JP2020142767A - 継手構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】他の部材の取り付け領域を十分に確保し、継手部分の極めて優れた剛性を確保した、継手構造を提供する。【解決手段】第1の部材と第1の部材に連結された第2の部材とを備える継手構造であって、第1の部材は、第1の連結要素、第2の連結要素及び中間要素を備え、第2の部材は、第1の端部連結要素、第2の端部連結要素、ウェブ及び対向部材を備え、第1の連結要素が、第1の部材から第2の部材の向きに第1の部材が先細るように傾斜角X2で傾斜しており、第1の端部連結要素が、第1の部材から第2の部材に向かって第1の連結要素と同じ向きに傾斜し、第1の連結要素と滑らかに連結されて第1の連結部を構成し、第2の端部連結要素が、第2の連結要素と滑らかに連結されて第2の連結部を構成し、第1の連結部の少なくとも一部と第2の連結部の少なくとも一部とが、第1の部材を挟んで対向する、継手構造。【選択図】図4A

Description

本発明は、他部材の取り付け領域の確保と、継手部分の剛性の確保との両立を図った継手構造に関する。
従来、継手構造は、車両、船舶、建築物、橋梁、及び一般産業機械等の各種構造物に適用されており、例えば、車幅方向に所定間隔をおいて車両前後方向に延設された2本のサイドシルと、これらサイドシルの双方と連結され、かつ、車幅方向に延設された複数のクロスメンバと、を含む構造が知られている(特許文献1)。
実公昭60−124381号公報 国際公開第2016/076315号 特開2007−125974号公報 特許第5382271号公報
図1A及び図1B(以下、まとめて図1ともいう)、並びに図2A及び図2B(以下、まとめて図2ともいう)は、従来の車両の車体における、サイドシルとクロスメンバとの継手構造を示す図である。図1A及び図2Aはその斜視図であり、図1B及び図2Bはその車両前後方向側面図である。図1に示す継手構造10においては、サイドシル12の側面12aの車高方向の全域にクロスメンバ14が連結されていないことから、継手部分の剛性が曲げ変形やねじり変形に対して不十分である、という問題があった。なお、図1中、符号14fはクロスメンバ14に形成されたフランジを示し、符号16は、クロスメンバ14が連結されているフロアパネルを示す。
そこで、近年では、図2に示す継手構造20のように、サイドシル22の側面22a及びサイドシル上面22bにクロスメンバ24を連結させることで、継手部分の剛性を高めている。なお、図2中、符号24fはクロスメンバ24に形成された上面フランジを示し、符号26は、クロスメンバ24が連結されているフロアパネルを示す。
しかしながら、継手構造20を構成するクロスメンバ24には、図2Bに示すように、車幅方向外側部分を構成し、かつ、車高方向上側のプロファイルライン(以下、「上側ライン」と称する場合がある)であって車幅方向に対して傾斜している上側ラインL1oを有する部分(以下、「車幅外側部」と称する場合がある)24oが存在する。通常、図2Bのように上側ラインが傾斜した車幅外側部24oの上には、シートレール台座を取り付けることが困難である。クロスメンバ24とサイドシル22の車高方向寸法差が大きい場合には、傾斜した上側ラインL1oが車幅方向のより内側まで延在することとなり、シートレール台座の取り付け領域が十分に確保されないおそれがある。
そこで、特許文献2には、図3A及び図3B(以下、まとめて図3ともいう)に示すように、サイドシル22の上側ラインLsを車幅方向外側に向けて車高方向上側に傾斜させ、かつ、クロスメンバ24の上面フランジ24faの上側ラインLfとサイドシル24の上側ラインLsとを連ならせる継手構造が提案されている。この継手構造によれば、車幅外側部分24oの上面とフランジ24faの上面との屈曲角を小さくすることができるので、シートレール台座の取り付け領域を確保し、且つ継手部分の剛性の確保することができる。
特許文献2に記載の継手構造によれば、図1、2の従来の継手構造よりも剛性の向上を図ることができるが、依然として継手部分の剛性のさらなる向上が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、他の部材(例えば、車幅方向におけるシートレール台座)の取り付け領域を十分に確保するとともに、継手部分の極めて優れた剛性を確保した、継手構造を提供することを目的とする。
本発明者は、車幅方向におけるシートレール台座の取り付け領域を広く確保しつつ極めて優れた剛性を有する継手構造について鋭意研究を行い、本発明を完成した。その要旨は以下のとおりである。
(1)第1の部材と、長手方向の端部が前記第1の部材に連結された第2の部材と、を備える、継手構造であって、
前記第1の部材は、ハット型断面を有し、第1の連結要素、第2の連結要素、並びに前記第1の連結要素及び第2の連結要素の間に位置する中間要素を備え、
前記第2の部材は、ハット型断面を有し、第1の端部連結要素、第2の端部連結要素、前記第1の端部連結要素に連なるウェブ、及び前記ウェブに対向して配置される対向部材を備え、
前記ウェブが、平坦部及び傾斜部を含み、
前記第1の部材の長手方向側面視で、
前記平坦部は、前記第2の部材の長手方向と平行であり、
前記傾斜部は、前記平坦部の前記第1の部材側に連なり、且つ前記第2の部材から前記第1の部材の向きに、前記第2の部材が拡大するように傾斜角X1で傾斜しており、前記傾斜角X1は、前記第2の部材の長手方向と前記傾斜部の表面とのなす角であって10〜30度であり、
前記第2の部材と連結する部分である第1の連結要素が、前記第1の部材から前記第2の部材の向きに、前記第1の部材が先細るように傾斜角X2で傾斜しており、前記傾斜角X2は、前記第2の部材の長手方向と前記第1の連結要素の表面とのなす角であって10〜30度であり、
前記傾斜角X1と前記傾斜角X2との角度差φが±20度以内であり、
前記第1の部材と連結する部分である前記第2の部材の第1の端部連結要素が、前記傾斜部の前記第1の部材側に連なり、且つ前記第1の部材から前記第2の部材に向かって、前記第1の連結要素と同じ向きに傾斜しており、
前記第1の連結要素と前記第1の端部連結要素とが、滑らかに連結されて第1の連結部を構成し、
前記第1の部材と連結する部分である前記第2の部材の第2の端部連結要素が、前記対向部材の前記第1の部材側に連なり、
前記第2の連結要素と前記第2の端部連結要素とが、滑らかに連結されて第2の連結部を構成し、
前記第1の連結部の少なくとも一部と第2の連結部の少なくとも一部とが、前記第1の部材を挟んで対向し、
前記ウェブが、前記第1の端部連結要素の範囲と、前記第2の部材の長手方向において前記第1の部材から前記第2の部材に向かって前記中間要素の表面から前記中間要素の幅の50%以内の範囲とに、曲率半径が20mm以下の屈曲点を有しない、
ことを特徴とする継手構造。
(2)前記第2の連結要素及び前記第2の端部連結要素が、前記第2の部材の長手方向と平行である、上記(1)に記載の継手構造。
(3)前記第2の連結要素及び前記第2の端部連結要素が、前記第1の連結要素及び前記第1
の端部連結要素と同じ向きに傾斜角X3で傾斜しており、前記傾斜角X3は、前記第2の部材の長手方向と前記第2の連結要素の表面とのなす角であって0度超30度以下である、上記(1)に記載の継手構造。
(4)前記傾斜角X2と前記傾斜角X3との角度差が±5度未満である、上記(3)に記載の継手構造。
(5)前記第1の部材の長手方向側面視で、
前記第2の部材の、前記第1の端部連結要素及び前記第2の端部連結要素以外の部分における、前記第2の部材の長手方向に対して垂直な方向での最大寸法H1に対する最小寸法H2の割合H2/H1が0.50以上0.92以下である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の継手構造。
(6)(H1/H2−1)/2<tan|X2|を満たす、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の継手構造。
本発明に係る継手構造では、例えば、当該継手構造がサイドシル(第1の部材)とクロスメンバ(第2の部材)とからなる構造である場合に、クロスメンバの車幅内側部の車幅方向寸法を大きくすることを前提に、クロスメンバの上面フランジの上側ラインとサイドシルの上側ラインとを連結し、且つクロスメンバの下面フランジの下側ライン(フロアパネルのフランジの下側ライン)とサイドシルの下側ラインとを連結している。その結果、本発明に係る継手構造によれば、他の部材(例えば、車幅方向におけるシートレール台座)の取り付け領域を十分に確保するとともに、継手部分の極めて優れた剛性を確保することができる。
