JP7369580B2 - ポリフェニレンエーテルを含む硬化性組成物、ドライフィルム、プリプレグ、硬化物、積層板、および電子部品 - Google Patents
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Description
少なくとも条件1を満たすフェノール類を含む原料フェノール類から得られ、コンフォメーションプロットで算出された傾きが0.6未満であり、不飽和炭素結合を含む官能基を有するポリフェニレンエーテルと、
1分子中に少なくとも1つのマレイミド基を含有する化合物と
を含む硬化性組成物である。
前記発明(1)の硬化性組成物を基材に塗布して得られることを特徴とするドライフィルムまたはプリプレグである。
前記発明(1)の硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物である。
前記発明(3)の硬化物を含むことを特徴とする積層板である。
前記発明(3)の硬化物を有することを特徴とする電子部品である。
硬化性組成物は、ポリフェニレンエーテルと、1分子中に少なくとも1つのマレイミド基を含有する化合物(マレイミド化合物、マレイミド樹脂等と表記する。)と、を含む。また、硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の成分を含んでいてもよい。以下、それぞれの成分について説明する。
ポリフェニレンエーテルは、少なくとも条件1を満たすフェノール類を含む原料フェノール類から得られ、不飽和炭素結合を含む官能基を有するポリフェニレンエーテルである。このようなポリフェニレンエーテルを、所定ポリフェニレンエーテルとする。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
方法1は、
原料フェノール類として、
少なくとも下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)を含ませる、または、
少なくとも下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)の混合物を含ませる方法である。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(条件2)
パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有する
方法2は、
分岐ポリフェニレンエーテルの末端水酸基を、不飽和炭素結合を含む官能基に変性させ、末端変性ポリフェニレンエーテルとする方法である。
方法1によって得られる所定ポリフェニレンエーテルは、
(形態1)少なくとも、下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)を必須成分として含む原料フェノール類、または、
(形態2)少なくとも、下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)との混合物を必須成分として含む原料フェノール類、
を重合させて得られるものである。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(条件2)
パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有する
方法2によって得られる所定ポリフェニレンエーテルは、末端変性分岐ポリフェニレンエーテルである。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(条件Z)
不飽和炭素結合を有する官能基を含む
硬化性組成物中、所定ポリフェニレンエーテルの含有量は、典型的には、組成物の固形分全量基準で、5~30質量%または10~20質量%である。また、別の観点では、硬化性組成物中の所定ポリフェニレンエーテルの含有量は、組成物の固形分全量基準で、20~60質量%である。
<分岐度>
所定ポリフェニレンエーテルの分岐構造(分岐の度合い)は、以下の分析手順に基づいて確認することができる。
ポリフェニレンエーテルのクロロホルム溶液を、0.1、0.15、0.2、0.25mg/mLの間隔で調製後、0.5mL/minで送液しながら屈折率差と濃度のグラフを作成し、傾きから屈折率増分dn/dcを計算する。次に、下記装置運転条件にて、絶対分子量を測定する。RI検出器のクロマトグラムとMALS検出器のクロマトグラムを参考に、分子量と回転半径の対数グラフ(コンフォメーションプロット)から、最小二乗法による回帰直線を求め、その傾きを算出する。
装置名 :HLC8320GPC
移動相 :クロロホルム
カラム :TOSOH TSKguardcolumnHHR-H
+TSKgelGMHHR-H(2本)
+TSKgelG2500HHR
流速 :0.6mL/min.
