JP2020153585A - アルカリ分含有燃料の燃焼装置および燃焼方法 - Google Patents

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中山 剛
Takeshi Nakayama
剛 中山
吉田 朋広
Tomohiro Yoshida
朋広 吉田
桜井 聡
Satoshi Sakurai
聡 桜井
浩 牧野
Hiroshi Makino
浩 牧野
淳 阪本
Jun Sakamoto
淳 阪本
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Abstract

【課題】流動層を形成する流動粒子の交換量を抑制するアルカリ分含有燃料の燃焼装置及び方法を提供することを課題とする。【解決手段】炉内で流動粒子により流動層を形成し、アルカリ分含有燃料を該流動層で燃焼する燃焼炉1を有する燃焼装置において、燃焼装置は、燃焼炉1と、該燃焼炉1から排出されたアルカリ分付着流動粒子を研磨して流動粒子表面からアルカリ分を除去する研磨装置42と、研磨後の流動粒子とアルカリ分との混合物から流動粒子を選別する選別装置43とを有し、流動粒子が高アルミナ質粒子である。【選択図】図1

Description

本発明は、流動層炉の炉本体内にて流動粒子を酸化性ガスにより流動させた流動層中でアルカリ分含有燃料を燃焼させるアルカリ分含有燃料の燃焼装置および燃焼方法に関する。
近年、地球温暖化の防止対策として、バイオマスエネルギーの利用が注目されている。バイオマスは、化石資源ではなく生物由来の有機性資源であるため、再生可能である。なかでも植物由来のバイオマスは、二酸化炭素排出量を削減する効果が特に期待されている。
バイオマスは有機物であるので、燃焼させると二酸化炭素が発生する。植物由来のバイオマスは、その植物の成長過程で光合成により二酸化炭素から変換された炭素資源を含んでいる。要するに、植物由来のバイオマスの燃焼により発生する二酸化炭素は、その植物が成長過程で大気中から吸収した二酸化炭素に由来している。したがって、バイオマスを燃焼させても、全体としては大気中の二酸化炭素量を増加させていないとみなすことができる。すなわち、バイオマスは、カーボンニュートラルなエネルギー源である。こうした植物由来のバイオマスとして、草本系バイオマス、特にアブラヤシ空果房やスイッチグラスが着目されている。
アブラヤシの空果房は、アブラヤシの果実からパーム油を採取した後に残る一部である。アブラヤシ果房は直径数cmの果実を数百個有しており、果実は果房の芯に強く結合している。この結合を弱めて芯から果実を容易に分離するため、さらに搾油成分の変質を抑制するために、果房は、まず蒸気加熱される。その後、回転篩等により果実が脱果される。果実が脱果された残りの部分が空果房(Empty Fruit Bunch、EFB)である。空果房は、大量に排出されるものの水分を多く含んでいるため、有効利用されることなく野外放置や野焼きなどで廃棄されていた。
近年、アブラヤシ空果房をボイラー燃料として利用することが試みられており、そのための装置が提案されている。かかる装置は、蒸気圧力下で回転篩により果実を果房から分離する蒸熱脱果機、脱果後の空果房を裁断する空果房裁断機、および裁断後の空果房を圧搾する空果房圧搾機を備えている。空果房は空果房裁断機により裁断された後、空果房圧搾機により水分を除去され、ボイラー燃料として使用される。
また、スイッチグラスは、多年生イネ科植物で成長が著しく早いエネルギー作物であり、主に茎部を燃料として用いることが検討されている。
このような草本系バイオマスをボイラー燃料として利用する具体的な技術としては、炉内に供給された流動粒子(流動媒体)を、炉下部から酸化性ガスを供給することにより流動させた流動層中で、バイオマスを燃焼させる流動層炉を用いる方法が検討されている。また、流動層炉では、流動粒子として、安価で汎用的なケイ砂粒子が用いられることが多い。
