JP2020143263A - ポリフェニレンエーテル、硬化性組成物、ドライフィルム、プリプレグ、硬化物、積層板、および電子部品 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル、硬化性組成物、ドライフィルム、プリプレグ、硬化物、積層板、および電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】低誘電特性を維持しつつも、種々の溶媒にも可溶な、ポリフェニレンエーテルを提供する。【解決手段】少なくとも条件1を満たすフェノール類と、分子構造中に2個以上のフェノール性水酸基を有する多価フェノール類であり、フェノール性水酸基のオルト位に水素原子を有しないフェノール類と、を含む原料フェノール類からなることを特徴とする、ポリフェニレンエーテル。(条件1)オルト位およびパラ位に水素原子を有する【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテルに関し、さらに当該ポリフェニレンエーテルを含む硬化性組成物、ドライフィルム、プリプレグ、硬化物、積層板、および電子部品に関する。
第5世代通信システム(5G)に代表される大容量高速通信や自動車のADAS(先進運転システム)向けミリ波レーダー等などの普及により通信機器の信号の高周波化が進んできた。
しかし、配線板材料としてエポキシ樹脂などの使用では比誘電率(Dk)や誘電正接(Df)が十分に低くないために、周波数が高くなるほど誘電損失に由来する伝送損失の増大が起こり、信号の減衰や発熱などの問題が生じていた。そのため、低誘電特性にすぐれたポリフェニレンエーテルが使用されてきたが、ポリフェニレンエーテルは熱可塑性樹脂であるために耐熱性の問題があった。
その問題を解決するための手段として非特許文献1には、ポリフェニレンエーテルの分子内にアリル基を導入させて、熱硬化性樹脂とすることが提案されている。
J. Nunoshige, H. Akahoshi, Y. Shibasaki, M. Ueda, J. Polym. Sci. Part A: Polym. Chem. 2008, 46, 5278-3223.
しかしながら、ポリフェニレンエーテルは可溶する溶媒が限られており、非特許文献1の手法で得られたポリフェニレンエーテルも、クロロホルムやトルエン等の非常に毒性が高い溶媒にしか溶解しない。そのため、樹脂ワニスの取り扱いや、配線板用途のような塗膜化して硬化させる工程における溶媒暴露の管理が難しいという問題があった。
そこで本発明の目的は、低誘電特性を維持しつつも、種々の溶媒(毒性の高い有機溶媒以外の有機溶媒、例えばシクロヘキサノン)にも可溶な、ポリフェニレンエーテルを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意検討した結果、ポリフェニレンエーテルの原料として、特定のフェノール類を使用することにより、上記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、少なくとも条件1を満たすフェノール類と、
分子構造中に2個以上のフェノール性水酸基を有する多価フェノール類であり、フェノール性水酸基のオルト位に水素原子を有しないフェノール類と、
を含む原料フェノール類からなることを特徴とする、ポリフェニレンエーテルが提供される。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
本発明は、好ましくは、少なくとも条件1を満たすフェノール類と、
分子構造中に2個以上のフェノール性水酸基を有する多価フェノール類であり、フェノール性水酸基のオルト位に水素原子を有しないフェノール類と、
を含む原料フェノール類からなり、コンフォメーションプロットで算出された傾きが0.6未満であることを特徴とする、ポリフェニレンエーテルを提供するものである。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
前記原料フェノール類は、
少なくとも下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)、または、少なくとも下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)の混合物を含んでもよい。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(条件2)
パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有する
本発明によれば、前記ポリフェニレンエーテルと、過酸化物と、を含む硬化性組成物が提供される。前記硬化性組成物は、架橋型硬化剤を含んでもよい。
本発明によれば、前記硬化性組成物を基材に塗布又は含浸して得られるドライフィルムまたはプリプレグが提供される。
本発明によれば、前記硬化性組成物を硬化して得られる硬化物が提供される。
本発明によれば、前記硬化物を含む積層板が提供される。
本発明によれば、前記硬化物を有する電子部品が提供される。
本発明によれば、低誘電特性を維持しつつも、種々の溶媒に可溶な、ポリフェニレンエーテルを提供することが可能となる。
図1は、ポリフェニレンエーテルのNMR解析結果である。
以下、本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法、および、該製造方法によって得られるポリフェニレンエーテルについて具体的に説明するが、本発明はこれらには何ら限定されない。
なお、説明した化合物に異性体が存在する場合、特に断らない限り、存在し得る全ての異性体が本発明において使用可能である。
また、本発明において、「不飽和炭素結合」は、特に断らない限り、エチレン性またはアセチレン性の炭素間多重結合(二重結合または三重結合)を示す。
本発明において、原料フェノール類の説明を行う際に「オルト位」や「パラ位」等と表現した場合、特に断りがない限り、フェノール性水酸基の位置を基準(イプソ位)とする。
本発明において、単に「オルト位」等と表現した場合、「オルト位の少なくとも一方」等を示す。従って、特に矛盾が生じない限り、単に「オルト位」とした場合、オルト位のどちらか一方を示すと解釈してもよいし、オルト位の両方を示すと解釈してもよい。
<<<ポリフェニレンエーテルおよびその製造方法>>>
以下、本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法(合成方法)の各工程および当該製造方法により得られる本発明のポリフェニレンエーテルについて説明する。後述する通り、本発明のポリフェニレンエーテルは分岐構造を有するポリフェニレンエーテルである。そのため、本発明のポリフェニレンエーテルを分岐ポリフェニレンエーテルと表現する場合がある。
<<<工程>>>
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、酸化重合を行うに際して特定のフェノール類を原料として含めばよく、それ以外は従来公知のポリフェニレンエーテルの製造方法を適用することが可能である。
なお、本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法において、原料として用いられ、ポリフェニレンエーテルの構成単位になり得るフェノール類を総称して、「原料フェノール類」とする。
本発明のポリフェニレンエーテルは、例えば、特定のフェノール類、触媒および溶媒を含む重合溶液を調製すること(重合溶液調製工程)、少なくとも前記溶媒に酸素を通気させること(酸素供給工程)、酸素を含む前記重合溶液内で、フェノール類を酸化重合させること(重合工程)で製造可能である。
