JP2020149817A - 電気化学素子用セパレータ - Google Patents

電気化学素子用セパレータ Download PDF

Info

Publication number
JP2020149817A
JP2020149817A JP2019044842A JP2019044842A JP2020149817A JP 2020149817 A JP2020149817 A JP 2020149817A JP 2019044842 A JP2019044842 A JP 2019044842A JP 2019044842 A JP2019044842 A JP 2019044842A JP 2020149817 A JP2020149817 A JP 2020149817A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separator
fiber
fibers
electrochemical element
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019044842A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7313163B2 (ja
Inventor
翔平 諸星
Shohei Morohoshi
翔平 諸星
村田 修一
Shuichi Murata
修一 村田
明彦 川野
Akihiko Kawano
明彦 川野
隆 多羅尾
Takashi Tarao
隆 多羅尾
田中 政尚
Masanao Tanaka
政尚 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Vilene Co Ltd
Original Assignee
Japan Vilene Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Vilene Co Ltd filed Critical Japan Vilene Co Ltd
Priority to JP2019044842A priority Critical patent/JP7313163B2/ja
Publication of JP2020149817A publication Critical patent/JP2020149817A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7313163B2 publication Critical patent/JP7313163B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/13Energy storage using capacitors

Landscapes

  • Cell Separators (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】電解液保持性が優れ、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくい電気化学素子用セパレータを提供すること。【解決手段】本発明の電気化学素子用セパレータは、引張り強さが4.5cN/dtex以上のポリオレフィン系高強度繊維を含み、前記電気化学素子用セパレータの147kPa荷重時の空隙率が70%以上100%未満であり、空隙係数が17.0以上である。これにより、電気化学素子用セパレータが多くの電解液を保持でき、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくい。【選択図】なし