特許文献1には、草本系バイオマスではなく、汚泥や廃棄物などの処理対象物を燃焼するための循環流動層炉が開示されている。この特許文献1の循環流動層炉は、炉本体としてのライザと、流動粒子を捕集してライザへ戻すダウンカマーとで主に構成され、ダウンカマーは、該ライザの上部と接続配管で接続され該ライザから排ガスとともに送られた流動粒子を捕集する捕集部と、該捕集部で捕集された流動粒子をライザの下部に戻すための戻し管と、ライザからのガスが捕集部内を上昇するのを防止するシール部を有している。
上記循環流動層炉では、ライザの下部から上方へ向けて一次空気が、そして該ライザの側部からは二次空気が供給されていて、該ライザに投入された処理対象物が砂などの流動粒子とともに流動することによりライザ内に流動層が形成されている。上記処理対象物は該流動層中で燃焼され、ライザで発生した排ガスおよび流動粒子の一部がダウンカマーへ送られ、固気分離される。排ガスは、捕集部から外部の排ガス処理設備へと排出される。また、流動粒子は、捕集部で捕集されて降下し、戻し管を経てライザへ戻される。
アブラヤシ空果房やスイッチグラス、竹、籾殻などの草本系バイオマスには、アルカリ分であるカリウムが多く含まれている。例えば草本系バイオマスにおけるカリウムの含有率は、乾燥ベースで0.7〜3wt%程度である。したがって、草本系バイオマスなどの高カリウム含有バイオマスを処理対象物として、例えば特許文献1の循環流動層炉などの流動層炉で燃焼させて燃焼熱エネルギーを回収する際には、このカリウムに起因して以下のような問題が生じる。
ケイ砂粒子を流動粒子とする場合、流動層炉では、燃焼により草本系バイオマスから放出されたガス状のカリウム化合物がケイ砂粒子表面に吸着され、ケイ砂粒子表面にSiO−KO化合物が生成し、この物質の溶融温度は流動層炉内温度より低いため、溶融状態であってケイ砂粒子表面に融着物が形成される。この結果、ケイ砂粒子同士が融着し、ケイ砂粒子の凝集そして塊化(「アグロメレーション」という)が生じて、ケイ砂粒子の流動状態を維持できなくなり、上記流動層炉の正常な運転が妨げられる。
流動粒子が凝集そして塊化して良好な流動をしていない流動層中に草本系バイオマスを投入すると、該草本系バイオマスは流動粒子中に均等に分散できないため、部分的に集まった状態で燃焼し均一に燃焼できないことになる。これにより、炉内では発熱する領域が偏在することになり、局所的な高温部分であるホットスポットが形成されることになるため、これに起因するNOx等の有害ガスの発生や、炉内耐火物の損傷、耐用寿命の短縮、COの発生などの問題が生じ、草本系バイオマスの安定した燃焼が困難となる。
また、流動粒子が凝集する危険性がある場合、流動状態を維持するためには、大量の流動粒子の抜出しと新規流動粒子の補充とを行って流動粒子を入れ替える操作を頻繁に行う必要があることから、連続して運転することができないという問題や、新規流動粒子の購入と抜き出した流動粒子の廃棄に多くの費用が必要となるという問題も生じる。
このような問題に対して、流動層炉の流動層内に添加剤を投入することで、流動粒子の凝集を抑制し、融着・凝集した流動粒子の抜出しや新規流動粒子の補充を頻繁に行なわなくとも、草本系バイオマスを安定して燃焼することのできる、草本系バイオマスの燃焼方法が、特許文献2に開示されている。特許文献2では、以下の検討がなされている。
特許文献2では、流動粒子としてケイ砂が用いられていて、この流動粒子の融着、凝集の原因を検討するため、種々のバイオマス、すなわち、木屑、PKS(アブラヤシの種子から搾油した残渣)、EFB(アブラヤシ空果房)、スイッチグラスの灰分を分析し、灰分中のカリウム含有率の分析結果から乾燥バイオマス中のカリウム含有率を求めている。
バイオマスのうちEFB(アブラヤシ空果房)やスイッチググラスは、乾燥ベースで0.7〜3wt%程度のカリウムを含有する。次に、このような高いカリウム含有率のアルカリ分含有燃料である草本系バイオマスを循環流動層炉内で燃焼する際のケイ砂粒子の挙動を詳細に検討し、上記草本系バイオマスがケイ砂粒子に融着を生じさせるメカニズムに関して次のとおりであることが見出された。