図1Aは、従来の車両の車体における、サイドシルとクロスメンバとの継手構造を示す斜視図である。 図1Bは、従来の車両の車体における、サイドシルとクロスメンバとの継手構造を示す車両前後方向側面図である。 図2Aは、従来の車両の車体における、サイドシルとクロスメンバとの継手構造を示す斜視図である。 図2Bは、従来の車両の車体における、サイドシルとクロスメンバとの継手構造を示す車両前後方向側面図である。 図3Aは、従来の継手構造を示す斜視図である。 図3Bは、従来の継手構造を示す車両前後方向側面図である。 図4Aは、本発明の実施形態に係る継手構造を示す斜視図である。 図4Bは、本発明の実施形態に係る継手構造を示す車両前後方向側面図である。 図4Cは図4Bの変形例である。 図5Aは、図4Bに示す車両継手構造についての変形例であり、2つの上側ラインLou、Lsuが一直線に延在している車両前後方向側面図である。 図5Bは、図4Bに示す車両継手構造についての変形例であり、2つの上側ラインLou、Lsuが車高方向下方に凸状をなして屈曲している車両前後方向側面図である。 図5Cは、図4Bに示す車両継手構造についての変形例であり、2つの上側ラインLou、Lsuが車高方向下方に凸状をなして湾曲している車両前後方向側面図である。 図6は、図4Aに示す車両継手構造の変形例であり、車幅外側部の車両前後方向寸法が車幅方向外側に向けて広くなっている例である。 図7は、図4Aに示す車両継手構造の変形例であり、サイドシルの外側部分に連結する上面フランジとサイドシルの側壁に連結する側面フランジとが一体となった例である。 図8Aは、本発明(の実施形態)に係る車両継手構造を示す斜視図である。 図8Bは、本発明(の実施形態)に係る車両継手構造を示す車両前後方向側面図である。 図9Aは、図8Aに示す車両継手構造の変形例を示す斜視図であり、センターピラーが第2のフランジを備える例である。 図9Bは、図8Aに示す車両継手構造の変形例を示す斜視図であり、第2のフランジが第1のフランジと連なっている例である。 図10Aは、従来の車体フレームにおける、サイドシルとセンターピラーとの継手構造を示す斜視図である。 図10Bは、従来の車体フレームにおける、サイドシルとセンターピラーとの継手構造を示す車両前後方向側面図である。 図11Aは、従来の継手構造の剛性シミュレーションに用いたモデルの上面斜視図である。 図11Bは、従来の継手構造の剛性シミュレーションに用いたモデルの下面斜視図である。 図12Aは、従来の継手構造の剛性シミュレーションに用いたモデルの上面斜視図である。 図12Bは、従来の継手構造の剛性シミュレーションに用いたモデルの下面斜視図である。 図13Aは、本発明の実施形態に係る継手構造の剛性シミュレーションに用いたモデルの上面斜視図である。 図13Bは、本発明の実施形態に係る継手構造の剛性シミュレーションに用いたモデルの下面斜視図である。 図14は、従来の継手構造の上下曲げ試験の剛性シミュレーション結果である。 図15は、図1の従来の継手構造、図3の従来の継手構造、及び本発明の実施形態に係る継手構造の剛性を相対的に比較したグラフである。
以下、本発明に係る継手構造の実施形態を、実施形態1(サイドシルとクロスメンバとの組合構造)と、実施形態2(サイドシルとセンターピラーとの組合構造)に分けて説明する。また、本明細書において、車両前後方向側面とは車両前後方向に垂直な側面をいう。また、本明細書において、車両前後方向とは車両の長手方向を意味し、車高方向とは鉛直方向を意味し、車幅方向とは車両前後方向と車高方向との双方に垂直な方向を意味する。
<実施形態1(サイドシルとクロスメンバとの組合せ構造)>
実施形態1(サイドシルとクロスメンバとの組合せ構造)について説明する。図4A、図4B、図4C(以下、まとめて図4ともいう)は、本実施形態に係る継手構造の一種である、車両継手構造30を示す図である。図4Aはその斜視図であり、図4Bはその車両前後方向側面図であり、図4Cは図4Bの変形例である。車両継手構造30は、車体に関する構造である。車両継手構造30は、車両前後方向に延設されたサイドシル32(第1の部材)と、サイドシル32と連結されて車幅方向に延設されたクロスメンバ34(第2の部材)と、を備える。図4中、符号34fauはクロスメンバ34に形成された上面フランジ(第1の端部連結要素)を示し、符号34wはクロスメンバ34のウェブを示し、符号36は、クロスメンバ34が連結され且つウェブに対向しているフロアパネル(対向部材)を示し、符号34falは、フロアパネル36に形成された下面フランジ(第2の端部連結要素)を示す。また、本明細書中、「サイドシル」とは、サイドシルのいわゆるインナーを意味する。
サイドシル32(第1の部材)は、ハット型断面を有し、第1の連結要素、第2の連結要素、並びに前記第1の連結要素及び第2の連結要素の間に位置する中間要素を備える。図4Aにおいて、サイドシル32は、クロスメンバ34(第2の部材)と連結する車幅方向に垂直な側面32aを有する内側部分32i(中間要素)と、内側部分32iに対して屈曲して車幅方向外側に延在する2つの外側部分32ou(第1の連結要素)、32ol(第2の連結要素)とを備える。また、2つの外側部分32ou、32olの車幅方向最外部には図示しないサイドシルアウター、センターピラー、サイドパネル等の他の部品と連結されるフランジが設けられている。
また、サイドシル32(第1の部材)は、図4Bに示すように、上側ラインLsu、即ち、車高方向上側の外側部分32ouのプロファイルラインが、車幅方向外側に向けて車高方向上側に傾斜している。即ち、図4Bに示すように、サイドシル32においては、クロスメンバ34(第2の部材)との連結部である外側部分32ou(第1の連結要素)が、サイドシル32からクロスメンバ34の向きに、サイドシル32が先細るように、傾斜角X2で傾斜している。傾斜角X2は、クロスメンバ34の長手方向と外側部分32ou(第1の連結要素)の表面とのなす角であって10〜30度である。傾斜角X2が前記範囲内であることにより、継手部分の剛性を高めることができる。傾斜角X2は、好ましくは15°以上27°以下であり、この場合、上記効果がさらに一層高いレベルで奏される。
クロスメンバ34(第2の部材)は、ハット型断面を有し、第1の端部連結要素、第2の端部連結要素、前記第1の端部連結要素に連なるウェブ、前記ウェブに対向して配置される対向部材を備える。また、前記ウェブが、平坦部及び傾斜部を含む。
図4Bに示すように、クロスメンバ34(第2の部材)は、上側ラインLiu(平坦部)が車幅方向に延びる車幅内側部34iと、車幅内側部34iの車幅方向外側に連なるとともに、上側ラインLou(傾斜部)が車幅方向外側に向けて車高方向上側に傾斜し、サイドシル32(第1の部材)の側面32aと連結する車幅外側部34oと、車幅外側部34oの車幅方向外側(サイドシル32側)に連なるとともに、サイドシル32の外側部分32ouと連結する上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)と、サイドシル32の外側部分32olと連結する下面フランジ34fal(第2の端部連結要素)とを備える。
図4Bに示すように、クロスメンバ34(第2の部材)においては、サイドシル32との連結部である上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)が、サイドシル32からクロスメンバ34に向かって、サイドシル32の外側部分32ou(第1の連結要素)と同じ向きに傾斜している。
図4Bにおいて、上側ラインLiu(平坦部)は、クロスメンバ34(第2の部材)の長手方向と平行である。上側ラインLou(傾斜部)は、平坦部のサイドシル32(第1の部材)側に連なり、且つクロスメンバ34からサイドシル32の向きに、クロスメンバ34が拡大するように傾斜角X1で傾斜している。傾斜角X1は、クロスメンバ34の長手方向と上側ラインLou(傾斜部)の表面とのなす角であって10〜30度である。上側ラインLouの傾斜角が過度に大きい場合には、延性の低い材料、例えばハイテン材を使用してクロスメンバ34をプレス成形する際に、クロスメンバ34の側壁に亀裂が生じるおそれがあるため、傾斜角X1の上限は30度である。傾斜角X1が小さすぎると、クロスメンバ34の車幅内側部34iの車幅方向寸法Wiを従来技術の同寸法W1iに比べて大きくすることができないので、傾斜角X1の下限は10度である。
