JP2020142904A - エレベーター遠隔監視装置及びエレベーターシステム - Google Patents

エレベーター遠隔監視装置及びエレベーターシステム Download PDF

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【課題】エレベーターのかご内からの通話要求があった際に、契約内容に従って監視センタへの接続要否を制限してオペレータの負荷を軽減しながら、異常時の対処が確実にできるようにする。【解決手段】エレベーターを監視するエレベーター遠隔監視装置として、保守契約情報を保存する契約情報保存部15eと、かご内のインターホン呼釦が押されたとき、保存された契約情報に基づいて、インターホンと監視センタとの通話を制御する通話制御処理部15dと、エレベーターを監視するエレベーター監視処理部15cとを備える。通話制御処理部15dは、保守サービス時間外で、インターホン呼釦が押されたときに通常運転不可能と判断したとき、かご内のインターホンと監視センタとの通話のための接続処理を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、エレベーター遠隔監視装置及びエレベーターシステムに関する。
エレベーターは、管理者(ビル事業者など)が保守会社とメンテナンス契約を行い、保守会社は契約内容に従ってエレベーターの点検や故障時の対応を行うようにしている。
エレベーターが設置された国(米国や欧州など)によっては、故障時等の対応について、対応時間等の条件をサービスレベルアグリーメントとして細かく設定することがある。
またエレベーターに遠隔監視装置を設置し、公衆回線網経由で監視センタと接続して、エレベーターの監視を行うことも一般的になっている。
監視センタがエレベーターの監視を行う場合、どの程度の監視を行うのかは、管理者と保守会社との保守契約の内容によって異なる。例えば、夜間や休日については、緊急時の対応のみを行い、軽度のトラブルについては時間外として、対応しないような保守契約を行う場合がある。
これらの保守契約を行うことで、監視センタでは、夜間や休日などのオペレータによる応答を減らすことができ、監視センタを運営する上で、夜間や休日などにおける、オペレータの作業負荷を軽減することができる。
特許文献1には、通報装置を備えたエレベーターを監視センタで監視する場合に、エレベーターの通報装置は、閉じ込め故障の発生を検出した直後、または乗りかご内のインターホン装置による監視センタとの通話が終了したことを検出した直後に、予め設定した許可時限だけ、監視センタなどとの通話を許可する技術が記載されている。
特開2012−153506号公報
エレベーターの異常状態の条件の1つとして、エレベーターかご内のインターホンからの通話要求がある。エレベーターには、かご内と外部で通話するためのインターホンが設置されており、かご内のインターホンと監視センタのオペレータ間で通話を行うことができる。かご内のインターホンには呼釦があり、乗客がこの呼釦を押して外部への通話要求を行う。このインターホンによる通話を行うことで、かご内に乗客が閉じ込められるような事故が発生した場合でも、救出などの対処が可能になる。
したがって、通常は、保守契約内容がどのようなものであっても、監視センタでは、インターホンによる通話が24時間可能なように待機している。そして、インターホンの呼釦が押される操作が場合、監視センタではレベルの高い異常状態であると判断して、その呼釦の操作に対処するようにしている。
ところが、実際のエレベーターの運用では、エレベーターに異常がない場合に、間違えて呼釦が押されたり、いたずらにより呼釦が押されることが多々あり、この場合、本来は保守員の出動の必要はない状況であっても、出動指示が行われてしまうことがある。また、保守員の出動が必要ない場合であっても、監視センタのオペレータは、インターホンの呼釦が押された際に、その呼釦が押された原因を確認する作業が必要になる。すなわち、インターホンの呼釦の操作が、間違いやいたずらなのか、あるいは、エレベーターの故障によるものなのか、等の状況を確認する必要があり、これらの確認には時間がかかってしまう。
したがって、従来は、夜間や休日などに保守サービスを行わない保守契約であったとしても、監視センタ側では非常時に備えてインターホンの呼釦の操作時に対応する必要があり、監視センタのオペレータの負担が大きいという問題があった。
ここで、例えば特許文献1に記載された技術を適用して通話を制限することで、かご内インターホンを使った監視センタへの通報を減らすことができ、監視センタのオペレータの作業負荷を軽減することができる。
しかしながら、かご内の乗客の安全性を確保する上からは、かご内インターホンによる通話は、本来は制限せずに常時通話できるように待機して、異常時などに確実な連絡ができる必要がある。したがって、かご内インターホンの通話制限を一律的な条件で行うことは困難である。また、保守契約内容によってかご内インターホンの応答を行う時間を制限することについても、監視センタのオペレータの作業負荷の軽減からは好ましいが、かご内の乗客の安全性確保の観点から、必要以上の通話制限はできないという問題があった。このため、従来技術では、監視センタのオペレータの作業負荷は、十分に軽減されていなかった。
