JP2020148269A - 接触部材、乾燥装置、及び印刷装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態の接触部材は、被接触部材の液体組成物が付与された領域に対して接触し、被接触部材と接触する表面に、フッ素樹脂繊維を含有するフッ素樹脂繊維層を有する。また、接触部材は基材を有していることが好ましく、フッ素樹脂繊維層は基材に対して直接的又は間接的に固定されていることが好ましい。ここで、フッ素樹脂繊維層が基材に対して直接的に固定されている場合とは、例えば、フッ素樹脂繊維層と基材が熱融着、プライマー等の接着剤、これらの組み合わせなどにより一体化していることを表す。また、フッ素樹脂繊維層が基材に対して間接的に固定されている場合とは、例えば、フッ素樹脂繊維層と基材の間に下地層が1層以上設けられ、フッ素樹脂繊維層と下地層、下地層同士、下地層と基材が熱融着、プライマー等の接着剤、これらの組み合わせなどにより一体化していることを表す。
本実施形態の接触部材は、被接触部材と接触する表面にフッ素樹脂繊維を含有するフッ素樹脂繊維層を有する。また、フッ素樹脂繊維層は、層の最表面にフッ素樹脂繊維を有することが好ましい。フッ素樹脂繊維を用いることにより、フッ素樹脂繊維と直接接触する被接触部材の液体組成物が付与された領域に対する潤滑性や剥離容易性を向上させることができる。フッ素樹脂繊維を構成するフッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA、融点300〜310℃)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、融点330℃)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP、融点250〜280℃)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE、融点260〜270℃)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF、融点160〜180℃)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE、融点210℃)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE、融点290〜300℃)等、及び、これらのポリマーを含むコポリマー等を挙げることができ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
フッ素樹脂繊維は、これらフッ素樹脂を紡糸もしくは短繊維を固めることで形成されるが、単一のフッ素樹脂からなる樹脂繊維、複数種類のフッ素樹脂からなる樹脂繊維、及びフッ素樹脂にフッ素樹脂以外の材料が混合された樹脂繊維のいずれであってもよいが、単一のフッ素樹脂からなる樹脂繊維、複数のフッ素樹脂からなる樹脂繊維であることが好ましい。なお、本実施形態においてフッ素樹脂繊維は、フッ素樹脂自体、又はフッ素樹脂とフッ素樹脂以外の材料との混合物自体が繊維化しているものを示す。そのため、例えば、ガラス樹脂繊維などの表面をフッ素樹脂でコーティングして固めたものなどは、本実施形態におけるフッ素樹脂繊維に含まれない。
また、市販されているフッ素樹脂繊維としては、例えば、トヨフロンBF800S、2402、1412(東レ社製)などが挙げられるが、これらはいずれもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むフッ素樹脂繊維である。
まず、本実施形態におけるフッ素樹脂繊維層の平均変形量の測定方法について説明する。フッ素樹脂繊維層の平均変形量の測定は、一例として、小型卓上試験機EZ−SX(島津製作所社製)によって実施するがこれに限られない。試験機先端にφ5mm(直径5mm)の円形圧子を取り付け、試験機に接触部材をセットし、円形圧子を接触部材に設けられているフッ素樹脂繊維層に接触させる。このとき、初期接触時の荷重を0Nとし、0.02mm/秒の速度で0.5Nの応力が発生するまで押し込んだ時の変位量を変位量1と定義する。また、3.3Nの応力が発生するまで押し込んだ時の変位量を変位量2と定義する。次に、変位量1および変位量2の値に基づき、下記式(1)から変形量を算出する。このようにして求める変形量を、測定位置を変えて10点測定することで取得し、それらの平均値をフッ素樹脂繊維層の平均変形量とする。なお、10点の測定位置は、各位置における変形量のばらつきが過度に大きい位置ではないことが好ましく、例えば、フッ素樹脂繊維層の中央部で測定し、端部では測定しないことが好ましい。