循環流動層炉に投入された草本系バイオマスは燃焼し、炉本体の燃焼領域でガス状のカリウム化合物を放出する。流動粒子としてケイ砂を用いると、燃焼領域に共存するケイ砂粒子表面はこのカリウム化合物を吸着し、カリウムはケイ砂粒子の結晶の表面のみならず結晶内部にまで浸透してガラス状の反応物(SiO−KO化合物)を生成し、生成した反応物はその融点が800℃以下と炉内温度より低いため溶融状態となる。そして、カリウムが浸透したケイ砂粒子はその表面に溶融状態のSiO−KO化合物が生成していて融着物となるため、数粒のケイ砂粒子同士が融着・凝集する。融着・凝集したケイ砂粒子は炉本体の炉底部に落下して更に融着、凝集し、塊を形成する。このようなケイ砂粒子同士の融着、凝集現象を「アグロメレーション」という。このようにして、草本系バイオマスでは放出されたカリウム化合物によりケイ砂粒子表面に溶融状態の反応物が生成されてケイ砂粒子が融着することが分かった。特許文献2では、このケイ砂粒子の融着・凝集を阻止するために石灰石、消石灰、ドロマイト等の添加物を流動層内に添加して、融着物の生成を抑制することとしていた。カリウム以外でも、ナトリウムを含む等、アルカリ分含有燃料を燃焼したときは、アルカリ分がケイ砂粒子表面等で融着物を生成して同様の現象が生ずる。
特開2003−240209 特開2013−029245
しかしながら、特許文献1の方法によると、草本系バイオマス等のアルカリ分含有燃料を安定して燃焼させるためには、融着・凝集した流動粒子の抜出しや新規流動粒子の補充を頻繁に行なわなくてはならず、その対策として特許文献2の方法で流動粒子の凝集を抑制するには、添加剤を必要とし、その供給のための設備費、運転費が嵩み、コスト高となる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、流動層炉の流動層において、流動粒子の融着・凝集を抑制し、流動粒子の長期間使用を可能にし、流動粒子の交換に要する費用を削減することのできる、アルカリ分含有燃料の燃焼装置および燃焼方法を提供することを課題とする。
本発明によると、上述の課題は、次の第一発明に係るアルカリ分含有燃料の燃焼装置および第二発明に係るアルカリ分含有燃料の燃焼方法により解決される。
<第一発明>(アルカリ分含有燃料の燃焼装置)
炉内で流動粒子により流動層を形成し、アルカリ分含有燃料を該流動層で燃焼する燃焼炉を有する燃焼装置において、燃焼装置は、燃焼炉と、該燃焼炉から排出されたアルカリ分付着流動粒子を研磨して流動粒子表面からアルカリ分を除去する研磨装置と、研磨後の流動粒子とアルカリ分との混合物から流動粒子を選別する選別装置とを有し、流動粒子が高アルミナ質粒子であることを特徴とするアルカリ分含有燃料の燃焼装置。
このように、本発明では、流動粒子として高アルミナ質粒子を用いており、アルカリ分含有燃料が燃焼する際に生ずるアルカリ分(ガス状アルカリ分やこれに由来するアルカリ化合物)は流動粒子の表面には付着するものの、流動粒子の内部には侵入しない。したがって、アルカリ分付着流動粒子は研磨装置で研磨されることで、アルカリ分が簡単に流動粒子から除去される。この流動粒子と除去後のアルカリ分との混合物から流動粒子を選別装置で選別すれば、流動粒子は再生され、再使用可能となり、流動粒子を長期間使用可能として交換量を抑制できる。
本発明では、燃焼炉、研磨装置そして選別装置が循環ラインで接続されていて、燃焼炉からのアルカリ分付着流動粒子を研磨装置へ送り研磨して流動粒子表面からアルカリ分を除去し、研磨後に選別装置での選別後の流動粒子を循環ライン経由で燃焼炉へ帰還させるようになっていることが好ましい。こうすることで、アルカリ分付着流動粒子が循環ラインを経由している間に、研磨、選別されて、アルカリ分が除去された流動粒子が円滑に燃焼炉へ帰還して再使用され、流動粒子を再生処理する運転効率が向上する。
<第二発明>(アルカリ分含有燃料の燃焼方法)
炉内で流動粒子により流動層を形成し、アルカリ分含有燃料を該流動層で燃焼する燃焼炉を用いる燃焼方法において、該燃焼炉から排出されたアルカリ分付着流動粒子を研磨装置で研磨して流動粒子表面からアルカリ分を除去し、研磨後の流動粒子とアルカリ分との混合物から流動粒子を選別装置で選別し、流動粒子として高アルミナ質粒子を用いることを特徴とするアルカリ分含有燃料の燃焼方法。
