以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[包装装置の構成]
図1〜図3に示される包装装置1は、食料品等の商品G及び該商品Gが載せられたトレーTを含む対象物Wのフィルム包装を行う。包装装置1は、緊張保持させたフィルムFに対して対象物Wを押し上げ、フィルムFの周辺部をトレーTの底面側に折り込むことによって、対象物WをフィルムFで包装する。包装装置1は、フィルム包装機能に加えて、計量機能及びラベル貼付による値付機能を備える。
包装装置1は、計量搬入機構2と、包装ステーション3と、ロール保持機構4と、フィルム送り出し機構5と、フィルム搬送機構(搬送部)6と、カッター機構(切断部)7と、シール機構8と、ラベルプリンターLPと、ラベル発行機LIと、制御装置9と、を含む。包装装置1に含まれる各機構は、包装装置1の本体1a及びケーシング1bに収容される。ケーシング1bは、本体1aの側部に取り付けられる。
なお、本実施形態の説明において、「左右」とは、包装装置1の本体1aの正面に向かって左右を意味する。包装装置1の前後方向における前側を「手前側」と称し、その反対側を「奥側」と称する。フィルムF1,F2とは、フィルムF1及びフィルムF2の任意の一方を意味し、単にフィルムFとも称する。フィルムロールR1,R2とは、フィルムロールR1及びフィルムロールR2の任意の一方を意味し、単にフィルムロールRとも称する。「上流」及び「下流」は、フィルムFの搬送方向の上流及び下流をそれぞれ意味する。
図3に示されるように、計量搬入機構2は、計量器2aと、搬入ベルト2bと、計量皿12と、を有する。計量器2aは、計量皿12に載置された対象物Wを計量し、対象物Wの重量を示す情報を制御装置9に出力する。搬入ベルト2bは、一対のローラ間に掛け渡される。搬入ベルト2bには、対象物Wの搬送用の搬送バー13が設けられる。搬送バー13は、搬入ベルト2bの駆動に従って奥側へと移動し、対象物Wを奥側に押し出す。搬送バー13は、計量皿12の幅方向に沿って延在し、初期位置においては計量皿12よりも手前側に位置する。計量皿12は、対象物Wを載置する矩形浅皿状のトレーである。
包装ステーション3は、本体1a内に形成される空間である。包装ステーション3は、計量搬入機構2によって計量された対象物Wに一連のフィルム包装処理を施す空間である。包装ステーション3には、リフター機構30と、折り込み機構37と、が配置される。
リフター機構30は、包装ステーション3の下部に設けられる。リフター機構30は、トレーTの底面を複数の支持部材33で受け、支持部材33に固定された支持ベース31を電動ボールネジ機構34によって上方に移動させる。これにより、リフター機構30は、トレーTの底面を保持して対象物Wを上方に移動させる。リフター機構30は、フィルム搬送機構6によって緊張保持されたフィルム(ストレッチフィルム)F1,F2に対して、対象物Wを突き上げる。
折り込み機構37は、リフター機構30によって突き上げられた対象物Wの底面側(すなわち、トレーTの底面側)にフィルムF1,F2の周囲の部分を折り込み、フィルムF1,F2で対象物Wを覆う。折り込み機構37は、フィルムF1,F2のフィルム搬送方向両端部を、トレーTの底面側に左右折り込み板76,77によって折り込む。折り込み機構37は、フィルムF1,F2の幅方向奥側の側部を、トレーTの底面側に後折り込み板78によって折り込む。折り込み機構37は、排出プッシャー79aによってトレーTがシール機構8側に排出される際に、フィルムF1,F2の幅方向手前側の側部を、トレーTの底面側に前折り込み棒79によって折り込む。
ロール保持機構4は、図1及び図2に示されるように、ケーシング1bに設置される。ロール保持機構4は、互いに同じ又は異なる種別の2本のフィルムロールR1,R2を保持する構成を有する。各フィルムロールR1,R2は、例えば、円筒状の芯に所定幅のフィルムF1,F2が多重に巻き付けられることにより構成される。フィルムF1,F2は、例えば樹脂材料により形成され、伸縮性を有する。使用前(新品、未使用)のフィルムロールR1,R2では、例えば、1200m又は1500mのフィルムFが巻回されている。使用前のフィルムロールR1,R2は、一定の径を有するとみなすことができる。
図2に示されるように、ロール保持機構4は、フィルムロールR1を保持する上側ロール保持部41と、フィルムロールR2を保持する下側ロール保持部42と、上側ロール保持部41及び下側ロール保持部42を選択的に回転させてフィルムロールR1,R2のいずれか一方からフィルムF1又はフィルムF2を繰り出させるロール駆動部43と、を含む。
ロール駆動部43は、駆動モータ(駆動部)43aを含んで構成される。上側ロール保持部41は、駆動モータ43aの駆動力により回転させられる回転軸44aを有する。回転軸44aは、ベルト45aを介してロール駆動部43のプーリ43bに接続されている。回転軸44aには、フィルムロールR1が取り付けられる。下側ロール保持部42は、駆動モータ43aの駆動力により回転させられる回転軸44bを有する。回転軸44bは、ベルト45bを介してロール駆動部43のプーリ43cに接続されている。回転軸44bには、フィルムロールR2が取り付けられる。駆動モータ43aによって回転軸44a,44bが回転させられることにより、フィルム搬送機構6によるフィルムFの引き出しが補助される。
包装装置1は、回転軸44a,44aの回転量を検出する検出器(検出部)46を更に含む(図5参照)。検出器46は、例えば、回転軸44a,44bにそれぞれ設けられた2つのロータリーエンコーダである。或いは、検出器46は、駆動モータ43aの回転軸に設けられ、駆動モータ43aの回転軸の回転量を検出してもよい。この場合でも、駆動モータ43aの回転軸の回転量と、駆動モータ43aと回転軸44a,44bとの間のギア比とに基づいて、回転軸44a,44bの回転量を検出することができる。検出器46により検出される回転量は、回転角の大きさ(積算値)であってもよいし、回転速度(瞬時値)であってもよい。以下の説明では、回転軸44a,44bの任意の一方を単に回転軸44とも称する。
フィルム送り出し機構5は、フィルムロールR1から引き出されたフィルムF1又はフィルムロールR2から引き出されたフィルムF2を、フィルム搬送機構6のフィーダユニット61,62に引き渡す機構である。フィルム送り出し機構5は、ケーシング1bに設置される。
フィルム送り出し機構5は、図6(a)〜図6(c)に示されるように、ローディングユニット移動フレーム51と、ローディングユニット70と、ローディングユニット駆動モータ52(図2参照)と、を含む。
ローディングユニット移動フレーム51は、ケーシング1bの上方(ロール保持機構4の上方)に配置される。ローディングユニット移動フレーム51は、後述するローディングユニット回転軸70aを回転自在に支持する。ローディングユニット移動フレーム51は、リンク機構により、水平方向に移動可能に設けられる。具体的には、ローディングユニット移動フレーム51は、フィルム搬送機構6から最も離れた第1位置と、フィルム搬送機構6に最も近づいた第2位置との間を移動する。
ローディングユニット70は、ローディングユニット移動フレーム51に取り付けられる。ローディングユニット70は、第1把持ユニット71と、第2把持ユニット72と、ローディングユニット回転軸70aと、を有する。
