JP2020152951A - セラミック膜の形成方法、セラミック膜の製造装置、フィルム型フレキシブル太陽電池 - Google Patents

セラミック膜の形成方法、セラミック膜の製造装置、フィルム型フレキシブル太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム基材の一面にセラミック粉体を吹き付けて、フィルム基材の一面にセラミック粉体からなるセラミック膜を形成する際に、余剰のセラミック粉体が蓄積することを抑制できるセラミック膜の形成方法およびセラミック膜の製造装置、並びに、それによって製造されるフィルム型フレキシブル太陽電池を提供する。【解決手段】セラミック膜の形成方法は、フィルム基材の一面に、エアロゾルデポジション法により、セラミック膜を形成する方法であって、前記フィルム基材の一面にセラミック粉体を吹き付けて、前記セラミック粉体からなるセラミック膜を形成する工程を含み、前記セラミック膜を形成する工程において、前記フィルム基材の一面に前記セラミック粉体を吹き付ける第一ノズルと、前記フィルム基材の一面における前記セラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける第二ノズルとを用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、セラミック膜の形成方法およびセラミック膜の製造装置、並びに、それによって製造されるフィルム型フレキシブル太陽電池に関する。
フィルム型の色素増感型太陽電池(以下、「DSC」ということもある。)は、軽量、フレキシブル等の従来のシリコン太陽電池にはない特徴を有しているため、次世代の創エネデバイスとして注目されている。
DSCをフィルム化するためには、フィルム基材上に、発電層を形成する酸化チタン粉末(セラミック粉体)を低温で吹き付けて酸化チタン膜(発電層)を形成する必要がある。そのためには、エアロゾルデポジション法(Aerosol Deposition method、以下、「AD法」ということもある。)を用いて、厚み10μm程度の酸化チタン膜を形成している。
このようにして形成した発電層(セラミック膜)を有するフィルム基材を、DSC用のモジュールとするためには、所定の形状や大きさにパターニングする必要がある。セラミック膜を有するフィルム基材をパターニングすると、セラミック膜が割れることがある。
そこで、このようなパターニングに際して、セラミック膜の端部をなだらかな形状にすることによって、その端部に生じる応力を小さくし、セラミック膜が割れるのを抑制することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、セラミック膜の端部をなだらかな形状にするためには、あえてセラミック膜が幅広になるようなノズル、またはその他の冶具を用いるか、フィルム基材上にセラミック粉体を複数回吹き付ける必要がある。セラミック膜が幅広になるようなノズル、またはその他の冶具を用いる場合、セラミック膜のうち、幅広にした領域が電極として十分な性能を発揮せず、DSCの性能が低下することが考えられる。また、フィルム基材上にセラミック粉体を複数回吹き付ける場合、同じ工程が繰り返されるため、生産性が低下することが考えられる。
一方、セラミック膜に赤外線レーザーを照射することで、セラミック膜にレーザーアニールを行い、セラミック結晶の粒成長および欠損回復を促すことで、セラミック膜の端部の強度を向上させて、セラミック膜が割れるのを抑制することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この方法では、フィルム基材にも数百℃という温度が加えられるため、熱により、フィルム基材が変形したり、収縮したりすることが考えられる。
特許第5656036号公報 特許第4538609号公報
上述の状況を考慮して、電極として十分な性能を発揮できない領域を形成することなく、フィルム基材上にセラミック膜を形成する方法としては、フィルム基材の成膜面に直接、マスクを設けることが考えられる。しかしながら、この方法では、マスクとフィルム基材の境界に余剰のセラミック粉体が蓄積し易い。マスクとフィルム基材の境界にセラミック粉体が蓄積すると、その蓄積したセラミック粉体を起点として、セラミック膜が剥離したり、欠損したりし易いという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、フィルム基材の一面にセラミック粉体を吹き付けて、フィルム基材の一面にセラミック粉体からなるセラミック膜を形成する際に、余剰のセラミック粉体が蓄積することを抑制できるセラミック膜の形成方法およびセラミック膜の製造装置、並びに、それによって製造されるフィルム型フレキシブル太陽電池を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]フィルム基材の一面に、エアロゾルデポジション法により、セラミック膜を形成する方法であって、前記フィルム基材の一面にセラミック粉体を吹き付けて、前記セラミック粉体からなるセラミック膜を形成する工程を含み、前記セラミック膜を形成する工程において、前記フィルム基材の一面に前記セラミック粉体を吹き付ける第一ノズルと、前記フィルム基材の一面における前記セラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける第二ノズルとを用いるセラミック膜の形成方法。
[2]前記フィルム基材の一面に物理的に除去可能なマスクを配置し、前記セラミック膜を形成する工程において、前記マスクを介して、前記フィルム基材の一面に前記セラミック粉体を吹き付ける[1]に記載のセラミック膜の形成方法。
[3]前記フィルム基材の搬送方向に対して平行に見たときの前記第一ノズルの厚みをd1、前記第二ノズルの厚みをd2としたとき、前記第一ノズルの開口部の中心と前記第二ノズルの開口部の中心との距離をdとしたときに、以下の式(1)を満たす範囲内に前記第一ノズルと前記第二ノズルを配置する[1]または[2]に記載のセラミック膜の形成方法。
{(d1+d2)/2}<d<{5(d1+d2)/2} (1)
[4]前記セラミック粉体が酸化チタンである[1]〜[3]のいずれかに記載のセラミック膜の形成方法。
[5]前記セラミック膜の厚みが5μm以上25μm以下である[1]〜[4]のいずれかに記載のセラミック膜の形成方法。