本発明は、エレベーターのかご内からの通話要求があった際に、契約内容に従って監視センタへの接続要否を制限してオペレータの負荷を軽減しながら、異常時の対処を確実に行うことができるエレベーター遠隔監視装置及びエレベーターシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、エレベーター遠隔監視装置において、エレベーターの保守サービス時間についての保守契約情報を保存する契約情報保存部と、エレベーターのかご内インターホン呼釦が押されたときに、契約情報保存部に保存された契約情報を参照し、かご内のインターホンと監視センタのオペレータとの通話を制御する通話制御処理部と、エレベーターを監視するエレベーター監視処理部とを備える。
そして、通話制御処理部は、契約情報保存部に保存された保守契約情報の保守サービス時間内に、かご内インターホン呼釦が押されたとき、かご内インターホンと監視センタのオペレータとの通話のための接続処理を行う。
さらに、契約情報保存部に保存された保守契約情報の保守サービス時間外に、かご内インターホン呼釦が押されたときに、エレベーター監視処理部が、当該エレベーターが通常運転できていないと判定したとき、かご内インターホンと監視センタとのオペレータとの通話のための接続処理を行う。
本発明によれば、エレベーターの保守サービス時間外での、かご内のインターホン呼釦の操作時があった際には、通常運転が不可能な場合だけ通話可能に接続され、異常時の対処を確実に行いながら、監視センタのオペレータの対応時間の低減と、保守員への不要な出動指示を低減することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施の形態例によるシステム全体の例を示す構成図である。 本発明の一実施の形態例による監視センタのハードウェア構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態例による保守契約情報の具体的な一例を示す図である。 本発明の一実施の形態例によるインターホン呼釦操作時の遠隔監視装置での処理例を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態例による監視センタでの処理例を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)について、添付図面を参照して詳細に説明する。
[1.システム全体の構成]
図1は、本例のエレベーターシステムの全体構成を示す。
本例のエレベーターシステムは、建屋10に設置されたエレベーターの乗りかご11を備える。乗りかご11は、エレベーター制御装置14により走行(昇降)が制御される。なお、図1では巻き上げ機などの乗りかご11を走行させる機構は省略している。
乗りかご11には、インターホン12が配置される。インターホン12は、インターホン呼釦12aと、インターホンスピーカ12bと、インターホンマイク12cとを備える。乗りかご11内の乗客13は、インターホン呼釦12aを押す操作を行うことで、インターホンスピーカ12bとインターホンマイク12cとを使って、後述する監視センタ20等の外部と通話することができる。
また、建屋10内には、遠隔監視装置(エレベーター遠隔監視装置)15が設置され、建屋10内に設置されたエレベーターを監視する。
遠隔監視装置15は、エレベーター制御装置14及びインターホン12と接続される。遠隔監視装置15は、エレベーター通信処理部15a、監視センタ通信処理部15b、エレベーター監視処理部15c、通話制御処理部15d、契約情報保存部15e、及び音声ガイダンス保存部15fを備える。
エレベーター通信処理部15aは、エレベーター制御装置14と通信を行う。
監視センタ通信処理部15bは、通信装置1を経由して、公衆回線網2に接続された相手(ここでは監視センタ20)との通信を行う。
エレベーター監視処理部15cは、エレベーター通信処理部15aが、エレベーター制御装置14から取得したデータを使って、エレベーター乗りかご11とエレベーター制御装置14の状態を監視する。
エレベーター乗りかご11とエレベーター制御装置14のいずれかに異常が発生した場合には、監視センタ通信処理部15bが、通信装置1及び公衆回線網2を経由して監視センタ20側と通信を行う。
