JP2020153945A - 調理管理の方法、システム、プログラム、および機器 - Google Patents
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Abstract
Description
この被調理物の芯温計測に関し、加熱中の被調理物の重量変化から芯温を推定することが知られている(たとえば、特許文献1)。
この芯温管理について、芯温計は厚みを持った食材向けが一般的であり、芯温計を差し込むことができない被調理物にあっては芯温計での芯温計測は難しく、芯温計を被調理物に接触させただけでは正確に芯温を計測することができないし、また、芯温計を差し込むことができる被調理物にあっても被調理物に芯温計を取り付けることに手間を要し、煩わしいという課題がある。
発明者は、焼物の調理試験において、プロの調理人が芯温計を用いることなくステーキ肉の芯温を75〔℃〕、85〔℃〕に調整、焼き上げが可能であるという知見を得ている。
そこで、本発明の目的は、上記課題および上記知見に基づき、被調理物から非接触で色情報を取得し、この色情報から芯温を非接触で推定することにある。
この調理管理方法において、さらに、被調理物を基準温度以上に加熱した場合の予測色情報を演算する工程と、加熱中または加熱後の被調理物から色情報を取得する工程と、該色情報と前記予測色情報とを比較することにより、前記被調理物の芯温を推定する工程とを含んでよい。
この調理管理方法において、前記色情報から濃淡情報を取得し、該濃淡情報により被調理物の芯温を推定する工程を含んでよい。
この調理管理方法において、さらに、前記色情報により加熱の良否を判定する工程を含んでよい。
この調理管理方法において、さらに、被調理物の属性情報、色情報、濃淡比、温度情報または判定情報の何れかまたは二以上を含む提示情報を提示する工程を含んでよい。
この調理管理システムにおいて、さらに、前記処理部は、被調理物を基準温度以上に加熱した場合の予測色情報を演算し、加熱中または加熱後の被調理物から色情報を取得し、該色情報と前記予測色情報とを比較することにより、前記被調理物の芯温を推定してよい。
この調理管理システムにおいて、前記処理部は、前記色情報から濃淡情報を取得し、該濃淡情報により被調理物の芯温を推定してよい。
この調理管理システムにおいて、さらに、前記処理部は、前記色情報により加熱の良否を判定してよい。
この調理管理システムにおいて、さらに、情報提示部を備え、この情報提示部に被調理物の属性情報、色情報、濃淡比、温度情報または判定情報の何れかまたは二以上を含む提示情報を提示してよい。
このプログラムにおいて、さらに、被調理物を基準温度以上に加熱した場合の予測色情報を演算する機能と、加熱中または加熱後の被調理物から色情報を取得する機能と、該色情報と前記予測色情報とを比較することにより、前記被調理物の芯温を推定する機能と、を前記コンピュータに実現させてよい。
このプログラムにおいて、前記色情報から濃淡情報を取得し、該濃淡情報により被調理物の芯温を推定する機能を前記コンピュータに実現させてよい。
このプログラムにおいて、さらに、前記色情報により加熱の良否を判定する機能を前記コンピュータに実現させてよい。
このプログラムにおいて、さらに、情報提示部に被調理物の属性情報、色情報、濃淡比、温度情報または判定情報の何れかまたは二以上を含む提示情報を提示する機能を前記コンピュータに実現させてよい。
この機器において、さらに、前記処理部は、被調理物を基準温度以上に加熱した場合の予測色情報を演算し、加熱中または加熱後の被調理物の色情報を取得し、該色情報と前記予測色情報とを比較することにより、前記被調理物の芯温を推定してよい。
この機器において、前記処理部は、前記色情報から濃淡情報を取得し、該濃淡情報により被調理物の芯温を推定してよい。
この機器において、さらに、前記処理部は、前記色情報により加熱の良否を判定してよい。
この機器において、さらに、情報提示部を備え、この情報提示部に被調理物の属性情報、色情報、濃淡比、温度情報または判定情報の何れかまたは二以上を含む提示情報を提示してよい。
この機器において、さらに、被調理物を加熱する加熱部を備えてよい。
(1) 調理中または調理後の被調理物の色情報により被調理物の芯温を推定でき、芯温計測の迅速化と、芯温計測による被調理物の品質低下を防止できる。
(2) 被調理物の色情報を取得して調理中または調理後の被調理物に非接触で芯温を推定でき、芯温計測の接触による被調理物の劣化を防止できる。