Description

本発明は、電気化学素子用セパレータに関する。
近年、電子機器の小型軽量化に伴って、その電源である電気化学素子の占めるスペースも狭くなっているにもかかわらず、電気化学素子には従来と同程度以上の性能が必要とされるため、必然的にセパレータの占める体積が小さくならざるを得ない。
例えば、このような要求を満足するセパレータとして、本願出願人は「少なくとも繊維表面の一部に融着成分を備えた、引張り強さが4.5cN/dtex以上の複合高強度ポリプロピレン系繊維を60mass%以上(100mass%を除く)と、繊維径が4μm以下の極細繊維を40mass%以下(0mass%を除く)とから構成され、前記複合高強度ポリプロピレン系繊維が融着した不織布からなり、平均5%モジュラス強度が30〜100N/5cm幅であることを特徴とする電池用セパレータ。」(特許文献1)を提案した。また、特許文献1には、前記電池用セパレータの空隙率が45%〜70%であることが好ましいことが開示されている。
特開2004−335159号公報
しかし、特許文献1に記載のセパレータは、確かに電子機器の小型軽量化に寄与できる、性能に優れたセパレータであったが、電気化学素子が充放電する際に電気化学素子の電極が膨張し、セパレータに圧力がかかることでセパレータの電解液保持量が減少し、電気化学素子の抵抗上昇が起こることがあった。
本発明はこのような状況下においてなされたものであり、電解液保持性が優れ、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくい電気化学素子用セパレータを提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「引張り強さが4.5cN/dtex以上のポリオレフィン系高強度繊維を含む不織布から構成された電気化学素子用セパレータであり、前記電気化学素子用セパレータの147kPa荷重時の空隙率が70%以上100%未満であり、次の数式から算出される空隙係数(V)が17.0以上である、電気化学素子用セパレータ。
V=P/D
ここで、Pは電気化学素子用セパレータの147kPa荷重時の空隙率(単位:%)、Dは電気化学素子用セパレータ構成繊維の平均繊維径(単位:μm)、をそれぞれ意味する。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「147kPa荷重時の空隙率が73%以上100%未満である、請求項1に記載の電気化学素子用セパレータ。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「繊維径が4.0μm以下の極細繊維を含む、請求項1又は2に記載の電気化学素子用セパレータ。」である。
本発明の請求項4にかかる発明は、「繊維の融着のみによって形態を保持している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータ。」である。
本発明の請求項5にかかる発明は、「目付が35g/m以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータ。」である。
本発明の請求項6にかかる発明は、「147kPa荷重時の厚さが0.19mm未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータ。」である。
本発明の請求項7にかかる発明は、「平均孔径が20μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータ。」である。
本発明の請求項8にかかる発明は、「空隙維持率が92%以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータ。」である。
本発明の請求項9にかかる発明は、「加圧せずに製造した、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータの製造方法。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、147kPa荷重時の空隙率が70%以上100%未満であり、かつ、空隙係数が17.0以上であると、電気化学素子用セパレータの電解液保持性が優れ、電気化学素子が充放電する際に電極が膨張し、セパレータに圧力がかかっても電気化学素子用セパレータが多くの電解液を保持でき、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくいことを見出した。これは、空隙率が高いことによって電気化学素子用セパレータにおける電解液を保持する空間が大きく、かつ電気化学素子用セパレータ構成繊維の平均繊維径が細いことによって電解液を保持する繊維の表面積が広く、セパレータに圧力がかかっても繊維表面に多くの電解液を保持できるためと考えられる。また、引張り強さが4.5cN/dtex以上のポリオレフィン系高強度繊維を含むことで、引張り強さが大きい高強度繊維は硬い繊維となる傾向があり、電気化学素子用セパレータに圧力がかかっても硬いポリオレフィン系高強度繊維が電気化学素子用セパレータの形状を支える骨格の役割を担い、電気化学素子用セパレータに圧力がかかっても電気化学素子用セパレータの空隙が潰れにくいという点からも、電気化学素子用セパレータの電解液保持性が優れ、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくい。
本発明の請求項2にかかる発明は、電気化学素子用セパレータの147kPa荷重時の空隙率が73%以上であることによって、電気化学素子用セパレータの空隙量が多く、電解液を多く保持できる。そのため、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくい。
本発明の請求項3にかかる発明は、電気化学素子用セパレータに繊維径が4.0μm以下の極細繊維が含まれることから、電解液を保持する繊維の表面積が広く、電気化学素子用セパレータが多くの電解液を保持できる。そのため、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくい。また、電気化学素子用セパレータが緻密な構造になることから、電極から脱落した活物質粉がセパレータの内部空隙に侵入することにより起こる微小短絡が起こりにくく耐ショート性に優れる。
本発明の請求項4にかかる発明は、電気化学素子用セパレータが繊維の融着のみによって形態を保持しているため、電気化学素子用セパレータに含まれる電解液が均一に保持される。つまり、繊維が絡合していると、繊維分布にばらつきが生じ、空隙の大きさにばらつきが生じる結果、電気化学素子用セパレータ中における電解液が偏在し、電解液量の少ない箇所が発生して電気化学素子の抵抗上昇の原因になるが、繊維の融着のみによって形態を保持していると、繊維分布にばらつきが生じにくく、空隙の大きさが揃っている結果、電解液が均一に保持される。そのため、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくい。
本発明の請求項5にかかる発明は、電気化学素子用セパレータの目付が35g/m以下であることによって、電気化学素子内の抵抗になる成分が少ない電気化学素子用セパレータとなり、イオン透過性に優れることから、抵抗が小さい電気化学素子が実現できる。
本発明の請求項6にかかる発明は、電気化学素子用セパレータの147kPa荷重時の厚さが0.19mm未満であることによって、電気化学素子用セパレータが比較的薄いことにより、抵抗が小さい電気化学素子が実現できる。
本発明の請求項7にかかる発明は、電気化学素子用セパレータの平均孔径が20μm以下であることによって、電気化学素子用セパレータが緻密な構造となり、耐ショート性に優れる。
本発明の請求項8にかかる発明は、電気化学素子用セパレータの空隙維持率が92%以上であることによって、電気化学素子の充放電時に電気化学素子用セパレータに圧力がかかっても電気化学素子用セパレータの空隙が潰れにくく空隙量を維持することができる。そのため、電気化学素子用セパレータの電解液保持性が優れ、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくい。
本発明の請求項9にかかる発明は、本発明の電気化学素子用セパレータを製造する際、加圧せずに製造することで、空隙率が高く、かつ繊維の表面積が広く、電解液を十分に保持できる電気化学素子用セパレータを製造できる方法である。そのため、上記製造方法により電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくい電気化学素子用セパレータが実現できる。