通話制御処理部15dは、乗りかご11内のインターホン呼釦12aが押された場合、インターホンスピーカ12b及びインターホンマイク12cを、監視センタ20内の通話装置22又は自動応答装置23と接続する処理を行う。この接続処理が行われることで、インターホンスピーカ12b及びインターホンマイク12cにより、乗客13が監視センタ20内のオペレータ26との通話、又は自動応答装置23による自動応答を受けることができる。通話制御処理部15dによる接続先(オペレータ通話用の接続又は自動応答用の接続)の選択は、例えば、公衆回線網2で監視センタ20側の後述する通信装置3に接続する際に、いずれへの接続かを示す制御信号を送信することで実現できる。あるいは、通話制御処理部15dが接続する接続先の電話番号の変更や、接続先のアドレス(IPアドレスなど)の変更で、接続先を選択するようにしてもよい。
また、エレベーター監視処理部15cが、エレベーター乗りかご2の中に乗客13が閉じ込められた場合のような異常を検出した場合にも、通話制御処理部15dが、インターホン12を監視センタ20側と接続する処理を行う。
契約情報保存部15eには、建屋10に設置されたエレベーターについて、保守や点検の業務を行う事業者(監視センタ20を運営する事業者)と締結した保守契約情報が保存されている。この契約情報保存部15eに保存される保守契約情報は、監視センタ通信処理部15bが通信装置1及び公衆回線網2を介して監視センタ20側と通信を行い、監視センタ20の契約条件記録部24から取得した情報である。
音声ガイダンス保存部15fには、通話制御処理部15dによるインターホン12を監視センタ20に接続する際に、インターホンスピーカ12bから出力される音声ガイダンスの情報が保存される。例えば、「監視センタに接続中のためしばらくお待ちください。」のような音声を出力するための音声ガイダンスの情報が保存される。音声ガイダンス保存部15fが保存する音声ガイダンスの具体例については、インターホン呼釦が押された際の処理の説明時に後述する。
通話制御処理部15dによるインターホン12との接続処理は、契約情報保存部15eに保存された保守契約情報に従って行われる。具体的には、現在の日又は時間帯が、保守契約情報で示される保守契約内の日又は時間帯であるか、あるいは、保守契約情報で示される保守契約外の日又は時間帯であるかによって、通話制御処理部15dによる接続処理状態が変化する。以下の説明では、保守契約情報で示される保守契約内の日又は時間帯であることをサービス時間内と称し、保守契約内の日又は時間帯でないことをサービス時間外と称する。
ここでの通話制御処理部15dによる接続処理としては、まず、現在の日又は時間帯が、保守契約情報で示されるサービス時間内であるか否かによって、インターホンスピーカ12bから出力する音声ガイダンスが変化する。
さらに、その音声ガイダンスの出力後の通話制御処理部15dによる接続処理(監視センタ20への接続可否など)も、現在の日又は時間帯が、保守契約情報で示されるサービス時間内であるか否かによって変化する。但し、音声ガイダンスの出力処理や接続可否などの処理は、サービス時間内であるか否か以外の要因でも変化する。これらの保守契約などに応じて変化する具体的な処理については、図3のフローチャートで後述する。
監視センタ20は、計算機(コンピュータ)で構成される監視サーバ21と、その監視サーバ21に接続される周辺機器とで構成され、保守や点検の業務を行う事業者が運営する施設に設置される。図1では、監視センタ20に接続されるエレベーターとして、1つの建屋10に設置されたエレベーターのみを示すが、実際には監視センタ20は複数のエレベーターを統括して監視する処理を実行する。
監視センタ20は、通信装置3と、監視サーバ21と、通話装置22と、自動応答装置23とを備える。通信装置3は、公衆回線網2に接続され、監視サーバ21とエレベーターの遠隔監視装置15との通信を実行する。
監視サーバ21は、契約条件記録部24及びサーバ通信処理部25を備える。
サーバ通信処理部25は、通信装置3及び公衆回線網2を経由して、建屋10側の遠隔監視装置15と接続された通信装置1との通信を行う。
通話装置22は、監視センタ20内のオペレータ26が、乗りかご11内のインターホン12を介して乗客13との通話を行うための接続処理が、遠隔監視装置15からの接続要求に基づいて行われる。すなわち、インターホン12での操作に基づいて遠隔監視装置15からの通話用の接続要求が通話装置22に伝送されたとき、通話装置22では、オペレータ26を呼び出す処理が行われる。そして、その呼び出し処理にオペレータ26が応じる操作があるとき、通話装置22内のマイク及びスピーカが、サーバ通信処理部25、通信装置3、公衆回線網2、及び通信装置1を経由して、乗りかご11内のインターホンスピーカ12b及びインターホンマイク12cと接続される。
自動応答装置23は、建屋10側の遠隔監視装置15からのインターホン12の接続時に、予め決められた条件を満たすとき、オペレータ26による通話装置22からの通話に代わって音声で自動応答する。すなわち、遠隔監視装置15からの接続要求時に、自動応答する条件を満たすとき、自動応答装置23が、サーバ通信処理部25、通信装置3、公衆回線網2、及び通信装置1を経由して、乗りかご11内のインターホンスピーカ12b及びインターホンマイク12cと接続される。ここでの自動応答する条件を満たす場合には、遠隔監視装置15からの接続要求時に、自動応答装置23への接続を指示する要求(対応する制御信号の伝送)がある場合も含まれる。なお、遠隔監視装置15からの接続要求時に、自動応答装置23が応答する際には、通話装置22でのオペレータ26を呼び出す処理は行われない。但し、自動応答装置23で自動応答中であることは、監視センタ20側で表示などによりオペレータ26に通知してもよい。