[6]フィルム基材の一面に、エアロゾルデポジション法により、セラミック膜を製造する製造装置であって、前記フィルム基材の一面にセラミック粉体を吹き付けて、前記セラミック粉体からなるセラミック膜を形成する複数のノズルを有する成膜手段を備え、前記複数のノズルが、前記フィルム基材の一面に前記セラミック粉体を吹き付ける第一ノズルと、前記フィルム基材の一面における前記セラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける第二ノズルとを含むセラミック膜の製造装置。
[7]光電極と、前記光電極に対向する対向電極と、前記光電極と前記対向電極との間に位置する電荷移動体と、を有するフィルム型フレキシブル太陽電池であって、前記光電極は、[1]〜[5]のいずれかに記載のセラミック膜の形成方法によって形成されたセラミック膜を含むフィルム型フレキシブル太陽電池。
[8]前記セラミック膜の端部における欠けが、前記セラミック膜の形成時に用いられたマスクによって定められた輪郭部から0.1mm以下である[7」に記載のフィルム型フレキシブル太陽電池。
[9]前記フィルム型フレキシブル太陽電池が色素増感型太陽電池である[7]または[8]に記載のフィルム型フレキシブル太陽電池。
本発明によれば、フィルム基材の一面にセラミック粉体を吹き付けて、フィルム基材の一面にセラミック粉体からなるセラミック膜を形成する際に、余剰のセラミック粉体が蓄積することを抑制できるセラミック膜の形成方法およびセラミック膜の製造装置、並びに、それによって製造されるフィルム型フレキシブル太陽電池を提供することができる。
本発明を適用した一実施形態であるセラミック膜の製造装置において、AD法によるセラミック膜の形成方法に適用可能な成膜装置の概略構成図である。 本発明を適用した一実施形態であるセラミック膜の製造装置の成膜装置のノズルの配置を示す概略断面図である。 本発明を適用した一実施形態である色素増感型太陽電池の概略構成を示す断面模式図である。 実施例において形成されたセラミック膜の外観像である。 比較例において、気体を吹き付ける前記第二ノズルを用いずに作製した光電極のセラミック膜の外観像である。
本発明のセラミック膜の形成方法およびセラミック膜の製造装置、並びに、それによって製造されるフィルム型フレキシブル太陽電池の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[セラミック膜の製造装置]
本実施形態のセラミック膜の製造装置は、フィルム基材の一面に、エアロゾルデポジション法により、セラミック膜を製造する装置である。本実施形態のセラミック膜の製造装置は、フィルム基材の一面にセラミック粉体を吹き付けて、セラミック粉体からなるセラミック膜を形成する複数のノズルを有する成膜手段を備える。
以下、図1および図2を参照して、本実施形態のセラミック膜の製造装置を説明する。
図1は、本実施形態のセラミック膜の製造装置の成膜手段に適用可能な成膜装置の概略構成図である。図2は、本実施形態のセラミック膜の製造装置の成膜装置のノズルの配置を示す概略断面図である。
本実施形態のセラミック膜の製造装置は、成膜手段として、例えば、図1に示す成膜装置10を備える。
成膜装置10は、キャリアガス中に分散されたセラミック粉体と不活性ガスとを混合し、エアロゾル(第二エアロゾル)を発生する混合部と、前記エアロゾルをノズルへ向けて搬送する搬送部と、前記エアロゾルを吹き出すノズルと、が備えられている。
前記混合部は、キャリアガスが充填された第一ガスボンベ25、第一エアロゾル発生器28、不活性ガス発生装置11、および、不活性ガスと第一エアロゾルを混合して第二エアロゾルを発生する混合器14を備えている。
前記搬送部は、混合器14と第一ノズル22を接続する第三搬送管15を備えている。また、成膜装置10は、第一ノズル22の他に、第二ノズル23を備えている。
第一ノズル22は、第三搬送管15を介して搬送された、セラミック粉体および不活性ガスを含む第二エアロゾルを、成膜室21内に移送されたフィルム基材100の一面100a(成膜面)に吹き付け可能なように、その吐出口がフィルム基材100の一面100aに対向して配置されている。
第一ガスボンベ25には、セラミック粉体を分散して第一エアロゾルを発生するとともに、第一エアロゾルおよび不活性ガスを含む第二エアロゾルを加速させてフィルム基材100に吹き付けるためのキャリアガス(以下、「搬送ガス」という。)が充填されている。
第一ガスボンベ25には、第一搬送管26の第一端部が接続されている。第一ガスボンベ25から供給される搬送ガスは、第一搬送管26に供給される。
第一搬送管26には、前段側から順に、マスフロー制御器27と、第一エアロゾル発生器28と、搬送ガス中のセラミック粉体の分散具合を適度に調整可能な解砕器29および分級器31とが設けられている。解砕器29により、セラミック粉体同士が湿気等で付着した状態を解くことができる。また、仮に、解砕器29を通過したセラミック粉体の凝集塊があったとしても、その凝集塊は分級器31で除くことができる。
マスフロー制御器27により、第一ガスボンベ25から第一搬送管26に供給される搬送ガスの流量を調整することができる。第一エアロゾル発生器28には、セラミック粉体が装填されている。セラミック粉体はマスフロー制御器27から供給された搬送ガス中に分散されて、解砕器29および分級器31へ搬送される。第一搬送管26の第二端部は、混合器14に接続されている。分級器31を経たセラミック粉体を含む第一エアロゾルは混合器14へ搬送される。
不活性ガス発生装置11は、第一エアロゾルと混合して第二エアロゾルを発生するとともに、第二エアロゾルを加速させてフィルム基材100に吹き付けるための不活性ガスを発生する装置である。不活性ガス発生装置11から供給される不活性ガスは、第二搬送管12を介して混合器14に供給される。
混合器14は、第一エアロゾルと不活性ガスとを混合する容器(空間)を備えていることが好ましい。このような混合器14として、例えば、公知のガス混合器を用いてもよいし、第一エアロゾルと不活性ガスとが合流するための空間を提供する単純な接続管を用いてもよい。混合器14で形成された第二エアロゾルの流量、流速等を調整する方法は特に制限されず、第一ガスボンベの圧力を利用してもよいし、不活性ガス発生装置による不活性ガスの供給圧力を利用してもよいし、前記ガス混合器によって第二エアロゾルを加速してもよい。また、各エアロゾルの流量、流速を制御するために、必要に応じて、搬送管の適当な位置にマスフロー制御器やポンプ等を設置してもよい。