傾斜角X1と傾斜角X2との角度差φ(屈曲角φともいう)は好ましくは±20度以内である。車幅外側部34oの上側ラインLou(傾斜部)と上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)の上側ラインLfuとからなる線分の屈曲角φを小さく限定することにより、クロスメンバ34(第2の部材)に車高方向の曲げ荷重が付加された際に、車幅外側部34oの上側ラインLouと上面フランジ34fauとからなる線分の屈曲部における変形を抑制することができる。その結果、継手部分の剛性、特に車高方向曲げ剛性を向上させることができる。具体的には、屈曲角φの絶対値を好ましくは0°以上20°以下とする。この場合には、上記屈曲部における変形をさらに抑制でき、継手部分の剛性を向上させることができる。
なお、図4Bにおいて、屈曲角φは鋭角側の角度で定義する。また、同図において、屈曲角φは、クロスメンバ34(第2の部材)の車幅外側部34oの上側ラインLou(傾斜部)と上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)の上側ラインLfuとにより形成される線分形状が、車高方向上側に凸となる場合を正とし、車高方向下側に凸となる場合を負として定義する。従って、図4Bに示す例は、屈曲角φが正である例を示している。
そして、図4Bに示すように、外側部分32ou(第1の連結要素)と上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)とが、滑らかに連結されて第1の連結部を構成する。
図4Bに示すように、クロスメンバ34(第2の部材)の対向部材36は、車幅外側部34oの車幅方向外側(サイドシル32側)に連なるとともに、サイドシル32(第1の部材)の外側部分32olと連結する下面フランジ34fal(第2の端部連結要素)を備える。
そして、図4Bに示すように、外側部分32ol(第2の連結要素)と下面フランジ34fal(第2の端部連結要素)とが、滑らかに連結されて第2の連結部を構成する。
第1の連結部の少なくとも一部と第2の連結部の少なくとも一部とは、サイドシル32(第1の部材)を挟んで対向する。第1の連結部の少なくとも一部と第2の連結部の少なくとも一部とが、サイドシル32(第1の部材)を挟んで対向することにより、極めて優れた剛性を得ることができる。好ましくは、第1の連結部の実質的部分と第2の連結部の実質的部分とは、サイドシル32(第1の部材)を挟んで対向する。より好ましくは、第1の連結部の全部と第2の連結部の少なくとも一部とは、サイドシル32(第1の部材)を挟んで対向するか、または第1の連結部の少なくとも一部と第2の連結部の全部とは、サイドシル32(第1の部材)を挟んで対向する。さらに好ましくは、第1の連結部の全部と第2の連結部の全部とは、サイドシル32(第1の部材)を挟んで対向する。
ウェブは、上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)の範囲と、クロスメンバ34(第2の部材)の長手方向においてサイドシル32(第1の部材)からクロスメンバ34に向かってサイドシル32の内側部分32i(中間要素)の側面32a(表面)から中間要素の幅(図4Bにおける車高方向の長さ)の50%以内の範囲とに、曲率半径が20mm以下の屈曲点を有しない。ウェブが上記範囲に上記屈曲点を有しないことにより、極めて優れた剛性を得ることができる。好ましくは、ウェブは、全体にわたって、曲率半径が20mm以下の屈曲点を有しない。ウェブが全体にわたって上記屈曲点を有しないことにより、さらに優れた剛性を得ることができる。
第1の連結部及び第2の連結部は組み合わせで存在し、クロスメンバ34(第2の部材)の幅方向の少なくとも一方側に存在する。
好ましくは、図4Bに示すように、サイドシル32(第1の部材)の下側ラインLsl、即ち、車高方向下側の外側部分32ol(第2の連結要素)のプロファイルラインと、クロスメンバ34(第2の部材)のフロアパネル36(対向部材)に形成された下面フランジ34fal(第2の端部連結要素)のプロファイルラインとが、車幅方向外側に向けて、クロスメンバ34の長手方向と平行である。即ち、図4Bに示すように、サイドシル32の、クロスメンバ34との連結部である外側部分32ol(第2の連結要素)と、クロスメンバ34の、サイドシル32との連結部である下面フランジ34fal(第2の端部連結要素)とが、クロスメンバ34(第2の部材)の長手方向と平行である。このように、外側部分32ol及び下面フランジ34falが、クロスメンバ34の長手方向と平行であることにより、剛性をより高めることができる。
好ましくは、図4Cに示すように、サイドシル32の下側ラインLsl、即ち、車高方向下側の外側部分32ol(第2の連結要素)のプロファイルラインと、クロスメンバ34(第2の部材)のフロアパネル36(対向部材)に形成された下面フランジ34fal(第2の端部連結要素)のプロファイルラインとが、車幅方向外側に向けて、外側部分32ou(第1の連結要素)及び上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)と同じ向きに傾斜角X3で傾斜している。傾斜角X3は、クロスメンバ34の長手方向と外側部分32ol(第2の連結要素)の表面とのなす角であって、好ましくは0度超30度以下である。このように、外側部分32ol(第2の連結要素)及び下面フランジ34fal(第2の端部連結要素)が、車幅方向外側に向けて、外側部分32ou(第1の連結要素)及び下面フランジ34fau(第1の端部連結要素)と同じ向きに傾斜角X3で傾斜していることにより、衝突安全性をより高めることができる。
傾斜角X2と傾斜角X3との角度差は、好ましくは±5度未満である。傾斜角X2と傾斜角X3との角度差が前記範囲内であることにより、剛性をより高めることができる。
サイドシル32(第1の部材)とクロスメンバ34(第2の部材)とにおいて、サイドシル32の上側ラインLsuと上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)の上側ラインLfuとが連なっている。また、サイドシル32の下側ラインLslと下面フランジ34fal(第2の端部連結要素)の下側ラインLflとが連なっている。ここで、上側ラインLsu、Lfuが連なっている及び下側ラインLsl、Lflが連なっているとは、サイドシル32及びクロスメンバ34の板厚分のずれを考慮した上で、これらのラインLsuとLfuとが重なっていること、及びLslとLflとが重なっていることを意味する。
サイドシル32(第1の部材)及びクロスメンバ34(第2の部材)は、いずれも、公知のいかなる材料から構成してもよい。例えば、高張力鋼板、アクリル繊維、炭素繊維強化プラスチックを使用したPAN系炭素繊維等の炭素繊維複合材料等を用いることができる。
サイドシル32(第1の部材)及びクロスメンバ34(第2の部材)は、いずれも、例えば、高張力鋼板をプレス成形することにより得ることができる。そして、サイドシル32へのクロスメンバ34の連結は、従来のいかなる手法(例えば、スポット溶接、レーザー溶接、ボルト締め)によっても行うことができる。或いは、サイドシルとクロスメンバとを、鋳造や樹脂の射出成型等を用いて、一体成型することもできる。この場合には、サイドシルとクロスメンバとの連結部(即ち、フランジ)を特定できない場合もあり得るが、車両継手構造としては、スポット溶接等によりサイドシルとクロスメンバとを連結する場合と同等の形状とすることができる。
このように、本実施形態の車両継手構造30によれば、サイドシル32(第1の部材)の上側ラインLsuを車幅方向外側に向けて車幅方向上側に傾斜させ、クロスメンバ34(第2の部材)に、サイドシル32の外側部分32ou(第1の連結要素)に連結するための上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)と、サイドシル32の外側部分32ol(第2の連結要素)に連結するための下面フランジ34fal(第2の端部連結要素)とを形成し、且つクロスメンバの上面フランジの上側ラインとサイドシルの上側ラインとを連結し、且つクロスメンバの下面フランジの下側ライン(フロアパネルのフランジの下側ライン)とサイドシルの下側ラインとを連結する。従って、本実施形態の車両継手構造30によれば、車幅方向においてシートレール台座の取り付け領域を十分に確保するとともに、継手部分の極めて優れた剛性を確保することが可能となる。
以上に示すサイドシル(第1の部材)とクロスメンバ(第2の部材)とを組み合わせた車両継手構造においては、車両走行時に、サイドシルを基準としてクロスメンバに各種荷重(車両前後方向力、車幅方向力、車高方向力及びねじり偶力等)が加わる。これらの荷重に対する各剛性は、接合部の継手強度に全て比例し、全て同じ傾向を示すことが判明している。従って、上記のとおり、車高方向曲げ剛性を十分高めることができる本実施形態に係る車両継手構造においては、車両前後方向曲げ剛性、車幅方向軸剛性及び軸ねじり剛性についても十分に確保されているといえる。