本発明の電気化学素子用セパレータ(以下、単に「セパレータ」と表記することがある)は、電気化学素子の充放電時にセパレータに圧力がかかってもセパレータの空隙が潰れにくく空隙量を維持することができ、セパレータの電解液保持性が優れるように、引張り強さが4.5cN/dtex以上のポリオレフィン系高強度繊維を含む不織布から構成されている。引張り強さが4.5cN/dtex以上のポリオレフィン系高強度繊維を含むことでセパレータの空隙が潰れにくくなる理由としては、引張り強さが大きいポリオレフィン系高強度繊維は繊維を構成するポリオレフィン系樹脂の分子量が大きく、硬い繊維となる傾向があり、セパレータに圧力がかかっても硬いポリオレフィン系高強度繊維がセパレータの形状を支える骨格の役割を担うためである。前記ポリオレフィン系高強度繊維の引張り強さが高ければ高いほど、セパレータの空隙がより潰れにくくなることから、5.0N/dtex以上がより好ましく、5.5cN/dtex以上が更に好ましく、6.0cN/dtex以上が更に好ましい。引張り強さの上限は特に限定するものではないが、60cN/dtex程度が適当である。この「引張り強さ」は、JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法):2010、8.7.1項に規定されている方法により測定される値を意味する。
前記ポリオレフィン系高強度繊維を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン共重合体など)、ポリメチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、メチルペンテン共重合体など)、或いはこれら樹脂のモノマーを共重合成分とする共重合体などを挙げることができる。
前記ポリオレフィン系高強度繊維は、単一の樹脂成分から構成されていてもよいし、二種類以上の樹脂成分から構成されていてもよい。本発明のセパレータは後述のように、繊維の融着のみによって形態を保持しているのが好ましいが、単一樹脂成分のポリオレフィン系高強度繊維を融着させた場合、融着によってその繊維形態を維持することができず、フィルムに近い形態になることから、セパレータの電解液保持性などのポリオレフィン系高強度繊維の機能を充分に発揮できない傾向があるのに対して、融点の異なる二種類以上の樹脂成分からなり、低融点の樹脂成分(以下、「低融点成分」と表記することがある)が繊維表面の一部又は全部を占めるポリオレフィン系高強度繊維であると、低融点成分が融着してもその繊維形態を維持することができるため、ポリオレフィン系高強度繊維がセパレータの形状を支える骨格の役割を担うことからセパレータが圧力によって潰れにくくセパレータの電解液保持性が優れ、また、ポリオレフィン系高強度繊維とは別に融着繊維を含み、融着繊維で融着して不織布形態を維持する必要がなく、ポリオレフィン系高強度繊維がセパレータ全体に均一に分散した状態にあることができるため、セパレータ全体にわたって空隙量を均一に維持することができる。そのため、低融点成分が繊維表面の一部又は全部を占めるポリオレフィン系高強度繊維が好適である。
ポリオレフィン系高強度繊維が融点の異なる二種類の樹脂成分からなる場合、繊維表面における低融点成分の占める割合が高ければ高いほど、融着に関与することができる低融点成分が多く、繊維同士の融着点が多くなることから機械的強度の優れるセパレータであることができるため、低融点成分は繊維表面の50%以上を占めている(両端部を除く)ことが好ましく、70%以上を占めている(両端部を除く)ことがより好ましく、90%以上を占めている(両端部を除く)ことが更に好ましく、繊維表面全体を占めている(両端部を除く)ことが最も好ましい。そのため、ポリオレフィン系高強度繊維の横断面における樹脂成分の配置状態としては、芯鞘型、偏芯型、海島型であることが好ましい。
なお、ポリオレフィン系高強度繊維が融点の異なる二種類の樹脂成分からなる場合、低融点成分は他方の成分(以下、「高融点成分」と表記することがある)に影響を与えず、高融点成分によって繊維形態を維持することができるように、低融点成分は高融点成分よりも10℃以上融点が低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましい。例えば、高融点成分と低融点成分の組合せとして、ポリメチルペンテン/ポリプロピレン、ポリメチルペンテン/プロピレン系共重合体、ポリメチルペンテン/ポリエチレン、ポリメチルペンテン/エチレン系共重合体、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/エチレン系共重合体、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン、などを挙げることができる。これらの中でも引張り強さが強く、剛性が高いため、セパレータの空隙量を確保しやすい、ポリプロピレン/ポリエチレンからなるポリオレフィン系高強度繊維が好ましく、特に、ポリプロピレン/高密度ポリエチレンからなるポリオレフィン系高強度繊維が好ましい。
このように、高強度繊維が融点の異なる二種類の樹脂成分からなる場合、高融点成分によって、圧力によっても変形しにくいとともに、低融点成分の融着によって、機械的強度の優れるセパレータであるように、低融点成分と高融点成分との体積比率は60:40〜10:90であるのが好ましく、55:45〜20:80であるのがより好ましく、50:50〜30:70であるのが更に好ましい。
また、前記ポリオレフィン系高強度繊維は電気化学素子の充放電時にセパレータに圧力がかかってもセパレータの空隙が潰れにくく空隙量を維持することができるように、ヤング率が30cN/dtex以上であるのが好ましく、40cN/dtex以上であるのがより好ましく、45cN/dtex以上であるのが更に好ましい。この「ヤング率」は、JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法):2010、8.11項に規定されている方法により測定した初期引張抵抗度から算出した見掛ヤング率の値を意味する。なお、初期引張抵抗度は定速緊張形試験機によって測定した値をいう。
本発明のポリオレフィン系高強度繊維の繊維径は特に限定するものではないが、セパレータが圧力によって潰れにくく、空隙量を維持できるように、4.0μm以上であるのが好ましく、4.5μm以上であるのがより好ましく、5.0μm以上であるのが更に好ましい。一方で、ポリオレフィン系高強度繊維の繊維径が大き過ぎると、電解液を保持する繊維の表面積が小さくなりセパレータの電解液保持性が劣るおそれがあり、また繊維が均一に分散しにくくなる傾向があり、電解液の分布にバラツキが生じやすくなる傾向があるため、15μm以下であるのが好ましく、13μm以下であるのがより好ましく、11μm以下であるのが更に好ましい。この「繊維径」は、繊維の横断面形状が円形である場合にはその直径をいい、繊維の横断面形状が非円形である場合には、断面積と同じ面積を有する円の直径をいう。
本発明のポリオレフィン系高強度繊維の繊維長は特に限定するものではないが、繊維長が短いほど繊維の自由度が高く、均一に分散することができ、地合いがより優れ、結果として電解液を均一に保持できるセパレータであることができるため、0.1〜20mm(より好ましくは0.5〜15mm、更に好ましくは1〜10mm、更に好ましくは3〜8mm)であるのが好ましい。この「繊維長」は、JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法):2010、8.4項のB法(補正ステープルダイヤグラム法)に規定されている方法により測定される長さを意味する。
このような本発明で用いるポリオレフィン系高強度繊維は、例えば、特開平11−350283号公報又は特開2002−180330号公報に記載されているように、未延伸糸を加圧飽和水蒸気中で延伸することにより得ることができる。
なお、本発明のセパレータを構成する不織布においては、ポリオレフィン系高強度繊維として、繊維径、繊維長、樹脂成分数、引張り強さ、樹脂組成、ヤング率など1点以上が異なる2種類以上のポリオレフィン系高強度繊維を含んでいても良い。
このようなポリオレフィン系高強度繊維は、セパレータを構成する不織布中、50mass%以上の量で含まれていれば前述のような効果を発揮しやすいことから好ましく、60mass%以上の量で含まれていることがより好ましく、70mass%以上の量で含まれていることが更に好ましい。なお、後述の通り、セパレータの電解液保持性が優れているように、極細繊維を含んでいるのが好ましいため、95mass%以下の量で含まれていることが好ましい。
本発明のセパレータは、上述のようなポリオレフィン系高強度繊維に加えて、繊維径が4.0μm以下の極細繊維を更に含んでいるのが好ましい。このような極細繊維を含んでいることによって電解液を保持する繊維の表面積が広く、セパレータが電解液を十分に保持でき、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくい。また、セパレータが緻密な構造になることから、電極から脱落した活物質粉がセパレータの内部空隙に侵入することにより起こる微小短絡が起こりにくく耐ショート性に優れる。