検出器 :DAWN HELEOS(MALS検出器)
+Optilab rEX(RI検出器、波長254nm)
試料濃度 :0.5mg/mL
試料溶媒 :移動相と同じ。試料5mgを移動相10mLで溶解
注入量 :200μL
フィルター :0.45μm
STD試薬 :標準ポリスチレン Mw 37,900
STD濃度 :1.5mg/mL
STD溶媒 :移動相と同じ。試料15mgを移動相10mLで溶解
分析時間 :100min
所定ポリフェニレンエーテルは、数平均分子量が2,000~30,000であることが好ましく、5,000~30,000であることがより好ましく、8,000~30,000であることが更に好ましく、8,000~25,000であることが特に好ましい。分子量をこのような範囲とすることで、溶剤への溶解性を維持しつつも、硬化性樹脂組成物の製膜性を向上させることができる。さらに、ポリフェニレンエーテルは、多分散指数(PDI:重量平均分子量/数平均分子量)が、1.5~20であることが好ましい。
ポリフェニレンエーテルの水酸基価は、数平均分子量(Mn)が10,000以上の場合、7.0以上であってもよい。言い換えると、数平均分子量(Mn)が5,000以上の場合、14.0以上であってもよく、数平均分子量(Mn)が20,000以上の場合、ポリフェニレンエーテルの水酸基価は3.5以上であってもよい。
所定ポリフェニレンエーテル1gは、25℃で、好ましくは100gのシクロヘキサノンに対して(より好ましくは、100gの、シクロヘキサノン、DMFおよびPMAに対して)可溶である。なお、ポリフェニレンエーテル1gが100gの溶剤(例えば、シクロヘキサノン)に対して可溶とは、ポリフェニレンエーテル1gと溶剤100gとを混合したときに、濁りおよび沈殿が目視で確認できないことを示す。所定ポリフェニレンエーテルは、25℃で、100gのシクロヘキサノンに対して、1g以上可溶であることがより好ましい。
所定ポリフェニレンエーテルは、原料フェノール類として特定のものを使用すること以外は、従来公知のポリフェニレンエーテルの合成方法(重合条件、触媒の有無および触媒の種類等)を適用して製造することが可能である。
重合溶液調製工程は、重合工程において重合されるフェノール類を含む各原料を混合し、重合溶液を調製する工程である。重合溶液の原料としては、原料フェノール類、触媒、溶媒が挙げられる。
触媒は特に限定されず、ポリフェニレンエーテルの酸化重合において使用される適宜の触媒とすればよい。
溶媒は特に限定されず、ポリフェニレンエーテルの酸化重合において使用される適宜の溶媒とすればよい。溶媒は、フェノール性化合物および触媒を溶解または分散可能なものを用いることが好ましい。
重合溶液は、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の原料を含んでいてもよい。
酸素供給工程は、重合溶液中に酸素含有ガスを通気させる工程である。
重合工程は、重合溶液中に酸素が供給された状況下、重合溶液中のフェノール類を酸化重合させる工程である。
マレイミド化合物は、1分子中に少なくとも1つのマレイミド基を含有する限り特に限定されない。
(1)単官能脂肪族/脂環族マレイミド、
(2)単官能芳香族マレイミド、
(3)多官能脂肪族/脂環族マレイミド、
(4)多官能芳香族マレイミド、
を挙げることができる。
単官能脂肪族/脂環族マレイミド(1)としては、例えば、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、特開平11-302278号に開示されているマレイミドカルボン酸とテトラヒドロフルフリルアルコールとの反応物等を挙げることができる。
単官能芳香族マレイミド(2)としては、例えば、N-フェニルマレイミド、N-(2-メチルフェニル)マレイミド等を挙げることができる。
多官能脂肪族/脂環族マレイミド(3)としては、例えば、N,N’-メチレンビスマレイミド、N,N’-エチレンビスマレイミド、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸とを脱水エステル化して得られるイソシアヌレート骨格のマレイミドエステル化合物、トリス(カーバメートヘキシル)イソシアヌレートと脂肪族/脂環族マレイミドアルコールとをウレタン化して得られるイソシアヌレート骨格のマレイミドウレタン化合物等のイソシアヌル骨格ポリマレイミド類、イソホロンビスウレタンビス(N-エチルマレイミド)、トリエチレングリコールビス(マレイミドエチルカーボネート)、脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸と各種脂肪族/脂環族ポリオールとを脱水エステル化し、又は脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸エステルと各種脂肪族/脂環族ポリオールとをエステル交換反応して得られる脂肪族/脂環族ポリマレイミドエステル化合物類、脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸と各種脂肪族/脂環族ポリエポキシドとをエーテル開環反応して得られる脂肪族/脂環族ポリマレイミドエステル化合物類、脂肪族/脂環族マレイミドアルコールと各種脂肪族/脂環族ポリイソシアネートとをウレタン化反応して得られる脂肪族/脂環族ポリマレイミドウレタン化合物類等を挙げることができる。