自動応答装置23は、例えば乗りかご11内のインターホンスピーカ12bを使った音声出力で、乗客13に対して自動応答しながら、乗客13による回答を釦操作又はインターホンマイク12cでの音声入力で受け付けて、乗りかご11内の状況を判断する。この自動応答装置23による自動応答時のインターホンスピーカ12bから出力される音声応答の一つとして、「オペレータとの通話を希望する方は、××釦を押して下さい。」と出力し、通話装置22によるオペレータ26との通話に移行できるようにする。なお、自動応答装置23は、予め用意された音声による自動応答を行う他に、人工知能(AI)を活用する等を行って、そのときの状況に応じて自動応答する音声文の内容を変化させるようにしてもよい。
契約条件記録部24には、監視センタ20が監視する全てのエレベーターについての保守契約条件に関する情報が記録される。この契約条件記録部24に記録されるエレベーターの保守契約条件に関する情報は、エレベーターの管理者(ビル事業者など)が、エレベーターの保守会社と締結する保守契約条件に関する情報である。この契約条件記録部24に記録される保守契約条件に関する情報は、例えば保守や点検の業務を行う事業者が用意した保全システムサーバ30に保持される契約情報31から取得する。
[2.ハードウェア構成例]
図1に示す遠隔監視装置15や監視センタ20の監視サーバ21は、例えば、図2に示すコンピュータにより構成することができる。
図2に示すコンピュータCは、バスC8にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)C1、ROM(Read Only Memory)C2、及びRAM(Random Access Memory)C3を備える。さらに、コンピュータCは、不揮発性ストレージC4、ネットワークインタフェースC5、入力装置C6、及び表示装置C7を備える。
CPU C1は、遠隔監視装置15(又は監視サーバ21)が行う機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM C2から読み出して実行する演算処理部である。
RAM C3には、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。遠隔監視装置15(又は監視サーバ21)による制御処理の実行は、主にCPU C1がプログラムコードを実行することにより実現される。
入力装置C6には、例えば、キーボード、マウスなどが用いられる。遠隔監視装置15の場合、作業者は、この入力装置C6を用いて、エレベーターの保守や点検時に入力操作を行う。監視サーバ21の場合、監視作業者(オペレータ)は、この入力装置C6を用いて指示などの監視業務を行う。
表示装置C7は、例えば、液晶ディスプレイモニタであり、この表示装置C7によりコンピュータで実行される制御処理の結果が表示される。監視サーバ21の場合、監視作業者(オペレータ)は、表示装置C7での表示でエレベーターの状態を監視する。
不揮発性ストレージC4には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの大容量情報記憶媒体が用いられる。不揮発性ストレージC4には、遠隔制御処理を行うプログラムが記録される。上述した契約情報保存部15eや音声ガイダンス保存部15fは、不揮発性ストレージC4で構成される。
ネットワークインタフェースC5には、例えば、NIC(Network Interface Card)などが用いられる。ネットワークインタフェースC5は、LAN(Local Area Network)、専用線などを介して外部と各種情報の送受信を行う。
なお、遠隔監視装置15や監視サーバ21をコンピュータで構成する場合に、図2に示す入力装置C6と表示装置C7のいずれか一方、又は双方を備えない構成としてもよい。
また、遠隔監視装置15や監視サーバ21を図2に示すコンピュータで構成するのは一例であり、コンピュータ以外のその他の演算処理装置で構成してもよい。例えば、遠隔監視装置15や監視サーバ21が行う機能の一部または全部を、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現してもよい。
[3.保守契約情報の例]
図3は、遠隔監視装置15の契約情報保存部15eに保存されるエレベーターの保守契約情報の一例を示す。