この極細繊維は繊維径が小さければ小さい程、電解液を保持する繊維の表面積が広く、セパレータがより多くの電解液を保持でき、また、耐ショート性に優れることから、3.0μm以下であるのが好ましく、2.1μm以下であるのがより好ましい。極細繊維の繊維径の下限は特に限定するものではないが、セパレータの機械的強度が優れるように、0.01μm以上であるのが好ましく、0.1μm以上であるのがより好ましい。
このような極細繊維は、例えば、2種類以上の樹脂成分からなり、外力によって分割可能な外力型分割繊維を分割することによって、又は2種類以上の樹脂成分からなり、化学的作用によって分割可能な化学型分割繊維を分割することによって得ることができる。前記外力型分割繊維を分割できる外力としては、例えば、水流などの流体流、カレンダー、リファイナー、パルパー、ミキサー、ビーターなどを挙げることができる。他方、化学的処理としては、例えば、溶剤による樹脂成分の除去や、溶剤による樹脂成分の膨潤などがある。これらの中でも、化学型分割繊維を分割して得た極細繊維は、長さ方向における繊維径がほぼ同じ、かつ複数の極細繊維間においても繊維径がほぼ同じで、セパレータ中において均一に分散して、大きさの揃った空隙を形成し、電解液の分布が均一となりやすいため好適である。
好適である化学型分割繊維としては、2種類以上の樹脂成分からなり、繊維横断面における配置状態が海島状の繊維を使用できる。このような海島状の繊維は混合紡糸法又は複合紡糸法によって製造することができるが、複合紡糸法によって製造した海島状の繊維の海成分を除去して発生させた島成分からなる個々の極細繊維は、長さ方向における繊維径がほぼ同じ、かつ複数の極細繊維間においても繊維径がほぼ同じで、大きさの揃った空隙を形成しやすく、電解液の分布が均一となりやすいため好適である。後述の通り、極細繊維はポリオレフィン系樹脂及び/又はナイロン樹脂を含んでいるのが好ましいため、化学型分割繊維の島成分はポリオレフィン系樹脂及び/又はナイロン樹脂を含んでいるのが好ましい。特に、耐電解液性に優れるように、ポリオレフィン系樹脂成分のみからなる島成分を有する化学型分割繊維が好ましい。
この極細繊維を構成する樹脂成分は特に限定するものではないが、耐電解液性に優れているように、ポリオレフィン系樹脂及び/又はナイロン樹脂であるのが好ましい。つまり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂成分、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのナイロン系樹脂成分の、1種類又は2種類以上から構成されているのが好ましい。これらの中でも、耐電解液性に優れているポリオレフィン系樹脂を含んでいるのが好ましく、特に、ポリプロピレンは比較的剛性が高く、圧力によって潰れにくく、セパレータの空隙を維持しやすいため好適である。
なお、極細繊維は1種類の樹脂成分から構成されている必要はなく、融点の相違する2種類以上の樹脂成分から構成されていても良い。融点の相違(好ましい融点差は10℃以上、より好ましくは20℃以上)する2種類以上の樹脂成分から構成された極細繊維が、低融点の樹脂成分によって融着していると、極細繊維のずれを防止し、極細繊維の分散状態を維持でき、電解液の均一保持性に優れているため好適である。例えば、極細繊維はポリプロピレンとポリエチレンから構成することができる。
なお、極細繊維は機械的強度に優れ、圧力によっても潰れにくく、セパレータの空隙を維持しやすいように、延伸した状態にあるのが好ましい。この「延伸した状態」とは、繊維形成後に機械的に延伸されていることを意味し、メルトブロー法により形成された繊維は加熱エアによって延伸されているものの、機械的に延伸されていないため、延伸した状態にはない。なお、外力型分割繊維や化学型分割繊維が分割前の段階で機械的に延伸されていれば、これら分割繊維から発生した極細繊維は延伸した状態にある。
本発明の極細繊維の繊維長は特に限定するものではないが、極細繊維が均一に分散して、大きさの揃った空隙を形成できるように、0.1〜10mmであるのが好ましく、0.5〜8mmであるのがより好ましく、1〜5mmであるのが更に好ましい。
なお、極細繊維の束が存在すると、極細繊維が均一に分散することができず、大きさの揃った空隙を形成できなくなる傾向があるため、極細繊維は束の状態で存在せず、個々の極細繊維が分散した状態にあるのが好ましい。
このような極細繊維はセパレータがより多くの電解液を保持できるように、セパレータを構成する不織布中、5mass%以上含まれているのが好ましく、20mass%以上含まれているのがより好ましく、25mass%以上含まれているのが更に好ましい。一方で、極細繊維が多過ぎると、セパレータにおけるポリオレフィン系高強度繊維量が少なくなり、セパレータの空隙が圧力によって潰れやすく、電解液保持性が劣るおそれがあることから、50mass%以下であるのが好ましく、40mass%以下であるのがより好ましく、30mass%以下であるのが更に好ましい。
本発明のセパレータは上述のようなポリオレフィン系高強度繊維を含み、好ましくは極細繊維を含むものであるが、ポリオレフィン系高強度繊維が融着していないような場合には、セパレータに形態安定性を付与するために、融着繊維を含み、融着しているのが好ましい。
この融着繊維は融着する際に、融着繊維以外の繊維(例えば、ポリオレフィン系高強度繊維、極細繊維など)に悪影響を及ぼさないように、融着繊維以外の繊維を構成する樹脂成分のいずれの融点よりも10℃以上低い(より好ましくは20℃以上低い)融点を有する低融点成分を繊維表面に含んでいるのが好ましい。例えば、融着繊維以外の繊維として、ポリプロピレン樹脂からなるポリオレフィン系高強度繊維と、ポリプロピレン樹脂からなる極細繊維とを含んでいる場合には、融着繊維の低融点成分として、ポリエチレン系樹脂[例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体(エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)など]を含んでいるのが好ましい。
この融着繊維は低融点成分のみから構成されていても良いし、低融点成分に加えて低融点成分よりも融点の高い高融点成分を含んでいても良い。後者のように低融点成分及び高融点成分を含んでいると、その繊維形態を維持することができるため、融着成分がセパレータの形状を支える骨格の役割を担うことからセパレータが圧力によってより潰れにくくなるため、好適である。この場合の横断面における配置状態としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型であることができる。また、高融点成分は低融点成分の融点よりも10℃以上高い樹脂からなるのが好ましく、20℃以上高い樹脂からなるのが好ましい。なお、融着繊維は極細繊維と同様の樹脂成分から構成することができ、耐電解液性に優れるポリオレフィン系樹脂から構成されているのが好ましい。
この融着繊維の繊維径は特に限定するものではないが、セパレータに形態安定性を付与できるように、5μm以上であるのが好ましく、6μm以上であるのがより好ましく、7μm以上であるのが更に好ましく、8μm以上であるのが更に好ましい。一方で、融着繊維の繊維径が大き過ぎると、電解液を保持する繊維の表面積が小さくなりセパレータの電解液保持性が劣る傾向があり、また繊維が均一に分散しにくくなる傾向があることから、30μm以下であるのが好ましく、22μm以下であるのがより好ましく、18μm以下であるのが更に好ましく、13μm以下であるのが更に好ましい。
また、融着繊維の繊維長は特に限定するものではないが、繊維長が短いほど繊維の自由度が高く、均一に分散することができ、より地合いの優れ、結果として電解液が均一に分散でき、電解液保持性が優れるセパレータであることができるため、0.1〜25mm(より好ましくは1〜20mm、更に好ましくは3〜15mm、更に好ましくは5〜10mm)であるのが好ましい。
このような融着繊維を含む場合には、セパレータに形態安定性を付与できるように、セパレータを構成する不織布中、10mass%以上含まれているのが好ましく、20mass%以上含まれているのがより好ましい。一方で、融着繊維が多過ぎると、セパレータにおけるポリオレフィン系高強度繊維量が少なくなり、セパレータの空隙が圧力によって潰れやすく、電解液保持性が劣るおそれがあることから、60mass%以下が現実的である。
本発明のセパレータは、147kPa荷重時の空隙率が70%以上100%未満であり、かつ、空隙係数が17.0以上であると、セパレータの電解液保持性が優れ、電気化学素子が充放電する際に電極が膨張し、セパレータに圧力がかかってもセパレータが多くの電解液を保持でき、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくいことを見出した。この理由は完全に明らかになっていないが、セパレータの空隙率が高いことにより、セパレータにおける電解液を保持する空間が大きくなり、かつ、セパレータ構成繊維の平均繊維径が細いことにより、セパレータの比表面積が広くセパレータに圧力がかかっても繊維表面に多くの電解液を保持できるためと考えられる。