以上により、本実施形態においては、車幅方向においてシートレール台座の取り付け領域を十分に確保できるとともに、継手部分の剛性を確保することができる。シートレール台座の取り付け領域は、従来比較で好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは実質的に同等が確保できれば十分である。
図4の車両継手構造30においては、サイドシル32(第1の部材)の長手方向側面視で、クロスメンバ34(第2の部材)の、第1の端部連結要素及び第2の端部連結要素以外の部分における、クロスメンバ34の長手方向に対して垂直な方向での最大寸法H1に対する最小寸法H2の割合H2/H1が0.50以上0.92以下であることが好ましい。割合H2/H1を0.50以上とすることで、継手部分の剛性をより高めることができる一方、0.92以下とすることで、車室内空間をより広く確保することができる。なお、この割合H2/H1を0.65以上0.79以下とした場合には、上記効果がそれぞれさらに高いレベルで奏される。
図4の車両継手構造30においては、(H1/H2−1)/2<tan|X2|を満たすことが好ましい。上記数式を満たすことで、シートレール台座の取り付け領域の確保と、クロスメンバの成形性を確保しつつ、サイドシル(第1の部材)とクロスメンバ(第2の部材)とからなる継手部分の剛性を高め、さらには、車体の車両前後方向曲げ剛性、車幅方向曲げ剛性、及び車両前後方向軸ねじり剛性を高めることができる。
クロスメンバ34(第2の部材)において、(サイドシル32よりも車幅方向内側における)車幅方向全寸法Wに対する車幅内側部34iの車幅方向寸法Wi(車幅内側部幅比率)は、好ましくは75%以上95%以下である。
車幅内側部幅比率を、75%以上とすることで、車幅方向においてシートレール台座の取り付け領域を十分に確保し、ひいては車室内空間の有効利用を促進することができる。また、上記車幅内側部幅比率を95%以下とすることで、車幅外側部34oの上側ラインLouの車幅方向に対する傾斜角X1を過大にすることなく、優れた成形性を確保し、サイドシル32(第1の部材)とクロスメンバ34(第2の部材)との荷重伝達効率を向上させて、優れた継手部分の剛性を実現することができる。
また、上記車幅内側部幅比率を77%以上90%以下とした場合には、上記各効果をそれぞれさらに高いレベルで発揮できるため好ましく、80%以上85%以下とした場合には、上記各効果をさらに一層高いレベルで発揮できるためより一層好ましい。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨に逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
次に、上述した図4に示す車両継手構造30のその他の好適例を列挙する。
図5A、図5B、及び図5C(以下、まとめて図5ともいう)は、図4Bに示す車両継手構造についての3つの変形例を示す車両前後方向側面図である。
具体的には、図5Aに示す例は、2つの上側ラインLou、Lsuが一直線に延在している例であり、図4Bに示す例において、屈曲角φ=0°(上側ラインLou、Lfuが一直線に延在)の場合に相当する。即ち、図5Aに示す例は、サイドシル32(第1の部材)の上側ラインLsuと、上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)の上側ラインLfuと、車幅外側部34oの上側ラインLou(傾斜部)とが、各構成要素の板厚分のずれを許容して一直線上に延在している例であり、継手部分の剛性向上の観点から最も好ましい形態である。
次に、図5Bに示す例は、2つの上側ラインLou、Lsuが車高方向下方に凸状をなして屈曲している例であり、図4Bに示す屈曲角φが負である場合に相当する。図5Bに示す例は、継手部分の剛性を確保しながら、クロスメンバ34(第2の部材)の車幅外側部34oの上方空間をより広く確保することができる点において好ましい。
図5Cに示す例は、図5Bに示す例と同様に2つの上側ラインLou、Lsuが車高方向下方に凸状をなして湾曲している例であるが、上側ラインLouと上側ラインLfuとの間に明確な屈曲点が存在せず、クロスメンバ34(第2の部材)の車幅外側部34oから上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)にわたって、車幅方向に対する傾斜角が滑らかに変化する例である。図5Cに示す例では、車幅方向におけるシートレール台座の取り付け領域の確保と継手部分の剛性の確保との双方に関して、図5Bに示す例と同等の効果を得ることができる。
なお、図5Cに示す例では、上側ラインLou、Lsuが車高方向下側に凸の形状であるが、これら上側ラインLou、Lsuは車高方向上側に凸の形状とすることもできる。また、後者の場合にも、上側ラインLou、Lfuの間に屈曲部を存在させずに、これらLou、Lfuを滑らかに延在させることができ、図4Bで示す例と同等の効果(シートレール台座の取り付け領域の確保と継手部分の剛性の確保との双方に関する)を得ることができる。また、上側ラインLou、Lfuからなる線分が、複数の点において、変曲点を有する場合においても、同様の上記効果を得ることができる。なお、図5においても、図4Cに示す構成を有することができ、以下同様である。
ここで、図4B、図5A、及び図5Bに示す例における、車幅外側部34oの上側ラインLou(傾斜部)の車幅内側部34iの上側ラインLiu(平坦部)に対する傾斜角X1は、10°以上30°以下である。図5Cに示す例においては、上側ラインLouの上側ラインLiuに対する傾斜角X1の平均値は10°以上30°以下であり、傾斜角X1の最大値は、好ましくは10°以上30°以下である。傾斜角X1を10°以上とすることで、クロスメンバ34の車幅外側部34oの車幅方向寸法を小さくし、これにより車幅内側部34iの車幅方向寸法を大きくして、シートレール台座の取り付け領域をさらに広げ、ひいては車室内空間をさらに有効利用することができる。
一方、傾斜角X1を30°以下とすることで、車両前後方向側面視で、クロスメンバ34(第2の部材)の上側ラインLiu(平坦部)、Lou(傾斜部)同士の屈曲角を小さくすることができる。これにより、例えば、クロスメンバ34を車高方向に曲げる荷重が付加された際に、屈曲点における曲げ変形を抑制でき、継手部分を高剛性とすること、換言すれば車高方向曲げ剛性を高いレベルで確保することができる。また、傾斜角X1を30°以下に制限することで、上述のとおり、車高方向曲げ剛性のみならず、車両前後方向曲げ剛性及び軸ねじり剛性についても高いレベルで確保することが可能となる。
なお、傾斜角X1を15°以上25°以下とした場合には、上記各効果をそれぞれさらに一層高いレベルで発揮できるためより一層好ましい。
以上で述べたように、車幅外側部34oの上側ラインLou(傾斜部)の、車幅内側部34iの上側ラインLiu(平坦部)に対する傾斜角X1を、10°以上30°以下とすることで、車幅方向におけるシートレール台座の取り付け領域の確保と、継手部分の剛性の確保とを高いレベルで両立することできる。
ここで、図4B、図5A、及び図5Bに示す例における、センターピラー134の長手方向(鉛直方向)と面取り部132c(第1の連結要素)の表面とのなす角である傾斜角X2は、10〜30度である。図5Cに示す例においては、傾斜角X2の平均値は10°以上30°以下であり、傾斜角X2の最大値は、好ましくは10°以上30°以下である。傾斜角X2が前記範囲内であることにより、継手部分の剛性をさらに高めることができる。以下では、当該領域の確保と当該剛性の確保とを、さらに一層高いレベルで両立する態様について述べる。
即ち、本発明者は、上記領域の確保と上記剛性の確保とのさらなる両立のために、上記構成に加えて、車両継手構造の、特に各部の寸法を詳細に規定する必要があるとの知見を得た。具体的には、本発明者は、図5に示すサイドシル32(第1の部材)の車幅方向寸法Ws、サイドシル32の車幅方向最外部における車高方向寸法Hs、(サイドシル32よりも車幅方向内側の)クロスメンバ34(第2の部材)の車幅方向全寸法W、クロスメンバ34の車幅方向最内部(上側ラインLiuが車幅方向に延在する部分に限る)の車高方向寸法Hc、0.75以上0.95以下の実数αを用いて規定されるクロスメンバ34の車幅内側部の車幅方向寸法Wi(Wi=αW)、及び(Hc+5)/Hc以上(Hs−5)/Hc以下の実数βを用いて規定されるクロスメンバ34の車幅方向最外部(但し、上面フランジ34fauは除く)の車高方向寸法Hco(Hco=βHc)の関係に着目した。なお、上記パラメータの寸法単位は全てmmである。