この例では、図3に示すように、月曜日から日曜日までの曜日ごとに、保守サービス時間が、契約で定められている。例えば、月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、及び金曜日は、午前9時(9:00)から午後6時(18:00)までが保守管理を行う保守サービス時間として契約されている。土曜日は、午前9時(9:00)から午後1時(13:00)までが保守管理を行う保守サービス時間として契約されている。日曜日は、終日保守管理を行わない保守サービス時間外として契約されている。
また、図3の例では、曜日以外の特定日時が個別設定で、保守管理を行わない時間として設定されている。具体的には、2018年12月31日と、2019年1月1日とが、終日保守管理を行わない保守サービス時間外として、個別設定されている。
さらに、図3の例では、保守サービス時間外の通報(時間外対応通報)を許可すると契約されている。時間外対応通報を許可すると契約されている場合には、上述した保守管理を行う時間外であっても、乗りかご11内の乗客の閉じ込めなどのエレベーター故障時には、監視センタ20がそのときの通報に対応するようになっている。
遠隔監視装置15の契約情報保存部15eに保存される保守契約情報は、例えば監視センタ20の契約条件記録部24に記録される契約条件が更新された場合に、監視センタ20から遠隔監視装置15に配信される。あるいは、遠隔監視装置15が定期的に監視センタ20にアクセスし、遠隔監視装置15が契約条件記録部24を読み出して、契約条件が更新されているかどうかを確認するようにしてもよい。あるいはまた、保守作業員による操作で、監視センタ20の契約条件記録部24に記録されている契約条件を遠隔監視装置15に転送するようにしてもよい。
[4.インターホン呼釦が押された際の処理]
図4は、乗りかご11内のインターホン呼釦12aが乗客13によりが押された際の、遠隔監視装置15での処理例を示すフローチャートである。
まず、通話制御処理部15dは、インターホン呼釦12aが押されたか否かを判断する(ステップS11)。ここで、インターホン呼釦12aの押されていない場合(ステップS11のNo)、通話制御処理部15dは、ステップS11でのインターホン呼釦12aが押されたことの有無の判断を繰り返す。
そして、ステップS11で、インターホン呼釦12aが押される操作があると判断した場合(ステップS11のYes)、通話制御処理部15dは、インターホン呼釦12aが押される操作が、予め規定された時間(規定時間T1)連続してあるか否かを判断する(ステップS12)。規定時間T1は、例えば10秒や20秒などの比較的長い時間とする。このステップS12で規定時間T1連続して押される操作があることの判断は、いたずらや誤操作などで押されることよる通報を排除するために行われる。
そして、ステップS12で、規定時間T1だけ連続して押されていないと判断した場合(ステップS12のNo)、通話制御処理部15dは、ステップS11でのインターホン呼釦12aでの押されることの有無の判断に戻る。
また、ステップS12で、規定時間T1を超えて押される操作があると判断した場合(ステップS12のYes)、通話制御処理部15dは、現在の曜日や時刻が、契約情報保存部15eが保存する保守契約情報で示された、保守サービス時間内であるか否かを判断する(ステップS13)。
ステップS13で、保守サービス時間内であると判断した場合には(ステップS13のYes)、通話制御処理部15dは、音声ガイダンス保存部15fに保存された、呼び出し時の通常ガイダンス音声をインターホンスピーカ12bから出力する(ステップS14)。ここでの通常ガイダンス音声としては、例えば「監視センタに接続中のためしばらくお待ちください」を出力する。そして、通話制御処理部15dは、通常ガイダンス音声の出力と並行して、監視センタ20の通話装置22への接続を実行する(ステップS15)。
この監視センタ20の通話装置22への接続の実行で、通話装置22側では、オペレータ26を呼び出す処理が行われ、監視センタ20の通話装置22で呼び出しに応答するオペレータ26の操作があるとき、乗りかご11内の乗客13とオペレータ26との音声通話が行われる。
また、ステップS13で、保守サービス時間外であると判断した場合には(ステップS13のNo)、次に、遠隔監視装置15のエレベーター監視処理部15cは、エレベーターが通常運転可能な状態か否かを判断する(ステップS16)。ステップS16で、エレベーターが通常運転可能な状態でないと判断した場合は(ステップS16のNo)、通話制御処理部15dは、契約時間内での処理と同様に、ステップS14に移行して、呼び出し時の通常ガイダンス音声をインターホンスピーカ12bから出力する。さらに、ステップS15に移行して、監視センタ20の通話装置22への接続を実行する。
一方、ステップS16で、エレベーターが通常運転可能な状態であると判断した場合には(ステップS16のYes)、遠隔監視装置15のエレベーター監視処理部15cは、過去30分以内に同じエレベーターに何らかの異常があったか否かを判断する(ステップS17)。なお、このステップS17で、判断時間を過去30分以内としたのは一例であり、異常の種類などに応じて任意に判断時間を変更してもよい。また、ここでの異常には、エレベーターが運転不可となる異常の他に、エレベーターが自動的に復旧する一過性の異常も含まれる。ここでの異常には、エレベーターが運転できないような明らかな故障による異常の他に、故障とは見なせない程度であっても、何らかの異常な状態が発生した場合も含まれる。