図1(A)に示すように、フッ素樹脂繊維層を表面に有する接触部材10と記録媒体などの被接触部材11との間に圧力が印加された状態で被接触部材11が搬送される場合、図1(B)に示すように、フッ素樹脂繊維層における被接触部材11と接触していた領域と接触していなかった領域との間の境界部で、フッ素樹脂繊維層の圧縮差に伴う微小段差10a、10bが生じる。その後、図1(C)に示すように、液体組成物を付与された別の被接触部材12が微小段差10bを跨ぐように搬送された場合、付与された液体組成物により形成される画像の微小段差10bを通過した部分において、画像欠損等の異常画像13が生じる課題がある。この異常画像13の発生を抑制するためには、例えば、あらかじめ、フッ素樹脂繊維層に圧力を印加して圧縮等し、フッ素樹脂繊維層の平均変形量を5.0μm/N以上18.0μm/N以下に調整することが挙げられる。平均変形量がこの範囲内であることで、微小段差が生じたとしても、段差の角度が緩やかであり、段差の高さも大きくならない。そのため、接触部材と被接触部材との間の接触圧力を小さくすることができ、画像欠損等の異常画像の発生を抑制することができる。平均変形量が5.0μmより小さい場合、接触部材において、空隙を有する繊維構造の形成量が不十分となることで、微小段差が急角度のエッジを持つ。結果、画像欠損等の異常画像が生じやすくなる。また、平均変形量が18.0μmより大きい場合、接触部材において、空隙を有する繊維構造の形成量が過剰となることで、微小段差における段差高さが大きくなる。結果、画像欠損等の異常画像が生じやすくなる。なお、フッ素樹脂繊維層に圧力を印加して圧縮し上記平均変形量に調整する場合、圧力を印加するタイミングとしては特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂繊維層を接着剤等で基材又は下地層に対して固定する前、フッ素樹脂繊維層を接着剤等で基材又は下地層に対して固定した後などが挙げられる。
基材は、長尺な金属製の棒状体であることが好ましく、その断面が円形である円柱体又は円筒体などのローラ形状であることがより好ましい。基材がこれら形状であることにより、接触部材を、被接触部材を搬送するローラとして用いることができる。接触部材をローラとして用いる場合、基材の断面の円の直径は、50mm以上100mm以下であることが好ましい。直径がこの範囲であることにより、接触部材が被接触部材の液体組成物が付与された領域に対して接触する場合であっても、接触部材に対して被接触部材上の液体組成物が転写されることを抑制することができる。直径が50mm以上であることにより接触部材と被接触部材との間に生じる単位面積あたりの圧力が低下し、液体組成物の転写が抑制される。一方で、直径が100mm以下であることにより接触部材と被接触部材との間で生じる滑りが抑制され、それにより液体組成物の転写が抑制される。
本実施形態の乾燥装置は、液体組成物が付与された被接触部材を乾燥させる装置であって、上記接触部材を有し、必要に応じて、被接触部材に付与された液体組成物を加熱する液体組成物加熱手段、及び接触部材を加熱する接触部材加熱手段などを有する。
また、本実施形態の印刷装置は、上記接触部材を有し、必要に応じて、被接触部材を供給する被接触部材供給手段、被接触部材を搬送する搬送経路、被接触部材に液体組成物を付与する液体組成物付与手段、被接触部材に付与された液体組成物を加熱する液体組成物加熱手段、及び接触部材を加熱する接触部材加熱手段、及び被接触部材を回収する被接触部材回収手段などを有する。
乾燥装置、及び印刷装置について図2を用いて説明する。図2は、連続紙を用いる印刷装置の一例を示す模式図である。図2に示す印刷装置100は、被接触部材供給手段1、液体組成物付与手段2、液体組成物加熱手段3、接触部材4、接触部材加熱手段5、及び被接触部材回収手段6を有する。また、印刷装置100は、乾燥装置50を有するが、乾燥装置50は印刷装置と一体の装置でも、別の独立した装置でもよい。
被接触部材供給手段1は、回転駆動することにより、ロール状に巻かれて収納された被接触部材7を印刷装置100内の搬送経路8に供給する。搬送経路8における被接触部材7の搬送方向を矢印Dで示す。
被接触部材供給手段1は回転駆動を調整することによって、被接触部材7を、50m/分以上の高速で搬送する。
液体組成物付与手段2は、複数のノズルが配列された複数のノズル列を有するインクジェット吐出ヘッドであり、ノズルからのインクの吐出方向が、被接触部材7の搬送経路8を向くように設けられている。これにより、液体組成物付与手段2は、被接触部材7に対し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の各色のインクと、付与されたインクの表面を保護するために付与される後処理液と、を液体組成物として順次吐出する。なお、吐出されるインクの色はこれらに限らず、ホワイト、グレー、シルバー、ゴールド、グリーン、ブルー、オレンジ、バイオレットなどの色であってもよい。