かかる第二発明によると、第一発明の場合と同様に、流動粒子の再使用を図り、その交換量を抑制できる。
本発明では、燃焼炉、研磨装置そして選別装置が循環ラインで接続されていて、燃焼炉からのアルカリ分付着流動粒子を研磨装置へ送り研磨して流動粒子表面からアルカリ分を除去し、研磨後に選別装置での選別後の流動粒子を循環ライン経由で燃焼炉へ帰還させることが好ましい。こうすることで、第一発明の場合と同様に、流動粒子が燃焼炉へ円滑に帰還して再使用され、流動粒子を再生処理する運転効率が向上する。
本発明装置では、炉内で流動粒子により流動層を形成し、アルカリ分含有燃料を該流動層で燃焼する燃焼炉を有する燃焼装置において、燃焼装置は、燃焼炉と、該燃焼炉から排出されたアルカリ分付着流動粒子を研磨して流動粒子表面からアルカリ分を除去する研磨装置と、研磨後の流動粒子とアルカリ分との混合物から流動粒子を選別する選別装置とを有し、流動粒子を高アルミナ質粒子とし、本発明方法では、炉内で流動粒子により流動層を形成し、アルカリ分含有燃料を該流動層で燃焼する燃焼炉を用いる燃焼方法において、該燃焼炉から排出されたアルカリ分付着流動粒子を研磨装置で研磨して流動粒子表面からアルカリ分を除去し、研磨後の流動粒子とアルカリ分との混合物から流動粒子を選別装置で選別し、流動粒子として高アルミナ質粒子を用いることとしたので、アルカリ分含有燃料が燃焼する際に生ずるアルカリ分は高アルミナ質粒子である流動粒子の表面には付着するものの、流動粒子の内部には侵入せず、アルカリ分付着流動粒子は研磨装置で研磨されることで、アルカリ分が簡単に流動粒子から除去され、この流動粒子と除去後のアルカリ分との混合物から流動粒子を選別装置で選別すれば、流動粒子は再使用可能となり、流動粒子を長期間使用可能として交換量を抑制できる。また、燃焼炉内で流動粒子が凝集、塊化することがないため、燃焼炉の正常な運転を維持でき、アルカリ分含有燃料を安定して燃焼させることができる。
本発明の実施形態に係るアルカリ分含有燃料の燃焼装置の概略構成図である。
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係るアルカリ分含有燃料の燃焼装置の概略構成図である。該燃焼装置は、循環流動層を形成する燃焼炉1を有している。該燃焼炉1は、炉本体内にて流動粒子を酸化性ガスにより流動させた流動層中で、該炉本体内に供給されたアルカリ分含有燃料を燃焼させる。本実施形態では、アルカリ分含有燃料として、例えば、草本系バイオマスであり、アルカリ分を含有するアブラヤシ空果房(EFB)が供給されるようになっている。また、流動粒子としては高アルミナ質粒子が用いられている。なお、高アルミナ質粒子は、アルミナ成分比率が40重量%以上99.8重量%以下であることが好ましい。
本実施形態では、アルカリ分含有燃料がアブラヤシ空果房である例を説明するが、アルカリ分含有燃料はこれに限られず、例えばスイッチグラス、竹、籾殻等のカリウム含有率が高いバイオマス(乾燥バイオマス中のカリウム含有率が例えば0.7%以上)を用いることができる。
図1に示されるように、燃焼炉1は、主に、炉本体としてのライザ10と、流動粒子の一部を捕集してライザ10へ戻すダウンカマー20とで構成されている。
ライザ10は、一次空気を上方へ向けて吹き込むための散気管11が炉内の下部に設けられている。また、該ライザ10の下部の側壁には、散気管11の上方で流動粒子を炉内に供給する流動粒子供給口12と炉本体内にアルカリ分含有燃料たるアブラヤシ空果房を供給するための燃料供給口13と、炉本体内に二次空気を吹き込むための二次空気吹き込み口14とが下方から順次設けられている。また、炉底部には、再生処理を行うアルカリ分付着流動粒子を排出する流動粒子排出部15が設けられている。
ダウンカマー20は、上記ライザ10の上部と接続配管30で接続され該ライザ10から排ガスとともに送られた流動粒子を捕集する捕集部21と、該捕集部21で捕集された流動粒子をライザ10の下部に戻すための戻し管22と、ライザ10からのガスが捕集部21内を上昇するのを防止するシール部23とを有している。