ステップS17で、異常があると判断したとき(ステップS17のYes)、通話制御処理部15dは、自動応答装置23と接続されることを乗客13に伝える音声ガイダンスをインターホンスピーカ12bから出力する(ステップS18)。ここでは、インターホンスピーカ12bは、音声ガイダンス保存部15fが保存したデータに基づいて、例えば「エレベーターは正常運転中のため自動応答装置に接続します。しばらくお待ちください。」等の音声ガイダンスを出力する。
そして、通話制御処理部15dは、監視センタ20の自動応答装置23への接続を実行する(ステップS19)。自動応答装置23は、通話制御処理部15dからの呼び出しがあると、エレベーターが運転できる状況を案内する音声の自動応答を行う。
ここでは、例えば、「先ほど一時的な異常が発生しましたが、現在正常運転に復帰し、正常にエレベーターが利用可能です。オペレータと通話したい場合には、××釦を押して下さい。」と自動応答を行う。
なお、この自動応答装置23による自動応答時に、自動応答音声での案内後に乗客13が操作盤の特定の釦(上述した××釦)を押す操作がある場合には、通話制御処理部15dは、監視センタ20の通話装置22への接続を実行し、オペレータ26との通話に移行する。
また、ステップS17で、過去の所定時間内に異常がないと判断した場合には(ステップS17のNo)、通話制御処理部15dは、契約情報保存部15eに保存される保守契約において保守サービス時間外の通報許可の設定があるか否かを判断する(ステップS20)。ここで、保守サービス時間外の通報許可の設定がない場合(ステップS20のNo)、通話制御処理部15dは、音声ガイダンス保存部15fに保存されたデータに基づいて、応答不可のガイダンス音声をインターホンスピーカ12bから出力する(ステップS21)。
ここでは、インターホンスピーカ12bは、例えば「エレベーターは正常運転中、また対応時間外のため、監視センタへはお繋ぎできません。」等の音声ガイダンスを出力する。
また、ステップS20で、保守サービス時間外の通報許可の設定があると判断した場合には(ステップS20のYes)、通話制御処理部15dは、音声ガイダンス保存部15fに保存されたデータに基づいて、時間外応答を行うことのガイダンス音声をインターホンスピーカ12bから出力する(ステップS22)。
ここでは、インターホンスピーカ12bは、例えば「エレベーターは正常運転中のため監視センタ受付時間外です。緊急の場合は、監視センタに接続されるまで、このまま呼釦を押し続けて下さい。」等の音声ガイダンスを出力する。
その後、通話制御処理部15dは、インターホン呼釦12aが押される時間が、規定時間T2を超えたか否かを判断する(ステップS23)。規定時間T2は、例えば30秒などに設定される。このステップS23で、インターホン呼釦12aが押される時間が、規定時間T2を超えたと判断した場合(ステップS23のYes)、通話制御処理部15dは、ステップS14に移行して、呼び出し時の通常ガイダンス音声をインターホンスピーカ12bから出力する。さらに、ステップS15に移行して、監視センタ20の通話装置22への接続を実行する。
また、ステップS23で、インターホン呼釦12aが押される時間が、規定時間T2を超えないと判断した場合、あるいはインターホン呼釦12aが押されていないと判断した場合(ステップS23のNo)、通話制御処理部15dは、ステップS11の判断に戻る。
図5は、監視センタ20での、遠隔監視装置15からの接続要求があるときの処理例を示すフローチャートである。
まず、監視センタ20のサーバ通信処理部25は、遠隔監視装置15からの送信データがあるか否かを判断する(ステップS31)。このステップS31で、遠隔監視装置15から送信された受信データがないと判断した場合(ステップS31のNo)には、サーバ通信処理部25は、遠隔監視装置15からの送信データがあるまでステップS31の判断を繰り返す。
そして、ステップS31で、遠隔監視装置15からの送信データがあると判断した場合、サーバ通信処理部25は、受信データが通話要求であるか否かを判断する(ステップS32)。ここで、受信データが通話要求であると判断した場合には(ステップS32のYes)、サーバ通信処理部25は通話要求に基づいて通話装置22を遠隔監視装置15に接続し、呼び出しに応答するオペレータ26の操作後に、通話装置22を通してオペレータとの通話を実行する(ステップS33)。
また、ステップS32で、受信データが通話要求でないと判断した場合には(ステップS32のNo)、サーバ通信処理部25は、受信データが自動応答装置の接続要求であるか否かを判断する(ステップS34)。ステップS34で、受信データが自動応答装置の接続要求であると判断した場合には(ステップS34のYes)、サーバ通信処理部25は自動応答装置の接続要求に基づいて自動応答装置23を遠隔監視装置15に接続し、自動応答装置23による自動応答を実行する(ステップS35)。
