以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電極積層体を示す分解斜視図である。図2は、電極積層体の上面図である。図3(a)は、図2の右側から見た電極積層体の負極側接続部側の断面図であり、図3(b)は、図2の右側から見た電極積層体の正極側接続部側の断面図である。図4は、クリップを開いた状態の平面図である。また、図中において、電極群20の幅方向をX方向で表し、電極群20の長さ方向をY方向で表し、正極板21及び負極板22の積層方向をZ方向で表す。
図1〜図3に示すように、電極積層体10は、電極板である正極板21と負極板22とがセパレータ23を挟んで交互に多数積層された電極群20と、クリップ30と、タブリード40とを具備する。
電極板である正極板21及び負極板22のそれぞれは、金属箔に電極活物質層が形成されたものである。正極板21に用いられる金属箔としては、例えば、アルミニウム箔が挙げられる。また、負極板22に用いられる金属箔としては、例えば銅箔が挙げられる。
正極板21及び負極板22は、ジグザグ折りした絶縁体のセパレータ23を挟んで相対向するようにセパレータ23の各谷溝内に挿入され、上下方向から押圧することで、スタック構造の電極群20に成型される。
このような電極群20において幅方向であるX方向の一端部には、複数の正極板21の端部であって電極活物質層が形成されていない正極側接続部24が設けられている。また、電極群20の幅方向であるX方向の他端部には、複数の負極板22の端部であって電極活物質層が形成されていない負極側接続部25が設けられている。これら正極側接続部24と負極側接続部25とは、セパレータ23の幅方向の両端部のそれぞれから突出して設けられており、セパレータ23の幅方向(X方向)の両端部から突出した複数の正極側接続部24と、複数の負極側接続部25とには、それぞれクリップ30が接合されている。なお、以降、正極側接続部24、負極側接続部25について極性を限定しない表現として電極接続部と称する。
クリップ30は、本実施形態では、複数の正極側接続部24と複数の負極側接続部25とをそれぞれ纏めておくものであり、図4に示すように、金属からなる長方形状の平板を折り曲げ位置を示す線Cの部分、つまり、長方形状の両短辺の中心を含む位置で折り曲げたものである。
このようなクリップ30は、図1〜図3に示すように、電極接続部の積層方向であるZ方向の一方に設けられた上面部31と、電極接続部の積層方向であるZ方向の他方に設けられた下面部32と、電極接続部の幅方向であるX方向の外側で上面部31と下面部32とを接続する屈曲部33と、を有する。
そして、上面部31の外側の面、すなわち、Z方向において電極板とは反対側の面を第1面31aと称し、下面部32の外側の面、すなわち、Z方向において電極板とは反対側の面を第2面32aと称する。
そして本実施形態のクリップ30は、上面部31(第1面31a)と下面部32(第2面32a)との間で複数の電極接続部を重ね合わせた状態で挟み込んで固定されている。
なお、上面部31及び下面部32は、電極板である正極板21及び負極板22と同じ面方向となるように設けられたものである。なお、上面部31及び下面部32は、平板状のものに限定されず、例えば、電極群20の表面に沿って若干湾曲したものであってもよい。そして、第1面31aと第2面32aとは、電極板である正極板21及び負極板22の面方向に略水平な面のことである。また、屈曲部33は、電極群20の表面の面方向と交差する方向に湾曲又は屈曲された部分である。
そして第1面31aと第2面32aとは、図3に示すように、積層方向であるZ方向において少なくとも一部が互いに重なるように設けられている。なお、第1面31aと第2面32aとの少なくとも一部が互いに重なるとは、第1面31a及び第2面32aの一部のみが互いに重なるように配置されたものも、第1面31a及び第2面32aの全てが重なるように配置されているものも含む。本実施形態では、第1面31aと第2面32aとは、全てが重なるように配置されている。この第2面32a側には、第2面32aと対向するように位置するタブリード40が、正極及び負極それぞれが外部との接続用に設けられている。すなわち、クリップ30の下面部32の電極群20とは反対側の第2面32aにタブリード40が接合されている。
このような第1面31a及び第2面32aには、図2に示すように、電極接続部と接合された接合部34を有する。接合部34は、積層方向であるZ方向において第1面31aと第2面32aとに重なる位置に配置されている。すなわち、接合部34は、第1面31aと複数の電極接続部と第2面32aとを積層方向であるZ方向に亘って相互に接続するものである。
本実施形態では、接合部34は、1つのクリップ30に対して電極群20の長さ方向であるY方向に沿って2つ並設されている。なお、接合部34の数は、2つに限定されず、1つであってもいいし、3つ以上であってもよい。接合部34が1つであれば接合にかかる時間を短縮できるなどの効果を期待でき、超音波接合による振動の影響による電極板の破れといった問題の発生も抑制できるものの、図2のように接合部34を電極群20の長さ方向であるY方向に複数並設することで、接合部34を第1面31a及び第2面32aの広い面積に亘って分散して設けることができ、接合部34による接合強度を向上して、接合不良による剥離を抑制することができる。また、接合部34を複数設けることで、クリップ30と電極板とを接合する接合強度が低下するのを抑制して、クリップ30による保持力の低下を抑制することができる。また、接合部34を電極群20の長さ方向であるY方向に複数並設することで、クリップ30のY方向の端部近傍を接合部34によって接合することができるため、クリップ30のY方向の端部が開き難く、開いたクリップ30の端部によって電極積層体10を覆うラミネートフィルム等の外装部材が破れてしまうのを抑制することができる。