なお、本実施形態では、一例として、液体組成物がインク、及び後処理液である場合を説明したが、これら以外の液体組成物であってもよい。例えば、インク、インクに含まれる色材を凝集させるために付与される前処理液、付与されたインクの表面を保護するために付与される後処理液、及び金属などの無機粒子を分散させた電気回路などを形成するための液体などが挙げられ、これらを適宜混合または重ねた液体などであってもよい。
また、本実施形態では、一例として、液体組成物がインクジェット吐出ヘッドで被接触部材7に付与される場合について説明したが、他の手段で付与されてもよい。例えば、スピンコート、スプレーコート、グラビアロールコート、リバースロールコート、バーコート等の各種公知の手段を用いることができる。
液体組成物加熱手段3は、被接触部材7の液体組成物が付与された領域を有する面の背面側から被接触部材7に付与された液体組成物を加熱して乾燥させる。なお、液体組成物を加熱する手段は、特に限定されないが、例えば、温風を吹き付ける手段、被接触部材7の背面を加熱ローラ、フラットヒータ等に接触させて乾燥させる手段等の各種公知の手段を用いることができる。
接触部材4は、被接触部材7を搬送しつつ、被接触部材7の搬送方向Dを変える。また、接触部材4は、円柱状又は円筒状のローラである。
また、接触部材4上の液体組成物が液体組成物加熱手段3によって乾燥させられた後において、被接触部材7の液体組成物が付与された領域に対し最初に接触する部材は、接触部材4であることが好ましい。被接触部材7の液体組成物が付与された領域に対して最初に接触する部材は、液体組成物の転写が起きやすいので、本実施形態の接触部材を用いることが好ましい。
なお、本実施形態における「巻率」について図3を用いて説明する。図3は、被接触部材が接触部材に接していることを示す模式図である。図3に示すように、ローラ形状の接触部材4に対し、被接触部材7が巻き付くことで接している場合において、「巻率」は、被接触部材が接触部材から分離する一方の端部を9a、他方の端部を9bとしたとき、被接触部材7及び接触部材4が接している側における9aと9bの間の接触部材4の周長Xが、接触部材4の全周長に対して占める割合を示す。
接触部材加熱手段5は、接触部材4を加熱する。これにより、加熱された接触部材4が被接触部材7の液体組成物が付与された領域に対して接触することで、被接触部材7上の液体組成物が付与された領域を乾燥させる。このとき、液体組成物の乾燥が不十分な場合だけでなく、液体組成物に含まれる樹脂が熱により軟化する場合などに起因して、接触部材4に対する液体組成物の転写が不具合として発生しやすくなる。そのため、本実施形態の接触部材を用いることが好ましい。
また、接触部材加熱手段5は、例えば、ヒータ、温風を吹き付ける手段等の各種公知の手段を用いることができる。
接触部材加熱手段5は、図2に示すように、接触部材4の内部に配置されるが、外部に配置されていてもよい。また、接触部材4と別体として配置されても、一体として組み込まれてもよい。なお、接触部材4の基材が多孔質体であって、接触部材加熱手段5を接触部材4の内部に配置した場合、接触部材加熱手段5から生じる熱や温風を効率よく被接触部材7に伝達することができる。
被接触部材回収手段6は、回転駆動することにより、液体組成物を付与することで画像が形成された被接触部材7を巻き取ってロール状に収納する。
本実施形態の印刷方法は、被接触部材に対して液体組成物を付与する液体組成物付与工程と、被接触部材の液体組成物が付与された領域に対して接触部材が接触する接触工程と、を有する。また、必要に応じて、液体組成物加熱工程を有する。
液体組成物付与工程は、被接触部材供給手段1から供給された被接触部材7に、インクなどの液体組成物を付与する工程である。これにより、被接触部材7上に液体組成物が付与された領域が形成される。
液体組成物加熱工程は、液体組成物付与工程の後に、付与された液体組成物を加熱することで乾燥させる工程である。乾燥は、記録媒体にベタつきが感じられない程度に行うことが好ましい。なお、図2に示す乾燥工程では、付与された液体組成物を液体組成物加熱手段3により乾燥させるが、特別な乾燥手段を用いず、自然乾燥させてもよい。
接触工程は、被接触部材7の液体組成物が付与された領域に対して接触部材4が接触する工程である。なお、液体組成物が付与された領域とは、被接触部材7上の液体組成物が付与された面における領域を示し、液体組成物が付与されていない反対側の面における領域は含まれない。また、液体組成物が付与された領域とは、液体組成物が付与されたことで特定される場所を表し、液体組成物の状態は問わない。言い換えると、接触部材が、液体組成物が付与された領域と接触するときに、この領域に付与された液体組成物が付与されたときの状態を維持している液体状態である必要はなく、液体組成物の一部液体成分が気化した液体状態や、液体組成物の全液体成分が気化した固体状態等であってもよい。
