローラの軸線方向を実質的に同じものとみなす。
画像形成装置本体170には第1のプロセスカートリッジ100Y、第2のプロセスカートリッジ100M、第3のプロセスカートリッジ100C、第4のプロセスカートリッジ100Kの4つのプロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)が略水平方向に配置されている。
第1〜第4の各プロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)は、それぞれ同様の電子写真プロセス機構を有しており、現像剤(以下トナーと称す)の色が各々異なるものである。第1〜第4のプロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)には画像形成装置本体170の駆動出力部(詳細は後述する)から回転駆動力が伝達される。
また、第1〜第4の各プロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)には画像形成装置本体170からバイアス電圧(帯電バイアス、現像バイアス等)が供給される(不図示)。
図3に示すように、本実施例の第1〜第4の各プロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)は、感光体ドラム104と、この感光体ドラム104に作用するプロセス手段としての帯電手段を備えたドラム保持ユニット108を有する。また、第1〜第4の各プロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)は、感光体ドラム104上の静電潜像を現像する現像手段を備えた現像ユニット109を有する。
ドラム保持ユニット108と現像ユニット109は互いに結合されている。プロセスカートリッジ100のより具体的な構成については後述する。
第1のプロセスカートリッジ100Yは、現像枠体125内にイエロー(Y)のトナーを収容しており、感光体ドラム104の表面にイエロー色のトナー像を形成する。
第2のプロセスカートリッジ100Mは、現像枠体125内にマゼンタ(M)のトナーを収容しており、感光体ドラム104の表面にマゼンタ色のトナー像を形成する。
第3のプロセスカートリッジ100Cは、現像枠体125内にシアン(C)のトナーを収容しており、感光体ドラム104の表面にシアン色のトナー像を形成する。
第4のプロセスカートリッジ100Kは、現像枠体125内にブラック(K)のトナーを収容しており、感光体ドラム104の表面にブラック色のトナー像を形成する。第1〜第4のプロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)の上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニット14が設けられている。このレーザスキャナユニット14は、画像情報に対応してレーザー光Uを出力する。そして、レーザー光Uは、プロセスカートリッジ100の露光窓110を通過して感光体ドラム104の表面を走査露光する。
第1〜第4のプロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)の下方には、転写部材としての中間転写ユニット12を設けている。この中間転写ユニット12は、駆動ローラ12e、ターンローラ12c、テンションローラ12bを有し、可撓性を有する転写ベルト12aを掛け渡している。
第1〜第4の各プロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)の感光体ドラム104は、その下面が転写ベルト12aの上面に接している。その接触部が一次転写部である。転写ベルト12aの内側には、感光体ドラム104に対向させて一次転写ローラ12dを設けている。
ターンローラ12cには転写ベルト12aを介して二次転写ローラ6を当接させている。転写ベルト12aと二次転写ローラ6の接触部が二次転写部である。
中間転写ユニット12の下方には、給送ユニット4を設けている。この給送ユニット4は、記録媒体Sを積載して収容した給紙トレイ4a、給紙ローラ4bを有する。
図2における画像形成装置本体170内の左上方には、定着装置7と、排紙装置8を設けている。画像形成装置本体170の上面は排紙トレイ13としている。
記録媒体Sは前記定着装置7に設けられた定着手段によりトナー像が定着され、前記排紙トレイ13へ排出される。
[画像形成動作]
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。
第1〜第4の各プロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)の感光体ドラム104が所定の速度で回転駆動される(図3矢印A方向)。
転写ベルト12aも感光体ドラムの回転に順方向(図2矢印C方向)に感光体ドラム104の速度に対応した速度で回転駆動される。
レーザスキャナユニット14も駆動される。レーザスキャナユニット14の駆動に同期して、各プロセスカートリッジにおいて帯電ローラ105が感光体ドラム104の表面を所定の極性、電位に一様に帯電する。レーザスキャナユニット14は各感光体ドラム104の表面を各色の画像信号に応じてレーザー光Uで走査露光する。
これにより、各感光体ドラム104の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、所定の速度で回転駆動される現像ローラ106により現像される。つまり、現像ローラ106が感光体ドラム104に接触しており、現像ローラ106からトナーが感光体ドラム104の潜像に移動することで、潜像がトナー像として現像される。なお、本実施例では、接触現像方式を採用しており、現像ローラ106と感光体ドラム104を接触させている。しかし、現像ローラ106と感光体ドラム104の間に微小な間隔を開けて、現像ローラ106から感光体ドラム104にトナーを飛翔させる非接触現像方式を採用する場合もある。
前記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のプロセスカートリッジ100Yの感光体ドラム104にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するイエロー色のトナー像が形成される。そして、そのトナー像が転写ベルト12a上に一次転写される。感光体ドラム104の一部がカートリッジの外部に露出しており、転写ベルト12aに接触している。この接触部において、感光体ドラム104の表面のトナー像が転写ベルト12aに移動する。
同様に第2のプロセスカートリッジ100Mの感光体ドラム104にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するマゼンタ色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12a上にすでに転写されているイエロー色のトナー像に重畳されて一次転写される。
同様に第3のプロセスカートリッジ100Cの感光体ドラム104にはフルカラー画像のシアン成分に対応するシアン色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12a上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色のトナー像に重畳されて一次転写される。
同様に第4のプロセスカートリッジ100Kの感光体ドラム104にはフルカラー画像のブラック成分に対応するブラック色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12a上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナー像に重畳されて1次転写される。
このようにして、転写ベルト12a上にイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
一方、所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚ずつ分離されて給送される。その記録媒体Sは、所定の制御タイミングで二次転写ローラ6と転写ベルト12aとの当接部である二次転写部に導入される。
これにより、記録媒体Sが前記二次転写部へ搬送されていく過程で、転写ベルト12a上の4色重畳のトナー像が記録媒体Sの面に順次に一括転写される。
更に詳細に、画像形成装置本体の構成を以下に説明する。
[プロセスカートリッジ着脱構成概略]
プロセスカートリッジを支持するトレイ(以下トレイと称する)171について、図42、図4〜図7を用いて更に詳細に説明する。図4は前ドア11が開いた状態でトレイ171が画像形成装置本体170の内側に位置する画像形成装置Mの断面図である。図5は前ドア11が開いた状態でトレイ171が画像形成装置本体170の外側に位置し、トレイ内部にプロセスカートリッジ100が収納された状態の画像形成装置Mの断面図である。図6は前ドア11が開いた状態でトレイ171が画像形成装置本体170の外側に位置し、トレイからプロセスカートリッジ100が取り外された状態の画像形成装置Mの断面図である。図7(a)は図4の状態でトレイ171を駆動側から見た部分詳細図である。図7(b)は図4の状態でトレイ171を非駆動側から見た部分詳細図である。
図4および図5に示すように、トレイ171は、画像形成装置本体170に対して、矢印X1方向(押し込み方向)および矢印X2方向(引き出し方向)に移動可能である。すなわち、トレイ171は画像形成装置本体170に対して引き出しおよび押し込み可能に設けられ、画像形成装置本体170が水平面上に設置された状態において、トレイ171は略水平方向に移動可能に構成されている。ここで、トレイ171が画像形成装置本体170の外側に位置する状態(図5の状態)を外側位置と称す。また、前ドア11が開いた状態でトレイ171が画像形成装置本体170の内側に位置し、感光体ドラム104と転写ベルト12aが離れた状態(図4の状態)を内側位置と称す。
また、トレイ171は、外側位置で、図6で示すようにプロセスカートリッジ100を取り外し可能に装着可能な装着部171aを有する。そして、トレイ171の外側位置で装着部171aに装着された各プロセスカートリッジ100は、図7で示すように駆動側カートリッジカバー部材116と、非動側カートリッジカバー部材117によってトレイ171に支持される。そして、プロセスカートリッジ100は、装着部171aに配置された状態で、トレイ171の移動とともに画像形成装置本体170の内側に移動する。このとき、転写ベルト12aと感光体ドラム104との間に隙間を空けた状態で移動する。感光体ドラム104が転写ベルト12aと接触することなく、トレイ171はプロセスカートリッジ100を画像形成装置本体170の内側に移動させることができる(詳細は後述する)。
以上のように、トレイ171によって、複数のプロセスカートリッジ100をまとめて画像形成装置本体170の内側で画像形成が可能な位置に移動させることができ、また、まとめて画像形成装置本体170の外側に引き出すことができる。
[プロセスカートリッジの電子写真画像形成装置本体への位置決め]
更に詳細に、プロセスカートリッジ100の画像形成装置本体170への位置決めについて図7を用いて説明する。
図7に示すように、トレイ171にはカートリッジ100を保持するための位置決め部171VR、171VLが夫々設けられている。位置決め部171VRは、それぞれ直線部171VR1、171VR2を有している。図7に示すカートリッジカバー部材116の円弧部116VR1、116VR2が前述直線部171VR1、171VR2に接触することにより、感光体ドラム中心が決まる構成となっている。
また、図7に示すトレイ171は回転決め凸部171KRを有している。図7に示すカートリッジカバー部材116の回転決め凹部116KR位置と嵌合することにより、プロセスカートリッジ100の姿勢が装置本体170に対して決まる。
尚、位置決め部171VRとプロセスカートリッジ100の長手方向において中間転写ベルト12aを挟んで対向する位置(非駆動側)に、位置決め部171VL、回転決め凸部171KLが配置されている。つまり、非駆動側についてもカートリッジカバー部材117の円弧部117VL1、117VL2が位置決め部171VLに、回転決め凹部117KLが回転決め凸部171KLと係合することにより、プロセスカートリッジ100の位置が決まる。
こうすることで、トレイ171に対してプロセスカートリッジ100の位置を正しく決めている。
そして、図5で示すようにトレイ171と一体になったプロセスカートリッジ100を矢印X1の方向に移動し、図4の位置まで挿入する。
そして、前ドア11を矢印Rの方向に閉じる事で後述する不図示のカートリッジ押圧機構によって、プロセスカーリッジ100は押圧され、トレイ171と共に画像形成装置本体170に固定される。また、カートリッジ押圧機構の動作と連動して、転写ベルト12aが感光体104に接触する。この状態になることにより画像が形成される状態となる(図2)。
尚、本実施例においては、位置決め部171VR、及び位置決め部171Vはトレイ171の引出動作における剛性を保つ補強の役割も兼ねているため、金属板金を用いているが、これに限定するものではない。
[カートリッジ押圧機構]
次にカートリッジ押圧機構の詳細について図8を用いて説明する。
図8(a)は図4の状態でプロセスカートリッジ100、トレイ171、カートリッジ押圧機構190、191、中間転写ユニット12のみを示している。図8(b)は図2の状態でプロセスカートリッジ100、トレイ171、カートリッジ押圧機構190、191、中間転写ユニット12のみを示している。
さて、プロセスカートリッジ100は画像形成中に駆動力を受けつつ、更に一次転写ローラ12d(図2)からは反力を矢印Z1方向にも受けている。そのため、画像形成動作中にプロセスカートリッジが位置決め部171VR、171VLから浮くことなく安定した姿勢を保つために、プロセスカートリッジをZ2方向に押し付ける必要がある。
これらを達成させる為に、本実施例においては、画像形成装置本体170にカートリッジ押圧機構(190、191)を設けている。
カートリッジ押圧機構(190、191)は非駆動側を記憶素子押圧ユニット190、駆動側をカートリッジ押圧ユニット191が担っている。以下更に詳細に説明する。
図4で示す前ドア11を閉じる事で、図8で示す記憶素子押圧ユニット190、及びカートリッジ押圧ユニット191は矢印Z2方向に降下する。
記憶素子押圧ユニット190は主にプロセスカートリッジ100に設けられた記憶素子(不図示)の電気接点と接触する本体側電気接点(不図示)を有している。前ドア11と不図示のリンク機構で連動させることにより、記憶素子140と本体側電気接点の当接、非接触が可能な構成となっている。
つまり、前ドア11を閉じる事で前記接点は当接し、前ドア11を開くことで前記接点は離間する構成となっている。
こうすることで、プロセスカートリッジ100がトレイ171と共に画像形成装置本体内部を移動する際に、電気接点を摺擦せず、かつプロセスカートリッジ100の挿抜軌跡から接点を退避させることで、トレイ171の挿抜を阻害しない構成となっている。
この記憶素子押圧ユニット190はプロセスカートリッジ100を前述の位置決め部171VRに押し付ける役割も担っている。
また、記憶素子押圧ユニット190と同様に、カートリッジ押圧ユニット121も前ドア11を閉じる動作と連動して矢印Z2方向に降下し、プロセスカートリッジ100を前述の位置決め部171VLに押し付ける役割を担っている。
更に、詳細は後述するが、カートリッジ押圧押圧機構(190、191)は後述するプロセスカートリッジ100の力付与部材152L、152Rを押し下げる役割も同時に担っている。
[駆動伝達機構]
次に、本実施形態における本体の駆動伝達機構について、図9、図10、(便宜上、トレイ171を省略した図)を用いて説明する。
図9(a)は図4もしくは図5の状態でプロセスカートリッジ100、及びトレイ171を省略した斜視図である。図9(b)はプロセスカートリッジ100、前ドア11及びトレイ171を省略した斜視図である。
図10はプロセスカートリッジ100を駆動側から見た側面図である。
本実施形態におけるプロセスカートリッジには、図10で示すように、現像カップリング部32a、ドラムカップリング(感光体カップリング)143を有している。
前ドア11を閉じること(図9(b)の状態)で、プロセスカートリッジ100に駆動伝達する本体側ドラム駆動カップリング180、及び本体側現像駆動カップリング185が不図示のリンク機構により矢印Y1方向に突出する構成となっている。
また、前ドア11を開く(図9(a)の状態)ことで、ドラム駆動カップリング180、現像駆動カップリング185が矢印Y2方向に退避する構成となっている。
プロセスカートリッジの挿抜軌跡(X1方向、X2方向)から夫々のカップリングを退避させることでトレイ171の挿抜を阻害しない構成となっている。
尚、前ドア11を閉め、画像形成装置本体170の駆動が開始される事により、前述のドラム駆動カップリング180はドラムカップリング(カップリング部材、カートリッジ側カップリング)143と係合する。これに合わせて、本体側現像駆動カップリング185は現像カップリング部32aと係合する。その結果、プロセスカートリッジ100に駆動が伝達される。尚、プロセスカートリッジ100への駆動伝達は上述のように2か所に限らず、ドラムカップリングにのみ駆動を入力し、現像ローラに駆動を伝達する機構を備えてもよい。
[中間転写ユニット構成]
次に、本実施形態における画像形成装置本体の中間転写ユニット12について図9を用いて説明する。
本実施形態において、中間転写ユニット12は、前ドア11を閉じることで不図示のリンク機構によって、矢印R2方向に上昇し、画像形成時の位置(感光体ドラム104と中間転写ベルト12aが接触する位置)まで移動する構成となっている。
また、前ドア11を開くことで、中間転写ユニット12は矢印R1方向に下降し、感光体ドラム2と中間転写ベルト12aは離間する。
つまり、トレイ171にプロセスカートリッジ100がセットされた状態において、感光体ドラム104と中間転写ベルト12aは、前ドア11の開閉動作に応じて当接、離間する。
尚、当接離間動作は、図4で示す中心点PV1を中心とした回動軌跡を描き中間転写ユニット12が上昇、下降する構成となっている。
これは、PVIと同軸に配置されたギア(不図示)から力を受け中間転写ベルト12aは駆動される。そのため、前述の位置PV1を回動中心にすることでギア中心を動かさずに中間転写ユニット12を上昇、下降できる。こうする事でギアの中心を移動する必要が無くなりギアの位置を高精度に保つ事が可能となる。
以上の構成によって、プロセスカートリッジ100がトレイ171にセットされた状態で、トレイ11の挿抜の際に、感光体ドラム104と中間転写ベルト12aは摺動せず、感光体ドラム104の傷付きや帯電メモリによる画像劣化を防止している。
[現像離間制御ユニット]
次に、本実施形態における画像形成装置本体の離間機構について、図8、図11、図12を用いて説明する。
図11は画像形成装置Mをプロセスカートリッジ100の駆動側端面で切った断面図である。図12は現像離間制御ユニットを上方斜めから見た斜視図である。
本実施形態において、現像離間制御ユニット195は現像ユニット109の一部と係合することにより、現像ユニット109の感光体ドラム104に対する離間当接動作を制御している。現像離間制御ユニット195は図8で示すように画像形成装置本体170の下方に位置している。
具体的には、現像離間制御ユニット195は、現像入力カップリング部32a、及びドラムカップリング143よりも鉛直方向下方(矢印Z2方向下方)に配置されている。
また、現像離間制御ユニット195は中間転写ベルト12の感光体ドラム104長手方向(Y1、Y2方向)に配置される。つまり、現像離間制御ユニット195は駆動側に現像離間制御ユニット195R、非駆動側に現像離間制御ユニット195Lを配置している。
以上のように現像離間制御ユニット195を画像形成装置本体170のデットスペースに配置することで、本体の小型化を行うことができる。
現像離間制御ユニット195Rはプロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)に対応する4つの離間制御部材196Rを有している。4つの離間制御部材は略同一形状である。現像離間制御ユニット195Rは、画像形成装置本体に対して常に固定されている。しかし、不図示の制御機構により、離間制御部材196RはW41、W42方向に移動可能に構成されている。詳細な構成については後述する。
現像離間制御ユニット195Lはプロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)に対応する4つの離間制御部材196Lを有している。4つの離間制御部材は略同一形状である。現像離間制御ユニット195Lは、画像形成装置本体に対して常に固定されている。しかし、不図示の制御機構により、離間制御部材196LはW41、W42方向に移動可能に構成されている。詳細な構成については後述する。
また、現像離間制御ユニット195が現像ユニット109の一部と係合して、現像ユニット109の離間当接動作を制御するためには、現像制御ユニット196の一部と現像ユニット109の一部が鉛直方向(Z1、Z2方向)でオーバラップしている必要がある。
従って、プロセスカートリッジ100の現像ユニット109がX1方向に挿入された後、上述のように鉛直方向(Z1、Z2方向)でオーバラップするためには現像器ユニットの一部(本実施実施例の場合は力付与部材152)を突出させる必要がある。詳細は後述する。
尚、係合させる為に、前述の中間転写ユニット12と同様に現像離間制御ユニット195自身を上昇させた場合、連動する前ドア11の操作力増大や駆動列の複雑化等の課題がある。
本実施形態において現像離間制御ユニット195を画像形成装置本体170に固定し、現像ユニット109の一部(力付与部材152)を画像形成装置本体170の中で下方(Z2)に突出させる方式を採用する理由の一つとして、この課題に対応する為でもある。また、力付与部材152を突出させる機構は、前述した記憶素子押圧ユニット190及びカートリッジ押圧ユニット191の機構をそのまま利用する為、前述のような課題が無く装置本体コストの上昇も抑えられる。
尚、現像離間制御ユニット195のユニット全体は画像形成装置本体170に固定である。しかし、後述するように力付与部材152と係合して、現像ユニット109が感光体ドラム104に対して離間状態、当接状態となるように、動作を付与するために、その一部は可動可能な構成である。詳細は後述する。
[プロセスカートリッジの全体構成]
プロセスカートリッジの構成について図3、13、14を用いて説明する。
図13はプロセスカートリッジ100を感光体ドラム104の軸線方向の一方の側である駆動側からみた組立斜視図である。図14はプロセスカートリッジ100を駆動側から見た斜視図である。
本実施例において、第1から第4のプロセスカートリッジ100(100Y、100M、100C、100K)は、同様の電子写真プロセス機構を有し、収容されているトナーの色やトナーの充填量が各々異なるものである。
プロセスカートリッジ100は、感光体ドラム104(4Y、4M、4C、4K)と、感光体ドラム104に作用するプロセス手段を備えている。カートリッジ100はプロセス手段として、感光体ドラム104を帯電させる帯電手段(帯電部材)である帯電ローラ105を有する。またカートリッジ100は、別のプロセス手段として感光体ドラム104に形成された潜像を現像するための現像手段(現像部材)である現像ローラ106を備える。
その他、プロセス手段としては、感光体ドラム104の表面に残留する残留トナーを除去するためのクリーニング手段(たとえばクリーニングブレード等)が考えられる。但し、本実施例の画像形成装置では、感光体ドラム104に接触するクリーニング手段を設けない構成を採用している。
そして、プロセスカートリッジ100は、ドラム保持ユニット108(108Y、108M、108C、108K)と現像ユニット109(109Y、109M、109C、109K)とに分かれている。
[ドラム保持ユニットの構成]
図3、図13に示すように、ドラム保持ユニット108は、感光体ドラム104、帯電ローラ105、第1枠体であるドラム枠体115等で構成される。感光体ドラム104は、カップリング143とドラムフランジ142とともにドラムユニット103(図1(a)参照。詳細は後述)として一体化されている。
このドラムユニット103は、プロセスカートリッジ100の長手方向両端に設けられた駆動側カートリッジカバー部材116、非動側カートリッジカバー部材117により回転自在に支持されている。駆動側カートリッジカバー部材116と非動側カートリッジカバー部材117については後述する。
また、図13、14に示すように、感光体ドラム104の長手方向の一端近傍には、感光体ドラム104に駆動力を伝達するためのドラムカップリング143が設けられている。先に説明したように、カップリング143は、画像形成装置本体170のドラム駆動出力部としての本体側ドラム駆動カップリング180(図9参照)と係合する。画像形成装置本体170の駆動モータ(不図示)の駆動力が感光体ドラム104に伝達され矢印A方向に回転される。また、感光体ドラム104は長手方向の他端(第2端部)近傍にドラムフランジ142を有する。
カップリング143の軸部143j(図1参照)が、駆動側カートリッジカバー116によって支持され、かつ、ドラムフランジ142が非駆動側カートリッジカバー117に固定されたシャフトによって支持される。これによって、ドラムユニット103はカートリッジ内で回転可能に支持されることになる。つまり、感光体ドラム104の両端部は、カップリング143やドラムフランジ142を介して、カートリッジのケーシングの両端部(すなわちカートリッジカバー116、117)によって回転可能に支持されることになる。
帯電ローラ105は、感光体ドラム104に対し接触して従動回転できるように、ドラム枠体115に支持されている。
ドラユニット103の長手方向(軸線方向)の両サイドのうち、カップリング143が配置された側が駆動側、ドラムフランジ142が配置された側が非駆動側である。つまり軸線方向における感光体ドラム104の両端部のうち、駆動側の端部近傍にカップリング143が固定され、駆動側とは反対側の端部近傍にドラムフランジ142が固定されている。感光体ドラム104の両端部のうち、一方を第1の端部、他方を第2の端部と呼ぶ場合がある。図80には感光体ドラムのドラム駆動側の端部104a、非駆動側の端部104bを示している。
ドラムユニット103と同様に、カートリッジ100の両サイドの内、カップリング143が配置された側を駆動側とよび、駆動側の反対側を非駆動側と呼ぶ。例えば図10、図19は、カートリッジの駆動側を示した図である。また、図16はカートリッジの非駆動側を示した図である。
図13、図14に示すように、駆動側カートリッジカバー116は、カートリッジ100のケーシングの駆動側の端部に位置する部品であり、非駆動側カートリッジカバー117は、ケーシングの非駆動側の端部に位置する部品である。駆動側カートリッジカバー116によって支持されるドラムカップリング143は、カートリッジ100のケーシングの非駆動側の端部の近傍に配置されているとみなせる。カートリッジ100の両端のうち、一方を第1の端部、他方を第2の端部と呼ぶ場合がある。
[現像ユニットの構成]
現像ユニット109は、図3、13に示すように、現像ローラ106、トナー搬送ローラ(トナー供給ローラ)107、現像ブレード130、現像枠体125などで構成されている。現像枠体125は下枠体125aと蓋部材125bにより構成される。下枠体125aと蓋部材125bは超音波溶着等で結合されている。
第2の枠体(第2のケーシング)である現像枠体125は、現像ローラ106に供給するトナーを収納するトナー収納部129を有する。また、現像枠体125は後述する駆動側軸受126、非駆動側軸受127を介して、現像ローラ106、トナー搬送ローラ107を回転自在に支持し、現像ローラ106周面のトナーの層厚を規制する現像ブレード130を保持する。
現像ブレード130は厚さ0.1mm程度のシート状金属である弾性部材130bを、L字断面を有する金属材料である支持部材130aに溶接等で取り付けたものである。現像ブレード130は長手方向における一端近傍と他端近傍の二箇所を、固定ビス130cにて現像枠体125に取り付けられる。現像ローラ106は金属材料の芯金106cとゴム部106dから構成されている。
現像ローラ106は現像枠体125の長手方向両端に取り付けられた駆動側軸受126と非駆動側軸受127によって、回転可能に支持されている。現像枠体125、駆動側軸受126、非駆動側軸受127は、カートリッジの枠体(ケーシング)の一部である。広義には、軸受126、127を現像枠体125の一部と見なしたり、軸受126,127と現像枠体125を総称して現像枠体と呼んだりすることがある。
現像ローラ106は、感光体ドラム104の潜像を現像するためのトナーを担持するためのローラである。トナー搬送ローラ107が、トナー収容部129に収容されたトナーを現像ローラ106に向けて搬送、供給する。トナー搬送ローラ107は、現像ローラ106に接触している。
また、図13、14に示すように、現像ユニット109の長手方向の一方の側には、現像ユニット109に駆動力を伝達するための現像入力カップリング部(現像カップリング)32aが設けられている。現像入力カップリング部32aは、画像形成装置本体170の現像駆動出力部としての本体側現像駆動カップリング185(図9参照)と係合し、画像形成装置本体170の駆動モータ(不図示)の駆動力が現像ユニット109に入力される。
現像ユニット109に入力された駆動力は、現像ユニット109内に設けられた不図示の駆動列によって、伝達されることで、現像ローラ106を図3の矢印D方向に回転させることが可能である。同様に、現像入力カップリング部32aが受けた駆動力によって、トナー搬送ローラ107も回転し、現像ローラ106にトナーを供給する。
現像ユニット109の長手方向の一方の側には、現像入力カップリング部32aや不図示の駆動列を支持およびカバーする現像カバー部材128が設けられている。尚、現像ローラ106の外径は感光体ドラム104の外径より小さく設定されている。本実施例の感光体ドラム104の外径はΦ18〜Φ22の範囲で設定されており、現像ローラ106の外径はΦ8〜Φ14の範囲で設定されている。この外径に設定することにより効率的な配置が可能となる。
[ドラム保持ユニットと現像ユニットの組立]
図13を用いて、ドラム保持ユニット108と現像ユニット109の組み付けについて説明する。ドラム保持ユニット108と現像ユニット109は、プロセスカートリッジ100の長手方向両端に設けられた駆動側カートリッジカバー部材116と非動側カートリッジカバー部材117によって結合される。
