JP2020141069A - 半導体基板の分断方法及び分断装置 - Google Patents
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Abstract
Description
半導体基板から素子を切り出す方法としては、例えば、スクライビングホイールで半導体基板にスクライブラインを形成し、そのスクライブラインに沿って基板を分断して、素子を個々に切り出す方法が挙げられる。
ストリートの上面には、様々な膜状の積層物が形成されている。その膜状の積層物が残留していると、ストリートにスクライブラインを形成するときや、半導体基板を分断する時に不具合が生じることとなる。そのため、スクライブラインを形成する前に、膜状の積層物を除去している。その膜状の積層物を除去する技術としては、例えば、特許文献1〜3などに開示されている。
ストリートの上面は、積層状の被膜(積層膜)が形成されている。その積層膜は、積層状態がそれぞれ異なるので、半導体基板のストリート上では凹凸がある状況となっており、一様な状況とはなっていない。すなわち、積層膜の構成(厚み)が異なっている。
ストリートにTEGが形成されている部分(Street TEG)においては、例えば、(Pl膜+Metal Al+SiO2)が形成されている(厚み:5μm程度)。
このように、半導体基板上にTEGなどが形成されていると、他の部分に比べて厚みがより厚くなる。すなわち、半導体基板では、部分によって積層膜の厚みが異なり、構成に差が生じてくる。
すなわち、ストリートにおいて、半導体基板に対してスクライブラインを形成しないと、例えば、半導体基板を分断するときに、素子側に亀裂が進展するといった不具合が生じる可能性がある。
本発明にかかる半導体基板の分断方法は、基板上に複数の素子がマトリックス状に形成され、当該隣り合う素子間にストリートが設けられている半導体基板を分断して、前記素子を個々に分割する半導体基板の分断方法において、前記ストリート上に形成された金属膜を含む被膜に対して、レーザーを平行に複数本走査することにより前記被膜を除去する被膜除去工程と、前記被膜除去後の半導体基板のストリートに対して、前記スクライビングホイールの刃先を圧接状態で転動させてスクライブラインを形成するスクライブ工程と、前記スクライブラインに沿って前記半導体基板を分断して、前記素子を個々に分割するブレイク工程と、を有することを特徴とする。
好ましくは、前記被膜除去工程においては、前記レーザーを平行に複数本走査するに際して、前記レーザーの照射により前記被膜が除去されるレーザー除去部の隣り合う間隔に、筋状の凸条部が形成されるとよい。
好ましくは、前記被膜除去工程においては、前記レーザーを少なくとも2本以上走査し、前記レーザーを走査する間隔を、少なくとも20μm以上とするとよい。
好ましくは、前記半導体基板は、SiC基板であるとよい。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
基板1(ウェハ)は、素子2の支持基板となるものであり、円盤状に形成されている。なお、本実施形態においては、基板は、SiCで形成されていて、素子2の支持基板となるSiC層となる。
つまり、半導体基板1は、SiC基板上に複数の素子2がマトリックス状に形成され、当該隣り合う素子2間にストリート3(分断予定ライン)が設けられている。ストリート3は、半導体基板1上において、格子状に形成されている。
そのため、ストリート3上に形成される積層膜を、一様に除去する必要がある。その積層膜のうち、TEGは、アライメントマークやPl膜に比べて、より厚いものとなっている。つまり、ストリート3上では、厚みが異なる積層膜が形成されているので、凹凸がある状況となっている。すなわち、ストリート3の表面は、一様な状況とはなっていない。
本発明にかかる半導体基板1の分断方法は、ストリート3上に形成された金属膜を含む被膜に対して、レーザー5を平行に複数本走査することにより被膜を除去する被膜除去工程と、被膜除去後の半導体基板1のストリート3に対して、スクライビングホイールの刃先を圧接状態で転動させてスクライブラインを形成するスクライブ工程と、スクライブラインに沿って半導体基板1を分断して、素子2を個々に分割するブレイク工程と、を有する。
また、被膜除去工程においては、レーザー5を平行に複数本走査するに際して、レーザー5の照射により被膜が除去されるレーザー除去部6の隣り合う間隔に、筋状の凸条部7が形成されるようにするとよい。
被膜除去工程について、ストリート3上に形成された金属膜を含む被膜に対して、レーザー5を走査して、被膜を除去する検証を行った。
なお、本実施形態においては、ストリート3の幅が90μmの半導体基板1を使用し、検証した。
目標としては、ストリート3上における被膜の除去幅を40μm以上とし、レーザー5による加工幅を80μm未満とした。
本実施形態においては、レーザー5のスポット径=Φ35μm、Φ40μmに変更した。また、レーザー5による被膜除去の加工条件については、走査速度=300mm/sである。