図7に示されるように、第1把持ユニット71及び第2把持ユニット72は、ローディングユニット回転軸70aに取り付けられる。第1把持ユニット71及び第2把持ユニット72は、基準線Lに対して左右対称の位置に配置される。基準線Lは、ローディングユニット回転軸70aの中心からローディングユニット移動フレーム51の高さ方向に沿って仮想的に延ばした直線である。第1把持ユニット71および第2把持ユニット72は、V字形状を呈する。
第1把持ユニット71は、2枚の板部材71a,71bと、ワンウェイローラ71cと、を有する。2枚の板部材71a,71bの一端は、図示しないヒンジで互いに連結される。図4に示されるように、板部材71bは、ヒンジを中心として板部材71aに対して回動し、板部材71aに対して開閉可能に設けられる。ワンウェイローラ71cは、一方向のみの回転を許容するローラである(図7の矢印A1方向)。ワンウェイローラ71cは、板部材71aの長手方向(フィルム幅方向)に沿って複数設けられる。ワンウェイローラ71cは、板部材71aと板部材71bとの間に挟まれたフィルムF1が下方に抜け落ちないようにフィルムF1を保持する。
図7に示されるように、第2把持ユニット72は、2枚の板部材72a,72bと、ワンウェイローラ72cと、を有する。2枚の板部材72a,72bの一端は、図示しないヒンジで互いに連結される。図4に示されるように、板部材72bは、ヒンジを中心として板部材72aに対して回動し、板部材72aに対して開閉可能に設けられる。ワンウェイローラ72cは、一方向のみの回転を許容するローラである(図7の矢印A1方向)。ワンウェイローラ72cは、板部材72aの長手方向(フィルム幅方向)に沿って複数設けられる。ワンウェイローラ72cは、板部材72aと板部材72bとの間に挟まれたフィルムF2が下方に抜け落ちないようにフィルムF2を保持する。
第1把持ユニット71及び第2把持ユニット72は、使用するフィルムの種類(フィルムF1又はフィルムF2)によって使い分けられる。第1把持ユニット71は、フィルムF1を把持するユニットである。第2把持ユニット72は、フィルムF2を把持するユニットである。第1把持ユニット71及び第2把持ユニット72は、フィルムF1,F2の送り出しが可能なように、ケーシング1bの奥行き方向に所定の長さを有する。
ローディングユニット回転軸70aは、ローディングユニット移動フレーム51に対し、回転自在に支持される。ローディングユニット回転軸70aは、ローディングユニット駆動モータ52(図2参照)によって駆動される。ローディングユニット回転軸70aの回転角度を変更することにより、ローディングユニット70は、図6(a)〜図6(c)に示されるように姿勢を変更する。
図6(a)に示されるように、ローディングユニット70は、第1把持ユニット71にフィルムF1を把持させる、又は、第2把持ユニット72にフィルムF2を把持させる場合には、第1把持ユニット71及び第2把持ユニット72が基準線Lに対して対称の位置となる(ローディングポジション)。
図6(b)に示されるように、ローディングユニット70は、第1把持ユニット71がフィルムF1をフィルム搬送機構6に受け渡す(送り出す)場合には、第1把持ユニット71が水平面に対して平行になるまで傾けられる(フィーディングポジション)。これにより、フィルムF1は、第1把持ユニット71の先端からフィルム搬送機構6に対して水平方向に送り出される。
図6(c)に示されるように、ローディングユニット70は、第2把持ユニット72がフィルムF2をフィルム搬送機構6に受け渡す場合には、第2把持ユニット72が水平面に対して平行になるまで傾けられる(フィーディングポジション)。これにより、フィルムF2は、第2把持ユニット72の先端からフィルム搬送機構6に対して水平方向に送り出される。
図2及び図3に示されるように、フィルム搬送機構6は、フィルム送り出し機構5からフィルムFを受け取り、包装ステーション3へとフィルムFを搬送する。また、フィルム搬送機構6は、フィルム送り出し機構5から受け取ったフィルムFを、包装ステーション3の中央部分で緊張保持する。フィルム搬送機構6は、第1フィーダユニット61と、第2フィーダユニット62と、第1フィーダ移動ユニット63と、第2フィーダ移動ユニット64と、フィーダ駆動ユニット65と、を含んで構成される。
図4に示されるように、第1フィーダユニット61は、包装装置1の前後方向における手前側に配置される。第2フィーダユニット62は、第1フィーダユニット61よりも、包装装置1の前後方向における奥側に配置される。第1フィーダユニット61及び第2フィーダユニット62は、フィルムFの長手方向に沿って配置される。第1フィーダユニット61及び第2フィーダユニット62は、フィーダ駆動ユニット65によって駆動され、フィルムFを搬送する。
第1フィーダユニット61及び第2フィーダユニット62の長手方向の両端部には、図4に示されるように、フィルムFの幅方向に延びるスライドシャフト66,67が設けられる。スライドシャフト66,67は、第1フィーダユニット61及び第2フィーダユニット62を支持する。第1フィーダユニット61及び第2フィーダユニット62は、第1フィーダ移動ユニット63及び第2フィーダ移動ユニット64によってそれぞれ駆動され、スライドシャフト66,67に沿ってフィルム幅方向に移動する。
第1フィーダユニット61及び第2フィーダユニット62は、同様の構成を有する。以下では、図8及び図9を参照して、第1フィーダユニット61の構成を一例に具体的に説明する。
第1フィーダユニット61は、導入ユニット(第1クランプ部)22Aと、下ベルト23Aと、上ベルト24Aと、上流域クランプ25A、中流域クランプ26A、下流域クランプ27Aと、を有する。これらは、フレーム21により支持される。下ベルト23A及び上ベルト24Aは、フィルムFを搬送する第1フィーダ部を構成する。
導入ユニット22Aは、フィルム送り出し機構5から送り出されたフィルムFを挟持し、下ベルト23Aと上ベルト24Aとの間にフィルムFを導入する。導入ユニット22Aは、第1フィーダユニット61の上流側、すなわち、ローディングユニット70の近傍に配置される(図8参照)。図9(c)に示されるように、導入ユニット22Aは、下ベルト23Aと重なる位置に設けられる。
導入ユニット22Aは、導入ユニット回動軸22bを中心に揺動可能に設けられた本体部22cを有する。導入ユニット回動軸22bは、本体部22cの下流側の端部に設けられる。導入ユニット回動軸22bは、フレーム21により支持される。本体部22cは、図示しないソレノイドの作動により揺動する。具体的には、本体部22cは、ソレノイドの作動により、本体部22cの上流側の端部が下ベルト23Aに接近した下位置と、本体部22cの上流側の端部が下ベルト23Aから離れた上位置との間の範囲で揺動する。導入ユニット22Aは、本体部22cが下位置のときにフィルムFを挟持し、本体部22cが上位置ときはフィルムFを挟持しない。
本体部22cの他端部(フィルム送り出し機構5側の端部)には、導入プーリ22aが回転自在に設けられる。導入プーリ22aには、上ベルト24Aが掛けられる。