また、上記ライザ10には、アルカリ分付着流動粒子を再生処理して、再使用可能な状態の流動粒子として燃焼炉1へ戻す循環ライン40が設けられており、該循環ライン40には、上記流動粒子排出部15から順に篩装置41、研磨装置42、選別装置43、流動粒子貯留槽44が配設されている。
上記篩装置41は、流動粒子排出部15からアルカリ分含有燃料の燃焼に供してアルカリ分が付着したアルカリ分付着流動粒子を受け、そのうち所定粒径より大径の大塊、燃料の燃焼後に生じた不燃物を分離し、所定粒径以下のアルカリ分付着流動粒子を研磨装置42へ送るようになっている。
研磨装置42は、その研磨方式に限定はなく、例えば、自生破砕方式、せん断摩砕方式、ブラスト方式等が適用可能であり、アルカリ分付着流動粒子から付着しているアルカリ分を除去する。本発明では、流動粒子として高アルミナ質粒子を用いているので、既述したように、アルカリ分は流動粒子の表面に付着しても流動粒子内部には侵入しない。したがって、流動粒子には、表面にのみアルカリ分が付着する。かくして、アルカリ分付着流動粒子は、研磨装置42で研磨されることにより、容易に流動粒子の表面からアルカリ分が除去される。
選別装置43は、その選別方式に限定はなく、例えば風力選別方式、比重選別方式等が適用可能であり、アルカリ分が除去された流動粒子と除去されたアルカリ分との混合物から流動粒子を選別する。混合物から選別された流動粒子は、流動粒子貯留槽44へ送られる。
流動粒子貯留槽44は、その下部から一部の流動粒子が廃棄されるが、多くの流動粒子は循環ライン40を経て流動粒子供給口12へ送られ、該流動粒子供給口12からライザ10の炉本体内へ供給される。流動粒子貯留槽44は、上述のように一部の流動粒子が廃棄されるので、その分を補うために、新たな流動粒子が槽頂部から補充されるようになっている。
このような循環流動層を形成する燃焼炉1と、循環ライン40に設けられた、篩装置41、研磨装置42、選別装置43、流動粒子貯留槽44とを備えた本実施形態装置では、次の要領でアルカリ分含有燃料が燃焼され、流動粒子の再生処理が行われる。アルカリ分含有燃料としては、その一例としてアブラヤシ空果房を用いる。
上記燃焼炉1では、流動粒子として高アルミナ質粒子がライザ10に装入されている。そして、該ライザ10にて、散気管11及び二次空気吹き込み口14から炉内に空気を吹き込むことにより、流動粒子を流動化させ流動層を形成し、該ライザ10内に燃料供給口13からアルカリ分含有燃料として供給されたアブラヤシ空果房を該流動層にて燃焼させる。
具体的には、上記流動粒子は、ライザ10内の下方にある散気管11から吹き込まれる一次空気により流動状態となり、該ライザ10内の下部で流動粒子による濃厚層を形成し、その保有する高い熱容量および撹拌効果によりアブラヤシ空果房の乾燥及び揮発分の放出を促進させる。また、上記ライザ10内の上部には、一次空気及び二次空気の吹き込みにより吹き上げられて流動粒子による希薄層が形成され、その流動粒子の保有する熱容量および撹拌効果によりアブラヤシ空果房の燃焼を行う。つまり、このような流動層を形成する燃焼炉1は、ライザ10内に流動粒子による濃厚層と希薄層とから成る流動層を形成することで、チャー(未燃炭素分)の発生を防止して、効率的にアブラヤシ空果房を燃焼させる。また、ライザ10内の燃焼領域は850〜900℃程度に維持される。
ライザ10でのアブラヤシ空果房の燃焼により生じた排ガスは、接続配管30を経てダウンカマー20の捕集部21に供給されるようになっている。また、流動粒子も、その一部がライザ10から上記排ガスとともに上記捕集部21へ送られる。該捕集部21では、流動粒子や比較的粒径の大きな灰などが捕捉され、戻し管22を通してライザ10へ戻され、排ガスや比較的粒径の小さい灰などはダウンカマー20の頂部から排出されて、過熱器、排ガス処理設備(図示せず)に送られる。捕集部21で流動粒子が捕集された排ガスは、比較的粒径の小さな灰などを同伴して、該捕集部21の上部から過熱器、排ガス処理設備へと送られ、蒸気を過熱し、除塵後に煙突(図示せず)から外部へと放出される。捕集部21で回収した流動粒子および比較的粒径の大きな灰などは、上述のごとく、シール部23及び戻し管22を介してライザ10の下部へと戻される。