以下、重合溶液調製工程、酸素供給工程および重合工程について説明する。なお、各工程を連続的に実施してもよいし、ある工程の一部または全部と、別の工程の一部または全部と、を同時に実施してもよいし、ある工程を中断し、その間に別の工程を実施してもよい。例えば、重合溶液調製工程中や重合工程中に酸素供給工程を実施してもよい。また、本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、必要に応じてその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、重合工程により得られるポリフェニレンエーテルを抽出する工程(例えば、再沈殿、ろ過および乾燥を行う工程)等が挙げられる。
<<重合溶液調製工程>>
重合溶液調製工程は、重合工程において重合されるフェノール類を含む各原料を混合し、重合溶液を調製する工程である。重合溶液の原料としては、原料フェノール類、触媒、溶媒が挙げられる。
<原料フェノール類>
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法において、重合溶液は原料フェノール類として下記条件1を満たすフェノール類を必須成分として含む。なお、本願において単に「フェノール類」と表現する時は、多価フェノール類ではないフェノール類、すなわち1価のフェノール類を意味する。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する。
条件1を満たすフェノール類{例えば、後述するフェノール類(A)およびフェノール類(B)}は、オルト位に水素原子を有するため、フェノール類と酸化重合される際に、イプソ位、パラ位のみならず、オルト位においてもエーテル結合が形成され得るため、分岐鎖状の構造を形成することが可能となる。
条件1を満たさないフェノール類{例えば、後述するフェノール類(C)およびフェノール類(D)}は、酸化重合される際には、イプソ位およびパラ位においてエーテル結合が形成され、直鎖状に重合されていく。
このように、所定ポリフェニレンエーテルは、その構造の一部が、少なくともイプソ位、オルト位、パラ位の3か所がエーテル結合されたベンゼン環により分岐することとなる。ポリフェニレンエーテルは、例えば、骨格中に少なくとも式(i)で示されるような分岐構造を有するポリフェニレンエーテルである化合物と考えられる。
Figure 2020143263
式(i)中、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜15(好ましくは、炭素数1〜12)の炭化水素基である。
本発明の効果を阻害しない範囲内で、原料フェノール類は、条件1を満たさないその他のフェノール類を含んでいてもよい。
その他のフェノール類としては、例えば、後述するフェノール類(C)およびフェノール類(D)、パラ位に水素原子を有しないフェノール類が挙げられる。ポリフェニレンエーテルの高分子量化のために、原料フェノール類として、フェノール類(C)およびフェノール類(D)をさらに含むことが好ましい。
また前記重合溶液は、所定の多価フェノール類を必須成分として含む。所定の多価フェノール類とは、分子構造内にフェノール性水酸基を少なくとも2個(好ましくは2個)有し、かつ、当該少なくとも2個のフェノール性水酸基の全てのオルト位において水素原子を有さない化合物である。当該多価フェノール類内のフェノール性水酸基が重合反応を起こすことで、当該多価フェノール類の両端に上述したような分岐構造を有するポリフェニレンエーテル鎖が付加される、および/または成長する。結果として、従来よりも複雑な(分岐度の高い)構造を備えるポリフェニレンエーテルが形成され、シクロヘキサノンなどへの溶解性が向上する。また当該多価フェノール類の両端にポリフェニレンエーテル鎖が存在することから、当該多価フェノール類を用いない場合と比較して末端水酸基の数が多くなる。末端水酸基を変性してポリフェニレンエーテルを改質しようとする場合に有利である。
所定の多価フェノール類は、当該少なくとも2個のフェノール性水酸基のパラ位において水素原子を有さないことが好ましい。パラ位に水素原子を有さないことで反応の制御が容易になり、得られるポリフェニレンエーテルを高分子量化し易くなる。
本発明の好ましいポリフェニレンエーテルの製造方法において、重合溶液は下記の条件を満たすフェノール類を含有する。下記の条件の全てを満たすフェノール類を含有してもよいし、それぞれの条件を満たす複数のフェノール類を含有してもよい。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(条件2)
パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有する
すなわち本発明の好ましいポリフェニレンエーテルの製造方法は、
(形態1)原料フェノール類として、少なくとも、下記の条件1および条件2をいずれも満たすフェノール類(A)を必須成分として含む形態、または、
(形態2)原料フェノール類として、少なくとも、下記の条件1を満たし条件2を満たさないフェノール類(B)と下記の条件1を満たさず条件2を満たすフェノール類(C)とを必須成分として含む形態、
の2つの形態に分類される。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(条件2)
パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有する
上記形態1は、原料フェノール類として、さらにフェノール類(B)および/またはフェノール類(C)を含む形態であってもよい。また、上記形態2は、原料フェノール類として、さらにフェノール類(A)を含む形態であってもよい。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、上記形態2であることか、上記形態1においてフェノール類(B)および/またはフェノール類(C)を更なる必須成分として含む形態であることが好ましい。
また、本発明の効果を阻害しない範囲内で、原料フェノール類は、その他のフェノール類を含んでいてもよい。
その他のフェノール類としては、例えば、パラ位に水素原子を有し、オルト位に水素原子を有せず、不飽和炭素結合を含む官能基を有しないフェノール類であるフェノール類(D)が挙げられる。
上記形態1および上記形態2のいずれにおいても、ポリフェニレンエーテルの高分子量化のために、原料フェノール類として、フェノール類(D)をさらに含むことが好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、上記形態2において、原料フェノール類として、フェノール類(D)をさらに含む形態であることがもっとも好ましい。
さらに、上記形態2においては、工業的・経済的な観点から、フェノール類(B)が、o−クレゾール、2−フェニルフェノール、2−ドデシルフェノールおよびフェノールの少なくともいずれか1種であり、フェノール類(C)が、2−アリル−6−メチルフェノールであることが好ましい。
以下、フェノール類(A)〜(D)及び所定の多価フェノール類に関してより詳細に説明する。
フェノール類(A)は、上述のように、条件1および条件2のいずれも満たすフェノール類、即ち、オルト位およびパラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有するフェノール類であり、好ましくは下記式(1)で示されるフェノール類(a)である。
Figure 2020143263