なお、複数の接合部34は、電極群20の長さ方向であるY方向に並設した列を、電極群20の幅方向であるX方向に沿って複数列設けるようにしてもよい。ただし、クリップ30の第1面31a及び第2面32aのX方向の幅は小さいため、接合部34がY方向に並設された列をX方向に複数列設けることによってクリップ30が幅方向であるX方向に大型化してしまい、電極積層体10がX方向に大型化してしまう虞がある。したがって、複数の接合部34は、電極群20の長さ方向であるY方向に一列に沿って並設するのが好ましい。ちなみに、例えば、複数の接合部を電極群20の長さ方向であるY方向に並設せずに、複数の接合部34を電極群20の幅方向であるX方向に並設するようすることも考えられるが、クリップ30のY方向の端部の接合強度が低下し易く、クリップ3の端部が開き易くなると共に、クリップ30がX方向に大型化してしまい、電極積層体10がX方向に大型化してしまう。本実施形態では、複数の接合部34を電極群20の長さ方向であるY方向に一列に並設することで、クリップ30の幅方向であるX方向の小型化を図って、電極積層体10のX方向の小型化を図ることができる。ちなみに、接合部34の面積は、クリップ30と電極接続部とに電流を流すために必要な抵抗値と、クリップ30と電極接続部とを接続する機械的強度と、によって決定される。
また、クリップ30の屈曲部33には、開口部35が設けられている。開口部35は、図3に示すように、クリップ30の折り曲げ位置を示す線Cで図中上下に対称となるようにクリップ30を厚さ方向に貫通した長孔として設けられている。すなわち、開口部35は、クリップ30となる長方形状の平板の短辺の中心部分に、長辺に沿って直線上に延設されており、その両端部は、短辺方向の幅が徐々に漸小するように曲線状に設けられている。また、開口部35の長辺方向に沿った終端部35a、35bは、折り曲げ位置を示す線C上に位置している。
また、開口部35の一方の終端部35aは、クリップ30の外端部30aの近傍に位置し、開口部35の他方の終端部35bは、クリップ30の外端部30bの近傍に位置する。
そして、このようなクリップ30を折り曲げ位置を示す線Cに沿って折り曲げることで、図1、図2及び図4に示すように、開口部35が屈曲部33に設けられる。つまり、クリップ30に開口部35を設けることで、開口部35の終端部35a、35bよりも外側のクリップ30の剛性が低くなった部分を開口部35の長手方向に沿って容易に折り曲げることができる。
そして、折り曲げられたクリップ30の屈曲部33は、クリップ30の外端部30a、30bとその近傍の一部を残して取り除かれた状態となる。つまり、開口部35は、クリップの第1面31a及び第2面32aそれぞれの平坦面まで延在する大きさを有する。言い換えると、開口部35は、図3に示されるように、クリップ30を折り曲げた際、電極群20におけるクリップで挟まれた端部の厚さ(Z方向の高さ)より大きくなるように設けている。このように、屈曲部33としてクリップ30の外端部30a、30bとその一部を残すように開口部35を設けることで、クリップ30によって電極接続部を束ねる機能が開口部35によって損なわれるのを抑制することができる。また、クリップ30の外端部30a、30bとその近傍である一部を残すように開口部35を設けることで、クリップ30の第1面31aと第2面32aとのY方向の端部同士が、外端部30a、30bによって接続されるため、Y方向の端部において第1面31aと第2面32aとが互いに離反するように変形するのを抑制することができる。
また、屈曲部33が抵抗となることを抑制できれば、開口部35の大きさ、特に、電極群20の端部の厚さ方向(Z方向)の大きさは特に問わないが、本実施形態では、クリップ30を折り曲げた際、電極群20におけるクリップ30で挟まれた端部の厚さ(Z方向の高さ)より大きくなるよう開口部35を設け、接合部34と開口部35との間には屈曲した部分がないようにしている。このため、クリップ30として電極群20の端部を挟んでまとめつつ、接合時、例えば、超音波溶接を用いて行う場合には、超音波振動を与える手段(ツール)で各部材(電極群20、クリップ30、タブリード40)を挟み、各部材に荷重をかけていきながら超音波による振動を接合すべき各部材(電極群20、クリップ30、タブリード40)に与えるようにするが、溶接部分とその近傍は実質的に2枚の平板(クリップ30の第1面31a側の板である上面部31と第2面32a側の板である下面部32)の間に電極群20を挟んで行なわれているようになる。つまり、接合開始時にかける荷重で2枚の平板(上面部31及び下面部32)と電極群20とタブリード40とがそれぞれ接合部近傍において面で接するため、接合時の振動が各部材(電極群、クリップ、タブリード)に伝わり易く安定した接合を行うことができる。このようにすることで、接合箇所における各部材が面接触し、その接触部分における面積で圧力をかけることとなり、接合部34とその近傍では各部材が振動によりずれることが抑えられ、各部材の位置ずれが起きにくくなる。