多官能芳香族マレイミド(4)としては、例えば、N,N’-(4,4’-ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、2,2’-ビス-(4-(4-マレイミドフェノキシ)プロパン、N,N’-(4,4’-ジフェニルオキシ)ビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-2,4-トリレンビスマレイミド、N,N’-2,6-トリレンビスマレイミド、マレイミドカルボン酸と各種芳香族ポリオールとを脱水エステル化し、又はマレイミドカルボン酸エステルと各種芳香族ポリオールとをエステル交換反応して得られる芳香族ポリマレイミドエステル化合物類、マレイミドカルボン酸と各種芳香族ポリエポキシドとをエーテル開環反応して得られる芳香族ポリマレイミドエステル化合物類、マレイミドアルコールと各種芳香族ポリイソシアネートとをウレタン化反応して得られる芳香族ポリマレイミドウレタン化合物類等を挙げることができる。
マレイミド化合物の含有量は、典型的には、硬化性組成物中、固形分全量基準で、0.5~50質量%、1~40質量%または1.5~30質量%とすることができる。また、別の観点では、硬化性組成物中、所定ポリフェニレンエーテルとマレイミド化合物との配合比率は、固形分比として、9:91~99:1、17:83~:95:5、または、25:75~90:10とすることができる。
その他の成分としては、公知の成分、例えば、シリカ、難燃性向上剤(リン系化合物等)、セルロースナノファイバー、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノ-ルノボラック樹脂、エラストマー、分散剤、過酸化物、架橋型硬化剤、熱硬化触媒、溶媒等の成分を含んでもよい。その他の成分としては、シリカ、リン系化合物、エラストマー、過酸化物、架橋型硬化剤を含むことが好ましい。これらは、1種のみが使用されてもよいし、2種以上が使用されてもよい。硬化性組成物は、各原料を適宜混合することにより得られる。
硬化性組成物は、シリカを含んでもよい。組成物がシリカを含有することで、組成物の製膜性を向上させることができる。さらには得られる硬化物に難燃性を付与することができる。より詳細には、組成物にシリカを配合することで、硬化物の自己消火性と低誘電正接化を高いレベルで実現することができる。
硬化性組成物は、リン系化合物を含んでいてもよい。本発明において好適なリン系化合物は、その機能および性質(配合の目的)等に応じて、リン含有難燃剤および所定のリン化合物が挙げられる。なお、リン含有難燃剤および所定のリン化合物は、その機能や性質等により特定しているものであるため、1つのリン系化合物が、所定のリン化合物およびリン含有難燃剤の両方に該当してもよいし、どちらか一方のみに該当してもよい。
硬化性組成物は、リン含有難燃剤を含んでもよい。組成物にリン含有難燃剤を配合することで、組成物を硬化して得られる硬化物の自己消火性を向上させることができる。
硬化性組成物は、所定のリン化合物を含有することで組成物を硬化して得られる硬化物の難燃性を効率よく向上させることができる。
硬化性組成物は、エラストマーを含んでもよい。エラストマーを含むことで製膜性が向上する。引張強度や密着性の向上効果は従来のポリフェニレンエーテル(非分岐ポリフェニレンエーテル)とエラストマーの組み合わせよりも優れる。これは、分岐ポリフェニレンエーテルとエラストマーとが相溶性に優れるため均一な硬化膜を得られることが理由と考えられる。
過酸化物は、ポリフェニレンエーテルに含まれる不飽和炭素結合を開き、架橋反応を促進する作用を有する。
架橋型硬化剤は、ポリフェニレンエーテルに含まれる不飽和炭素結合と反応し、3次元架橋を形成するものである。
硬化性組成物は、通常、ポリフェニレンエーテルが溶媒(溶剤)に溶解した状態で提供または使用される。本発明のポリフェニレンエーテルは、従来のポリフェニレンエーテルに比べて溶剤に対する溶解性が高いため、硬化性組成物の用途に応じて、使用する溶剤の選択肢を幅広いものとすることができる。
硬化物は、上述した硬化性組成物を硬化することで得られる。
本発明のドライフィルムまたはプリプレグは、上述した硬化性組成物を基材に塗布又は含浸して得られるものである。
本発明においては、上述のプリプレグを用いて積層板を作製することができる。
このような硬化物は、優れた誘電特性や耐熱性を有するため、電子部品用等に使用可能である。
以下に各組成物(実施例1~8、および比較例1~3の組成物)の作製手順を説明する。
<分岐PPE樹脂-1(熱硬化側鎖タイプ):方法1>