(3) 被調理物の色情報により加熱の良否を判定でき、加熱の良否判定の迅速化とともに被調理物の安全性を高めることができる。
(4) 被調理物の芯温計測に要していた人的負荷を軽減できる。
図1は、第1の実施の形態に係る、被調理物の比較情報の取得工程を示している。図1に示す工程は一例であり、斯かる工程に本発明が限定されるものではない。
第1の実施の形態に係る調理管理工程には比較情報の取得工程、芯温の推定工程が含まれる。比較情報の取得工程で、被調理物Fの加熱前後の色情報(加熱前色情報、加熱後色情報)を取得して加熱前後の濃淡比qcを算出する。芯温Tiの推定工程では、濃淡比qcと被調理物Fxの加熱前色情報を用いて予測色情報を演算し、この予測色情報と色情報とを比較して加熱中または加熱後の被調理物Fxの芯温Tiを推定する。
この比較情報の取得には、図1に示すように、被調理物Fの特定(S101)、加熱前画像Gsの取得(S102)、被調理物Fの加熱(S103)、加熱後画像Ggの取得(S104)、加熱前画像Gsおよび加熱後画像Ggの単純化(S105)、加熱前画像Gsの白画素数Nws、黒画素数Nbsおよび白黒比Rsの演算(S106)、加熱後画像Ggの白画素数Nwg、黒画素数Nbgおよび白黒比Rgの演算(S107)、濃淡比qcの演算(S108)、比較情報Frefの作成(S109)、情報の提示(S110)が含まれる。
被調理物Fの特定(S101): 比較情報を取得するための被調理物Fは、被調理物Fxの芯温Tiの推定精度を高める上で、被調理物Fxと共通または類似の属性であることが好ましい。たとえば、複数の被調理物Fxであれば、被調理物Fx中から被調理物Fを選定すればよい。
被調理物Fの加熱(S103): 被調理物Fは、被調理物Fxと同様の調理法により、芯温Tiが基準温度Trefに昇温するまで加熱する。Ti=TrefまたはTi≒Trefの到達時点で加熱を終了する。
加熱後画像Ggの取得(S104): 被調理物Fの色情報として加熱後画像Ggを取得する。被調理物Fを加熱し、その芯温Tiと基準温度Trefとの比較で、Ti=TrefまたはTi≒Trefの到達時点で、加熱後画像Ggを取得する。
白画素数Nws、黒画素数Nbsおよび白黒比Rsの演算(S106): 白黒画像に単純化された加熱前画像Gsから、被調理物Fの輪郭線内の面積Ss中に占める白画素数Nws、黒画素数Nbsを算出すれば、白黒比Rsは式(1) から演算できる。
Rs=Nbs/Nws ・・・(1)
この白黒比Rsは加熱前の面積Ssに占める白面積と黒面積の比でもある。
Rg=Nbg/Nwg ・・・(2)
この白黒比Rgは面積Sgに占める白面積と黒面積の比でもある。
濃淡比qcの演算(S108): この濃淡比qcは、加熱前画像Gsの白黒比Rsから加熱後画像Ggの白黒比Rgに変化した白黒比Rs、Rgの割合と定義すれば、式(3) から演算できる。
qc=Rg/Rs=(Nbg/Nwg)÷(Nbs/Nws)
・・・(3)
この濃淡比qcは、加熱前後の白黒比Rs、Rgの比であり、加熱前面積Ssおよび加熱後面積Sgの変化を考慮した値である。
情報の提示(S110): 被調理物F、その属性情報および比較情報Frefがたとえば、情報提示部52(図14)の表示画面に提示される。
図2は、第1の実施の形態に係る調理管理工程について、被調理物Fxの芯温の推定工程を示している。図2に示す工程は一例であり、斯かる工程に本発明が限定されるものではない。
被調理物Fxの芯温Tiの推定には、被調理物Fxの特定(S201)、加熱前画像Gsxの取得(S202)、加熱前画像Gsxの単純化(S203)、白画素数Nwsx、黒画素数Nbsx、白黒比Rsxの演算(S204)、予測加熱後画像Ggx、予測白画素数Nwgx、予測黒画素数Nbgx、予測白黒比Rgxの演算(S205)、被調理物Fxの加熱中画像Gpxの取得(S206)、加熱中画像Gpxの単純化(S207)、白画素数Nwpx、黒画素数Nbpx、白黒比Rpxの演算(S208)、被調理物Fxの芯温Tiの推定(S209)、加熱の良否判定(S210)および情報の提示(S211)が含まれる。
白画素数Nwsx、黒画素数Nbsx、白黒比Rsxの演算(S204): 単純化処理された加熱前画像Gsxから被調理物Fxの輪郭線内の面積Ssx中に占める白画素数Nwsx、黒画素数Nbsxを演算し、式(4) により白黒比Rsxを演算する。
Rsx=Nbsx/Nwsx ・・・(4)