図2に示すように、被接触部材7は、接触部材4と接触しつつ搬送される。また、接触部材4は、被接触部材7を巻き付かせるように搬送することで、被接触部材7の搬送方向Dを変える。更に、被接触部材7の内部又は近傍に接触部材加熱手段5が設けられている場合、接触部材4は、被接触部材7を搬送しつつ被接触部材7上の液体組成物が付与された領域を乾燥させる。
本実施形態における液体組成物は、特に限定されないが、インク、インクに含まれる色材を凝集させるために付与される前処理液、付与されたインクの表面を保護するために付与される後処理液、及び金属などの無機粒子を分散させた電気回路などを形成するための液体などが挙げられる。これらは、適宜公知の組成で用いることができる。以降、一例として、液体組成物としてインク及び後処理液を用いた場合について説明する。
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、ワックス、添加剤等について説明する。
有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
多価アルコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等が挙げられる。
アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物類としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等が挙げられる。
その他の有機溶剤としては、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、顔料として、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
分散剤として、竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
顔料分散体に対し、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
また、上記の樹脂の中でも、アクリル樹脂を用いたアクリル樹脂粒子は吐出安定性に優れ、またコスト面でも低価格であるため、広く使用されている。しかし、耐摺擦性が劣ることから、弾性を持つウレタン樹脂粒子と混合して使用することが好ましい。
ウレタン樹脂粒子の含有量(質量%)と、アクリル樹脂粒子の含有量(質量%)との質量比(ウレタン樹脂粒子/アクリル樹脂粒子)としては、0.03以上0.7以下が好ましく、0.1以上0.7以下がより好ましく、0.23以上0.46以下が更に好ましい。
体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
インク中にワックスを含有することで、耐摺擦性を向上させることができ、樹脂と併用することにより光沢度の向上させることができる。ワックスとしては、ポリエチレンワックスが好ましい。ポリエチレンワックスとしては、市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、AQUACER531(ビックケミージャパン社製)、ポリロンP502(中京油脂社製)、アクアペトロDP2502C(東洋アドレ株式会社製)、アクアペトロDP2401(東洋アドレ株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレンワックスの含有量としては、インク全量に対して、0.05質量%以上2質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上0.45質量%以下がさらに好ましく、0.15質量%以上0.45質量%以下が特に好ましい。含有量が、0.05質量%以上2質量%以下であると、耐摺擦性と光沢性の向上に十分な効果がある。また、含有量が、0.45質量%以下であると、インクの保存安定性、及び吐出安定性が特に良好になり、インクジェット方式での使用により適する。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、インクと同様の有機溶剤、水、ワックス、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、及び防錆剤等を必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、被接触部材全域に塗布しても良いし、インクが付与された領域にのみに塗布しても良い。
被接触部材としては、特に制限なく用いることができ、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などの記録媒体を用いることができるが、低浸透性記録媒体(低吸収性記録媒体とも称する)に対して特に好適に用いることができる。