3Lの二つ口ナスフラスコに、ジ-μ-ヒドロキソ-ビス[(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロリド(Cu/TMEDA)2.6gと、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)3.18mLを加えて十分に溶解させ、10ml/minにて酸素を供給した。原料フェノール類である2,6-ジメチルフェノール105gと2-アリルフェノール13gとをトルエン1.5Lに溶解させ原料溶液を調製した。この原料溶液をフラスコに滴下し、600rpmの回転速度で攪拌しながら40℃で6時間反応させた。反応終了後、メタノール20L:濃塩酸22mLの混合液で再沈殿させてろ過にて取り出し、80℃で24時間乾燥させ分岐PPE樹脂-1を得た。
3Lの二つ口ナスフラスコに、ジ-μ-ヒドロキソ-ビス[(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロリド(Cu/TMEDA)2.6gと、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)3.18mLを加えて十分に溶解させ、10ml/minにて酸素を供給した。原料フェノール類である2,6-ジメチルフェノール105gとオルトクレゾール4.89gとをトルエン1.5Lに溶解させ原料溶液を調製した。この原料溶液をフラスコに滴下し、600rpmの回転速度で攪拌しながら40℃で6時間反応させた。反応終了後、メタノール20L:濃塩酸22mLの混合液で再沈殿させてろ過にて取り出し、80℃で24時間乾燥させ分岐PPE樹脂を得た。
原料フェノール類である2-アリル-6-メチルフェノール7.6g、2,6-ジメチルフェノール34gをトルエン0.23Lに溶解させた原料溶液に水を34mL添加した以外は分岐PPE樹脂-1と同様の合成方法に基づき非分岐PPE樹脂Aを得た。
原料フェノール類である2-アリル-6-メチルフェノール13.8g、2,6-ジメチルフェノール103gをトルエン0.38Lに溶解させた原料溶液を使用した以外は分岐PPE樹脂-1と同様の合成方法に基づき非分岐PPE樹脂Bを得た。
各PPE樹脂の溶剤溶解性を確認した。
以下のようにして、各実施例及び各比較例に係る樹脂組成物のワニスを得た。
分岐PPE樹脂-1:17.4質量部およびスチレンエラストマー(旭化成株式会社:商品名「H1051」):5.7質量部に、溶剤としてシクロヘキサノン:60質量部を加えて40℃にて30分混合、攪拌して完全に溶解させた。
これによって得たPPE樹脂溶液に、架橋型硬化剤としてTAIC(三菱ケミカル株式会社製):11.6質量部、球状シリカ(アドマテックス株式会社製:商品名「SC2500-SVJ」):94.4質量部、難燃剤としてOP935(クラリアントケミカルズ社製):11.1質量部、マレイミド樹脂(Designer Molecules社製:商品名「DMI-7005」、Mw=49,000、固形分25質量%):23.2質量部、を添加してこれを混合した後、三本ロールミルで分散させた。
最後に、過酸化物であるα,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン(日本油脂株式会社製:商品名「パーブチルP」)を0.58質量部配合し、マグネチックスターラーにて攪拌した。
以上のようにして、実施例1の樹脂組成物のワニスを得た。
表1に示すように、使用するPPE樹脂、マレイミド樹脂およびその含有量を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2-8及び比較例1-3に係る樹脂組成物のワニスを得た。
BMI-689 :Designer Molecules社製、Mw=689
BMI-3000J:Designer Molecules社製、Mw=3,000
BMI-1500 :Designer Molecules社製、Mw=1,500
BMI-4000 :大和化成工業株式会社製、Mw=570
各実施例及び各比較例に係る樹脂組成物のワニスについて、以下の評価を行った。
厚さ18μm銅箔のシャイン面に、得られた樹脂組成物のワニスを、硬化物の厚みが50μmになるようにアプリケーターで塗布する。
次に、熱風式循環式乾燥炉で90℃30分乾燥させる。
その後、イナートオーブンを用いて窒素を完全に充満させて200℃まで昇温後、60分硬化させる。
その後、銅箔をエッチングし硬化物(硬化膜)を得る。
溶剤としてシクロヘキサノンが用いられたワニスを「〇」、溶剤としてクロロホルムが用いられたワニスを「×」とした。上述の通り、非分岐PPE樹脂はシクロヘキサノンに溶解しないが、分岐PPE樹脂はシクロヘキサノンに可溶である。
誘電特性である比誘電率Dkおよび誘電正接Dfは、以下の方法に従って測定した。
硬化膜を長さ80mm、幅45mm、厚み50μmに切断したものを試験片としてSPDR(Split Post Dielectric Resonator)共振器法により測定した。測定器には、キーサイトテクノロジー合同会社製のベクトル型ネットワークアナライザE5071C、SPDR共振器、計算プログラムはQWED社製のものを用いた。条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。
Dkが3.2未満、Dfが0.0016以下のものを「◎」、Dkが3.2未満、Dfが0.0016超0.003未満のものを「○」、Dkが3.2以上、又は、Dfが0.003以上のものを「×」とした。