予測加熱後画像Ggx、予測白画素数Nwgx、予測黒画素数Nbgx、予測白黒比Rgxの演算(S205): 予測色情報として予測加熱後画像Ggx、予測白画素数Nwgx、予測黒画素数Nbgx、予測白黒比Rgxを演算する。予測加熱後画像Ggxは、芯温Tiを基準温度Trefに昇温するまで加熱した場合の予測画像である。予測加熱後画像Ggxについても、式(3) の関係が成立するから、予測加熱後画像Ggxにおける予測白黒比Rgxは、式(5) で表すことができる。
Rgx(=Nbgx/Nwgx)=qc×Rsx
=qc×(Nbsx/Nwsx) ・・・(5)
つまり、予測白黒比Rgxは、濃淡比qcと、加熱前画像Gsxにおける白画素数Nwsx、黒画素数Nbsx、白黒比Rsxを用いれば算出できる。
加熱中画像Gpxの単純化(S207): 加熱中画像Gpxについて、S203と同様に単純化を行う。
白画素数Nwpx、黒画素数Nbpx、白黒比Rpxの演算(S208): 単純化された加熱中画像Gpxから白画素数Nwpx、黒画素数Nbpx、白黒比Rpxを演算し、調理管理ファイル12(図10)に格納する。
被調理物Fxの芯温Tiの推定(S209): この芯温Tiの推定には加熱中画像Gpxと予測加熱後画像Ggxとを比較する。予測加熱後画像Ggxから演算した予測白画素数Nwgx、予測黒画素数Nbgxおよび予測白黒比Rgxに対し、加熱中画像Gpxの白画素数Nwpx、黒画素数Nbpxおよび白黒比Rpxが合致するかにより、被調理物Fxの芯温TixがTix=Tref、またはTix≒Trefに加熱されたかを推定できる。つまり、予測黒画素数Nbgx、予測白黒比Rgx、加熱中画像Gpxの黒画素数Nbpx、加熱中画像Gpxの白黒比Rpxについて、式(6) 、式(7) が成立すれば、芯温TixがTix=Tref、Tix≒Trefに到達したと推定できる。
Nbpx=Nbgx または Nbpx≒Nbgx ・・・(6)
Rpx=Rgx または Rpx≒Rgx ・・・(7)
図3のAは、被調理物Fの加熱前画像Gsを示し、図3のBは、被調理物Fの加熱後画像Ggを示している。図3のAおよびBにおいて、XY座標で表すグリッドは画面3に明示される画素を示している。説明を容易にするため、1画素を拡大して表示しているが、画素の大きさは観測精度に応じて調整できるものであり、図示の大きさに限定されない。
加熱前画像Gsにおける被調理物Fの輪郭線内には画素数Nsが存在する。全画素数Nsは、白画素数Nws、黒画素数Nbsの総数である。
同様に、加熱後画像Ggは、被調理物Fの加熱後の画像であり、加熱前画像Gsより縮小させて示している。被調理物Fの輪郭線内の全画素数Ngは同様に、白画素数Nwg、黒画素数Nbgの総数である。
図4のAは、被調理物Fの加熱前画像Gsを示している。図4のBは、図4のAに示す破線枠部As内の画素の濃淡レベル分布を示している。この濃淡レベルに対し、白黒画素に単純化するため、閾値Cthが設定される。既述したように、加熱前画像Gsの単純化では、中間レベルの画素について、閾値Cth以上の画素を白画素、閾値Cth未満の画素を黒画素に変換される。図4のCは、単純化された画素の濃淡レベル分布を示している。図4のDは、破線枠部Asの単純化された白黒画素分布を示している。図4のDにおいて、Wiは白画素、Biは黒画素を示している。
斯かる処理により、破線枠部Asの単純化と同様に、加熱前画像Gs(図4のA)が白画素と黒画素に単純化される。
図5のAは、被調理物Fの加熱後画像Ggを示している。図5のBは、図5のAに示す破線枠部Ag内の画素の濃淡レベル分布を示している。この濃淡レベルに対し、白黒画素に単純化するため、同様に閾値Cthが設定される。既述したように、加熱後画像Ggの単純化では、中間レベルの画素について、閾値Cth以上の画素を白画素、閾値Cth未満の画素を黒画素に変換される。図5のCは、単純化された画素の濃淡レベル分布を示している。図5のDは、破線枠部Agの単純化された白黒画素分布を示している。
斯かる処理により、破線枠部Agの単純化と同様に、加熱後画像Gg(図5のA)が白画素と黒画素に単純化される。
このように、濃淡レベルを単純化した画像情報を用いれば、加熱前画像Gs(図4のD)と、加熱後画像Gg(図5のD)を対比して被調理物Fの焼き上がり状態を電子情報として把握することができる。
図6は、横軸に加熱前後の白黒比Rs、Rg、縦軸に芯温Tiを取り、白黒比Rs、Rgと芯温Tiの関係を示している。Tsは加熱前温度、Tgは加熱後温度である。
被調理物Fは、芯温TiがTi=Tsから、芯温Tiが基準温度Trefに上昇するまで加熱する。このとき、Ti=Tsで加熱前画像Gsであった被調理物Fは基準温度Trefに加熱すると、加熱後画像Ggに変化する。