下ベルト23Aは、フィルムFに対して下方から接触する。下ベルト23Aは、図9(b)に示されるように、複数のプーリに掛け渡される。複数のプーリには、プーリ21bと、プーリ21cと、が含まれる。プーリ21bは、フィルムFの搬送方向上流側に配置される。プーリ21cは、フィルムFの搬送方向下流側に配置される。プーリ21cは、駆動モータにより回転させられる。プーリ21bは、プーリ21cに従動して回転する。駆動モータによるプーリ21cの駆動により、第1フィーダユニット61の下ベルト23Aが動作する。
上ベルト24Aは、図9(b)に示されるように、複数のプーリに掛け渡される。複数のプーリには、導入ユニット22Aの導入プーリ22aと、プーリ24aと、が含まれる。プーリ24aは、フィルムFの搬送方向下流側に配置される。プーリ24aは、プーリ21cを回転させる駆動モータにより回転する。これにより、上ベルト24Aは、下ベルト23Aと共に駆動する。以上の構成により、第1フィーダユニット61は、上ベルト24Aと下ベルト23Aとの間にフィルムFを巻き込み、フィルムFが繰り出されるフィルムFの長手方向にフィルムFを搬送する。
図9(c)に示されるように、上流域クランプ25Aは、フィルムFの搬送方向上流側に配置される。下流域クランプ27Aは、フィルムFの搬送方向下流側に配置される。中流域クランプ26Aは、上流域クランプ25Aと下流域クランプ27Aとの間に配置される。各クランプ25A〜27Aは、ベルト23,24とずれた位置に配置される。具体的には、各クランプ25A〜27Aは、フィルムFの幅方向に対して、ベルト23,24の内側に配置される。各クランプ25A〜27Aの下方には、帯板21aが配置される。
各クランプ25A〜27Aは、図示しないソレノイドのオン/オフの切り替えによって作動する。具体的には、各クランプ25A〜27Aは、ソレノイドのオン/オフの切り替えにより、フィルムFを挟持したり、フィルムFを解放したりする。各クランプ25A〜27Aは、ソレノイドがオンのとき、フィルムF1,F2の上面に接触して下向きの力を加える。これにより、各クランプ25A〜27Aは、帯板21aとの間で、フィルムFを挟持する。各クランプ25A〜27Aは、ソレノイドがオフのとき、フィルムFの挟持を開放する。ソレノイドは、所定のタイミングで、オンに切り替えられる。
第2フィーダユニット62は、第1フィーダユニット61と同様の構成を有する。すなわち、第2フィーダユニット62は、導入ユニット(第2クランプ部)22Bと、下ベルト23Bと、上ベルト24Bと、上流域クランプ25B、中流域クランプ26B、下流域クランプ27Bと、を有する。これらは、フレーム21により支持される。下ベルト23B及び上ベルト24Bは、フィルムFを搬送する第2フィーダ部を構成する。
第1フィーダ移動ユニット63は、第1フィーダユニット61の下方に取り付けられる。図3に示されるように、第1フィーダ移動ユニット63は、駆動モータ63aと、ベルト63bと、を有する。第2フィーダ移動ユニット64は、第2フィーダユニット62の下方に取り付けられる。図3に示されるように、第2フィーダ移動ユニット64は、駆動モータ64aと、ベルト64bと、を有する。
第1フィーダ移動ユニット63は、駆動モータ63aによってベルト63bを駆動させることにより、第1フィーダユニット61をスライドシャフト66,67に沿ってフィルムFの幅方向に移動させる。第2フィーダ移動ユニット64は、駆動モータ64aによってベルト64bを駆動させることにより、第2フィーダユニット62をスライドシャフト66,67に沿ってフィルムFの幅方向に移動させる。
図2に示されるように、カッター機構7は、フィルム送り出し機構5がフィルム搬送機構6へフィルムFを受け渡した後、フィルム送り出し機構5とフィルム搬送機構6との間で張られたフィルムFを切断する。カッター機構7は、フィルム搬送機構6がフィルムFを所定量搬送した後に、フィルム送り出し機構5とフィルム搬送機構6との間で張られたフィルムFを切断する。カッター機構7は、フィルム送り出し機構5とフィルム搬送機構6との間に配置され、フィルムFのフィルム幅よりも長い切断刃7aを有する。切断刃7aは、アクチュエータによって上下方向に移動させられる。
シール機構8は、折り込み機構37により折り込まれたフィルムFを熱シールする。シール機構8は、搬送ローラ及び加熱ローラを有し、排出プッシャー79aで押し出された対象物Wを搬送ローラ及び加熱ローラによって搬送しつつヒートシールする。シール機構8は、包装済みの対象物Wを排出台82に向かって排出する。
ラベルプリンターLPは、物品に関する情報をラベルに印字する。物品に関する情報とは、例えば商品名及び値段等である。ラベル発行機LIは、ラベルプリンターLPによって印字されたラベルを、排出された包装済みの商品に貼り付ける。
制御装置9は、本体1aの上部に配置されるコンピュータである。制御装置9は、包装装置1を構成する各要素の動作を制御する。制御装置9は、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/O、処理を行うためのプログラム及び情報等が記憶されたROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(RandomAccess Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体、CPU(Central Processing Unit)及び通信回路等を有する。制御装置9は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで、包装装置1の各機能を実現する。
制御装置9には、表示パネル(異常報知部)16及び操作部17が接続される。表示パネル16は、例えばタッチパネル式のディスプレイであり、ディスプレイには、各種の情報や操作ボタンが表示される。操作部17では、ユーザによる各種の操作及び入力が行われる。
制御装置9は、制御部91及び記憶部92を含む。記憶部92には、予め設定された、表示パネル16や操作部17等から入力された、或いは、外部装置から転送された各種データが記憶されている。各種データには、複数種のフィルムFの性状(厚さ、材質、フィルム幅等)に関するデータ、複数種の商品Gの単価データ及び性状に関するデータ、複数種のトレーTの性状(大きさ、形状、材質、風袋重量等)に関するデータ等が含まれる。各種データには、前回運転停止時のフィルムロールRの径、使用前のフィルムロールRの径、及び、後述する各設定値等が更に含まれる。
制御部91は、各機構の動作を制御する。制御部91は、後述する運転モードに応じた制御を実行する。制御装置9は、記憶部92の各種データを参照し、計量搬入機構2で計量した対象物Wの重量及び/又はトレーサイズに基づいて、対象物Wの価格の算出等を行う。制御装置9は、ラベルプリンターLP及びラベル発行機LIの動作を制御し、対象物Wの重量又は価格等をラベルに印字する。
制御装置9は、対象物Wのトレーサイズに応じて包装機構(包装部)10の動作を制御し、当該トレーサイズに応じたフィルム包装を実行させる。包装機構10は、対象物Wのフィルム包装に係る機構であり、少なくともリフター機構30と、折り込み機構37と、シール機構8と、により構成される。1回のフィルム包装に使用されるフィルムFの量は、例えば、360mm〜700mm程度である。
[包装装置の動作の概要]