本発明のセパレータの147kPa荷重時の空隙率は、高ければ高いほど、セパレータがより多くの電解液を保持できることから、73%以上がより好ましく、76%以上が更に好ましい。一方、セパレータの空隙率が高すぎると、セパレータの形状を支える繊維の量が少なくなることからセパレータに圧力がかかった際にセパレータの空隙が潰れやすく、セパレータの電解液保持性が劣るおそれがあり、また電極のデンドライトやバリなどがセパレータを突き抜けることにより起こるショートが起こりやすくなり、セパレータの耐ショート性が劣るおそれがあることから、85%以下が好ましく、81%以下がより好ましい。この「147kPa荷重時の空隙率(P)」(単位:%)は次の数式から得られる値をいう。
Figure 2020149817
ここで、Frはセパレータを構成するn成分の充填率(単位:%)を示し、次の数式から得られる値をいう。
Figure 2020149817
ここで、Mはセパレータの目付(単位:g/cm)、Tは147kPa荷重時のセパレータの厚さ(単位:cm)、Prはセパレータにおけるn成分の存在質量比率、SGはn成分の比重(単位:g/cm)をそれぞれ意味する。
なお、「目付」は、JIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定方法):2011に規定する方法に基づいて得られる坪量をいう。また、「厚さ」は、外側マイクロメーターによる測定値をいう。
本発明のセパレータの空隙係数は、高ければ高いほど、上述の理由によりセパレータの電解液保持性が優れることから、18.0以上がより好ましく、18.5以上が更に好ましい。一方、セパレータの空隙係数が高すぎると、セパレータの空隙率が高すぎる及び/又はセパレータ構成繊維の平均繊維径が小さすぎることにより、電極のデンドライトやバリなどがセパレータを突き抜けることにより起こるショートが起こりやすくなり、セパレータの耐ショート性が劣るおそれがあることから、空隙係数の上限は85.0以下が好ましく、60.0以下がより好ましく、40.0以下が更に好ましい。この「空隙係数(V)」は次の数式から得られる値をいう。
Figure 2020149817
ここで、Pはセパレータの147kPa荷重時の空隙率(単位:%)、Dはセパレータ構成繊維の平均繊維径(単位:μm)をそれぞれ意味する。
また、セパレータ構成繊維の「平均繊維径(D)」は、次の数式から算出される値をいう。
Figure 2020149817
ここで、Xは各繊維のセパレータにおける質量百分率(単位:%)、Dは各繊維の平均繊維径(単位:μm)、ρは各繊維を構成する樹脂の比重、ρAVは次の数式から算出される、繊維を構成する各樹脂の平均比重を、それぞれ意味する。なお、「各繊維の平均繊維径」は、100本の各繊維の繊維径の算術平均値をいう。
Figure 2020149817
例えば、平均繊維径がD(μm)で、樹脂比重がρのポリオレフィン系高強度繊維をXmass%と、平均繊維径がD(μm)で、樹脂比重がρの極細繊維をXmass%と、平均繊維径がD(μm)で、樹脂比重がρの融着繊維をXmass%とが、セパレータ中に存在している場合、セパレータ構成繊維の平均繊維径(D)は、次の数式から算出される値をいう。
Figure 2020149817
なお、平均比重であるρAVは次の数式から算出される値である。
Figure 2020149817
本発明のセパレータ構成繊維の平均繊維径は、上述の空隙係数を満たしている限り、特に限定するものではないが、5.0μm以下であるのが好ましい。セパレータ構成繊維の平均繊維径が5.0μm以下であると、セパレータが多くの電解液を保持でき、また、これら繊維が均一に分散することでセパレータの孔径が小さくなり、微小短絡が起こりにくく耐ショート性に優れるためである。セパレータ構成繊維のより好ましい平均繊維径は4.5μm以下であり、更に好ましい平均繊維径は4.1μm以下である。なお、セパレータ構成繊維の平均繊維径の下限は特に限定するものではないが、電極のデンドライトやバリなどによってセパレータを突き抜けることにより起こるショートが起こりにくく耐ショート性に優れ、またセパレータの機械的強度が優れるように、1.0μm以上であるのが好ましく、2.0μm以上であるのがより好ましい。
本発明のセパレータは、繊維の融着のみによって形態を保持しているのが好ましい。セパレータが融着のみによって形態を保持していることによって地合いが優れ、空隙が均一であることによって、電解液が均一に分布することができる結果、電気化学素子の抵抗上昇が起こりにくいためである。例えば、融着以外に絡合によっても繊維同士が固定されていると、繊維同士を絡合させるための作用(例えば、水流などの流体流、ニードルなど)によって、繊維の再配列が生じ、空隙にバラツキが生じやすくなる傾向があるが、融着のみによって固定されていると、繊維の再配列が生じず、空隙が均一であるため、前記作用に優れている。
本発明のセパレータは、セパレータの厚さ方向における電解液の偏在が生じないように、一層構造からなるのが好ましい。この「一層構造」とは、同一の繊維配合から構成されていることを意味する。
本発明のセパレータの目付は、低目付であることで電気化学素子内の抵抗になる成分の質量が少ないセパレータとなり、セパレータのイオン透過性に優れ、抵抗が小さい電気化学素子が実現できるように、35g/m以下であるのが好ましく、33g/m以下であるのがより好ましく、30g/m以下であるのが更に好ましい。目付の下限は特に限定するものではないが、機械的強度に優れているように、20g/m以上であるのが好ましい。
本発明のセパレータの147kPa荷重時の厚さは、抵抗が小さい電気化学素子が実現できるように、0.22mm以下であるのが好ましく、0.19mm未満であるのがより好ましく、0.17mm以下であるのが更に好ましく、0.16mm以下であるのが更に好ましい。厚さの下限は特に限定するものではないが、機械的強度に優れているように、0.08mm以上であるのが好ましい。
本発明のセパレータは、地合いが均一であるように、また、微小短絡が起こりにくく耐ショート性に優れるように、平均孔径が20μm以下であるのが好ましく、19μm以下であるのがより好ましく、17μm以下であるのが更に好ましい。また、最大孔径は特に限定するものではないが、40μm以下であるのが好ましく、37μm以下であるのがより好ましく、35μm以下であるのが更に好ましい。この「平均孔径」、「最大孔径」は、ポロメータ〔Polometer,コールター(Coulter)社製〕を用いてバブルポイント法により測定される値をいう。
本発明のセパレータは、電気化学素子の充放電時にセパレータに圧力がかかってもセパレータが潰れにくく空隙量を維持することができ、セパレータの電解液保持性が優れるように、空隙維持率が92%以上であるのが好ましく、93%以上であるのがより好ましく、94%以上であるのが更に好ましい。
なお、空隙維持率については、次の数式から算出される値をいう。
Figure 2020149817
ここで、Pはセパレータの空隙維持率(%)、P368kPaはセパレータの368kPa荷重時の空隙率(%)、Pはセパレータの147kPa荷重時の空隙率(%)をそれぞれ意味する。
なお、セパレータの368kPa荷重時の空隙率は、次のようにして求めることができる。まず、368kPa荷重時の厚さを測定する。次に、147kPa荷重時の厚さ(T)の代わりに368kPa荷重時の厚さを上述の数式(2)に代入してセパレータを構成するn成分の充填率(Fr)を求める。最後に、(2)で求めたセパレータを構成するn成分の充填率を上述の数式(1)に代入することにより、セパレータの368kPa荷重時の空隙率を求めることができる。
また、147kPa荷重時の厚さと368kPa荷重時の厚さで評価している理由としては、セパレータを電気化学素子に組み込んだ際にセパレータにかかる荷重が約147kPaであり、電気化学素子の充放電時に電極が膨張し、セパレータにより圧力がかかった際に、セパレータにかかる荷重が約368kPaであるためである。
本発明のセパレータは、例えば次のようにして製造することができる。
まず、上述のようなポリオレフィン系高強度繊維と、好ましくは極細繊維、必要により融着繊維などのその他の繊維を用意する。
次いで、上記繊維を配合して繊維ウエブを形成する。この繊維ウエブの形成方法は、例えば、乾式法(例えば、カード法、エアレイ法など)や湿式法により形成することができる。これらの中でも繊維が均一に分散して電解液を均一に保持しやすい不織布(結果としてセパレータ)を製造しやすい湿式法により形成するのが好ましい。この湿式法としては、従来公知の方法、例えば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、又は長網・円網コンビネーション方式により形成できる。なお、二層以上を抄き合わせる場合には、一層構造のセパレータを製造できるように、同一の繊維配合からなる繊維ウエブを抄き合わせるのが好ましい。