一方、接合部34と開口部35との間には屈曲した部分があると、接合時、例えば、超音波溶接を用いて行う場合、溶接部分の近傍に残された屈曲部33には接合開始時にかける荷重が与えられず、荷重をかけていくに従って屈曲部33の接触が行われるため、開口部35を設けた分、屈曲部33が抵抗となることは低減されるので本発明における所望の効果を奏するが、荷重とともに部材との接触面積が変化するため、部材に与えるべき超音波振動をより安定して与えるようにするためには、開口部35を大きくして接合部近傍では屈曲部33が残らないようにするのが望ましい。本実施形態では、開口部35を電極群20の積層方向(Z方向)に大きく開口させて接合部34近傍には屈曲部33を残さないようにし、面で押さえながら接合をしている。そして、クリップ30の外側(第2面32aと対向する側)にタブリード40を配置して接合を行うようにしている。このような構成とすることで、クリップ30による電極群20を束ねる効果を維持しつつ、接合時におけるクリップ30の屈曲部33における悪影響を低減し、接合時における部材間の接触を安定なものにし、高い接合品質を実現できるものである。
このような開口部35は、接合部34の並設方向であるY方向に延在すると共に、複数の接合部34のそれぞれに電極群20の幅方向であるX方向で隣り合う位置に設けられている。ここで、開口部35が、複数の接合部34のそれぞれに電極群20の幅方向であるX方向で隣り合う位置に設けられているとは、積層方向であるZ方向から平面視した際に、開口部35と接合部34とがX方向で対向する位置に設けられていることを言う。
本実施形態では、開口部35は、電極群20の長さ方向であるY方向において、接合部34を含む長さで設けられている。すなわち、電極群20の長さ方向であるY方向において、開口部35の長さは、接合部34を含む長さ、すなわち、接合部34以上の長さで、且つ接合部34に重なる位置に配置されている。つまり、本実施形態では、接合部34は、電極群20の長さ方向であるY方向に沿って複数設けられ、複数の接合部34それぞれに隣り合うよう開口部35が並設され、電極群20の長さ方向であるY方向において、複数の接合部34の長さの合計値は開口部35の長さより短く設けられている。これにより、クリップ30の接合部34を電極接続部に接合した際の屈曲部33を曲げる応力が、開口部35によって緩和し易く、クリップ30と電極接続部との密着性を向上して安定した接合を行うことができる。また、第1面31a、電極接続部及び第2面を超音波溶接によって接合する際に、第1面31aと第2面32aとが接合部34のX方向の隣で開口部35によって分離されるため、クリップ30の一方面からの変形や振動がクリップ30の他方面側に伝わり難く、接合に必要なエネルギーの不足や、異物の発生などの接合不良を低減することができる。本実施形態では、開口部35の長さL1は、長さ方向に並設された2つの接合部34に亘って連続する長さL2よりも長く、開口部35は、複数の接合部34の配列方向に沿うよう、つまり、幅方向(X方向)において2つの接合部34に重なる位置に設けられている。もちろん、開口部35の数は、特に限定されずに、接合部34毎に独立した開口部35、すなわち、2つの開口部35を設けるようにしてもよい。
なお、電極群20の長さ方向であるY方向において、開口部35の長さは、接合部34の長さよりも短くてもよい。すなわち、開口部35が、電極群20の幅方向であるX方向で隣り合う位置に設けられているとは、開口部35が、接合部34のY方向の全てに亘ってX方向で隣り合う位置に設けられているものも、接合部34のY方向の一部のみにX方向で隣り合う位置に設けられているものも含むものである。ただし、開口部35は、電極群20の長さ方向であるY方向において、接合部34のY方向の全てに亘ってX方向で隣り合う位置に設けられている方が、クリップ30と電極接続部とを接合部34によって接合する際に、クリップ30の一方面からの押圧や振動が開口部35によって他方面の接合部34以外の他の部分に伝わり難くすることができる。
このような開口部35の幅(図4のX方向)は、クリップ30の厚さ以上で、且つ第1面31a及び第2面32aに達しない幅で設けられていることが好ましい。開口部35の幅をクリップ30の厚さ以上とすることで、開口部35をプレス加工等で容易に形成することができる。また、開口部35を第1面31a及び第2面32aに達しない幅で形成することで、第1面31a及び第2面32aと電極接続部とを接合する面積が減少するのを抑制することができると共に、接合部34の位置ずれが生じても接合面積が減少するのを抑制することができる。
また、クリップ30の第2面32aの電極接続部とは反対側には、タブリード40が接続されている。正極側のタブリード40は正極側接続部24に接続されたクリップ30と接続され、負極側のタブリード40は負極側接続部25に接続されたクリップ30と接続されている。なお、クリップ30とタブリード40とは、接合部34によって接合されている。
ちなみに、タブリード40をクリップ30の第2面32aに接合することで、電極接続部とタブリード40との接合強度が低下するのを抑制して、電極接続部の破れやタブリード40の剥離等の破壊を抑制することができる。例えば、開口部35を第2面32aまで延設して設け、電極接続部に直接タブリード40を接合した場合、金属箔で形成された電極接続部は剛性が低いため、タブリード40に応力が印加されることで金属箔からなる電極接続部が破れてしまう虞がある。本実施形態では、電極接続部に比べて剛性が高いクリップ30とタブリード40とを接続することで、タブリード40に応力が印加されても電極接続部の破壊及びタブリード40の剥離等の破壊が発生するのを抑制することができる。特に、クリップ30は、第1面31aと第2面32aとが完全に分離することなく屈曲部33で接続されているため、タブリード40の応力が第2面32aのみに印加されることがなく、クリップ30全体に印加されるため、クリップ30の破壊を抑制することができる。また、タブリード40が電極群20と直接接合されず、クリップ30(の第2面32a)と接合されるようにしているので、折り曲げたクリップ30の内側で電極群20の端部が接するようなことがあったとしても、その影響でタブリード40の位置がずれることがない。