包装装置1では、ユーザにより計量搬入機構2の計量皿12に対象物Wが載置された場合、対象物Wが計量器2aで計量される。対象物Wは、搬送バー13によってリフター機構30の支持部材33上に押し出される。一方、フィルム送り出し機構5によってフィルム搬送機構6へとフィルムFが受け渡され、フィルムFがカッター機構7で切断されて1枚の長方形状のフィルムFとなる。フィルムFは、リフター機構30の上方まで両フィーダユニット61,62によって運ばれ、その幅方向両側部が緊張保持される。
緊張保持されたフィルムFに対してリフター機構30によって対象物Wが押し上げられ、対象物Wを覆うようにフィルムFが伸張される。折り込み機構37によってフィルムFの周囲がトレーTの下側に折り込まれる。排出プッシャー79aによって対象物Wがシール機構8側に押し出される。そして、シール機構8によってフィルムFが熱シールされた後、排出台82上に排出される。
ラベル貼付を含む処理を実行する場合には、計量値に基づいて算出される商品Gの値段や重量等がラベルプリンターLPによってラベルに印字され、当該ラベルがラベル発行機LIによりフィルムFに貼付される。
[包装装置の制御]
制御装置9は、機能的構成として、制御部91及び記憶部92に加えて、第1算出部93と、第2算出部94と、乖離算出部95と、判定部96と、を備える。記憶部92は、第1記憶部92aと、第2記憶部92bと、を含む。
上述したとおり、包装装置1では、フィルム搬送機構6によるフィルムFの引き出しを補助するために、回転軸44が回転駆動される。回転軸44の回転によるフィルムFの引出量を目標量とするためには、現在のフィルムロールRの径(直径、外径)(以下、単に現在径ともいう)に応じて回転軸44の回転速度を調整する必要がある。すなわち、フィルムロールRの径はフィルムFの使用に伴って減少するため、フィルムロールRの径の減少に応じて回転軸44の回転速度を増加させるフィードバック制御を行う必要がある。
また、制御部91は、回転軸44の回転によりフィルムロールRからフィルムFが送り出される速度が、フィルム搬送機構6によりフィルムFが搬送される速度よりも遅くなるように、駆動モータ43aを制御する。これにより、回転軸44とフィルム搬送機構6との間のフィルムFに適切なテンションを付与することができると共に、フィルムロールRが過度に回転することに起因するバックラッシュの発生を抑制することができる。
第1算出部93は、フィルム搬送機構6によりフィルムFが引き出される間に検出器46により検出された回転軸44の回転量に基づいて、フィルムロールRの径の初期値を算出(特定)する。この初期値の算出の詳細については後述する。更に、第1算出部93は、フィルムロールRの径の初期値と、フィルム搬送機構6によりフィルムロールRから引き出されたフィルムFの積算量とに基づいて、フィルムロールRの現在径を算出する。第1算出部93により算出されたフィルムロールRの現在径は、第1記憶部92aに記憶される。第1算出部93は、例えば、対象物Wのフィルム包装が実行される度に、第1記憶部92aに記憶されているフィルムロールRの現在径(初回のフィルム包装時にはフィルムロールRの径の初期値)からフィルムFの使用量を減算することにより、フィルムロールRの現在径を算出(更新)する。フィルムFの使用量は、フィルム搬送機構6(第1フィーダユニット61及び第2フィーダユニット62)によるフィルムFの送り量に基づいて把握される。第1算出部93は、1回のフィルム包装が実行される度にフィルムロールRの現在径を更新してもよいし、複数回のフィルム包装が実行される度にフィルムロールRの現在径を更新してもよい。
フィルムロールRの現在径は、例えば以下の式により算出される。
フィルムロールRの現在径=2(フィルムロールRの断面積/π)1/2
フィルムロールRの断面積=フィルムFの断面積+芯の断面積
フィルムFの断面積=フィルムFの全長×フィルムFの厚さ
制御部91は、第1算出部93により算出されたフィルムロールRの現在径に応じた回転速度で回転軸44が回転するように、駆動モータ43aを制御する。これにより、フィルムロールRの径の減少に応じたフィードバック制御を実現することができ、回転軸44の回転によるフィルムFの引出量を目標量に近づけることができる。
第2算出部94は、フィルム搬送機構6によりフィルムFが引き出される間に検出器46により検出された回転軸44の回転量に基づいて、フィルムロールRの現在径を算出する。例えば、フィルムロールRの現在径は、所定長さL1のフィルムFが引き出される間の回転軸44の回転量をNとすると、以下の式により算出される。フィルムロールRの現在径は、フィルム搬送機構6によるフィルムFの引出速度と、回転軸44の回転速度とに基づいて算出されてもよい。
フィルムロールRの現在径=L1/πN
第2算出部94は、通常運転時よりも遅い速度(後述する速度低下モードにおける第2速度)でフィルム搬送機構6によりフィルムFが搬送されている間に検出器46により検出された回転軸44の回転量に基づいて、フィルムロールRの現在径を算出する。この処理の詳細については後述する。
乖離算出部95は、第1算出部93により算出されたフィルムロールRの現在径と、第2算出部94により算出されたフィルムロールRの現在径との間の乖離を算出する。制御部91は、乖離算出部95により算出された乖離が所定の第1値よりも小さい場合、第1算出部93により算出されたフィルムロールRの現在径を、フィルムロールRの現在径として記憶部92に記憶させる。一方、制御部91は、乖離算出部95により算出された乖離が第1値以上である場合、第2算出部94により算出されたフィルムロールRの現在径を、フィルムロールRの現在径として第1記憶部92aに記憶させる。第1値は、例えば10mm程度に設定される。
したがって、乖離算出部95により算出された乖離が第1値以上となった場合、第1記憶部92aに記憶されているフィルムロールRの現在径が、第2算出部94により算出されたフィルムロールRの現在径に置き換えられる(上書きされる)。その後、第1算出部93は、置き換えられたフィルムロールRの現在径を用いて、フィルムFの使用量を減算することによるフィルムロールRの現在径の算出を継続する。
制御部91は、乖離算出部95により算出された乖離が所定の第2値以上となった場合、使用者に異常を報知するように表示パネル16を制御する。例えば、表示パネル16には、フィルム搬送機構6のメンテナンスを促すための画面が表示される。第2値は、例えば20mm程度に設定される。第2値は、第1値と同一でもよいし、相違してもよい。
第2算出部94によるフィルムロールRの現在径の算出、及び乖離算出部95による乖離の算出は、フィルムFが所定量(例えば200m〜300m程度)使用される度に行われる。或いは、それらの算出は、フィルム包装が所定回数(例えば400回〜500回程度)行われる度に行われてもよい。なお、フィルムロールRの径が減少するに従ってフィルムロールRの径の減少速度が速くなるため、フィルムロールRの径の減少に応じて算出タイミングを早めてもよい。例えば、フィルムロールRの径が大きいときにはフィルムFが300m使用される度に算出が行われる一方、フィルムロールRの径が小さいときにはフィルムFが250m使用される度に算出が行われてもよい。
第2記憶部92bは、第1算出部93の算出結果を用いて、フィルムロールRの交換時におけるフィルムロールRの径に関する情報を蓄積して記憶する。フィルムロールRが使用されてフィルムロールRのフィルムFが無くなると、フィルムロールRが交換され、新品のフィルムロールRが回転軸44に取り付けられる。フィルムロールRが交換される度に、当該時点において第1記憶部92aに記憶されているフィルムロールRの現在径が、フィルム交換時におけるフィルムロールRの径(最終外径)として第2記憶部92bに記憶される。
