JP2020143384A - パラ型全芳香族ポリアミド繊維を抗張力線として用いた複合ケーブル - Google Patents

パラ型全芳香族ポリアミド繊維を抗張力線として用いた複合ケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】複合ケーブル自体を太径化することなく、導体の断面積を増大し、しかも複合ケーブルが屈曲疲労を受けても断線しにくい複合ケーブルを提供する。【解決手段】繊維軸方向に対して直交する単糸繊維の断面形状が扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド短繊維であって、該扁平断面の最長軸(L1)とその(L1)に直交する最長軸(T1)の比(L1/T1)が5.0より大きいパラ型全芳香族ポリアミド繊維を抗張力線として用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、特定の断面形状を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維を抗張力線として用いた複合ケーブルに関するものである。
スマートフォン等の電子機器の充電ケーブルに例示される送電用複合ケーブルには、送電用の金属線の他に、送電用複合ケーブルが引張方向に力を受けた場合に金属線の断線を防ぐ目的で、抗張力線が組み込まれている。そして、近年の電子機器の充電時間短縮の要求から、送電用の導体の断面積を増大する、すなわち導体を太径化することで、電子機器への送電を短時間化することを行っている。
一方で、送電用複合ケーブルの取扱い性の観点から、送電用複合ケーブルには細くて柔軟なものが求められている。即ち、上述した導体の太径化と、送電用複合ケーブルの細径化を同時に達成しようとすると、抗張力線を組み込むスペースが減少してしまうという問題が生じる。
このような問題を解決するため、特開2012−195170号公報では、アラミド繊維を抗張力線として用い、導体の断面形状を周方向に長い形状とすることにより、送電ケーブル自体の径を太径化することなく、導体の断面積を増大している。この方法であれば、導体の太径化と送電ケーブルの細径化を同時に達成できる。しかし、導体の断面形状が周方向に長い扁平形状であるため、扁平形状の短辺に直行する方向の屈曲には強いが、長辺方向に直行する屈曲疲労には弱いため、ケーブルが屈曲疲労を受けた場合に導線が断線しやすくなるという新たな問題が生じてしまう。
特開2012−195170号公報
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複合ケーブル自体を太径化することなく、導体の断面積を増大し、しかも複合ケーブルが屈曲疲労を受けても断線しにくい複合ケーブルを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、特定の断面形状をもつパラ型全芳香族ポリアミド繊維を抗張力線として用いるとき、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、
繊維軸方向に対して直交する単糸繊維の断面形状が扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド短繊維であって、該扁平断面の最長軸(L1)とその(L1)に直交する最長軸(T1)の比(L1/T1)が5.0より大きいパラ型全芳香族ポリアミド繊維を抗張力線として用いることを特徴とする複合ケーブル、が提供される。
本発明によれば、内部の導体の太径化と複合ケーブルの細径化を同時に達成でき、さらに耐屈曲疲労性にも優れた複合ケーブルを得ることができ、電子機器の充電用送電ケーブルなどの用途に好適に使用できる。
本発明の複合ケーブルの構造の1例を例示した断面図である。 本発明複合ケーブルの構造の他の1例を例示した断面図である。 本発明で使用する扁平繊維を製造するための紡糸口金の吐出孔の形状の1例を例示した断面図である。 本発明で使用する扁平繊維を製造するための紡糸口金の吐出孔の形状の1例を例示した断面図である。 本発明で使用する扁平繊維を製造するための紡糸口金の吐出孔の形状の1例を例示した断面図である。 本発明で使用する扁平繊維の単糸断面形状の1例を例示した断面図である。 本発明で使用する扁平繊維の単糸断面形状の1例を例示した断面図である。 本発明で使用する扁平繊維の単糸断面形状の1例を例示した断面図である。 本発明で使用する扁平繊維の単糸断面形状の1例を例示した断面図である。 本発明で使用する扁平繊維の単糸断面形状の1例を例示した断面図である。 本発明で使用する扁平繊維の単糸断面形状の1例を例示した断面図である。 本発明で使用する扁平繊維の単糸断面形状の1例を例示した断面図である。
以下、本発明について詳細を説明する。
<パラ型全芳香族ポリアミド>