また、開口部35を第2面32aまで延設して設け、電極接続部に直接タブリード40を接合した場合、クリップ30と電極板とを接合する箇所が少なく、接合強度が低下して保持力が低下してしまうと共に、電極接続部とクリップ30の第2面32aとが接合されていないことから、クリップ30の第2面32aが第1面31aから離れるように開いてしまう虞がある。このようにクリップ30が開いてしまうと、電極積層体10をラミネートフィルム等の外装部材に収容して電池を形成した場合に、クリップ30の第2面32aの角部等で外装部材を破いてしまい、電池が破壊されてしまう虞がある。本実施形態のクリップ30では、開口部35を屈曲部33のみに設けることで、電極接続部と第2面32aとを接合部34によって接合することができるため、クリップ30と電極板との接合箇所を増やして接合強度を増大させて保持力を向上すると共に第1面31a及び第2面32aが互いに離れる方向に開くのを抑制することができる。したがって、クリップ30が開くことによってラミネートフィルム等の外装部材を破れるのを抑制して、電池の破壊を抑制することができる。
このようなクリップ30では、第1面31aと第2面32aとの間で電極接続部を挟み込んで電極積層部とクリップ30とを接合部34によって接合する際に、屈曲部33を折り曲げる抵抗が小さく、屈曲部33を容易に折り曲げることができる。したがって、クリップ30の電極接続部からの浮き上がりを抑制して、電極積層部とクリップ30を密着させることができ、電極接続部の積層枚数を増やしても電極接続部とクリップ30との接合を容易に行うことができる。例えば、本実施形態のクリップ30が挟み込むことが可能な電極接続部の枚数、すなわち、電極板の枚数は、約60枚程度である。このように本実施形態のクリップ30を用いることで電極板の積層枚数を増やすことができ、電池容量の大容量化・高出力化を実現することができる。
また、本実施形態のクリップ30では、開口部35を設けることで、屈曲部33を容易に折り曲げることができるため、クリップ30と電極接続部とを接合部34で接合する際に、ツールの位置ずれによる接合不良が生じ難い。また、タブリード40が電極群20と直接接合されず、クリップ30の第2面32aと接合されるため、折り曲げたクリップ30の内側で電極群20の端部が接するようなことがあったとしても、その影響でタブリード40の位置がずれることによるクリップ30とタブリード40との接続不良が生じ難い。したがって、クリップ30を小型化して、電極積層体10を小型化することができる。図2に示すように、本実施形態では、クリップ30の幅W1、すなわち、クリップ30を折り曲げた状態におけるX方向の幅W1は、3mm〜6mm、接合部34の幅W2は、2mmのものを用いることができる。
本実施形態では、上記のような寸法の小型のクリップ30であっても、屈曲部33に開口部35を設けることで、クリップを接合する際に使用するツールの微少な位置ずれによる屈曲部33の抵抗を低減し、ツールが第1面31aを十分に押圧することができる。したがって、ツールとクリップ30と電極接続部との密着性を向上して、接合不良が生じるのを抑制することができると共に、必要なエネルギー量を低減して、発熱を小さくし、品質の低下や、活物質の滑落等を抑制して、歩留まりを向上することができる。
以上説明したように、本発明の電極積層体10は、電池に用いられる電極積層体であって、複数の電極板である正極板21及び負極板22を有する電極群20と、電極群20の複数の正極板21及び負極板22の積層された端部である電極接続部を挟み、複数の正極板21及び負極板22の積層方向において一方に設けられた第1面31aと、他方に設けられた第2面32aと、第1面31aと第2面32aとを接続する屈曲部33と、を有し、第1面31aと第2面32aとは、積層方向において少なくとも一部が互いに重なる位置に配置されたクリップ30と、クリップ30の第2面32aと対向するように配置されたタブリード40と、を具備し、クリップ30の第1面31aには、複数の正極板21及び負極板22の積層された端部とタブリード40とをクリップ30の第2面32aを挟んで接合する接合部が形成され、接合部34は、電極群20の長さ方向であるY方向に設けられており、第1面31a第2面32a屈曲部33には、開口部35が設けられており、開口部35は、接合部34に対して電極群20の幅方向であるX方向で隣り合う位置に並設されている。
このように屈曲部33に開口部35を設けることで、屈曲部33の折り曲げを容易に行うことができるため、クリップ30と電極接続部との密着性を向上して安定した接合を行うことができる。また、クリップ30と電極接続部とを接合する際のツールの位置ずれが生じても、開口部35が設けられた屈曲部33を容易に折り曲げることができるため、屈曲部33が抵抗となるのを低減して、密着性を向上することができる。したがって、ツールの位置ずれが接合不良につながるのを抑制することができ、クリップ30の小型化及び電極積層体10の小型化を図ることができる。
また、屈曲部33に開口部35を設けることで、屈曲部33を折り曲げ易くすることができ、第1面31aと電極板の端部と第2面32aとの密着性を向上して、接合に必要なエネルギーを低減することができる。このため、クリップ30によって束ねる電極板の枚数を増やして、電池容量の大容量化・高出力化を実現することができる。
また、複数の接合部34のそれぞれに電極群20の幅方向であるX方向で隣り合う位置に開口部35を設けることで、接合部34によって接合する際に第1面31aと第2面32aとが接合部34の隣で開口部35によって分断されるため、クリップ30の一方面からの振動が他方面に伝わり難く、異物の発生を抑制することができる。