フィルムロールRの交換時の判定方法は、複数考えられる。例えば、第1記憶部92aに記憶されているフィルムロールRの現在径が減少から増加に転じた時点(最も減少した時点)をフィルムロールRの交換時とみなすことができる。
判定部96は、第2記憶部92bに蓄積された情報に基づいて、フィルム搬送機構6に異常が生じているかどうかを判定する。フィルム搬送機構6に異常が生じていない場合、フィルムロールRの交換時におけるフィルムロールRの径は一定であると考えられる。そのため、例えば、フィルムロールRの交換時におけるフィルムロールRの径が変化(増加又は減少)した場合には、フィルム搬送機構6に異常が生じていると判定することができる。制御部91は、フィルム搬送機構6に異常が生じていると判定部96が判定した場合、使用者に異常を報知するように表示パネル16を制御する。例えば、表示パネル16には、フィルム搬送機構6のメンテナンスを促すための画面が表示される。
[運転モード]
包装装置1は、運転モードとして、通常運転モードと、速度低下モードと、を備える。通常運転モードでは、フィルム搬送機構6によりフィルムFが第1速度(通常速度)で搬送されて、対象物Wのフィルム包装が実行される。第1速度は、例えば1300mm/秒程度に設定される。速度低下モードでは、フィルム搬送機構6によりフィルムFが第1速度よりも遅い第2速度で搬送されて、対象物Wのフィルム包装が実行される。第2速度は、例えば500mm/秒程度に設定される。第1速度及び第2速度は、速度の目標値であり、最終到達速度である。この例で第2速度が500m/秒に設定されているのは、実験の結果、フィルムロールRの現在径を精度良く把握できることが分かったためである。ただし、第2速度は、第1速度よりも遅い速度であればよく、当該速度に限定されない。回転軸44の回転速度は、フィルム搬送機構6によるフィルムFの搬送速度に応じて、バックラッシュが起こらないように適宜設定される。
通常運転モード及び速度低下モードの双方において、制御部91は、回転軸44の回転によりフィルムロールRからフィルムFが送り出される速度が、フィルム搬送機構6によりフィルムFが搬送される速度(第1速度、第2速度)よりも遅くなるように、駆動モータ43aを制御する。
制御部91は、例えば、包装装置1の運転開始時に、運転モードを速度低下モードに設定する。以下、運転開始時に運転モードが速度低下モードに設定された場合の処理を説明する。以下の処理は、制御部91により実行されるが、第1算出部93により実行されてもよい。この場合、以下の処理は、フィルムロールRの径の初期値を第1算出部93が算出(特定)する処理とみなすことができる。
速度低下モードでは、フィルムFが第2速度で搬送されている間に回転軸44の回転量が検出される処理が、複数回(例えば6回)行われる。制御部91は、回転軸44の回転量を取得する際に、1回目の処理において検出された回転軸44の回転量を除外し、2回目以降の処理において検出された回転軸44の回転量を取得する。すなわち、制御部91は、2回目以降の処理において検出された回転軸44の回転量のみに基づいて動作する。
図10に示されるように、制御部91は、2回目及び3回目の処理において検出された回転軸44の回転量の平均値を算出する(ステップS1)。続いて、制御部91は、算出された平均値と、記憶部92に記憶された前回運転停止時のフィルムロールRの径とに基づいて、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRであるかどうかを判定する(ステップS2)。制御部91は、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRであると判定した場合(ステップS2でYES)、処理を終了する。制御部91は、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRではないと判定した場合(ステップS2でNO)、ステップS3に進む。
ステップS2では、例えば、制御部91は、回転量の平均値に基づいて算出されるフィルムロールRの現在径と、前回運転停止時のフィルムロールRの径との差が所定値以下である場合、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRであると判定する。一方、制御部91は、当該平均値に基づいて算出されるフィルムロールRの現在径と、前回運転停止時のフィルムロールRの径との差が当該所定値よりも大きい場合、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRではないと判定する。当該所定値は、例えば10mm〜20mm程度である。ただし、回転軸44の回転量はフィルムロールRの径やフィルムFの長さ(カッター機構7による切断長さ)によって異なり、測定精度との兼ね合いから、種々の値を取り得る。フィルムロールRの径やフィルムFの長さに応じて、当該所定値は、1mm〜20cm程度の適宜の値に設定され得る。
或いは、ステップS2では、制御部91は、前回運転停止時のフィルムロールRの径に対応する対応値と、回転軸44の回転量とを比較してもよい。対応値は、例えば、前回運転停止時のフィルムロールRの径が、当該径に対応した回転量に換算された値である。当該換算は、例えば、回転軸44の回転量とフィルムロールRの径とが対応付けられた換算テーブルを参照することにより行われ得る。制御部91は、回転量の平均値と当該対応値との差が所定値以下である場合、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRであると判定する。一方、制御部91は、平均値と当該対応値との差が当該所定値よりも大きい場合、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRではないと判定する。当該所定値は、例えば10mm〜20mm程度であるが、上記所定値と同様に、1mm〜20cm程度の適宜の値に設定され得る。
ステップS3では、制御部91は、算出された平均値と、記憶部92に記憶された使用前のフィルムロールRの径とに基づいて、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRであるかどうかを判定する。制御部91は、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRであると判定した場合(ステップS3でYES)、処理を終了する。制御部91は、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRではないと判定した場合(ステップS3でNO)、次の処理(4回目の処理)を実行する。
ステップS3では、例えば、制御部91は、回転量の平均値に基づいて算出されるフィルムロールRの現在径と、使用前のフィルムロールRの径との差が所定値以下である場合、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRであると判定する。一方、制御部91は、平均値に基づいて算出されるフィルムロールRの現在径と、使用前のフィルムロールRの径との差が所定値よりも大きい場合、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRではないと判定する。当該所定値は、例えば10mm〜20mm程度であるが、上記所定値と同様に、1mm〜20cm程度の適宜の値に設定され得る。
