JP2020150035A - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電体層に含まれる結晶粒子の粒径あたりの誘電率を増大させる。【解決手段】積層セラミックコンデンサ10は、積層された複数の誘電体層12と複数の内部電極13a、13bとを含み、積層方向において相対する主面16a、16bと、幅方向において相対する側面と、長さ方向において相対する端面15a、15bとを有するセラミック素体11と、内部電極と電気的に接続され、セラミック素体の両端面にそれぞれ設けられた外部電極14a、14bとを備える。誘電体層12は、BaおよびTiを含有し、かつ、ペロブスカイト型構造を有する結晶粒子を複数含んでいる。結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比は、結晶粒子の外側と比べて中心部の方が高く、結晶粒子の外側におけるモル比は0.92以上、結晶粒子の中心部におけるモル比は0.98以下である。また、結晶粒子の粒径D50は90nm以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
従来、積層された複数の誘電体層と複数の内部電極とを含むセラミック素体と、内部電極と電気的に接続され、セラミック素体の両端面に設けられた外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサが知られている。
特許文献1には、そのような構造を有する積層セラミックコンデンサであって、誘電体層がペロブスカイト型構造を有する結晶粒子を含んでおり、結晶粒子の粒径の平均値が40nm以上150nm以下であって、かつ、結晶粒子の粒径の平均値Dと誘電体層の原料粉末の粒径の平均値dとの比D/dが1.2以上1.5以下である積層セラミックコンデンサが記載されている。そのような構造を有する積層セラミックコンデンサは、高電界下でも絶縁性が高く、寿命特性が良好であると特許文献1に記載されている。
特開2008−07859号公報
ここで、積層セラミックコンデンサの小型化・大容量化への要求は大きい。大容量化のための1つの方法として、誘電体層を薄層化する方法がある。誘電体層を薄層化する場合、誘電体層に含まれる結晶粒子も小型化する必要がある。
しかしながら、特許文献1の表1および表2からも分かるように、誘電体層に含まれる結晶粒子の粒径が小さくなると、誘電率が低くなり、大容量化が難しくなる。
本発明は、上記課題を解決するものであり、誘電体層に含まれる結晶粒子の粒径を小さくしたときの誘電率の低下を抑制することができる積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサは、
積層された複数の誘電体層と複数の内部電極とを含み、積層方向において相対する第1の主面および第2の主面と、前記積層方向と直交する幅方向において相対する第1の側面および第2の側面と、前記積層方向および前記幅方向と直交する長さ方向において相対する第1の端面および第2の端面とを有するセラミック素体と、
前記内部電極と電気的に接続され、前記セラミック素体の前記第1の端面および前記第2の端面にそれぞれ設けられた外部電極と、
を備え、
前記誘電体層は、BaおよびTiを含有し、かつ、ペロブスカイト型構造を有する結晶粒子を複数含んでおり、
前記結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比は、前記結晶粒子の外側と比べて中心部の方が高く、前記結晶粒子の外側における前記モル比は0.92以上、前記結晶粒子の中心部における前記モル比は0.98以下であり、
前記結晶粒子の粒径D50は90nm以下であることを特徴とする。
前記結晶粒子は、コア部と、前記コア部を取り囲むシェル部とからなるコアシェル構造を有しており、
前記結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比は、前記シェル部と比べて前記コア部の方が高い構造としてもよい。
前記結晶粒子は、CaおよびSrのうちの少なくとも一方をさらに含んでいてもよい。
前記結晶粒子は、Mg、Mn、Al、およびCrの中から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでおり、
前記結晶粒子に含まれるTi、ZrおよびHfの合計量を100モル部としたときのBaの含有量をkモル部、前記少なくとも1種の合計量をmモル部とすると、
(1−k/100)×10≦m≦(k/100−0.8)×25
の関係が成り立つように構成されていてもよい。
前記結晶粒子は、Vをさらに含んでおり、
前記結晶粒子に含まれるTi、ZrおよびHfの合計を100モル部としたときのVの含有量は、0.01モル部以上0.5モル部以下であってもよい。
本発明の積層セラミックコンデンサによれば、誘電体層に含まれる結晶粒子の粒径あたりの誘電率を増大させることができる。これにより、誘電体層に含まれる結晶粒子の粒径を小さくしたときの誘電率の低下を抑制することができる。