特に、本実施形態の開口部35は、クリップ30を貫通する貫通孔によって形成することで、凹部によって開口部を形成した場合に比べて、屈曲部33の剛性を低下させて屈曲部33を変形し易くすることができる。また、開口部35は、クリップ30を貫通する貫通孔によって形成することで、第1面31aと第2面32aとが切り離された部分が形成されるため、超音波接合によって接合する際に、超音波によって生ずる振動に基づく振動エネルギーが、屈曲部33のタブリード40との接点部分Aに集中し難い。
さらに、開口部35を屈曲部33に設け、接合部34を第1面31a及び第2面32aに重なる位置に設けることで、開口部35を第1面31a又は第2面32aに達するまで延設した場合に比べて、接合部34によって接合する際の段差が形成されることがなく、電極接続部を第1面31a及び第2面32aと良好に接合することができる。また、電極接続部を第1面31a及び第2面32aに接合部34によって接合することで、第1面31a及び第2面32aが互いに離反するようにクリップ30が広がるのを抑制することができる。これにより、広がったクリップ30の端部によってラミネートフィルム等の外装部材が破れるのを抑制して電池の破壊を抑制することができる。
また、タブリード40は、クリップ30の第2面32aに対向するように接合されることで、タブリード40を直接、電極板に接合する場合に比べて、電極板の破れやタブリード40の剥離等の破壊を抑制することができる。また、クリップ30は、第1面31a及び第2面32aが電極板に接合されているため、タブリード40に応力が印加されることによるクリップ30の破壊を抑制することができる。さらに、タブリード40が電極群20と直接接合されず、タブリード40がクリップ30の第2面32aと接合されるため、折り曲げたクリップ30の内側で電極群20の端部が接することがあっても、その影響でタブリード40の位置がずれるのを抑制することができる。
また、本実施形態の電極積層体10では、開口部35は、電極群20の長さ方向において接合部34を含む長さで設けられていることが好ましい。これによれば、クリップ30と電極接続部とを接合する接合部34を形成する際に、クリップ30を一方面側から押圧した圧力による変形や接合時に印加される振動が開口部35によって他方面の接合部34以外の他の部分に伝わり難くすることができ、接合不良が生じるのを抑制することができると共に接合に必要なエネルギー量を低減することができる。
また、本実施形態の電極積層体10では、接合部34は、電極群20の長さ方向であるY方向に沿って複数設けられ、複数の接合部34それぞれに隣り合うよう開口部35が並設され、電極群20のY方向において、複数の接合部34の長さの合計値は、開口部35の長さよりも短いことが好ましい。
このように、接合部34をY方向に複数設けることで、接合部34を第1面31a及び第2面32aの広い面積に亘って分散して設けることができ、接合部34による接合強度を増大させて、第1面31a及び第2面32aが互いに離反するようにクリップ30が広がるのを抑制して、広がったクリップ30の端部によってラミネートフィルム等の外装部材が破れるのを抑制することができる。特に、接合部34をY方向に並設することで、クリップ30のY方向の端部近傍を接合部34によって接合することができ、クリップ30の端部の広がりを抑制することができる。
また、接合部34の長さの合計値を、開口部35の長さよりも短くすることで、接合部34によって接合する際に第1面31aと第2面32aとが接合部34の隣で開口部35によって確実に分断されるため、クリップ30の一方面からの振動が他方面に伝わり難く、異物の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の電極積層体10では、開口部35は、積層方向であるZ方向における電極群20の厚さより大きく開口されていることが好ましい。これによれば、接合部と隣り合う開口部には屈曲した部分が残っていないため、溶接時におけるツールの押し込みの際に屈曲部が抵抗となってツールとクリップとの密着不良やクリップと電極板との密着不良が生じることが抑えられ、クリップと電極板との接合不良や接合に必要なエネルギー量が大きくなり歩留まりが低下することを抑制することができる。
ここで、本実施形態のクリップ30を用いた電極積層体10の製造方法について、図5を参照して説明する。なお、図5は、電極積層体の製造方法を示す断面図である。なお、正極側接続部24及び負極側接続部25は、セパレータ23の幅方向の一方の端部及び他方の端部からそれぞれ反対側に突出しているが、以降、両者とも図中右側に突出しているものとして説明する。
図5(a)に示すように、まず成型された電極群20の電極接続部、すなわち、正極側接続部24及び負極側接続部25をクリップ30の第1面31aと第2面32aとで挟み込んで仮止めする。具体的には、押圧機構50の上部押圧部材51と下部押圧部材52との間でクリップ30を押圧することで、積層された電極接続部である正極側接続部24及び負極側接続部25にクリップ30を仮止めする。すなわち、上部押圧部材51及び下部押圧部材52によってクリップ30の第1面31aと第2面32aとが積層方向であるZ方向に近づくように押圧することで、第1面31aと第2面32aとの間で積層された電極接続部を比較的強度に挟み込む。このとき、クリップ30の屈曲部33には開口部35が設けられているため、クリップ30の屈曲部33をさらに折り曲げるための抵抗が小さく、クリップ30の変形が妨げられるのを抑制することができる。