さらに、ステップS34で、受信データが自動応答装置の接続要求でないと判断した場合には(ステップS34のNo)、サーバ通信処理部25は、受信データの要求に基づいて、通常データの回答処理を行う(ステップS36)。このステップS36での通常データの回答処理は、監視サーバ21による監視処理に必要なデータのやり取りである。遠隔監視装置15の契約情報保存部15eが保存する保守契約情報の取得を、遠隔監視装置15からの要求で行う場合には、この通常データの回答処理で保守契約情報の伝送が行われる。
以上説明したように、本例のエレベーターシステムによると、建屋10側に設置された遠隔監視装置15が契約情報保存部15eを有して、契約情報保存部15eに保存された保守契約に基づいて、乗りかご11内のインターホン12での通話要求に、適切に応答することが可能になる。すなわち、監視センタ20では、保守サービス時間外の通話要求に対応しなくてもよくなるため、監視センタ20のオペレータ26の対応時間を低減することができると共に、保守員の不要な出動指示についても低減することができる。したがって、監視センタ20のオペレータ26や保守員の負荷を大幅に軽減することができる。
特に本例の場合には、建屋10に設置された遠隔監視装置15内で、異常の有無と契約範囲外かによって音声ガイダンスを変化させることで、重要度が低い通話要求時には、監視センタ20に通話要求を行うことがなくなり、それだけオペレータ26の負担を軽減することができる。
ここで、本例の場合には、保守契約情報で保守サービス時間外となっている場合でも、エレベーター監視処理部15cが通常運転できない異常な場合を検出した際には、監視センタ20への通話要求を行うため、エレベーターを監視する上での安全性を確保することができる。
さらに、エレベーターからの通話要求時に、保守サービス時間外であり、かつその時点で通常運転できる状況であっても、過去の一定時間内に異常が発生していた場合は、監視センタ20の自動応答装置23で対応することになり、適切に対応ができるようになる。すなわち、過去の一定時間内に異常が発生していた状況で、インターホン12での通話要求があった場合には、その異常状態から復旧していたとしても、オペレータ26が対応することなく自動応答で乗客13への適切な案内を行うことができる。また、自動応答時には、必要に応じてオペレータ26の対応も可能であるため、安全性も確保することができる。
[5.変形例]
本発明は、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上述した実施の形態例では、遠隔監視装置15が音声ガイダンスを出力する場合や、自動応答装置23が応答する場合に、インターホン呼釦12a等の釦操作で、監視センタ20の通話装置22でオペレータ26に接続するようにした。これに対して、それぞれの状況で、インターホンマイク12cで取得した乗客13の音声を音声認識して、その音声認識結果に基づいて、監視センタ20の通話装置22でオペレータ26に接続するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態例で説明した音声ガイダンスとして出力する音声の例も一例であり、上述した例とは異なる音声としてもよい。例えば、図4のステップS22での契約範囲外通報の設定許可がある場合には、時間外対応ガイダンス音声として、「対応時間外です。監視センタに接続する処理は料金がかかる場合があります。監視センタに繋ぎますか。」のように出力して、課金が行われることを案内してもよい。
また、上述した実施の形態例では、遠隔監視装置15が音声ガイダンスを保存するようにしたが、音声ガイダンスの一部又は全てについて、監視センタ20側が記憶して、自動応答装置23での処理で、該当する音声ガイダンスを出力するようにしてもよい。
さらに、自動応答装置23で自動応答する際には、呼び出し時のエレベーターの状態などの情報を監視センタ20が遠隔監視装置15から取得して、その取得した現在や過去の状態を判断しながら、音声で自動応答するようにしてもよい。この場合には、自動応答装置23は、人工知能(AI)を活用することで、自動応答する音声を適切に生成できるようになる。
また、上述した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、図1などの構成図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。また、図4や図5に示すフローチャートにおいて、実施の形態例の処理結果に影響がない範囲で、一部の処理ステップの実行順序を入れ替えたり、一部の処理ステップを同時に実行したりするようにしてもよい。