式(1)中、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜15の炭化水素基である。ただし、R〜Rの少なくとも一つが、不飽和炭素結合を有する炭化水素基である。なお、酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(1)で示されるフェノール類(a)としては、o−ビニルフェノール、m−ビニルフェノール、o−アリルフェノール、m−アリルフェノール、3−ビニル−6−メチルフェノール、3−ビニル−6−エチルフェノール、3−ビニル−5−メチルフェノール、3−ビニル−5−エチルフェノール、3−アリル−6−メチルフェノール、3−アリル−6−エチルフェノール、3−アリル−5−メチルフェノール、3−アリル−5−エチルフェノール等が例示できる。式(1)で示されるフェノール類は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
フェノール類(B)は、上述のように、条件1を満たし、条件2を満たさないフェノール類、即ち、オルト位およびパラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有しないフェノール類であり、好ましくは下記式(2)で示されるフェノール類(b)である。
Figure 2020143263
式(2)中、R〜Rは、水素原子、または炭素数1〜15の炭化水素基である。ただし、R〜Rは、不飽和炭素結合を有しない。なお、酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(2)で示されるフェノール類(b)としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−tert−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、2−ドデシルフェノール、等が例示できる。式(2)で示されるフェノール類は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
フェノール類(C)は、上述のように、条件1を満たさず、条件2を満たすフェノール類、即ち、パラ位に水素原子を有し、オルト位に水素原子を有せず、不飽和炭素結合を含む官能基を有するフェノール類であり、好ましくは下記式(3)で示されるフェノール類(c)である。
Figure 2020143263
式(3)中、RおよびR10は、炭素数1〜15の炭化水素基であり、RおよびRは、水素原子、または炭素数1〜15の炭化水素基である。ただし、R〜R10の少なくとも一つが、不飽和炭素結合を有する炭化水素基である。なお、酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(3)で示されるフェノール類(c)としては、2−アリル−6−メチルフェノール、2−アリル−6−エチルフェノール、2−アリル−6−フェニルフェノール、2−アリル−6−スチリルフェノール、2,6−ジビニルフェノール、2,6−ジアリルフェノール、2,6−ジイソプロペニルフェノール、2,6−ジブテニルフェノール、2,6−ジイソブテニルフェノール、2,6−ジイソペンテニルフェノール、2−メチル−6−スチリルフェノール、2−ビニル−6−メチルフェノール、2−ビニル−6−エチルフェノール等が例示できる。式(3)で示されるフェノール類は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
フェノール類(D)は、上述のように、パラ位に水素原子を有し、オルト位に水素原子を有せず、不飽和炭素結合を含む官能基を有しないフェノール類であり、好ましくは下記式(4)で示されるフェノール類(d)である。
Figure 2020143263
式(4)中、R11およびR14は、不飽和炭素結合を有しない炭素数1〜15の炭化水素基であり、R12およびR13は、水素原子、または不飽和炭素結合を有しない炭素数1〜15の炭化水素基である。なお、酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(4)で示されるフェノール類(d)としては、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジトリルフェノール等が例示できる。式(4)で示されるフェノール類は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
所定の多価フェノール類は、分子構造内に2以上のフェノール性水酸基を有し、フェノール性水酸基のオルト位に水素原子を有さない。好ましくはフェノール性水酸基のパラ位に水素原子を有さない。例えば、下記式(9)で示される多価フェノール類(e)または下記式(10)で示される多価フェノール類(f)である。
Figure 2020143263
式(9)中、R1〜R5は、水素原子、水酸基、炭素数1〜15の炭化水素基であり、R1〜R5の少なくとも1つは水酸基であり、水酸基のオルト位は水素原子ではない。なお、酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(9)で示される多価フェノール類(e)のうち、2価フェノール類は下記の式(9−1)から式(9−3)で示される化合物である。
Figure 2020143263
Figure 2020143263
Figure 2020143263
式(9−1)中、R1およびR4は炭素数1〜15の炭化水素基であり、R2およびR3は水素原子または炭素数1〜15の炭化水素基である。
式(9−2)中、R1、R3およびR5は炭素数1〜15の炭化水素基であり、R12は水素原子または炭素数1〜15の炭化水素基である。
式(9−3)中、R1〜R5は、炭素数1〜15の炭化水素基である。
なお、酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(9)で示される多価フェノール類(e)としては、3,6−ジメチルカテコール、3,6−t−ブチルカテコール、3,6−ジアリルカテコール、3−メチル−6−アリルカテコール、3−メチル−6−シクロヘキシルカテコール、3−メチル−6−フェニルカテコール、3−メチル−6−ベンジルカテコール、3,4,6−トリメチルカテコール、テトラメチルカテコール、2,4,6−トリメチルレゾルシノール、テトラメチルレゾルシノール、テトラメチルハイドロキノン、4,6−ジメチルピロガロール、トリメチルフロログルシノール、トリメチルヒドロキシキノール、ヘキサヒドロキシベンゼン等が例示できる。式(9)で示される多価フェノール類(e)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
Figure 2020143263
式(10)中、Xは単結合または2価の有機基である。2価の有機基としては、2価の炭化水素基(好ましくはアルキレン基またはアルキリデン基)、ホスフィン原子団(−PR−)、アミン原子団(−NR−)、アミド結合(−CO−NH−)、アゾ基(−N=N−)などが挙げられる。Rは水素原子または炭素数1〜15、好ましくは1〜6の炭化水素基である。2価の炭化水素基の炭素数は好ましくは1〜12、より好ましくは1〜3である。
式(10)中、R1〜R10は、水素原子、水酸基、炭素数1〜15の炭化水素基であり、R1〜R5の少なくとも1つは水酸基であり、R6〜R10の少なくとも1つは水酸基であり、水酸基のオルト位は水素原子ではない。酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(10)で示される多価フェノール類(f)のうち、2価フェノール類は下記の式(10−1)から式(10−6)で示される化合物である。