或いは、ステップS3では、制御部91は、使用前のフィルムロールRの径に対応する対応値と、回転軸44の回転量とを比較してもよい。対応値は、例えば、使用前のフィルムロールRの径が、当該径に対応した回転量に換算された値である。当該換算は、例えば、換算テーブルを参照することにより行われ得る。制御部91は、回転量の平均値と当該対応値との差が所定値以下である場合、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRであると判定する。一方、制御部91は、平均値と当該対応値との差が当該所定値よりも大きい場合、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRではないと判定する。当該所定値は、例えば10mm〜20mm程度であるが、上記所定値と同様に、1mm〜20cm程度の適宜の値に設定され得る。
続いて、制御部91は、4回目の処理を実行させ、2〜4回目の処理において検出された回転軸44の回転量の平均値を算出する。制御部91は、算出された平均値と、記憶部92に記憶された前回運転停止時のフィルムロールRの径とに基づいて、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRであるかどうかを判定する。また、制御部91は、算出された平均値と、記憶部92に記憶された使用前のフィルムロールRの径とに基づいて、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRであるかどうかを判定する。これらの処理の詳細についてはステップS2,S3と同様であるので説明を省略する。
続いて、制御部91は、2〜5回目の処理において検出された回転軸44の回転量の平均値を算出する。制御部91は、算出された平均値と、記憶部92に記憶された前回運転停止時のフィルムロールRの径とに基づいて、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRであるかどうかを判定する。また、制御部91は、算出された平均値と、記憶部92に記憶された使用前のフィルムロールRの径とに基づいて、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRであるかどうかを判定する。これらの処理の詳細についてはステップS2,S3と同様であるので説明を省略する。
続いて、制御部91は、2〜6回目の処理において検出された回転軸44の回転量の平均値を算出する。制御部91は、算出された平均値と、記憶部92に記憶された前回運転停止時のフィルムロールRの径とに基づいて、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRであるかどうかを判定する。また、制御部91は、算出された平均値と、記憶部92に記憶された使用前のフィルムロールRの径とに基づいて、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRであるかどうかを判定する。これらの処理の詳細についてはステップS2,S3の処理と同様であるので説明を省略する。なお、制御部91は、複数回の処理における回転軸44の回転量の平均値を算出すればよく、例えば、4回目、5回目又は6回目の処理において、直近の2回の処理における回転軸44の回転量の平均値を算出して判定に用いてもよい。
制御部91は、以上の処理において、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRであると判定した場合、前回運転停止時のフィルムロールRの径を、フィルムロールRの径の初期値として記憶部92(第1記憶部92a)に記憶させる。この初期値は、上述した第1算出部93によるフィルムロールRの現在径の算出に用いられる。
制御部91は、以上の処理において、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRであると判定した場合、使用前のフィルムロールRの径を、フィルムロールRの径の初期値として記憶部92(第1記憶部92a)に記憶させる。この初期値は、上述した第1算出部93によるフィルムロールRの現在径の算出に用いられる。
制御部91は、以上の処理において、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールR及び使用前のフィルムロールRのいずれでもないと判定した場合、2〜6回目の処理において検出された回転軸44の回転量の平均値に基づいてフィルムロールRの現在径を算出し、フィルムロールRの初期値として記憶部92(第1記憶部92a)に記憶させる。回転量の平均値に基づくフィルムロールRの現在径の算出は、上述した第2算出部94によるフィルムロールRの現在径の算出と同様に行われ得る。算出された初期値は、上述した第1算出部93によるフィルムロールRの現在径の算出処理に用いられる。なお、制御部91は、直近の2回の処理における回転軸44の回転量の平均値に基づいてフィルムロールRの現在径を算出してもよい。
運転開始時には、以上の処理によりフィルムロールRの径の初期値が設定され、当該初期値を用いて、上述したとおり、第1算出部93がフィルムロールRの現在径を算出する。上記処理の終了後、制御部91は、運転モードを速度低下モードから通常運転モードに切り替える。通常運転モードでは、制御部91は、上述したとおり、第1算出部93により算出されたフィルムロールRの現在径に応じた回転速度で回転軸44が回転するように、駆動モータ43aを制御する。すなわち、通常運転モードでは、制御部91は、速度低下モードにおいて検出された回転軸44の回転量を用いて把握されるフィルムロールRの現在径に応じた回転速度で回転軸44が回転するように、駆動モータ43aを制御する。
上述した処理において、制御部91は、N回目(Nは3以上の整数)の処理において回転軸44の回転によりフィルムロールRからフィルムFが送り出される送出速度を、N−1回目の処理における回転軸44の回転量の検出結果に基づいて、調整する。1回目及び2回目の処理においては、フィルムロールRの現在径が推定されていない。そのため、制御部91は、フィルムロールRの最大径(新品のフィルムロールRの径)に対応した比較的遅い速度に、送出速度を設定する。なお、制御部91は、1回目の処理において検出された回転軸44の回転量を除外せず、1回目の処理において検出された回転軸44の回転量をも利用して動作してもよく、この場合、制御部91は、2回目の処理おいて回転軸44の回転によりフィルムロールRからフィルムFが送り出される送出速度を、1回目の処理における回転軸44の回転量の検出結果に基づいて調整してもよい。