プロセスカートリッジ100の長手方向の一方の側(駆動側)に設けられた駆動側カートリッジカバー部材116には、現像ユニット109を揺動(移動)可能に支持するための、現像ユニット支持穴116aが設けられている。同様に、プロセスカートリッジ100の長手方向の他方の側(非駆動側)に設けられた非駆動側カートリッジカバー部材117には、現像ユニット109を揺動可能に支持するための、現像ユニット支持穴117aが設けられている。
さらに、駆動側カートリッジカバー部材116と非動側カートリッジカバー部材117には、感光体ドラム104を回転可能に支持するためのドラム支持穴116b、117bが設けられている。ここで、駆動側では駆動側カートリッジカバー部材116の現像ユニット支持穴116aに現像カバー部材128の円筒部128bの外径部を嵌合させる。非駆動側では非動側カートリッジカバー部材117の現像ユニット支持穴117aに、非駆動側軸受127の円筒部(不図示)の外径部を嵌合させる。
さらに、感光体ドラム104の長手方向両端を駆動側カートリッジカバー部材116のドラム支持穴116bと非動側カートリッジカバー部材117のドラム支持穴117bに嵌合させる。そして、駆動側カートリッジカバー部材116と非動側カートリッジカバー部材117は、不図示のビスや接着剤等により、ドラム保持ユニット108のドラム枠体115に固定する。これにより、現像ユニット109は、駆動側カートリッジカバー部材116と非動側カートリッジカバー部材117によって回転可能に支持される。現像ユニット109はドラム保持ユニット108に対して移動(回転)可能であり、この移動によって現像ローラ106は感光体ドラム104に対して移動可能である。画像形成時に現像ローラ106は感光体ドラム104に作用する位置に位置決め可能である。
ドラム枠体115およびカバー部材116、117はカートリッジの枠体(ケーシング)の一部である。より詳しく言うと、これらはドラム保持ユニット108の枠体である。また、両カバー部材116、117はそれぞれドラム枠体115の一端と他端に固定されているので、カバー部材116、117をドラム枠体115の一部とみなすことがある。あるいはカバー部材116、117およびドラム枠体115を総称してドラム枠体と呼ぶことがある。
また、ドラム保持ユニット108の枠体(115,116,117)と、現像ユニットの枠体(125,126,127)の一方を、第1の枠体(第1のケーシング)、他方を第2の枠体(第2のケーシング)などと呼ぶ場合がある。またドラム保持ユニット108の枠体(115,116,117)と、現像ユニットの枠体(125,126,127)を特に区別せず、両者を包括的にカートリッジの枠体(カートリッジのケーシング)と呼ぶこともある。
上記の工程によってドラム保持ユニット108と現像ユニット109が組立てられ、プロセスカートリッジ100として一体的に形成された状態を図14に示す。
なお、駆動側カートリッジカバー部材116の現像ユニット支持穴116aの中心と、非動側カートリッジカバー部材117の現像ユニット支持穴117aの中心とを結んだ軸線を揺動軸Kと称する。ここで、駆動側の現像カバー部材128の円筒部128bは現像入力カップリング74と同軸である。すなわち現像ユニット109は、この揺動軸Kにおいて画像形成装置本体170より駆動力を伝達される構成である。また、揺動軸Kを中心として、現像ユニット109は回動自在に支持されている。
[離間当接機構の構成]
本実施例におけるプロセスカートリッジ100の感光体ドラム104と、現像ユニット109が有する現像ローラ106とが、離間および当接を行う構成について詳細に説明する。プロセスカートリッジは駆動側に離間当接機構150R、非駆動側に離間当接機構150Lを有する。図15は離間当接機構150Rを含む現像ユニット109の駆動側の組立斜視図を示す。図16は離間当接機構150Lを含む現像ユニット109の非駆動側の組立斜視図を示す。なお離間当接機構について、まず駆動側の離間当接機構150Rの詳細を説明した後、非駆動側の離間当接機構150Lの説明を行う。
尚、離間当接機構については駆動側、非駆動側ほぼ同一機能を有しているため、駆動側については各部材の符号末尾にRを記載する。非駆動側については各部材の符号を駆動側と同一にして、末尾にLを記載する。
離間当接機構150Rは規制部材である離間保持部材151R、押圧部材である力付与部材152R、引っ張りバネ153を有する。
離間当接機構150Lは規制部材である離間保持部材151L、押圧部材である力付与部材152L、引っ張りバネ153を有する。
[離間保持部材Rの詳細説明]
ここでは離間保持部材151Rについて図17を用いて詳細に説明する。
図17(a)は離間保持部材151Rのプロセスカートリッジ100の駆動側長手方向から見た単品正面図である。図17(b)、図17(c)は離間保持部材151Rの単品斜視図である。図17(d)は離間保持部材151Rを図17(a)中の矢印Z2方向(画像形成状態で鉛直上方向)へ見た図である。離間保持部材151Rは、円環状の支持受け部151Raを有し、支持受け部151Raから支持受け部151Raの半径方向に突出する離間保持部151Rbを有する。離間保持部151Rbの先端は、離間保持部材揺動軸Hを中心とした円弧状かつ、離間保持部材揺動軸Hと平行な線HAに対して角度θ1の傾斜を持つ離間保持面151Rcを有する。なお角度θ1は式(1)を満足するよう設定される。
0°≦θ1≦45°・・・(1)
また、離間保持部材151Rは離間保持面151Rcと隣り合う第二被規制面151Rkを有する。さらに、離間保持部材151Rは、支持受け部151RaよりもZ2方向に突出する第二被押圧部151Rdを有し、第二被押圧部151Rdから支持受け部151Raの離間保持部材揺動軸H方向に突出する円弧形状の第二被押圧面151Reを有する。
さらに、離間保持部材151Rは、支持受け部151Raと繋がる本体部151Rfを有し、本体部151Rfには支持受け部151Raの離間保持部材揺動軸H方向に突出するばね掛け部151Rgを有する。さらに、本体部151RfにはZ2方向へ突出する自転防止部151Rmを有し、第二被押圧面151Reと対向する向きに自転防止面151Rnが設けられる。
[力付与部材Rの詳細説明]
ここでは力付与部材152Rについて図18を用いて詳細に説明する。
図18(a)は力付与部材152Rをプロセスカートリッジ100の長手方向から見た単品正面図であり、図18(b)、図18(c)は力付与部材152Rの単品斜視図である。
力付与部材152Rは、長丸形状の長丸支持受け部152Raを有する。ここで長丸支持受け部152Raの長丸形状の長手方向を矢印LHとし、上方を矢印LH1、下方を矢印LH2とする。さらに長丸支持受け部152Raを形成する方向をHBとする。力付与部材152Rは長丸支持受け部152Raの矢印LH2方向下流側に突出部152Rhが形成されている。なお長丸支持受け部152Raと突出部152Rhは本体部152Rbによって接続されている。一方、力付与部材152Rは矢印LH1方向かつ矢印LH1方向と略垂直方向に突出する被押込み部152Reを有し、その矢印LH1方向下流側に円弧形状の被押込み面152Rfを有し、上流側に押込み規制面152Rgを有する。さらに力付与部材152Rは、突出部152よりも矢印LH2方向上流側に本体部152Rbから延びる第一収納時規制面152Rvと、第一収納時規制面152Rvと隣接し第一押圧面152Rqと略平行な第二収納時規制面152Rwを有する。
突出部152Rhは、矢印LH2方向の終端部かつ矢印LH2方向と略直交する方向に対向配置される第一力受け部152Rkと第二力受け部152Rnを有する。第一力受け部152Rkおよび第二力受け部152Rnは、それぞれHB方向へ延び円弧形状を有する第一力受け面152Rmおよび第二力受け面152Rpを有する。また、突出部152RhはHL方向へ突出するばね掛け部152Rsと係止部152Rtを有し、係止部152Rtは第一力受け面152Rpと同一方向を向く係止面152Ruを有する。
さらに力付与部材152Rは本体部152Rbの一部であり第二力受け部152Rnよりも矢印LH2方向上流側に配置され、第二力受け面152Rpと同一方向を向く第一押圧面152Rqを有する。また、力付与部材152Rは第一収納時規制面152Rvと直交し、第一押圧面152Rqと対向配置される第二押圧面152Rrを有する。
尚、プロセスカートリッジ100が画像形成装置本体170に装着された状態では、LH1方向はZ1方向と略同一方向であり、LH2方向はZ2方向と略同一方向である。また、HB方向はプロセスカートリッジ100の長手方向と略同一である。
[離間当接機構Rの組立]
次に離間当接機構の組み付けについて、図10、図15から図19を用いて説明する。図19は離間保持部材151Rの組み付け後のプロセスカートリッジ100を駆動側から見た斜視図である。
前述したが図15に示すように、現像ユニット109は、駆動側カートリッジカバー部材116の現像ユニット支持穴部116aに現像カバー部材128の円筒部128bの外径部を嵌合させる。これによって、現像ユニット109は、揺動軸Kを中心に感光体ドラム104に対して回転可能に支持される。また、現像カバー部材128は、揺動軸Kの方向に突出する円筒状の第一支持部128cと第二支持部128kを有する。
第一支持部128cの外径は離間保持部材151Rの支持受け部151Raの内径と嵌合し、離間保持部材151Rを回転可能に支持する。ここで、現像カバー部材128に組付けられた離間保持部材151Rの揺動中心を離間保持部材揺動軸Hとする。現像カバー部材128は、離間保持部材揺動軸Hの方向に突出する第一抜け止め部128dを有する。図15に示すように、現像カバー部材128に組付けられた離間保持部材151Rの離間保持部材揺動軸H方向の移動は、第一抜け止め部128dが離間保持部材151Rと接触することで規制される。
また、第二支持部128kの外径は力付与部材152Rの長丸支持受け部152Raの内壁と嵌合し、力付与部材152Rを回転可能かつ長丸方向に移動可能に支持する。ここで現像カバー部材128に組付けられた力付与部材152Rの揺動中心を、力付与部材揺動軸HCとする。図15に示すように、現像カバー部材128に組付けられた力付与部材152Rの力付与部材揺動軸HC方向の移動は、第二抜け止め部128mが離間保持部材151Rと接触することで規制される。
図10は力付与部材152Rの長丸支持受け部151Raと現像カバー部材128の円筒部128bの嵌合部が見えるように、駆動側カートリッジカバー部材116の一部と現像カバー部材128の一部を部分断面線CSにて部分的に省略した断面図である。離間当接機構150Rは離間保持部材151Rを、離間保持部材揺動軸Hを中心に図中矢印B1方向に回転するよう付勢し、かつ力付与部材152Rを矢印B3方向に付勢する付勢手段として引張りばね153を備えている。
なお矢印B3方向は、力付与部部材152Rの長丸支持受け部152Raの長丸長手方向LH2方向(図18参照)と略平行な方向である。引張りばね153は離間保持部材151Rに設けられたばね掛け部151Rgと、力付与部材152Rに設けられたばね掛け部152Rsとの間に組付けられる。引張りばね153は、離間保持部材151Rのばね掛け部151Rgに図10の矢印F2方向へ力を加えることで、離間保持部材151Rを矢印B1方向に回転する付勢力を与えている。さらに引張りばね153は力付与部材152Rのばね掛け部152Rsに矢印F1方向へ力を加えることで、力付与部材152Rを矢印B3方向に移動する付勢力を与えている。
なお、離間保持部材151Rのばね掛け部151Rgと力保持部材152Rのバネ掛け部152Rsとを結ぶ線をGSとする。力付与部材152Rのばね掛け部152Rsと力付与部材揺動軸HCとを結ぶ線をHSとする。ここで線GSと線HSの成す角θ2は、力付与部材152Rのばね掛け部152Rsを中心に時計回りの方向を正として、以下の式(2)を満足するよう設定される。これによって力付与部材152Rは、力付与部材揺動軸HCを回転中心として矢印BA方向に回転するよう付勢される。
0°≦θ2≦90°・・・(2)
図15に示すように現像駆動入力ギア132は、現像カバー部材128の円筒部128bの内径と現像駆動入力ギア132の円筒部32bの外径が嵌合し、加えて駆動側軸受126の支持部126aと現像駆動入力ギアの図示しない円筒部が嵌合する。これによって、現像ローラギア131やトナー搬送ローラギア133やその他のギアに対して駆動力を伝えるよう配置される。
本実施例では離間保持部材151Rと力付与部材152Rの取付け位置は、以下の通りである。図15に示すように揺動軸Kの方向において、現像カバー部材128を挟んで駆動側カートリッジカバー部材116が配置される側(長手方向外側)に離間保持部材151Rが配置される。現像駆動入力ギア13が配置される側(長手方向内側)に力付与部材152Rが配置される。しかし配置する位置はこれに限るものでは無く、離間保持部材151Rと力付与部材152Rの配置位置が入れ替わってもよく、また現像カバー部材128を基準に揺動軸K方向の一方の側へ離間保持部材151Rと力付与部材152Rとを配置してもよい。さらに離間保持部材151Rと力付与部材152Rの配置順序が入れ替わってもよい。
そして現像カバー部材128は駆動側軸受126を介して、現像枠体125に固定されることで現像ユニット109を形成する。なお本実施例における固定方法は、図15に示すように固定ビス145と図示しない接着剤によって固定されるが、固定方法はこれに限るものでは無く、加熱による溶着や樹脂を流し込み固める等の接合方式でもよい。
ここで図20は説明のため、図10における離間保持部151R周辺を拡大し、引張りばね153と離間保持部材151Rの一部を部分断面線CS4にて部分的に省略した断面図である。力付与部材152Rは前述の引張りばね153の図中F1方向の付勢力によって、力付与部材152Rの第一規制面152Rvが現像カバー部材128の第一規制面128hに接触する。また力付与部材152Rの第二規制面152Rwが現像カバー部材128の第二規制面128qに接触し位置決めされる。この位置を力付与部材152Rの収納位置(基準位置)と称する。さらに離間保持部材151Rは引張りばね153のF2方向の付勢力によって離間保持部材揺動軸H回りのB1方向へ回転し、離間保持部材151Rの第二被押圧部151Rdが力付与部材152Rの第二押圧面152Rrに接触し回転が止められる。この位置を離間保持部材151Rの離間保持位置(規制位置)と称する。
さらに、図21は説明のため図10における離間保持部151R周辺を拡大し、引張りばね153を省略した図である。本実施例に記載の離間当接機構150Rを有するプロセスカートリッジ100が物流される際において、図21のJA方向に落下された場合をここでは考える。この時、離間保持部材151Rは離間保持揺動軸Hを中心に自身の重量によって矢印B2方向へ回転する力を受ける。上記理由によってB2方向へ回転し始めると離間保持部材151Rの自転防止面151Rnが力付与部材152Rの係止面152Ruに当接し、B2方向の回転を抑制するよう離間保持部材151Rが図中F3方向へ力を受ける。これによって物流時に離間保持部材151RがB2方向へ回転することを抑制することができ、感光体ドラム104と現像ユニット109の離間状態が損なわれることを防止できる。
なお本実施例では、離間保持部材151Rを離間保持位置に付勢し、かつ力付与部材152Rを収納位置に付勢する付勢手段として引張りばね153を挙げたが、付勢手段はこれに限るものではない。例えば、ねじりコイルばね、板ばねなどを付勢手段として用いて、力付与部材152Rを収納位置に、離間保持部材151Rを離間保持位置に付勢してもよい。また、付勢手段の材質は金属やモールドなど、弾性を有し離間保持部材151Rおよび力付与部材152Rを付勢することができればよい。
以上のように、離間当接機構150Rを備えた現像ユニット109は、前述のように駆動側カートリッジカバー部材116によってドラム保持ユニット108と一体的に結合される(図19状態)。
図19の矢印J方向から見た図を図22に示す。図15に示すように、本実施例の駆動側カートリッジカバー116は、当接面116cを有する。当接面116cは、図22に示すように揺動軸Kに対して角度θ3の傾斜を持って形成される。なお角度θ3は前述の離間保持部材151Rの離間保持面151Rcを形成する角度θ1と同一角度であることが望ましいがこれに限るものでは無い。さらに当接面116cは、図15、図19に示すように、駆動側カートリッジカバー部材116が現像ユニット109とドラム保持ユニット108に組付けられる際に、離間保持位置に位置する離間保持部材151Rの離間保持面151Rcと対向する。当接面116cは、後述する現像加圧ばね134による付勢力によって離間保持面151Rcと接触する。そして、係合面116Rcと離間保持面151Rcが当接すると、現像ユニット109の有する現像ローラ106と感光体ドラム104との間に隙間P1だけ離間した状態で現像ユニット109の姿勢が位置決めされるように構成される。このように、離間保持部材151Rによって現像ローラ106(現像部材)が感光体ドラム104から隙間P1だけ離間した状態を現像ユニット109の離間位置(退避位置)と称する(図42(a)参照)。
ここでプロセスカートリッジ100の離間状態と当接状態について図42を用いて詳しく説明する。
図42はプロセスカートリッジ100が画像形成装置本体170内部に装着された状態で駆動側から見た側面図である。図42(a)は現像ユニット109が感光体ドラム104に対して離間した状態を表す。図42(b)は現像ユニット109が感光体ドラム104に対して当接した状態を表す。
まず、離間保持部材151Rが離間保持位置に位置して、現像ユニット109が離間位置に位置する状態において、力付与部材152Rの被押込み部152ReをZA方向へ押込む。これによって力付与部材152Rの突出部152Rhがプロセスカートリッジ100より突出する。離間保持部材151Rの第二被押圧面151Reは前述のように引張りばね153によって力付与部材152Rの第二押圧面152Rrと当接している。そのため、第二力受け部152Rnを矢印W42方向へ押圧すると、力付与部材152Rは力付与部材揺動軸HCを中心に矢印BB方向へ回転し、離間保持部材151Rを矢印B2方向へ回転させる。離間保持部材151Rが矢印B2方向に回転すると、離間保持面151Rcが当接面116cから離れ、現像ユニット109が離間位置から揺動軸Kを中心に矢印V2方向に回転可能になる。つまり、離間位置からV2方向に現像ユニット109が回転し、現像ユニット109が有する現像ローラ106が感光体ドラム104と当接する。ここで、現像ローラ106と感光体ドラム104が当接する現像ユニット109の位置を当接位置(現像位置)と称する(図42(b)の状態)。なお、この離間保持部材151Rの離間保持面151Rcが当接面116cと離れる位置を、離間解除位置(許容位置)と称する。現像ユニット109が当接位置に位置するとき、離間保持部材151Rの第二規制面151Rkが駆動側カートリッジカバー116の第二規制面116dと当接することで、離間保持部材151Rは離間解除位置に維持される。
また、駆動側軸受126は、揺動軸Kと直交する面である第一被押圧面126cを有している。駆動側軸受126は現像ユニット109に固定されているので、現像ユニット109が当接位置の状態で力付与部材152Rの第一力受け部152Rkを矢印41方向へ押圧する。すると、第一押圧面152Rqが第一被押圧面126cと当接することで、現像ユニット109が揺動軸Kを中心に矢印V1方向に回転し、離間位置に移動する(図42(a)の状態)。ここで、現像ユニット109が当接位置から離間位置に移動するとき、第一力受け面126cが移動する方向を図42(a)、(b)に矢印W41で示す。また、矢印W41の反対方向が矢印W42であり、矢印W41と矢印W42は略水平方向(X1、X2方向)である。上述したように現像ユニット109に組付けられた力付与部材152Rが有する第二力受け面152Rpは、この矢印W41方向において、駆動側軸受126の第一力受け面126cの上流側に位置する。さらに、第一力受け面126cと離間保持部材151Rの第二力受け面151ReはW1、W2方向において少なくとも一部が重なる位置に配置される。
離間当接機構150Rの画像形成装置本体170内での詳細な動作については次に説明する。
[プロセスカートリッジの画像形成装置本体への装着]
次に図12、図23、図24を用いて、プロセスカートリッジ100が画像形成装置本体170に装着される際の、プロセスカートリッジ100の離間当接機構150Rと画像形成装置本体170の現像離間制御ユニット195の係合動作について説明する。なおこれらの図は説明のため、現像カバー部材128の一部と駆動側カートリッジカバー部材116の一部を、それぞれ部分断面線CS1、CS2にて部分的に省略した断面図である。
図23は、画像形成装置Mの図示しないカートリッジトレイ171にプロセスカートリッジ100が装着され、カートリッジトレイ171が第一装着位置に挿入された際の、プロセスカートリッジ100の駆動側から見た図である。この図において、プロセスカートリッジ100とカートリッジ押圧ユニット121と離間制御部材196R以外を省略して図示している。
先に説明したように、本実施例の画像形成装置本体170は、前述のように各プロセスカートリッジ100に対応して、離間制御部材196Rを有している。離間制御部材196Rは、プロセスカートリッジ100が第一内側位置および第二内側位置に位置する際に、離間保持部材151Rよりも画像形成装置本体170の下面側に配置される。離間制御部材196Rはプロセスカートリッジ100に向かって突出し、空間196Rdを介して互いに向かい合う第一力付与面196Raと第二力付与面196Rbを有する。第一力付与面196Raと第二力付与面196Rbは画像形成装置本体170下面側にて連結部196Rcを介して連結している。また離間制御部材196Rは回動中心196Reを中心として、制御板金197に回転自在に支持されている。離間部材196Rは付勢バネにより常にE1方向に付勢されている。また、制御板金197が不図示の制御機構によりW41、W42方向に移動可能に構成されることにより、離間制御部材196RはW41、W42方向に移動可能に構成される。
前述のように画像形成装置本体170の前ドア11が開状態から閉状態に移行するのと連動して、カートリッジ押圧ユニット121が矢印ZA方向へ降下し、第一力付与部121aが力付与部材152Rの被押込み面152Rfと当接する。その後第二装着位置である所定位置までカートリッジ押圧ユニット121が降下すると、力付与部材152Rの突出部152Rhがプロセスカートリッジ100のZ2方向下方へ突出する(図24の状態)。この位置を力付与部材152Rの突出位置と称する。この動作が完了すると、図24に示すように離間制御部材196Rの第一力付与面196Raと力付与部材152Rの第一力受け面152Rpとの間に隙間T4が、第二力付与面196Rbと第二力受け面152Rpとの間に隙間T3が形成される。そして、力付与部材152Rに対して離間制御部材196Rが作用しない第二装着位置に位置する。なお離間制御部材196Rのこの位置をホーム位置と称する。この時、力付与部材152Rの第一力受け面152Rpと離間制御部材196Rの第一力付与面196Raは、W1、W2方向において、一部が重なるように配置されている。同じく、力付与部材152Rの第二力受け面152Rpと離間制御部材196Rの第二力付与面196Rbは、W1、W2方向において、一部が重なるように配置されている。
[現像ユニットの当接動作]
次に、離間当接機構150Rによる、感光体ドラム104と現像ローラ106が当接する動作について図24〜図26を用いて詳細に説明する。なおこれらの図は説明のため、現像カバー部材128の一部と駆動側カートリッジカバー部材116の一部と駆動側軸受126の一部を、それぞれ部分断面線CS1、CS2、CS3にて部分的に省略した断面図である。
本実施例構成では、現像入力カップリング32は画像形成装置本体170から図24の矢印V2方向に駆動力を受け、現像ローラ106が回転する。つまり、現像入力カップリング32を有する現像ユニット109は、画像形成装置本体170から揺動軸Kを中心に矢印V2方向のトルクを受ける。図24に示すように現像ユニット109が離間位置で、離間保持部材151Rが離間保持位置において、現像ユニット109がこのトルクおよび後述する現像加圧ばね134による付勢力を受ける。この場合であっても、離間保持部材151Rの離間保持面151Rcが駆動側カートリッジカバー部材116の当接面116cに当接し、現像ユニット109の姿勢は離間位置に維持される。
本実施例の離間制御部材196Rはホーム位置から、図24の矢印W42方向に移動可能に構成されている。離間制御部材196RがW42方向に移動すると、離間制御部材196Rの第二力付与面196Rbと力付与部材152Rの第二力受け面152Rpが当接し、力付与部材152Rが力付与部材揺動軸HCを回転中心としてBB方向へ回転する。さらに力付与部材152Rの回転に伴って、力付与部材152Rの第二押圧面152Rrが離間保持部材151Rの第二被押圧面151Reと当接しながら、離間保持部材151RをB2方向へ回転させる。そして離間保持部材151Rは、離間保持面151Rcと当接面116cとが離れる離間解除位置まで力付与部材152Rによって回転される。ここで図25に示す、離間保持部材151Rを離間解除位置に移動させる離間制御部材196Rの位置を第一位置と称する。
このように離間制御部材196Rによって離間保持部材151Rが離間解除位置に移動する。すると、現像ユニット109は画像形成装置本体170から受けるトルクと後述する現像加圧ばね134によってV2方向に回転し、現像ローラ106と感光体ドラム104が当接する当接位置まで移動する(図25の状態)。この時、引張りばね153によって矢印B1方向に付勢される離間保持部材151Rは、第二被規制面151Rkが駆動側カートリッジカバー部材116の第二規制面116dに当接することで離間解除位置に維持される。その後離間制御部材196RはW41方向へ移動しホーム位置へ戻る。この時、力付与部材152Rは引張りばね153によってBA方向へ回転し、力付与部材152Rの第一押圧面152Rqと駆動側軸受126の第一押圧面126cが当接した状態へ移行する(図26の状態)。
これによって前述の隙間T3とT4が再度形成され、力付与部材152Rに対して離間制御部材196Rが作用しない位置に位置する。尚、図25の状態から図26の状態へ遷移は時間を置かずに行われる。
以上のように本実施例構成では、離間制御部材196Rがホーム位置から第一位置に移動することで、力付与部材152Rを回転させ離間保持部材151Rを離間保持位置から離間解除位置に移動させることができる。これによって現像ユニット109が離間位置から現像ローラ9と感光体ドラム104が当接する当接位置まで移動することが可能となる。尚、図26の離間制御部材196Rの位置は図24の状態と同じである。
[現像ユニットの離間動作]
次に、離間当接機構150Rによる、現像ユニット109の当接位置から離間位置へ移動する動作について、図26、27を用いて詳細に説明する。なおこれらの図は説明のため、現像カバー部材128の一部と駆動側カートリッジカバー部材116の一部と駆動側軸受126の一部を、それぞれ部分断面線CSにて部分的に省略した断面図である。
本実施例における離間制御部材196Rはホーム位置から図26の矢印W41方向に移動可能に構成されている。離間制御部材196RがW41方向に移動すると、第一力付与面196Rbと力付与部材152Rの第一力受け面152Rmが当接し、力付与部材揺動軸HCを中心に力付与部材152Rが矢印BB方向へ回転する。そして力付与部材152Rの第一押圧面152Rqが駆動側軸受126の第一被押圧面126cと当接することで、現像ユニット109は当接位置から揺動軸Kを中心に矢印V1方向へ回転する(図27の状態)。なおこの時、力付与部材152Rの被押込み面152Rfは円弧形状を成しているが、この円弧の中心は揺動軸Kと一致するよう配置される。これによって現像ユニット109が当接位置から離間位置へと移動する際に、力付与部材152Rの被押込み面152Rfがカートリッジカートリッジ押圧ユニット121から受ける力は揺動軸K方向を向く。そのため、現像ユニット109の矢印V1方向への回転を妨げないよう動作させることができる。離間保持部材151Rは、離間保持部材151Rの第二被規制面151Rkと駆動側カートリッジカバー部材116の第二規制面116dが離れ、離間保持部材151Rは引張りばね153の付勢力によって矢印B1方向に回転する。これによって離間保持部材151Rは、第二被押圧面151Reが力付与部材152Rの第二押圧面152Rrと当接するまで回転し、当接することで離間保持位置に移行する。現像ユニット109が離間制御部材196Rによって当接位置から離間位置方向に移動し、離間保持部材151Rが離間保持位置に位置するとき、図27に示すように離間保持面151Rcと当接面116cの間には隙間T5が形成される。ここで、図27に示す、現像ユニット109を当接位置から離間位置方向に回転させ、離間保持部材151が離間保持位置に移動可能となる位置を、離間制御部材196Rの第二位置と称する。
そしてその後、離間制御部材196Rが矢印W42方向に移動して、第二位置からホーム位置に戻る。すると、離間保持部材151Rは離間保持位置を維持されたまま、現像ユニット109は画像形成装置本体170から受けるトルクと後述する現像加圧ばね134によって矢印V2方向に回転し、離間保持面151Rcと当接面116cが当接する。つまり、現像ユニット109は離間保持部材151Rによって離間位置を維持した状態になり、現像ローラ106と感光体ドラム104が隙間P1だけ離れた状態になる(図24および図42(a)の状態)。なおこれによって前述の隙間T3とT4が再度形成され、力付与部材152Rに対して離間制御部材196Rが作用しない位置に位置する(図24の状態)。尚、図27の状態から図24の状態への遷移は時間を置かずに実行される。
以上のように本実施構成では、離間制御部材196Rがホーム位置から第二位置に移動することで、離間保持部材151Rが離間解除位置から離間保持位置に移動する。そして、離間制御部材196Rが第二位置からホーム位置に戻ることで、現像ユニット109が離間保持部材151Rによって離間位置を維持する状態になる。
[離間保持部材Lの詳細説明]
ここでは離間保持部材151Lについて図28を用いて詳細に説明する。
図28(a)は離間保持部材151Lのプロセスカートリッジ100の駆動側長手方向から見た単品正面図であり、図28(b)、図28(c)は離間保持部材151Lの単品斜視図である。離間保持部材151Lは、円環状の支持受け部151Laを有し、支持受け部151Laから支持受け部151Laの半径方向に突出する離間保持部151Lbを有する。離間保持部151Lbの先端は、離間保持部材揺動軸Hを中心とした円弧状の離間保持面151Lcを有する。
また、離間保持部材151Lは離間保持面151Lcと隣り合う第二被規制面151Lkを有する。さらに、離間保持部材151Lは、支持受け部151LaよりもZ2方向に突出する第二被押圧部151Ldを有し、第二被押圧部151Ldから支持受け部151Laの離間保持部材揺動軸H方向に突出する円弧形状の第二被押圧面151Leを有する。