そして、本発明者は、これらのパラメータWs、Hs、W、Hc、Wi、及びHcoを基に、
実数γ(γ=(β−1)Hc/W/(1−α))を、0.0875以上1.0000以下とし、かつ、
実数ε(ε={(β−1)Hc/W/(1−α)−(Hs−βHc)/Ws}/{1+(β−1)Hc(Hs−βHc)/W/Ws/(1−α)})を、−0.364以上0.364以下とすることで、車幅方向におけるシートレール台座の取り付け領域の確保と、継手部分の剛性の確保とを、高いレベルで実現することができる、との知見を得た。
なお、実数αの範囲は、(サイドシル32よりも車幅方向内側における)クロスメンバ34(第2の部材)の車幅方向全寸法Wに対する車幅内側部34iの車幅方向寸法Wiの上限と下限を規定するものである。同様に、実数βの範囲は、クロスメンバ34の車幅方向最内部の車高方向寸法Hcに対する車幅方向最外部の車高方向寸法Hcoの上限と下限を幾何学的に意味のある範囲で規定するものである。
実数γの範囲は、車幅外側部34oの上側ラインLouの、上側ラインLiuに対する傾斜角X1に相当する量の上限と下限を規定するものである。なお、実数γが0.0875のときX1は5°、γが1のときX1は45°となる。
実数εの範囲は、クロスメンバ34(第2の部材)の車幅外側部34oの上側ラインLou(傾斜部)と上面フランジラインLfuとからなる線分の屈曲角φに相当する量の上限と下限を規定するものである。なお、実数εが−0.364のときφは−25°となり、εが0.364のときφは25°となる。
このような実数γ、εの範囲を前提として、実数εの範囲を、−0.268以上0.268以下とすること、即ち、屈曲角φを−15°以上15°以下とすることが、剛性向上の観点からより好ましい。特に、実数εをゼロにすることが屈曲角φをゼロにすることになる。このため、実数εをゼロになるように各寸法を調整することで、図5Aに示す例について上述したように、上側ラインLsu、Lfu、Louを各構成要素32、34の板厚分のずれを考慮して一直線上に配置することができる。従って、実数εをゼロとした場合には、継手部分の剛性向上の観点から特に好ましい。
次に、図6(図4Aに示す車両継手構造についての変形例)に示すように、クロスメンバ34(第2の部材)の車幅外側部34oが車幅方向外側に向かって車両前後方向に幅広となっていることが好ましい。図6に示すように、クロスメンバ34の車幅外側部34oが車幅方向外側に向かって車両前後方向に幅広となっている場合には、図4に示す例と比べて、クロスメンバ34のサイドシル32(第1の部材)の側面32aとの連結領域面積をより大きくすることができる。このため、図6に示す例では、特に、継手部分の強度、ひいては、継手部分の各種剛性をさらに高いレベルで改善することができる。
なお、図6に示す例においては、(サイドシルよりも車幅方向内側の)クロスメンバ34(第2の部材)の車幅方向全寸法をW、0.75以上0.95以下の実数をα、及びクロスメンバ34の車幅方向最内部における車両前後方向寸法をDcとした場合に、
上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)の車幅方向最外部における車両前後方向寸法Doが、
Dc+0.175(1−α)W以上、かつ、
Dc+(1−α)W以下である、ことが好ましい。
車両前後方向寸法Doを、上記W、α、及びDcを用いて、Dc+0.175(1−α)W以上とすることで、サイドシル32(第1の部材)の外側部分32ou(第1の連結要素)と上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)との接合領域の十分な確保に基づき、継手部分の剛性、特に、車両前後方向曲げ剛性を十分に確保することができる。
一方、車両前後方向寸法Doを、Dc+(1−α)W以下とすることで、クロスメンバ34(第2の部材)の車幅方向最内部における側壁と車幅方向最外部における側壁のなす屈曲角を抑制し、例えばクロスメンバ34に車両前後方向の曲げ荷重が付加された際に、屈曲点における変形を抑制し、ひいては車両前後方向曲げ剛性を十分に確保することができる。
加えて、図7(図4Aに示す車両継手構造についての変形例)に示すように、サイドシル32(第1の部材)の外側部分32ou(第1の連結要素)に連結する上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)とサイドシル32の側壁32aに連結する側面フランジ34fbとが一体となっていることが好ましい。
図4に示す例では、クロスメンバ34(第2の部材)の上面フランジ34fau(第1の端部連結要素)と側面フランジ34fbとは、一体となっておらず、換言すれば、両フランジ34fau、34fbの車幅方向縁部が連なっていない。
これに対し、図7に示す例では、両フランジ34fau、34fbの車幅方向縁部が連なっているため、クロスメンバ34(第2の部材)の車幅外側部34oの剛性を向上させることができる。また、図7に示す例では、図4に示す例に比べて、両フランジ34fau、34fbの間に位置するコーナーフランジ34fcuをさらに備えることができ、ひいてはサイドシル32(第1の部材)とクロスメンバ34との連結領域を拡大することができる。これにより、当該連結領域におけるスポット溶接点数の増大や、当該連結領域における接着剤による結合面積の増大が可能になることから、クロスメンバ34からサイドシル32への荷重伝達効率をさらに向上させることできる。従って、2つのフランジ34fau、34fbを一体として結果的にそれらの間にコーナーフランジ34fcuを形成することで、継手部分の剛性をさらに向上させることができる。
本実施形態において、サイドシル32(第1の部材)及びクロスメンバ34(第2の部材)の継手構造は、クロスメンバ34の長手方向とサイドシル32の長手方向のなす角度が90°であるT字継手構造が好ましいが、前記なす角度は45°〜90°未満でもよい。
なお、図示しないが、図4から図7に示す本実施形態について、2つ以上の実施形態を組み合わせることも可能であり、設計者の意図に応じて、それぞれの形態におけるメリットを享受することが可能である。
<実施形態2(サイドシルとセンターピラーとの組合せ構造)>
以下に、実施形態2(サイドシルとセンターピラーとの組合せ構造)について説明する。図8A及び図8B(以下、まとめて図8ともいう)は、本実施形態に係る継手構造の一種である、車両継手構造130であり、図8Aはその斜視図であり、図8Bはその車両前後方向側面図である。図8Bは、センターピラー中心での断面図であるが、センターピラー下部の孔134hは省略している。車両継手構造130は、車体フレームに関する構造であり、通常、車体フレームはシャシフレームに接続されてシート台座を包囲するように配置される。車両継手構造130は、車両前後方向に延設されたサイドシル132(第1の部材)と、サイドシル132と連結されて車高方向に延設されたセンターピラー134(第2の部材)と、を備える。なお、図8A、図8B中、サイドシル132及びセンターピラー134の図示態様は、インナーのみであるが、実際には、それらの車幅方向外側には、それぞれのアウターが存在する。
サイドシル132(第1の部材)は、ハット型断面を有し、第1の連結要素、第2の連結要素、並びに前記第1の連結要素及び第2の連結要素の間に位置する中間要素を備える。図8Aに示すように、サイドシル132は、車幅方向に延びる頂部132t(中間要素)と、頂部132tの車幅方向内側で車高方向に延びる側部132lと、側部132lの車高方向最下部に連なって車幅方向外側に延びる底部132bと、頂部132tと側部132lとの双方に連なる面取り部132c(第1の連結要素)と、頂部132t及び底部132bの車幅方向最外部にそれぞれ、図示しないアウターと連結するためのフランジc1(第2の連結要素)及びc2とが設けられている。
一方、センターピラー134(第2の部材)は、ハット型断面を有し、第1の端部連結要素、第2の端部連結要素、前記第1の端部連結要素に連なるウェブ、前記ウェブに対向して配置される対向部材を備える。また、前記ウェブが、平坦部及び傾斜部を含む。図8Aに示すように、センターピラー134は、頂部132tに連結された本体部134mと、本体部134mの車幅方向最内部から車高方向下方に連なり、かつ、少なくとも面取り部132c(第1の連結要素)に連結された第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)と、ウェブ134wに対向して配置される対向部材136と、対向部材136から車高方向下方に連なり、かつ、少なくともフランジc1(第2の連結要素)に連結された第2のフランジ136f1(第2の端部連結要素)と、を含む。本体部134mには、シートベルトアンカーを格納するための孔134hが設けられている。