本発明におけるパラ型全芳香族ポリアミドは、1種類または2種類以上の2価の芳香族基がアミド結合により連結された高分子である。芳香族基には、2個以上の芳香環が存在してもよく、その芳香環は直接結合していても、酸素や硫黄原糸を介して結合していてもよい。また、2価の芳香族基の水素原子は、ハロゲン分子、アルキル基、フェニル基で置換されていてもよい。
<パラ型全芳香族ポリアミドの製造方法>
本発明で用いるパラ型全芳香族ポリアミドは、例えば、アミド系極性溶媒中で、芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分と芳香族ジアミン成分とを溶液中で反応させて得ることができる。
[パラ型全芳香族ポリアミドの原料]
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分)
パラ型全芳香族ポリアミドの製造で使用される芳香族ジカルボン酸クロライド成分としては、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、テレフタル酸クロライド、2−クロルテレフタル酸クロライド、2,5−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライドなどが挙げられる。得られる繊維物性の観点から、テレフタル酸クロライドが好ましい。
(芳香族ジアミン成分)
全芳香族ポリアミドの製造において使用される芳香族ジアミン成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、p−フェニレンジアミン、2−クロル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロル−p−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォンなどを挙げることができる。得られる繊維物性の観点から、p−フェニレンジアミンと3,4−ジアミノジフェニルエーテルとを組み合わせて用いることが好ましい。
p−フェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを組み合わせて用いる場合には、その組成比は特に限定されるものではないが、全芳香族ジアミン量に対して、それぞれ30〜70モル%、70〜30モル%とすることが好ましく、より好ましくは、それぞれ40〜60モル%、60〜40モル%、さらに好ましくは、それぞれ45〜55モル%、55〜45モル%とする。
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と、芳香族ジアミン成分との比率は、芳香族ジアミン成分に対する芳香族ジカルボン酸クロライド成分とのモル比で0.90〜1.10とすることが好ましく、0.95〜1.05の範囲とすることがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比がこの範囲を外れた場合、芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との反応が十分に進行せず、十分に高い重合度が得られないため好ましくない。
[重合溶媒]
重合に用いる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタムなどの有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどの水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトンなどの水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリルなどの水溶性ニトリル化合物などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒として使用することも可能である。なお、前記で用いられる溶媒は、脱水されていることが望ましい。
本発明に用いられるパラ型全芳香族ポリアミドの製造においては、汎用性、有害性、取り扱い性、パラ型全芳香族ポリアミドに対する溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが特に好ましい。
[その他重合条件等]
生成するパラ型全芳香族ポリアミドの溶解性を挙げるために、重合前、途中、終了時のいずれかに、一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
また、パラ型全芳香族ポリアミドの末端は、封止することもできる。末端封止剤を用いて末端を封止する場合には、例えば、フタル酸クロライドおよびその置換体、アニリンおよびその置換体等を末端封止剤として用いることができる。
また、生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために、脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩等を併用することもできる。