さらに、離間保持部材151Lは、支持受け部151Laと繋がる本体部151Lfを有し、本体部151Lfには支持受け部151Laの離間保持部材揺動軸H方向に突出するばね掛け部151Lgを有する。また、本体部151LfにはZ2方向へ突出する自転防止部151mを有し、第二被押圧面151Leと対向する向きに自転防止面151Lnが設けられる。
[力付与部材Lの詳細説明]
ここでは力付与部材152Lについて図29を用いて詳細に説明する。
図29(a)は力付与部材152Lをプロセスカートリッジ100の長手方向から見た単品正面図であり、図29(b)、図29(c)は力付与部材152Lの単品斜視図である。
力付与部材152Lは、長丸形状の長丸支持受け部152Laを有する。ここで長丸支持受け部152Laの長丸形状の長手方向を矢印LHとし、上方を矢印LH1、下方を矢印LH2とする。さらに長丸支持受け部152Laを形成する方向をHDとする。力付与部材152Lは長丸支持受け部152Laの矢印LH2方向下流側に突出部152Lhが形成されている。なお長丸支持受け部152Laと突出部152Lhは本体部152Lbによって接続されている。一方、力付与部材152Lは矢印LH1方向かつ矢印LH1方向と略垂直方向に突出する被押込み部152Leを有し、その矢印LH1方向下流側に円弧形状の被押込み面152Lfを有し、上流側に押込み規制面152Lgを有する。さらに力付与部材152Lは、長丸支持受け部152Laの一部であり矢印LH2方向下流側に位置する第一収納時規制面152Lvを有する。
突出部152Lhは、矢印LH2方向の終端部かつ矢印LH2方向と略直交する方向に対向配置される第一力受け部152Lkと第二力受け部152Lnを有する。第一力受け部152Lkおよび第二力受け部152Lnは、それぞれHD方向へ延び円弧形状を有する第一力受け面152Lmおよび第二力受け面152Lpを有する。また、突出部152LhはHB方向へ突出するばね掛け部152Lsと係止部152Ltを有し、係止部152Ltは第二力受け面152Lpと同一方向を向く係止面152Luを有する。
さらに力付与部材152Lは本体部152Lbの一部であり第二力受け部152Lnよりも矢印LH2方向上流側に配置され、第二力受け面152Lpと同一方向を向く第一押圧面152Lqを有する。また、力付与部材152Lは本体部152Lbの一部であり第一力受け部152Lkよりも矢印LH2方向上流側に配置され、第一力受け面152Lmと同一方向を向く第一押圧面152Lrを有する。
尚、プロセスカートリッジ100が画像形成装置本体170に装着された状態では、LH1方向はZ1方向と略同一方向であり、LH2方向はZ2方向と略同一方向である。また、HB方向はプロセスカートリッジ100の長手方向と略同一である。
[離間当接機構Lの組立]
次に離間機構の組み付けについて、図16、及び29から図35を用いて説明する。図30は離間保持部材151Lの組み付け後のプロセスカートリッジ100を駆動側から見た斜視図である。前述したが図16に示すように、現像ユニット109は、非駆動側カートリッジカバー部材117の現像ユニット支持穴部117aに非駆動側軸受127の円筒部127aの外径部を嵌合させる。これによって現像ユニット109は、揺動軸Kを中心に感光体ドラム104に対して回転可能に支持される。また、非駆動側軸受127は、揺動軸Kの方向に突出する円筒状の第一支持部127bと第二支持部127eを有する。
第一支持部127bの外径は離間保持部材151Lの支持受け部151Laの内径と嵌合し、離間保持部材151Lを回転可能に支持する。ここで、非駆動側軸受127に組付けられた離間保持部材151Lの揺動中心を離間保持部材揺動軸Hとする。非駆動側軸受127は、離間保持部材揺動軸Hの方向に突出する第一抜け止め部127cを有する。図16に示すように、非駆動側軸受127に組付けられた離間保持部材151Lの離間保持部材揺動軸H方向の移動は、第一抜け止め部127cが離間保持部材151Lと接触することで規制される。
また、第二支持部127eの外径は力付与部材152Lの長丸支持受け部152Laの内壁と嵌合し、力付与部材152Lを回転可能かつ長丸方向に移動可能に支持する。ここで非駆動側軸受127に組付けられた力付与部材152Lの揺動中心を、力付与部材揺動軸HCとする。図16に示すように、非駆動側軸受127に組付けられた力付与部材152Lの力付与部材揺動軸HE方向の移動は、第二抜け止め部127fが離間保持部材151Lと接触することで規制される。
図31は離間保持部材151Lの組み付け後のプロセスカートリッジ100を現像ユニット揺動軸H方向から見た図である。力付与部材152Lの長丸支持受け部151Laと非駆動側軸受127の円筒部127eの嵌合部が見えるように、非駆動側カートリッジカバー部材117の一部を部分断面線CSにて部分的に省略した断面図である。ここで離間当接機構150Lは離間保持部材151Lを、離間保持部材揺動軸Hを中心に矢印B1方向に回転するよう付勢し、かつ力付与部材152Lを矢印B3方向に付勢する付勢手段として引張りばね153を備えている。なお矢印B3方向は、力付与部部材152Lの長丸支持受け部152Laの長丸長手方向LH2方向(図29参照)と略平行な方向である。引張りばね153は離間保持部材151Lに設けられたばね掛け部151Lgと、力付与部材152Lに設けられたばね掛け部152Lsとの間に組付けられる。引張りばね153は、離間保持部材151Lのばね掛け部151Lgに図31の矢印F2方向へ力を加えることで、離間保持部材を矢印B1方向に回転する付勢力を与えている。さらに引張りばね153は力付与部材152Lのばね掛け部152Lsに矢印F1方向へ力を加えることで、力付与部材152Lを矢印B3方向に移動する付勢力を与えている。
なお、離間保持部材151Lのばね掛け部151Lgと力保持部材152Lのばね掛け部152Lsとを結ぶ線をGSとする。力付与部材152Lのばね掛け部152Lsと力付与部材揺動軸HEとを結ぶ線をHSとする。線GSと線HEの成す角θ3は、力付与部材152Lのばね掛け部152Lsを中心に反時計回りの方向を正として、以下の式(3)を満足するよう設定される。これによって力付与部材152Lは、力付与部材揺動軸HEを回転中心として図中BA方向に回転するよう付勢される。
0°≦θ3≦90°・・・(3)
本実施例では離間保持部材151Lと力付与部材152Lの取付け位置は、以下の通りである。図29に示すように揺動軸Kの方向において、非駆動側軸受127の非駆動側カートリッジカバー部材117が配置される側(長手方向外側)に離間保持部材151Lと力付与部材152Lが配置される。しかし配置する位置はこれに限るものでは無く、非駆動側軸受127の現像枠体125側(長手方向内側)にそれぞれ配置してもよく、また非駆動側軸受127を挟んで離間保持部材151Lと力付与部材152Lとを配置してもよい。さらに離間保持部材151Lと力付与部材152Lの配置順序が入れ替わってもよい。
そして非駆動側軸受127は、現像枠体125に固定されることで現像ユニット109を形成する。なお本実施例における固定方法は、図16に示すように固定ビス145と図示しない接着剤によって固定されるが、固定方法はこれに限るものでは無く、加熱による溶着や樹脂を流し込み固める等の接合方式でもよい。
ここで図32(a)、(b)は、非駆動側カートリッジカバー部材117と引張りばね153と離間保持部材151Lの一部を部分断面線CSにて部分的に省略した断面図である。図32(a)、(b)は説明のため、図31における力付与部材152Lの力付与部材揺動軸HEと離間保持部151L周辺をそれぞれ拡大した。
力付与部材152Lは、前述の引張りばね153の矢印F1方向の付勢力によって、力付与部材152Lの第一規制面152Lvが非駆動側軸受127の第二支持部127eに接触する。また図32(b)に示すように力付与部材152Lの第一押圧面152Lqが非駆動側軸受127の第一被押圧面127hに接触し位置決めされる。この位置を力付与部材152Lの収納位置(基準位置)と称する。さらに離間保持部材151Lは引張りばね153の矢印F2方向の付勢力によって離間保持部材揺動軸H回りの矢印B1方向へ回転し、離間保持部材151Lの接触面151Lpが力付与部材152Lの第二押圧面152Lrに接触することで位置決めされる。この位置を離間保持部材151Lの離間保持位置(規制位置)と称する。なお、力付与部材152Lが後述する突出位置に移動した際には、離間保持部材151Lの第二被押圧面151Leが力付与部材152Lの第二押圧面152Lrに接触することで離間保持位置に位置することができる。
さらに、図33は説明のため図31における離間保持部151L周辺を拡大し、引張りばね153を省略した図である。離間当接機構150Lを有するプロセスカートリッジ100が物流される際において、図33の矢印JA方向に落下された場合をここでは考える。この時、離間保持部材151Lは離間保持揺動軸Hを中心に自身の重量によって矢印B2方向へ回転する力を受ける。上記理由によって矢印B2方向へ回転し始めると離間保持部材151Lの自転防止面151Lnが力付与部材152Lの係止面152Luに当接し、矢印B2方向の回転を抑制するよう離間保持部材151Lが矢印F4方向へ力を受ける。これによって物流時に離間保持部材151Lが矢印B2方向へ回転することを抑制することができ、感光体ドラム104と現像ユニット109の離間状態が損なわれることを防止できる。
なお本実施例では、離間保持部材151Lを離間保持位置に付勢し、かつ力付与部材152Lを収納位置に付勢する付勢手段として引張りばね153を挙げたが、付勢手段はこれに限るものではない。例えば、ねじりコイルばね、板ばねなどを付勢手段として用いて、力付与部材152Lを収納位置に、離間保持部材151Lを離間保持位置に付勢してもよい。また、付勢手段の材質は金属やモールドなど、弾性を有し離間保持部材151Lおよび力付与部材152Lを付勢することができればよい。
以上のように、離間当接機構150Lを備えた現像ユニット109は、前述のように非駆動側カートリッジカバー部材117によってドラム保持ユニット108と一体的に結合される(図30状態)。図16に示すように、本実施例の非駆動側カートリッジカバー117は、当接面117cを有する。当接面117cは揺動軸Kに平行な面である。さらに当接面117cは、図16、図30に示すように、非駆動側カートリッジカバー部材117が現像ユニット109とドラム保持ユニット108に組付けられる際に、離間保持位置に位置する離間保持部材151Lの離間保持面151Lcと対向する。
ここでプロセスカートリッジ100は、感光体ドラム104に対して現像ローラ106を当接させるための付勢部材として現像加圧バネ134を有する。現像加圧バネ134は、非駆動側カートリッジカバー部材117のばね掛け部117eと、非駆動側軸受127のばね掛け部127kとの間に組付けられる。現像加圧バネ134の付勢力によって離間保持部材151Lの離間保持面151Lcと非駆動側カートリッジカバー部材117の当接面117cと接触する。そして、当接面117ccと離間保持面151Lcが当接すると、現像ユニット109の有する現像ローラ106と感光体ドラム104との間に隙間P1だけ離間した状態で現像ユニット109の姿勢が位置決めされるように構成される。このように、離間保持部材151Lによって現像ローラ106が感光体ドラム104から隙間P1だけ離間した状態を現像ユニット109の離間位置(退避位置)と称する(図35(a)参照)。
ここでプロセスカートリッジ100の離間状態と当接状態について図35を用いて詳しく説明する。図35はプロセスカートリッジ100が画像形成装置本体170内部に装着された状態で非駆動側から見た側面図である。図35(a)は現像ユニット109が感光体ドラム104に対して離間した状態を表す。図35(b)は現像ユニット109が感光体ドラム104に対して当接した状態を表す。
まず、離間保持部材151Lが離間保持位置に位置して、現像ユニット109が離間位置に位置する状態において、力付与部材152Lの被押込み部152Leを矢印ZA方向へ押込む。このことで力付与部材152Lの突出部152Lhがプロセスカートリッジ100から突出する(図34(a)の状態)。この位置を力付与部材152Lの突出位置と称する。離間保持部材151Lの第二被押圧面151Leは前述のように引張りばね153によって力付与部材152Lの第二押圧面152Lrと当接している。そのため、第二力受け部152Lnを矢印W42方向へ押圧すると、力付与部材152Lは力付与部材揺動軸HEを中心に矢印BD方向へ回転し、離間保持部材151Lを矢印B5方向へ回転させる。離間保持部材151Lが矢印B5方向に回転すると、離間保持面151Lcが当接面117cから離れ、現像ユニット109が離間位置から揺動軸Kを中心に矢印V2方向に回転可能になる。
つまり、離間位置からV2方向に現像ユニット109が回転し、現像ユニット109が有する現像ローラ106が感光体ドラム104と当接する。ここで、現像ローラ106と感光体ドラム104が当接する現像ユニット109の位置を当接位置(現像位置)と称する(図34(b)の状態)。なお、この離間保持部材151Lの離間保持面151Lcが当接面117cと離れる位置を、離間解除位置(許容位置)と称する。現像ユニット109が当接位置に位置するとき、離間保持部材151Lの第二規制面151Lkが駆動側カートリッジカバー116の第二規制面117dと当接することで、離間保持部材151Lは離間解除位置に維持される。
また、本実施例の非駆動側軸受127は、揺動軸Kと直交する面である第一被押圧面127hを有している。非駆動側軸受127は現像ユニット109に固定されているので、現像ユニット109が当接位置の状態で力付与部材152Lの第一力受け部152Lkを矢印41方向へ押圧する。すると、第一押圧面152Lqが第一被押圧面127hと当接することで、現像ユニット109が揺動軸Kを中心に矢印V1方向に回転し、離間位置に移動する(図34(a)の状態)。ここで、現像ユニット109が当接位置から離間位置に移動するとき、第一被押圧面127hが移動する方向を図34(a)、(b)中に矢印W41で示す。また、矢印W41の反対方向が矢印W42であり、矢印W41と矢印W42は略水平方向(X1、X2方向)である。上述したように現像ユニット109に組付けられた力付与部材152Lが有する第二力受け面152Lpは、この矢印W41方向において、非駆動側軸受127の第一被押圧面127hの上流側に位置する。さらに、第一被押圧面127hと離間保持部材151Lの第二力受け面151LeはW1、W2方向において少なくとも一部が重なる位置に配置される。
離間当接機構150Lの画像形成装置本体170内での動作については次に説明する。
[プロセスカートリッジの画像形成装置本体への装着]
次に図35と図36を用いて、プロセスカートリッジ100が画像形成装置本体170に装着される際の、プロセスカートリッジ100の離間当接機構150Rと画像形成装置本体170の現像離間制御ユニット196の係合動作について説明する。なおこれらの図は説明のため、現像カバー部材128の一部と非駆動側カートリッジカバー部材117の一部を、それぞれ部分断面線CSにて部分的に省略した断面図である。図35は、画像形成装置Mの図示しないカートリッジトレイ171にプロセスカートリッジ100が装着され、カートリッジトレイ171が第一装着位置に挿入された際の、プロセスカートリッジ100の駆動側から見た図である。この図では、プロセスカートリッジ100とカートリッジ押圧ユニット121と離間制御部材196L以外を省略して図示している。
先に説明したように、本実施例の画像形成装置本体170は、前述のように各プロセスカートリッジ100に対応して、離間制御部材196Lを有している。離間制御部材196Lは、プロセスカートリッジ100が第一内側位置および第二内側位置に位置する際に、離間保持部材151Lよりも画像形成装置本体170の下面側に配置される。離間制御部材196Lはプロセスカートリッジ100に向かって突出し、空間196Rdを介して互いに向かい合う第一力付与面196Laと第二力付与面196Lbを有する。第一力付与面196Raと第二力付与面196Rbは画像形成装置本体170下面側にて連結部196Rcを介して連結している。また離間制御部材196Rは回動中心196Reを中心として、制御板金197に回転自在に支持されている。離間部材196Rは付勢バネにより常にE1方向に付勢されている。また、制御板金197が不図示の制御機構によりW41、W42方向に移動可能に構成されることにより、離間制御部材196RはW41、W42方向に移動可能に構成される。
前述のように画像形成装置本体170の前ドア11が開状態から閉状態に移行するのと連動して、カートリッジ押圧ユニット121が矢印ZA方向へ降下し、第一力付与部121aが力付与部材152Lの被押込み面152Lfと当接する。その後第二装着位置である所定位置までカートリッジ押圧ユニット121が降下すると、力付与部材152Lの152Lhがプロセスカートリッジ100のZ2方向下方へ突出する突出位置へ移動する(図36の状態)。この動作が完了すると、図36に示すように離間制御部材196Lの第一力付与面196Laと力付与部材152Lの第一力受け面152Lpとの間に隙間T4が、第二力付与面196Lbと第二力受け面152Lpとの間に隙間T3が形成される。そして、力付与部材152Lに対して離間制御部材196Lが作用しない第二装着位置に位置する。なお離間制御部材196Lのこの位置をホーム位置と称する。この時、力付与部材152Lの第一力受け面152Lpと離間制御部材196Lの第一力付与面196Laは、W1、W2方向において、一部が重なるように配置されている。同じく、力付与部材152Lの第二力受け面152Lpと離間制御部材196Lの第二力付与面196Lbは、W1、W2方向において、一部が重なるように配置されている。
[現像ユニットの当接動作]
次に、離間当接機構150Lによる感光体ドラム104と現像ローラ106が当接する動作について図36〜図38を用いて詳細に説明する。なおこれらの図は説明のため、現像カバー部材128の一部と非駆動側カートリッジカバー部材117の一部と非駆動側軸受127の一部を、それぞれ部分断面線CSにて部分的に省略した断面図である。
先に説明したように、現像入力カップリング32は画像形成装置本体170から図24矢印V2方向に駆動力を受け、現像ローラ106が回転する。つまり、現像入力カップリング32を有する現像ユニット109は、画像形成装置本体170から揺動軸Kを中心に矢印V2方向のトルクを受ける。さらに現像ユニット109は、前述の現像加圧バネ134による付勢力によって矢印V2方向へ付勢力も受けている。
図36に示すように現像ユニット109が離間位置で、離間保持部材151Lが離間保持位置において、現像ユニット109がこのトルクおよび現像加圧バネ134による付勢力を受ける。この場合であっても、離間保持部材151Lの離間保持面151Lcが非駆動側カートリッジカバー部材117の当接面117cに当接し、現像ユニット109の姿勢は離間位置に維持される(図36の状態)。
本実施例の離間制御部材196Lはホーム位置から、図36の矢印W41方向に移動可能に構成されている。離間制御部材196LがW41方向に移動すると、離間制御部材196Lの第二力付与面196Lbと力付与部材152Lの第二力受け面152Lpが当接し、力付与部材152Lが力付与部材揺動軸HDを回転中心としてBD方向へ回転する。さらに力付与部材152Lの回転に伴って、力付与部材152Lの第二押圧面152Lrが離間保持部材151Lの第二被押圧面151Leと当接しながら、離間保持部材151LをB5方向へ回転させる。そして離間保持部材151Lは、離間保持面151Lcと当接面117cとが離れる離間解除位置まで力付与部材152Lによって回転される。ここで図37に示す、離間保持部材151Lを離間解除位置まで移動させる離間制御部材196Lの位置を第一位置と称する。
このように離間制御部材196Lによって離間保持部材151Lが離間解除位置に移動する。すると、現像ユニット109は画像形成装置本体170から受けるトルクと現像加圧バネ134の付勢力によってV2方向に回転し、現像ローラ106と感光体ドラム104が当接する当接位置まで移動する(図37の状態)。この時、引張りばね153によって矢印B4方向に付勢される離間保持部材151Lは、第二被規制面151Lkが非駆動側カートリッジカバー部材117の第二規制面117dに当接することで離間解除位置に維持される。その後離間制御部材196LはW42方向へ移動しホーム位置へ戻る。この時、力付与部材152Lは引張りばね153によってBC方向へ回転し、力付与部材152Lの第一押圧面152Lqと非駆動側軸受127の第一被押圧面127hが当接した状態へ移行する(図38の状態)。これによって前述の隙間T3とT4が再度形成され、力付与部材152Lに対して離間制御部材196Lが作用しない位置に位置する。尚、図37の状態から図38の状態へ遷移は時間を置かずに行われる。尚、図38の離間制御部材196Lの位置は図36の状態と同じである。
以上のように本実施例構成では、離間制御部材196Lがホーム位置から第一位置に移動することで、力付与部材152Lを回転させ離間保持部材151Lを離間保持位置から離間解除位置に移動させることができる。これによって現像ユニット109が離間位置から現像ローラ9と感光体ドラム104が当接する当接位置まで移動することが可能となる。
[現像ユニットの離間動作]
次に、現像ユニット109の当接位置から離間位置へ移動する動作について、図38と図39を用いて詳細に説明する。なお図39は説明のため、現像カバー部材128の一部と非駆動側カートリッジカバー部材117の一部と非駆動側軸受127の一部を、それぞれ部分断面線CSにて部分的に省略した断面図である。
本実施例における離間制御部材196Lはホーム位置から図38の矢印W42方向に移動可能に構成されている。離間制御部材196LがW42方向に移動すると、第一力付与面196Lbと力付与部材152Lの第一力受け面152Lmが当接し、力付与部材揺動軸HDを中心に力付与部材152Lが矢印BC方向へ回転する。そして力付与部材152Lの第一押圧面152Lqが非駆動側軸受127の第一被押圧面127hと当接しているため、現像ユニット109は当接位置から揺動軸Kを中心に矢印V1方向へ回転する(図39の状態)。なおこの時、力付与部材152Lの被押込み面152Lfは円弧形状を成しているが、この円弧の中心は揺動軸Kと一致するよう配置される。これによって現像ユニット109が当接位置から離間位置へと移動する際に、力付与部材152Lの被押込み面152Lfがカートリッジ押圧ユニット121から受ける力は揺動軸K方向を向く。そのため、現像ユニット109の矢印V1方向への回転を妨げないよう動作させることができる。離間保持部材151Lは、離間保持部材151Lの第二被規制面151Lkと非駆動側カートリッジカバー部材117の第二規制面117dが離れ、離間保持部材151Lは引張りばね153の付勢力によって矢印B4方向に回転する。これによって離間保持部材151Lは、第二被押圧面151Leが力付与部材152Lの第二押圧面152LRと当接するまで回転し、当接することで離間保持位置に移行する。現像ユニット109が離間制御部材196Lによって当接位置から離間位置方向に移動し、離間保持部材151Lが離間保持位置に位置するとき、図39に示すように離間保持面151Lcと当接面117cの間には隙間T5が形成される。ここで、現像ユニット109を当接位置から離間位置方向に回転させ、離間保持部材151が離間保持位置に移動可能となる位置を、離間制御部材196Lの第二位置と称する。
そしてその後、離間制御部材196Lが矢印W41方向に移動して、第二位置からホーム位置に戻る。すると、離間保持部材151Lは離間保持位置を維持されたまま、現像ユニット109は画像形成装置本体170から受けるトルクと現像加圧バネ134の付勢力によって矢印V2方向に回転し、離間保持面151Lcと当接面117cが当接する。つまり、現像ユニット109は離間保持部材151Lによって離間位置を維持した状態になり、現像ローラ106と感光体ドラム104が隙間P1だけ離れた状態になる(図36および図34(a)の状態)。なおこれによって前述の隙間T3とT4が再度形成され、力付与部材152Lに対して離間制御部材196Lが作用しない位置に位置する(図36の状態)。尚、図39の状態から図36の状態への遷移は時間を置かずに実行される。
以上のように本実施例構成では、離間制御部材196Lがホーム位置から第二位置に移動することで、離間保持部材151Lが離間解除位置から離間保持位置に移動する。そして、離間制御部材196Lが第二位置からホーム位置に戻ることで、現像ユニット109が離間保持部材151Lによって離間位置を維持する状態になる。
これまで、プロセスカートリッジ100の駆動側に位置する離間機構の動作と、非駆動側に位置する離間機構の動作とを別々に説明したが、本実施例ではこれらは連動して動作する。つまり、離間保持部材Rによって現像ユニット109が離間位置に位置する際には、離間保持部材Lによって現像ユニット109が離間位置に位置することと略同時に生じており、また当接位置においても同様である。具体的には、図23から図27と、図35から図39で説明した離間制御部材121Rおよび離間制御部材121Lの移動は、図示しない連結機構によって一体的に移動する。これによって、駆動側に位置する離間保持部材151Rが離間保持位置に位置するタイミングと非駆動側に位置する離間保持部材151Lが離間保持位置に位置するタイミング、及び、離間保持部材151Rが離間解除位置に位置するタイミングと離間保持部材151Lが離間解除位置に位置するタイミングはそれぞれ略同時である。なおこれらのタイミングは、駆動側と非駆動側とでずれていてもよいが、ユーザーが印刷ジョブを開始してから印刷物が排出されるまでの時間を短くするためには、少なくとも離間解除位置に位置するタイミングは同時であることが望ましい。なお本実施例では離間保持部材151Rと離間保持部材151Lの離間保持部材揺動軸Hは同軸であるとしたが、上述のように離間解除位置に位置するタイミングが略同時となれば良く、これに限るものでは無い。同様に力付与部材152Rの力付与部材揺動軸HCと、力付与部材152Lの力付与部材揺動軸HEは一致しない軸であるが、上述のように離間解除位置に位置するタイミングが略同時となれば良く、これに限るものでは無い。
以上のように駆動側と非駆動側とに同様の離間当接機構を有し、それらが略同時に動作する。これによって、プロセスカートリッジ100が長手方向においてねじれたり変形したりした場合でも、感光体ドラム104と現像ローラ9との離間量を長手方向の両端部で制御することができる。そのため、長手方向において離間量のばらつきを抑えることができる。
また、本実施例によれば、離間制御部材196R(L)をホーム位置、第一位置、第二位置の間を一方向(矢印W41、W42方向)に移動させることで、現像ローラ106と感光体ドラム104の当接状態と離間状態を制御することができる。よって、画像形成を行うときのみ現像ローラ106を感光体ドラム104に当接させ、画像形成を行わないときは現像ローラ4を感光体ドラム104から離間させた状態を維持できる。従って、画像形成を行わない状態で長期間放置されても、現像ローラ106と感光体ドラム104が変形することがなく、安定した画像形成を行うことができる。
また、本実施例によれば、離間保持部材151R(L)に作用して回転移動をさせる力付与部材152R(L)は、引張りばね153等の付勢力によって収納位置に位置することができる。そのため、画像形成装置本体170の外にプロセスカートリッジ100が存在する際に、プロセスカートリッジ100の最外形から突出することなく、プロセスカートリッジ100単体として小型化を実現することができる。
また、同じく力付与部材152R(L)は、引張りばね153等の付勢力によって収納位置に位置することができる。そのため、プロセスカートリッジ100を画像形成装置本体170に装着する際、プロセスカートリッジ100を一方向のみの移動で装着完了することができる。そのため、プロセスカートリッジ100(トレイ171)を上下方向に移動しなくてよい。従って、画像形成装置本体170に余分なスペースが必要なく本体の小型化を実現することができる。
また、本実施例によれば、離間制御部材196R(L)がホーム位置に位置する際、離間制御部材196R(L)にはプロセスカートリッジ100から負荷がかからない。そのため、離間制御部材196R(L)や離間制御部材196R(L)を動作させる機構に必要な剛性を小さくすることができ、小型化することができる。また、離間制御部材196R(L)を動作させる機構の摺動部への負荷も小さくなるため、摺動部の摩耗や異音の発生を抑制することできる。
さらに、本実施例によれば、現像ユニット109はプロセスカートリッジ100が有する離間保持部材151R(L)のみで離間位置を維持できる。そのため、現像ローラ106と感光体ドラム104の離間量にばらつきをもたらす部品点数を少なくすることで部品公差を小さくでき、離間量を最小限にすることができる。離間量が少なくできるため、画像形成装置本体170内にプロセスカートリッジ100を配置した際に、現像ユニット109が当接位置および離間位置に移動する際の現像ユニット109の存在領域が小さくなることで画像形成装置の小型化が実現できる。加えて当接位置および離間位置に移動する現像ユニット109の現像剤収容部29のスペースを大きくすることができるため、小型化かつ大容量のプロセスカートリッジ100を画像形成装置本体170に配置することができる。
更に本実施例によれば、同じく力付与部材152R(L)は、プロセスカートリッジ100の装着時に収納位置に位置することができ、かつ、現像ユニット109はプロセスカートリッジ100が有する離間保持部材151R(L)のみで離間位置を維持できる。そのため、プロセスカートリッジ100を画像形成装置本体170に装着する際、プロセスカートリッジ100を一方向のみの移動で装着完了することができる。そのため、プロセスカートリッジ100(トレイ171)を上下方向に移動しなくてよい。従って、画像形成装置本体170に余分なスペースが必要なく本体の小型化を実現することができる。また、離間量が少なくできるため、画像形成装置本体170内にプロセスカートリッジ100を配置した際に、現像ユニット109が当接位置および離間位置に移動する際の現像ユニット109の存在領域が小さくなることで画像形成装置の小型化が実現できる。加えて当接位置および離間位置に移動する現像ユニット109の現像剤収容部29のスペースを大きくすることができるため、小型化かつ大容量のプロセスカートリッジ100を画像形成装置本体170に配置することができる。
[離間当接機構の配置詳細]
続いて、本実施例における離間当接機構R、Lの配置についての図40、図41を用いて詳細に説明する。