Figure 2020143263
Figure 2020143263
Figure 2020143263
Figure 2020143263
Figure 2020143263
Figure 2020143263
式(10−1)中、R1〜R3およびR6〜R8は水素原子または炭素数1〜15の炭化水素基であり、R4およびR9は炭素数1〜15の炭化水素基である。
式(10−2)中、R1〜R3およびR6〜R7は水素原子または炭素数1〜15の炭化水素基であり、R4、R8およびR10は炭素数1〜15の炭化水素基である。
式(10−3)中、R1〜R3、R6およびR10は水素原子または炭素数1〜15の炭化水素基であり、R4、R7およびR9は炭素数1〜15の炭化水素基である。
式(10−4)中、R1〜R2およびR6〜R7は水素原子または炭素数1〜15の炭化水素基であり、R3、R5、R8およびR10は炭素数1〜15の炭化水素基である。
式(10−5)中、R1〜R2、R6およびR10は水素原子または炭素数1〜15の炭化水素基であり、R3、R5、R7およびR9は炭素数1〜15の炭化水素基である。
式(10−6)中、R1、R5、R6およびR10は水素原子または炭素数1〜15の炭化水素基であり、R2、R4、R7およびR9は炭素数1〜15の炭化水素基である。
なお、酸化重合時に高分子化することが容易になるという観点から、炭化水素基は、炭素数1〜12であることが好ましい。
式(10)で示される多価フェノール類(f)としては、
2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、
2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアリルビフェニル、
2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジシクロヘキシルビフェニル、
2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルビフェニル、
2,2’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、
2,2’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、
4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチルビフェニル、
4,4’−ジヒドロキシ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタメチルビフェニル、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルビフェニル、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル、
ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジアリルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジシクロヘキシルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フェニルメタン
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、
1,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−フェニルエタン
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−エチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニル−5−エチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ブタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、
1,4−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゼン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フェニルホスフィン、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)アミン、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチルアミン、
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フェニルアミン、
4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンズアミド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラキスメチルアゾベンゼン
等が例示できる。式(10)で示される多価フェノール類(f)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
ここで、所定の多価フェノール類は、式(9)で示される多価フェノール類(e)および式(10)で示される多価フェノール類(f)以外の多価フェノールであってもよい。例えば、トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、テトラキス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)アミン等が挙げられる。
ここで、本発明において、炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられ、好ましくはアルキル基、アリール基、アルケニル基である。不飽和炭素結合を有する炭化水素基としては、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。なお、これらの炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
さらに、その他のフェノール類として、パラ位に水素原子を有しないフェノール類等を含んでいてもよい。
原料フェノール類の合計に対する条件1を満たすフェノール類の割合が、1〜50mol%であることが好ましい。
原料フェノール類の合計に対する条件2を満たすフェノール類の割合が0.5〜99mol%であることが好ましく、1〜99mol%であることがより好ましい。
<触媒>
触媒は特に限定されず、ポリフェニレンエーテルの酸化重合において使用される適宜の触媒とすればよい。
触媒としては、例えば、アミン化合物や、銅、マンガン、コバルト等の重金属化合物とテトラメチルエチレンジアミンなどのアミン化合物とからなる金属アミン化合物が挙げられ、特に、十分な分子量の共重合体を得るためには、アミン化合物に銅化合物を配位させた銅−アミン化合物を用いることが好ましい。触媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
触媒の含有量は特に限定されないが、重合溶液中、原料フェノール類の合計に対し0.1〜0.6mol%等とすればよい。
このような触媒は、予め適宜の溶媒に溶解させてもよい。
<溶媒>
溶媒は特に限定されず、ポリフェニレンエーテルの酸化重合において使用される適宜の溶媒とすればよい。溶媒は、フェノール性化合物および触媒を溶解または分散可能なものを用いることが好ましい。