本実施形態では、ライザ10内で燃焼したアブラヤシ空果房は燃焼領域でアルカリ分であるガス状のカリウム分を放出する。このガス状のカリウム分やカリウム分と灰分とが反応して生成したカリウム化合物(まとめてカリウム分ということがある)は、流動粒子の表面に付着するが、本発明では流動粒子が高アルミナ質粒子であるので、カリウム分は流動粒子の表面には付着するものの、この流動粒子の内部へは侵入しない。したがって、アルカリ分は、流動粒子の表面でのみ付着しアルカリ分付着流動粒子を形成する。
上記アルカリ分付着流動粒子と、燃料の燃焼後に残る不燃物は、ライザ10の下部における流動粒子排出部15から排出され、篩装置41へ送られる。
篩装置41では、アルカリ分付着流動粒子のうち大塊や、燃料の燃焼後に残った不燃物が分離され、所定の粒径以下のアルカリ分付着流動粒子が研磨装置42へ送られる。
研磨装置42では、アルカリ分付着流動粒子は研磨されて、流動粒子の表面に付着していたアルカリ分は流動粒子の表面から除去され、その結果、流動粒子とアルカリ分との混合物を形成し、この混合物は選別装置43へ送られる。
選別装置43では、流動粒子とアルカリ分の混合物から流動粒子が選別されるとともにアルカリ分が分離され、選別された流動粒子が流動粒子貯留槽44へ送られ、ここに貯留される。
流動粒子貯留槽44では、流動粒子の一部が流動粒子貯留槽44の下部から廃棄され、上部から新たな流動粒子が補充され、研磨後の流動粒子と新たな流動粒子が循環ライン40を経て、流動粒子供給管12からライザ10内へ供給される。かくして、研磨後の流動粒子はライザ10内で流動層形成のために再使用される。
かくのごとく、流動粒子として高アルミナ質粒子を用いるため、アルカリ分含有燃料の燃焼により生じるアルカリ分は流動粒子に付着するものの、流動粒子内部へ侵入せず、研磨処理により容易に流動粒子からアルカリ分を除去して再使用可能とすることができる。その結果、流動粒子を長期間使用でき、交換量を抑制することができる。
1 燃焼炉
40 循環ライン
42 研磨装置
43 選別装置

Claims (4)

  1. 炉内で流動粒子により流動層を形成し、アルカリ分含有燃料を該流動層で燃焼する燃焼炉を有する燃焼装置において、燃焼装置は、燃焼炉と、該燃焼炉から排出されたアルカリ分付着流動粒子を研磨して流動粒子表面からアルカリ分を除去する研磨装置と、研磨後の流動粒子とアルカリ分との混合物から流動粒子を選別する選別装置とを有し、流動粒子が高アルミナ質粒子であることを特徴とするアルカリ分含有燃料の燃焼装置。
  2. 燃焼炉、研磨装置そして選別装置が循環ラインで接続されていて、燃焼炉からのアルカリ分付着流動粒子を研磨装置へ送り研磨して流動粒子表面からアルカリ分を除去し、研磨後に選別装置での選別後の流動粒子を循環ライン経由で燃焼炉へ帰還させるようになっていることとする請求項1に記載のアルカリ分含有燃料の燃焼装置。
  3. 炉内で流動粒子により流動層を形成し、アルカリ分含有燃料を該流動層で燃焼する燃焼炉を用いる燃焼方法において、該燃焼炉から排出されたアルカリ分付着流動粒子を研磨装置で研磨して流動粒子表面からアルカリ分を除去し、研磨後の流動粒子とアルカリ分との混合物から流動粒子を選別装置で選別し、流動粒子として高アルミナ質粒子を用いることを特徴とするアルカリ分含有燃料の燃焼方法。
  4. 燃焼炉、研磨装置そして選別装置が循環ラインで接続されていて、燃焼炉からのアルカリ分付着流動粒子を研磨装置へ送り研磨して流動粒子表面からアルカリ分を除去し、研磨後に選別装置での選別後の流動粒子を循環ライン経由で燃焼炉へ帰還させることとする請求項3に記載のアルカリ分含有燃料の燃焼方法。
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