低浸透性記録媒体とは、水透過性、吸収性、又は吸着性が低い表面を有する記録媒体を意味し、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれる。低浸透性記録媒体としては、商業印刷に用いられるコート紙や、古紙パルプを中層、裏層に配合して表面にコーティングを施した板紙のような記録媒体等が挙げられる。このような低浸透性の記録媒体を用いたときに、被接触部材上の液体組成物が付与された領域と接触部材が接触する場合、液体組成物が接触部材に転写されやすくなるので、本実施形態の接触部材を用いることが好ましい。
低浸透性記録媒体としては、例えば、支持体と、支持体の少なくとも一方の面側に設けられた表面層と、を有し、更に必要に応じてその他の層を有するコート紙などの記録媒体が挙げられる。
支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
支持体の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜300μmが好ましい。 また、支持体の坪量は、45g/m2〜290g/m2が好ましい。
表面層は、顔料、バインダー(結着剤)を含有し、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有する。
顔料としては、無機顔料、もしくは無機顔料と有機顔料を併用したものを用いることができる。無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが挙げられる。無機顔料の添加量は、バインダー100質量部に対し50質量部以上が好ましい。
有機顔料としては、例えば、スチレン−アクリル共重合体粒子、スチレン−ブタジエン共重合体粒子、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子等の水溶性ディスパージョンがある。有機顔料の添加量は、表面層の全顔料100質量部に対し2質量部〜20質量部が好ましい。
バインダーとしては、水性樹脂を使用することが好ましい。水性樹脂としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかを好適に用いることができる。水溶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルとポリウレタンなどが挙げられる。
表面層に必要に応じて含有される界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン活性剤、カチオン活性剤、両性活性剤、非イオン活性剤のいずれも使用することができる。
表面層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、支持体上に表面層を構成する液を含浸又は塗布する方法により行うことができる。表面層を構成する液の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、固形分で、0.5g/m2〜20g/m2が好ましく、1g/m2〜15g/m2がより好ましい。
カーボンブラック(NIPEX160、degussa社製、BET比表面積150m2/g、平均一次粒径20nm、pH4.0、DBP吸油量620g/100g)20g、下記構造式(1)で表される化合物20ミリモル、及びイオン交換高純水200mLを、室温環境下、Silversonミキサー(6,000rpm)で混合した。
得られたスラリーのpHが4より高い場合は、硝酸20ミリモルを添加した。30分後に、少量のイオン交換高純水に溶解された亜硝酸ナトリウム(20ミリモル)を上記混合物にゆっくりと添加した。更に、撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応した。カーボンブラックに下記構造式(1)で表される化合物を付加した改質顔料が生成できた。
次に、pHをNaOH水溶液により10に調整することにより、30分後に改質顔料分散体が得られた。少なくとも1つのジェミナルビスホスホン酸基又はジェミナルビスホスホン酸ナトリウム塩と結合した顔料を含んだ分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜を用いた限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分濃度16質量%となる親水性官能基としてビスホスホン酸基を有する自己分散型ブラック顔料分散体を得た。