次いで、この繊維ウエブを構成する繊維同士を結合して、本発明のセパレータを構成する不織布を得ることができる。好ましくは繊維ウエブを構成する繊維同士を融着のみによって結合する。このように融着のみによって結合すると、繊維ウエブの空隙が乱れないため、電解液が均一に分布し、内部抵抗の低い電気化学素子を製造できるセパレータを製造しやすい。この繊維ウエブを構成する繊維同士の融着は、コンベア等の支持体の下方から吸引して繊維ウエブを支持体と密着させた状態で、繊維ウエブに対して熱風を吹きつけ、十分な量の熱風を通過させる無圧下での熱処理であると、本発明の、空隙率が高いセパレータを製造しやすいため好適である。また、セパレータの製造時にカレンダーロール等による加圧をせずに製造すると、空隙率が高いセパレータを製造しやすいため好適である。なお、「加圧」とは、セパレータの製造時にカレンダーロール等によって繊維ウエブまたは不織布の厚さが薄くなり、元の厚さに戻らなくなる程度の圧力を掛ける処理のことをいい、熱風などの風を繊維ウエブまたは不織布に吹きつけるなど、繊維ウエブまたは不織布の厚さが変化しない、または厚さが薄くなっても元の厚さに戻る程度の圧力を繊維ウエブまたは不織布に掛ける処理は、「加圧」ではない。
本発明のセパレータが親水化処理を施されている場合には、続いて親水化処理を実施する。親水化方法としては、特に限定されるものではないが、例えばスルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合、界面活性剤処理、放電処理、親水性樹脂付与処理などが挙げられる。
本発明のセパレータは、例えば、一次電池(たとえばリチウム電池、マンガン電池、マグネシウム電池など)あるいは二次電池(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、亜鉛電池、レドックスフロー電池など)、キャパシタなどの電気化学素子用のセパレータとして水系、非水系問わずに使用でき、特にニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池のセパレータであるのが好ましい。また、セパレータの使用形態はセパレータを組み込む電気化学素子の形状によって異なるが、例えば、ラミネート型の電気化学素子には、電気化学素子の電極間に平板状のセパレータを挟んで用いることができ、円筒型の電気化学素子には、電気化学素子の電極間にセパレータを挟み、電極及びセパレータを巻回して用いることができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(ポリオレフィン系高強度複合融着繊維A)
ホモポリプロピレン(融点:168℃)を芯成分(高融点成分)とし、高密度ポリエチレン(融点:135℃)を鞘成分(低融点成分)とする、引張り強さが6.5cN/dtex、ヤング率が47cN/dtexのポリオレフィン系高強度複合融着繊維A(両端部を除いて高密度ポリエチレンが繊維表面を被覆、芯成分と鞘成分の体積比率=60:40、平均繊維径:10.5μm、繊維長:5mm、比重:0.92)を用意した。
(ポリオレフィン系高強度複合融着繊維B)
ホモポリプロピレン(融点:168℃)を芯成分(高融点成分)とし、高密度ポリエチレン(融点:135℃)を鞘成分(低融点成分)とする、引張り強さが6.0cN/dtex、ヤング率が57cN/dtexのポリオレフィン系高強度複合融着繊維B(両端部を除いて高密度ポリエチレンが繊維表面を被覆、芯成分と鞘成分の体積比率=50:50、平均繊維径:7.4μm、繊維長:6mm、比重:0.92)を用意した。
(ポリオレフィン系高強度複合融着繊維C)
ホモポリプロピレン(融点:168℃)を芯成分(高融点成分)とし、高密度ポリエチレン(融点:135℃)を鞘成分(低融点成分)とする、引張り強さが6.0cN/dtex、ヤング率が70cN/dtexのポリオレフィン系高強度複合融着繊維C(両端部を除いて高密度ポリエチレンが繊維表面を被覆、芯成分と鞘成分の体積比率=50:50、平均繊維径:5.3μm、繊維長:3mm、比重:0.92)を用意した。
(極細繊維A)
ポリエチレンテレフタレートからなる海成分中にポリプロピレンからなる島成分を含む、複合紡糸法により製造した海島型複合繊維を、陰イオン界面活性剤を添加した10mass%水酸化ナトリウム水溶液からなる浴(温度:95℃)中に120分間浸漬し、海島型複合繊維の海成分であるポリエチレンテレフタレートを抽出除去して、ポリプロピレン極細繊維(平均繊維径:2.1μm、融点:168℃、繊維長:3mm、横断面形状:円形、比重:0.91)を得た。このポリプロピレン極細繊維は、フィブリル化しておらず、延伸した状態にあり、しかも各繊維が繊維軸方向において実質的に同じ直径を有していた。
(極細繊維B)
ポリエチレンテレフタレートからなる海成分中にポリプロピレンからなる島成分を含む、複合紡糸法により製造した海島型複合繊維を、陰イオン界面活性剤を添加した10mass%水酸化ナトリウム水溶液からなる浴(温度:95℃)中に120分間浸漬し、海島型複合繊維の海成分であるポリエチレンテレフタレートを抽出除去して、ポリプロピレン極細繊維(平均繊維径:1.4μm、融点:168℃、繊維長:2mm、横断面形状:円形、比重:0.91)を得た。このポリプロピレン極細繊維は、フィブリル化しておらず、延伸した状態にあり、しかも各繊維が繊維軸方向において実質的に同じ直径を有していた。
(実施例1〜6、比較例1〜5)
ポリオレフィン系高強度複合融着繊維A、B又はCと、極細繊維A又はBとを、表1及び2に示す質量割合でスラリー中に分散させ、湿式法(水平長網方式)により、個々のポリオレフィン系高強度複合融着繊維及び極細繊維が分散した繊維ウエブを形成した。
次いで、前記繊維ウエブをコンベアで支持し、コンベアの下方から吸引して繊維ウエブをコンベアと密着させて搬送しながら、繊維ウエブに対して温度142℃の熱風を10秒間吹き付け、十分な量の熱風を通過させる無圧下での熱処理をエアスルー法により行い、繊維ウエブの乾燥と同時にポリオレフィン系高強度複合融着繊維A、B又はCの低融点成分(高密度ポリエチレン)のみを融着させて、不織布を形成した。
次いで、前記不織布を温度60℃の発煙硫酸溶液(15%SO溶液)中に2分間浸漬した後、十分に水洗し、乾燥してスルホン化処理を実施してスルホン酸基を繊維表面に導入し、ポリオレフィン系高強度複合融着繊維の低融点成分のみで融着したセパレータを製造した。
なお、実施例2及び比較例1、2、5のスルホン化処理を実施した不織布は、カレンダーロールによって加圧して厚さ調整を行った。
これらのセパレータの物性は表1及び2に示す通りであった。なお、各種物性の測定は次の通り行った。
(加圧保液率の測定)
実施例及び比較例のセパレータを直径30mmに裁断して試験片を調製し、温度20℃、相対湿度65%の状態下で、水分平衡に至らせた後、質量(M)をそれぞれ測定した。
次に、試験片の空気を水酸化カリウム溶液で置換するように、比重1.3(20℃)の水酸化カリウム溶液中に1時間浸漬し、水酸化カリウム溶液を保持させた。
次に、この試験片を上下3枚ずつのろ紙(直径:30mm)で挟み、加圧ポンプにより、4.9MPaの圧力を30秒間作用させた後、試験片の質量(M)を測定した。
そして、次の数式により、加圧保液率を求めた。なお、この測定は1つのセパレータの4枚の試験片について行い、その算術平均を加圧保液率(R、単位:%)とした。
Figure 2020149817
Figure 2020149817
Figure 2020149817
実施例1〜4と比較例1〜4、及び実施例6と比較例5との比較から、空隙率が70%以上、かつ空隙係数が17.0以上であるセパレータは、前記構成を満たさないセパレータよりも加圧保液率が優れることから、本発明のセパレータは電解液保持性が優れることがわかった。
また、実施例1と実施例5、及び実施例6との比較から、セパレータの繊維組成が異なっても同様に空隙率が70%以上、かつ空隙係数が17.0以上であるセパレータは、電解液保持性が優れることが分かった。
更に、実施例1と実施例2、比較例1〜2、及び実施例6と比較例5との比較から、加圧せずにセパレータを製造することで、本発明のセパレータは電解液保持性に優れることがわかった。
本発明の電気化学素子用セパレータは、例えば、一次電池(たとえばリチウム電池、マンガン電池、マグネシウム電池など)あるいは二次電池(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、亜鉛電池、レドックスフロー電池など)、キャパシタなどの電気化学素子用のセパレータとして水系、非水系問わずに使用でき、特にニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池のセパレータであるのが好ましい。