一実施形態における積層セラミックコンデンサの斜視図である。 図1に示す積層セラミックコンデンサのII−II線に沿った断面図である。 図1に示す積層セラミックコンデンサのIII−III線に沿った断面図である。
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
図1は、一実施形態における積層セラミックコンデンサ10の斜視図である。図2は、図1に示す積層セラミックコンデンサ10のII−II線に沿った断面図である。図3は、図1に示す積層セラミックコンデンサ10のIII−III線に沿った断面図である。
図1〜図3に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、全体として直方体形状を有する電子部品であり、セラミック素体11と、一対の外部電極14a、14bとを有している。一対の外部電極14a、14bは、図1に示すように、対向するように配置されている。
ここでは、一対の外部電極14a、14bが対向する方向を積層セラミックコンデンサ10の長さ方向Lと定義し、後述する誘電体層12と内部電極13a、13bとが積層されている方向を積層方向Tと定義し、長さ方向Lおよび積層方向Tのいずれの方向にも直交する方向を幅方向Wと定義する。
積層セラミックコンデンサ10の長さ方向L、幅方向W、および積層方向Tの寸法は、例えば1.0mm、0.5mm、0.5mmである。ただし、積層セラミックコンデンサ10の寸法が上述した数値に限定されることはない。積層セラミックコンデンサ10の寸法は、マイクロメータまたは光学顕微鏡で測定することができる。
セラミック素体11は、長さ方向Lに相対する第1の端面15aおよび第2の端面15bと、積層方向Tに相対する第1の主面16aおよび第2の主面16bと、幅方向Wに相対する第1の側面17aおよび第2の側面17bとを有する。
第1の端面15aには、第1の外部電極14aが設けられており、第2の端面15bには、第2の外部電極14bが設けられている。
セラミック素体11は、角部および稜線部に丸みを帯びていることが好ましい。ここで、角部は、セラミック素体11の3面が交わる部分であり、稜線部は、セラミック素体11の2面が交わる部分である。
図2および図3に示すように、セラミック素体11は、積層された複数の誘電体層12と複数の内部電極13a、13bとを含む。内部電極13a、13bには、第1の内部電極13aと第2の内部電極13bとが含まれている。より詳細には、セラミック素体11は、第1の内部電極13aと第2の内部電極13bとが積層方向Tにおいて、誘電体層12を介して交互に複数積層された構造を有する。
誘電体層12は、BaおよびTiを含有し、かつ、ペロブスカイト型構造を有する結晶粒子を複数含む。例えば、誘電体層12は、BaTiO3を主成分とする誘電体材料からなる。誘電体層12はさらに、Dy、Gd、Mg、Mn、Zr、Ca、Sr、Si、Hf、Sr、Al、Cr、Vなどの副成分を含んでいてもよい。
結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比、すなわちBa/Tiのモル比は、結晶粒子の外側と比べて中心部の方が高い。結晶粒子の外側とは、結晶粒子の粒界近傍を意味する。本実施形態では、結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比は、結晶粒子の外側で0.92以上であり、中心部で0.98以下である。また、結晶粒子の粒径D50は、90nm以下である。
結晶粒子は、コア部と、コア部を取り囲むシェル部とからなるコアシェル構造を有している。結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比は、シェル部と比べてコア部の方が高い。
誘電体層12は、セラミック素体11の積層方向Tの両外側に位置する外層誘電体層121と、第1の内部電極13aと第2の内部電極13bとの間に位置する内層誘電体層122とを含む。
第1の内部電極13aは、セラミック素体11の第1の端面15aに引き出されている。また、第2の内部電極13bは、セラミック素体11の第2の端面15bに引き出されている。
なお、セラミック素体11は、第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bの他に、表面に露出しない内部電極を備えていてもよい。
第1の内部電極13aは、第2の内部電極13bと対向する部分である対向電極部と、対向電極部からセラミック素体11の第1の端面15aまで引き出された部分である引出電極部とを備えている。また、第2の内部電極13bは、第1の内部電極13aと対向する部分である対向電極部と、対向電極部からセラミック素体11の第2の端面15bまで引き出された部分である引出電極部とを備えている。
第1の内部電極13aの対向電極部と、第2の内部電極13bの対向電極部とが誘電体層12を介して対向することにより容量が形成され、これにより、コンデンサとして機能する。