成膜装置10において、混合器14で発生された第二エアロゾルは第三搬送管15に導入される。
第一ノズル22は、図示略の開口部がフィルム基材100の一面100aに対向するように配置されている。第一ノズル22には、第三搬送管15の第二端部が接続されている。セラミック粉体、不活性ガスおよび搬送ガスを含む第二エアロゾルは、第一ノズル22の開口部からフィルム基材100の一面100aに向けて噴射される。第一ノズル22から不活性ガスおよび搬送ガスと共に噴射されるセラミック粉体はフィルム基材100の一面100aに衝突し、セラミック粉体からなる多孔質膜が成膜される。
フィルム基材100の素材は、樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)がより好ましい。フィルム基材100が樹脂製であれば、無機層が形成されたフィルム基材100を色素増感型太陽電池(以下、「DSC」ということもある。)に適用した場合、DSCの薄型化、軽量化が図れる。加えて、フィルム基材100が樹脂製であれば、DSCに可撓性を付与しやすい。また、無機層が形成されたフィルム基材100をDSCに適用する場合、フィルム基材100の一面100a(成膜面)には導電層が形成されている。
セラミック粉体としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム等の酸化物、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、酸化第一銅、三酸化モリブデン、五酸価バナジウム、酸化タングステン等の酸化物、チオシアン酸銅(I)、ヨウ化銅、二硫化モリブデン、二セレン化モリブデン、硫化銅(I)等の微粒子が挙げられる。無機層を色素増感型太陽電池に適用する場合、セラミック粉体は酸化チタンであることが好ましい。
図2に示すように、フィルム基材100の一面100aに物理的に除去可能なマスク200を配置することが好ましい。マスク200は、フィルム基材100の一面100a上に配置されていればよい。AD法により、セラミック膜110を形成する際に位置ずれしないように、フィルム基材100の一面100aにマスク200を接着することが好ましい。フィルム基材100の一面100aにマスク200を接着するには、例えば、接着剤や粘着剤が用いられる。
フィルム基材100の一面100aに対して、物理的に除去可能なマスク200とは、接着剤や粘着剤を用いて、フィルム基材100の一面100aに仮固定可能であり、手等でフィルム基材100の一面100aから容易に剥離可能なマスクのことである。
マスク200は、目的とするセラミック膜110の形状や大きさ(フィルム基材100の一面100aを平面視した場合の面積)に対応する形状や大きさ(フィルム基材100の一面100aを平面視した場合の面積)の開口部200aを有する。
成膜装置10は、上述のように、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体を吹き付ける第一ノズル22と、フィルム基材100の一面100aにおけるセラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける第二ノズル23とを備える。すなわち、第一ノズル22の近傍に、第二ノズル23が設けられている。また、第二ノズル23には、フィルム基材100の一面100aに吹き付けるための気体(空気、窒素等)が充填された図示略のガスボンベが接続されている。
フィルム基材100の搬送方向に対して平行に見たときの第一ノズル22の厚み(第一ノズル22が円筒形の場合には直径)をd1、第二ノズル23の厚み(第二ノズル23が円筒形の場合には直径)をd2としたとき、第二ノズル23の開口部の中心(図2では、フィルム基材100の厚み方向に平行な第二ノズル23の開口部の中心を通る直線(中心線)α)と第一ノズル22の開口部の中心(図2では、フィルム基材100の厚み方向に平行な第一ノズル22の開口部の中心を通る直線(中心線)α)との距離をdとしたときに、以下の式(1)を満たす範囲内に第一ノズル22と第二ノズル23を配置されていることが好ましい。
{(d1+d2)/2}<d<{5(d1+d2)/2} (1)
本実施形態のセラミック膜の製造装置は、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体を吹き付ける第一ノズル22と、フィルム基材100の一面100aにおけるセラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける第二ノズル23とを備える。そのため、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体を吹き付けて、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体からなるセラミック膜110を形成する際に、セラミック膜110に余剰のセラミック粉体が蓄積することを抑制できる。また、フィルム基材100の一面100aにマスク200を配置し、そのマスク200を介して、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体を吹き付ける場合、マスク200とフィルム基材100の境界に、第一ノズル22から吹き付けたセラミック粉体の余剰分が蓄積する前に、第二ノズル23から吹き出した気体により、そのセラミック粉体の余剰分を除去することができる。その結果、剥離や欠損がないセラミック膜が得られる。
[セラミック膜の形成方法]
図1および図2を参照して、本実施形態のセラミック膜の形成方法を説明する。
本実施形態のセラミック膜の形成方法は、フィルム基材100の一面100aに、エアロゾルデポジション法(AD法)により、セラミック膜を形成する方法である。本実施形態のセラミック膜の形成方法は、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体を吹き付けて、セラミック粉体からなるセラミック膜110を形成する工程(以下、「セラミック膜形成工程」という。)を含む。
セラミック膜形成工程では、不図示のRtoR方式を用いた装置を用いて、フィルム基材100を所定の方向に沿って連続的に搬送しながら、フィルム基材100の一面100aにセラミック膜110を形成する。