3回目の処理においては、制御部91は、2回目の処理において検出された回転軸44の回転量(換言すればフィルムロールRの現在径)に対応した速度に、送出速度を設定する。より具体的には、制御部91は、送出速度が当該速度となるように、駆動モータ43aを制御する。4回目の処理においては、制御部91は、3回目の処理において検出された回転軸44の回転量に対応した速度に、送出速度を設定する。同様に、5回目、6回目の処理においては、制御部91は、4回目、5回目の処理において検出された回転軸44の回転量に対応した速度に、送出速度を設定する。以上の処理では、N回目の処理における送出速度は、N−1回目の処理における送出速度よりも速くなる。これは、送出速度の初期値が、フィルムロールRの最大径に対応した比較的遅い速度に設定されているためである。なお、送出速度の調整は、必ずしも毎回の処理において行われる必要はなく、例えば3回目の処理のみにおいて行われてもよい。
また、上述した処理において、制御部91は、N回目の処理においてフィルム搬送機構6によりフィルムFが搬送される搬送速度(第2速度)を、N−1回目の処理における搬送速度よりも速い速度に設定(調整)する。1回目及び2回目の処理においては、フィルムロールRの現在径が推定されていない。そのため、駆動モータ43aによる回転軸44の回転補助が十分ではない可能性があり、フィルム搬送機構6の搬送速度を速めると、回転軸44の回転によるフィルムFの送出速度とフィルム搬送機構6によるフィルムFの搬送速度との間に速度差が生じて、フィルムFが過剰に伸びてしまう可能性がある。一方、回転軸44の回転量に基づくフィルムロールRの現在径の推定が可能となる3回目以降の処理においては、駆動モータ43aによる回転軸44の回転補助が適切に行われるようになるため、フィルム搬送機構6の搬送速度を速めても、速度差が生じ難くなる。なお、搬送速度の調整は、必ずしも毎回の処理において行われる必要はなく、例えば3回目の処理のみにおいて行われてもよい。
また、制御部91は、上述した第2算出部94によるフィルムロールRの現在径の算出時にも、運転モードを速度低下モードに設定する(換言すれば、運転モードを通常運転モードから速度低下モードに切り替える)。これにより、通常運転モードにおける第1速度よりも遅い第2速度でフィルム搬送機構6によりフィルムFが搬送されている間に、検出器46により回転軸44の回転量が検出される。第2算出部94は、速度低下モードにおいて検出された回転量に基づいてフィルムロールRの現在径を算出する。
[作用及び効果]
包装装置1では、フィルム搬送機構6によりフィルムFが引き出される間に検出器46により検出された回転軸44の回転量に基づいて、フィルムロールRの径の初期値が算出され、当該初期値と、フィルム搬送機構6によりフィルムロールRから引き出されたフィルムFの積算量とに基づいて、フィルムロールRの現在径が算出される。これにより、上述したような従来の算出方法と比べて、算出結果に対するフィルムFの伸びの影響を低減することができ、その結果、フィルムロールRの現在径を精度良く把握することが可能となる。
この点について更に説明する。上述したとおり、フィルムFは、回転軸44とフィルム搬送機構6との間で引っ張られて伸びる場合がある。この場合、フィルムFが伸びた分だけ、検出器46により検出される回転軸44の回転量が少なくなる。この回転量に基づいてフィルムロールRの現在径を算出すると、フィルムFの引出量に対して回転量が少ないため、フィルムロールRの現在径が実際よりも大きく算出される。これにより、フィルムロールRの現在径の算出結果に誤差が生じる。
また、上述したとおり、回転軸44は、フィルムロールRの現在径に応じた回転速度で回転するようにフィードバック制御される。フィルムロールRの現在径が実際よりも大きく算出されると、回転軸44の回転速度が必要速度よりも遅い速度に設定される。この場合、回転軸44の回転によるフィルムFの送出速度とフィルム搬送機構6によるフィルムFの搬送速度との間の速度差が大きくなり、フィルムFが一層伸び易くなる。フィルムFの伸び量が大きくなると、フィルムロールRの現在径が実際よりも一層大きく算出され、回転軸44の回転速度が必要速度よりも一層遅く設定される。このような理由により、従来の算出方法では、フィルムロールRの現在径の算出誤差が発散するおそれがある。
この点、包装装置1では、フィルムロールRの径の初期値、及び、フィルム搬送機構6によりフィルムロールRから引き出されたフィルムFの量に基づいて、フィルムロールRの現在径が算出されるため、そのような算出誤差の発散を回避することができ、フィルムロールRの現在径を精度良く把握することが可能となる。
制御部91が、第1算出部93により算出されたフィルムロールRの現在径に応じた回転速度で回転軸44が回転するように、駆動モータ43aを制御する。これにより、フィルムロールRの現在径に応じた回転速度で回転軸44を回転させることができる。
制御部91が、回転軸44の回転によりフィルムロールRからフィルムFが送り出される速度が、フィルム搬送機構6によりフィルムFが搬送される速度よりも遅くなるように、駆動モータ43aを制御する。これにより、回転軸44とフィルム搬送機構6との間のフィルムFに適切なテンションを付与することができる。また、フィルムロールRが過度に回転することに起因するバックラッシュの発生を抑制することができる。
第2算出部94が、フィルム搬送機構6によりフィルムFが引き出される間に検出器46により検出された回転軸44の回転量に基づいてフィルムロールRの現在径を算出し、乖離算出部95が、第1算出部93により算出されたフィルムロールRの現在径と、第2算出部94により算出されたフィルムロールRの現在径との間の乖離を算出する。これにより、算出された乖離の大きさに基づいて、例えば、フィルム搬送機構6に異常(例えば経年劣化や不具合)が生じているかどうかを把握することができる。
第1記憶部92aが、乖離算出部95により算出された乖離が第1値よりも小さい場合、第1算出部93により算出されたフィルムロールRの現在径を、フィルムロールRの現在径として記憶する一方、乖離算出部95により算出された乖離が第1値以上である場合、第2算出部94により算出されたフィルムロールRの現在径を、フィルムロールRの現在径として記憶する。これにより、現在のフィルムロールの径を一層精度良く把握することが可能となる。
この点について更に説明する。上述した運転開始時の処理において、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが使用前のフィルムロールRであると判定された場合、乖離算出部95により算出された乖離が第1値よりも小さいときには、第1算出部93によるフィルムロールRの現在径の算出精度は、第2算出部94によるフィルムロールRの現在径の算出精度よりも高くなる。これは、実験により得られた知見である。同様に、運転開始時の処理において、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールRであると判定された場合、乖離算出部95により算出された乖離が第1値よりも小さいときには、第1算出部93による算出精度は、第2算出部94による算出精度よりも高くなる。これは、実験により得られた知見である。一方、回転軸44に取り付けられているフィルムロールRが前回運転停止時のフィルムロールR及び使用前のフィルムロールRのいずれでもないと判定され、検出された回転軸44の回転量に基づいてフィルムロールRの現在径が算出された場合、第1算出部93による算出精度と第2算出部94による算出精度とは同程度になると考えられる。第1算出部93による算出に係る誤差要因としては、フィルムFの種類、温湿度環境、新品のフィルムロールRの径のばらつき、機物調整のばらつき等が挙げられる。