図40は、プロセスカートリッジ100を現像ユニット109の揺動軸K(感光体ドラム軸線方向)に沿って駆動側から見た離間保持部材151R周辺の拡大図である。加えて、説明のため現像カバー部材128の一部と駆動側カートリッジカバー部材116の一部を部分断面線CSにて部分的に省略した断面図である。図41は、プロセスカートリッジ100を現像ユニット109の揺動軸Kに沿って(感光体ドラム軸線方向の軸線に沿って)非駆動側から見た離間保持部材151R周辺の拡大図である。加えて、説明のため現像カバー部材128の一部と駆動側カートリッジカバー部材116の一部を部分断面線CSにて部分的に省略した断面図である。尚、以降に説明する離間保持部材および力付与部材の配置に関しては、後に詳細を説明する部分を除いて、駆動側と非駆動側の区別は無くどちらも共通しているため説明は駆動側のみとし、非駆動側も同様である。
図40に示すように、感光体ドラム104の回転中心を点M1とし、現像ローラ106の回転中心を点M2をとし、点M1と点M2を通る線を線Nとする。また、離間保持部材151Rの離間保持面151Rcと駆動側カートリッジカバー部材116の当接面116cとの接触領域をM3とし、離間保持部材151Rの第二被押圧面151Reと力付与部材152Rの第二押圧面152Rrとの接触領域をM4とする。さらに、現像ユニット109の揺動軸Kと点M2との距離を距離e1とし、揺動軸Kと領域M3との距離を距離e2とし、揺動軸Kと点M4との距離を距離e3とする。
本実施例構成では、現像ユニット109が離間位置、かつ、力付与部材152R(L)が突出位置にある時以下の位置関係にある。つまり、図40に示す揺動軸Kの軸線方向(感光体ドラムの軸線方向)に沿って見たとき、離間保持部材151Rと駆動側カートリッジカバー部材の接触領域M3の少なくとも一部は、感光体ドラム104中心と現像ローラ106中心とを通る線Nを挟んで、現像カップリング32中心(揺動軸K)が配置された領域と反対側の領域に配置されている。つまり、離間保持部材151Rの離間保持面151Rcは、距離e2が距離e1よりも長くなるように配置されている。
このように離間保持部材151Rと離間保持面151Rcを配置することで、離間保持面151Rcの位置が部品公差等によってばらついたときに、現像ユニット109の離間位置の姿勢のばらつきを小さく抑えることができる。つまり、現像ローラ106と感光体ドラム104の離間量(隙間)P1(図42(a)参照)に対して、離間保持面151Rcのばらつきの影響を極力小さくすることができ、精度よく現像ローラ106と感光体ドラム104を離間することができる。また、現像ユニット109の離間時に退避するスペースを余分に持つ必要がなく、画像形成装置本体170の小型化に繋がる。
また、力付与部材152R(L)の力受け部である第一力受け部152Rk(Lk)と第二力受け部152Rn(Ln)は線Nの延長線を挟んで現像カップリング32の回転中心と反対側に配置されている。
これまで説明したように力受け部152Rk(Lk)、152Rn(Ln)は長手方向端部に配置されている。また、長手方向端部には、図15(図16)に示すように、現像ユニット109の支持部である円筒部128b(127a)が配置されている。従って、力受け部152Rk(Lk)、152Rn(Ln)を現像ユニット109の円筒部128b(127a)(つまり、揺動軸K)と線Nと反対側の位置に配置することにより、効率的に機能部を配置することができる。つまり、プロセスカートリッジ100、画像形成装置Mの小型化に繋がる。
加えて、力受け部152Rk、152Rnは長手方向駆動側端部に配置されている。また、長手方向駆動側端部には、図15に示すように、画像形成装置本体170から駆動を受け、現像ローラ106を駆動する現像駆動入力ギア132が設けられている。図40に示すように力付与部材152Rk、152Rnは線Nの延長線を挟んで、破線で示す現像駆動入力ギア132(現像カップリング部132a)の回転中心Kと反対側に配置されている。この配置により、効率的に機能部を配置することができる。つまり、プロセスカートリッジ100、画像形成装置Mの小型化に繋がる。
さらに、離間保持部材151Rと力付与部材152Rとの接触部は、距離e3が距離e1よりも長くなるように配置されている。これにより、より軽い力で離間保持部材151Rと駆動側カートリッジカバー部材116を接触させることができる。つまり、現像ローラ106と感光体ドラム104の離間を安定的に行うことが可能となる。
[感光体ドラムへの駆動伝達機構の詳細説明]
画像形成装置本体からカートリッジ100のドラムユニット103(図1(a)参照)に駆動力を伝達し、ドラムユニット103を駆動(回転)させるための構成について説明する。
図1、図13、図55から図58に示されるドラムユニット103は、感光体ドラムとドラムカップリング(カートリッジ側カップリング、カップリング部材)143、ドラムフランジ142(図13参照)を有するユニットである。ドラムユニット103はカートリッジ100の一部として画像形成装置本体に対して着脱可能である。ドラムユニット103は、装置本体に装着されることによって、装置本体に設けられた駆動伝達ユニット203(図43、44参照。詳細は後述する)と連結し得るように構成されている。ドラムユニット103は画像形成時に矢印A方向に回転する(図1、図55乃至図57参照)。本実施例では、ドラムユニット103の駆動側(ドラムカップリング143がある側)を見た際、すなわちドラムユニット103を矢印M1B方向に沿って見た際に、ドラムユニット103の回転方向は時計方向に相当する(図1参照)。別のいい方をすると、ドラムカップリング143の正面をみた際、ドラムカップリング143の回転方向Aは時計方向に相当する。
ドラムユニット(ドラムカップリング143と感光体ドラム104)の回転方向Aを感光体ドラム104の表面の動きを用いて説明すると、以下のようになる(図2、図3参照)。なお図2、図3では、図1とは異なり、カートリッジを非駆動側からみているのでドラムユニット103の回転方向Aは反時計方向である。
図3に示すように、感光体ドラム104の表面は、カートリッジの内部にて帯電ローラ105の近傍の位置(帯電ローラに接触する位置の周囲)で帯電される。その後、感光体ドラム104の表面はレーザー光Uを受ける位置に移動し、表面に静電潜像が形成される。さらにその後、感光体ドラム104の表面は、現像ローラ106の近傍の位置(本実施例では現像ローラに接触する位置)に移動し、感光体ドラム104の表面に形成された潜像がトナー像として現像される。その後、感光体ドラム104の表面は、カートリッジの下方かつカートリッジのケーシングの外部に露出する位置に移動する。すると、図2で示すようにカートリッジのケーシングから露出した感光体ドラム104の表面は、画像形成装置本体に設けられた中間転写ベルト12aに接触する。その結果、感光体ドラム104の表面からトナー像が転写ベルト12aへ転写される。その後、感光体ドラム104の表面は、再度、カートリッジの内部に戻って帯電ローラ105の近傍の位置に移動する。
まとめると、カップリング143が駆動力を受けて感光体ドラム104が回転すると、感光体ドラム104の表面は、帯電ローラ105に近接する位置から、現像ローラ106に近接する位置に移動する。そののち、感光体ドラム104の表面は、カートリッジのケーシングの外部に露出し、その後、カートリッジのケーシングの内部に戻って、再度、帯電ローラ105に近接する。
上記したように本実施例のカートリッジ100は、感光体ドラム104に接触して感光体ドラム104表面のトナーを除去するためのクリーニング手段を有していない(図3参照)。そのため、カートリッジ100内部でドラムユニット103(感光体ドラム104)を回転させるために必要なトルクが比較的小さい。このような構成の場合には、ドラムユニット103はその駆動時に周囲からの影響を受けやすく、その結果、ドラムユニット103は外部からの影響をうけて、その回転速度が不安定になる可能性がある。たとえば、本実施例では感光体ドラム104に現像ローラ106や、帯電ローラ105、転写ベルト12aが接触している。これらと感光体ドラム104の間に生じる摩擦力の大きさに変動が生じるなどすると、ドラムユニット103の速度が変動する可能性がある。
そこで本実施例では、装置本体に設けられた駆動伝達ユニット203(図43参照)のドラム駆動カップリング180がカートリッジのドラムユニット103(感光体ドラム104)を回転させる際に、一定以上のトルクが必要になるようにしている。その結果、ドラムユニット103の回転は、外部からの影響を相対的に受けにくくなり、その回転速度が安定する。
まずプロセスカートリッジ100のドラムカップリング143について図1(a)を用いて説明する。図1(a)は、ドラムカップリングの斜視図である。
本実施例のドラムカップリング143はポリアセタール樹脂を射出成型にて製造したものである。材料には、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の樹脂材料、またはこれらにガラス繊維、カーボン繊維等を配合した樹脂材料を用いてもよい。または、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属材料で、ダイキャスト、切削等の加工方法を用いてもよい。
次に、ドラムカップリング143の形状について図1、図55から図58を用いて説明する。
以下のドラムカップリング143に関する説明において、軸線方向に沿って感光体ドラム104から駆動伝達ユニット230(ドラム駆動カップリング180)に向かう向き(矢印M1Aの向き)を軸線方向における外側向き(外向き)とよぶ。また外側向きとは逆の向き(矢印M1Bの向き)を軸線方向における内側向きとよぶ。
別の言い方をすると、ドラムカップリングにおいて、軸線方向の外向き(M1A方向)とは、感光体ドラム104の非駆動側の端部104bから駆動側の端部104aに向かう向きでる(図80における左向き)。あるいは、軸線方向の外向き(M1A方向)とは、図14においては、カートリッジ100の非駆動側カートリッジカバー117から駆動側カートリッジカバー116に向かう向きである。
軸線方向内向き(M1B方向)とは、感光体ドラム104の駆動側の端部104aから、非駆動側の端部104bに向かう向きである(図80における右向き)。あるいは、軸線方向の内向き(M1B方向)とは、図14においては、カートリッジ100の駆動側カートリッジカバー116から非駆動側カートリッジカバー117に向かう向きである。
図1(b)に示すように、ドラムカップリング143は、感光体ドラム104の長手一端(駆動側端部)に取り付けられている。先に説明したように図1に示す軸部143jは、感光体ドラムユニット103を支持する駆動側カートリッジカバー部材116(図15参照)によって回転可能に支持される。ドラムユニット103は、感光体ドラム表面の潜像が現像される画像形成時には、所定の回転方向(矢印A方向)に回転するように構成されている。
ドラムカップリング143は、装置本体の本体駆動伝達ユニット203から感光体ドラム104を回転するための駆動力を受けるとともに、感光体ドラム104の回転に負荷を加えるためのブレーキ力も合わせて受けうるように構成されている。
ドラムカップリング143は、軸部143jの端部の面から突起が軸線方向の外側に向かって突出している(図1、図52乃至図57参照)。この突起は、駆動伝達ユニット203から駆動力を受け取る第一側面(第1側部)としての駆動力受け部143bを有する。また、ドラムカップリング143の前記突起は、駆動伝達ユニット203からブレーキ力を受け取る第二側面(第2側部)としてのブレーキ力受け部143cを有する。
駆動力受け部143bは、ドラムユニットの回転方向Aにおいて上流側に面する側面(側部)である。またブレーキ力受け部143cは回転方向Aにおいて下流側に面する側面(側部)である。
別の言い方をすると、駆動力受け部143bとブレーキ力受け部143cの一方は、ドラムユニットの円周方向の一方側に面しており、他方は円周方向の他方側に面している。つまり駆動力受け部143bとブレーキ力受け部143cは、回転方向や円周方向において互いに反対向きに面した側面(側部)である。
さらにドラムカップリング143の前記突起は、天面(上面、上側部、上部)としてのらせん状斜面(傾斜部、スロープ)143dを有する。斜面(天面)143dは、軸線方向における外向き(矢印MA1方向)に面する部分である。つまり斜面143dは、ドラムユニットの非駆動側の端部(すなわちドラムフランジ142(図13)が配置された側の端部)とは反対側に向かって面する部分である。別の言い方をすると、カップリング143のらせん状斜面(天面)143dは、感光体ドラム104が位置する側とは反対向きに面する部分である。
らせん状斜面143dは、回転方向の上流側(矢印A方向の上流側)に向かうにつれて、軸線方向の外向き(矢印MA1方向)に向かうように傾斜している。つまり、斜面143dは、回転方向の上流側に向かうにつれて、ドラムユニット103の非駆動側から遠ざかる向きに向かって移動する。別の言い方をすると斜面143dは、回転方向の上流側に向かうにつれて、感光体ドラムから遠ざかるように傾斜している。
さらに別の言い方をすると、らせん状斜面143dは、回転方向の上流から下流に向かうにつれて、ドラムユニット103やカートリッジの非駆動側の端部に近づくように延びている。さらに別の言い方をすると、カートリッジの非駆動側の端部かららせん状斜面143dの距離を軸線方向に沿って測ると、その距離は、回転方向の下流に向かうにしたがって短くなる。
らせん状斜面143dは、ドラムユニットの回転方向において、駆動力受け部143bとブレーキ力受け部143cの間に挟まれている下流側の部分(下流側天面、下流側斜面、下流側傾斜部、下流ガイド)143d1を有する。また斜面143dは、上流側の部分(上流側天面、上流側斜面、上流側傾斜部、上流ガイド)143d2を有している。らせん状斜面143dの上流側部分143d2は、駆動力受け部143bやらせん状斜面143dの下流側部分143d1に対して回転方向の上流に位置している(図55〜58参照)。
またドラムユニットの回転方向に沿って斜面143dの長さを測ったときに、上流側上流側斜面143d2の長さは、下流側斜面143d1の長さよりも大きい。
斜面143dの上流側の部分(上流側斜面)143d2は、径方向において駆動力受け部143bよりも内側(軸線Lに近い側)に配置される。つまり駆動力受け部143bよりも、斜面143dの上流側部分(上流側天面、上流側斜面)143d2の方が軸線L(図1(a))の近くに配置される。軸線L(図1(a))は、カップリング143や感光体ドラム104の回転中心となる軸線(回転軸線)である。
更に、ドラムカップリング143の前記突起は、ドラム駆動カップリング180の位置決めボス(位置決め部)180iと係合してお互いの軸を位置決めするための開口部としての円孔部143aが設けられている。円孔部143aは、ドラムカップリング143の軸線Lと直交する断面の形状が円形の開口であり、軸線Lに沿って配置されている。
ドラムカップリング143の前記突起は、軸線L(図1(a)参照)に沿って形成された軸部143p(図1参照)を有し、その軸部143pの内部に円孔部143aが形成されている。軸部143pは円孔部143aを形成するための軸部である。
軸部143p、円孔部143aは軸線L上に配置されている。円孔部143aが形成されることによって、ドラムユニットの回転軸線L(図1(a)参照)からドラムカップリング143の内面までの間は開放された空間とされている。なお、軸部143pは前述の軸部143jよりも径が小さい。
上記したドラムカップリング143は、軸線L(図1(a)参照)に対して対称形状(軸対称形状)である。駆動力受け部143b、ブレーキ力受け部143c、らせん状斜面143dは周方向に180°離れるようにそれぞれ2か所に配置され、それぞれ第1カップリング部143r、第2カップリング部143s(図58参照)を形成している。
各カップリング部は、駆動力受け部143b、ブレーキ力受け部143c、らせん状斜面143dをひとつずつ有しており、第1カップリング部143rと第2カップリング部143sが軸線に対して対称な位置に配置されている。
駆動力受け部143b、ブレーキ力受け部143c、らせん状斜面143dは、前述の円孔部143aや、軸部143pの周囲に配置されている。駆動力受け部143b、ブレーキ力受け部143c、らせん状斜面143dは、ドラムユニットの軸線Lに対して、円孔部143aや軸部143pよりも遠くに位置している。
次に、図43、図44、図59を用いて装置本体側に設けられた本体側駆動伝達ユニット203の構成について説明する。駆動伝達ユニット203は、ドラムカップリング143に連結(係合)して、ドラムカップリング143を回転駆動させるためのユニットである。
図43は、本体側駆動伝達ユニット203の分解斜視図である。図59は、図43に示した一部を拡大した斜視図である。図44は、本体側駆動伝達ユニット203の断面図である。
駆動ギア201は、装置本体170のフレーム(不図示)に固定された支持軸202に回転可能に支持され、不図示のモーターから駆動力が伝達されて回転する。ドラム駆動カップリング180は、円筒部180cと、その端部に設けられたフランジ部180aがあり、フランジが駆動ギア201の嵌合部201aと嵌合して支持される。また、ドラム駆動カップリング180には、フランジ部180aから回転止部180bが設けられ、駆動ギア201の回転止部201bと接触して回転するときの駆動力を受ける。駆動伝達ユニット203は、ドラム駆動カップリング180の円筒部180cの内部に複数の部品を有している。
円筒部180cの内部に配置されている部品は、以下のものがある。支持軸202に支持および回転止めされているブレーキ部材206、ブレーキ部材206と連結してブレーキ力を伝達するブレーキ伝達部材207、ドラムカップリング143のブレーキ力受け面143cと係合する第1および第2ブレーキ係合部材204、208、ならびに、軸線M1に沿って配置され、軸線M1の方向(軸線方向)への付勢力を発生させるブレーキ係合バネ211およびドラム駆動カップリングバネ210がある。なお軸線M1は、本体側駆動伝達ユニット203の回転軸線である。
本体駆動伝達ユニット203の内部に配置されている部品の各々の形状について説明する。
第1ブレーキ係合部材204は、円筒部204dとフランジ部204a、爪状に突出してドラムカップリング143と係合するカップリング係合部204bから形成される。円筒部の一部には後述する第2ブレーキ係合部材208の回転止凸部208cと係合する回転止凹部204cがある。
第2ブレーキ係合部材208は、フランジ部208aと、爪状に突出してドラムカップリング143と係合するカップリング係合部208bと、第1ブレーキ係合部材204の回転止凹部204cと係合する回転止凸部208cが設けられている。第2ブレーキ係合部材208は第1ブレーキ係合部材204に対する回転が止められているので、第1、第2ブレーキ係合部材204、208は一体的に回転する。また、第1および第2ブレーキ係合部材204、208は軸線方向にも一体的に移動するように連結されている。
したがって第1および第2ブレーキ係合部材204、208を総称して、単にブレーキ係合部材(204,208)と呼ぶことがある。
なお、第1ブレーキ係合部材204は径方向において外側に配置された外側ブレーキ係合部材であり、第2ブレーキ係合部材208は径方向において内側に配置された内側ブレーキ係合部材である。
ブレーキ伝達部材207は、フランジ部207aと軸部207bとからなる。フランジ部207aには第1ブレーキ係合部材204のフランジ部204aに設けられた凸部204eと係合する突起207eが設けられている。ブレーキ伝達部材207は、そのフランジ部207aが、第1ブレーキ係合部材204のフランジ部204aと第2ブレーキ係合部材208のフランジ部208aの間に配置され、軸線方向にガタ(隙間)Gをもって挟まれている(図44)。軸線方向M1Aにおいて、ブレーキ伝達部材207が第1ブレーキ係合部材204に対して、突起207e(図43、図59参照)を凸部204eに係合させる位置にある場合、ブレーキ伝達部材207と第1、第2ブレーキ係合部材204、208は一体的に回転する。一方、軸線方向においてブレーキ伝達部材207が第1ブレーキ係合部材204に対して、突起207eを凸部204eに係合させない位置にある場合には、ブレーキ伝達部材207は、第1、第2ブレーキ係合部材204、208の回転を制限しない。第1、第2ブレーキ係合部材204、208はブレーキ伝達部材207に対して回転自在である。軸部207bは断面が非円形であり、後述するブレーキ部材206の係合穴206cと係合してブレーキ伝達部材207とブレーキ部材206を一体的に回転させるようにする。
ブレーキ部材206は固定側206aと回転側206bで二分割されているが、軸線方向には不図示の抜け止によって一体化されている。固定側206aは、支持軸202に支持され、軸周りの回転も固定されている。一方、回転側206bは支持軸202周りに回転可能だが、固定側206aから回転方向のブレーキ力(負荷)を受けながら回転する。ブレーキ力の発生方法は、摩擦、粘性、など適宜選ぶことができる。
ブレーキ係合部材(204、208)は、上記したようにブレーキ伝達部材207を介してブレーキ部材206と連結している。そのため、ブレーキ係合部材(204、208)の回転トルクは、ブレーキ部材206が生じる負荷(ブレーキ力)の影響で増大する。ブレーキ係合バネ211は、圧縮コイルバネであって、ブレーキ部材206の端面206dと第1ブレーキ係合部材204のフランジ部204aに挟まれて圧縮されるように配置されている。その結果、バネ211はブレーキ部材206の端面206dと第1ブレーキ係合部材204のフランジ部204aのそれぞれに反発力(付勢力、弾性力)を与えている。
ドラム駆動カップリングバネ210は、圧縮コイルバネであって、ブレーキ部材206の端面206dとブレーキ伝達部材207のフランジ部207aに挟まれて圧縮されるように配置される。その結果、バネ210は、ブレーキ部材206の端面206dとブレーキ伝達部材207のフランジ部207aそれぞれに反発力(付勢力、弾性力)を与えている。
ブレーキ伝達部材207は、ブレーキ係合バネ211の反発力を第1ブレーキ係合部材204のフランジ204aを介して受けつつ、ドラム駆動カップリングバネ210の反発力を直接受け取っている。ブレーキ伝達部材207の軸線方向M1A端部にある突起207fは、ドラム駆動カップリング180の付き当て面180fに突き当たる(図44参照)。
これによりドラム駆動カップリング180もブレーキ伝達部材207を介してドラム駆動カップリングバネ210とブレーキ係合バネ211の力を受ける。ドラム駆動カップリング180は、バネ210、211の力によって移動しようとする。そのため、ドラム駆動カップリング180は矢印M1Bの移動を軸線方向規制部212(図44参照)によって規制(制限)されて、ドラム駆動カップリング180が本体側駆動伝達ユニット203から脱落しないようにされている。具体的には、ドラム駆動カップリング180が一定の距離、矢印M1Bに移動すると、ドラム駆動カップリング180のフランジ部180a(図43参照)が、規制部212(図44参照)に接触する。これによって、ドラム駆動カップリング180の移動、脱落が抑えられる。
なお、この状態でドラム駆動カップリング180がその外部から矢印M1A方向の力を受けると、バネ210、211を圧縮させながら矢印M1A方向に移動可能である。
また、ブレーキ係合部材(204、208)がカップリング143との係合を行う際に、カップリング係合部204b、208bがカップリング143と干渉することがある(図60参照。詳細は後述)。その場合には、ブレーキ係合部材(204、208)は矢印M1A方向にバネ210,211を圧縮しながら駆動伝達ユニット203の奥に入り込む(退避する)ことができる(図61参照)。
ブレーキ係合部材(204、208)は、前述のようにブレーキ伝達部材207と隙間Gをあけて配置されている(図44参照)。その隙間Gの幅の範囲内では、ブレーキ係合部材(204、208)はブレーキ伝達部材207に対してM1A方向に移動し退避することができる。同様にブレーキ係合部材(204、208)はドラム駆動カップリング180に対して隙間Gの幅の範囲内で矢印M1A方向に動くことができる。ブレーキ伝達部材207およびドラム駆動カップリング180に対してブレーキ係合部材(204,208)が矢印M1A方向に移動する際には、ブレーキ係合バネ211が圧縮される。
なお、隙間Gの幅を超えてブレーキ係合部材(204、208)が矢印M1A方向に移動しようとするブレーキ伝達部材207に接触して、ブレーキ係合部材(204,208)とともに、ブレーキ伝達部材207も矢印M1A方向に移動する。
ブレーキ係合部材(204,208)とともに、ドラム駆動カップリング180も矢印M1A方向に移動する。図62に示すように、ドラム駆動カップリング180と、第1ブレーキ係合部材204には、それぞれ突起状の係合部180uと、係合部204uを有する。そのため、ブレーキ係合部材204が一定の距離以上、ドラム駆動カップリング180に対して矢印M1A方向に移動すると、係合部204uが係合部180uを押すことで、駆動カップリング180をM1A方向に退避させている。この際にはバネ211だけでなくバネ210も圧縮される。
ブレーキ係合部材(204、208)がブレーキ伝達部材207に対して矢印M1A方向に動くと、ブレーキ伝達部材207の突起207eと第1ブレーキ係合部材204の凸部204eの係合が外れる。つまり、ブレーキ係合部材(204、208)は、ブレーキ伝達部材207との連結を解消し、ブレーキ伝達部材207からブレーキ力を伝達されない状態になる。ブレーキ部材(204、208)は、ブレーキ部材206によって生じる回転負荷を受けずに、ブレーキ伝達部材207に対して回転できる。
つまりブレーキ係合部材(204、208)は矢印M1A方向に退避することによって、回転時にブレーキ部材206による回転負荷(ブレーキ力)を受ける位置から、回転時にこの回転負荷を受けない位置へと移動し得る。ブレーキ係合部材(204、208)はブレーキ伝達部材207やドラム駆動カップリング180に対してM1A方向へ移動することによって自身のトルクを小さくさせる構成である。
図45は、ドラム駆動カップリング180と、ブレーキ係合部材(204、208)の位置関係示した斜視図である。図45(a)は、ドラム駆動カップリング180だけの斜視図を、図45(b)はドラム駆動カップリング180とブレーキ係合部材(204、208)の両方を配置した斜視図を示している。図45(c)および(d)は、ドラム駆動カップリング180の補強円筒部180eを説明のために不図示(不可視)にした図である。図45(c)と(d)の間でブレーキ係合部材(204、208)の位相が異なる。
ドラム駆動カップリング(駆動力付与部材)180は、図45(a)に示すように、カップリング143と係合して駆動力を伝える面(駆動力付与部)として駆動伝達面180dが周方向に180度離れて2か所設けられている。ドラム駆動カップリングは軸対称形状である。
駆動伝達面180d以外の部分には軸線M1の方向に連通した貫通穴180fが設けられる。この貫通穴180fから第1ブレーキ係合部材204および第2ブレーキ係合部材208のカップリング係合部204bおよび208bがカップリング143と対向する方向に露出する(図60参照)。
図45(b)は、第1ブレーキ係合部材204および第2ブレーキ係合部材208のカップリング係合部204b、208bが露出した状態を示している。ドラム駆動カップリング180は駆動伝達面180dの剛性を高めるために補強円筒部180eが設けられている。図45(c)には、説明のために補強円筒部180eを不図示にした図を示した。図45(c)は、カップリング係合部204b、208bと、駆動伝達面180dとが回転方向Aにおいて接近した位相関係にある状態を示した。貫通穴180fの大きさは、周方向でカップリング係合部204b、208bの幅よりも広く設定されている。そのため、カップリング係合部204b、208bはドラム駆動カップリング180の中で回転方向に一定の範囲内で移動可能である。
図45(d)は、カップリング係合部204b、208bと、駆動伝達面180dとが回転方向Aにおいて離れた位相関係にある状態を示した。
次に、図1、図43〜図51を用いて、駆動伝達機構の本体側駆動伝達ユニット203とプロセスカートリッジ100側の感光体カップリング143の連結方法について説明する。
[カップリングの係合動作]
次に、画像形成装置本体170の本体側ドラム駆動カップリング180と、プロセスカートリッジ100のドラムカップリング143が結合する工程を説明する
図46は、画像形成装置本体170の本体側ドラム駆動カップリング180周辺の断面図を示している。この図46を用いて、本体側ドラム駆動カップリング180の動きについての概要を説明する。
ユーザーがプロセスカートリッジ100を交換する為に画像形成装置本体170の前ドア111(図4)を開くと、駆動伝達ユニット203は、前ドア111と連結された不図示のリンク機構によって軸線M1に沿って矢印M1A方向に移動させられる。つまり駆動伝達ユニット203はプロセスカートリッジ100やドラムカップリング143から離れる方向に移動した状態となる(図60参照)。
ユーザーがプロセスカートリッジ100を装着して前ドア111を閉めると、前述のリンクによる作用が無くなる。そのためドラム駆動カップリング180、ブレーキ係合部材204、208およびブレーキ伝達部材207は再びドラム駆動カップリングバネ210とブレーキ係合バネ211の付勢力によって矢印M1B方向に移動しようとする。このとき、矢印M1B方向にはプロセスカートリッジ100のドラムカップリング143が待機しており、接近してきた駆動伝達ユニット203と干渉する(図61や図65、図69に示される状態)。ドラムカップリング143と駆動伝達ユニット203が互いに押し合う状態になる。
これらの状態では、通常、ドラムカップリング143と駆動伝達ユニット203のドラム駆動カップリング180は係合していない。
ドラムカップリング143と本体側ドラム駆動カップリング180が正常な係合状態になるには、前述した押し合う状態からさらに駆動伝達ユニット203が回転する必要がある。つまりドラムカップリング143に本体側ドラム駆動カップリング180が噛合うまで駆動伝達ユニット203の駆動工程を進める必要がある。
また、係合が完了するまでの過程はドラムカップリング143と本体側ドラム駆動カップリング180との位相によって複数の場合分けが有りうるので別々に説明する。
図47(a)には、ドラムカップリング143を、図47(b)には駆動伝達ユニット203をそれぞれ軸線方向から示した図を示した。
図47(a)を用いて、カップリング143の形状について更に説明を加える。カップリングの形状は、半径方向に役割の異なる形状を配置している。図のR1で示す半径の範囲内には、以下の構成が配置されている。
つまり、駆動カップリング180の位置決めボス(位置決め部)180iと係合する位置決め穴(開口部)143aと、駆動伝達ユニット203が軸線方向に侵入することを阻止するせり出し部としてのヒサシ(ヒサシ部)143g(図47(a)および図1参照)および、らせん状斜面143dの一部が配置されている。R1からR2で示した範囲内には、らせん状斜面143dの一部と、ブレーキ力受け面143cの一部が配置されている。ブレーキ力受け面143cは、図47(a)の視線方向からは見えず、図1に示す。R2からR3で示した範囲内には、駆動力受け部143bとらせん状斜面143dの一部、およびブレーキ力受け面143cの一部が配置されている。