反応終了後は、塩基性無機化合物を加えて反応系中の塩酸を中和してもよい。こうして作製した全芳香族ポリアミドの溶液を、半乾半湿式紡糸法で紡糸口金から吐出して紡糸する。
<パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法>
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維を製造するにあたっては、湿式紡糸法、または半乾半湿式紡糸法を採用し、溶媒を含む均一な紡糸用溶液(ポリマードープ)を調整し、紡糸口金から吐出する。
[吐出孔の形状]
本発明で使用する全芳香族ポリアミド扁平断面繊維を得るための扁平吐出孔の形状は、長軸(L)と短軸端部(W1)との比(L/W1)が10以上の範囲を満足する吐出孔である。(L/W1)は好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上である。また、短軸の端部(W1)と中心部(W2)との比(W2/W1)が、好ましくは0.1以上1.0以下、より好ましくは0.1以上0.9以下、さらに好ましくは0.1以上0.7以下、特にましくは0.1以上0.6以下の範囲である。
(W2/W1)が1.0を超えると、繊維方向に対して垂直の断面の中心部が厚く、膨らんだ形状、つまり楕円形状の繊維となり易く、薄い繊維になり難い。一方、(W2/W1)が0.1より小さい場合は、生産時に断糸しやすく、強度も満足しないものとなる。
前記記載の吐出孔の長軸(L)、短軸の端部(W1)、及び中心部(W2)とは、図3から図5に示す扁平吐出孔の各長さのことである。図4、5の場合は、弧の直径をW1とする。また、短軸の両端は直線あるいは曲線であってもよく、特に限定されるものではない。さらには短軸端部と中心部は、直線あるいは曲線で繋がっており、特に限定されるものではない。
[エアギャップ]
紡糸口金面から凝固液までのエアギャップは、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下の範囲である。10mmより長いと、表面エネルギーを安定化させるため、ドープが円形に近づき、扁平性を保つことができない。
[紡糸工程]
本発明の繊維の製造においては、上述の如く調整された紡糸用溶液(ドープ)を用いて、湿式紡糸法またはエアギャップを設けた半乾半湿式紡糸法によって繊維を成形する。すなわち、先ず、上記で得られた紡糸用溶液(ドープ)をノズルから吐出し、続いて、凝固浴中の凝固液に接触させて凝固糸を形成する。異形断面の繊維を得るためには凝固を早くする必要がある。
凝固浴としては、パラ型全芳香族ポリアミドの貧溶媒が用いられるが、紡糸用溶液(ポリマードープ)の溶媒が急速に抜け出して、得られる全芳香族ポリアミド凝固糸に欠陥ができないように、通常は良溶媒を添加して凝固速度を調節する。貧溶媒としては水、良溶媒としてはパラ型全芳香族ポリアミドドープ用の溶媒を用いることが好ましい。良溶媒/貧溶媒の質量比は、パラ型全芳香族ポリアミドの溶解性や凝固性にもよるが、5/90〜30/70の範囲とすることが好ましい。安定した繊維断面を得るためには5/90〜20/80の範囲とし凝固を速めることがより好ましい。
また凝固浴の温度も凝固速度を速めるために重要な条件となる。30℃以上であることが好ましいが、前記記載通り凝固をより速くする必要がある。そのため凝固液の温度は高いほど、中空構造を維持する傾向があるため、60℃以上がより好ましい。しかし凝固浴の温度が高すぎると凝固液が揮発し、霧状の液滴が口金面に付着して吐出不良を起こすため、100℃以下が適切である。
凝固液から凝固糸条を引き上げた後は、公知の方法によって、最終的なパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。例えば、水洗工程を実施して形成された未延伸糸から溶媒を除去し、必要に応じて延伸を実施し、乾燥工程等を経た後に必要に応じて延伸することにより配向させ、最終的な繊維を得ることができる。
[延伸工程]
次いで、延伸を実施する。延伸の方法としては特に限定されるものではない。延伸倍率については特に制限はないが、少なくとも4倍以上とすることが好ましく、6倍以上とすることがさらに好ましく、8倍以上とすることがとくに好ましい。延伸倍率を制御することにより、得られる全芳香族ポリアミド繊維の伸度および強度を制御することができる。また、逐次延伸を採用すれば、延伸安定性を向上させることができる。
<扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維の物性>
本発明で使用する扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、以下の物性を有する。
[単糸断面の扁平度]
本発明で使用する扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、扁平化された当該繊維の単糸断面の最長軸(L1)とそのL1と直交する最長軸(T1)(T1は繊維厚みとも称する)の比(L1/T1)が5.0より大きく、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは13以上である。(L1/T1)が5未満では薄肉での強化が十分とは言えない。