加熱前温度Tsと加熱前の白黒比Rsの交点と、基準温度Trefと白黒比Rgの交点を結ぶ直線Lrefは、被調理物Fの白黒比Rsから白黒比Rgへの画像変化を示している。つまり、濃淡比qcの推移を表している。
図7は比較情報ファイル2の一例を示している。この比較情報ファイル2は比較情報データベースの一例である。
この比較情報ファイル2には番号部4、被調理物部6、属性情報部8、比較情報部10が備えられる。番号部4には被調理物Fの特定などに用いられるデータ番号が格納される。被調理物部6には被調理物Fとして複数の被調理物F1、F2、・・・が存在する場合、各識別情報が格納される。属性情報部8には被調理物Fの名称などの属性情報が格納される。
比較情報部10には加熱前色情報部10−1、加熱後色情報部10−2、濃淡比部10−3が備えられる。加熱前色情報部10−1には白画素部10−11、黒画素部10−12、白黒比部10−13が設定される。白画素部10−11には被調理物Fの加熱前色情報Csとして単純化処理後の白画素数Nwsが格納される。黒画素部10−12には被調理物Fの加熱前色情報Csとして単純化処理後の黒画素数Nbsが格納される。白黒比部10−13には白黒比Rsが格納される。
濃淡比部10−3には濃淡比qc(=Rg/Rs)が格納される。この場合、被調理物F1、F2、・・・ごとに濃淡比qc1、qc2、・・・が格納される。
図8のAは、被調理物Fxの一例として被調理物Faの加熱前画像Gaを示している。 図8のBは、被調理物Faの加熱中画像(芯温Tiが基準温度Trefに到達前の途上画像)Gpを示している。そして、図8のCは、被調理物Faの予測加熱後画像(芯温Tiが基準温度Trefに到達時の予測画像)Ggxを示している。
加熱中画像Gpが予測加熱後画像Ggxに到達すれば、被調理物Faは基準温度Trefに加熱されたことになる。
図9は、白黒比Rs、Rsa、Rsb、Rg、Rga、Rgbと芯温Tiの関係を示している。直線Lrefは、被調理物Fから求められた比較情報Frefである(図7)。直線LaはLrefに比較して白黒比Rsa、Rgaが大きい場合、直線LbはLrefに比較して白黒比Rsb、Rgbが小さい場合を示している。
この場合、被調理物F、Fa、Fbが同一の属性を持てば、濃淡比qcが共通であり、Lref、La、Lbは同一の傾きとなる。
既述したように、被調理物Fxから得た比較情報である加熱中色情報Cpxと予測加熱後色情報Cgxの関係が、Cpx=CgxまたはCpx≒Cgxであれば、Ti≧Trefであるから、加熱良と判断する。また、加熱中色情報CpxがCpx≠Cgxであれば、Ti<Trefであるから、加熱不良と判断する。
よって、被調理物Faでは、加熱中の画像Gpaが予測加熱後画像Ggaに到達すれば、芯温Tiが基準温度Trefに到達したと判定でき、同様に、被調理物Fbでは、加熱中の画像Gpbが予測加熱後画像Ggbに到達すれば、その芯温Tiが基準温度Trefに到達したと判定できる。
加熱中の被調理物Fa、Fbは色情報である白画素数、黒画素数または濃淡比から芯温Tiを推定し、同様に、加熱の良否を判定できる。つまり、Ti=TrefまたはTi≒Trefであれば、加熱=良と判定でき、Ti<Trefであれば、加熱=不良と判定できる。
図10は、被調理物Fxの調理管理ファイル12を示している。この調理管理ファイル12には実際の被調理物Fxの色情報としてたとえば、二次元のXY座標上の画像情報が格納される。この調理管理ファイル12は調理管理情報データベースの一例である。
この調理管理ファイル12には番号部14、被調理物部16、属性情報部18、加熱前画像部20、加熱前温度部22、濃淡比部24、予測加熱後画像部26、加熱中画像部28が備えられる。
番号部14には被調理物Fx(=Fa、Fb、・・・)のデータ番号が格納される。被調理物部16には被調理物Fa、Fb、・・・の識別情報が格納される。属性情報部18には被調理物Fa、Fb、・・・の名称などの属性情報が格納される。
加熱前温度部22には各被調理物Fa、Fb、・・・の加熱前温度Tsが格納される。濃淡比部24には各被調理物Fa、Fb、・・・と共通属性または類似属性に係る被調理物Fの濃淡比qc(=Rg/Rs)が格納される。
予測加熱後画像部26にはFa、Fb、・・・の基準温度Trefに昇温するまで加熱した場合の演算結果である予測加熱後画像情報が格納される。この予測加熱後画像Gga、Ggb、・・・は、芯温Tiを基準温度Trefに昇温したか否かを推定するための基準情報である。