セラミック膜形成工程において、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体を吹き付ける方法としては、エアロゾルデポジション法(AD法)を用いる。
AD法によるセラミック膜110の形成方法を説明する。
以下、セラミック粉体の吹き付け方法の一例を説明する。
まず、図2に示すように、フィルム基材100の一面100aに物理的に除去可能なマスク200を配置する。AD法により、セラミック膜110を形成する際に位置ずれしないように、フィルム基材100の一面100aにマスク200を接着することが好ましい。フィルム基材100の一面100aにマスク200を接着するには、例えば、接着剤や粘着剤を用いる。なお、AD法のみにより、セラミック膜110を所定の形状や大きさに形成することが可能であれば、セラミック膜110を形成する際に、フィルム基材100の一面100aにマスク200を配置しなくてもよい。
次に、真空ポンプ32を稼動させて成膜室21内を減圧する。成膜室21内の圧力は特に制限されないが、5Pa〜1000Paに設定することが好ましい。この程度に減圧することにより、成膜室21内の対流を抑制し、セラミック粉体をフィルム基材100の一面100aの所定の箇所に吹き付けることが容易になる。
次に、搬送ガスを第一ガスボンベ25から第一搬送管26へ供給し、搬送ガスの流速および流量をマスフロー制御器27により調整する。搬送ガスとしては、例えば、O、N、Ar、Heまたは空気等の一般的なガスを用いることができる。
搬送ガスの流速および流量は、混合器14への第一エアロゾルの供給量、並びに、第一ノズル22から吹き付けるセラミック粉体の材料、平均粒径、流速および流量に応じて、不活性ガス発生装置11から混合器14に供給される不活性ガスの流速および流量と連動しつつ、適宜設定すればよい。
セラミック粉体を第一エアロゾル発生器28に装填し、第一搬送管26内を流れる搬送ガス中にセラミック粉体を分散させて、加速する。さらに、第二搬送管12を介して不活性ガス発生装置11から不活性ガスを混合器14に供給する。混合器14において、第一エアロゾルと不活性ガスが混合された第二エアロゾルが発生されるとともに、混合器14に供給される搬送ガスおよび不活性ガスの少なくとも一方の供給圧力によって第二エアロゾルが加速される。加速された第二エアロゾルは、所定の配管長に調整された第三搬送管15を経て、第一ノズル22からフィルム基材100の一面100aへ向けて噴射される。
第一ノズル22の吐出口から、亜音速〜超音速の速度でセラミック粉体を噴射させて、フィルム基材100の一面100aに堆積させる。この際、セラミック粉体のフィルム基材100の一面100aへの吹き付け速度は、例えば、10m/s〜1000m/sに設定することができる。しかし、この吹き付け速度は特に限定されず、フィルム基材100の材質に応じて適宜設定すればよい。
また、セラミック膜形成工程では、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体を吹き付ける第一ノズル22と、フィルム基材100の一面100aにおけるセラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける第二ノズル23とを用いる。すなわち、第一ノズル22からフィルム基材100の一面100aへ向けてセラミック粉体を噴射するとともに、第一ノズル22の近傍に設けられた第二ノズル23からフィルム基材100の一面100aにおけるセラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける。これにより、第二ノズル23からフィルム基材100の一面100aに吹き付けた気体により、フィルム基材100の一面100a上の余剰のセラミック粉体(フィルム基材100の一面100aに接合しなかったセラミック粉体)を吹き飛ばして、マスク200とフィルム基材100の境界にセラミック粉体が蓄積することを抑制することができる。
フィルム基材100の搬送方向に対して平行に見たときの第一ノズル22の厚み(第一ノズル22が円筒形の場合には直径)をd1、第二ノズル23の厚み(第二ノズル23が円筒形の場合には直径)をd2としたとき、第二ノズル23の開口部の中心(図2では、フィルム基材100の厚み方向(第二ノズル23の長手方向)に対して平行な第二ノズル23の開口部の中心を通る直線(中心線)α)と第一ノズル22の開口部の中心(図2では、フィルム基材100の厚み方向(第一ノズル22の長手方向)に対して平行な第一ノズル22の開口部の中心を通る直線(中心線)α)との距離をdとしたときに、以下の式(1)を満たす範囲内に第一ノズル22と第二ノズル23を配置することが好ましい。
{(d1+d2)/2}<d<{5(d1+d2)/2} (1)
セラミック粉体の吹き付けを継続することにより、フィルム基材100の一面100aに接合したセラミック粉体に対して、次々にセラミック粉体が衝突し、セラミック粉体同士の衝突によってそれぞれのセラミック粉体の表面に新生面が形成され、この新生面においてセラミック粉体同士が接合される。セラミック粉体同士の衝突時にはセラミック粉体全体が溶融するような温度上昇は生じないため、新生面においてガラス質からなる粒界層は殆ど形成されない。
セラミック粉体からなる多孔質膜が所定の膜厚になった時点で、セラミック粉体の吹き付けを停止する。
以上の工程により、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体からなる所定の膜厚のセラミック膜110(多孔質膜)が成膜される。
セラミック膜形成工程で形成するセラミック膜110の厚みは、5μm以上25μm以下であることが好ましく、10μm以上20μm以下であることがより好ましい。
セラミック膜110の厚みが上記範囲内であれば、上記の第一ノズル22と上記の第二ノズル23とを用いたセラミック膜の形成において、マスク200とフィルム基材100の境界にセラミック粉体が蓄積するのをより効果的に抑制することができる。
セラミック膜110の厚みの測定方法は、例えば、以下の方法である。セラミック膜110とフィルム基材100からなる積層体の厚みT1をマイクロメータで測定する。任意の10点の厚みT1を測定し、その平均値をave(T1)とする。フィルム基材100の厚みT2をマイクロメータで測定する。任意の10点の厚みT2を測定し、その平均値をave(T2)とする。ave(T1)−ave(T2)をセラミック膜110の厚みとする。