溶媒としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(CA)等が挙げられる。溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
なお、溶媒として、水や水と相溶可能な溶媒等を含んでいてもよい。
重合溶液中の溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調整すればよい。
<その他の原料>
重合溶液は、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の原料を含んでいてもよい。
<<酸素供給工程>>
酸素供給工程は、重合溶液中に酸素含有ガスを通気させる工程である。
酸素ガスの通気時間や使用する酸素含有ガス中の酸素濃度は、気圧や気温等に応じて適宜変更可能である。
<<重合工程>>
重合工程は、重合溶液中に酸素が供給された状況下、重合溶液中のフェノール類を酸化重合させる工程である。
具体的な重合の条件としては特に限定されないが、例えば、25〜100℃、2〜24時間の条件で撹拌すればよい。
本発明のポリフェニレンエーテルは、上述した製造方法によって得られるものであり、換言すれば、上述した原料フェノール類を酸化重合させて得られるポリフェニレンエーテルである。
<<末端変性>>
このようにして得られたポリフェニレンエーテルにおける一部または全部の末端水酸基は、変性用化合物を用い、従来公知の方法に従って変性することができる。変性用化合物の種類、反応温度、反応時間、触媒の有無および触媒の種類等については、適宜設計可能である。変性用化合物として2種類以上の化合物を使用してもよい。上述した通り、当該多価フェノール類を用いると末端水酸基の数が比較的多くなる。末端水酸基を変性してポリフェニレンエーテルを改質しようとする場合に有利である。
ここで、変性用化合物としては、末端水酸基を変性できるものであればよく、具体的には、触媒の存在下または非存在下で、フェノール性の水酸基と反応可能な、炭素数1以上の有機化合物が挙げられる。このような有機化合物は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子等を含んでいてもよい。
変性用化合物により末端水酸基を変性する場合、通常、末端水酸基と変性用化合物とでエーテル結合またはエステル結合を形成する。
末端変性ポリフェニレンエーテルに、変性用化合物由来の性質を付与することも可能である。例えば、変性用化合物がリン原子を含むこと(より具体的には、変性用化合物がハロゲン化有機リン化合物であること)で、硬化物の難燃性を向上させることができる。また、硬化物の耐熱性の観点から変性用化合物は熱又は光反応性の官能基を含むことが好ましい。例えば、変性用化合物が、不飽和炭素結合、シアネート基またはエポキシ基を含むことで、本発明の末端変性ポリフェニレンエーテルの反応性を向上させることができる。
変性用化合物の好適例としては、下記式(A)で示される有機化合物が挙げられる。
Figure 2020143263
式(A)中、R、R、Rは、各々独立して、水素または、炭素数1〜9の炭化水素基であり、Rは、炭素数1〜9の2価の炭化水素基であり、Xは、F、Cl、Br、IまたはCN等のフェノール性水酸基と反応可能な基である。
ポリフェニレンエーテルの末端水酸基が変性されたことは、ポリフェニレンエーテルと末端変性ポリフェニレンエーテルとの水酸基価を比較することで確認することができる。なお、末端変性ポリフェニレンエーテルは、一部が未変性の水酸基のままであってもよい。
ここで、ポリフェニレンエーテルに係る構造解析の一例を示す。
図1は13C−NMRスペクトルであり、上側のスペクトルは、o−クレゾールと2−アリル−6−メチルフェノールの共重合体のものであり、下側のスペクトルは、2,6−ジメチルフェノールと2−アリル−6−メチルフェノールの共重合体のものである。スペクトルチャートの通り、条件1を満たす原料フェノール類を使用した場合のポリフェニレンエーテル(PPE)はピークの同定が困難である。従って、13C−NMRスペクトルによる構造解析を考慮する場合には、本発明のポリフェニレンエーテルを合成原料にて特定することが好ましい。
ここで、以下の分析を実施することにより、所定ポリフェニレンエーテルの分岐構造(分岐の度合い)を特定することが可能である。
<分析手順>
ポリフェニレンエーテルのクロロホルム溶液を、0.1、0.15、0.2、0.25mg/mLの間隔で調製後、0.5mL/minで送液しながら屈折率差と濃度のグラフを作成し、傾きから屈折率増分dn/dcを計算する。次に、下記装置運転条件にて、絶対分子量を測定する。RI検出器のクロマトグラムとMALS検出器のクロマトグラムを参考に、分子量と回転半径の対数グラフ(コンフォメーションプロット)から、最小二乗法による回帰直線を求め、その傾きを算出する。
<測定条件>
装置名 :HLC8320GPC
移動相 :クロロホルム
カラム :TOSOH TSKguardcolumnHHR−H
+TSKgelGMHHR−H(2本)
+TSKgelG2500HHR
流速 :0.6mL/min.
検出器 :DAWN HELEOS(MALS検出器)
+Optilab rEX(RI検出器、波長254nm)
試料濃度 :0.5mg/mL
試料溶媒 :移動相と同じ。試料5mgを移動相10mLで溶解
注入量 :200μL
フィルター :0.45μm
STD試薬 :標準ポリスチレン Mw 37,900
STD濃度 :1.5mg/mL
STD溶媒 :移動相と同じ。試料15mgを移動相10mLで溶解
分析時間 :100min
絶対分子量が同じ樹脂において、高分子鎖の分岐が進行しているものほど重心から各セグメントまでの距離(回転半径)は小さくなる。そのため、GPC−MALSにより得られる絶対分子量と回転半径の対数プロットの傾きは、分岐の程度を示し、傾きが小さいほど分岐が進行していることを意味する。本発明においては、上記コンフォメーションプロットで算出された傾きが小さいほどポリフェニレンエーテルの分岐が多いことを示し、この傾きが大きいほどポリフェニレンエーテルの分岐が少ないことを示す。
ポリフェニレンエーテルにおいて、上記傾きは、例えば、0.6未満であり、0.55以下、0.50以下、0.45以下、又は、0.40以下であることが好ましい。上記傾きがこの範囲である場合、ポリフェニレンエーテルが十分な分岐を有していると考えられる。なお、上記傾きの下限としては特に限定されないが、例えば、0.05以上、0.10以上、0.15以上、又は、0.20以上である。
なお、コンフォメーションプロットの傾きは、ポリフェニレンエーテルの合成の際の、温度、触媒量、攪拌速度、反応時間、酸素供給量、溶媒量を変更することで調整可能である。より具体的には、温度を高める、触媒量を増やす、攪拌速度を速める、反応時間を長くする、酸素供給量を増やす、及び/又は、溶媒量を少なくすることで、コンフォメーションプロットの傾きが低くなる(ポリフェニレンエーテルがより分岐し易くなる)傾向となる。
本発明のポリフェニレンエーテルは、数平均分子量が2,000〜30,000であることが好ましい。5,000〜30,000であることがより好ましく、8,000〜30,000であることが更に好ましく、8,000〜25,000であることが特に好ましい。さらに、本発明のポリフェニレンエーテルは、多分散指数(PDI:重量平均分子量/数平均分子量)が、1.5〜20であることが好ましい。なお、数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定を行い、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算したものである。