その結果としては、スポット径=Φ35μmでは、出力=5Wで、TEG(被膜)を一様に除去することができた。また、スポット径=Φ40μmでは、出力=6Wで、TEG(被膜)を一様に除去することができた。
次に、ストリート3に対してレーザー5を1本走査して、そのストリート3上の被膜を除去する加工を行った。
なお、レーザー5による被膜除去の加工条件については、走査速度=300mm/sである。また、レーザー5に関し、スポット径=Φ35μm、レーザー5の出力=5Wとした。また、ストリート3においては、SiC層上に、Pl膜のみの被膜が形成されている(厚み:2μm程度)。
さらに、2本のストリート3が交差する交点部3aを観察した。
また、ストリート3の交点部3aにおけるレーザー5の加工深さは、7.7μmとなっていた(断面A−A)。つまり、ストリート3の交点部3aについては、領域が小さくなっているものの、SiC層が深く加工されてしまうことがわかった。
なお、本実施形態においては、レーザー5のパルス間ピッチを3μmから6μmへ変更した。また、レーザー5による被膜除去の加工条件については、繰返周波数=80kHz、走査速度=480mm/s、スポット径=Φ40μmである。ただし、走査対象は、Pattern TEGとした。
そこで、ストリート3に対して、ジャストフォーカスして(フォーカスを絞って)、レーザー5をシフトさせて、そのレーザー5を2本走査して、ストリート3上のTEGを除去する加工を行った。
図4に示すように、その結果としては、スポット径=Φ24μm、出力=2Wの条件では、被膜の除去幅が50μm、レーザー5による加工幅が59μmとなった。すなわち、目標である被膜の除去幅が40μm以上で、レーザー5による加工幅が80μm以下を満たすこととなった。ストリート3におけるレーザー5の加工深さは、4.3μmとなった(断面B−B)。
同様に、シフト幅を30μmでレーザー5を2本走査したときも、凸条部7が形成されることを確認した。
また、凸条部7は、スクライビングホイールの刃先を真っ直ぐ通過させるため、レーザー5のシフト幅を30μmとするとよい。
この凸条部7は、スクライブラインを形成するときに、スクライビングホイールの刃先を案内するラインとなる。言い換えれば、凸条部7は、半導体基板1のカットラインの基になるものである。
図5に示すように、観察した結果、スポット径=Φ24μm、出力=3Wでは、ストリート3の交点部3aの大きさが51μm×53μmとなっている。
また、ストリート3の交点部3aにおけるレーザー5の加工深さは、中心部で2.9μmとなっていた(断面C−C)。つまり、ストリート3の交点部3aについては、レーザー5の加工深さが浅いものとなっていることがわかった。
この凸部8は、スクライビングホイールの刃先が接触する点となり、ストリート3の交点部3aにおいても、スクライブラインが形成される。つまり、凸部8は、スクライブライン形成時に、交点部3a内における線の途切れを短くするものである。スクライビングホイールの刃先が凸部8からずれて凸部8の横を通過する場合でも、凸部8の両サイドも相対的に凸部となって、スクライブライン形成時に線の途切れを短くすることができる。
レーザー5に関し、焦点距離の短い集光レンズに交換(F300mm→F150mm)し、TEGを除去できる条件を検証した。また、スポット径=Φ35μm、Φ40μmで、レーザー5の出力を変更して検証し、TEGが一様に除去できることを確認した。
レーザー5による被膜除去の加工条件および加工結果の例について、以下の(1)〜(3)に示す。
(2)スポット径=Φ40μm、出力=6W、走査速度=300mm/s、被膜の除去幅=53μm、レーザー5による加工幅=67μm、ストリート3の交点部3aの大きさ=41μm×33μm、交点部3aにおけるレーザー5の加工深さ=7.3μmとなった。
(1)〜(3)の結果によれば、レーザー5のスポット径を小さくすることで、被膜の除去幅=40μm以上、レーザー5による加工幅=80μm未満を達成することができた。
そこで、レーザー5のパルス間ピッチを広げて(3μm→6μm)TEGを除去してみたが、レーザー5が加工されにくい部分では、TEGを一様に除去することが難しく、レーザー5の出力を上げても、加工状態が不安定となった。
また、ストリート3の交点部3aにおいて、2本のレーザー除去部6(凸条部7)が互いに交差する部位に、凸部8が形成されていた。
以上、本願発明者の知見によれば、レーザー5のスポット径については、Φ20〜100μmが望ましい。また、レーザー5のシフト幅については、20〜30μmが望ましい。すなわち、レーザー5のスポット径、シフト幅は、ストリート3の幅をはみ出さない大きさが好ましい。
なお、本実施形態ではストリート3の幅が90μmであったので、被膜の除去幅が40μm以上で、レーザー5による加工幅が80μm以下と設定した。これは一例であり、被膜の除去幅、レーザー5による加工幅については、ストリート3の幅に依存する。