本実施形態のセラミック膜の形成方法は、セラミック膜形成工程において、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体を吹き付ける第一ノズル22と、フィルム基材100の一面100aにおけるセラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける第二ノズル23とを用いる。そのため、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体を吹き付けて、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体からなるセラミック膜110を形成する際に、セラミック膜110に余剰のセラミック粉体が蓄積することを抑制できる。また、フィルム基材100の一面100aにマスク200を配置し、そのマスク200を介して、フィルム基材100の一面100aにセラミック粉体を吹き付ける場合、マスク200とフィルム基材100の境界に、第一ノズル22から吹き付けたセラミック粉体の余剰分が蓄積する前に、第二ノズル23から吹き出した気体により、そのセラミック粉体の余剰分を除去することができる。その結果、剥離や欠損がないセラミック膜が得られる。
[フィルム型フレキシブル太陽電池]
本実施形態のフィルム型フレキシブル太陽電池は、光電極と、光電極に対向する対向電極と、光電極と対向電極との間に位置する電荷移動体と、を有する。光電極は、本実施形態のセラミック膜の形成方法によって形成されたセラミック膜を含む。
以下、本実施形態のフィルム型フレキシブル太陽電池の一例として、色素増感型太陽電池について説明する。
図3は、本実施形態の色素増感型太陽電池の概略構成を示す断面模式図である。
図3に示すように、本実施形態のDSC300は、光電極310と、対向電極320と、電荷移動体330と、封止材340とを有する。光電極310と対向電極320とは対向している。電荷移動体330は、光電極310と対向電極320の間に位置している。封止材340は、電荷移動体330を封止している。電荷移動体330は、光電極310および対向電極320の双方に接している。
光電極310および対向電極320の少なくとも一方は、光透過性を有する。光透過性を有する光電極310または対向電極320が、光入射面を形成する。本実施形態のDSC300において、光電極310または対向電極320における光透過性は、DSC300が発電できる程度に光を透過することである。
光電極310は、光電極支持体312と光電極導電層314と無機半導体層316とを有する。
光電極導電層314は、光電極支持体312上に位置している。無機半導体層316は、光電極導電層314上に位置している。すなわち、光電極支持体312と光電極導電層314と無機半導体層316とは、この順で位置している。
無機半導体層316は、電荷移動体330に接している。無機半導体層316は、光電極導電層314の一部を覆っている。無機半導体層316の外方で、光電極導電層314の一部は、電荷移動体330と接している。また、無機半導体層316は、増感色素を担持している。なお、電荷移動体330の存在する領域において、無機半導体層316が光電極導電層314の全面を覆っていてもよい。
光電極導電層314は、封止材340の外方に露出部318を有する。露出部318は、DSC300の外部に露出している。
光電極支持体312は、上述のフィルム基材100と同様の構成である。
光電極導電層314は、上述の導電層と同様の構成である。
無機半導体層316は、上述のセラミック膜110と同様の構成である。すなわち、無機半導体層316は、上述の本実施形態のセラミック膜の形成方法で形成されたものである。
増感色素は、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)(以下、「N3」ということがある。)、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)のビス−TBA塩(以下、「N719」ということがある。)、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)のテトラ−TBA塩(以下、「N712」ということがある。)、トリ(チオシアナト)−(4,4’,4’’−トリカルボキシ−2,2’:6’,2’’−ターピリジン)ルテニウムのトリス−テトラブチルアンモニウム塩(以下、「N749」ということがある。)、シス−ジ(チオシアナト)−(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)(4,4’−ビス(5’−ヘクチルチオ−5−(2,2’−ビチエニル))ビピリジル)ルテニウム(II)のモノ−テトラブチルアンモニウム塩(以下、「ブラックダイ」ということがある。)等のルテニウム系色素;クマリン系、ポリエン系、シアニン系、ヘミシアニン系、チオフェン系、インドリン系、キサンテン系、カルバゾール系、ペリレン系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、メロシアニン系、カテコール系及びスクアリリウム系等の各種有機色素;これらの色素を組み合わせたドナー−アクセプター複合色素等である。中でも、増感色素は、N3、N719、N712の少なくとも1種を含むことが好ましく、N3、N719及びN712の少なくとも1種がより好ましい。
これらの増感色素は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機半導体層316に対する増感色素の担持量は、増感色素の種類、DSC300に求める発電能力等を勘案して、決定できる。無機半導体層316に対する増感色素の担持量は、0.4×10−1mmol/cm〜2.0×10−1mmol/cmであることが好ましく、0.6×10−1mmol/cm〜1.2×10−1mmol/cmであることがより好ましい。
増感色素の担持量が上記下限値以上であれば、DSC300の光電変換効率のさらなる向上を図れる。増感色素の担持量が上記範囲内であれば、色素を担持した無機半導体層316が適切な量のキャリアを輸送し、光電変換効率をより高められる。増感色素の担持量が上記下限値以上であれば、入射した光量に対するキャリアの発生量が増加し、光電変換効率がより高まる。増感色素の担持量が上記上限値以下であれば、半導体表面に吸着する増感色素が適正な量となり、キャリアの輸送を良好にして、光電変換効率をより高めることができる。