本発明のポリフェニレンエーテルの水酸基価は、溶剤溶解性の観点から、数平均分子量(Mn)が10,000以上の場合、7.0以上であることが好ましい。言い換えると、5,000以上の場合、14.0以上であることが好ましく、20,000以上の場合、3.5以上であることが好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテルは、重量平均分子量(Mw)が130,000以上でクロロホルムに対して溶解させた場合の濃度が0.5(g/mL)の場合、溶液粘度が250以下(P)であることが好ましい。また、重量平均分子量(Mw)が35,000以上で濃度が0.5(g/mL)の場合、溶液粘度が250以下(P)であることが好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテル1gが、25℃で、好ましくは100gのシクロヘキサノンに対して(より好ましくは、100gの、シクロヘキサノン、DMFおよびPMAに対して)可溶である。なお、ポリフェニレンエーテル1gが100gの溶剤(例えば、シクロヘキサノン)に対して可溶とは、ポリフェニレンエーテル1gと溶剤100gとを混合したときに、濁りおよび沈殿が目視で確認できないことを示す。本発明のポリフェニレンエーテルは、25℃で、100gのシクロヘキサノンに対して、1g以上可溶であることがより好ましい。
<<用途>>
本発明のポリフェニレンエーテルは、低誘電特性を維持しつつも、種々の溶媒(毒性の高い溶媒以外の溶媒)にも可溶であるため、様々な用途に適用することができる。
以下、本発明のポリフェニレンエーテルの具体的な用途として、硬化性組成物、および該硬化性組成物を硬化して得られる硬化物について説明する。
<硬化性組成物>
硬化性組成物は、本発明のポリフェニレンエーテルと過酸化物とを含み、好ましくはさらに架橋型硬化剤を含む。また、硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、その他の成分を含んでいてもよい。
本発明のポリフェニレンエーテルは前述の通りのため、過酸化物、架橋型硬化剤およびその他の成分について説明する。
過酸化物は、本発明のポリフェニレンエーテルに含まれる不飽和炭素結合を開き、架橋反応を促進する作用を有する。
過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ブテン、アセチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチレンパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、等があげられる。過酸化物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
過酸化物としては、これらの中でも、取り扱いの容易さと反応性の観点から、1分間半減期温度が130℃から180℃のものが望ましい。このような過酸化物は、反応開始温度が比較的に高いため、乾燥時など硬化が必要でない時点での硬化を促進し難く、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の保存性を貶めず、また、揮発性が低いため乾燥時や保存時に揮発せず、安定性が良好である。
過酸化物の添加量は、過酸化物の総量で、硬化性組成物の固形分100質量部に対し、0.01〜20質量部とするのが好ましく、0.05〜10質量部とするのがより好ましく、0.1〜10質量部とするのが特に好ましい。過酸化物の総量をこの範囲とすることで、低温での効果を十分なものとしつつ、塗膜化した際の膜質の劣化を防止することができる。
また、必要に応じてアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物やジクミル、2,3−ジフェニルブタン等のラジカル開始剤を含有してもよい。
架橋型硬化剤は、ポリフェニレンエーテルを3次元架橋するものである。
架橋型硬化剤としては、ポリフェニレンエーテルとの相溶性が良好なものが用いられるが、ジビニルベンゼンやジビニルナフタレンやジビニルビフェニルなどの多官能ビニル化合物;フェノールとビニルベンジルクロライドの反応から合成されるビニルベンジルエーテル系化合物;スチレンモノマー,フェノールとアリルクロライドの反応から合成されるアリルエーテル系化合物;さらにトリアルケニルイソシアヌレートなどが良好である。架橋型硬化剤としては、ポリフェニレンエーテルとの相溶性が特に良好なトリアルケニルイソシアヌレートが好ましく、なかでも具体的にはトリアリルイソシアヌレート(以下、TAIC(登録商標))やトリアリルシアヌレート(以下TAC)が好ましい。これらは、低誘電特性を示し、かつ耐熱性を高めることができる。特にTAIC(登録商標)は、ポリフェニレンエーテルとの相溶性に優れるので好ましい。
また、架橋型硬化剤としては、(メタ)アクリレート化合物(メタクリレート化合物およびアクリレート化合物)を用いてもよい。特に、3〜5官能の(メタ)アクリレート化合物を使用するのが好ましい。3〜5官能のメタクリレート化合物としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート等を用いることができ、一方、3〜5官能のアクリレート化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート等を用いることができる。これらの架橋剤を用いると耐熱性を高めることができる。架橋型硬化剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明のポリフェニレンエーテルは、分岐構造を有することで種々の溶剤との溶解性が向上する一方で誘電特性を向上させることが難しい場合があるものの、不飽和炭素結合を有する炭化水素基を含むので、特にTAIC(登録商標)と硬化させることにより誘電特性に優れた硬化物を得ることができる。
ポリフェニレンエーテルと架橋型硬化剤の配合比率は、質量部で20:80〜90:10で含有することが好ましく、30:70〜90:10で含有することがより好ましい。ポリフェニレンエーテルの配合量が20質量部以上であると適度な強靭性が得られ、90質量部以下であると耐熱性に優れる。
硬化性組成物は、通常、ポリフェニレンエーテルが溶媒(溶剤)に溶解した状態で提供または使用される。本発明のポリフェニレンエーテルは、従来のポリフェニレンエーテルに比べて溶剤に対する溶解性が高いため、硬化性組成物の用途に応じて、使用する溶剤の選択肢を幅広いものとすることができる。
本発明の硬化性組成物に使用可能な溶剤の一例としては、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン等の従来使用可能な溶媒の他、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(CA)、メチルエチルケトン、酢酸エチル、等の比較的安全性の高い溶媒等が挙げられる。溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
硬化性組成物中の溶媒の含有量は特に限定されず、硬化性組成物の用途に応じて適宜調整可能である。
硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、本発明のポリフェニレンエーテル以外の樹脂やその他の添加剤等の公知慣用の原料を含んでいてもよい。
なお、このような硬化性組成物は、各原料を適宜混合することにより得られる。
<硬化物>
硬化物は、上述した硬化性組成物を硬化することで得られる。