スクライブ工程は、スクライブ部にて、半導体基板1のストリート3に対して、分断のガイドとなるスクライブラインを形成する工程である。まず、スクライブ部に半導体基板1を設置する。そのスクライブ部には、スクライビングツールが備えられている。
スクライビングツールには、回転自在のスクライビングホイールが取り付けられている。スクライビングホイールの外周は、スクライブラインを形成する刃先となっている。なお、スクライビングホイールは、外周にダイヤモンド(例えば、単結晶ダイヤモンドなど)がコーティングされた刃先を有するものである。
所定の荷重で押圧しながら、スクライビングホイールを走行させると、スクライビングホイールがストリート3の凸条部7上で転動することにより、一条のスクライブラインが半導体基板1の表面に形成されることとなる。
スクライブ部でスクライブ工程を終えると、半導体基板1はブレイク工程に移される。
ブレイク部においては、スクライブラインが中心位置となるように、当該スクライブラインを下向きにした状態で半導体基板1を設置する。ブレイク部には、先端に刃が設けられたブレイク部材が備えられている。そのブレイク部材を、スクライブラインが形成されていない面側から、スクライブラインに対応する位置に近づける。
本発明によれば、半導体基板1の上面、例えばストリート3上に積層状に形成され、TEGなど金属膜を含む被膜を一様に除去することができ、スクライブラインを形成し、そのスクライブラインに沿って半導体基板1を分断することができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
2 素子
3 ストリート
3a 交点部
4 レーザー照射ユニット
5 レーザー
6 レーザー除去部
7 凸条部
8 凸部
Claims (7)
- 基板上に複数の素子がマトリックス状に形成され、当該隣り合う素子間にストリートが設けられている半導体基板を分断して、前記素子を個々に分割する半導体基板の分断方法において、
前記ストリート上に形成された金属膜を含む被膜に対して、レーザーを平行に複数本走査することにより前記被膜を除去する被膜除去工程と、
前記被膜除去後の半導体基板のストリートに対して、前記スクライビングホイールの刃先を圧接状態で転動させてスクライブラインを形成するスクライブ工程と、
前記スクライブラインに沿って前記半導体基板を分断して、前記素子を個々に分割するブレイク工程と、を有する
ことを特徴とする半導体基板の分断方法。 - 前記被膜除去工程においては、前記ストリートの幅より細い前記レーザーを複数本平行に走査する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体基板の分断方法。 - 前記被膜除去工程においては、前記レーザーを平行に複数本走査するに際して、前記レーザーの照射により前記被膜が除去されるレーザー除去部の隣り合う間隔に、筋状の凸条部が形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体基板の分断方法。 - 2本の前記ストリートが交差する交点部において、複数の前記レーザー除去部が互いに交差した中央に、凸部が形成される
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体基板の分断方法。 - 前記被膜除去工程においては、前記レーザーを少なくとも2本以上走査し、
前記レーザーを走査する間隔を、少なくとも20μm以上とする
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体基板の分断方法。 - 前記半導体基板は、SiC基板であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体基板の分断方法。
- 基板上に複数の素子がマトリックス状に形成され、当該隣り合う素子間にストリートが形成されている半導体基板を分断して、前記素子を個々に分割する半導体基板の分断装置において、
前記ストリート上に形成された金属膜を含む被膜に対して、レーザーを平行に複数本走査することにより前記被膜を除去する被膜除去部と、
前記被膜除去後の半導体基板のストリートに対して、前記スクライビングホイールの刃先を垂直に接触させ、前記スクライビングホイールに荷重を加えて転動させてスクライブラインを形成するスクライブ部と、
前記スクライブラインに沿って前記半導体基板を分断して、前記素子を個々に分割するブレイク部と、を有し、
前記被膜除去部においては、
前記ストリートの幅より細い前記レーザーを複数本平行に走査し、
前記レーザーを平行に複数本走査するに際して、前記レーザーの照射により前記被膜が除去されるレーザー除去部の隣り合う間隔に、筋状の凸条部を形成し、
2本の前記ストリートが交差する交点部において、複数の前記レーザー除去部が互いに交差した中央に、凸部を形成する構成とされている
ことを特徴とする半導体基板の分断装置。
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