単糸断面の最長軸(L1)とそのLと直交する最長軸(T1)とは、図6から図8に示す扁平断面糸の各長さのことである。
また、本発明で使用する扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維の扁平化された当該繊維の単糸断面の両端3μmを省いた最長軸(L2)に直交する最短軸(T2)と、単糸断面の最長軸(L1)に直交する最長軸(T1)との比(T2/T1)が、好ましくは0.7以上1.0以下であり、より好ましくは、0.8以上1.0以下、さらに好ましくは0.9以上1.0以下の範囲である。
最長軸(T1)と両端3μmを省いた最長軸(L2)に直交する最短軸(T2)とは、図9、図10に示すような扁平断面糸の各長さのことである。
さらに、本発明で使用する扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維の扁平化された当該繊維の単糸断面積(A1)と単糸の円周が外接する長方形の面積(A2)との比(A2/A1)が、好ましくは1.00以上1.25以下であり、より好ましくは1.00以上1.20以下、さらに好ましくは1.00以上1.15以下、特に好ましくは1.00以上1.10以下の範囲である。
扁平断面繊維は一様に薄い厚みを保持することが求められる。(A2/A1)は、扁平断面の歪を示しており、1.25を超えると極度に厚いところあるいは薄いところができてしまうため、薄肉での強化が十分とは言えない。
繊維の単糸断面積(A1)と単糸の円周が外接する長方形の面積(A2)とは、図11、図12に示す扁平断面繊維の各長さのことである。
[扁平度の変動係数]
本発明で使用する扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、扁平化された当該繊維の単糸断面の扁平度の変動係数が10%未満である。好ましくは8%未満、より好ましくは5%未満ある。
変動係数が10%未満であると欠点がないことを意味しており、製品を安定して補強できるため有効である。
[単糸断面の厚み]
本発明で使用する扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、扁平化された当該繊維の単糸断面の最長軸(L)と直交する最長軸の長さ(T1)が30μm以下である。(T1)は好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下、特に好ましくは3μm以下である。(T1)が30μmより大きい場合は、厚みが大きいため、本発明が目的とする薄さを求められる用途に適さない。
<複合ケーブル>
本発明に係る複合ケーブルの構成としては、図1に示す如く、1本または複数本の抗張力線を束ねたものに導体である電線を複数本巻き付けたのち、被覆用樹脂で被覆したものや、図2に示す如く、導体を束ねたものの周りに抗張力線を配して隙間を埋め、被覆用樹脂で被覆した構成が例示される。導線の本数や直径は必要に応じ変更することができる。
また、抗張力線と導体とを束ねたもののさらに外周に金属テープを捲き、導体への外部からの影響を低減してもよい。導体の断面形状は、扁平形状であっても、丸形状であってもよい。
本発明においては、いずれの構成の複合ケーブルであっても、抗張力線が上述した扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維から構成されているため、抗張力線を複合ケーブル自体を太径化することなくコンパクトに配置でき、しかも、ケーブルが屈曲疲労を受けた場合、扁平形状の短辺に直行する方向に抗張力線を配置することで断線しにくくなるという特徴を有する。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳しく具体的に説明する。ただし、これらの実施例および比較例は本発明の理解を助けるためのものであって、これらの記載によって本発明の範囲が限定されるものではない。尚、実施例中の各物性は以下の方法により測定した。
〈測定・評価方法〉
実施例および比較例における各特性値は、以下の測定により測定・評価を行った。
(1)総繊度
得られた繊維を、公知の検尺機を用いて100m巻き取り、その質量を測定した。測定は2回行い、その質量の平均値に100を乗じた値を、10000m当たりの繊度(dtex)とした。
(2)引張強度
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片長 :750mm
撚係数 :1
試験速度 :250mm/秒
チャック間距離 :500mm
(3)扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維の扁平度と変動係数