硬化性組成物から硬化物を得るための方法は、特に限定されるものではなく、硬化性組成物の組成に応じて適宜変更可能である。一例として、上述したような基材上に硬化性組成物の塗工(例えば、アプリケーター等による塗工)を行う工程を実施した後、必要に応じて硬化性組成物を乾燥させる乾燥工程を実施し、加熱(例えば、イナートガスオーブン、ホットプレート、真空オーブン、真空プレス機等による加熱)によりポリフェニレンエーテルを熱架橋させる熱硬化工程を実施すればよい。なお、各工程における実施の条件(例えば、塗工厚、乾燥温度および時間、加熱温度および時間等)は、硬化性組成物の組成や用途等に応じて適宜変更すればよい。
<ドライフィルム、プリプレグ>
本発明のドライフィルムまたはプリプレグは、上述した硬化性組成物を基材に塗布して得られるものである。
ここで基材とは、銅箔等の金属箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のフィルム、ガラスクロス、アラミド繊維等の繊維が挙げられる。
ドライフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に硬化性組成物を塗布乾燥させ、必要に応じてポリプロピレンフィルムを積層することにより得られる。
プリプレグは、例えば、ガラスクロスに硬化性組成物を含浸乾燥させることにより得られる。
<積層板>
本発明においては、上述のプリプレグを用いて積層板を作製することができる。
詳しく説明すると、本発明のプリプレグを一枚または複数枚重ね、さらにその上下の両面または片面に銅箔等の金属箔を重ねて、その積層体を加熱加圧成形することにより、積層一体化された両面に金属箔または片面に金属箔を有する積層板を作製することができる。
<電子部品>
このような硬化物は、優れた誘電特性や耐熱性を有するため、電子部品用等に使用可能である。
硬化物を有する電子部品としては、特に限定されないが、好ましくは、第5世代通信システム(5G)に代表される大容量高速通信や自動車のADAS(先進運転システム)向けミリ波レーダー等が挙げられる。
実施例および比較例により、本発明のポリフェニレンエーテルについてより詳細に説明するが、本発明はこれらには何ら限定されない。
<<<ポリフェニレンエーテルの合成>>>
<<PPE−1〜PPE−6の合成>>
100mLの二つ口ナスフラスコに、ジ−μ−ヒドロキソ−ビス[(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロリド(Cu/TMEDA)0.5gと、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)1mLを加えて十分に溶解させ、10ml/minにて酸素を供給した。4,4’-ジヒドロキシ-2,2’,3, 3’5,5’-ヘキサメチルビフェニル0.71g(2.5mmоl)、о−クレゾール1.08g(10mmоl)、2−アリル−6−メチルフェノール1.48g(10mmоl)、2,6−ジメチルフェノール9.76g(80mmоl)をトルエン50 mLに溶解させ、フラスコに滴下し、600rpmの回転速度で攪拌しながら40℃で6時間反応させた。反応終了後、メタノール200mL:濃塩酸2mLの混合液で再沈殿させてろ過にて取り出し、80℃で24時間乾燥させ、PPE−1を得た。PPE−2〜PPE−6は、表1のモノマーをそれぞれのモル比で反応を仕込んだこと以外は、PPE−1と同じ手順で行った。
<平均分子量の測定>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、各PPEの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)及び多分散指数(PDI:Mw/Mn)を求めた。GPCにおいては、Shodex K−805Lをカラムとして使用し、カラム温度を40℃、流量を1mL/min、溶離液をクロロホルム、標準物質をポリスチレンとした。
<水酸基価の測定>
各PPEの水酸基価を以下の手順によって測定した。二口フラスコに試料(PPE)2.0gを精密に量り取り、ピリジン10mLを加えて完全に溶解させ、さらにアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mLとした溶液)を正確に5mL加え、60℃で2時間加熱を行い、水酸基のアセチル化を行った。反応終了後、反応母液にピリジン10mLを加えて希釈し、温水200mLにて再沈精製することにより、未反応の無水酢酸を分解した。さらにエタノールを5mL用いて二口フラスコを洗浄した。再沈精製を行った温水にフェノールフタレイン溶液数滴を指示薬として加え、0.5mоl/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを終点とした。また、空試験は試料を入れずに同様の操作を行った。
水酸基価、水酸基当量、一分子当たりの水酸基数は次式より求めた。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.05}/S]+D
S:試料量(g)
a:0.5mоl/L水酸化カリウムエタノール溶液の消費量(mL)
b:空試験0.5mоl/L水酸化カリウムエタノール溶液の消費量(mL)
F:0.5mоl/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
D:酸価(mgKOH/g)
水酸基当量(g/eq.)=56.1/水酸基価×1000
一分子あたりの水酸基数(個)=Mn/水酸基当量
<コンフォメーションプロットの傾き>
各PPEの分岐構造(分岐の度合い)を理解するために、コンフォメーションプロットの傾きを求めた。分析方法は前述の通りである。
Figure 2020143263
<各PPEの溶剤溶解性>
各PPEをクロロホルム、塩化メチレン、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(CA)に対する溶解性試験を行った。200mLのサンプル瓶に100gの各種溶剤と各PPEを入れ、攪拌子を入れて10分間攪拌した後、25℃で10分間放置し、状態を目視で観察して評価した。
PPEが1g溶解して溶液が透明なものを「◎」、PPEが0.01g溶解して溶液が透明なものを「○」、PPEを0.01g溶解させた際に溶液に濁りがあるものを「△」、PPEを0.01gを混合させてもPPEが沈殿してしまうものを「×」とした。
Figure 2020143263
<<<組成物の調製>>>
表3に記載した組成に従い、各材料を配合してPPE組成物(ワニス)を調製した。表中の数字の単位は質量部数である。表中の「パーブチルP」は、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンを示す。
<<評価>>
以下に記載する項目について各PPE組成物やそれから得られる硬化物について評価した。
<環境対応>
溶剤としてシクロヘキサノンが用いられたワニスを「〇」、溶剤としてクロロホルムが用いられたワニスを「×」と評価した。
<成膜性>
硬化物の厚みが50μmになるように、厚さ18μm銅箔のシャイン面にPPE組成物をアプリケーターで塗布した。次に、熱風式循環式乾燥炉で90℃30分乾燥させた。その後、イナートオーブンを用いて窒素を完全に充満させて200℃まで昇温後、60分硬化させた。その後、銅箔をエッチング除去して硬化膜を得た。
硬化後に自立膜が得られたものを「〇」、自立膜が得られなかったものを「×」と評価した。自立膜が得られなかったものは以下の評価を行わなかった。
<誘電特性>
誘電特性である比誘電率Dkおよび誘電正接Dfは以下の方法に従って測定した。