一方、駆動伝達ユニット203の形状も同様に半径方向に役割の異なる形状を配置してあるので、カップリング143と同じ範囲を同じ記号R1〜R3を用いて図47(b)にしめした。
図47(b)のR1で示す半径の範囲内には、ドラムカップリング143の位置決め穴143aと係合する位置決めボス180iと、ドラムカップリング143との位相によってはヒサシ143gと接触する第2ブレーキ係合部材208のカップリング係合部208bの一部である内向き突起208eが配置されている。R1からR2で示した範囲内には、第2ブレーキ係合部材208のカップリング係合部208bが配置されている。R2からR3で示した範囲内には、駆動伝達面180dと第1ブレーキ係合部材204が配置されている。
図48はこれらの部品を回転軸線M1周りに展開した展開図である。図48ドラムカップリング143と駆動伝達ユニット203が係合するまでの過程を説明する。
図48は、下側に駆動伝達ユニット203が描かれ、矢印M1B方向に移動しながらドラムカップリング143に接近して係合が完了するまでの過程を表している。この図では、図47で示した半径R1以内の範囲に配置された構造体を破線で示し、半径R1からR2までの範囲に配置された構造体を実線で示し、さらに、R2からR3までの範囲に配置された構造体を実線とハッチングで示した。
なおドラムカップリング143は、180°離れて配置された2つのカップリング部143sと143rを有するが、以下では説明の簡略化のため、カップリング部143sについてのみ説明する。カップリング部143sの説明は、カップリング部143rについても成り立つ。
図48(a)は駆動伝達ユニット203の駆動伝達面180dと第2ブレーキ係合部材208が接近している状態を示している。図48(a)に示すように、ドラムカップリング143の傾斜開始部143fと第2ブレーキ係合部材208の内向き突起208eとの互いの位相が、次の関係にある。つまりドラムカップリング143の傾斜開始部143fの方が回転方向(矢印A)において突起208eよりも上流側にある。
図48(b)は、図48(a)から駆動伝達ユニット203が更に矢印M1B方向へ移動した状態を表している。らせん状傾斜面143dは、接近してきた第1ブレーキ係合部材204の内向き突起208eと対向して接触している。
図48(c)は、駆動伝達ユニット203が更に矢印M1B方向に移動した状態を表している。らせん状傾斜面143dが、接近する第2ブレーキ係合部材208を押しとどめている。これによって、第2ブレーキ係合部材208のM1B方向の移動が抑えられる。一方、第2ブレーキ係合部材208を除いた部分(すなわち駆動伝達ユニット203のドラム駆動カップリング180等)は矢印M1B方向に移動している。駆動伝達ユニット203内で、第2ブレーキ係合部材208は矢印M1Aの向きに相対的に押し込まれた状態になっている。
この状態になると、図44で説明したように第2ブレーキ係合部材208は、ブレーキ部材206との連結が外れて回転負荷を受けないで回転できる。このとき、ブレーキ部材206は、駆動伝達ユニット203内部に配置されたドラム駆動カップリングバネ210およびブレーキ係合バネ211により回転軸線M1の方向に弾性力F1を受けている。らせん状斜面143dは、回転負荷が無くなった第2ブレーキ係合部材208を弾性力F1の分力によって矢印C方向へ移動させる。つまり第2ブレーキ係合部材208は、らせん状斜面143dに沿って回転方向Aの下流側に移動する。
図48(d)は、第2ブレーキ係合部材208が、回転方向下流側(矢印A方向)に移動した直後の状態を示している。第2ブレーキ係合部材208は、ドラムカップリング143のらせん状傾斜面143dに沿って移動し、更に駆動伝達ユニット203全体が軸方向M1B方向に移動した分M1B方向にも移動するので矢印Dの軌跡で移動する。この結果、第2ブレーキ係合部材208は駆動カップリング180から回転方向Aの下流側に向かって遠ざかり、ドラムカップリング143のブレーキ力受け部143c(第2側面、第2側部)に係合可能な位置まで移動する。つまり、らせん状傾斜面143dは、ブレーキ係合部材をブレーキ力受け部143cに向けて案内するためのガイドである。本実施例ではガイドであるらせん状斜面(天面)143dは、下流側の部分143d1と上流側の部分143d2を持っている。下流側の部分(下流側斜面、下流側天面、下流側傾斜部)143d1はブレーキ力受け部143cと駆動力受け部143bの間に配置される。上流側の部分(上流側斜面、上流側天面、上流側傾斜部)143d2は、駆動力受け部143bよりも回転方向(A方向)の上流側に位置している。そのため第2ブレーキ係合部材208は、斜面143dの上流側部分143d2から下流側部分143d1を通って、ブレーキ力受け部143cまで円滑に案内されうる。
図48(e)は、ドラムカップリング143が、回転している駆動伝達面180dによって矢印A方向に移動(回転)し、その結果、ブレーキ力受け部143cが第2ブレーキ係合部材208に接触した状態を示している。
駆動伝達ユニット203が矢印A方向へ回転すると、駆動伝達面180dは駆動力受け部143bと接触して駆動力を伝達する。駆動伝達面180dはドラムカップリング143に駆動力を与える駆動力付与部である。
駆動伝達面180dから駆動力を受けて回転しているドラムカップリング143は、ブレーキ力受け部143cが第2ブレーキ係合部材208と接触(係合)することによってブレーキ力も受け取る。
なお図48(a)〜(e)では、ブレーキ係合部材である第1、第2ブレーキ係合部材204,208のうち、第2のブレーキ係合部材208のみを示した。しかしながら、第1のブレーキ係合部材204(図43参照)は、第2のブレーキ部材208と一体的に移動するように第2のブレーキ部材208と連結している。そのため、図48(a)〜(e)に示される過程で、第1のブレーキ係合部材204も第2のブレーキ部材208と同様の軌跡で移動する。図48(e)に示される状態では、第1のブレーキ係合部材204も第2のブレーキ係合部材208と共にブレーキ力受け部143cに係合する。
図48(a)〜(e)では、説明の簡略化のため、カップリング部143sに対するブレーキ係合部材(204、208)とドラム駆動カップリング180の係合過程のみを図示した。カップリング部143sと同様にカップリング143rも同様にブレーキ係合部材(204、208)及びドラム駆動カップリング180に係合する。カップリング143rに対するブレーキ係合部材(204、208)及びドラム駆動カップリング180の係合状態については、図76(a)に示した。
ここで、これまで説明した過程についての認識を助けるために図60〜図64の斜視図を用いて再度説明を加える。図60〜図64では、説明のためドラム駆動カップリング180の一部を不図示とし、内部形状を露わにした。
図60は、先に説明した図48(a)と同じ状態を示す斜視図である。つまり、ドラムカップリング143の傾斜開始部143fの方が回転方向(矢印A)において突起208eよりも上流側にあり、駆動伝達ユニット203の駆動伝達面180dと第2ブレーキ係合部材208が接近している状態を示している。この状態から駆動伝達ユニット203が、矢印M1B方向へ移動した状態が図61である。
図61では図48(b)に対応した状態が示されており、らせん状傾斜面143dは、接近してきた第2ブレーキ係合部材208の内向き突起208eと対向して接触している。駆動伝達ユニット203とドラムカップリング143は、接触するまで相対的に接近しているが、駆動伝達ユニット203内部の状態は変化していない。
この状態から駆動伝達ユニット203が更に矢印M1B方向に移動した状態が図62である。
図62では図48(c)に対応した状態が示されており、らせん状傾斜面143dが、接近する第2ブレーキ係合部材208を押しとどめている。これによって、駆動伝達ユニット203内で、第2ブレーキ係合部材208はドラム駆動カップリング180に対して相対的に矢印M1Aの向きに押し込まれた状態になっている。
この状態になると、図44で説明したように第2ブレーキ係合部材208は、ブレーキ部材206との連結が外れて回転負荷を受けないで回転できる。このとき、ブレーキ部材206は、駆動伝達ユニット203内部に配置されたドラム駆動カップリングバネ210およびブレーキ係合バネ211により回転軸線M1の方向に弾性力F1を受けている。らせん状斜面143dは、回転負荷が無くなった第2ブレーキ係合部材208を弾性力F1の分力によって矢印C方向へ移動させる。つまり第2ブレーキ係合部材208は、らせん状斜面143dに沿って回転方向Aの下流側に回転移動する。
図63は、第2ブレーキ係合部材208が、回転方向下流側(矢印A方向)に移動した直後の状態を示していて図48(c)に対応する。第2ブレーキ係合部材208は、ドラムカップリング143のらせん状傾斜面143dに沿って移動し、更に駆動伝達ユニット203全体が軸方向M1B方向に移動した分M1B方向にも移動するので矢印Dの軌跡で移動する。この結果、ブレーキ係合部材(204、208)は駆動カップリング180から回転方向Aの下流側に向かって遠ざかり、ドラムカップリング143の第2側面(ブレーキ力受け部143c)に係合可能な位置まで移動する。この位置に至ると、ブレーキ係合部材(204、208)は、ブレーキ力を生じ得る状態に戻る。
図64は、ドラムカップリング143が、回転している駆動伝達面180dによって矢印A方向に移動(回転)し、その結果、ブレーキ力受け部143cが第2ブレーキ係合部材208に接触した状態を示している。図64は図48(d)に対応する。
図64の状態から駆動伝達ユニット203のドラム駆動カップリング180が矢印A方向へ回転すると、駆動伝達面180dは駆動力受け部143bと接触して駆動力を伝達する。駆動伝達面180dから駆動力を受けて回転しているドラムカップリング143は、ブレーキ力受け部143cが第2ブレーキ係合部材208と接触(係合)することによってブレーキ力も受け取る(図48(e)参照)。
まとめると、図48(a)〜(e)及び図60〜図64において示される過程を経ることで、ブレーキ係合部材(204、208)は、ドラム駆動カップリング180および、ドラムカップリング143に対して以下のように移動する。
ブレーキ係合部材(204、208)は、駆動伝達面180dと接近している位置(図48(a)、図60)から、駆動伝達面180dとブレーキ係合部材(204、208)の間にドラムカップリング143を挟み込む位置(図48(d)、図64)に移動する。
図48(d)、図64に示される状態から、駆動伝達面180dが回転すると、駆動伝達面180dとともにドラムカップリング143も回転し、図48(e)に示される状態になる。すると、ドラムカップリング143は、ブレーキ係合部材(204,208)から適度な負荷(ブレーキ力)を受けつつ、ドラム駆動側カップリング180から受ける駆動力によって矢印A方向に回転する。その結果、ドラム駆動カップリング180がドラムユニットを回転させるために必要なトルクが軽くなりすぎず、適当な大きさになるので、ドラムユニットの回転駆動が安定する。
次に、図49(a)乃至(e)を用いて、ドラムカップリング143に対するドラム駆動カップリング180及びブレーキ係合部材(204、208)の係合過程の別のパターンを説明する。なお、ドラムカップリング143は、2つのカップリング部143s、143rを有するが、簡略化のため、カップリング部143sについてのみ説明する。
図49(a)で示すように、ドラムカップリング143の傾斜開始部143fと第2ブレーキ係合部材208の内向き突起208eとの互いの位相が、次の関係を満たす場合を説明する。つまりドラムカップリング143の傾斜開始部143fの方が内向き突起208eよりも回転方向(矢印A)で下流側にある場合である。
図49(a)は駆動伝達ユニット203の駆動伝達面180dと第2ブレーキ係合部材208が接近している状態を示している。
ドラムカップリング143のヒサシ143gが、M1B方向に接近してきた第2ブレーキ係合部材208の内向き突起208eと接触している。
次に図49(b)は、ヒサシ143gが接近してきた第2ブレーキ係合部材208の進行を止めている(ブロックしている)状態を示している。ここで、駆動伝達ユニット203の部品であるドラム駆動カップリング180は、ヒサシ143gと接触しないのでM1B方向の進行を止められない。つまりヒサシ143gは、ドラム駆動カップリング180の形状と半径方向で位置が異なるので干渉しない。一方、第2ブレーキ係合部材208は、M1B方向先端に内向き突起208eがある。内向き突起208eは半径方向で内側に突出しているので、ドラムカップリング143のヒサシ143gと接触している。
ドラム駆動カップリング180のみがM1B方向に移動することにより、ドラム駆動カップリング180に対して第2ブレーキ係合部材208がM1A方向に相対移動する。前述のように、この相対移動によって第2ブレーキ係合部材208は回転負荷を受けないで回転できる状態になる。
続いて図49(c)は、駆動伝達ユニット203が回転方向Aに回転を始めた状態を示している。まずドラム駆動カップリング180がA方向に回転を始めると、ドラム駆動カップリング180に押されて、第2ブレーキ係合部材208もA方向に回転を始める。
ドラムカップリング143のらせん状斜面143dは、第2ブレーキ係合部材208の内向き突起208eが傾斜開始部143fを通過したところから第2ブレーキ係合部材208を矢印C方向へ移動させる。つまり第2ブレーキ係合部材208は回転方向Aの下流側かつ、M1B方向へ移動する。
図49(d)では、図48(d)と同様に第2ブレーキ係合部材208が、ドラムカップリング143のらせん状傾斜面143dに沿って移動し、斜面143dを通過した後の状態を示している。この時、駆動伝達ユニット203全体がさらに軸線方向M1B方向に移動する。この結果、第2ブレーキ係合部材208もM1B方向に移動する。第1ブレーキ係合部材204は矢印Dの軌跡で移動することになる。
その後の係合については図48(d)の説明と同様であり、その後の係合完了状態は図48(e)の状態になる。本実施例においては、ヒサシ143gは、らせん状斜面143dの上流側部分(上流側斜面、上流側天面)143d2とつながっている。傾斜開始部143fはヒサシ143gとらせん状斜面143dの境界部である。このためヒサシ143gによって移動をブロックされていた第2ブレーキ係合部材208は、駆動伝達ユニット203の回転に伴って円滑にらせん状斜面143dと接触する状態に移行することができる。ただし必ずしもこのような構成に限られるわけではなくヒサシ143gと、斜面143dの間に間隔があいていてもよい。
図49(a)〜(d)においても、ブレーキ係合部材(204、208)のうち第2ブレーキ係合部材208のみ図示している。しかし前述したように、図49(a)〜(d)の過程においても、第1ブレーキ係合部材204(図43参照)が、第2ブレーキ係合部材208と一体的に移動する。
ここで、図49(a)〜(d)を用いて説明した過程についての認識を助けるために図65〜図68の斜視図を用いて再度説明を加える。図65〜図68では、説明のためドラム駆動カップリング180の一部を不図示とし、内部形状を露わにした。
図65は駆動伝達ユニット203の駆動伝達面180dと第2ブレーキ係合部材208が接近している状態を示している。このときドラムカップリング143のヒサシ143gが、M1B方向に接近してきた第2ブレーキ係合部材208と接触している。図65は、図49(a)に対応している。
次に図66は、ドラム駆動カップリング180が第2ブレーキ係合部材208に対して軸線方向に沿って右側(M1B方向)に移動した状態を示している。図66では、ヒサシ143gが接近してきた第2ブレーキ係合部材208の進行を止めている(ブロックしている)状態である。
図66は図49(b)に相当している。ドラム駆動カップリング180に対して第2ブレーキ係合部材208が軸線方向において左側(M1A方向)に相対移動する。前述のように、この相対移動によって第2ブレーキ係合部材208は回転負荷を受けないで回転できる状態になる。
続いて図67は、駆動伝達ユニット203が回転方向Aに回転を始めた状態を示している。図67は、図49(c)に相当している。ドラムカップリング143のらせん状斜面143dは、第2ブレーキ係合部材208が傾斜開始部143fを通過したところから第2ブレーキ係合部材208を矢印C方向へ移動させる。図68は、図49(d)に相当する。図68に示される状態では、図48(d)および図63で示された状態と同様に第1ブレーキ係合部材204は、ドラムカップリング143のらせん状傾斜面143dに沿って移動する。更に駆動伝達ユニット203全体が軸線方向M1B方向に移動した分、第1ブレーキ係合部材204もM1B方向にも移動する。その結果、第1ブレーキ係合部材204は矢印Dの軌跡で移動する。
そして前述のように駆動伝達ユニット203全体が回転を続けることで連結が完了し、図48(e)と同様の状態になる。
次に、図50(a)乃至(d)を用いて、ドラムカップリング143に対するドラム駆動カップリング180及びブレーキ係合部材(204、208)の係合過程のさらに別のパターンについて説明する。なお、ドラムカップリング143は、2つのカップリング部143s、143rを有するが、簡略化のため、カップリング部143sについてのみ説明する。
図50(a)で示すように、ドラムカップリング143の傾斜開始部143fと第2ブレーキ係合部材208の内向き突起208eとの互いの位相が、以下の関係を満たす場合について説明する。つまりドラムカップリング143の傾斜開始部143fの方が回転方向(矢印A)で下流側にある場合について説明する。
図50(a)は駆動伝達ユニット203の駆動伝達面180dと第2ブレーキ係合部材208が離れている状態を示している。
次に図50(b)は、ヒサシ143gが接近してきた第2ブレーキ係合部材208の進行を止めている状態を示している。ここで、駆動伝達ユニット203の部品であるドラム駆動カップリング180は、ヒサシ143gと接触しないので進行を止められない。これにより、ドラム駆動カップリング180に対して第2ブレーキ係合部材208がM1A方向に相対移動する。前述のように、この相対移動によって第2ブレーキ係合部材208は回転負荷を受けないで回転できる状態になる。ここで、ヒサシ143gは、ドラム駆動カップリング180の形状と半径方向で位置が異なるので干渉しない。
続いて図50(c)は、駆動伝達ユニット203が回転方向Aに回転して第2ブレーキ係合部材に接した状態を示している。第2ブレーキ係合部材208は、自身で回転を始めないのでその位置に止まり、ドラム駆動カップリング180が回転してきて第2ブレーキ係合部材208と接触した状態を示している。この後、更に回転すると第2ブレーキ係合部材208とドラム駆動カップリング180は一体的に回転する。
図50(d)は更に回転して第2ブレーキ係合部材208が、ドラムカップリング143の傾斜開始部143fを通り越した状態である。この状態になると、図48(c)で説明したように第2ブレーキ係合部材208は矢印Cの方向へ移動する。この後の動作は前述と同様なので割愛する。
図50(a)〜(d)においても、ブレーキ係合部材(204、208)のうち第2ブレーキ係合部材208のみ図示している。しかし前述したように、図50(a)〜(d)の過程においても、第1ブレーキ係合部材204(図43参照)が、第2ブレーキ係合部材208と一体的に移動する。
ここで、図50(a)〜(d)を用いて説明した過程についての認識を助けるために図69〜図72の斜視図を用いて再度説明を加える。図69〜図72では、説明のためドラム駆動カップリング180の一部を不図示とし、内部形状を露わにした。
図69は図50(a)に対応しており、駆動伝達ユニット203の駆動伝達面180dと第2ブレーキ係合部材208が隙間G1の分だけ離れている状態を示している。
次に図70は、図50(b)に対応しており、駆動伝達ユニット203全体がM1B方向に移動した状態を示している。ヒサシ143gが接近してきた第2ブレーキ係合部材208の進行を止めている状態で、ドラム駆動カップリング180が、第2ブレーキ係合部材208よりも軸線方向の右側(M1B方向)に移動した状態を示している。この際、ドラム駆動カップリング180に対して第2ブレーキ係合部材208が左側(M1A方向)に相対移動する。前述のように、この相対移動によって第2ブレーキ係合部材208は回転負荷を受けないで回転できる状態になる。
続いて図71は図50(c)に対応しており、駆動伝達ユニット203のドラム駆動カップリング180が回転方向Aに回転することによって、第2ブレーキ係合部材208に接した状態を示している。
第2ブレーキ係合部材208は、ドラム駆動カップリング180から回転力を受けない状態では、回転できないため、駆動伝達ユニット203の駆動開始直後は回転せずに当初位置に止まったままである。つまりドラム駆動カップリング180のみが先にA方向へ回転を始める。その結果、ドラム駆動カップリング180が、第2ブレーキ係合部材208と接触した状態を示しているのが図71である。
図72は図50(d)に対応しており、ドラム駆動カップリング180と第2ブレーキ係合部材208が接触することで、ドラム駆動カップリング180だけでなく第2ブレーキ係合部材208もA方向へ回転を始めた状態を示している。より詳細に言うと、第2ブレーキ係合部材208がドラム駆動カップリング180に押されてA方向へ回転することによって、第2ブレーキ係合部材208がドラムカップリング143の傾斜開始部143fを通り越した状態である。この状態になると、図48(c)や、図62で説明したように第2ブレーキ係合部材208は斜面143dにガイドされて、斜面143dの傾斜に沿った方向(矢印Cの方向)へ移動する。
この後の動作は図48(c)乃至図48(e)や、図62乃至図64を用いて説明した前述のものと同様なので割愛する。
以上説明したようにカートリッジ100が画像形成装置本体に装着された際、ドラムカップリング143に対する駆動伝達ユニット203の位相(配置)が定まっていない(図48(a)、図49(a)、図50(a)、図60、図65、図69参照)。しかしいずれの場合であってもドラムカップリング143は、駆動伝達ユニット203に連結することができる。駆動伝達ユニット203は、ドラム駆動カップリング180だけでなく、ブレーキ係合部材(204、208)を有するが、それら両方とドラムカップリング143は係合することができる。
次に、駆動伝達ユニット203とドラムカップリング143が連結するまでの工程でお互いの軸線を合わせる(揃える)ための互いの構成(互いの形状)について図51を用いて説明する。図51は、駆動伝達ユニット203とドラムカップリング143の断面図を示し、図51(a)は本実施例の連結状態の形状を示している。ドラムカップリング143の円孔部143aは、ドラム駆動カップリング180の位置決めボス180iと係合して互いの軸の位置を合わせている。また円孔部143aの一端には円錐状のガイド面143hが設けられている。つまりカップリング143の内面の一部が円錐形状となっているのがガイド面143hである。このガイド面143hは、駆動伝達ユニット203がまだ軸線方向M1B方向に離れていて、係合を始めるときに互いのズレ分をガイドして互いの軸線を合わせる為に設けられている。
本実施例以外にも、図51(b)のようにドラムカップリング143の円孔部143aにガイド面を設けず位置決めボス180iと係合させることもできる。また、図06(c)に示したように、ガイド面143hを大きくして、円孔部143aと位置決めボス180iとの嵌合を少なくすることもできる。また、図51(d)のように円孔部143aの直径を大きくすることもできる。これらは、駆動伝達ユニット203とプロセスカートリッジ100との相対位置の決め方や精度によって選択することができる。
円孔部143aは、位置決めボス180iを収容するのに十分な長さがあることが望ましい。つまり、図95に示すように、ドラムユニットの軸線L上において少なくとも領域Pbの範囲に位置決めボス180iが進入する。この領域Pbの全体が含まれるように円孔部143aが形成される。つまり領域Pbにおいて軸線Lの周囲は開放されている。
なお、図95において、軸線L上において、ブレーキ力受け部143cやらせん状斜面(天面)143d、ヒサシ143g、駆動力受け部143b(不図示)が占める範囲はPaであって、本実施例では領域Pbの内部に領域Paが含まれている。
ブレーキ力受け部143cや斜面143d、ヒサシ143g、駆動力受け部143bを軸線Lに投影した際の投影領域Paが、円孔部143aの投影領域Pbと少なくとも部分的に重なるように形成されている。
以上説明したように、本実施例によれば、カートリッジ100のカップリング143は、画像形成装置本体の駆動伝達ユニット203から駆動力を受け取る。また、カップリング143は駆動伝達ユニット203から駆動力を受けるのに合わせて、駆動伝達ユニット203内部のブレーキ機構(ブレーキ部材206)を作動させている。ドラムカップリング143はブレーキ係合部材(204,208)を介してブレーキ力を受けることができる。
このブレーキ機構によって、カートリッジを駆動させるために必要な負荷を適切な範囲に設定することが出来る。この結果、カートリッジ100は安定して駆動することができる。
なお、本実施例のドラムカップリング104と駆動伝達ユニット203を用いて、感光体ドラム104以外の部材、たとえば現像ローラやトナー搬送ローラを回転させることも可能である。しかしながら、以下の理由により本実施例のドラムカップリング104と駆動伝達ユニット203は感光体ドラム104の回転に用いるのが得に好適である。
本実施例のカートリッジ100は、感光体ドラム104を有する一方で感光体ドラム104に接触するクリーニング手段を有していない。したがって感光体ドラム104のトルクは比較的小さく、感光体ドラム104は回転駆動時に周囲から影響を受けると速度変動が生じやすくなる。そこで、駆動伝達ユニット203は感光体ドラム104に一定の負荷を加えた状態でこれを回転させている。つまりカップリング143は、駆動伝達ユニット203から感光体ドラムを回転させるための駆動力を受けるだけでなく感光体ドラムの回転を抑えるブレーキ力も合わせて受けている。カップリング143が異なる回転方向に作用する2つの力を同時に受けることで、感光体ドラム104(ドラムユニット103)の速度変動が抑えられ、その回転が安定する。
なお、クリーニング手段を有しているカートリッジに対しても、本実施例の駆動伝達ユニット203からカップリング143を介して駆動力を入力することができる。カートリッジ100が、感光体ドラム表面に接触して感光体ドラムからトナーを除去するクリーニング手段(たとえばクリーニングブレード)を有する場合には、感光体ドラムとクリーニング手段の間に摩擦力が生じる。この摩擦力によって感光体ドラム104のトルクは増大する。しかしそうであっても感光体ドラム104のトルクが十分な大きさでない場合もあり得る。この際には本実施例と同様に、カップリング143が駆動伝達ユニット203から駆動力とブレーキ力を同時に受け得るようにすれば、感光体ドラム104を回転するのに必要なトルクが増加するので、感光体ドラムの回転が安定する。クリーニング手段を有するカートリッジについては後述の実施例2において説明する。
本実施例では、感光体ドラムに適切な回転負荷を与えるためのブレーキ機構をカートリッジではなく画像形成装置の装置本体側、すなわち駆動伝達ユニット203に配置した。そのため、使用後に交換する対象(着脱ユニット)であるプロセスカートリッジにブレーキ機構を配置する必要が無い。プロセスカートリッジの小型化およびコスト低減に寄与することができる。
またカップリング143は、駆動伝達ユニット203に設けられた駆動力付与部材(ドラム駆動カップリング180)と、ブレーキ力付与部材(ブレーキ係合部材(204、208))の両者と円滑に係合できる形状を備える。たとえばカップリング143は、らせん状斜面143d(傾斜部、ガイド、上面、上側部)やヒサシ143fを備えることによって駆動伝達ユニット203と円滑に連結しやすくなっている。
以下、本実施例のカップリング143の形状を、図79を用いて改めて詳しく説明する。
カップリング143は、2つのカップリング部143s、143rを有し、各カップリング部は、係合部143iと、ガイド形成部143jを有する。係合部143iは、駆動力付与部材(ドラム駆動カップリング180)又は、ブレーキ力付与部材(ブレーキ係合部材(204、208))と係合するための形状部分である。係合部143iは、駆動力受け部143bや、ブレーキ力受け部143c、下流側斜面143d1を形成する。
駆動力受け部143bとブレーキ力受け部143cはそれぞれ、ドラム駆動カップリング180と、ブレーキ部材(204、208)と係合する。なお、駆動力受け部(第1側面、第1側部)143bとブレーキ力受け部(第2側面、第2側部)143cは、平面状に形成されていたがこのような構成に限られない。これらは、それぞれ駆動力やブレーキ力を受けうる構成であればよいのであって、曲面形状の部分であってもよいし、微小な面積の部分であってもよい。例えば、係合部143iによって形成されるエッジ(稜線)が、駆動力受け部(第1側面、第1側部)143b又は、ブレーキ力受け部(第2側面、第2側部)143cを形成していてもよい。
あるいは駆動力受け部143bや、ブレーキ力受け部143cが、分断された複数の領域によって形成された部分であってもよい。つまり、係合部143iが複数の形状部の集合であってもよい。
駆動力受け部143bとブレーキ力受け部143cは、それぞれ係合部143iの上流側の側部と下流の側部である。つまり、駆動力受け部143bは回転方向の上流に向けられた側部であって、ブレーキ力受け部143cは回転方向の下流に向けられた側部である。
また、ガイド形成部143nは、係合部143iに向かって回転方向に延びている突起(延在部)である。ガイド形成部143nの天面(上部)は、上流側斜面(上流側天面、上流側傾斜部)143d2である。上流側斜面143d2は、ブレーキ力付与部材(ブレーキ係合部材(204、208))を、係合部143iに向かってガイドするためのガイド(上流側ガイド、上流ガイド)であり傾斜部である。
すなわち、ガイド形成部143nは、ガイド(上流側ガイド)である上流側斜面143d2を形成するための突起である。
ガイド形成部143nは、係合部143iに隣接しており、係合部143iに向かって回転方向の上流から下流へ延びている。また、ガイド形成部143nの上流側斜面143d2は、回転方向の上流から下流へ向かうにつれて、感光体ドラムの非駆動側の端部に近づくように傾斜している(図80参照)。
図80において、ドラムカップリング143は、感光体ドラム104の第1の端部(駆動側端部)104aの近傍に配置されている。つまり感光体ドラム104の第1の端部104aはドラムカップリング143から駆動力を受ける側の端部である。