この予測加熱後画像部26には白画素数部26−1、黒画素数部26−2、白黒比部26−3が設定されている。白画素数部26−1には単純化後の予測加熱後画像Ggxにおける予測白画素数Nwgxが格納される。黒画素数部26−2には単純化後の予測加熱後画像Ggxにおける予測黒画素数Nbgxが格納される。白黒比部26−3には予測加熱後画像Ggxにおける予測白黒比Rgxが格納される。
加熱中画像部28には時間部28−1、白画素数部28−2、黒画素数部28−3、白黒比部28−4が設定される。時間部28−1には加熱中の被調理物Fxの画像取得時の時間情報などが格納される。白画素数部28−2には加熱中画像Gpxにおける白画素数Nwpxが格納される。黒画素数部28−3には単純化後の加熱中画像Gpxにおける黒画素数Nbpxが格納される。白黒比部28−4には加熱中画像Gpxにおける白黒比Rpxが格納される。これらは画像情報の取得時点の時間情報に関係付けられて格納される。
この第1の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 被調理物Fxと同等の被調理物Fの加熱前画像Gs、加熱後画像Ggの各白黒比Rs、Rgを演算して濃淡比qcを求め、被調理物Fxの加熱前画像Gsxをベースに基準温度Trefに昇温時の予測加熱後画像Ggxを演算することができる。
(2) 被調理物Fxの加熱中画像Gpxと予測加熱後画像Ggxを比較するので、芯温Tiが基準温度Tref以上に加熱されたか否かを推定できる。
(3) 被調理物Fxの色情報は画像情報で取得でき、芯温計測の迅速化を図ることができ、調理品の品質の低下を防止できる。
(4) 被調理物Fxの画像情報はカメラ撮影により取得でき、調理中または調理後の被調理物Fxに非接触で芯温Tiを推定できるので、芯温測定による被調理物の劣化防止を図ることができる。
(5) 被調理物Fxの芯温Tiが所定の基準温度Trefに到達しているか否かを判定でき、加熱の良否判定の迅速化とともに被調理物Fxの安全性を高めることができる。
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る調理管理システムを示している。図11に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
この調理管理システム30は、既述の調理管理方法をコンピュータによる情報処理で実現することができる。
この実施の形態では、カメラ32は、被調理物Fxの調理手段である調理部38の調理庫40に設置されている。調理部38は加熱部の一例であり、たとえば、スチームコンベクションオーブンなどの機器であればよい。被調理物F、Fxは、調理容器の一例であるホテルパン42により調理庫40に収容される。
管理装置34は、色情報から芯温Tiを推定する処理部の一例であり、色情報により調理中または調理後の被調理物Fxの芯温Tiを推定する。
温度計測部36はたとえば、電子温度計であり、主として被調理物Fから加熱前温度Ts、加熱後温度Tgの取得や、被調理物Fxから加熱前温度Tsgの取得、加熱検証などに用いられる。
図12は、管理装置34のハードウェアを示している。図12において、図11と同一部分には同一符号を付してある。
管理装置34には、プロセッサ44、入出力部(I/O)46、記憶部48、操作入力部50、情報提示部52、通信部54が含まれる。
プロセッサ44は記憶部48にあるOS(Operating System)を実行し、既述の情報処理を含む調理管理プログラムを実行する。
記憶部48はROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などの記憶素子を備え、OS、調理管理プログラムなどの各種のプログラムを格納するとともに、比較情報ファイル2(図7)、調理管理ファイル12(図10)などを格納している。
情報提示部52はたとえば、LCD(Liquid Crystal Display)で構成され、プロセッサ44の制御により、たとえば、被調理物F、Fxの属性情報、加熱前画像Gs、Gsx、加熱前の白画素数Nws、黒画素数Nbs、加熱後画像Gg、加熱後の白画素数Nwg、黒画素数Nbg、予測加熱後画像Ggx、予測白画素数Nwgx、予測黒画素数Nbgx、濃淡比qc、計測情報、判定情報などを含む提示情報を提示する。
通信部54はプロセッサ44の制御により、管理センターや携帯情報端末などと無線接続または有線接続により情報の授受を行う。
比較情報Frefの取得処理には既述したように、a)被調理物Fの特定、b)加熱前画像Gsの取得、c)被調理物Fの加熱、d)加熱後画像Ggの取得、e)加熱前画像Gsおよび加熱後画像Ggの単純化、f)白画素数Nws、黒画素数Nbsおよび白黒比Rsの演算、g)白画素数Nwg、黒画素数Nbgおよび白黒比Rgの演算、h)濃淡比qcの演算、i)比較情報ファイル2の作成、j)情報の提示などが含まれる。