ここで、センターピラー134(第2の部材)の第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)とは、センターピラー134の車幅方向最内部において少なくとも面取り部132c(第1の連結要素)の表面に沿って延在する部分であって、かつ、頂部132t(中間要素)の表面から車高方向下方に位置する部分をいうものとする。このため、第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)から車高方向上方に連なる部分(センターピラー134の車幅方向最内部であって頂部132tの表面よりも車高方向上方に位置する部分)は、センターピラー134の本体部134mとする。
センターピラー134(第2の部材)の第2のフランジ136f1(第2の端部連結要素)とは、センターピラー134の車幅方向最外部において少なくともフランジc1(第2の連結要素)の表面に沿って延在する部分であって、かつ、頂部132t(中間要素)の表面から車高方向下方に位置する部分をいうものとする。このため、第2のフランジ136f1から車高方向上方に連なる部分(センターピラー134の車幅方向最外部であって頂部132tの表面よりも車高方向上方に位置する部分)は、センターピラー134の対向部材136とする。
図8Bに示すように、サイドシル132(第1の部材)においては、センターピラー134(第2の部材)との連結部である面取り部132c(第1の連結要素)が、サイドシル132からセンターピラー134の向きに、サイドシル132が先細るように、傾斜角X2で傾斜している。傾斜角X2は、センターピラー134の長手方向(鉛直方向)と面取り部132c(第1の連結要素)の表面とのなす角であって10〜30度である。傾斜角X2が前記範囲内であることにより、継手部分の剛性をさらに高めることができる。傾斜角X2は、好ましくは15°以上27°以下であり、この場合、上記効果がさらに一層高いレベルで奏される。
また、図8Bに示すように、センターピラー134(第2の部材)においては、サイドシル132との連結部である第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)が、サイドシル132からセンターピラー134に向かって、サイドシル132の面取り部132c(第1の連結要素)と同じ向きに傾斜している。
図8Bにおいて、本体部134mの内側ラインLii(平坦部)は、センターピラー134(第2の部材)の長手方向と平行である。本体部134mの内側ラインLoi(傾斜部)は、平坦部のサイドシル132(第1の部材)側に連なり、且つセンターピラー134からサイドシル132の向きに、センターピラー134が拡大するように傾斜角X1で傾斜している。傾斜角X1は、センターピラー134の長手方向(鉛直方向)と内側ラインLoi(傾斜部)の表面とのなす角であって10〜30度である。内側ラインLoiの傾斜角が過度に大きい場合には、延性の低い材料、例えばハイテン材を使用してセンターピラー134をプレス成形する際に、センターピラー134の側壁に亀裂が生じるおそれがあるため、傾斜角X1の上限は30度である。傾斜角X1が小さすぎると、センターピラー134の本体部134mの車幅方向寸法が過度に大きくなり、車室内空間の車幅方向寸法を従来よりも大きくすることができないので、傾斜角X1の下限は10度である。
なお、傾斜角X1を15°以上25°以下とした場合には、上記各効果をそれぞれさらに一層高いレベルで発揮できるためより一層好ましい。
傾斜角X1と傾斜角X2との角度差φ(屈曲角φともいう)は好ましくは±20度以内である。内側ラインLoi(傾斜部)と第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)とからなる線分の屈曲角φを小さく限定することにより、センターピラー134(第2の部材)に車幅方向の曲げ荷重が付加された際に、内側ラインLoi(傾斜部)と第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)とからなる線分の屈曲部における変形を抑制することができる。その結果、継手部分の剛性、特に車幅方向の曲げ剛性を向上させることができる。具体的には、屈曲角φの絶対値を好ましくは0°以上20°以下とする。この場合には、上記屈曲部における変形をさらに抑制でき、継手部分の剛性を向上させることができる。
なお、図8Bにおいて、屈曲角φは鋭角側の角度で定義する。また、同図において、屈曲角φは、センターピラー134(第2の部材)の内側ラインLoi(傾斜部)と第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)とにより形成される線分形状が、車幅方向内側に凸となる場合を正とし、車幅方向外側に凸となる場合を負として定義する。
そして、図8Bに示すように、面取り部132c(第1の連結要素)とフランジ134f1(第1の端部連結要素)とが、滑らかに連結されて第1の連結部を構成する。
図8Bに示すように、サイドシル132(第1の部材)は、センターピラー134(第2の部材)との連結部であるフランジc1(第2の連結要素)を備える。
また、図8Bに示すように、センターピラー134(第2の部材)においては、サイドシル132(第1の部材)との連結部である第2のフランジ136f1(第2の端部連結要素)が、サイドシル132のフランジc1(第2の連結要素)と同じ向きに配置されている。
そして、図8Bに示すように、フランジc1(第2の連結要素)と第2のフランジ136f1(第2の端部連結要素)とが、滑らかに連結されて第2の連結部を構成する。
第1の連結部の少なくとも一部と第2の連結部の少なくとも一部とは、サイドシル132(第1の部材)を挟んで対向する。第1の連結部の少なくとも一部と第2の連結部の少なくとも一部とが、サイドシル132(第1の部材)を挟んで対向することにより、極めて優れた剛性を得ることができる。好ましくは、第1の連結部の実質的部分と第2の連結部の実質的部分とは、サイドシル132(第1の部材)を挟んで対向する。より好ましくは、第1の連結部の全部と第2の連結部の少なくとも一部とは、サイドシル132(第1の部材)を挟んで対向するか、または第1の連結部の少なくとも一部と第2の連結部の全部とは、サイドシル132(第1の部材)を挟んで対向する。さらに好ましくは、第1の連結部の全部と第2の連結部の全部とは、サイドシル132(第1の部材)を挟んで対向する。
ウェブ134wは、フランジ134f1(第1の端部連結要素)の範囲と、センターピラー134(第2の部材)の長手方向(鉛直方向)においてサイドシル132(第1の部材)からセンターピラー134に向かってサイドシル132の頂部132t(中間要素)の表面から中間要素の幅(図8Bにおける車幅方向の長さ)の50%以内の範囲とに、曲率半径が20mm以下の屈曲点を有しない。ウェブ134wが上記範囲に上記屈曲点を有しないことにより、極めて優れた剛性を得ることができる。好ましくは、ウェブ134wは、全体にわたって、曲率半径が20mm以下の屈曲点を有しない。ウェブ134wが全体にわたって上記屈曲点を有しないことにより、さらに優れた剛性を得ることができる。
好ましくは、図8Bに示すように、サイドシル132(第1の部材)のフランジc1(第2の連結要素)のプロファイルラインと、センターピラー134(第2の部材)の対向部材136に形成された第2のフランジ136f1(第2の端部連結要素)のプロファイルラインとが、車高方向下側に向けて、センターピラー134の長手方向と平行である。即ち、図8Bに示すように、サイドシル132の、センターピラー134との連結部であるフランジc1(第2の連結要素)と、センターピラー134の、サイドシル132との連結部である第2のフランジ136f1(第2の端部連結要素)とが、センターピラー134(第2の部材)の長手方向と平行である。このように、フランジc1及び第2のフランジ136f1が、センターピラー134の長手方向と平行であることにより、剛性をより高めることができる。