Claims (9)

  1. 引張り強さが4.5cN/dtex以上のポリオレフィン系高強度繊維を含む不織布から構成された電気化学素子用セパレータであり、前記電気化学素子用セパレータの147kPa荷重時の空隙率が70%以上100%未満であり、次の数式から算出される空隙係数(V)が17.0以上である、電気化学素子用セパレータ。
    V=P/D
    ここで、Pは電気化学素子用セパレータの147kPa荷重時の空隙率(単位:%)、Dは電気化学素子用セパレータ構成繊維の平均繊維径(単位:μm)、をそれぞれ意味する。
  2. 147kPa荷重時の空隙率が73%以上100%未満である、請求項1に記載の電気化学素子用セパレータ。
  3. 繊維径が4.0μm以下の極細繊維を含む、請求項1又は2に記載の電気化学素子用セパレータ。
  4. 繊維の融着のみによって形態を保持している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータ。
  5. 目付が35g/m以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータ。
  6. 147kPa荷重時の厚さが0.19mm未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータ。
  7. 平均孔径が20μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータ。
  8. 空隙維持率が92%以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータ。
  9. 加圧せずに製造した、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータの製造方法。
JP2019044842A 2019-03-12 2019-03-12 電気化学素子用セパレータ Active JP7313163B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019044842A JP7313163B2 (ja) 2019-03-12 2019-03-12 電気化学素子用セパレータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019044842A JP7313163B2 (ja) 2019-03-12 2019-03-12 電気化学素子用セパレータ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020149817A true JP2020149817A (ja) 2020-09-17
JP7313163B2 JP7313163B2 (ja) 2023-07-24