第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bは、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ti、CrおよびAuなどの金属、またはそれらの金属を主成分とする合金などを含有している。第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bは、共材として、誘電体層12に含まれるセラミックと同一組成系の誘電体粒子を含んでいてもよい。
第1の外部電極14aは、セラミック素体11の第1の端面15aの全体に形成されているとともに、第1の端面15aから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17bに回り込むように形成されている。第1の外部電極14aは、第1の内部電極13aと電気的に接続されている。
第2の外部電極14bは、セラミック素体11の第2の端面15bの全体に形成されているとともに、第2の端面15bから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17bに回り込むように形成されている。第2の外部電極14bは、第2の内部電極13bと電気的に接続されている。
第1の外部電極14aおよび第2の外部電極14bは、例えば、下地電極層と、下地電極層上に配置されためっき層とを備える。
下地電極層は、以下に説明するような、焼付け電極層、樹脂電極層、および、薄膜電極層などの層のうち、少なくとも1つの層を含む。
焼付け電極層は、ガラスと金属とを含む層であり、1層であってもよいし、複数層であってもよい。焼付け電極層は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、およびAuなどの金属、またはAgとPdの合金などを含む。
焼付け電極層は、ガラスおよび金属を含む導電ペーストを積層体に塗布して焼き付けることによって形成される。焼き付けは、セラミック素体の焼成と同時に行ってもよいし、セラミック素体の焼成後に行ってもよい。
樹脂電極層は、例えば、導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含む層として形成することができる。樹脂電極層を形成する場合には、焼付け電極層を形成せずに、積層体上に直接形成するようにしてもよい。樹脂電極層は、1層であってもよいし、複数層であってもよい。
薄膜電極層は、例えば、金属粒子が堆積した1μm以下の層であり、スパッタ法または蒸着法などの既知の薄膜形成法により形成することができる。
下地電極層上に配置されるめっき層は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、およびAuなどの金属、またはAgとPdの合金などのうちの少なくとも1つを含む。めっき層は、1層であってもよいし、複数層であってもよい。ただし、めっき層は、Niめっき層とSnめっき層の2層構造とすることが好ましい。Niめっき層は、下地電極層が積層セラミックコンデンサ10を実装する際のはんだによって侵食されるのを防止する機能を果たす。また、Snめっき層は、積層セラミックコンデンサ10を実装する際のはんだの濡れ性を向上させる機能を果たす。
なお、第1の外部電極14aおよび第2の外部電極14bは、上述した下地電極層を備えず、セラミック素体11上に直接配置されるめっき層により構成されていてもよい。この場合、めっき層が直接、第1の内部電極13aまたは第2の内部電極13bと接続される。
(実施例1)
まず、セラミックグリーンシートを作製するために、主成分であるBaTiO3粉末を準備した。ここでは、BaCO3とTiO2とをボールミルにより24時間混合してから熱処理を行い、固相反応によりBaTiO3粉末を得た。このとき、BaCO3とTiO2との配合比を変えることで、Tiに対するBaのモル比が異なる複数種類のBaTiO3粉末を作製した。BaTiO3粉末の粒径は、熱処理温度によって制御することにより、焼成後の結晶粒子の粒径に対して2割程度小さくした。
また、セラミックグリーンシートを作製するための副成分として、Dy、Gd、Mg、Mn、Zr、Ca、Sr、Si、Hf、Sr、Al、Cr、Vをそれぞれ含む化合物の粉末を準備した。そして、副成分の各粉末を秤量し、主成分の粉末に添加することによって、混合粉末を得た。
次に、この混合粉末をボールミルで湿式混合し、均一に分散させた後、乾燥処理を行うことによって、セラミック原料を得た。
上述した方法により得たセラミック原料に、ポリビニルブチラール系バインダ、可塑剤、および有機溶剤としてのエタノールを加えて、ボールミルにより湿式混合し、セラミックスラリーを作製した。
なお、作製したセラミックスラリー中の原料粉末を酸により溶解し、ICP発光分光分析を行ったところ、焼成後の誘電体層と組成がほぼ同じであることが確認できた。
作製したセラミックスラリーをリップ方式によりシート成形し、厚みが1.2μmで矩形のセラミックグリーンシートを作製した。
続いて、セラミックグリーンシート上に内部電極用導電性ペーストを印刷することによって、内部電極パターンを形成した。内部電極用導電性ペーストには、例えばNi粉、有機溶剤、バインダなどが含まれる。内部電極用導電性ペーストの印刷は、例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷などの印刷方法を用いることができる。