繊維の断面画像をマイクロスコープ(キーエンス社製、商品名:デジタルマイクロスコープ VHX−2000)を用いて倍率500〜800倍にて撮影し、その画像からL1、L2、T1、T2、A1、Dを50点計測した。A2に関しては計測したT1、L1を用いて、T1×L1にて算出した。
変動係数は、上記短繊維断面の形状を測定した50点のL1とT1の結果から、L1/T1の平均値と標準偏差をもとめ、以下の式により変動係数を算出した。
変動係数=標準偏差÷平均値×100 (%)
(4)占有厚み
ケーブル構成が図1の場合、模擬的試験として、繊維束に撚り係数1((撚り係数)=(撚り数(回/m)×√繊度(tex)/1055))で撚りをかけたものを綿に包んで切断し、その断面をマイクロスコープで観察して繊維束の厚みで最短となる距離を測定し、占有厚みとした。試験は5回実施し、平均の値をその繊維の占有厚みとした。
ケーブル構成が図2の場合、繊維に撚りをかけずに綿に包んで切断し、その断面をマイクロスコープで撮影して繊維束の厚みで最短となる距離を測定し、占有あつみとした。試験は5回実施し、その平均値をその繊維の占有厚みとした。
(5)占有断面積
ケーブル補強のために必要な強力を12236cNに設定し、パラ型全芳香族ポリアミド繊維の強力が設定値を満たす場合の総繊度を抗張力線の繊度とした。設定繊度と該パラ型全芳香族ポリアミド繊維の密度から、断面積を算出し、この値を占有断面積とした。コポリパラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドを例として挙げると、扁平度5のコポリパレフェニレン3,4−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維の強度は24cN/dtexであり、該繊維が強力12236cNを満たすのは総繊度が509dtexとなった。この時の該繊維の断面積は、該繊維の密度1.39g/cmを用いて算出すると、33933μmとなる。ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)の場合も、同様にして占有断面積を算出した。
(6)扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維の屈曲疲労性
扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維の片方に150gの重りを吊るし、もう一方を直径が規定されたフリーローラーに通したのち固定した。ストローク長60mm、100rpmの条件で屈曲疲労を10万回実施したのち、(2)に示した条件で繊維の強伸度測定を行った。
得られた繊維強度を屈曲疲労後の強度とし、(屈曲疲労後の強度/屈曲疲労前の強度)×100にて強度保持率を算出した。測定は各2回実施し、平均値を強度保持率とした。フリーローラーの直径は、一般的なケーブルの曲げ限界である30mmと、50mmの2通りを用いて実施した。
<実施例1>
繊維束の総繊度509dtex、L1/T1=5、L1/T1の変動係数9%のコポリパラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維を用い、図1に示したケーブル構成を模式的に再現してその断面写真を撮影し、占有厚みを測定した。また、(6)に示した方法で屈曲疲労性を評価し、強度保持率を算出した。
占有厚みに関しては、高強度繊維であるため、用いる繊維の総繊度は509dtexと少なくてもよく、占有断面積も33933μmと小さく良好な結果となった。また、占有厚みは180μmで良好だった。算出したA1およびA2から算出した断面積比(A2/A1)は、1.18であり、屈曲疲労性についても、屈曲保持率はローラー径30mmで65%と高く、50mmでは79%と高く良好な結果となった。
<実施例2>
繊維束の総繊度509dtex、L1/T1=5、L1/T1の変動係数9%のコポリパラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維について、図2に示したケーブル構成を模式的に再現してその断面写真を撮影し、占有厚みを測定した。また、(6)に示した方法で屈曲疲労性を評価し、強度保持率を算出した。
占有厚みに関しては、高強度繊維であるため、用いる繊維の総繊度は509dtexと少なくてもよく、占有断面積も33933μmと小さく良好な結果となった。また、占有厚みは150μmと非常に良好だった。算出したA1およびA2から算出した断面積比(A2/A1)は、1.23であり、屈曲疲労性についても、屈曲保持率はローラー径30mmで70%と高く、50mmでは82%と高く非常に良好な結果となった。
<実施例3>
繊維束の総繊度509dtex、L1/T1=5、L1/T1の変動係数14%のコポリパラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維について、図1に示したケーブル構成を模式的に再現してその断面写真を撮影し、占有厚みを測定した。また、(6)に示した方法で屈曲疲労性を評価し、強度保持率を算出した。