ちなみに、開口部35によって第1面31aと第2面32aとを完全に分離して、クリップを第1面31aと第2面32aとの2つの部材で構成してしまうと、クリップ30を複数の電極接続部に仮止めすることができなくなり、クリップ30が複数の電極接続部を束ねる機能が損なわれて、ハンドリング性が低下する。また、後の工程で、クリップ30と複数の電極接続部とを接合する際に、複数の電極接続部が束ねられていないばらけた状態で行わなくてはならず、作業性が低下すると共に接合不良が生じ易い。本実施形態では、第1面31aと第2面32aとを完全に分離することなく、屈曲部33によって接続されるように開口部35を設けたため、クリップ30によって複数の電極接続部を束ねることができ、クリップ30の取り付けられた電極群20のハンドリング性を向上することができると共に、後の工程で、クリップ30と複数の電極接続部との接合を容易に且つ確実に行うことができ、接合不良を低減することができる。
次に、図5(b)に示すように、仮止めしたクリップ30の第1面31aと第2面32aとが近づくように積層方向であるZ方向に加圧して、クリップ30の第1面31aと複数の電極接続部と第2面32aとをZ方向に亘って相互に接合する。本実施形態では、第1面31aと複数の電極接続部と第2面32aとに加えて、第2面32aの電極接続部とは反対面側にタブリード40を同時に接合する。また、本実施形態では、クリップ30と電極接続部とタブリード40とは、超音波溶接によって接合するようにした。具体的には、超音波溶接機60のアンビル61上にタブリード40と電極接続部を仮止めしたクリップ30とを積層し、アンビル61とホーン62との間でタブリード40、第2面32a、複数の電極接続部及び第1面31aを所定の圧力で挟み込んだ状態で、ホーン62を発振させて超音波溶接を行う。これにより、第1面31aと複数の電極接続部と第2面32aとタブリード40とを積層方向であるZ方向に亘って接合部34によって接合して電極積層体10を製造することができる。
このとき、クリップ30の屈曲部33には開口部35が設けられているため、ホーン62とアンビル61との間で押圧されたクリップ30の変形が妨げられるのを低減して、クリップ30を容易に変形させることができる。すなわち、ホーン62によってクリップ30の第1面31aをアンビル61に向かって押圧した際に、屈曲部33に開口部35を設けることで屈曲部33が折り曲げの抵抗となるのを低減して、屈曲部33を容易に折り曲げることができる。したがって、ホーン62と第1面31aとの間、第1面31a及び第2面32aと複数の電極接続部との間、第2面32aとタブリード40との間、及び、タブリード40とアンビル61との間に隙間が生じるのを抑制して密着することができ、接合部34を形成する部分にホーン62の振動を効率よく伝えることができる。このため、超音波溶接を行った際に、密着不良による接合不良を抑制して、接合に必要なエネルギーを低減することができ、接合時の発熱を小さくし、セパレータ23の熱による品質の低下や、電極板の活物質の滑落等を抑制して、歩留まりを向上することができる。
ちなみに例えば、図6に示すように、開口部35を設けていないクリップ130を用いた場合、クリップ130が、アンビル61とホーン62との間で挟まれて変形する際に、変形による応力が屈曲部33の下端とタブリード40との接点部分Aに集中する。そして、アンビル61とホーン62との間で超音波溶接を行った際に、応力が集中した屈曲部33の下端とタブリード40との接点部分Aにも超音波によって生ずる振動に基づく振動エネルギーが集中し、タブリード40の表面上に傷を付けたり、タブリード40とクリップ130との擦れによる粉塵の発生など、電池としての品質が低下してしまう。
また、接点部分Aに振動エネルギーが集中することで接合に必要な振動エネルギーが不足するため、接合不良が生じてしまう。接合不良を生じさせないために、エネルギー量を大きくすると、金属箔である電極接続部が破れてしまう。また、エネルギー量が大きくなるのに伴って発熱量が大きくなり、安定した接合を行うことが困難となると共に発熱によって他の部材、例えば、セパレータ23等に影響し品質が低下してしまう。特に電極板(電極接続部)の枚数が多くなると、接合に必要な振動エネルギーが不足し易く、上記の問題が顕著に表れる。
また、電極板(電極接続部)の枚数が多くても接合不良を生じさせないためには、必要な深さまでホーン62をアンビル61の方向へより強く沈み込ませてクリップ130と電極板との密着性を向上させる必要があるが、挟み込みの圧力も大きくなり、屈曲部33が、例えば、ホーン62側に凸状に変形してしまう。そして例えばホーン62の位置ずれなどによって凸状に変形する屈曲部33にホーン62が乗ってしまうと、凸状に変形した部分の密着性は低く、溶着が安定しないことから接合部34の接合不良が生じてしまう。
本実施形態では、屈曲部33に開口部35を有するクリップ30を用いることで、クリップ30が変形し易く、ホーン62をアンビル61方向へ沈み込ませるための圧力を小さくすることができるため、変形による応力が屈曲部33の下端とタブリード40との接点部分Aに集中するのを抑制することができる。特に、本実施形態では、開口部35としてクリップ30を厚さ方向に貫通する貫通孔を設けたため、第1面31aと第2面32aとが、接合部34のX方向の隣で開口部35によって分離される。したがって、ホーン62によって第1面31aを押圧した変形や、開口部35で接合する際の振動エネルギーが屈曲部33とタブリード40との接点部分Aに伝わり難い。このため、屈曲部33とタブリード40との接点部分Aに超音波による振動エネルギーが集中するのを抑制して、タブリード40の表面上への傷の発生を低減することができると共に、タブリード40とクリップ30との擦れによる粉塵の発生を抑制して、電池としての品質を向上することができる。