検出器46による回転軸44の回転量の推定には誤差が含まれる。一方、新品のフィルムロールRの径の誤差は略一定であり、検出器46の推定誤差よりも小さい。そのため、新品のフィルムロールRの径又は前回運転停止時のフィルムロールRの径からフィルム搬送機構6の搬送量を減算して算出されたフィルムロールRの現在径の精度は、検出器46の検出結果に基づく推定値の精度よりも高くなる。一方、検出器46の検出結果に基づく推定値同士であれば、いずれも同様の誤差を含むため、精度は同程度になると考えられる。
表示パネル16(異常報知部)が、乖離算出部95により算出された乖離が第2値以上である場合に、使用者に異常を報知する。これにより、例えば、フィルム搬送機構6に異常が生じたときに、使用者に異常を報知することができる。
第2算出部94が、通常運転時よりも遅い速度でフィルム搬送機構6によりフィルムFが搬送されている間に(速度低下モードにおいて)検出器46により検出された回転軸44の回転量に基づいて、フィルムロールRの現在径を算出する。これにより、フィルムFの伸びが抑制された状態で回転軸44の回転量が検出されるため、第2算出部94によりフィルムロールRの現在径を精度良く算出することができる。
すなわち、回転軸44の回転による送出速度とフィルム搬送機構6による搬送速度との間に速度差がある場合、回転軸44とフィルム搬送機構6との間でフィルムFが伸び易くなる。この点、包装装置1では、速度低下モードにおいて回転軸44の回転量が検出されるため、速度差が低減されてフィルムFの伸びが抑制された状態で回転軸44の回転量を検出することができる。その結果、フィルムロールRの現在径を精度良く把握することが可能となる。
第2記憶部92bが、第1算出部93の算出結果を用いて、フィルムロールRの径に関する情報を蓄積し、判定部96が、第2記憶部92bに蓄積された情報に基づいて、フィルム搬送機構6に異常が生じているかどうかを判定する。これにより、例えば、フィルム搬送機構6の異常を使用者に報知することが可能となる。また、包装装置1では、フィルムロールRの径の初期値、及び、フィルム搬送機構6によりフィルムロールRから引き出されたフィルムFの量に基づいて、フィルムロールRの現在径が算出されるため、超音波センサやレーザセンサ等の高価なセンサが不要となる。
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限られない。第1算出部93は、フィルム搬送機構6によりフィルムFが引き出される間に検出器46により検出された回転軸44の回転量に基づいて、フィルムロールRの径の初期値に対応する第1対応値を算出してもよい。第1算出部93は、当該第1対応値と、フィルム搬送機構6によりフィルムロールRから引き出されたフィルムFの積算量とに基づいて、フィルムロールRの現在径に対応する第2対応値を算出してもよい。この場合、制御部91は、第1算出部93により算出された第2対応値に対応するフィルムロールRの現在径に応じた回転速度で回転軸44が回転するように、駆動モータ43aを制御してもよい。乖離算出部95は、第1算出部93により算出された第2対応値に対応するフィルムロールRの現在径と、第2算出部94により算出されたフィルムロールRの現在径との間の乖離を算出してもよい。第1記憶部92aは、乖離算出部95により算出された乖離が第1値よりも小さい場合、第1算出部93により算出された第2対応値に対応するフィルムロールRの現在径を、フィルムロールRの現在径として記憶部92に記憶してもよい。第1対応値及び第2対応値は、例えば、フィルムロールRの径に対応する回転軸44の回転量である。フィルムロールRの径と回転軸44の回転量との間の換算は、例えば、フィルムロールRの径と回転軸44の回転量とが対応付けられた換算テーブルを参照することにより行われ得る。このように、各部の制御及び各値の算出等は、検出された回転軸44の回転量をフィルムロールRの径に換算することなく実行されてもよい。第1対応値及び第2対応値は、フィルムロールRの径自体であってもよいし、フィルムロールRの径に対応する値であってもよい。第1算出部93、第2算出部94、乖離算出部95及び判定部96の少なくとも1つによる処理は、制御部91により実行されてもよい。或いは、制御部91による処理が、第1算出部93、第2算出部94、乖離算出部95及び判定部96の少なくとも1つにより実行されてもよい。
上記実施形態では、第2記憶部92bが、フィルムロールRの交換時におけるフィルムロールRの径に関する情報を蓄積して記憶したが、第2記憶部92bは、任意のタイミングでフィルムロールRの径に関する情報を蓄積して記憶してよい。例えば、第2記憶部92bは、フィルムFが所定量使用される度にフィルムロールRの径に関する情報を記憶してもよい。この場合でも、判定部96は、第2記憶部92bに蓄積された情報に基づいて、フィルム搬送機構6に異常が生じているかどうかを判定することができる。
第1算出部93は、第2対応値の算出に係る値についてのオフセット量を、第2記憶部92bに蓄積された情報に基づいて調整してもよい。例えば、第1算出部93は、フィルムロールRの現在径の算出誤差が小さくなるように、フィルム搬送機構6によるフィルムFの送り量をオフセットしてもよい。この場合、第1算出部93は、フィルム搬送機構6の送り量についてのオフセット量を、第2記憶部92bに蓄積された情報に基づいて調整してもよい。例えば、フィルムロールRの交換時におけるフィルムロールRの径が時間の経過に伴って変化した場合に、変化量に対応した量を送り量から減算することで、フィルムロールRの現在径の算出誤差を小さくすることができる。或いは、第1算出部93は、第2対応値の算出に係る他の値についてのオフセット量を調整してもよい。他の値としては、算出されたフィルムロールRの現在径、検出された回転軸44の回転量、第2対応値の算出に用いられる設定値等が考えられる。
第2記憶部92bは、フィルムロールRの径に関する情報を蓄積して記憶しなくてもよく、判定部96は、第1算出部93により算出されたフィルムロールRの交換時における第2対応値と、所定の閾値とに基づいて、フィルム搬送機構6に異常が生じているかどうかを判定してもよい。この場合でも、フィルム搬送機構6の異常を使用者に報知することが可能となる。例えば、判定部96は、第1算出部93により算出されたフィルムロールRの交換時における第2対応値に対応するフィルムロールRの現在径を当該閾値と比較することにより、フィルム搬送機構6に異常が生じているかどうかを判定してもよい。当該閾値は、例えば、運用開始直後における、フィルムロールRの交換時におけるフィルムロールRの径に応じて設定される。例えば、当該閾値は、当該径自体に設定される、又は当該径に所定値が加算又は減算された値に設定される。或いは、当該閾値は、フィルムロールRの芯の径に応じて設定されてもよい。
上記実施形態では、一対のフィルムロールR1,R2からフィルムF1又はフィルムF2が引き出されたが、1つのフィルムロールRのみが備えられ、当該フィルムロールRからフィルムFが引き出されてもよい。一対のフィルムロールRが備えられる構成、及び1つのフィルムロールRのみが備えられる構成には、同様の制御を適用することができる。回転軸44は、回転駆動されなくてもよい。この場合、回転軸44は、フィルム搬送機構6によるフィルムFの搬送に従動して回転してもよい。