続いて、内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層し、その上に、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを順次積層し、さらにその上に、内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層して、マザー積層体を作製した。
続いて、マザー積層体をプレスした後、所定のサイズにカットした。プレスは、例えば、剛体プレスや静水圧プレスなどの方法を用いることができる。また、プレス後のマザー積層体のカットは、例えば、押切り、ダイシング、レーザなどの切断方法により行うことができる。
この後、バレル研磨などにより、角部および稜線部に丸みをつけてもよい。上述した工程により、未焼成積層体が得られる。この未焼成積層体の両端面には、内部電極パターンが露出している。
続いて、未焼成積層体をN2雰囲気中、350℃で3時間加熱してバインダを燃焼させた後、酸素分圧10-4MPaのH2−N2−H2Oガスからなる還元性雰囲気中において焼成し、セラミック素体を得た。
続いて、セラミック素体の両端面に外部電極用導電性ペーストを塗布し、N2雰囲気中、800℃で焼き付けることによって、外部電極の下地電極層を形成した。外部電極用導電性ペーストには、例えばCu粉、ガラスフリット、有機溶剤、などが含まれる。
その後、下地電極層の上にNiめっき層を形成し、さらにその上にSnめっき層を形成することによって、積層セラミックコンデンサを得た。
上述した方法により作製された積層セラミックコンデンサの長さ方向Lの寸法は1.0mm、幅方向Wの寸法は0.5mm、積層方向Tの寸法は0.5mmであった。また、内層誘電体層の平均厚みは1.0μmであり、積層枚数は300枚であった。また、内部電極の平均厚みは0.5μmであり、1枚の内層誘電体層を挟む内部電極の平均対向電極面積は、1.2mm2であった。
なお、作製した積層セラミックコンデンサの外部電極を除去した後のセラミック素体を酸により溶解し、ICP発光分光分析を行ったところ、内部電極成分のNiを除いて、所望の組成となっていることが確認できた。
その後、作製した積層セラミックコンデンサの誘電率と、誘電体層に含まれる結晶粒子の粒径D50とを以下の方法により測定した。
(誘電率の測定)
積層セラミックコンデンサの静電容量を、自動ブリッジ式測定機を用いて、25℃、1Vrms、1kHzの条件で測定し、得られた静電容量から誘電率を算出した。
(結晶粒子の粒径D50の測定)
積層セラミックコンデンサの長さ方向Lの中央の位置まで、幅方向Wおよび積層方向Tにより規定される面を研磨することによってWT断面を露出させた後、結晶粒子の粒界を明確にするために、熱処理を施した。熱処理は、粒成長しない温度であって、かつ、粒界が明確になる温度で行うものとし、本実施例では900℃で行った。
続いて、走査型電子顕微鏡を用いて、WT断面の幅方向Wおよび積層方向Tのそれぞれの中心の位置における結晶粒子を10万倍の倍率で観察した。観察時の画像から無作為に1000個の結晶粒子を抽出し、画像解析により各結晶粒子の面積を求めて円相当径を算出し、算出した各結晶粒子の円相当径のメジアン径D50を求めた。ここでは、5個の積層セラミックコンデンサについて、上記メジアン径D50を求め、その平均値を、その試料の粒径D50とした。
なお、試料として用いた積層セラミックコンデンサを研磨して薄片加工した後、STEM−EDSにて10個の結晶粒子を観察し、結晶粒子の中央付近において、副成分の存在を調べたところ、存在が確認できなかった。すなわち、副成分は、コアシェル構造のコア部には存在せず、シェル部に存在、または、結晶粒子の外部に存在することが確認された。
結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比、粒径D50、誘電率、および、誘電率を粒径D50で除算することにより得られる粒径あたりの誘電率の関係を表1に示す。Tiに対するBaのモル比は、結晶粒子の外側、すなわち、粒界近傍での値である。
Figure 2020150035
表1において、試料番号に*が付されていない試料は、本発明の要件、すなわち、「誘電体層は、BaおよびTiを含有し、かつ、ペロブスカイト型構造を有する結晶粒子を複数含んでおり、結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比は、結晶粒子の外側と比べて中心部の方が高く、結晶粒子の外側におけるモル比は0.92以上、結晶粒子の中心部におけるモル比は0.98以下であり、結晶粒子の粒径D50は90nm以下である」という要件を満たす試料である。試料番号に*が付されていない試料では、結晶粒子の中心部のTiに対するBaのモル比が0.98以下であることが確認できた。
一方、試料番号に*が付されている試料は、本発明の要件を満たしていない試料である。例えば、試料番号1の試料は、結晶粒子の外側におけるTiに対するBaのモル比が0.92未満であり、試料番号4の試料は、結晶粒子の外側および中心部におけるTiに対するBaのモル比が0.98より大きい。また、試料番号16〜19の試料は、結晶粒子の粒径D50が90nmより大きい。