また、接点部分Aに振動エネルギーが集中するのを抑制することができるため、接合部34に必要な振動エネルギーが不足し難く、金属箔である電極接続部が破れてしまうのを抑制することができる。また、接合に必要なエネルギー量を小さくすることで、発熱量を低下させて、安定した接合を行うことができると共に、発熱によってセパレータ23等が劣化するのを抑制することができる。したがって、電極板(電極接続部)の枚数を多くしても必要なエネルギー量を低減することができるため、接合不良が生じるのを抑制することができる。例えば、本実施形態のクリップ30が挟み込むことが可能な電極接続部の枚数、すなわち、電極板の枚数は、約60枚程度である。このように本実施形態のクリップ30を用いることで電極板の積層枚数を増やすことができ、電池容量の大容量化・高出力化を実現することができる。
また、本実施形態では、屈曲部33に開口部35を有するクリップ30を用いることで、屈曲部33を容易に折り曲げることができるため、クリップ30と複数の電極接続部とを接合部34で接合する際に、ホーン62の位置ずれによる接合不良が生じ難い。すなわち、ホーン62によって押圧した際に、クリップ30の屈曲部33がホーン62側に凸状に変形し難いため、ホーン62の位置ずれによって屈曲部33となる位置を押圧しても、接合不良が生じ難い。したがって、クリップ30を小型化して、電極積層体10を小型化することができる。本実施形態では、例えば、図2に示すように、電極群20の幅方向におけるクリップ30の幅W1、すなわち、クリップ30を折り曲げた状態におけるX方向の幅W1が3mm〜6mm程度で、ホーン62によってクリップ30を押圧して接合部34によって接合する際のホーン62の幅(図中、接合部34の幅W2で示す)が約2mm程度の場合、ホーン62の微少な位置ずれによって、ホーン62がクリップ30の第1面31aからずれて屈曲部33の一部を押圧することになる。このとき、屈曲部33が折り曲げ難く、屈曲部33が抵抗となってホーン62が第1面31aを十分に押圧することができないと、ホーン62の第1面31aへの密着が不十分となり、クリップ30と電極接続部との密着不良が生じ、クリップ30と電極接続部とを確実に接合することができなくなってしまう。つまり、ホーン62とクリップ30との密着不良や、クリップ30と電極接合体との密着不良によってホーン62の振動が伝わり難くなり、接合不良や接合に必要なエネルギー量が大きくなり、金属箔の電極接続部が破れが生じることや、エネルギー量の増大によって発熱が増大し、発熱によって他の部材、例えば、セパレータ23等に影響を及ぼし、品質の低下や歩留まりが低下する。
本実施形態では、上記のような小型のクリップ30であっても、屈曲部33に開口部35を設けることで、ホーン62の微少な位置ずれによる屈曲部33の抵抗を低減し、ホーン62が第1面31aを十分に押圧することができる。したがって、ホーン62とクリップ30と電極接続部との密着性を向上して、接合不良が生じるのを抑制することができると共に、必要なエネルギー量を低減して、金属箔の電極接続部が破れるのを抑制し、発熱を小さくして品質の低下や歩留まりを向上することができる。
以上説明したように、本実施形態の電極積層体の製造方法は、複数の電極板である正極板21及び負極板22を有する電極群20と、電極群20の複数の正極板21及び負極板22の積層された端部である正極側接続部24及び負極側接続部25を挟み、複数の正極側接続部24及び負極側接続部25と接合された接合部34を有するクリップ30とを具備し、クリップ30は、複数の正極板21及び負極板22の積層方向において一方に設けられた第1面31aと、他方に設けられた第2面32aと、第1面31aと第2面32aとを接続する屈曲部33と、を有し、第1面31aと第2面32aとは、積層方向において互いに重なる位置に配置されており、接合部34は、電極群20の幅方向であるX方向の少なくとも一端部側に、電極群20の長さ方向であるY方向に沿って2以上の複数並設されており、接合部34は、積層方向であるZ方向において第1面31a及び第2面32aと重なる位置に配置されており、屈曲部33には、開口部35が設けられており、開口部35は、接合部34の並設方向であるY方向に延在すると共に、複数の接合部34のそれぞれに電極群20の幅方向であるX方向で隣り合う位置に設けられた電極積層体10の製造方法であって、正極板21及び負極板22の積層された正極側接続部24及び負極側接続部25をクリップ30の第1面31aと第2面32aとの間で挟み込んで仮止めする工程と、仮止めしたクリップ30の第1面31aと第2面32aとが近づくように積層方向に加圧して、クリップ30の第1面31aと正極板21及び負極板22の積層された正極側接続部24及び負極側接続部25と第2面32aとを接合部34によって接合する工程と、を具備する。
このような電極積層体の製造方法では、正極板21及び負極板22の正極側接続部24及び負極側接続部25にクリップ30を仮止めする工程、及び、クリップ30と正極板21及び負極板22の正極側接続部24及び負極側接続部25とを接合する工程において、屈曲部33に開口部35が設けられたクリップ30を用いることで、屈曲部33を容易に折り曲げることができる。したがってクリップ30と電極接続部との密着性を向上して安定した接合を行うことができる。また、クリップ30と電極接続部とを接合する際のツールの位置ずれが生じても、開口部35が設けられた屈曲部33を容易に折り曲げることができるため、クリップ30と電極接続部との密着性を向上することができる。また、開口部35としてクリップ30を貫通する貫通孔を設けることで、折り曲げたクリップ30の上下が接合部34の隣で分離され、クリップ30の一方面からの変形や振動がクリップ30の他方面側に伝わり難い。したがって、ツールの位置ずれが接合不良につながるのを抑制することができ、クリップ30の小型化及び電極積層体10の小型化を図ることができる。