芯温Tiの推定処理には既述したように、k)被調理物Fxの特定、l)加熱前画像Gsxの取得、m)加熱前画像Gsxの単純化、n)白画素数Nwsx、黒画素数Nbsxおよび白黒比Rsxの演算、o)予測加熱後画像Ggx、予測白画素数Nwgx、予測黒画素数Nbgxおよび予測白黒比Rgxの演算、p)加熱中画像Gpxの取得、q)加熱中画像Gpxの単純化、r)白画素数Nwpx、黒画素数Nbpxおよび白黒比Rpxの演算、s)調理管理ファイル12への情報入力および更新、t)被調理物Fxの芯温Tiの推定、u)加熱の良否の判定、v)情報の提示などが含まれる。
図13は、比較情報Frefの取得処理の処理シーケンスを示している。この処理シーケンスは、本発明の調理管理プログラムまたは温度管理方法の一例である。この処理シーケンスにおいて、Sは手順または工程を示し、Sに付した番号は手順または工程の順序の一例である。
この処理シーケンスは被調理物Fの温度推定の前工程である。管理装置34は初期設定を行うとともに、被調理物Fの特定を行う(S301)。温度計測部36は被調理物Fの温度計測を行い(S302)、この温度計測部36から管理装置34が温度情報を取得する(S303)。
加熱指示を受けた調理部38は加熱を開始し(S308)、基準温度Trefに昇温するまで被調理物Fを加熱する(S309)。このとき、管理装置34は調理部38に加熱終了を指示し(S310)、調理部38は加熱を終了する(S311)。
管理装置34は加熱前画像Gs、加熱後画像Ggの単純化処理を行う(S313)。管理装置34は単純化した加熱前画像Gsより白画素数Nws、黒画素数Nbsおよび白黒比Rsを演算する(S314)。管理装置34は単純化した加熱後画像Ggより白画素数Nwg、黒画素数Nbgおよび白黒比Rgを演算する(S315)。
管理装置34は濃淡比qc(=Rg/Rs)を演算し(S316)、比較情報Frefを作成する(S317)。そして、管理装置34は、既述の提示情報を提示し(S318)、被調理物Fからの比較情報Frefの取得処理を完了する。
図14は、被調理物Fによる比較情報Frefの提示画面を示している。この提示画面は、情報提示部52の画面表示部に提示される。
この情報提示部52の提示画面56には被調理物提示部58、画像推移提示部60、温度情報提示部62、64、判定情報提示部66が含まれる。被調理物提示部58にはプロセッサ44の制御により被調理物Fの名称などの情報が提示される。
画像推移提示部60には画像部60−11、60−31、画素情報部60−12、60−32が設定される。画像部60−11には加熱前画像Gsが提示され、画素情報部60−12には加熱前画像Gsにおける白画素数Nws、黒画素数Nbs、白黒比Rsが提示される。画像部60−31には加熱後画像Ggが提示され、画素情報部60−32には加熱後画像Ggにおける白画素数Nwg、黒画素数Nbg、白黒比Rgが提示される。
温度情報提示部62には加熱前温度Tsが提示され、温度情報提示部64には芯温Tiや基準温度Trefを表す加熱後温度Tgが提示される。判定情報提示部66には加熱の判定結果として加熱の良否が表示される。
図15は、被調理物Fxの芯温推定の処理シーケンスを示している。この処理シーケンスは、本発明の調理管理プログラムまたは温度管理方法の一例である。この処理シーケンスにおいて、Sは手順または工程を示し、Sに付した番号は手順または工程の順序の一例である。
被調理物Fxの芯温Tiの推定前、管理装置34は初期設定を行うとともに、被調理物Fxの特定を行う(S401)。温度計測部36は被調理物Fxの温度計測を行い(S402)、この温度計測部36から管理装置34が温度情報を取得する(S403)。
管理装置34は調理部38に加熱を指示する(S410)。加熱指示を受けた調理部38は加熱を開始する(S411)。
管理装置34は被調理物Fxの芯温Tiを推定し(S415)、加熱の良否を判定する(S416)。Ti=TrefまたはTi≒Trefであれば、管理装置34は調理部38に加熱終了を指示し(S417)、調理部38は加熱を終了する(S418)。そして、管理装置34は、既述の提示情報を提示し(S419)、被調理物Fxからの芯温Tiの推定および加熱の良否判定を完了する。
図16は、被調理物Fxの芯温Tiなどの提示画面を示している。この提示画面は、情報提示部52の画面表示部に提示される。