50.00質量%のブラック顔料分散体(顔料固形分濃度16%)、2.22質量%のポリエチレンワックスAQUACER531(不揮発分45質量%、ビックケミージャパン社製)、30.00質量%の3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、10.0質量%のプロピレングリコールモノプロピルエーテル、2.00質量%のシリコーン系界面活性剤(TEGO Wet 270、巴工業株式会社製)、及びイオン交換水を残量となるように混合し、1時間攪拌した後、平均孔径が1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、液体組成物1(インク)を得た。
1,3−ブタンジオール22部、グリセリン11部、固形分が35質量%のポリウレタンエマルションSU−U0705(中央理化工業社製)15部、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2部、フッ素系ノニオン性界面活性剤Capstone(登録商標)FS−3100(Dupont社製)0.05部、2,4,7,9−テトラメチル−4,7−デカンジオール0.1部、防腐防黴剤プロキセルLV(アビシア社製)0.2部、固形分が30質量%のポリエチレンワックスのポリロンP502(中京油脂社製)10部及び水39.65部を混合し、液体組成物2(後処理液)を得た。
−接触部材の製造−
直径が75mmであるアルミの中空ローラ(ミスミ社製)の基材の表面に、厚みを320μmに調整したフッ素樹脂繊維層であるトミーファイレックPA5LH(巴川製紙社製)を、シリコーン系接着剤を用いて貼り付け、フッ素樹脂繊維層を有する接触部材1を作製した。フッ素樹脂繊維層の厚みの調整は、フッ素樹脂繊維層を基材に対して貼り付ける前に行った。また、フッ素樹脂繊維層の厚みの調整は、高速カレンダー装置(由利ロール社製)を用い、フッ素樹脂繊維を線厚17kg/cmで挟み込み、1m/分の速度でカレンダー処理することで行った。
フッ素樹脂繊維層の平均変形量の測定は、小型卓上試験機EZ−SX(島津製作所社製)によって実施した。試験機先端にφ5mmの円形圧子を取り付け、試験機に作製した接触部材をセットし、円形圧子を接触部材に設けられているフッ素樹脂繊維層に接触させた。このとき、初期接触時の荷重を0Nとし、0.02mm/秒の速度で0.5Nの応力が発生するまで押し込んだ時の変位量を変位量1と定義した。また、3.3Nの応力が発生するまで押し込んだ時の変位量を変位量2と定義した。次に、変位量1および変位量2の値に基づき、下記式(1)から変形量を算出した。このようにして求めた変形量を、測定位置を変えて10点測定することで取得し、それらの平均値をフッ素樹脂繊維層の平均変形量とした。結果を表1に示す。
フッ素樹脂繊維層の厚さをデジマチックマイクロメータMDC−25MX(ミツトヨ社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
フッ素樹脂繊維層の透気度は、ガーレー式自動透気度計(Emo社製)により、ISO5636に準拠した方法で実施した。具体的には、まず、フッ素樹脂繊維層中の接着部材をトルエン(和光特級)に溶解させることでフッ素樹脂繊維層を基材から分離させた。次に、分離されたフッ素樹脂繊維層において300mlの空気を、通過径φ10mmに対して透過させた際にかかる時間を計測した。測定位置を変えて10点測定し、平均値を透気度とした。結果を表1に示す。
インクジェットプリンティングシステム(RICOH Pro VC60000、株式会社リコー製)に接触部材を組み込んだ改造機を作製し、被接触部材である記録媒体に画像を印刷した。接触部材は、印刷装置の搬送経路において、付与された液体組成物1(インク)および液体組成物2(後処理液)を乾燥させる乾燥手段の下流側であって、且つ液体組成物1(インク)および液体組成物2(後処理液)を付与した領域に最初に直接接触する位置に組み込んだ。記録媒体としては、Lumi Art Gloss 130gsm(Stora Enso社製、紙幅520.7mm)のロール紙、及びこのロール紙を1/4の紙幅に裁断した別のロール紙を使用した。第一段階として、1/4の紙幅に裁断されたロール紙を改造機にセットし、50m/分の速度で12km搬送した。第二段階として、裁断されていないロール紙に1,200dpiの解像度で液体組成物1(インク)を用いてベタ画像を印刷し、間を置かずに液体組成物1(インク)の上から液体組成物2(後処理液)を用いてベタ画像を印刷した。なお、第二段階の印刷時においては、液体組成物1(インク)及び液体組成物2(後処理液)で形成されるベタ画像は、接触部材上における、第一段階でロール紙が搬送された場所と搬送されていない場所の境界に接触しつつ搬送された。
実施例1において、フッ素樹脂繊維の種類、カレンダー処理時の線圧、基材として用いられる中空ローラの直径、及び印刷装置に組み込まれた接触部材に対する記録媒体の巻率を表1に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜17、比較例1〜4における操作を実施した。フッ素樹脂繊維層の平均変形量、フッ素樹脂繊維層の厚さ、及びフッ素樹脂繊維層の透気度について結果を表1に示す。