また、開口部35が設けられた屈曲部33を容易に折り曲げて、クリップ30と電極接続部とを密着させることができると共に、クリップ30とタブリード40等との接点部分に応力が集中せず、この接点部分にエネルギーが集中し難いため、接合時に必要なエネルギー量を減らすことができ、複数の電極接続部を比較的低いエネルギー量でクリップ30によって束ねることができる。したがって、電極接続部(電極板)の積層枚数を増やしても安定した接合を行うことができ、電池容量の大容量化・高出力化を図ることができる。また、開口部35としてクリップ30を貫通する貫通孔を設けることで、折り曲げたクリップ30の上下が接合部34の隣で分離され、クリップ30の一方面からの変形や振動がクリップ30の他方面側に伝わり難く、エネルギー不足がより生じ難く、接合に必要なエネルギー量を低減することができる。
また、本実施形態の電極積層体10の製造方法では、クリップ30の第1面31aと電極板である正極板21及び負極板22の積層された端部である正極側接続部24及び負極側接続部25と第2面32aとを接合部34で接合する工程では、超音波溶接により行うことが好ましい。これによれば、超音波溶接によって電極接続部とクリップ30とを確実に接合することができる。
また、本実施形態の電極積層体10の製造方法では、クリップ30の第1面31aと電極板である正極板21及び負極板22の積層された端部である正極側接続部24及び負極側接続部25と第2面32aとを接合する工程では、第2面32aの正極板21及び負極板22とは反対側の面にタブリード40を同時に接合することが好ましい。これによれば、タブリード40とクリップ30とを接合する工程と、クリップ30と電極接続部とを接合する工程とを同時に行うことで、個別に行う場合に比べて工程を減少させてコストを低減することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態1では、開口部35は1つのクリップ30に対して1つだけ設けるようにしたが、複数設けられていてもよい。ここで、変形例を図7及び図8に示す。なお、図7は、クリップの開いた状態の平面図である。図8は、電極積層体の上面図である。
図7及び図8に示すように、クリップ30の接合部34は、長さ方向であるX方向に複数、本実施形態では3つ設けられている。また、クリップ30の屈曲部33には、開口部35が、各接合部34に対応して独立して設けられている。すなわち、開口部35は、接合部34と同じ数、すなわち3つ設けられている。
各開口部35は、幅方向であるX方向において各接合部34に重なる位置に設けられており、各開口部35のY方向の長さL1Aは、対応する接合部34の長さL2Aよりも長い。
このように複数の開口部35を設けることで、第1面31aと第2面32aとを接続する屈曲部33を長さ方向であるY方向に分散して設けることができるため、クリップ30が複数の電極接続部を確実に挟み込むことができる。
また、開口部35の形状は、特に限定されず、例えば、矩形状、多角形状であってもよい。また、開口部35の長さ方向であるY方向の終端部35a、35bは、幅が徐々に漸小する円形状に形成されたものに限定されず、幅が徐々に漸小するテーパー状であってもよい。ただし、終端部35a、35bが尖っていると、終端部35a、35bから屈曲部33に亀裂が入る虞があるため、終端部35a、35bは曲線状に設けられていることが好ましい。また、開口部35の長さ方向の終端部35a、35bは、長手方向の端部に向かって幅が漸小して設けられていることが好ましい。これにより、一枚の板状部材を折り曲げてクリップ30を形成する際に、開口部35が折り曲げ位置のガイドとなって、折り曲げを容易に行うことができる。
また、上述した実施形態1では、タブリード40とクリップ30との接合を、クリップ30と電極接続部との接合と同時に行うようにしたが、特にこれに限定されず、タブリード40とクリップ30とを接合する工程と、クリップ30と電極接続部とを接合する工程とを個別に行うようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態では、正極側接続部24と負極側接続部25とのそれぞれにクリップ30を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、正極側接続部24及び負極側接続部25の何れか一方のみに上述したクリップ30を用いるようにしてもよい。特に、負極板22の銅箔で形成された負極側接続部25に上述したクリップ30を用いることが好ましい。ちなみに、正極側接続部24は、開口部35が設けられていないクリップを用いるようにしてもよく、正極側接続部24に直接タブリード40を接続するようにしてもよい。
また、上述した電極積層体10は、外装部材によってタブリードの端部以外を覆われた電池として用いられる。ここで、電池の一例を図9に示す。
図9に示すように、電池1は、上述した電極積層体10と内部に電極積層体10を収容した外装部材70とを有する。外装部材70は、図中上下の両側の開口をシールしたラミネートフィルムからなり、外装部材70に覆われた電極積層体10のタブリード40の一部が開口から突出して設けられている。また、外装部材70の内部には、電解液が充填されている。
なお、図9に示す電池1では、外装部材70としてラミネートフィルムを用いるようにしたが、特にこれに限定されず、外装部材70として、円筒形の電池ケースあるいは四角柱形の角形ケースを用いるようにしてもよい。