そして第1の端部104aに対して感光体ドラム104の反対側の端部が非駆動側端部(第2の端部)104bである。この非駆動側端部104bから、上流側斜面143d2までの距離をD1、D2で示した。距離D1は、感光体ドラムの非駆動側の端部104bから、斜面143d2の下流側の端部からまでを軸線Lと平行な軸線方向に沿って測った距離である。D2は感光体ドラムの非駆動側の端部104bから、上流側斜面143d2の上流側の端部までを軸線方向に沿って測った距離である。
このとき、距離D1は距離D2よりも短くなっている。つまり、感光体ドラムの非駆動側の端部104bから、上流側斜面143d2までを軸線方向に沿って測ると、その距離は回転方向の下流に向かうにつれて短くなる。
つまり、上流側斜面143d2は、回転方向Aの下流に向かうにしたがって、感光体ドラムの非駆動側の端部104bに近づくように傾斜している。上流側斜面143d2だけでなく下流側斜面143d1も同様の向きに傾斜している。
距離D1およびD2は、カートリッジのケーシングの非駆動側の端部(すなわち非駆動側カートリッジカバー117:図14参照)から、上流側斜面143d2までを軸線方向に沿って測った距離とみなすこともできる。
なお、ガイド形成部143nおよび係合部143iの一方を第1の形状部、他方を第2の形状部などと呼ぶ場合がある。
本実施例では、第1の形状部と第2の形状部(すなわちガイド形成部143nと係合部143i)は隣接しており、互いに連結されている。詳細に言うと、ガイド形成部143nの回転方向下流側が係合部143iとつながっている。しかしながら係合部143iと、ガイド形成部143nが隣接しているものの接続はしておらず間にギャップが形成されていてもよい。
また本実施例では、係合部143iの天面(下流側斜面)143d1は、ガイド形成部143nの天面(上流側斜面)143d2と滑らかに接続されて、これらによって1つの斜面(天面)143dを形成している。
すなわち、係合部143iの天面(下流側斜面)143d2は、上流側斜面143d1と同様に、ブレーキ係合部材(204、208)をブレーキ力受け部143cと係合可能となる位置に案内する役割をもったガイドの一部である。
なお、下流側斜面(下流側天面)143d2が上流側斜面(上流側天面)143d1と必ずしも連続している必要はない。上流側斜面143d2と下流側斜面143d1とが非連続な形態としては、図81(a)、(b)に示すようなものがある。図81(a)、(b)では、上流側斜面143d2と下流側斜面143d1と段差を設けて、軸線方向において離隔させたうえで、下流側斜面143d1を平面に変更した変形例を示した。このようにガイドであるらせん状斜面143dの一部が平面であったり、段差を有していたりする場合もあり得る。
図48(c)、図49(c)、図50(d)、図62、図67、図72に示されるように、ブレーキ係合部材(204、208)は、斜面143dに接触することによって、斜面143の傾斜方向に沿って矢印C方向にガイドされる。つまりブレーキ係合部材(204、208)は回転方向下流かつ、感光体ドラムの非駆動側へ近づく方向(M1B方向)に移動する。
斜面143dにガイドされた後、ブレーキ係合部材(204、208)は、ドラムカップリング143のブレーキ力受け部(第2側面)143cの下流に配置された空間に向かって、さらに軸線方向(M1B方向)に進入する(図48(d)や、図49(d)、図63、図68参照)。その結果、ブレーキ力受け部143cにブレーキ係合部材(204、208)は係合可能な状態となる。
なお、ブレーキ係合部材(204、208)が斜面143dによってガイドされることによって、ブレーキ係合部材(204、208)は、ドラム駆動カップリング180から遠ざかるように、回転方向Aの下流側に移動する。その結果、ドラム駆動カップリング180とブレーキ係合部材(204、208)の間には隙間が生じる。この隙間の中に、ドラムカップリング143の係合部143iが入りこんで、駆動力受け部(側面)143bが、ドラム駆動カップリング180と係合し得る状態となる(図、48(d)、(e)、図49(d)、図63、図64、図68参照)。
らせん状斜面143dは、ドラム駆動カップリング180と駆動力受け部143bが係合できるように、ブレーキ係合部材(204、208)をドラム駆動カップリング180から遠ざけるための機能も備えている。
らせん状斜面(天面)143dは、ブレーキ力受け部143cと駆動力受け部143bとの間に配置される部分(下流側ガイド、下流ガイド、下流側天面、下流側傾斜部)143d1だけでなく、駆動力受け部143bよりも上流側にある部分(上流側ガイド、上流側天面、上流側傾斜部)143d2を有している(図48(a)、図47、図56等参照)。斜面143dが配置された領域を大きくすることで、ブレーキ係合部材(204、208)を天面143dが確実にガイドできるようになっている。
つまりブレーキ係合部材(204、208)が駆動力受け部143bよりも上流側に位置するときであっても(図49(a))参照)、上流側斜面143d2を通過させて、ブレーキ係合部材(204、208)をブレーキ力受け部143cの下流側の空間まで移動させることができる(図49(c)、(d)参照)。
なお本実施例では、斜面143dの全体が傾斜した傾斜部となっていた。下流側天面143d1および上流側天面143d2は、いずれもそれらの全体が回転方向の下流に向かって下った下り坂となっている。
しかし天面である斜面143dの一部のみを傾斜させることもできる。例えば、前述したように天面の上流側が、上流側斜面143d2として傾斜する一方で、天面の下流側(下流側天面143d2)が傾斜しておらず、ドラムユニットの軸線に垂直な平面である構成も考えられる(図81(a)、(b)参照)。図81(a)、(b)に示すドラムカップリングの変形例においては、上流側斜面(上流側天面)143d2の傾斜によってブレーキ係合部材(204、208)を勢いよく移動させて、その慣性(勢い)を利用して、平面状の下流側天面143d1も通過させればよい。
また、ブレーキ係合部材(204、208)をガイドするガイドとして、上流側天面(上流側斜面143d2)のみを使い、下流側天面(下流側斜面143d1)を使わない構成が考えられる。つまり下流側天面に相当する部分がほとんど存在しなかったり、あるいは、上流側天面に比較して非常に短かったりする構成が考えられる。このような構成は図74を使って後述する。
また、下り坂のらせん状斜面143dの中に、部分的に上り坂の部分が存在することも考えられる。このような場合であっても、斜面143dによってブレーキ係合部材(204、208)を十分に回転方向の下流に向けてガイドすることもできれば、斜面143dを下り坂の傾斜部とみなすことができる。つまり、部分的に上り坂を有していたとしても、全体的にみれば、らせん状斜面143dは、下り坂の傾斜部とみなすことができる。言い換えると、カートリッジの非駆動側の端部かららせん状斜面143dまでの距離が、らせん状斜面143dが回転方向の下流に向かうにつれて短くなっているとみなし得る。
このような構成として、らせん状斜面143dの中に部分的に配置された上り坂の部分が、そのほかの下り坂の部分に比べて十分に短かったり、あるいは、上り坂の傾斜がゆるやかだったりして、上り坂の部分が下り坂の部分に与える影響が小さい場合が考えらえる。
またらせん状斜面143dが、曲面形状であったり、分断された複数の領域に分かれていたりする場合がありうる。また斜面143dの少なくとも一部の幅が非常に短く、らせん状斜面143dを、面ではなく稜線(エッジ)とみなし得る場合もある。また、らせん状斜面143dは、ドラムカップリング143を正面から見たときに、扇形(らせん形状)であった。しかし、ドラムカップリング143に設けるべきガイド(天面、傾斜部)の形状がこのようなものに限られるわけではない。例えば、扇形(らせん形状)の斜面143dを用いる代わりに、直線的に延びる長方形の斜面を用いてもよい。つまり、らせん状斜面143dに相当する傾斜部(ガイド、天面)として、形状や大きさ、延びる方向などを変更したものを用いることが可能である。このような例の一部については図54等を用いて後述する。
なお、上流側斜面(上流側天面)143d2は、下流側斜面(下流側天面)143d1よりも幅が狭い領域があるように構成されている(図47、図56参照)。逆に言うと、下流側斜面143d1には上流側斜面143d2よりも幅が広い領域がある。
ここで、各斜面の幅は、径方向に沿って測った長さである。また、図79に示されるように、係合部143iの少なくとも一部は、ドラムユニットの径方向において、ドラムユニットの軸線Lに対してガイド形成部143nよりも遠くに位置している。別の言い方をすると、係合部143iの少なくとも一部は、ガイド形成部143nよりも径方向外側に位置する。
このような寸法関係、配置関係となっているのは、ガイド形成部143nと係合部143iの境界近傍において、係合部143iの駆動力受け部143bが配置されるからである。つまり、駆動力受け部143bが形成されるように、係合部143iの一部がガイド形成部143nよりも径方向の外側に向かってせり出している。その結果、斜面(天面)143dは、下流側の部分143d1が上流側の部分143d2よりも幅が大きくなる。
駆動力受け部143bは、上流側斜面143d2よりも径方向外側(軸線Lから遠い位置)に配置された領域を有している。またドラムユニットの軸線方向において、駆動力受け部143bは、感光体ドラムの非駆動側端部に対して、上流側斜面143d2よりも近い位置にある。図80では、感光体ドラムの非駆動側端部104bから駆動力受け部143bまでを、軸線方向に沿って測った距離D3が、感光体ドラムの非駆動側端部104bから上流側天面143d2までの距離D1よりも短い状態が示されている。
逆に言うと、上流側斜面143d2の少なくとも一部は、軸線方向において、感光体ドラムの非駆動側端部104bに対して駆動力受け部143bよりも離れて位置する。上流側斜面143d2は、駆動力受け部143bよりも、ドラムカップリング143の先端に近い側に位置する先端部である。
距離D1およびD3は、カートリッジの非駆動側の端部(すなわち非駆動側カートリッジカバー117:図14参照)を起点として、上流側斜面143d2と、駆動力受け部143bまでを、それぞれ軸線方向に沿って測った距離とみなすこともできる。
ヒサシ143dはブレーキ係合部材(204、208)の軸線方向の移動を抑える(ブロックする)ブロック部(ストッパー)である。つまりヒサシ143dは、ブレーキ係合部材(204、208)がドラムカップリング143に近づいてブレーキ力受け部143cと係合できない領域に入り込むのをブロックしている。図66および図49(b)ならびに、図69および図50(a)では、そのブロック状態を示している。
本実施例では、ヒサシ(ブロック部)143dは、上流側斜面143d2よりもさらに回転方向上流側にあって、ヒサシ143dは、ガイド形成部143nの天面(上流側斜面143d2)と連続している(図56(d)参照)。
ブレーキ係合部材(204、208)がドラム駆動カップリング180とともに駆動力受け部143bの上流の空間や、ブレーキ力受け部143cの下流の空間に進入してしまうと、ブレーキ係合部材(204、208)は、ブレーキ力受け部143cと係合できなくなってしまう。ヒサシ143gはそのような状態にならないように、ブレーキ係合部材(204、208)の移動をブロックする。
本実施例では、ドラムユニットを軸線方向に沿って駆動側から見た際(図47(a)参照)に、第1カップリング部143sのヒサシ143gは駆動力受け部143bの上流の空間を覆うように配置されている。さらにヒサシ143gはブレーキ力受け部143cの下流の空間を覆うように配置されている。
さらに、ヒサシ143dは、らせん状斜面(天面)143dの下流側の部分(下流側斜面143d1)を少なくとも一部覆うだけの幅を有している。これにより、ヒサシ143gは、ブレーキ係合部材(204、208)がドラム駆動カップリング180とともに駆動力受け部143bの上流側の空間や、ブレーキ力受け部143cの下流の空間に意図せず進入するのを抑えている。
その一方で、ヒサシ143gは、ブレーキ係合部材(204,208)が、ドラム駆動カップリング180とは離れて単独でブレーキ力受け部の下流側の空間に進入するのは許容するように配置されている(図50(d)、図49(c)、図48(c)参照)。
つまり、ブレーキ係合部材(204,208)は、ヒサシ143gを通りすぎた後は上流側斜面143d2に接触し、斜面143dに沿ってブレーキ力受け部143cの下流側の空間に向かってガイドされるようになっている(図49(c)、図50(d)参照)。
つまり、ヒサシ143gは、ブレーキ係合部材(204、208)が斜面(天面)143dの上流側の部分(上流側天面)143d2と接触できる状態となれば、ブレーキ係合部材(204、208)のブロック状態を解除する。
ヒサシ143gは、上流側斜面143d2と隣接していて、上流側斜面143d2の上流に位置する。本実施例では、ヒサシ143gの天面と上流側斜面143d2は接続していたが、ヒサシ143gと上流側斜面143d2が隣接しつつ、互いの間にギャップが形成される場合もあり得る。
またヒサシ143gの天面は、ドラムユニットの軸線Lに対して垂直な平面となっていたが、この形状に限られるわけではない。例えば、ヒサシ143gの天面を上流側斜面143d2と同じ向きに傾斜することも考えられる。この場合には、ヒサシ143gが、上流側斜面143d2の一部を形成しているとみなすこともできる。あるいはガイド形成部143nの一部が、ヒサシ143gを形成するとみなすこともできる。
また、本実施例では、カップリング143は、らせん状斜面143dや、ヒサシ143g、駆動力受け部143b、ブレーキ力受け部143cを2つずつ有していた。つまり、カップリング143はその軸線に対して対称な形状を有し、2つのカップリング部143s、143rを有する(図58参照)。そして、カップリング部143sとカップリング部143rは、それぞれ、天面としてのらせん状斜面(傾斜部)143dなどを有する。そして、ブレーキ係合部材(204,208)及びドラム駆動部材180は、図76(a)に示すように、カップリング部143sおよびカップリング部143rに係合する。
なお、カップリング143の別の形状の例(変形例)は後述する。
なお、駆動伝達ユニット203は、感光体ドラムの回転に負荷を加えるためのブレーキ力をカップリング143に与えるブレーキ力付与部材(ブレーキ係合部材)として、第1ブレーキ係合部材204と第2ブレーキ係合部材208を有する。第1ブレーキ係合部材204と第2ブレーキ係合部材208の間には隙間が空いていて、径方向内側に配置された第2ブレーキ係合部材208は撓むことで第1ブレーキ係合部材204に近づくように多少径方向の外側に移動することが可能である。カップリング143と駆動伝達ユニット203の連結を解除する際に、第2ブレーキ係合部材208が撓むことによって、第2ブレーキ係合部材208はカップリング143との係合を円滑に解消することができる。例えば、第2ブレーキ係合部材208は、撓むことによってヒサシ143gを乗り越えて、カップリング143から離脱することができる。
[実施例1で示したカップリングやカートリッジの各種変形例]
また、これまで説明した実施例1のドラムカップリング143を一部変形した変形例(変形形状)について説明する。先に説明したヒサシ143gがドラムカップリング143に配置されていない場合についても条件によって機能させることができる。
図52には、ヒサシ143gが配置されていないドラムカップリング143の斜視図を、図53には係合する過程を説明する展開図を示した。
図52を用いて形状の説明をする。図52はドラムユニットの一端を示す図であり、感光体ドラム104の端部にカップリング部材(ドラムカップリング)143が取り付けられている状態が示されている。ドラムカップリング143には、らせん状斜面143dの他、後述の押し戻し面143kがあるが、ヒサシ形状は無い。
続いて、図53を用いて駆動伝達ユニット203と係合するまでの工程を説明する。
図53の展開図の表し方は図48の展開図と同じである。ドラムカップリング143は、2つのカップリング部143s、143rを有するが説明の簡略化のためにカップリング部143sについてのみ説明する。カップリング部143sについての説明は、カップリング部143rについても成立する。
図53(a)で示すドラムカップリング143の傾斜開始部143fと第2ブレーキ係合部材208の内向き突起208eとの互いの位相が、次の関係を満たす場合を説明する。つまりドラムカップリング143の傾斜開始部146fの方が回転方向(矢印A)で下流側にある場合について説明する。
図53(a)は駆動伝達ユニット203の駆動伝達面180dと第2ブレーキ係合部材208が接近している状態を示している。
次に図53(b)では、ヒサシがないのでドラムカップリング143は、押し戻し面143kとらせん状斜面143d3との間の空間にドラム駆動カップリング180と第2ブレーキ係合部材208が進行してくる状態を示している。
図53(c)では、駆動伝達ユニット203が回転方向Aに回転を始めた状態を示している。ドラム駆動カップリング180と第2ブレーキ係合部材208が回転すると、第2ブレーキ係合部材208は押し戻し面143kの傾きθ1の作用または、第2ブレーキ係合部材208の傾きθ2の作用によって斜面に沿うように矢印E方向に移動する。図48で説明したように、第2ブレーキ係合部材208は回転負荷を受けないで回転できる。
以上説明したように、ブレーキ係合部材(204、208)が、ブレーキ力受け部と係合できない領域に進入してきた際には、押し戻し面(押し戻し部)143kが、第2ブレーキ係合部材208に力を加える。これによって押し戻し面143kは、ブレーキ係合部材(204、208)を駆動伝達ユニット203の内部に向かって押し戻し、矢印E方向に移動させる。
ただし、第2ブレーキ係合部材208は図43で示したバネ211で図のM1B方向に付勢されており、第2ブレーキ係合部材208の傾きθ2の分力がバネ力F1よりも小さいと、第2ブレーキ係合部材208を矢印E方向に動かすことが出来ない。分力はドラム保持ユニット108の負荷トルク、各斜面の角度(θ1またはθ2)によって変わる。力の大小関係が、分力と摩擦力などを考慮して上記作用が成り立つ範囲で設定させるとよい。
図53(d)では、回転負荷を受けなくなった第2ブレーキ係合部材208の動きを示している。駆動伝達ユニット203が更に回転して第2ブレーキ係合部材208が、ドラムカップリング146の傾斜開始部146fを通り越した状態である。この状態になると、図48(c)で説明したように第2ブレーキ係合部材208は矢印Cの方向へ移動する。この後の動作は前述と同様なので割愛する。
なお、図50(a)〜(d)では図示されていないが、これらの過程において第1のブレーキ係合部材204も第2のブレーキ係合部材208とともに移動する。
実施例1(図1(a)参照)で示したドラムカップリング143はヒサシ143gによって、ブレーキ係合部材(204,208)が、ブレーキ力受け部と係合できない領域に入り込むのをブロックしていた。これに対して本変形例のドラムカップリング143では、ブレーキ係合部材(204,208)がブレーキ力受け部143cと係合できない領域にドラム駆動カップリング180とともに入り込んだ際に、押し戻し面(押し戻し部)143kによってブレーキ係合部材(204,208)を押し戻している。押し戻し面143kは、らせん状斜面143とは異なる向きに傾斜した傾斜部である。つまり、らせん状斜面143は、回転方向下流側に向かうにつれて、ドラムユニットの非駆動側に向かって傾斜する部分であるのに対して、押し戻し面143kは回転方向Aの下流側に向かうにつれて、ドラムユニットの外側、すなわち感光体ドラムの非駆動側の端部104b(図80参照)から遠ざかる方向に向かって傾斜する部分である。らせん状斜面143を下り坂の傾斜部とみると、押し戻し面143kは上り坂の傾斜部である。押し戻し面143kは、らせん状斜面143d対して回転方向上流側に配置されていて、らせん状斜面43kに隣接いている。
押し戻し面143kは、ブレーキ係合部材(204、208)をらせん状斜面143dに向けてガイドするためのガイド(第2のガイド)でもある。また、押し戻し面134kは、らせん状斜面143dとは傾斜の向きが逆である、らせん状斜面(第2のらせん状斜面、第2の傾斜部)である。
また、ドラムカップリング143のさらに別の変形形状について説明する。実施例1で説明した傾斜部やガイドとしての天面(らせん形状の斜面143d)は滑らかな斜面で形成されていて、その面に沿ってブレーキ係合部材(204、208)をガイドしていた(図56等参照)。しかし、傾斜部が、その他の形状を有していたとしてもドラムカップリング143を機能させることもできる。その一例を図54に斜視図を用いて示した。
まず、図54(a)で示した形状は、実施例1で説明した形状を再掲したものである。傾斜開始部143fからブレーキ力受け部143cに向かってなだらかならせん状傾斜面143dが形成されている。
一方、図54(b)および図73(a)の形状は変形例を示している。傾斜開始部147fと、ブレーキ力受け部147cの間は、階段状に高さが変化している。つまり天面(傾斜部)が段差部147dとなっていて、複数の段差によって傾斜が形成される。このように、傾斜部(天面)が、らせん状の斜面ではなく、らせん状の階段状であって、第2ブレーキ係合部材208が進む方向に下っていて傾斜を形成する場合もある。
階段状の段差部147dは、第2ブレーキ係合部材208を階段状の段差部147dを図73(a)の矢印C方向へ移動することで前述の図54(a)のらせん状傾斜面143dと同じ機能を有する。傾斜面143dが連続的に傾斜した面からなる傾斜部であるのに対して、段差部147dは複数の平面によって段階的に傾斜した傾斜部とみなすことができる。
カップリング143を製造するための金型の構成に制限があるなどの理由によって、カップリング143にらせん状の斜面143dを形成するのが難しい場合には、傾面143dの代わりに段差部147dを用いることが出来る。
この際、天面である段差部147dと第2ブレーキ係合部材208とが接触した際に、第2ブレーキ係合部材208が段差部147dに引っかからず、円滑にガイドされるように構成させるとよい。例えば、段差部147dの各々の平面の幅を、十分に狭くすることが考えられる。また、図73(a)では天面(傾斜部、ガイド)が複数の平面を組み合わせた階段状で構成されていたが、複数の曲面を組み合わせて天面(傾斜部、ガイド)を構成しても同様の機能を奏し得る。段差部147dは、傾面143dと同様に、自身の傾斜によって、ブレーキ係合部材(204,208)をブレーキ力受け部に向ってガイドするためのガイド(傾斜部)である。
また図54(c)および図73(b)に示したように、天面が傾斜面(上流側天面、下流側天面)148d1と傾斜面(下流側天面、下流側ガイド、下流側天面)148d2に分断されていて両者の間に空間148gが空いる場合もある。この場合であっても、第2ブレーキ係合部材208が天面(148d1、148d2)に接触した際に引っかかりが生じない形状で有れば、天面(148d1、148d2)はガイドとしての機能を満たすことが出来る。このようなカップリングは、カップリングを成型するための金型の構成に制限がある場合などに用いることが出来る。
更に図54(d)および図73(c)には、カップリング143の各部の形状をリブによって構成した変形例を示している。天面(傾斜面149d)が複数のリブ149pの表面によって構成され、天面の面が複数に分割されていても同様に機能を持たせることが出来る。つまり図73(c)に示すように上流側天面(上流側ガイド、上流側傾斜部)149d2を形成するガイド形成部149nは、径方向に突出した突起(リブ)である。
使用する材料の特性によって、肉厚な部分を作らずにリブで構成する必要があるときに用いることが出来る。
つまり図54(a)〜(d)の各構成では、各天面(143d、147f、148d1,148d2、149d)は、その形状を問わず、ブレーキ係合部材(204,208)をブレーキ力受け部143cに向けてガイドさせる。つまり各天面は、その形状を問わず、ブレーキ係合部材(204、208)をブレーキ力受け部143cに向けてガイドするためのガイド(傾斜部)である。このような天面(ガイド)の少なくとも一部は、ガイド形成部143nによって形成されている。
天面と同様に、図52で示した押し戻し面(押し戻し部)143kの形状も種々のものをとり得る。例えば、本変形例の押し戻し部(押し戻し面)143kは滑らかに連続したらせん状の斜面であったが、押し戻し部が、複数の面や、段差によって傾斜を形成していてもよい。例えば、図48(b)、図56(d)に示す実施例1の押し戻し部143kのように、押し戻し部143kが傾斜の異なる2つの面であってもよい。また押し戻し面143kが上り坂であったが、局所的に下り坂の部分を持っていてもよい。
ドラムカップリング143が、ヒサシ143gと押し戻し面(押し戻し部)143kのいずれか一方を持っている場合もあれば、両方持っている場合もある。前述したように図48(b)、図55(b)、図56(d)で示される実施例1のドラムカップリング143は、ヒサシ143gだけでなく、押し戻し部143kを両方持っている構成である。通常は、ドラムカップリング143は、ヒサシ143gによって、ブレーキ係合部材(204,208)の不適当な進入、近接をブロックできるが、万一、ブロックできなかった場合には、押し戻し面143kが、ブレーキ係合部材(204、208)を押し戻し、カップリング143から遠ざける。
なお、ドラムカップリング143は、押し戻し面143kを構成する突起形状(押し戻し部形成部、第2ガイド形成部)143mを有する(図79(b)、(c)参照)。
係合部143i、ガイド形成部143n、突起形状143m、ヒサシ143g(図79参照)を順不同で、第1、第2、第3、第4の形状部などと呼ぶ場合がある。
次に図54(e)および図73(d)を用いて、ブレーキ力受け部(第2側面)の変形例を示す。
図54(a)や図1(a)、図55〜図57で示した実施例1や、図52および図54(b)〜(d)で示した他の変形例で説明したブレーキ力受け部143cは、回転方向下流側にせり出した形状を有していた。ブレーキ力受け部143cが回転方向の下流側にせり出した形状を有することで、ブレーキ係合部材(204、208)と係合した際に、係合の安定性が増すからである。
つまり、この形状によって、ブレーキ力受け部143cがブレーキ係合部材(204、208)と係合した際に、互いに引き寄せ合うように力を発生させていた。ブレーキ力受け部143cが回転方向の下流側にせり出していた。そのため、ブレーキ力受け部143cにブレーキ力係合部材(204、208)が接触すると、ブレーキ力係合部材(204、208)を、ドラムカップリング143や感光体ドラム104に向かって軸線方向内向きに引き込む力が発生する。これによってブレーキ力受け部143cとブレーキ力係合部材(204,208)の間の係合状態が安定し、係合が外れにくくなっている。
前述したように、ブレーキ係合部材(204,208)は、ドラム駆動カップリング180に対して軸線方向に移動可能に構成されている(図67、図68参照)。しかしながら駆動伝達ユニット203がドラムカップリング143を駆動している際に、ブレーキ係合部材(204,208)が軸線方向に移動するとブレーキ力受け部143cとの係合状態が解消されたり、不安定になったりする可能性がある。そのためブレーキ力受け部143cが、ブレーキ係合部材(204,208)との係合状態を安定させるための形状を有し、ドラムアップリング143の駆動時におけるブレーキ係合部材(204,208)の軸線方向の移動を抑えるのが好適である。
しかしながら、ブレーキ力受け部に加える必要があるブレーキ力が小さい場合、または、ブレーキ力受け部の摩擦係数が高い場合などには、ブレーキ力受け部とブレーキ係合部材(204,208)の係合はもともと安定しやすい。そのため、ブレーキ力受け部に、せり出した部分を無くすことが出来る。そのようなブレーキ力受け部144tを図54(e)および図73(d)に示す。図54(e)および図73(d)で示す変形例のドラムカップリング143では、ブレーキ力受け部144cを回転方向(矢印A)の下流側に向かってせり出させていない。
その一方で、このような形状のブレーキ力受け部144cに対しても、よりブレーキ係合部材(204,208)との係合状態を安定させる工夫を施すことも考えられる。
ブレーキ力受け部144cと、ブレーキ係合部材の係合を安定化させるために例えばゴムなどの弾性部材(弾性部)144tをブレーキ力受け部144cに張り付けたり、弾性部をブレーキ力受け部144cと一体成型したりすることも考えられる。ブレーキ力受け部144tの摩擦係数を大きくしたり、ブレーキ係合部材(204、208)をブレーキ力受け部144tの弾性部に食い込ませたりすることで、ブレーキ係合部材(204、208)との係合が外れにくくなり、係合を安定させることができる。
ブレーキ力受け部144cの摩擦力を上げる方法として、弾性部材144tを用いる代わりに、粘着性のある部材(粘着部材)を用いることも考えられる。たとえばブレーキ力受け部144cの表面に両面テープ(粘着部材)を張るなどすれば、その粘性によって、ブレーキ力受け部144cとブレーキ係合部材(204,208)の間の摩擦力が上がって、両者の係合が外れにくくなる。そのほか、弾性部材144tを使わず、ブレーキ力受け部144cに表面加工をすることによってブレーキ力受け部144cの摩擦係数を挙げることも考えられる。
なお、ブレーキ係合部材(204,208)をガイドするためのらせん状斜面143d(図67参照)は、円滑なガイドを達成するうえでは摩擦係数が小さいことが望ましい。したがって、ブレーキ力受け部144cに対して摩擦係数の高い材質を選定したり表面加工を加えたりする場合であっても、カップリングの全体にそのような対応をするのではなく、らせん状斜面143dに対しては、そのような材質を用いたり表面加工をしたりすることを避けるのが望ましい。つまり、らせん状斜面143dの摩擦係数よりもブレーキ力受け部144cの摩擦係数が高くなるようにするのが望ましい。
なお、図54(a)〜(d)で示すようなドラムカップリング143のブレーキ力受け部143cに弾性部144tを設けてもよい。
次に、ドラムカップリング143の好適な配置関係、寸法関係について、図101を用いて説明する。図101は実施例1のドラムカップリング143の正面図である。θ(シータ)11は、係合部143iの駆動力受け部143bからブレーキ力受け部143cまでの寸法を、ドラムカップリング143の軸線を原点とした角度で示した値である。別の言い方をすると下流側傾斜部143d1の領域の角度である。
θ11の上限に関して、θ11は、90°以下、より好ましくは80°以下であることが望ましい。θ11は、ドラムカップリングが駆動伝達ユニット203に係合するときに、ドラム駆動カップリング180とブレーキ係合部材(204、208)の間に生じる隙間に相当する(図64参照)。装置本体のブレーキ係合部材(204、208)と、ドラム駆動カップリング180の間に、駆動力受け部143bとブレーキ力受け部143cを確実に挟み込むうえでは、θ11が90°以下、より好ましくは80°以下であることが望ましい。