硬化膜を上述の手順で得た。得られた硬化膜を長さ80mm、幅45mm、厚み50μmに切断し、これを試験片としてSPDR(Split Post Dielectric Resonator)共振器法により測定した。測定器には、キーサイトテクノロジー合同会社製のベクトル型ネットワークアナライザE5071C、SPDR共振器、計算プログラムはQWED社製のものを用いた。条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。
<密着性>
密着性は、銅張積層板試験規格JIS−C−6481に準拠して評価した。硬化物の厚みが50μmになるように、低粗度銅箔(FV−WS(古河電機社製): Rz=1.5μm)の粗面にPPE組成物を塗布した。次に、熱風式循環式乾燥炉で90℃30分乾燥させた。その後、イナートオーブンを用いて窒素を完全に充満させて200℃まで昇温後60分硬化した。得られた硬化膜側にエポキシ接着剤(アラルダイド)を塗布し銅張積層板(長さ150mm、幅100mm、厚み1.6mm)を乗せて熱風循環式乾燥炉にて60℃、1時間硬化させた。次に低粗度銅箔部に、幅10mm、長さ100mmの切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、90°ピール強度測定を行った。
(測定条件)
試験機:引張試験機EZ−SX(株式会社島津製作所製)
測定温度:25℃
ストローク:35mm
ストローク速度:50mm/min
測定回数:5回の平均値を算出
90°ピール強度が5.0N/cm以上のものを「◎」、4.0N/cm以上5.0N/cm未満のものを「〇」、4.0N/cm未満のものを「×」と評価した。
Figure 2020143263
<<変性PPE−1〜変性PPE−6の合成>>
滴下漏斗を備えた200mLの二つ口ナスフラスコに、10gのPPE‐1、変性用化合物としてアリルブロミド1.5g、相関移動触媒としてベンジルトリブチルアンモニウムブロミド0.22g及びテトラヒドロフラン50mLを加え、25℃で攪拌した。その溶液に1MのNaOH水溶液8mLを10分かけて滴下した。その後、さらに25℃で5時間攪拌した。次に、塩酸で反応溶液を中和した後、メタノール1L中に再沈殿させて濾過にて取り出し、メタノールと水との質量比が80:20の混合液で3回洗浄後、80℃で24時間乾燥させ、変性PPE‐1を得た。変性PPE−2〜変性PPE−6は、変性PPE−1と同様の手順で合成した。
<平均分子量の測定>
上述の手法によって、各変性PPEの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)及び多分散指数(PDI:Mw/Mn)を求めた。
Figure 2020143263
<<<組成物の調製>>>
表5に記載した組成に従い、各材料を配合してPPE組成物(ワニス)を調製した。表中の数字の単位は質量部数である。表中の「パーブチルP」は、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンを示す。
<<評価>>
以下に記載する項目について各PPE組成物やそれから得られる硬化物について評価した。
<環境対応>
溶剤としてシクロヘキサノンが用いられたワニスを「〇」、溶剤としてクロロホルムが用いられたワニスを「×」と評価した。
<成膜性>
硬化物の厚みが50μmになるように、厚さ18μm銅箔のシャイン面にPPE組成物をアプリケーターで塗布した。次に、熱風式循環式乾燥炉で90℃30分乾燥させた。その後、イナートオーブンを用いて窒素を完全に充満させて200℃まで昇温後、60分硬化させた。その後、銅箔をエッチング除去して硬化膜を得た。
硬化後に自立膜が得られたものを「〇」、自立膜が得られなかったものを「×」と評価した。自立膜が得られなかったものは以下の評価を行わなかった。
<誘電特性>
誘電特性である比誘電率Dkおよび誘電正接Dfは以下の方法に従って測定した。
硬化膜を上述の手順で得た。得られた硬化膜を長さ80mm、幅45mm、厚み50μmに切断し、これを試験片としてSPDR(Split Post Dielectric Resonator)共振器法により測定した。測定器には、キーサイトテクノロジー合同会社製のベクトル型ネットワークアナライザE5071C、SPDR共振器、計算プログラムはQWED社製のものを用いた。条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。
<耐熱性>
硬化膜を上述の手順で得た。得られた硬化膜を長さ30mm、幅5mm、厚み50μmに切り出し、DMA7100(日立ハイテクサイエンス社製)にてガラス転移温度(Tg)の測定を行った。温度範囲は30〜280℃、昇温速度は5℃/min、周波数は1Hz、歪振幅7μm、最小張力50mN、つかみ具間距離は10mmで行った。ガラス転移温度(Tg)はtanδが極大を示す温度とした。
ガラス転移温度(Tg)が210℃以上のものを「◎」、190℃以上210℃未満のものを「〇」、190℃未満のものを「×」と評価した。
<引張特性>
硬化膜を上述の手順で得た。得られた硬化膜を長さ8cm、幅0.5cm、厚み50μmに切り出し、引張破断伸びを下記条件にて測定した。
[測定条件]
試験機:引張試験機EZ−SX(株式会社島津製作所製)
チャック間距離:50mm
試験速度:1mm/min
伸び計算:(引張移動量/チャック間距離)×100
引張破断伸びが4.0%以上のものを「◎」、1.0%以上4.0%未満のものを「〇」、1.0%未満のものを「×」と評価した。
Figure 2020143263

Claims (8)

  1. 少なくとも条件1を満たすフェノール類と、
    分子構造中に2個以上のフェノール性水酸基を有する多価フェノール類であり、フェノール性水酸基のオルト位に水素原子を有しないフェノール類と、
    を含む原料フェノール類からなることを特徴とする、ポリフェニレンエーテル。
    (条件1)
    オルト位およびパラ位に水素原子を有する
  2. 前記原料フェノール類が、
    少なくとも下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)、または、少なくとも下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)の混合物を含む、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル。
    (条件1)
    オルト位およびパラ位に水素原子を有する
    (条件2)
    パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有する
  3. 請求項1〜2のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテルと、過酸化物と、を含むことを特徴とする硬化性組成物。
  4. 架橋型硬化剤を含むことを特徴とする請求項3に記載の硬化性組成物。
  5. 請求項3〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物を基材に塗布又は含浸して得られることを特徴とするドライフィルムまたはプリプレグ。
  6. 請求項3〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
  7. 請求項6に記載の硬化物を含むことを特徴とする積層板。
  8. 請求項6に記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。

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