また、上述した実施の形態例で説明した構成は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラムなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置くことができる。
1…通信装置、2…公衆回線網、3…通信装置、10…建屋、11…乗りかご、12…インターホン、12a…インターホン呼釦、12b…インターホンスピーカ、12c…インターホンマイク、13…乗客、14…エレベーター制御装置、15…遠隔監視装置、15a…エレベーター通信処理部、15b…監視装置側通信処理部、15c…エレベーター監視処理部、15d…通話制御処理部、15e…契約情報保存部、15f…音声ガイダンス保存部、20…監視センタ、21…監視サーバ、22…通話装置、23…自動応答装置、24…契約条件記録部、25…サーバ通信処理部、26…オペレータ、30…保全システムサーバ、31…契約情報、C…コンピュータ、C1…CPU、C2…ROM、C3…RAM、C4…不揮発性ストレージ、C5…ネットワークインタフェース、C6…入力装置、C7…表示装置、C8…バス

Claims (5)

  1. エレベーター遠隔監視装置において、
    エレベーターの保守サービス時間についての保守契約情報を保存する契約情報保存部と、
    前記エレベーターのかご内インターホン呼釦が押されたときに、前記契約情報保存部に保存された契約情報を参照し、かご内のインターホンと監視センタのオペレータとの通話を制御する通話制御処理部と、
    前記エレベーターを監視するエレベーター監視処理部とを備え、
    通話制御処理部は、前記契約情報保存部に保存された保守契約情報の保守サービス時間内に、かご内インターホン呼釦が押されたとき、かご内インターホンと監視センタのオペレータとの通話のための接続処理を行い、
    前記契約情報保存部に保存された保守契約情報の保守サービス時間外に、前記かご内インターホン呼釦が押されたときに、前記エレベーター監視処理部が、当該エレベーターが通常運転できていないと判定したとき、前記かご内インターホンと前記監視センタとのオペレータとの通話のための接続処理を行う
    エレベーター遠隔監視装置。
  2. さらに、かご内のインターホンから出力する音声ガイダンスの情報を保存する音声ガイダンス保存部を備え、
    前記保守サービス時間外に、前記エレベーター監視処理部が、当該エレベーターが通常運転できていないと判定し、前記かご内インターホンと前記監視センタのオペレータとの通話のための接続処理を行う場合には、前記通話制御処理部が、前記監視センタへの接続を知らせるガイダンスを前記かご内のインターホンから出力させてから、通話のための接続処理を実行する
    請求項1に記載のエレベーター遠隔監視装置。
  3. さらに、前記通話制御処理部は、前記保守契約情報の保守サービス時間外でかつ前記エレベーター監視処理部が通常運転可能と判断し、過去の一定期間内に異常が発生した履歴があるとき、前記かご内のインターホン呼釦が押されたときに、前記監視センタの自動応答装置に接続して、前記監視センタの前記自動応答装置が前記かご内のインターホンに応答する
    請求項1に記載のエレベーター遠隔監視装置。
  4. さらに、前記通話制御処理部で前記保守契約情報の保守サービス時間外でかつ前記エレベーター監視処理部が通常運転可能と判断し、過去の一定期間内に異常が発生した履歴がない状況のとき、前記通話制御処理部が、保守サービス時間外であることを知らせるガイダンスを前記かご内のインターホンから出力させる
    請求項3に記載のエレベーター遠隔監視装置。
  5. エレベーターと、
    前記エレベーターを監視するエレベーター遠隔監視装置と、
    前記エレベーター遠隔監視装置を介して前記エレベーターを監視する監視センタと、を備えるエレベーターシステムであり、
    前記エレベーター遠隔監視装置は、
    前記エレベーターの保守サービス時間についての保守契約情報を保存する契約情報保存部と、
    前記エレベーターのかご内インターホン呼釦が押されたときに、前記契約情報保存部に保存された契約情報を参照し、かご内のインターホンと監視センタのオペレータとの通話を制御する通話制御処理部と、
    前記エレベーターを監視するエレベーター監視処理部とを備え、
    通話制御処理部は、前記契約情報保存部に保存された保守契約情報の保守サービス時間内に、かご内インターホン呼釦が押されたとき、かご内インターホンと監視センタのオペレータとの通話のための接続処理を行い、
    前記契約情報保存部に保存された保守契約情報の保守サービス時間外に、前記かご内インターホン呼釦が押されたときに、前記エレベーター監視処理部が、当該エレベーターが通常運転できていないと判定したとき、前記かご内インターホンと前記監視センタとのオペレータとの通話のための接続処理を行う
    エレベーターシステム。
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