本発明の要件を満たさない試料番号1、4〜6、9〜11、14〜19の試料の粒径あたりの誘電率は20以下となった。特に、結晶粒子の外側におけるTiに対するBaのモル比が0.92未満である試料番号1、6、11の試料の粒径あたりの誘電率は、11以下と大幅に小さくなった。これは、化学量論組成であるTiに対するBaのモル比1から離れすぎて、ペロブスカイト型構造が維持できなくなったからであると推測される。
また、試料番号16および18の試料のように、結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比は、結晶粒子の外側と比べて中心部の方が高く、結晶粒子の外側におけるモル比は0.92以上、結晶粒子の中心部におけるモル比は0.98以下であっても、結晶粒子の粒径D50が90nmを超える場合には、粒径あたりの誘電率が低くなることが分かった。
一方、本発明の要件を満たす試料番号2、3、7、8、12、13の試料の粒径あたりの誘電率は26以上となった。すなわち、本発明の要件を満たす積層セラミックコンデンサは、本発明の要件を満たさない積層セラミックコンデンサと比べて、粒径あたりの誘電率が増大している。したがって、本発明による積層セラミックコンデンサは、誘電体層に含まれる結晶粒子の粒径を小さくしたときの誘電率の低下を抑制することができる。
(実施例2)
実施例2でも、上述した実施例1と同様の方法により、積層セラミックコンデンサを作製した。結晶粒子には、Mg、Mn、Al、およびCrの中から選ばれる少なくとも1種が含まれている。ここでは、結晶粒子に含まれるTi、ZrおよびHfの合計量を100モル部としたときのMg、Mn、Al、およびCrの中から選ばれる少なくとも1種の合計量mモル部を変更して、積層セラミックコンデンサの比抵抗を調べた。
なお、副成分であるZrおよびHfは、結晶粒子に必ず含まれている必要はない。
(比抵抗の測定)
絶縁抵抗計を用いて、25℃で10Vの直流電圧を120秒印加して、積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗を測定し、得られた絶縁抵抗と、内部電極の面積および誘電体層の厚さから、比抵抗を求めた。
また、結晶粒子に含まれるTi、ZrおよびHfの合計量を100モル部としたときのBaの含有量をkモル部、結晶粒子に含まれるMg、Mn、Al、およびCrの中から選ばれる少なくとも1種の合計量をmモル部としたときに、下記の条件式(1)の関係を満たすときに、積層セラミックコンデンサの比抵抗が十分大きく、絶縁性が高いことが分かった。
(1−k/100)×10≦m≦(k/100−0.8)×25 (1)
結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比、条件式(1)で規定されるmの下限値、m、条件式(1)で規定されるmの上限値、比抵抗、および、絶縁性判定結果を表2に示す。なお、表2に示す比抵抗は、測定した比抵抗ρ(Ω・m)の対数値logρである。絶縁性判定結果は、比抵抗の対数値logρが10以上の場合に、絶縁性が高いことを示す「○」、10未満の場合に絶縁性が低いことを示す「×」とした。ここでも、Tiに対するBaのモル比は、結晶粒子の外側、すなわち、粒界近傍の値である。
Figure 2020150035
表2に示す試料番号21〜33の試料は、実施例1で説明した本発明の要件を満たす試料である。また、試料番号に**が付されていない試料は、条件式(1)の関係を満たす試料であり、**が付されている試料は、条件式(1)の関係を満たしていない試料である。
表2に示すように、条件式(1)の関係を満たす試料番号22〜25、27、28、31、32の試料の絶縁性判定結果は「○」であり、絶縁性が高いことが分かった。一方、条件式(1)の関係を満たしていない試料番号21、26、29、30、33の試料の比抵抗は低く、絶縁性が低いことが分かった。
誘電体層において、添加物であるMg、Mn、Al、およびCrの中から選ばれる少なくとも1種が固溶することにより、セラミックに耐還元性が付与される。しかしながら、上記少なくとも1種の合計量mが条件式(1)の下限値を下回る場合には固溶量が不十分なため、セラミックが還元されて比抵抗が低下したと考えられる。
また、上記少なくとも1種の合計量mが条件式(1)の上限値を上回る場合には、上記少なくとも1種の元素が偏析し、比抵抗が低下するものと考えられる。
なお、結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比が低いほど、条件式(1)で規定されるmの上限値が低くなるが、これは、Tiに対するBaのモル比低いほど、上記少なくとも1種が固溶しにくくなり、偏析が生じやすくなるからであると考えられる。
(実施例3)
実施例3でも、上述した実施例1と同様の方法により、積層セラミックコンデンサを作製した。結晶粒子にはVが含まれている。ここでは、結晶粒子に含まれるTi、ZrおよびHfの合計を100モル部としたときのVの含有量を変更して、積層セラミックコンデンサの高温負荷試験による寿命特性を測定した。