好ましくは、サイドシル32のフランジc1(第2の連結要素)のプロファイルラインと、センターピラー134(第2の部材)の対向部材136に形成された第2のフランジ136f1(第2の端部連結要素)のプロファイルラインとが、車高方向下側に向けて、面取り部132c(第1の連結要素)及びフランジ134f1(第1の端部連結要素)と同じ向きに傾斜角X3で傾斜している。傾斜角X3は、センターピラー134の長手方向とフランジc1(第2の連結要素)の表面とのなす角であって、好ましくは0度超30度以下である。このように、フランジc1(第2の連結要素)及び第2のフランジ136f1(第2の端部連結要素)が、車高方向下側に向けて、面取り部132c(第1の連結要素)及びフランジ134f1(第1の端部連結要素)と同じ向きに傾斜角X3で傾斜していることにより、衝突安全性をより高めることができる。
傾斜角X2と傾斜角X3との角度差は、好ましくは±5度未満である。傾斜角X2と傾斜角X3との角度差が前記範囲内であることにより、剛性をより高めることができる。
なお、サイドシル132(第1の部材)及びセンターピラー134(第2の部材)は、いずれも、公知のいかなる材料から構成してもよい。例えば、高張力鋼板、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ポリプロピレン、アクリル繊維を使用したPAN系炭素繊維等の炭素繊維複合材料等を用いることができる。
また、サイドシル132(第1の部材)は、例えば、高張力鋼板を絞り加工により形成することができる。センターピラー134(第2の部材)については、本体部134m及び第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)は、例えば、高張力鋼板を絞り加工により形成し、対向部材136及び第2のフランジ136f1(第2の端部連結要素)を組み合わせて作製することができる。そして、サイドシル132へのセンターピラー134の連結は、従来のいかなる手法(例えば、スポット溶接、レーザー溶接、ボルト締め)によっても行うことができる。
このように構成された本実施形態の車両継手構造30によれば、上述したようなサイドシル132(第1の部材)の面取り部132c(第1の連結要素)と、センターピラー134(第2の部材)の第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)との連結態様により、センターピラー134の車高方向下部における車幅方向内側への張り出しを抑制することができる。その結果、車室内空間をより広くして内装品の設置位置や形状に関する自由度を高めることができる。さらには、面取り部132cと第1のフランジ134f1との連結態様、及びサイドシル132のフランジc1(第2の連結要素)とセンターピラー134の第2のフランジ136f1(第2の端部連結要素)との連結態様の組み合わせにより、継手部分の極めて優れた剛性を確保することができる。
特に、図8に示す例では、例えば、センターピラー134(第2の部材)を車両前後方向に曲げる荷重が加わった場合に、センターピラー134に加えられた荷重が、第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)及びサイドシル132(第1の部材)の面取り部132c(第1の連結要素)を順次介し、並びに第2のフランジ136f1(第2の端部連結要素)及びサイドシル132のフランジc1(第2の連結要素)を順次介して、サイドシル132の側面132aに効率的に伝達される。従って、本実施形態によれば、継手部分の剛性が十分に得られ、特に車両前後方向の優れた曲げ剛性を確保することができる。
なお、サイドシル132(第1の部材)とセンターピラー134(第2の部材)とを組み合わせた車両継手構造130においては、車両走行時に、センターピラー134を各種方向に変形させる荷重(車両前後方向曲げ荷重、車幅方向曲げ荷重、車高方向軸力及び車高方向軸周りのねじりトルク等)が加わる。これらの荷重に対する各剛性は、上記で述べた車両前後方向の曲げに対する剛性と正の相関を持ち、すべて同じ傾向を示すことが判明している。従って、上述したとおり車両前後方向の曲げ剛性を十分に高めることができる本実施形態に係る車両継手構造においては、車幅方向曲げ荷重、車高方向軸力及び車高方向軸周りのねじりトルクに対する剛性等についても十分に確保されているといえる。
以上により、本実施形態に係る車両継手構造130によれば、車室内空間をより広くすること、及び、継手部分の極めて高い剛性を確保すること、を両立することができる。
また、図8の車両継手構造130においては、サイドシル132(第1の部材)の長手方向側面視で、センターピラー134(第2の部材)の、第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)以外の部分における、センターピラー134の長手方向に対して垂直な方向での最大寸法H1に対する最小寸法H2の割合H2/H1が0.50以上0.92以下であることが好ましい。割合H2/H1を0.50以上とすることで、継手部分の剛性をより高めることができる一方、0.92以下とすることで、車室内空間をより広く確保することができる。なお、この割合H2/H1を0.65以上0.79以下とした場合には、上記効果がそれぞれさらに高いレベルで奏される。
さらに、図8の車両継手構造130においては、(H1/H2−1)/2<tan|X2|を満たすことが好ましい。上記数式を満たすことで、車体の車幅方向空間及びセンターピラーの成形性を確保しつつ、サイドシルとセンターピラーとからなる継手部分の剛性を高め、さらには車体の車両前後方向曲げ剛性、車幅方向曲げ剛性、及び車両前後方向軸ねじり剛性を高めることができる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨に逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
次に、上述した図8に示す車両継手構造130のその他の好適例を列挙する。
例えば、図8に示す例において、さらに、本体部134mと第1のフランジ134f1とを滑らかに連ならせることができる。この場合には、センターピラー134の本体部134mと第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)との屈曲程度を抑制することができる。これにより、センターピラー134(第2の部材)の前後方向曲げに対する継手剛性を高いレベルで高めることができる。
図9Aは、図8に示す車両継手構造の変形例を示す斜視図であり、センターピラー134(第2の部材)が第3のフランジ134f2を備える例である。図9Bは、図8に示す車両継手構造の変形例を示す斜視図であり、第3のフランジ134f2が第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)と連なっている例である。
図9Aに示すように、センターピラー134(第2の部材)には、本体部134mの車両前後方向各端部からそれぞれ車両前後方向各側(相対する端部から離れる側をいい、以下、「車両前後方向外側」と称する場合がある)に連なり、かつ、頂部132t(中間要素)に連結された第3のフランジ134f2をさらに含ませることができる。
センターピラー134(第2の部材)に、上記形状の第3のフランジ134f2をさらに含ませることで、センターピラー134(第2の部材)とサイドシル132(第1の部材)の特に頂部132t(中間要素)との結合領域を増大させることができる。これにより、継手部分の各種剛性をさらに高めることができる。
また、図9Bに示すように、第3のフランジ134f2を、第1のフランジ134f1(第1の端部連結要素)と連ならせることができる。ここで、両フランジ134f1、134f2が連なっているとは、両フランジ134f1、134f2が、本体部134mを介さずに直接的に連結されていることをいう。
このように、図9Bに示す例では、両フランジ134f1(第1の端部連結要素)、134f2を連ならせることで、フランジ連結部134fcが生ずることとなり、このフランジ連結部134fcによって、センターピラー134(第2の部材)と、サイドシル132(第1の部材)の頂部132t(中間要素)及び面取り部132c(第1の連結要素)と、の結合領域をさらに増大させることができる。これにより、継手部分の各種剛性をさらに高めることができる。上記以外の実施形態1についての記載については本実施形態にも適用される。
(サイドシルとクロスメンバとの組合せ構造)
本実施形態の効果を確認すべく、高張力鋼板によって製造されたサイドシルとクロスメンバとからなるT字継手構造を用いて、シートレール台座の車幅方向取り付け寸法、及び継手部分の剛性等について調査した。