被調理物提示部58にはプロセッサ44の制御により被調理物Fxの名称などの情報が提示される。
画像推移提示部60には画像部60−11、60−21、60−31、画素情報部60−12、60−22、60−32が設定される。画像部60−11には加熱前画像Gsxが提示され、画素情報部60−12には加熱前画像Gsxにおける白画素数Nwsx、黒画素数Nbsx、白黒比Rsxが提示される。画像部60−21には加熱中画像Gpxが提示され、画素情報部60−22には加熱中画像Gpxにおける白画素数Nwpx、黒画素数Nbpx、白黒比Rpxが提示される。画像部60−31には予測加熱後画像Ggxが提示され、画素情報部60−32には予測加熱後画像Ggxにおける予測白画素数Nwgx、予測黒画素数Nbgx、予測白黒比Rgxが提示される。
温度情報提示部62には加熱前温度Tsが提示され、温度情報提示部64には芯温Tiや基準温度Trefを表す加熱後温度Tgが提示される。判定情報提示部66には加熱の判定結果として加熱の良否が表示される。
この第2の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) この実施の形態によれば、既述の被調理物F、Fxの調理管理方法をコンピュータによる情報処理により実現することができる。
(2) この調理管理システムおよび調理管理プログラムによれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
図17は、第3の実施形態に係る調理機器を示している。図17において、図12と同一部分には同一符号を付してある。
この調理機器68にはたとえば、同一の機器筐体に調理部38および管理装置34が設置される。調理部38は調理制御部70で制御され、この調理制御部70は管理装置34と連結され、管理装置34と統合制御が可能である。
この調理機器68において、管理装置34の構成および機能は第2の実施の形態で説明しているので、その説明を割愛する。
この第3の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) この実施の形態によれば、調理機器68において、既述の被調理物F、Fxの調理管理方法をコンピュータによる情報処理により実現することができる。
(2) この調理機器68によれば、調理管理システムおよび調理管理プログラムにより、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
(3) 調理機器68において調理される被調理物Fxの安全性を高めることができる。
(1) 上記実施の形態では、被調理物F、Fxの色情報として画像情報、白黒画像情報を用いたが、白黒以外のカラー画像を用いて同様の処理を行うことができ、色情報が白黒画像に限定されるものではない。
(2) 上記実施の形態では画素数を用いているが、面積情報を用いてもよい。
(3) 上記実施の形態では、濃淡情報として濃淡比を例示しているが、本発明は白画素数または黒画素数の増減情報でもよく、濃淡比に限定されない。
以上説明したように、本発明の最も好ましい形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
3 画面
4 番号部
6 被調理物部
8 属性情報部
10 比較情報部
10−1 加熱前色情報部
10−2 加熱後色情報部
10−3 濃淡比部
12 調理管理ファイル
14 番号部
16 被調理物部
18 属性情報部
20 加熱前画像部
22 加熱前温度部
24 濃淡比部
26 予測加熱後画像部
28 加熱中画像部
30 調理管理システム
32 カメラ
34 管理装置
36 温度計測部
38 調理部
40 調理庫
42 ホテルパン
44 プロセッサ
46 入出力部(I/O)
48 記憶部
50 操作入力部
52 情報提示部
54 通信部
56 提示画面
58 被調理物提示部
60 画像推移提示部
60−11、60−21、60−31 画像部
60−12、60−22、60−32 画素情報部
62、64 温度情報提示部
66 判定情報提示部
68 調理機器
70 調理制御部
Claims (21)
- 加熱前、加熱中または加熱後の何れかの被調理物の色情報を取得する工程と、
該色情報により被調理物の芯温を推定する工程と、
を含むことを特徴とする調理管理方法。
- さらに、被調理物を基準温度以上に加熱した場合の予測色情報を演算する工程と、
加熱中または加熱後の被調理物から色情報を取得する工程と、