なお、実施例2と同様に、副成分であるZrおよびHfは、結晶粒子に必ず含まれている必要はない。
(高温負荷試験)
85℃で6.3Vの直流電圧を2000時間印加して絶縁抵抗の経時劣化を観察する高温負荷試験を行い、絶縁抵抗が0.1MΩ以下になったものを故障と判定した。高温負荷試験は、20個の積層セラミックコンデンサに対して行い、故障と判定された個数を調べた。ここでは、20個のうち、1個も故障が発生しなかった場合の寿命特性判定結果を「○」、1個以上の故障が発生した場合の寿命特性判定結果を「×」とした。
Ti、ZrおよびHfの合計を100モル部としたときのVの含有モル部、高温負荷試験で故障と判定された数、および、寿命特性判定結果を表3に示す。表3に示す試料番号41〜47の試料は、実施例1で説明した本発明の要件を満たす試料である。
Figure 2020150035
表3に示すように、Ti、ZrおよびHfの合計を100モル部としたときのVの含有量が0.01モル部以上0.5モル部以下であり、試料番号に**が付されていない試料番号43〜46の試料では、高温負荷試験で故障と判定された数が0となった。
一方、試料番号に**が付されている試料、すなわち、誘電体層にVが含まれていない試料番号41の試料、Vの含有量が0.01モル部未満である試料番号42の試料、および、Vの含有量が0.5モル部より多い試料番号47の試料では、高温負荷試験で故障と判定された数が4個以上となった。
すなわち、結晶粒子に含まれるTi、ZrおよびHfの合計を100モル部としたときのVの含有量が0.01モル部以上0.5モル部以下である積層セラミックコンデンサは、高温負荷寿命特性が向上することが分かった。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
10 積層セラミックコンデンサ
11 セラミック素体
12 誘電体層
13a 第1の内部電極
13b 第2の内部電極
14a 第1の外部電極
14b 第2の外部電極
15a セラミック素体の第1の端面
15b セラミック素体の第2の端面
16a セラミック素体の第1の主面
16b セラミック素体の第2の主面
17a セラミック素体の第1の側面
17b セラミック素体の第2の側面
121 外層誘電体層
122 内層誘電体層

Claims (5)

  1. 積層された複数の誘電体層と複数の内部電極とを含み、積層方向において相対する第1の主面および第2の主面と、前記積層方向と直交する幅方向において相対する第1の側面および第2の側面と、前記積層方向および前記幅方向と直交する長さ方向において相対する第1の端面および第2の端面とを有するセラミック素体と、
    前記内部電極と電気的に接続され、前記セラミック素体の前記第1の端面および前記第2の端面にそれぞれ設けられた外部電極と、
    を備え、
    前記誘電体層は、BaおよびTiを含有し、かつ、ペロブスカイト型構造を有する結晶粒子を複数含んでおり、
    前記結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比は、前記結晶粒子の外側と比べて中心部の方が高く、前記結晶粒子の外側における前記モル比は0.92以上、前記結晶粒子の中心部における前記モル比は0.98以下であり、
    前記結晶粒子の粒径D50は90nm以下であることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記結晶粒子は、コア部と、前記コア部を取り囲むシェル部とからなるコアシェル構造を有しており、
    前記結晶粒子に含まれるTiに対するBaのモル比は、前記シェル部と比べて前記コア部の方が高いことを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記結晶粒子は、CaおよびSrのうちの少なくとも一方をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  4. 前記結晶粒子は、Mg、Mn、Al、およびCrの中から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでおり、
    前記結晶粒子に含まれるTi、ZrおよびHfの合計量を100モル部としたときのBaの含有量をkモル部、前記少なくとも1種の合計量をmモル部とすると、
    (1−k/100)×10≦m≦(k/100−0.8)×25
    の関係が成り立つことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
  5. 前記結晶粒子は、Vをさらに含んでおり、
    前記結晶粒子に含まれるTi、ZrおよびHfの合計を100モル部としたときのVの含有量は、0.01モル部以上0.5モル部以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
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