図4に示すタイプのサイドシルとクロスメンバとをスポット溶接にて接合して、発明例1のT字継手構造を作製した。また、図1及び図3に示す従来のサイドシルとクロスメンバとをスポット溶接にて接合して、比較例1及び2のT字継手構造を作製した。
発明例1〜5並びに比較例1及び2のクロスメンバ及びサイドシルの形状寸法を、表1に示す。また、各試験例についての、その他の設計条件については、表2に示すとおりとした。各試験例について、フロアパネルを、例えば図4B、図4Cに示すように、クロスメンバ34の下部フランジ34fcとともに車両前後方向端部を車幅方向の全領域にわたって塞ぐように設置し、その板厚は0.75mmとした。さらに、図示しないが、サイドシル(インナー)の車幅方向外側にはサイドシル(インナー)の上下のフランジにおいて連結するサイドシル(アウター)を設置し、その車幅方向寸法は50mmとし、板厚は1.4mmとした。
(他の部材の取り付け領域の評価)
各試験例について、他の部材(車幅方向におけるシートレール台座)の取り付け領域(デザイン空間)について算出し、比較例1を基準(100)とした指数評価(相対値評価)を行った。これは、シートレール設置可能範囲の評価として、クロスメンバ上面のうち水平をなす長さを評価した。この結果を表2に併記する。
(継手部分の剛性の評価)
各試験例について、シミュレーションモデルを作製し、剛性評価を行った。図11A及び図11Bに、比較例1の継手構造の剛性シミュレーションに用いたモデルの上面斜視図及び下面斜視図を示す。図12A及び図12Bに、比較例2の継手構造の剛性シミュレーションに用いたモデルの上面斜視図及び下面斜視図を示す。図13A及び図13Bに、発明例1の継手構造の剛性シミュレーションに用いたモデルの上面斜視図及び下面斜視図を示す。
図14に、図11A及び図11Bに示したモデルの、上下曲げ試験を行ったときのシミュレーション結果を示す。シミュレーションは、以下の条件で行った。サイドシルの前端断面の全自由度(6自由度)を拘束し、サイドシルの後端断面の前後方向並進を除く自由度(5自由度)を拘束し、クロスメンバの車体内側端面に上方向の荷重を与えた。荷重値と、シミュレーション結果から得られたクロスメンバの車体内側端面の上下方向変位との比を継手部分の剛性として定義した。
図15に、シミュレーション結果に基づき、比較例1〜2及び発明例1〜5の継手構造の剛性を、比較例1を基準(100)として相対的に比較したグラフを示す。
表2によれば、サイドシル(第1の部材)の形状とクロスメンバ(第2の部材)の形状、ひいてはこれらの連結態様について改良を施した発明例1〜5の継手構造は、比較例1及び2の継手構造と比べて、他の部材の取り付け領域(シートレール台座の取り付け領域)を同等〜90%程度に確保しつつ、継手部分の剛性が大幅に向上していることがわかる。
10、20、30 車両継手構造
12、22、32 サイドシル
12a、22a、32a 側面
14、24、34 クロスメンバ
14f、24f フランジ
16、26、36 フロアパネル
22b サイドシル上面
24i、34i 車幅内側部
24o、34o 車幅外側部
32i 内側部分
32ou 外側部分
32ol 外側部分
34fa、34fau 上面フランジ
34fal 下面フランジ
34fb 側面フランジ
34fc 下部フランジ
34fcu コーナーフランジ
34w ウェブ
36 フロアパネル
110、130 車両継手構造
112、132 サイドシル
112a、132a 側面
114、134 センターピラー
132b 底部
132l 側部
132t 頂部
c1、c2 フランジ
134f1 第1のフランジ
134f2 第3のフランジ
134fc フランジ連結部
136f1 第2のフランジ
132c 面取り部
134h 孔
134m 本体部
134w ウェブ
136 対向部材
Dc クロスメンバの車幅方向最内部における車両前後方向寸法
Do 上面フランジの車幅方向最外部における車両前後方向寸法
h 車幅内側部の車高方向寸法
H1 クロスメンバのサイドシルとの連結部分以外の部分の鉛直方向最大寸法
H2 クロスメンバのサイドシルとの連結部分以外の部分の鉛直方向最小寸法
Hc クロスメンバの車幅方向最内部の車高方向寸法
Hco クロスメンバの車幅方向最外部の車高方向寸法
Hs サイドシルの車幅方向最外部における車高方向寸法
Liu、L1i 車幅内側部の上側ライン
Lil、L1i 車幅内側部の下側ライン
Lou、L1o 車幅外側部の上側ライン
Lsu、Ls サイドシルの上側ライン
Lsl サイドシルの下側ライン
Lfu、Lf 上面フランジの上側ライン
Lfl 下面フランジの下側ライン
Lii 平坦部
Loi 傾斜部
W、W1 クロスメンバ24の車幅方向全寸法
Wi、W1i 車幅内側部の車幅方向寸法
Wo、W1o 車幅外側部の車幅方向寸法
Ws サイドシルの車幅方向寸法
X1 Lou、Loiの傾斜角
X2 32ou、132cの傾斜角
X3 32olの傾斜角
φ 傾斜角X1と傾斜角X2との角度差

Claims (6)

  1. 第1の部材と、長手方向の端部が前記第1の部材に連結された第2の部材と、を備える、継手構造であって、
    前記第1の部材は、ハット型断面を有し、第1の連結要素、第2の連結要素、並びに前記第1の連結要素及び第2の連結要素の間に位置する中間要素を備え、
    前記第2の部材は、ハット型断面を有し、第1の端部連結要素、第2の端部連結要素、前記第1の端部連結要素に連なるウェブ、及び前記ウェブに対向して配置される対向部材を備え、
    前記ウェブが、平坦部及び傾斜部を含み、
    前記第1の部材の長手方向側面視で、
    前記平坦部は、前記第2の部材の長手方向と平行であり、
    前記傾斜部は、前記平坦部の前記第1の部材側に連なり、且つ前記第2の部材から前記第1の部材の向きに、前記第2の部材が拡大するように傾斜角X1で傾斜しており、前記傾斜角X1は、前記第2の部材の長手方向と前記傾斜部の表面とのなす角であって10〜30度であり、
    前記第2の部材と連結する部分である第1の連結要素が、前記第1の部材から前記第2の部材の向きに、前記第1の部材が先細るように傾斜角X2で傾斜しており、前記傾斜角X2は、前記第2の部材の長手方向と前記第1の連結要素の表面とのなす角であって10〜30度であり、
    前記傾斜角X1と前記傾斜角X2との角度差φが±20度以内であり、
    前記第1の部材と連結する部分である前記第2の部材の第1の端部連結要素が、前記傾斜部の前記第1の部材側に連なり、且つ前記第1の部材から前記第2の部材に向かって、前記第1の連結要素と同じ向きに傾斜しており、
    前記第1の連結要素と前記第1の端部連結要素とが、滑らかに連結されて第1の連結部を構成し、
    前記第1の部材と連結する部分である前記第2の部材の第2の端部連結要素が、前記対向部材の前記第1の部材側に連なり、
    前記第2の連結要素と前記第2の端部連結要素とが、滑らかに連結されて第2の連結部を構成し、
    前記第1の連結部の少なくとも一部と第2の連結部の少なくとも一部とが、前記第1の部材を挟んで対向し、
    前記ウェブが、前記第1の端部連結要素の範囲と、前記第2の部材の長手方向において前記第1の部材から前記第2の部材に向かって前記中間要素の表面から前記中間要素の幅の50%以内の範囲とに、曲率半径が20mm以下の屈曲点を有しない、
    ことを特徴とする継手構造。
  2. 前記第2の連結要素及び前記第2の端部連結要素が、前記第2の部材の長手方向と平行である、請求項1に記載の継手構造。
  3. 前記第2の連結要素及び前記第2の端部連結要素が、前記第1の連結要素及び前記第1の端部連結要素と同じ向きに傾斜角X3で傾斜しており、前記傾斜角X3は、前記第2の部材の長手方向と前記第2の連結要素の表面とのなす角であって0度超30度以下である、請求項1に記載の継手構造。
  4. 前記傾斜角X2と前記傾斜角X3との角度差が±5度未満である、請求項3に記載の継手構造。
  5. 前記第1の部材の長手方向側面視で、
    前記第2の部材の、前記第1の端部連結要素及び前記第2の端部連結要素以外の部分における、前記第2の部材の長手方向に対して垂直な方向での最大寸法H1に対する最小寸法H2の割合H2/H1が0.50以上0.92以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の継手構造。
  6. (H1/H2−1)/2<tan|X2|を満たす、請求項1〜5のいずれか一項に記載の継手構造。
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