作製した硬化膜を長さ3cm、幅0.3cm、厚み50μmに切り出し、ティー・エイ・インスツルメント社製TMA(Thermomechanical Analysis)Q400を用いて、引張モードで、チャック間16mm、荷重30mN、窒素雰囲気下、20~250℃まで5℃/分で昇温し、次いで、250~20℃まで5℃/分で降温して測定した。降温時における100℃から50℃の平均熱膨張率を求めた。
CTE(α1)が30ppm未満のものを「○」、CTE(α1)が30ppm以上40ppm未満のものを「△」、CTE(α1)が40ppm以上のものを「×」と評価した。
作製した硬化膜を長さ30mm、幅5mm、厚み50μmに切り出し、DMA7100(日立ハイテクサイエンス社製)にてガラス転移温度(Tg)の測定を行った。温度範囲は30~280℃、昇温速度は5℃/min、周波数は1Hz、歪振幅7μm、最小張力50mN、つかみ具間距離は10mmで行った。ガラス転移温度(Tg)はtanδが極大を示す温度とした。
ガラス転移温度(Tg)が205℃以上のものを「◎」、200℃以上205℃未満のものを「〇」、200℃未満のものを「×」と評価した。
作製した硬化膜を長さ8cm、幅0.5cm、厚み50μmに切り出し、引張破断伸びおよび引張強度(引張破断強度)を下記条件にて測定した。
[測定条件]
試験機:引張試験機EZ-SX(株式会社島津製作所製)
チャック間距離:50mm
試験速度:1mm/min
伸び計算:(引張移動量/チャック間距離)×100
引張破断伸びが1.4%以上であり、引張強度が40MPa以上のものを「◎」、引張破断伸びが1.0%以上1.4%未満であり、引張強度が35MPa以上40MPa未満のものを「○」、引張破断伸びが1.0%未満、又は、引張強度が35MPa未満のものを「×」と評価した。
硬化物の厚みが300μmになるようにアプリケーターで塗布する以外は、上述した硬化膜の作製を同様の方法にて硬化膜を得た。作製した厚み300μmの硬化膜を長さ125mm、幅12.5mmに切り出し、この自己消火性試験用のテストピースの下端に10秒間ガスバーナーの炎を接炎させ、接炎終了後からテストピースが消炎するまでの燃焼持続時間を測定した。具体的には、5個のテストピースを試験し、その合計の燃焼持続時間を算出した。
燃焼持続時間の合計時間が40秒未満のものを「◎」、40秒以上50秒未満のものを「〇」、50秒以上のものを「×」とした。
硬化物の厚みが200μmになるようにアプリケーターで塗布する以外は、上述した硬化膜の作製を同様の方法にて硬化膜を得た。作製した200μmの硬化膜を長さ50mm、幅50mmに切り出し、吸水性試験用のテストピースとした。このテストピースの重量を電子天秤にて精秤(吸水前の重量)した後、23.5℃に設定したウォーターバスに24時間浸漬した。その後、浸漬したテストピースを取り出し、乾いた布にて水滴を除去した後、重量を電子天秤にて精秤(吸水後の重量)した。吸水前後のテストピースの重量より、下記式にて吸水率を算出した。
吸水率=((吸水後の重量-吸水前の重量)/吸水後の重量)×100
吸水率が0.06以下のものを「◎」、吸水率が0.06超0.1以下のものを「○」、吸水率が0.1超のものを「×」と評価した。
Claims (6)
- 少なくとも条件1を満たすフェノール類を含む原料フェノール類から得られ、コンフォメーションプロットで算出された傾きが0.6未満であり、不飽和炭素結合を含む官能基を有するポリフェニレンエーテルと、
1分子中に少なくとも1つのマレイミド基を含有する化合物と
を含み、
前記少なくとも条件(1)を満たすフェノール類が下記式(1)で示されるフェノール類(A)および/または下記一般式(2)で表されるフェノール類(B)からなることを特徴とする、硬化性組成物。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(ただし、式(1)中、R 1 ~R 3 は、水素原子または炭素数1~15の炭化水素基であり、前記炭化水素基がアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。ただし、R 1 ~R 3 の少なくとも1つがアルケニル基またはアルキニル基である)
(ただし、式(2)中、R 4 ~R 6 は、水素原子または炭素数1~15のアルキル基である) - トリアルケニルイソシアヌレートを含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 請求項1又は2に記載の硬化性組成物を基材に塗布して得られることを特徴とするドライフィルムまたはプリプレグ。
- 請求項1又は2に記載の硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
- 請求項4に記載の硬化物を含むことを特徴とする積層板。
- 請求項4に記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。
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