一方、θ11の下限についてであるが、駆動力受け部143bやブレーキ力受け部143cを形成する係合部143iを金属にするなどして、係合部143iの強度を高めれば、θ11を小さくすることが可能である。詳細は後述するが、図74で示した、ドラムカップリングの変形例では、ドラムカップリング143を金属で構成することによって、係合部143iに対応する係合部145iの厚みを、本実施例よりも小さくしている。このような構成を考慮すると、θ11(図101)の下限についての好ましい条件は、θ11が、1°以上、より好ましくは2°以上、さらに好ましくは8°以上である。本実施例ではθ11が30°以上となるようにし、θ11をおよそ35°にした。
駆動力受け部143bやブレーキ力受け部143cが安定して力を受けられるように、これらの強度を高めるためには係合部143iの厚みに相当する角度θ11がある程度の大きさを確保することが望ましいからである。
θ11を長さに換算すると、係合部143iの厚み、すなわち、駆動力受け部143bからブレーキ力受け部143cまでを回転方向に沿って測った距離になる。この距離の望ましい範囲が、0.3mm以上、より好ましくは1mm以上である。
また図101において、θ12は、上流側斜面(上流側ガイド、上流側傾斜部)143d2の占める領域を角度で示したものである。θ12の下限に関しては、θ12の値が、θ11の半分の値以上であることが望ましく、さらに望ましくはθ12の値がθ11の値以上であることが望ましい。上流側傾斜部143d2によって、ブレーキ係合部材(204、208)をブレーキ力受け部143cまでガイドするために必要な程度、上流側斜面143d2が回転方向に長さを持っている必要があるからである。
θ11が小さく、かつ、上流側斜面143d2の傾斜角度が大きいほど、θ12の下限を小さくすることが可能となる。
このように、θ12の下限の大きさは、θ11の値の大きさや、上流側斜面143d2の角度にも依存するが、数値であえて表すと、θ12が1°以上、より好ましくは2°以上、さらにこのましくは8°以上、さらに好ましくは30°以上である。本実施例では、θ12を60°以上となるようにした。
なお、θ12の上限であるが、θ12は比較的大きくすることが可能であり、360°を超えることも可能である。ただ、好ましくは、θ12が360°以下、より好ましくは270°以下であって、本実施例では180°以下とした。具体的には、θ12をおおよそ67°にした。
θ12を本実施例よりも大きくした構成については、図102、図103を用いて後述する。
θ13は、θ11とθ12を足し合わせた角度であって、らせん状斜面143dの全体が占める角度に相当する。θ13をあえて数値で表すと、θ13は2°以上であることが望ましく、より好ましくは8°以上であることが望ましい。またθ13は、360°以下であることが望ましく、270°以下であることがさらに望ましい。本実施例では、θ13は、180°以下となるようにした。具体的には、θ13はおおよそ、102°とした。した。
カップリング143の他の変形例として図74を用いて形状の説明を行う。
図74には、変形例としてのカップリングの二つの視線方向から描いた斜視図と正面図を示した。
本変形例のカップリング143は、駆動力受け部145bとブレーキ力受け部145bを有する係合部145iと、らせん状傾斜面145dを有するガイド形成部145nを有する。係合部145iとガイド形成部145nは、実施例1(図79参照)に示すカップリング143の係合部143iとガイド形成部143nに対応しているが、形状が一部異なっている。
本変形例のカップリング143は、不図示の第二ブレーキ係合部材208と接触するヒサシ143gがあり、らせん状斜面145dが曲面で形成されている。この曲面は略円弧形状で、傾斜開始点143fからブレーキ力受け部145cを繋ぐように配置されている。この変形例ではブレーキ力受け部145cが回転方向の下流側にせり出した形状を持っていないので、図54(e)と同様に弾性部材(弾性部)145tをブレーキ力受け部145cに張り付けてもよい。
本変形例(図74)におけるせん状斜面145dは、実施例1(図57)の上流側斜面143d2に相当する天面である。
一方、本変形例(図74)において、係合部145iの天面(上部)145e(図74(b))は、実施例1(図57)の下流側斜面143d1に相当するが、下流側斜面143d1とは異なり傾斜していない。
つまり、下流に位置する天面145eは、上流に位置する天面(らせん状斜面145d)と接続しているが、その境界で互いの面の傾斜角度が異なっている。天面145eとらせん状斜面145dは滑らかに接続しているわけではない。
また、駆動力受け部145bとブレーキ力受け部145cの距離が近いため、回転方向に沿って測った天面145eの長さは、図57の下流側斜面143d1の長さに対して小さい(短い)。また上記のように、天面145eは傾斜していない。本変形例においては、天面145eが、ガイドとして用いられないものとみなすこともできる。
ただこのような構成でも、ガイド(傾斜部)であるらせん状斜面145dが、ブレーキ係合部材(204,208)を、ブレーキ力受け部145cに向けてガイドすることができる。
なおらせん状斜面145dの上流には、平面145hが隣接し、らせん状斜面145dと平面145hが接続している。この平面145hをらせん状斜面145dと同じ向きに傾斜させてらせん状斜面145dの一部とすることもできる。また本変形例のドラムカップリングが、実施例1や実施例1の別の変形例で説明した、ヒサシ143gや押し戻し面143kを持っていてもよい(図1、52等参照)。
また、ドラムカップリングの形状に関して、図1に示した軸部143jの形状も設計上の理由で形状を選ぶことが出来る。例えば図75にドラムカップリングの変形例の形状を示した。図75の例では、軸部146jの直径は、感光体ドラム104の直径と同じである。軸部146jは、駆動側カートリッジカバー部材116(図15参照)によって回転可能に支持される。矢印MB1方向への位置規制は、例えば軸部端面146sを用いて実施することが出来る。このようにして軸部146jの形状も、周辺部品との関係や製造方法に合わせて適宜選ぶことが出来る。
ドラムカップリング143の別の変形例を図76(b)、(c)、図78(a)、(b)、(c)、(d)に示す。これらには、2つのカップリング部143s、143rが互いに異なる形状であるドラムカップリングを示した。図76(b)、(c)はカップリング143の展開図であり、図76(c)では、展開図に装置本体側のドラム駆動カップリング180やブレーキ係合部材208も加えて図示している。図78(a)、(b)はドラムカップリング143の斜視図を示している。また図78(c)、(d)ではドラムカップリング143に対するブレーキ係合部材(204、208)とドラム駆動カップリング180の係合状態を示している。
これらの図でしめされたカップリング143では、一方のカップリング部143sの係合部143iはブレーキ力受け部143cを有しておらず、駆動力受け部143bのみを有する。すなわちカップリング部143sの係合部143iに設けられた側面143yは、ブレーキ係合部材(204,208)と係合しない。これに対して、他方のカップリング部143rの係合部143iはブレーキ力受け部143cのみを有しており駆動力受け部143bを有していない。カップリング部143rの係合部143iの側面143xは、ドラム駆動カップリング180と係合しない。
さらに非対称形状の別のカップリング143の例を、図76(d)に示した。カップリング部143sは、駆動力受け部143cに対応するような側面を何ら有していない例である。
図76(b)、(c)、図78(a)、(b)、(c)、(d)で示したカップリング143の変形例は、1か所でのみ駆動力を受け、一か所でのみブレーキ力を受ける。そのため、ドラムカップリングが安定して駆動力、ブレーキ力を受けるためには、円孔部143aとドラム駆動カップリング180の位置決めボス180iの嵌合の精度を高めるとよい(図51参照)。つまり両者の間に生じる隙間を小さくして、駆動伝達ユニット203に対するドラムカップリング143の位置精度を高めて、駆動伝達ユニット203とドラムカップリング143を安定的に確実に係合するとよい。
さらに駆動力受け部、ブレーキ力受け部を1か所ずつ有するドラムカップリングの別の変形例を図77に示す。図77に示すドラムカップリング143は、上流側状斜面143d2、下流側斜面143d1、ヒサシ143g、駆動力受け部143b、ブレーキ力受け部143c、押し出し面143kが1つだけ配置さている。図77(a)はドラムカップリングの斜視図であり、図77(b)は正面図である。
なお、図77に示されるようなドラムカップリング143の変形例においては、斜面143dや、ヒサシ143g、駆動力受け部143b、ブレーキ力受け部143c、押し出し面143kの任意の部分を、180°対称(軸対称)となる位置に配置してもよい。
たとえば、図96で示すように、図77で示したドラムカップリング143のヒサシ143gを180°対称となる領域S143gに移してもよいし、押し出し面143kを対称領域S143kに移してもよい。
なぜならばドラム駆動カップリング180および、ブレーキ係合部材(204,208)は、ともに180°対称な形状を有しているからである。
そのため、1つのらせん状斜面143dが、180°対称となる2か所のどちらに配置されていたとしても、その斜面143dは、ブレーキ係合部材(204、208)の全体に作用し得る。同様に、押し出し面143kが、180°対称となる2か所のどちらに配置されていてもよい。ヒサシ143g、押し出し面143kだけでなく、ブレーキ力受け部143c、に関しても同様である。
また、駆動力受け部143bも、180°対称となる2か所のどちらに配置されていたとしても、ドラム駆動カップリング180は駆動力受け部143bと係合し得る。
ドラム駆動カップリング180は、駆動伝達面180dを2か所有するが、2つの駆動伝達面180dは、一体的に移動する(図45(a))。またブレーキ係合部材(204,208)はカップリング係合部204b、208bをそれぞれ2つずつ有するが、これらのカップリング係合部はすべて一体的に移動する(図45(b)参照)。
このように、ドラムカップリング143の形状を非対称にした別の変形例としては、次のようなものもある。つまり、一方のカップリング部143sは係合部143iを有するもののガイド形成部143nを有しておらず、他方のカップリング部143rはガイド形成部143nを有するものの係合部143iを有していない構成が考えられる。
このような構成の例を図97(a)、(b)で示す。97(a)はドラムカップリングの変形例の斜視図であって、図97(b)は正面図である。
これらの図で示されたドラムカップリングの変形例では、ガイド形成部343nと、係合部343iが一つ有する。ガイド形成部343nは、らせん状斜面(ガイド、天面、傾斜部)343d2を形成する。係合部343iは、駆動力受け部343bと、らせん状斜面(ガイド、天面、傾斜部)343d1を形成する。ガイド形成部343nと、係合部343iが、互いに軸線Lに対して反対側に位置する。さらに本変形例では、ブレーキ力受け部343bは、係合部343iに配置されるのではなく、ガイド形成部343nの回転方向下流の端部に配置している。つまり係合部343iは、駆動力付与部材(ドラム駆動カップリング)180と係合する一方、ブレーキ力付与部材(ブレーキ係合部材204,208)とは係合しない。
図99(a)、(b)、(c)に、本変形例のドラムカップリングと、ブレーキ係合部材(204、208)の係合過程をこの順番で示している。なお説明のため駆動伝達ユニット203のドラム駆動カップリング180は不図示とした。
図99(a)で示されるように、第2ブレーキ係合部材208がガイド形成部343nの斜面343d2に接触することで、第2ブレーキ係合部材208は回転方向において下流側、かつ、軸線方向において感光体ドラム104に近づくように移動を始める。
図99(b)に示されるように、第2ブレーキ係合部材208が上流側斜面343d2の終端付近に至ると、第1ブレーキ係合部材204は、係合部343iの天面である斜面343d1に接触する。その後、ブレーキ係合部材(204、208)はさらに回転を続けて、図99(c)に示すように、第1ブレーキ係合部材204の先端が、係合部343iの下流の空間に進入する。第1ブレーキ係合部材204が、ブレーキ力受け部343c(図97(b)参照)と係合可能な位置に至る。
なお、上述したように、図97、図99で示した本変形例のドラムカップリングにおいても、その任意の部分を、180°対称の位置に移すことが可能である。例えば、図98(a)のように、係合部343iや、駆動力受け部343bをそれぞれ、180°対称となる位置S343i、S343bに移すことができる。係合部343iの配置をS343iに移したものは、図77で示されたドラムカップリングの変形例と類似の形状となる。逆に言うと、図77に示したドラムカップリングの部分の一部を、180°対称な位置に動かすと、図97に示す本変形例のドラムカップリングと類似した形状となる。
図98(a)に示すように、本変形例では、係合部343iを、180°対称な位置S343iに仮想的に配置すると、斜面343d2は、仮想配置された係合部S343iに隣接する。斜面343d2の上流側部分343d2aは、仮想的に配置された係合部S343iや仮想的に配置された駆動力受け部S343bに向かって回転方向の上流から下流へ延びることになる。
なお、本変形例における各部分の寸法に関する角度θ41、θ42、θ51、θ52を図98(b)に示した。
θ41は、係合部343iが配置された領域の角度である。θ42は、ガイド形成部343nのらせん状斜面343d2が占める領域の角度である。θ51は、駆動力受け部343bを仮想的に180°対称な位置に配置したS343bから、ブレーキ力受け部343cまでの領域を示す角度である。θ52は、らせん状斜面343d2において、仮想配置された駆動力受け部の位置S343bよりも回転方向の上流側に位置する部分343d2aが占める領域の角度である。
θ41は、駆動力受け部343bの強度を確保するうえでは、1°以上であることが望ましく、より望ましくは2°以上、より望ましくは8°以上である。
θ51は、ブレーキ係合部材(204、208)と、ドラム駆動カップリング180の隙間の角度に相当する。したがって上記したように80°以下であることが望ましい。
またθ51はθ41よりも大きくなるので、θ51は、1°以上であることが望ましく、より望ましくは2°以上、さらに望ましくは8°以上である。またθ41は、80°以下であることが望ましい。
θ52は、図101のθ12に相当する角度であって、θ52の好適な範囲は、θ12と同様である。またθ42は、図101のθ13に相当する角度であるので、θ42の好適な範囲は、θ13と同様である。
さらに、非対称形状のドラムカップリングの別の変形例を、図100(a)、(b)に示す。実施例1の上流側斜面143d2(図58等参照)を、分割して2か所に配置したような構成である。すなわち、上流側斜面143d2が、上流部143d2aと下流部143d2bに分割されている。上流側斜面143d2の下流部143d2bに、係合部143iが隣接している。
なお、本変形例における寸法関係を図100(b)に示す。角度θ21は、係合部143iの角度であって、図101の角度θ11に相当する。θ21の好適な角度は角度θ11と同様である。θ22bは、上流側斜面143d2の下流部143d2bが占める角度であって、θ22bは、上流側斜面143d2の上流部143d2aが占める角度である。
なお、上流側斜面143d2の下流部143d2b、を180°対称な位置に仮想的に移動した領域をS143d2bとする。このとき、仮想領域S143d2bと、上流部143d2aとが占める領域の角度がθ32である。θ32は、図101の角度θ12に相当するので、θ32の好適な角度の範囲は、θ12の好適な角度範囲と同等である。
なお、θ22aと、θ22bの好適な角度の範囲も、θ12に準じるものである。
さらに、ドラムカップリングの別の変形例を説明する。ガイドや上流側ガイドとしてのらせん状斜面143dや上流側斜面143d2を、実施例1のドラムカップリング(図1等)に対して、よりも長く変更することもできる。このような例を図102、図103で示す。これらの図で示されるドラムカップリングにおいては、上流側斜面143d2に相当するらせん状斜面443d2が360°を超えて配置されている。つまり、らせん状斜面443d2が一周以上配置されている。
なお、実施例1の係合部143iに相当する係合部443iが、斜面443d2とは分離して配置されている。係合部443iは、ブレーキ力受け部443c1と、駆動力受け部443bを有する。なお、らせん状斜面443d2の終端の近傍にもブレーキ力受け部443c2が配置されている。ブレーキ力受け部443c1とブレーキ力受け部443c2は、180°対称な位置に配置されている。
図103(a)、(b)、(c)では、時系列順に、本変形例のドラムカップリングと、ブレーキ係合部材の係合過程を示した。なおドラム駆動カップリング180については説明のため不図示としている。
図103で図示されるように、ブレーキ係合部材(204、208)は、らせん状斜面443d2によってガイドされることによって、1周以上回転する。このように、ガイド、傾斜部であるらせん状斜面443d2の長さを360°を超えて大きくとることは可能である。ただし、らせん状斜面443d2が長いと、ブレーキ係合部材(204、208)がらせん状斜面443d2を通過するために必要な時間が長くなったり、ブレーキ係合部材(204、208)がらせん状斜面443d2を移動する速度が遅くなったりする場合がある。これに対応するには、駆動伝達ユニット203とカップリング143を係合させる際に、駆動伝達203の回転速度を遅くするなどして、ブレーキ係合部材(204、208)が、らせん状斜面443d2を通過する時間を十分に確保する対応が必要になる場合がある。
駆動伝達ユニット203を高速に回転させながら駆動伝達ユニット203とドラムカップリング143とを円滑に係合させるには、ブレーキ係合部材(204、208)が、らせん状斜面443d2を通過するのにかかる時間を短くするのが望ましい。その観点では、らせん状斜面(傾斜部、ガイド)443d2の長さを360°以下にするとより好適であり、270°以下にすると、さらに好適である。
以上説明したように、実施例1のドラムカップリング143を、非対称形状に変更した変形例も利用することが可能である。
ただし、図1、図58で示した実施例1のドラムカップリング143のように、カップリング143が、駆動力受け部143b、ブレーキ力受け部183cを180°離れた位置にそれぞれ2か所、有している構成の方が、カップリング143に対する駆動伝達ユニット203の係合状態や、駆動力の伝達状態が安定するのでより好適である。カップリング143は、駆動力を対称配置された2点で受けられるし、ブレーキ力も同様に対称配置された2点で受けられる。したがって、カップリング143に加わる力のバランスを保ちやすくなる。
また上記した実施例1のドラムカップリング143(図1参照)では、カップリングの各形状部(係合部やガイド形成部、ヒサシ等)が特定の配置関係にあった。しかし、カップリング143の任意の部分を移動可能に構成することで、これらの配置関係を変更することも考えられる。
その一例として、図104乃至図106には、係合部243iが、ドラムカップリング143のそのほかの部分に対して移動可能な構成、具体的には径方向に進退可能な構成を示した。図105に示されるように、ドラムカップリング143は、2つの開口部243pが形成されており、これらの開口部243pを通って、ドラムカップリング143の内部から係合部243iが一部露出するように開示されている。
図105(a)に示すように、2つの係合部243iは、ドラムカップリングの内部に配置された支持部材199のガイド199aによって、支持されている。さらに係合部243iは、ガイド199aに沿って径方向に移動可能な構成であるが、引っ張りバネ200によって径方向の内向きに付勢されている。
したがって、カートリッジが利用されない時には、図104(a)、(c)のように2つの係合部243iは、ドラムカップリングの内部に退避している。一方、カートリッジを画像形成装置本体に装着しようとすると、図106(a)に示すように位置決めボス180iがドラムカップリングの内部に進入して係合部243iに接触する。さらに、位置決めボス180iがドラムカップリング143の内部に進入すると、係合部243iが位置決めボス180iによって径方向の外側に押し出される。これによって図104(b)、(d)に示されるように、係合部243iの一部がドラムカップリング143の外部に向けて進出する。
この状態では、係合部243iの両側部、すなわち駆動力受け部243bやブレーキ力受け部243cが露出し、それぞれ画像形成装置本体から駆動力、ブレーキ力を受けうる状態となる。
このように、カップリング143の配置関係、形状は、一定のものではなく変動、変化する場合もあり得る。例えば、外部からの衝撃に弱いドラムカップリングの部分を、カートリッジを使用しない時には退避させて保護することが考えられる。
カップリング143の一部が可動な場合には、カップリングが実際に使用される場面、すなわちカートリッジ、ドラムユニットが画像形成装置本体に装着されて、カップリング143が駆動伝達ユニット203に係合するときにおけるカップリング143の状態を基準状態とみなせばよい。この基準状態において、カップリング143の形状や、各部の配置関係が、上記したような所望の条件を満たすように構成すればよい。
さらに、図107、図108に、ドラムカップリング143の一部が変形、移動するように構成されたドラムカップリング143の別の変形例を示す。前述の変形例(図105参照)では、係合部243iが径方向に移動する構成であったが、本変形例では係合部643iが軸線方向に移動する構成である。図107(a)では、係合部643iがドラムカップリングの内部に退避した状態を示し、図107(b)では係合部643iがドラムカップリングの外部に向かって、感光体ドラムから遠ざかるように進出した状態を示している。図107(c)では、本変形例におけるドラムユニットの分解斜視図である。
図108(a)、(b)では、ドラムユニットの断面図を示す。図108(a)は、ドラムユニットが装置本体に装着される前の状態、(b)は装着された後の状態である。
装置本体にドラムユニットが装着されると、駆動伝達ユニットに設けられた位置決めボス180iがドラムカップリングの作用部材698に接触する。すると図108(b)に示すように、作用部材698は、軸線方向における内側(図の右側)に移動する。この作用部材698の移動に伴って、ドラムカップリングの内部で連動部材698が径方向の外側に向かって押し出される。この連動部材698の径方向外側への移動に伴って、係合部643iは、連動部材698によって径方向外側に向かって押圧される。その結果、係合部643iは、ドラムユニットの内部に退避した状態(図107(a)、108(a))から、外部に向かってその一部を露出させる状態(図107(b)、108(b))に変化する。
このようにドラムカップリングの一部を移動可能に設けた場合、その移動方向は、径方向であってもよいし軸線方向であってもよい。ドラムカップリングの一部が、径方向と軸線方向の両方に移動してもよいし、回転方向に移動してもよい。
次に、図109、図110に、ドラムカップリングの別の変形例について説明する。上記した2つの変形例と同様に、本変形例のドラムカップリング1043も、その一部が変形および移動する構成である。
図109(a)に本変形例のドラムユニットの分解斜視図である。(b)は、ドラムカップリングの係合部1043iがドラムユニットの外部に向かって進出している状態で(c)は、係合部1043iが内部に向かって部分的に退避している状態である。
本変形例では、ドラムユニットが装置本体に装着される前には、図109(b)のように係合部1043iが突出(進出)状態である。一方、ドラムユニットが装置本体に装着された後には、図109(c)に示すように係合部1043iが退避している状態に変わる。
図110(a)、(b)にドラムユニットの断面図を示す。(a)はドラムユニットが装置本体に装着完了する前の状態であって、(b)は装着完了された後の状態を示している。
図109(a)に示すように、ドラムカップリング143の内部に係合部材1043が軸線方向に移動可能に配置されている。係合部材1043はドラムカップリング143の内部に配置された押圧コイルバネ1020によって、軸線方向の外側に付勢(押圧)されて、係合部材1043の一部である係合部1043iがドラムカップリング143の外部に露出している。
そして、係合部材1043は、その回転軸線上に作用部1043pを有する。図110(b)に示すようにドラムユニットが装置本体に装着されると、位置決めボス180iに作用部1043pが押されることによって、係合部材1043および係合部1043iが軸線方向の内側に向かって退避する。
上記した3つの変形例では、カップリング143の内部に、カートリッジ外部から作用を受けうる作用部を配置して、この作用部を位置決めボス180iによって作動させ、カップリング143の形状を変化させた。しかし、カップリング143の内部以外の場所に、カップリング143の形状を変化させるための作用部を配置させることも考えられる。
以上説明したように、カップリングの形状、形態については、配置に関する設計上の理由や、カップリング生産用の金型を考慮した生産上の理由や、カップリングの保護などの目的によって種々のものを選ぶことが出来る。
また上述したドラムカップリングの3つの変形例では、いずれも、駆動力受け部とブレーキ力受け部を備えた係合部がそのほかの部分に対して移動していた。しかしながら、らせん状斜面やヒサシなどの部分がそのほかの部分に対して移動可能であってもよい。
また、上記したカートリッジ100は、感光体ドラムや、現像ローラを備えていたが、カートリッジ100の構成はこのような構成に限られるわけではない。たとえばカートリッジ100が、感光体ドラムを有しつつ、現像ローラは有さない構成なども考えられる。このような構成の一例としてはカートリッジ100が、ドラム保持ユニット108(図19参照)のみからなるような構成が考えられる。
また実施例1およびその各種変形例では、ドラムカップリング143は、感光体ドラム104の一方の端部(駆動側の端部)の近傍に配置されていて、さらに、感光体ドラム104が形成する空洞の内部に圧入されている。この結果、ドラムカップリング143から感光体ドラム104の端部に駆動力が伝達可能である。しかしながら、ドラムカップリング143と感光体ドラム104の接続方法は圧入に限られない。また、上述の例では、ドラムカップリング143と感光体ドラム104が、一体となってドラムユニット103を構成していたが、ドラムカップリング143と、感光体ドラム104とが、分離されていて、これらがドラムユニットを構成していなくてもよい。
つまり、ドラムカップリング143が感光体ドラム104と作動的に接続されていれば、すなわち駆動伝達可能な形態で接続されていれば、他の接続方法をとり得るし、カップリング143と感光体ドラム104が同じユニットを構成していなくてもよい。
例えば、カップリング143と感光体ドラム104の間に1つまたは複数の中継部材が介されていてもよい。この場合には、ドラムカップリング143は、中継部材を介して感光体ドラム104の駆動側の端部に間接的に接続しているとみなせる。ドラムカップリング143は、自身が回転することによって、中継部材を介して感光体ドラム104を作動させる。
たとえば、感光体ドラム104の端部にギアを取り付け、ドラムカップリング143にも、その外周面にギアを形成することが考えられる。このようにすれば、カップリング143のギアと、感光体ドラム104のギアを直接かみ合わせたり、あるいは2つのギアの間にさらに別のアイドラギアを介したりして、ドラムカップリング143から、感光体ドラム104へ駆動力を伝達できる。
ギアを中継部材として用いる他に、駆動伝達用のベルトをドラムカップリング143と感光体ドラム104とに接続させて中継部材とする方法も考えられる。
また、感光体ドラム104の駆動側の端部とドラムカップリング143を、中継部材としてのオルダムカップリングを利用して接続することも考えられる。この場合には、ドラムユニット103が、感光体ドラム104とオルダムカップリング(中継部材)、ドラムカップリング143を有するユニットであるとみなし得る。
このように、感光体ドラム104とドラムカップリング143の接続方法は直接的な接続であってもよいし、間接的な接続であってもよい。また、感光体ドラム104とドラムカップリング143がユニット化されてドラムユニット103が構成されていてもよいし、感光体ドラム104とドラムカップリング143がカートリッジの中で離れて配置されていて、これらが1つのユニットになっていなくてもよい。
ただしカップリング143と感光体ドラム104が一体的に回転可能なドラムユニット103を構成していたり、カップリング143が感光体ドラム104の端部に直接接続していたりすれば、カップリング143の駆動(回転)が、より精度よく感光体ドラム104にも伝達されやすくなるので、より好適である。
なお、本実施例では、ドラムカップリング143と感光体ドラム104の軸線は一致している。すなわち、ドラムカップリング143と感光体ドラム104は同じ回転軸線Lに沿って整列されている(図1参照)。しかし、ドラムカップリング143と感光体ドラム104を間接的に接続する場合には、互いの軸線の位置が異なる場合もあり得る。
いずれにせよカートリッジは、カップリング143を装置本体に設けられた駆動伝達ユニット203に係合させることによって、安定的に駆動し得る。
カートリッジ等の構成を変更した例は、以下の第2の実施例を用いてさらに説明する。
<<実施例2>>
<画像形成装置800の全体構成>
本実施例に係る電子写真画像形成装置800(以下、画像形成装置800)の全体構成について図82を用いて説明する。図82は、本実施例に係る画像形成装置800の概略図である。本実施例において、プロセスカートリッジ701、及び、トナーカートリッジ713は画像形成装置800の装置本体に対して着脱自在となっている。
本実施例では、第1〜4の画像形成部の構成と動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下において、特に区別を必要としない場合は、添え字であるY〜Kを省略して総括的に説明する。
第1〜第4のプロセスカートリッジ701は水平方向に並んで配置されている。各プロセスカートリッジ701は、クリーニングユニット704と現像ユニット706から形成される。クリーニングユニット704は像担持体としての感光体ドラム707と、感光体ドラム707の表面を均一に帯電する帯電手段としての帯電ローラ708、及び、クリーニング手段としてのクリーニングブレード710を有する。現像ユニット706は、現像ローラ711と現像剤T(以下、トナー)を収容し、感光体ドラム707上に静電潜像を現像する現像手段を有する。クリーニングユニット704と現像ユニット706は、互いに揺動可能に支持されている。なお、第1のプロセスカートリッジ701Yは現像ユニット706内にイエロー(Y)のトナーを収容しており、同様に、第2のプロセスカートリッジ701Mはマゼンタ(M)、第3のプロセスカートリッジ701Cはシアン(C)、第4のプロセスカートリッジ701Kはブラック(K)のトナーを収容している。