占有厚みに関しては、高強度繊維であるため、用いる繊維の総繊度は509dtexと少なくてもよく、占有断面積も33933μmと小さく良好な結果となった。占有厚みは扁平度の変動率が大きいことに起因して繊維の引揃え性が悪化しており、200μmとなった。算出したA1およびA2から算出した断面積比(A2/A1)は、1.20であり、屈曲疲労性についても、屈曲保持率はローラー径30mmで60%、50mmでは76%と良好な結果となった。
<実施例4>
算出したA1およびA2から算出した断面積比(A2/A1)が、1.26であり、繊維束の総繊度559dtex、L1/T1=5、L1/T1の変動係数9%のコポリパラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維について、図1に示したケーブル構成を模式的に再現してその断面写真を撮影し、占有厚みを測定した。また、(6)に示した方法で屈曲疲労性を評価し、強度保持率を算出した。
占有厚みに関しては、必要強力を満たす繊維の総繊度は559dtexとなり、占有断面積も37326μmとなった。算出したA1およびA2から算出した断面積比(A2/A1)が1.26であることに起因し、占有厚みは195μmとなった。屈曲疲労性については、屈曲保持率はローラー径30mmで58%、50mmでは73%となった。
<実施例5>
算出したA1およびA2から算出した断面積比(A2/A1)が、0.85であり、繊維束の総繊度564dtex、L1/T1=5、L1/T1の変動係数9%のコポリパラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維について、図2に示したケーブル構成を模式的に再現してその断面写真を撮影し、占有厚みを測定した。また、(6)に示した方法で屈曲疲労性を評価し、強度保持率を算出した。
占有厚みに関しては、必要強力を満たす繊維の総繊度は559dtexとなり、占有断面積も37326μmとなった。算出したA1およびA2から算出した断面積比(A2/A1)が0.85であることに起因し、占有厚みは190μmとなった。屈曲疲労性については、屈曲保持率はローラー径30mmで59%、50mmでは74%となった。
<比較例1>
繊維束の総繊度509dtexの丸型断面のコポリパラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維について、図1に示したケーブル構成を模式的に再現してその断面写真を撮影し、占有厚みを測定した。また、(6)に示した方法で屈曲疲労性を評価し、強度保持率を算出した。
占有厚みに関しては、高強度繊維であるため、用いる繊維の総繊度は509dtexと少なくてもよく、占有断面積も33933μmと小さかった。占有厚みは207μmで不十分だった。屈曲疲労性については、屈曲保持率はローラー径30mmで52%と高く、50mmでは71%と不十分だった。
<比較例2>
繊維束の総繊度532dtex、L1/T1=5、L1/T1の変動係数9%の丸型断面のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維について、図2に示したケーブル構成を模式的に再現してセクションを撮影し、占有厚みを測定した。また、(6)に示した方法で屈曲疲労性を評価し、強度保持率を算出した。
占有厚みに関しては、高強度繊維であるため、必要な繊維の総繊度は532dtexと大きく、占有断面積も33933μmと小さく良好な結果となった。占有厚みは217μmで不十分だった。屈曲疲労性についても、屈曲保持率はローラー径30mmで36%、50mmでは62%と不十分だった。
実施例、比較例における物性の評価結果を表1に示す。
Figure 2020143384
L 扁平吐出孔の長軸
W1 扁平吐出孔の短軸端部
W2 扁平吐出孔の短軸中心部
L1 偏平繊維の単糸断面の最長軸
T1 L1と直交する単糸断面の厚み方向の最長軸
L2 扁平繊維の単糸断面の両端3μmを省いた最長軸
T2 L2と直交する単糸断面の厚み方向の最短軸
A1 扁平繊維の単糸断面積
A2 扁平繊維の単糸の円周が外接する長方形の面積

Claims (3)

  1. 繊維軸方向に対して直交する単糸繊維の断面形状が扁平断面を有するパラ型全芳香族ポリアミド短繊維であって、該扁平断面の最長軸(L1)とその(L1)に直交する最長軸(T1)の比(L1/T1)が5.0より大きいパラ型全芳香族ポリアミド繊維を抗張力線として用いることを特徴とする複合ケーブル。
  2. 前記扁平断面における(L1)と(T1)の比(L1/T1)の変動係数が10%未満である請求項1に記載の複合ケーブル。
  3. パラ型全芳香族ポリアミドが、コポリパラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドである請求項1又は2記載の複合ケーブル。
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