無機半導体層316の体積は、長さおよび幅をノギスまたは定規で測定し算出した面積と、上記方法で測定された厚みとを掛け合わせて求められる値である。
対向電極320は、対向電極支持体322と、対向電極導電層324とを有する。対向電極導電層324は、対向電極支持体322上に位置している。
光電極310と対向電極320とは、無機半導体層316と対向電極導電層324とを向き合わせて、対向している。
対向電極導電層324は、封止材340の外方に露出部328を有する。露出部328は、DSC300の外部に露出している。
対向電極支持体322の素材は、光電極支持体312の素材と同様に、樹脂製のフィルムまたはシート、金属箔等である。対向電極320が光入射面を形成する場合、対向電極支持体322は光透過性を有する。この場合、対向電極支持体322としては、いわゆる透明支持体が好ましい。対向電極支持体322の素材は、光電極支持体312の素材と同じでもよいし、異なってもよい。
対向電極支持体322の厚みは、光電極支持体312の厚みと同様に、10μm〜5mmが好ましい。対向電極支持体322の厚みは、光電極支持体312の厚みと同じでもよいし、異なってもよい。
対向電極導電層324の素材は、光電極導電層314の素材と同様に、金属、導電性透明無機材料、導電性透明ポリマー等である。対向電極導電層324と光電極導電層314とは、同じでもよいし、異なってもよい。対向電極320が光入射面を形成する場合、対向電極導電層324は、光透過性を有する。この場合、対向電極導電層324としては、いわゆる透明導電層が好ましい。
対向電極導電層324の厚みは、光電極導電層314の厚みと同様に、10μm〜5mmが好ましい。対向電極導電層324の厚みは、光電極導電層314の厚みと同じでもよいし、異なってもよい。
電荷移動体330は、電解液、ゲル電解質または固体電解質である。本実施形態のDSC300における電荷移動体330は、無機半導体層316、光電極導電層314および対向電極導電層324に接している。
電荷移動体330は、増感色素に電子を供給可能な酸化還元対を有する。
電解液は、分散媒(特に「電解液分散媒」ということがある。)と、電解液分散媒に分散している酸化還元対とを有する。ゲル電解質および固体電解質は、電解液をゲル状または固体状にしたものである。ゲル電解質および固体電解質の製造方法は、例えば、電解液にゲル化剤または増粘剤を加え、ゲル状または固体状にする。必要に応じて、ゲル状または固体状の電荷移動体の溶剤を除去する。ゲル電解質および固体電解質の電荷移動体330は、DSC300の耐久性を高められる。
電解液分散媒は、非水系溶剤、イオン液体等である。非水系溶剤は、アセトニトリル、プロピオニトリル等である。イオン液体は、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム、ヨウ化ブチルメチルイミダゾリウム等である。
酸化還元対は、支持電解質とハロゲン分子との組み合わせである。
支持電解質は、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等のヨウ素塩等のヨウ化物;臭化ナトリウム、臭化カリウム等の金属臭化物、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド、イミダゾリウムブロマイド等の臭素塩等の臭素化合物である。
ハロゲン分子は、ヨウ素分子、臭素分子等である。
支持電解質とハロゲン分子との組み合わせとしては、ヨウ化物とヨウ素分子との組み合わせ、臭素化合物と臭素分子との組み合わせが好ましい。
電荷移動体330の総体積に対する支持電解質の含有量は、支持電解質の種類等を勘案して決定できる。電荷移動体330の総体積に対する支持電解質の含有量は、例えば、0.1mmol/L〜10mmol/Lであることが好ましく、0.2mmol/L〜2mmol/Lであることがより好ましい。
電荷移動体330の総体積に対するハロゲン分子の含有量は、支持電解質の含有量等を勘案して決定できる。電荷移動体330の総体積に対するハロゲン分子の含有量は、0.001mmol/L〜1mmol/Lであることが好ましい。
電荷移動体330は、t−ブチルピリジンを含んでもよい。電荷移動体330は、t−ブチルピリジンを含むことで、逆電子移動反応を防止しやすい。
電荷移動体330がゲル電解質または固体電解質である場合、電荷移動体330は、導電性高分子を含んでもよい。
封止材340は、光電極310と対向電極320との間に位置する。封止材340は、平面視で任意の領域を囲み、電荷移動体330を封止している。
封止材340は、電荷移動体330を封止できればよく、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等、従来公知の封止材である。
本実施形態の色素増感型太陽電池300は、セラミック膜からなる無機半導体層316の端部における欠けが、無機半導体層316の形成時に用いられたマスクによって定められた輪郭部から0.1mm以下であることが好ましい。
無機半導体層316の端部における欠けが、上記の範囲内であれば、無機半導体層316には損傷がなく、目的とする(設計通りの)出力特性を発揮することができる。
本実施形態の色素増感型太陽電池300は、光電極310の無機半導体層316が上述の本実施形態のセラミック膜の形成方法で形成されたものであるため、無機半導体層316には損傷がなく、目的とする(設計通りの)出力特性を発揮することができる。
[フィルム型フレキシブル太陽電池の製造方法]
本実施形態のフィルム型フレキシブル太陽電池の製造方法は、無機半導体層を有する基板電極に対し、無機半導体層に増感色素を担持する工程を有する。
本実施形態のフィルム型フレキシブル太陽電池の製造方法は、光電極の無機半導体層に対向する対向電極を設け、光電極と対向電極との間に電荷移動体を設ける工程を有する。
以下、図3に示すDSC300を例にして、DSCの製造方法の一例を説明する。
本例のDSC300の製造方法は、光電極製造工程と、組立工程とを有する。
<光電極製造工程>
光電極製造工程は、基板電極の無機半導体層316に増感色素を担持して(担持操作)、光電極310を得る工程である。
基板電極は、市販の電極でもよいし、以下の方法で製造した基板電極でもよい。
光電極支持体312の一方の面に光電極導電層314を形成する。光電極導電層314を形成する方法は、スパッタリング法、印刷法等、公知方法である。