・トミーファイレック PA5LH(フッ素樹脂繊維、巴川製紙製)
・トミーファイレック PA10LH(フッ素樹脂繊維、巴川製紙製)
・トヨフロン406D(フッ素樹脂繊維、東レ社製)
・トヨフロン2402(フッ素樹脂繊維、東レ社製)
・トヨフロンFP002CD(フッ素樹脂繊維、東レ社製)
・トヨフロンT33R(フッ素樹脂繊維、東レ社製)
・チューコーフローGタイプファブリック FGF−300(フッ素樹脂をコーティングしたガラス繊維、中興化成工業株式会社製)
上記実施例、比較例においてベタ画像剥離性について評価した。具体的には、上記の「接触部材を組み込んだ印刷装置による印刷」の操作を行った後のベタ画像部を、300mmの距離から目視で観察した。接触部材上における、第一段階でロール紙が搬送された場所と搬送されていない場所の境界を通過したベタ画像部分において、任意の25mm角の範囲を指定し、その範囲内におけるベタ画像が剥がれている箇所の数を数えた。画像剥離性については下記の評価基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。評価がC以上である場合を実用可能であると評価した。
(評価基準)
A:剥がれが2箇所以下
B:剥がれが3箇所以下以上5箇所以下
C:剥がれが6箇所以上10箇所以下
D:剥がれが11箇所以上
2 液体組成物付与手段
3 液体組成物加熱手段
4 接触部材
5 接触部材加熱手段
6 被接触部材回収手段
7 被接触部材
8 搬送経路
9a、9b 被接触部材が接触部材から分離する端部
10 接触部材
10a、10b 微小段差
11 被接触部材
12 被接触部材
13 異常画像
50 乾燥装置
100 印刷装置
Claims (10)
- 被接触部材の液体組成物が付与された領域に対して接触する接触部材であって、
前記接触部材は、前記被接触部材と接触する表面に、フッ素樹脂繊維を含有するフッ素樹脂繊維層を有し、
前記フッ素樹脂繊維層は、φ5mmの円形圧子を押し込むことで得られる変位量に基づいて算出される平均変形量が5.0μm/N以上18.0μm/N以下である接触部材。 - 前記平均変形量が8.0μm/N以上12.0μm/N以下である請求項1に記載の接触部材。
- 前記フッ素樹脂繊維層の厚さは、300μm以上700μm以下である請求項1又は2に記載の接触部材。
- 前記フッ素樹脂繊維層の透気度は、4秒以上16秒以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の接触部材。
- 前記接触部材は、基材に対して直接的又は間接的に固定されており、
前記基材は、直径が50mm以上100mm以下のローラ形状である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の接触部材。 - ローラ形状である前記接触部材に対する前記被接触部材の巻率は、10%以上である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の接触部材。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の接触部材を有し、
前記液体組成物が付与された前記被接触部材を乾燥させる乾燥装置。 - 更に、前記被接触部材の前記領域を有する面の背面側から前記被接触部材に付与された前記液体組成物を加熱する液体組成物加熱手段を有し
前記接触部材は、前記液体組成物加熱手段で加熱された前記被接触部材の前記領域と接触する請求項7に記載の乾燥装置。 - 請求項7又は8に記載の乾燥装置を有する印刷装置。
- 被接触部材の液体組成物が付与された領域に対して接触する接触部材であって、
前記接触部材は、前記被接触部材と接触する表面に、フッ素樹脂繊維を含有するフッ素樹脂繊維層を有し、
前記フッ素樹脂繊維層は、下記測定方法により得られる変形量の平均である平均変形量が5.0μm/N以上18.0μm/N以下である接触部材。
(測定方法)
小型卓上試験機EZ−SX(島津製作所社製)に直径5mmの円形圧子を取り付け、前記円形圧子を前記フッ素樹脂繊維層に接触させる。前記円形圧子の前記フッ素樹脂繊維層に対する初期接触時の荷重を0Nとし、0.02mm/秒の速度で0.5Nの応力が発生するまで前記円形圧子を押し込んだ時の変位量を変位量1と定義し、3.3Nの応力が発生するまで押し込んだ時の前記円形圧子の変位量を変位量2と定義する。前記変位量1および前記変位量2の値に基づき、下記式(1)から前記変形量を算出する。
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