該色情報と前記予測色情報とを比較することにより、前記被調理物の芯温を推定する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の調理管理方法。
- 前記色情報から濃淡情報を取得し、該濃淡情報により被調理物の芯温を推定する工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の調理管理方法。
- さらに、前記色情報により加熱の良否を判定する工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の調理管理方法。
- さらに、被調理物の属性情報、色情報、濃淡比、温度情報または判定情報の何れかまたは二以上を含む提示情報を提示する工程を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の調理管理方法。
- 加熱前、加熱中または加熱後の何れかの被調理物から色情報を取得する色情報取得部と、
前記色情報により被調理物の芯温を推定する処理部と、
を備えることを特徴とする調理管理システム。
- さらに、前記処理部は、被調理物を基準温度以上に加熱した場合の予測色情報を演算し、加熱中または加熱後の被調理物から色情報を取得し、該色情報と前記予測色情報とを比較することにより、前記被調理物の芯温を推定することを特徴とする請求項6に記載の調理管理システム。
- 前記処理部は、前記色情報から濃淡情報を取得し、該濃淡情報により被調理物の芯温を推定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の調理管理システム。
- さらに、前記処理部は、前記色情報により加熱の良否を判定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の調理管理システム。
- さらに、情報提示部を備え、この情報提示部に被調理物の属性情報、色情報、濃淡比、温度情報または判定情報の何れかまたは二以上を含む提示情報を提示することを特徴とする請求項6ないし請求項9の何れかの請求項に記載の調理管理システム。
- コンピュータによって実現するプログラムであって、
加熱前、加熱中または加熱後の何れかの被調理物の色情報を取得する機能と、
該色情報により被調理物の芯温を推定する機能と、
を前記コンピュータに実現させるためのプログラム。
- さらに、被調理物を基準温度以上に加熱した場合の予測色情報を演算する機能と、
加熱中または加熱後の被調理物から色情報を取得する機能と、
該色情報と前記予測色情報とを比較することにより、前記被調理物の芯温を推定する機能と、
を前記コンピュータに実現させるための請求項11に記載のプログラム。
- 前記色情報から濃淡情報を取得し、該濃淡情報により被調理物の芯温を推定する機能を前記コンピュータに実現させるための請求項11または請求項12に記載のプログラム。
- さらに、前記色情報により加熱の良否を判定する機能を前記コンピュータに実現させるための請求項11または請求項12に記載のプログラム。
- さらに、情報提示部に被調理物の属性情報、色情報、濃淡比、温度情報または判定情報の何れかまたは二以上を含む提示情報を提示する機能を前記コンピュータに実現させるための請求項11ないし請求項14の何れかの請求項に記載のプログラム。
- 加熱前、加熱中または加熱後の何れかの被調理物の色情報を取得する色情報取得部と、
前記色情報により被調理物の芯温を推定する処理部と、
を備えることを特徴とする機器。
- さらに、前記処理部は、被調理物を基準温度以上に加熱した場合の予測色情報を演算し、加熱中または加熱後の被調理物の色情報を取得し、該色情報と前記予測色情報とを比較することにより、前記被調理物の芯温を推定することを特徴とする請求項16に記載の機器。
- 前記処理部は、前記色情報から濃淡情報を取得し、該濃淡情報により被調理物の芯温を推定することを特徴とする請求項16または請求項17に記載の機器。
- さらに、前記処理部は、前記色情報により加熱の良否を判定することを特徴とする請求項16または請求項17に記載の機器。
- さらに、情報提示部を備え、この情報提示部に被調理物の属性情報、色情報、濃淡比、温度情報または判定情報の何れかまたは二以上を含む提示情報を提示することを特徴とする請求項16ないし請求項19の何れかの請求項に記載の機器。
- さらに、被調理物を加熱する加熱部を備えることを特徴とする請求項16ないし請求項20の何れかの請求項に記載の機器。
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