次いで、光電極導電層314上に無機半導体層316を形成する。無機半導体層316を形成する方法は、半導体材料の粒子を光電極導電層314に吹き付ける方法等である。半導体材料の粒子を吹き付け、無機半導体層316を形成する方法は、上述のセラミック膜110の形成方法と同様にAD法である。
担持操作は、無機半導体層316に増感色素を担持できればよい。
担持操作は、例えば、以下の手順である。
増感色素を分散媒(特に「色素溶液分散媒」ということがある。)に分散し、色素増感型太陽電池の光電極製造用の色素溶液(以下、単に「色素溶液」ということがある。)を調製する。
色素溶液を無機半導体層316に接触させる。無機半導体層316に接触した色素溶液は、無機半導体層316の表面または内部に浸透する。所望の量の色素溶液を無機半導体層316に浸透した後、色素溶液分散媒を除去して、増感色素を無機半導体層316に担持する。こうして、基板電極は光電極310となる。
増感色素を色素溶液分散媒に分散する方法は、色素溶液分散媒を撹拌しつつ、増感色素を色素溶液分散媒に添加する方法等である。
色素溶液分散媒は、アルコール、ニトリル、エーテル、エステル、ケトン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素等である。
アルコールは、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール等である。
ニトリルは、アセトニトリル、プロピオニトリル等である。
エーテルは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等である。
エステルは、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等である。
ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等である。
炭化水素は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等である。
ハロゲン化炭化水素は、塩化メチレン、クロロホルム等である。
これらの色素溶液分散媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
色素溶液の総体積に対する増感色素の含有量は、0.1mmol/L〜50.0mmol/Lであることが好ましく、0.2mmol/L〜20mmol/Lであることがより好ましく、0.3mmol/L〜10mmol/Lであることがさらに好ましい。
増感色素の含有量が上記下限値以上であれば、無機半導体層316における増感色素の担持量をより高めやすい。増感色素の含有量が上記上限値以下であれば、色素溶液に増感色素を分散しやすい。
色素溶液を無機半導体層316に接触する方法は、色素溶液を無機半導体層316に塗布する方法(塗布法)、色素溶液を無機半導体層316に噴霧する方法(噴霧法)、基板電極を色素溶液に浸漬する方法(浸漬法)等である。
浸漬法における浸漬時間は、特に限定されず、例えば、0.1時間〜200時間である。
浸漬法における色素溶液の温度(浸漬温度)は、色素溶液分散媒の種類を勘案して決定できる。浸漬温度は、例えば、10℃〜70℃である。
無機半導体層316に色素溶液を接触させた後、色素溶液分散媒を除去する方法は、基板電極を減圧下に置く方法、基板電極を加熱する方法等である。
基板電極に対する加熱温度は、色素溶液分散媒を揮発できる温度であればよい。基板電極に対する加熱温度は、例えば、30℃〜70℃である。
以上の光電極製造工程を経ることで、光電極310を得る。
<組立工程>
組立工程は、光電極310を組み込んで、DSC300を得る工程である。
組立工程は、例えば、光電極310に対向する対向電極320を設ける操作(電極配置操作)と、光電極310と対向電極320との間に電荷移動体330を設ける操作(封止操作)とを有する。
電極配置操作は、無機半導体層316と対向電極導電層324とを向かい合わせ、光電極310と対向電極320とを離間して対向させる操作である。
封止操作は、光電極310と対向電極320との間に、電荷移動体330を設ける操作である。封止操作は、例えば、光電極310における無機半導体層316の位置する面に、封止材340を設ける。次いで、封止材340で囲まれた領域に電荷移動体330を配置する。封止材340で囲まれた領域に対向電極320を被せ、封止材340を硬化して、電荷移動体330を封止する。この際、封止材340の厚みを変えることで、光電極310と対向電極320との距離を調節できる。
必要に応じ、露出部318、露出部328に取り出し配線を接続する。
本発明は、上述の実施形態に限定されない。
上述の実施形態では、封止材で囲まれた領域(セル)を1つ有する。本発明はこれに限定されず、2以上のDSCが並列または直列に連結されたDSCユニットを形成してもよい。
例えば、2以上のDSCを直列に連結する場合、一方のDSCの露出部と、他方のDSCの露出部とを電気的に接続する。これらの露出部を接続する方法としては、例えば、導電粒子と接着剤とを含む導通材で両露出部を接続する方法、導電線で両露出部を接続する方法等、公知の方法を例示できる。
上述の実施形態では、対向電極導電層上に部材を有していない。本発明は、これに限定されず、対向電極導電層上に触媒層が位置してもよい。触媒層は、モリブデン、モリブデンと他の金属との合金等である。モリブデンと他の金属との合金としては、モリブデンとチタンとの合金、モリブデンとタングステンとの合金、モリブデンとイットリウムとの合金、モリブデンとニオブとの合金等である。
上述の実施形態では、光電極が光電極支持体を有する。本発明はこれに限定されず、光電極は、光電極支持体を有しなくてもよい。
上述の実施形態では、対向電極が対向電極支持体を有する。本発明はこれに限定されず、対向電極は、対向電極支持体を有しなくてもよい。
上述の実施形態では、無機半導体層316の外方で、光電極導電層314の一部が電荷移動体330と接している。本発明はこれに限定されず、電荷移動体330の存在する領域において、無機半導体層316が光電極導電層314の全面を覆っていてもよい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例]
一次粒子径15nmの酸化チタン粒子150gに、水80gを加え、撹拌機で攪拌後、融点以下の温度で焼結した。