プロセスカートリッジ701は、画像形成装置800に設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、画像形成装置800に着脱可能になっている。また、プロセスカートリッジ701の下方には静電潜像を形成するためのスキャナユニット712が配置されている。さらに、画像形成装置800においてプロセスカートリッジ701より後方(プロセスカートリッジ701の着脱方向下流側)に廃トナー搬送ユニット723が配置されている。
第1〜第4のトナーカートリッジ713は、各プロセスカートリッジ701に収容されるトナーの色と対応した順序で、プロセスカートリッジ701の下方にそれぞれ水平方向に並んで配置されている。すなわち、第1のトナーカートリッジ713Yはイエロー(Y)のトナーを収容しており、同様に、第2のトナーカートリッジ713Mはマゼンタ(M)、第3のトナーカートリッジ713Cはシアン(C)、第4のトナーカートリッジ713Kはブラック(K)のトナーを収納している。そして、各トナーカートリッジ713は、同色のトナーを収容したプロセスカートリッジ701にトナーを補給する。
トナーカートリッジ713の補給動作は、画像形成装置800の装置本体に設けられた残量検知部が、プロセスカートリッジ701内のトナー残量不足を検知した際に行われる。トナーカートリッジ713は、画像形成装置800に設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、画像形成装置800に着脱可能になっている。なお、プロセスカートリッジ701、トナーカートリッジ713の詳細説明は後述する。
トナーカートリッジ713の下方には、第1〜第4のトナー搬送装置714が各トナーカートリッジ713に対応して配置される。各トナー搬送装置714は各トナーカートリッジ713から受け取ったトナーを上方に搬送し、各現像ユニット706にトナーを供給する。
プロセスカートリッジ701の上方には、中間転写体としての中間転写ユニット719が設けられている。中間転写ユニット719は、一次転写部S1側を下方にして略水平に配置されている。各感光体ドラム707に対向する中間転写ベルト718は、回転可能な無端状のベルトであり、複数の張架ローラに張架されている。中間転写ベルト718の内面には、一次転写部材として一次転写ローラ720が中間転写ベルト718を介して各感光体ドラム707と一次転写部S1を形成する位置にそれぞれ配置されている。また、二次転写部材である二次転写ローラ721は、中間転写ベルト718に接触し、中間転写ベルト718を介して対向側のローラと二次転写部S2を形成している。さらに、左右方向(二次転写部S2と中間転写ベルトが張架される方向)において、二次転写部S2と反対側に中間転写ベルトクリーニングユニット722が配置される。
中間転写ユニット719のさらに上方には、定着ユニット725が配置されている。定着ユニットは加熱ユニット726と、加熱ユニット726に圧接する加圧ローラ727とで構成される。また、装置本体の上面は、排出トレイ732が配設されており、排出トレイ732と中間転写ユニット719の間に廃トナー回収容器724が配設されている。さらに、装置本体の最下部には記録材703を収容するための給紙トレイ702が配設されている。
記録材703は、その表面に装置本体からトナー像が転写、定着されるための物であって、記録材703の一例は紙である。
<画像形成プロセス>
次に、画像形成装置800における画像形成動作について、図82、及び図83を用いて説明する。
画像形成時には、感光体ドラム707は図83の矢印A方向に所定の速度で回転駆動される。中間転写ベルト718は、図82の矢印B方向(感光体ドラム707の回転に順方向)に回転駆動される。
まず、感光体ドラム707の表面が帯電ローラ708によって一様に帯電される。次に、スキャナユニット712から照射されたレーザー光によって感光体ドラム707の表面が走査露光されることで、感光体ドラム707上に画像情報に基づいた静電潜像が形成される。感光体ドラム707上に形成された静電潜像は、現像ユニット706によってトナー像として現像される。このとき、現像ユニット706は画像形成装置800本体に設けられた現像加圧ユニット(不図示)によって加圧されている。そして、感光体ドラム707上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ720によって中間転写ベルト718上に一次転写される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、第1〜4の一次転写部である画像形成部S701Y〜S701Kにおいて上述したプロセスが順次に行われることで、中間転写ベルト718上に各色のトナー像が順次に重ね合わされる。
一方、給紙トレイ702に収容されている記録材703は、所定の制御タイミングで給送され、中間転写ベルト718の移動と同期して二次転写部S702へと搬送される。そして、記録材703を介して中間転写ベルト718に当接している二次転写ローラ721によって、中間転写ベルト718上の4色トナー像は一括して記録材703上に二次転写される。
その後、トナー像が転写された記録材703は定着ユニット725に搬送される。定着ユニット725において記録材703が加熱・加圧されることで記録材703にトナー像が定着する。その後、定着済の記録材703が排出トレイ732に搬送されることで画像形成動作が完了する。
また、一次転写工程後に感光体ドラム707上に残留した一次転写残トナー(廃トナー)は、クリーニングブレード710によって除去される。二次転写工程後に中間転写ベルト718上に残留した二次転写残トナー(廃トナー)は、中間転写ベルトクリーニングユニット722によって除去される。クリーニングブレード710、及び、中間転写ベルトクリーニングユニット722によって除去された廃トナーは、装置本体に設けられる廃トナー搬送ユニット723によって搬送され、廃トナー回収容器724に蓄積される。なお、画像形成装置800は、所望の単独またはいくつかの画像形成部のみを用いて、単色またはマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
<プロセスカートリッジ>
次に、本実施例に係る画像形成装置800に装着されるプロセスカートリッジ701の全体構成について図83、図84、図85を用いて説明する。図83は、画像形成装置800に装着され、感光体ドラム707と現像ローラ711が当接した状態(姿勢)におけるプロセスカートリッジ701をZ方向から見た概略断面図である。図84は、前方(プロセスカートリッジ着脱方向における上流側)から見たときのプロセスカートリッジ701の斜視図である。図85は、後方(プロセスカートリッジ着脱方向における下流側)から見たときのプロセスカートリッジ701の斜視図である。
プロセスカートリッジ701は、クリーニングユニット704と現像ユニット706から形成される。クリーニングユニット704と現像ユニット706は回転支持ピン730を中心として、揺動可能に結合される。
クリーニングユニット704は、クリーニングユニット704内の各種部材を支持するクリーニング枠体705を有する。また、クリーニングユニット704内には、感光体ドラム707、帯電ローラ708、クリーニングブレード710の他に、感光体ドラム707の回転軸線方向に平行な方向に延びる廃トナースクリュー715を有する。クリーニング枠体705には、感光体ドラム707を回転可能に支持し、感光体ドラム707から廃トナースクリュー715に駆動を伝達するためのクリーニングギア列731を備えるクリーニング軸受ユニット733が、クリーニングユニット704の長手両端に配設されている。
クリーニングユニット704に設けられる帯電ローラ708は、感光体ドラム707に向かって、両端に配置された帯電ローラ加圧ばね736で矢印C方向に付勢されている。帯電ローラ708は感光体ドラム707に対して従動するように設けられ、感光体ドラム707が画像形成時に矢印A方向に回転駆動されると、矢印Dの方向(感光体ドラム707の回転に順方向)に回転する。
クリーニングユニット704に設けられるクリーニングブレード710は、一次転写後に感光体ドラム707の表面に残った転写残トナー(廃トナー)を除去するための弾性部材710aと、弾性部材710aを支持するための支持部材710bとから構成されている。クリーニングブレード710によって感光体ドラム707の表面から除去された廃トナーは、クリーニングブレード710とクリーニング枠体705により形成される廃トナー収容室709に収容される。廃トナー収容室709に収容された廃トナーは、廃トナー収容室709内に設置される廃トナー搬送スクリュー715によって画像形成装置800の後方(プロセスカートリッジ701の着脱方向下流側)に向かって搬送される。搬送された廃トナーは、廃トナー排出部735から排出され、画像形成装置800の廃トナー搬送ユニット723へと受け渡される。
現像ユニット706は、現像ユニット706内の各種部材を支持する現像枠体716を有する。現像枠体716は、現像ローラ711と供給ローラ717とが内部に設けられる現像室716aと、トナーが収容され、撹拌部材729が内部に設けられるトナー収納室716bとに分けられる。
現像室716aには、現像ローラ711、供給ローラ717、現像ブレード728が設けられている。現像ローラ711は、トナーを担持しており、画像形成時は矢印E方向に回転し、感光体ドラム707と接触することで感光体ドラム707にトナーを搬送する。また、現像ローラ711は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において現像軸受ユニット734によって回転可能に現像枠体716に支持されている。供給ローラ717は現像ローラ711と接触しつつ回転可能に現像軸受ユニット734によって回転可能に現像枠体716に支持されており、画像形成時は矢印F方向に回転する。さらに、現像ローラ711上に形成されるトナー層の厚みを規制する、層厚規制部材としての現像ブレード728が、現像ローラ711の表面に当接するように配置されている。
トナー収納室716bには、収納されたトナーTを撹拌するとともに、現像室連通口716cを介して供給ローラ717へトナーを搬送するための撹拌部材729が設けられている。撹拌部材729は、現像ローラ711の回転軸線方向に平行な回転軸729aと、可撓性を有するシートである搬送部材としての撹拌シート729bとを有する。撹拌シート729bの一端が回転軸729aに取り付けられ、撹拌シート729bの他端が自由端となっており、回転軸729aが回転して撹拌シート729bが矢印G方向に回転することで、撹拌シート729bによってトナーが撹拌される。
現像ユニット706は、現像室716aとトナー収納室716bとを連通する現像室連通口716cを有する。本実施例では、現像ユニット706が通常使用される姿勢(使用時の姿勢)において、現像室716aは、トナー収納室716bの上方に位置している。撹拌部材729によって汲み上げられたトナー収納室716b内のトナーは、現像室連通口716cを通って現像室716aに供給される。
さらに、現像ユニット706には、着脱方向下流側の一端にトナー受入口740が設けられる。トナー受入口740の上方には、受入口シール部材745と、前後方向に移動可能なトナー受入口シャッタ741が配置されている。トナー受入口740は、プロセスカートリッジ701が画像形成装置800に装着されていない場合は受入口シャッタ741によって閉じられている。受入口シャッタ741は、プロセスカートリッジ701の着脱動作に連動し、画像形成装置800に付勢されて開く構成となっている。
トナー受入口740に連通して受入搬送路742が設けられ、内部には受入搬送スクリュー743が配置されている。さらに、現像ユニット706の長手中央付近にはトナー収納室716bへトナーを供給するための収納室連通口744が設けられ、受入搬送路742とトナー収納室716bを連通している。受入搬送スクリューは現像ローラ711や供給ローラ717の回転軸線方向と平行に延びており、トナー受入口740から受け入れたトナーを、収納室連通口744を介してトナー収納室716bに搬送する。
<クリーニングユニット>
ここでクリーニングユニット704について、図86を用いて詳細に説明する。
図84に示すように、感光体ドラム707の回転軸方向をZ方向(矢印Z1、矢印Z2)、図82における水平方向をX方向(矢印X1、矢印X2)、鉛直方向をY方向(矢印Y1、矢印Y2)とする。
画像形成装置本体からドラムカップリング(カップリング部材)770が駆動力を受ける側(Z1方向)を駆動側(奥側)、反対側(Z2方向)を非駆動側(手前側)と呼ぶ。ドラムカップリング770と反対側の端部には、感光体ドラム707の内面と接触する電極(電極部)があり、この電極は画像形成装置本体と接触することでアースの役割を果たしている。
感光体ドラム707の一端にドラムカップリング770を、他端に非駆動側フランジ部材769を取り付け、感光体ドラムユニット768を形成する。感光体ドラムユニット768は、ドラムカップリング770を介し、画像形成装置本体800に設けられた駆動伝達ユニット811より駆動力を得る。
ドラムカップリング770は、感光体ドラム707より突出した円筒部771の被支持部としての外周面771aをドラムユニット軸受け部材733Rに回転可能に支持される。同様に、非駆動側フランジ部材769は、感光体ドラム707より突出した円筒部の外周面769aをドラムユニット軸受け部材733Lに回転可能に支持される。つまり感光体ドラム707は、カップリング770とフランジ部材769を介して、カートリッジのケーシング(軸受け部材733R、733L)に回転可能に支持される。
図86に示すように、ドラムユニット軸受け部材733Rが、画像形成装置本体800に設けられた奥側カートリッジ位置決め部808に突き当たる。また、ドラムユニット軸受け部材733Lが、画像形成装置本体800の手前側カートリッジ位置決め部810に突き当たる。これにより、プロセスカートリッジ701は画像形成装置800に位置決めされる。
本実施例のZ方向において、ドラムユニット軸受け部材733Rが、感光体ドラムユニット768を支持する位置を、ドラムユニット軸受け部材733Rが、奥側カートリッジ位置決め部808に位置決めされる個所に近い位置に配置している。よって本実施例では、ドラムカップリング770の円筒部771の外周面771aの先端側(Z1方向側)をドラムユニット軸受け部材733Rに回転可能に支持される。
同様に、Z方向において、ドラムユニット軸受け部材733Lが、非駆動側フランジ部材769を回転可能に支持する個所は、ドラムユニット軸受け部材733Lが手前側カートリッジ位置決め部810に位置決めされる個所に近い位置に配置した。
ドラムユニット軸受け部材733R、733Lが、クリーニング枠体705の両側にそれぞれ取り付けられることにより、感光体ドラムユニット768はクリーニング枠体705に回転可能に支持される。
<駆動伝達ユニットの構成>
図87、図88を用いて画像形成装置側に設けられた駆動伝達ユニット811の構成について説明する。図87は、駆動伝達ユニット811の分解斜視図である。図88は、駆動伝達ユニット811の断面図である。
ドラム駆動カップリングギア813は、画像形成装置800のフレームに固定された指示軸812に回転可能に支持され、モーターから駆動力が伝達されて回転する。実施例1の構成と異なる点として、本実施例ではドラム駆動カップリングと駆動ギアを一体化している。一体化することにより、本体側の駆動軸芯とカートリッジ側の感光体ドラム軸芯の芯ズレを抑制している。
駆動伝達ユニット811は、ドラム駆動カップリングギア813の円筒部内部に複数の部品を有している。支持軸812に支持および回転止めされているブレーキ部材816、ブレーキ部材816と連結してブレーキ力を伝達するブレーキ伝達部材817、ドラムドラムカップリング770のブレーキ力受け面と係合する第1、および第2のブレーキ係合部材814、818、軸線M1に沿って配置され、軸線M1の方向への付勢力を発生させるブレーキ係合バネ821およびドラム駆動カップリングバネ820がある。なお、軸線M1は、駆動伝達ユニット811の回転軸線である。
ドラム駆動カップリングバネ820は、ブレーキ部材816の端面とブレーキ伝達部材817に挟まれるように配置され、それぞれに反発力を与えている。ブレーキ伝達部材817は、ブレーキ係合バネ821の反発力を第1ブレーキ係合部材814を介して受けつつ、ドラム駆動カップリングバネ820の反発力を受け取っている。実施例1の構成と異なる点として、本実施例ではストッパ815がある。ストッパ815はドラム駆動カップリングギア813に組み付けられ、ドラム駆動カップリングギア813と軸線方向において一体で動くように固定されている。これは、ユーザーが強い力でカートリッジを装着した際、ドラムカップリング770が第1ブレーキ係合部材814に衝突し、第1ブレーキ係合部材814がドラム駆動カップリングギア813から脱落することを防止するために配置したものである。
その他の構成、機能については実施例1で示した本体側駆動伝達ユニット203と同様であるため、本実施例では説明を割愛する。
<カップリング部材の構成>
画像形成装置本体からカートリッジ701のドラムユニット768に駆動力を伝達し、ドラムユニット768を駆動(回転)させるための構成について説明する。
図89(a)〜(c)に示されるドラムユニット768は、感光体ドラム707とドラムカップリング770、非駆動側フランジ部材769を有するユニットである。ドラムユニット768は画像形成装置本体に装着されることによって、本体に設けられた駆動伝達ユニット811と連結し得るように構成されている。
ドラムユニット768は画像形成時に矢印A方向に回転する。本実施例では、ドラムユニット768を駆動側(ドラムカップリング770がある側)から見た際、回転方向は反時計方向に相当する。つまり本実施例と実施例1のドラムユニットの回転方向は反対である。
そのため、駆動伝達ユニット811と係合する、ドラムカップリング770の形状は、実施例1に示したドラムカップリング143に対する左右反転形状(鏡映形状)である。また同様に、駆動伝達ユニット811の形状も、実施例1に示した駆動伝達ユニット203の左右反転形状である。
なお、本実施例のドラムユニット768の回転方向を、図83を用いて説明する。なお図83ではドラムユニットを非駆動側から見た図に相当するので、回転方向Aは時計方向に相当する。カップリング部材が受けた駆動力によって、ドラムユニットがA方向に回転すると、感光体ドラム707の表面が次のように移動するように構成されている。感光体ドラム707の表面は、カートリッジのケーシングの内部においてクリーニングブレード710に近接、接触している。その後、感光体ドラム707の表面は帯電ローラ708に近接、接触する。その後に感光体ドラム707の表面は現像ローラ711に近接、接触する。その後、感光体ドラム707の表面は、カートリッジの上方においてカートリッジのケーシングから露出する。露出した感光体ドラム707の表面は、装置本体の中間転写ベルト718に接触するようになっている(図82参照)。その後、感光体ドラム707の表面は、再度、カートリッジのケーシングの内部に戻って、クリーニングブレード710に近接、接触する。
次に、ドラムカップリング770について、詳細を説明する。図89(a)〜(c)はドラムカップリング770の詳細形状を説明する図である。図89(a)はドラムユニット768の斜視図、図89(b)は図89(a)の別位相の斜視図、図89(c)はドラムユニット768をZ1方向から見た正面図である。ドラムカップリング770は、位置決め穴770a、駆動力受け部770b、ブレーキ力受け面770c、らせん状斜面770d、ヒサシ770gを有している。
これら位置決め穴770a、駆動力受け部770b、ブレーキ力受け面770c、らせん状斜面770d、ヒサシ770gは、図1等に示した実施例1のカップリング部材143の、円孔部143a、駆動力受け部143b、ブレーキ力受け面143c、らせん状斜面143d、ヒサシ143gにそれぞれ対応している。実施例1と本実施例における互いのカップリング部材の対応する部分同士は、互いに同様の作用を発揮する。
上記したように、ドラムカップリング770と実施例1のドラムカップリング143(図1参照)は、寸法が一部異なることを除けば、互いに左右対称(鏡映対称)の関係を持つ。そのため、ドラムカップリング770の各部770a、770b、770c、770d、770gの各々の形状も、カップリング部材143の各部143a、143b、143c、143d、143gの形状を実質的に左右反転させた(すなわち鏡映した)ものである。本実施例では、ドラムカップリング770は、上記したように図83、図89(a)〜(c)に示す矢印A方向に回転する。本実施例におけるドラムカップリング770の回転方向(矢印A方向)は、ドラムカップリング770を正面からみたときの反時計方向である(図89(c)参照)。
なお、ドラムカップリング770の形状はこれに限られない。たとえば、ドラムカップリング770の形状は、図52、図54(b)−(e)、図74、図75、77、78、81、97、100、図102乃至110等で示した、実施例1のドラムカップリング143の変形例を左右反転させた形状(すなわち鏡映形状)であってもよい。
<カートリッジの画像形成装置本体への装着>
図90、図91を用いて、プロセスカートリッジ701の画像形成装置本体800への着脱について説明する。
図90は画像形成装置本体へのカートリッジ装着を説明するための斜視図である。また、図91は装置本体へのカートリッジの装着動作を説明するための断面図である。
本実施例の画像形成装置本体800は略水平方向にカートリッジを装着可能な構成を採用している。具体的には、画像形成装置本体800はカートリッジを装着可能な空間をその内部に備える。そして、画像形成装置本体800の前側(使用の際にユーザが立つ方向)にカートリッジを前述の空間へ挿入するためのカートリッジドア804(前扉)を有する。
図90に示すように、画像形成装置本体800のカートリッジドア804は開閉可能に設けられている。カートリッジドア804を開くと、カートリッジ701をガイドするカートリッジ下ガイドレール805が空間の底面に、カートリッジ上ガイドレール806が上面に配置されている。カートリッジ701は空間上下に設けられた上下のガイドレール(805、806)により装着位置へ案内される。
以下に、図91を用いて画像形成装置本体800へのカートリッジの着脱動作について説明する。
図91(a)に示すように、カートリッジ701は、挿入開始時にクリーニング軸受ユニット733R及び感光体ドラム707が中間転写ベルト718に接触しない。言い換えると、カートリッジ701の挿入方向奥側の端部がカートリッジ下ガイドレール805に支持された状態で、感光体ドラム707と中間転写ベルト718が接触しないような寸法関係になっている。
次に図91(b)に示すように、画像形成装置本体800はカートリッジ下ガイドレール805の挿入方向奥側にカートリッジ下ガイドレール805より重力方向上方に向けて突出した奥側カートリッジ下ガイド807を備える。この奥側カートリッジ下ガイド807はカートリッジ701の挿入方向手前側にテーパ面807aを備える。挿入に伴い、カートリッジ701はテーパ面807aに乗り上がり装着位置へとガイドされる。
なお、奥側カートリッジ下ガイド807の位置や形状は、カートリッジを装置本体800へ挿入する際に、カートリッジの一部が中間転写ベルト718の画像形成領域718Aと摺擦しないように設ければよい。ここで、画像形成領域718Aとは中間転写ベルト718の記録材703へ転写するトナー像が担持される領域を指す。また、本実施例においては、装着姿勢を維持したカートリッジのうち、カートリッジ701の挿入方向奥側に設けられたユニット軸受け部材733Rが重力方向上方へ最も突出している。そのため、ドラムユニット軸受け部材733Rの最も挿入方向奥側の端部が挿入時に描く軌跡(以降、挿入軌跡と呼ぶ)と画像形成領域718Aが干渉しないように、各要素の配置と形状を適宜選択すればよい。
その後、図91(c)に示すように、カートリッジ701は奥側カートリッジ下ガイド807に乗り上げた状態から更に画像形成装置本体800の奥側に挿入される。そして、ドラムユニット軸受け部材733Rが、画像形成装置本体800に設けられた奥側カートリッジ位置決め部808に突き当たる。このときカートリッジ701は画像形成装置本体800に装着完了の状態(図91(d))より、0.5°から2°程度傾いた状態となる。
図91(d)はカートリッジドア804が閉じた状態の装置本体とカートリッジの状態を示す図である。画像形成装置800はカートリッジ下ガイドレール805の挿入方向手前側に手前側カートリッジ下ガイド809を有する。この手前側カートリッジ下ガイド809はカートリッジドア(前扉)804の開閉に連動して上下するように構成されている。
ユーザーによりカートリッジドア804が閉じられると、手前側カートリッジ下ガイド809が上昇する。そして、ドラムユニット軸受け部材733Lと画像形成装置本体800の手前側カートリッジ位置決め部810が当接し、カートリッジ701が画像形成装置本体800に対して位置決めされる。
以上の動作により、カートリッジ701は画像形成装置本体800への装着が完了する。
また、カートリッジ701の画像形成装置本体800からの抜去は、上述の挿入動作と逆順となる。
上述のように斜め装着構成を採用しているため、カートリッジ701を装置本体800に装着する際に、感光体ドラム707と中間転写ベルト718の摺擦を抑制することができる。そのため、感光体ドラム707の表面または中間転写ベルト718の表面に微小の傷(擦り傷)が生じることを抑制することが出来る。
また、本実施例で開示した構成は装置本体にカートリッジを水平方向に移動させて装着した後でカートリッジ全体をリフトアップさせる構成と比べて、画像形成装置本体800の構成を簡易にすることが出来る。
<カップリング部材の本体駆動軸への係合過程>
続いて、ドラムカップリング770と駆動伝達ユニット811の係合過程を、図92および図93を用いて詳細に説明する。図92、図93は、駆動伝達ユニット811へのドラムカップリング770の装着動作を説明するための断面図である。
図92(a)は、ドラムカップリング770が駆動伝達ユニット811と係合を開始した状態を示す図、図92(a)はプロセスカートリッジ701を本体奥まで突き当てた状態を示す図、図93(b)は本体前ドアをクローズし、カートリッジがリフトアップした状態を示す図である。図93(a)は図93(b)と図92(b)の間の着脱途中の状態を示す図である。すなわち、プロセスカートリッジ701の装着は、図92(a)、図92(b)、図93(a)、図93(b)の順序で示される工程によって行われる。
図92(a)に示すように、プロセスカートリッジを本体奥側に装着していくと、ドラムカップリング770の位置決め穴770aとドラム駆動カップリングギア813の位置決めボス813iが当接を開始する。図91で説明したように、ドラムカップリング770が駆動伝達ユニット811と係合を開始する際、奥側カートリッジ下ガイド807に乗り上げることで、プロセスカートリッジ701は0.5°から2°程度傾いた状態で挿入される(図91(b)〜(c))。
そのため、ドラム駆動カップリングギア813は、位置決めボス813iがドラムカップリング770の位置決め穴770aに添う状態でガイドされ、ドラム駆動カップリングギア813も傾いた状態となる(図92(b)参照)。なお、図92と図93中の一点鎖線は水平方向をH、ドラム駆動カップリングギア813の回転軸線方向をA1、ドラムカップリング770の回転軸線方向をC1として示している。
図92(b)からさらにプロセスカートリッジを本体奥側に向けて挿入していくと、ドラムカップリング770の側面がドラム駆動カップリングギア813に当接する。当接状態からカートリッジをさらに押し込むと、プロセスカートリッジが本体後側板に突き当たる位置に移動するまで、ドラム駆動カップリングギア813、第1ブレーキ係合部材814、第2ブレーキ係合部材818、ストッパ815、ブレーキ伝達部材817が本体奥側方向に押し込まれる。その結果、プロセスカートリッジや、ドラム駆動カップリングギア813、第1ブレーキ係合部材814、第2ブレーキ係合部材818、ストッパ815、ブレーキ伝達部材817が図93(a)に示した位置まで移動する。すなわち、ドラム駆動カップリングギア813のギア端部の位置が、U2からU1に移動する。
その後、本体前ドアをクローズすると、本体下レールがリフトアップし、プロセスカートリッジの傾きが解消される。すなわち、図93(b)に示すように、ドラム駆動カップリングギア813、ドラムカップリング770ともに傾きが解消され、位置決めボス813iと位置決め穴770aによって芯が合った状態となり、プロセスカートリッジ701の装着が完了する。
上記のようにしてドラム駆動カップリングギア813とドラムカップリング770の芯が決まった後、駆動伝達ユニット811が回転することで、ドラムカップリング770と駆動伝達ユニット811内部の駆動伝達部材、及びブレーキ係合部材が係合する。係合動作については駆動伝達ユニット811やドラムカップリング770の回転方向が逆転しているほかは、実施例1で示した動作と同様の工程となる。したがって、本実施例においてはその説明を割愛する。
本実施例および前述の実施例1では、プロセスカートリッジは、クリーニングユニットと現像ユニットを備えていた。すなわちプロセスカートリッジは、感光体ドラムと現像ローラを備えていた。しかし、画像形成装置に着脱されるカートリッジの構成はこれに限られるわけではない。
例えば、本実施例の変形例として、クリーニングユニット704と現像ユニット706がそれぞれ別にカートリッジ化された構成も考えられる(図94(a)、(b)参照)。
クリーニングユニット704をカートリッジした構成をドラムカートリッジ704A、現像ユニット706をカートリッジ化したものを現像カートリッジ706Aと特に呼ぶ場合がある。
このような変形例の場合、ドラムカートリッジ704Aが、感光体ドラム707や、ドラムカップリング770を有する。ドラムカートリッジ704Aは、現像ユニット706を持たないプロセスカートリッジとみなすことができる。
以上説明したように、本実施例によれば、プロセスカートリッジ701のドラムカップリング770は、画像形成装置本体の駆動伝達ユニット811から駆動力を受け取る。また、ドラムカップリング770は駆動伝達ユニット811から駆動力を受けると同時に、駆動伝達ユニット811内部のブレーキ機構を作動させている。このブレーキ機構によって、カートリッジを駆動させるために必要な負荷を適切な範囲に設定することができる。この結果、プロセスカートリッジは安定して駆動することができる。