Family

ID=72429805

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019044842A Active JP7313163B2 (ja) 2019-03-12 2019-03-12 電気化学素子用セパレータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7313163B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016110763A (ja) * 2014-12-04 2016-06-20 日本バイリーン株式会社 電池用セパレータ及びそれを備えた電池
JP2018088375A (ja) * 2016-11-29 2018-06-07 日本バイリーン株式会社 アルカリ電池用セパレータ

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016110763A (ja) * 2014-12-04 2016-06-20 日本バイリーン株式会社 電池用セパレータ及びそれを備えた電池
JP2018088375A (ja) * 2016-11-29 2018-06-07 日本バイリーン株式会社 アルカリ電池用セパレータ

Also Published As

Publication number Publication date
JP7313163B2 (ja) 2023-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7923143B2 (en) Battery separator and battery comprising same
US8486554B2 (en) Alkaline battery separator, process for production thereof and alkaline batteries
JP5006546B2 (ja) 電池用セパレータ及びそれを使用した電池
KR100702400B1 (ko) 유기 전해액 전지용 세퍼레이터와 그 제조 방법 및 이것을포함하는 유기 전해액 전지
JP2001155709A (ja) 電池用セパレータ
JP4886205B2 (ja) 電池用セパレータ及びそれを使用した電池
JP5048231B2 (ja) 電池用セパレータ及びそれを使用した電池
JP6618291B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP3678680B2 (ja) 電池用セパレータ
JP7313163B2 (ja) 電気化学素子用セパレータ
JP7488191B2 (ja) 不織布及び電気化学素子用セパレータ
JP4372393B2 (ja) セパレータ材料とその製造方法および電池
JP7058488B2 (ja) 電気化学素子用セパレータ
JP6768471B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP3372317B2 (ja) アルカリ電池セパレ−タ用不織布の製造方法
JPH11283602A (ja) 電池用セパレータ
JP4425562B2 (ja) 電池用セパレータ及び電池
JP3914331B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP2003109569A (ja) 電池用セパレータ
JP2001291503A (ja) 電池用セパレータ
JP2002231210A (ja) 電池用セパレータ及び電池
JPH07153441A (ja) アルカリ電池セパレ−タ用不織布の製造方法
JP2005116514A (ja) 電池用セパレータ及びその製造方法
JP2022121195A (ja) 電気化学素子用保液部材
CN107452927B (zh) 碱性电池用隔板及其制造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220131

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230307

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20230307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230627

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230711

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7313163

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150