焼結後の酸化チタン粒子を粉砕機で粉砕し、粉砕後の酸化チタン粒子を篩(目開き400μm)にかけることにより、原料粉体を作製した。
この原料粉体を用いて、AD法で、厚み125μmのPEN−ITOからなるフィルム基材上に、厚み15μmのセラミック膜(TiO電極)を形成した。セラミック膜の形成において、フィルム基材の一面にセラミック粉体を吹き付ける第1ノズルと、フィルム基材の一面におけるセラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける第2ノズルとを用いた。すなわち、第一ノズルからフィルム基材の一面へ向けてセラミック粉体を噴射するとともに、第一ノズルの近傍に設けた第二ノズルからフィルム基材の一面におけるセラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に空気を吹き付けた。また、第二ノズルの開口部の中心を、フィルム基材の搬送方向に対して平行方向または垂直方向に見て、第一ノズルの開口部の中心から2cmの位置に配置した。すなわち、第二ノズルの開口部の中心を通る中心線(第二ノズルの長手方向に対して平行な直線)と第一ノズルの開口部の中心を通る中心線(第一ノズルの長手方向に対して平行な直線)の距離を2cmとした。
[比較例]
第一ノズルの近傍に設けた第二ノズルからフィルム基材の一面におけるセラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に空気を吹き付けなかったこと以外は実施例と同様にしてセラミック膜が形成されたフィルム基材を作製した。
[評価]
(1)セラミック膜の観察
実施例および比較例で形成したセラミック膜を観察した。
実施例で形成したセラミック膜の外観像を図4に示し、比較例で形成したセラミック膜の外観像を図5に示す。
図4の結果から、実施例で形成したセラミック膜は、損傷箇所が見られなかった。また、図5の結果から、比較例で形成したセラミック膜は、損傷箇所が多く見られた。
本発明のセラミック膜の形成方法およびセラミック膜の製造装置は、フィルム基材の一面にセラミック粉体を吹き付ける第一ノズルと、フィルム基材の一面におけるセラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける第二ノズルとを用いてセラミック膜を形成するため、セラミック膜に余剰のセラミック粉体が蓄積することを抑制できる。そのため、本発明のセラミック膜の形成方法およびセラミック膜の製造装置で形成されたセラミック膜を色素増感型太陽電池に適用した場合に、色素増感型太陽電池の出力が低下することを抑制できる。
10 成膜装置
11 不活性ガス発生装置
12 第二搬送管
14 混合器
15 第三搬送管
21 成膜室
22 ノズル
25 第一ガスボンベ
26 第一搬送管
27 マスフロー制御器
28 第一エアロゾル発生器
29 解砕器
31 分級器
100 フィルム基材
110 セラミック膜
200 マスク
300 色素増感型太陽電池(DSC)
310 光電極
312 光電極支持体
314 光電極導電層
316 無機半導体層
318 露出部
320 対向電極
322 対向電極支持体
324 対向電極導電層
328 露出部
330 電荷移動体
340 封止材

Claims (9)

  1. フィルム基材の一面に、エアロゾルデポジション法により、セラミック膜を形成する方法であって、
    前記フィルム基材の一面にセラミック粉体を吹き付けて、前記セラミック粉体からなるセラミック膜を形成する工程を含み、
    前記セラミック膜を形成する工程において、前記フィルム基材の一面に前記セラミック粉体を吹き付ける第一ノズルと、前記フィルム基材の一面における前記セラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける第二ノズルとを用いるセラミック膜の形成方法。
  2. 前記フィルム基材の一面に物理的に除去可能なマスクを配置し、
    前記セラミック膜を形成する工程において、前記マスクを介して、前記フィルム基材の一面に前記セラミック粉体を吹き付ける請求項1に記載のセラミック膜の形成方法。
  3. 前記フィルム基材の搬送方向に対して平行に見たときの前記第一ノズルの厚みをd1、前記第二ノズルの厚みをd2とし、前記第一ノズルの開口部の中心と前記第二ノズルの開口部の中心との距離をdとしたときに、以下の式(1)を満たす範囲内に前記第一ノズルと前記第二ノズルを配置する請求項1または2に記載のセラミック膜の形成方法。
    {(d1+d2)/2}<d<{5(d1+d2)/2} (1)
  4. 前記セラミック粉体が酸化チタンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミック膜の形成方法。
  5. 前記セラミック膜の厚みが5μm以上25μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミック膜の形成方法。
  6. フィルム基材の一面に、エアロゾルデポジション法により、セラミック膜を製造する製造装置であって、
    前記フィルム基材の一面にセラミック粉体を吹き付けて、前記セラミック粉体からなるセラミック膜を形成する複数のノズルを有する成膜手段を備え、
    前記複数のノズルが、前記フィルム基材の一面に前記セラミック粉体を吹き付ける第一ノズルと、前記フィルム基材の一面における前記セラミック粉体を吹き付けた位置の近傍に気体を吹き付ける第二ノズルとを含むセラミック膜の製造装置。
  7. 光電極と、前記光電極に対向する対向電極と、前記光電極と前記対向電極との間に位置する電荷移動体と、を有するフィルム型フレキシブル太陽電池であって、
    前記光電極は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミック膜の形成方法によって形成されたセラミック膜を含むフィルム型フレキシブル太陽電池。
  8. 前記セラミック膜の端部における欠けが、前記セラミック膜の形成時に用いられたマスクによって定められた輪郭部から0.1mm以下である請求項7に記載のフィルム型フレキシブル太陽電池。
  9. 前記フィルム型フレキシブル太陽電池が色素増感型太陽電池である請求項7または8に記載のフィルム型フレキシブル太陽電池。
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