JP2020140921A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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斉景 田中
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Abstract

【課題】安全性及び効率のよいリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】リチウムとマンガンやコバルト等のリチウム以外の金属を含有する正極3と、グラファイト等で形成される負極4と、正極3及び負極4の間に配置されるセパレータ5を有するリチウムイオン二次電池において、リチウムイオンが通過する透過孔を有するポリエチレンやポリプロピレン等により形成する樹脂膜20にアパタイト22を塗布しアパタイトシート21を形成して、セパレータ5を構成する。更に、アパタイト22の粒子径は0.02μm以上であり、セパレータ5におけるアパタイトシート21の空孔率を20〜70%に設定する。【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の構造に関する。
近年では、電力供給源として、リチウムイオン二次電池を搭載した車両が増加してきている。リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の他の電池よりもエネルギー密度が高く、小型、高出力であることから、例えば電気自動車に搭載され走行駆動用モータの電力供給源として使用されている。
リチウムイオン二次電池において、一般的に正極材料にはリチウム含有遷移金属酸化物を、負極材には黒鉛系の材料を、電解液にはエチレンカーボネート(EC)やジメチルカーボネート(DMC)等の有機溶媒が使用されている。また、正極と負極とが直接接触しないよう、リチウムイオンが透過できる細孔を有した絶縁性のセパレータを設けてある。上述した一般的なリチウムイオン二次電池では、長期間の使用や保管により、正極材料から金属イオンが溶出し、充電時にリチウム(Li)とともにマンガン等の金属イオンが負極に移動して析出し、当該析出した金属が成長して短絡を引き起こす可能性があり、また負極上で電解液の分解反応を促進させて劣化させてしまうといった問題点があった。
溶出したマンガンイオンを負極上に析出させない方法として、溶媒中の遷移金属元素と錯体を形成する特殊な有機材料を電解液に添加する方法や、遷移金属イオンと結合する官能基を有する高分子をセパレータに塗布する等の方法がある。
しかし、これらの方法では、充電時の正極、負極の電位にて、酸化もしくは還元され機能が失われたり、新たな反応によって、特性が低下したりするなどの問題点がある。
そこで、リチウムイオン二次電池内での酸化電位、還元電位に耐えうる遷移金属イオンの吸着材として、無機化合物が挙げられる。
無機化合物で、遷移金属イオンを吸着する代表的な物質では、微細な細孔を有するゼオライトなどがあるが、目的とする金属イオンを吸着させるためには、最適な細孔サイズを設計し、合成しなければならず、コスト面での問題があった。
低コストでかつ、遷移金属元素を吸着する物質として、ヒドロキシアパタイト(以下アパタイト)が挙げられる。アパタイトは水溶液中の金属イオンを効果的に吸着する物質として主に、汚染水の水質浄化等に使用される。また、生体の骨格を形成する主要な物質であるため、貝殻や魚の骨といった、水産廃棄物を再処理することで非常に安価に得ることができる。
上記アパタイト材料を水溶系である鉛酸二次電池に適用した例がある。
鉛酸二次電池は、正極に二酸化鉛、負極には鉛が使用されており、電解液として希硫酸が用いられている。また、鉛酸二次電池の正極と負極との間には、短絡を防止するために絶縁性を有するセパレータが備えられている。
更に、特許文献1には、鉛酸電池においてセパレータに鉛イオンを吸着、除去する無機化合物を組み込んでおくことで、低充電状態で電解液に溶解している硫酸鉛が、充電された際にセパレータの孔に析出して負極に達し、鉛に還元して短絡することを抑制する技術が開示されている。
特表2013−542558号公報
しかしながら、上記の方法は、鉛蓄電池での運用を想定したものであり、リチウムイオン二次電池の高電圧化および非水電解液の使用を想定しておらず、実施検証されていない。
たとえば上記方法に用いるセパレータの構造材料としてシリカ等を含んでいるなど、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられるセパレータの構成材料とは異なる。
また、セパレータの厚みが、支持体であるガラスマット等を含めると100〜1000μmと厚く、かつ、セパレータ内に100μm前後のスリットを設けるなど、リチウムイオン二次電池に用いるには構造上問題がある。
セパレータの厚みは、厚いほど、正負極間での過電圧が大きくなり、充放電可能な容量が大きく減少してしまうことに加え、負極の電位が金属リチウムが析出する電位以下まで下がり、負極上で金属リチウムが析出しやすく、短絡や急激な劣化要因になりやすい。
また、セパレータ上にリブやスリットなどの凹凸がある場合、抵抗差が生じ、負極平面での反応ムラが生じる。
反応ムラが生じることで、たとえば抵抗の低い反応しやすい部位のみ、充電深度が深くなったり、または、抵抗が高い部分に過電圧が生じることで金属リチウムが析出しやすくなったりする。また反応ムラが生じることで活物質の劣化度合いが異なったりするなど、電池の安全性および寿命特性が大きく低下する要因となる。
本発明は、上述した問題、
1.正極より溶出した遷移金属イオンが、負極上で析出することによって、内部短絡の発生、および電解液の分解反応による性能劣化
2.構造部材、特にセパレータの厚みにより、充放電時で発生する正負極間の分極による負極上での金属Liの析出
3.構造部材、特にセパレータの凹凸によって生じる抵抗差による負極の反応ムラ
を解決するためになされたもので、その目的とするところは、負極における金属イオンの析出を抑制して安全性を高めるとともに、効率のよいリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明のリチウムイオン二次電池では、リチウムと当該リチウム以外の金属を含有する正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されるセパレータと、を有するリチウムイオン二次電池において、前記セパレータにアパタイトを含有し、前記アパタイトの粒子径は0.02μm以上であるとともに、前記セパレータの空孔率は20〜70%であることを特徴とする。
また、好ましくは、前記セパレータの厚さは、100μm以下であるとよい。より好ましくは50μm以下が良い。
また、好ましくは、前記セパレータは、リチウムイオンが通過する透過孔を有する膜状部材に前記アパタイトを塗布して形成され、前記膜状部材は、所定温度以上で前記透過孔を塞ぐシャットダウン機能を有するとよい。
また、好ましくは、前記セパレータは、前記膜状部材の表面に平滑な膜状のアパタイトが配置されているとよい。
本発明は、リチウムイオン二次電池のセパレータにアパタイトを含有しているので、充電時、または保管時に正極からリチウム以外の金属イオンが溶出したとしても、セパレータに含まれているアパタイトにおいてリチウム以外の金属イオンが吸着され、リチウム以外の金属イオンの負極への移動を抑制することができる。これにより、負極に溶出した遷移金属が析出することを抑制し、析出した遷移金属と電解液の反応による劣化の促進や短絡を防止することができる。
更に、アパタイトの粒子径は0.02μm以上であり、セパレータの空孔率が20〜70%に設定されるので、セパレータにおけるリチウム以外の金属イオンの吸着性能を確保することができるとともに、セパレータにおけるリチウムイオンの通過を確保し、出力効率や充電効率を向上させることができる。
更にセパレータの厚さを100μm以下とすることで、充放電時に生じる正負極間の分極が小さくなり、負極上で金属リチウムの析出が抑制される。金属リチウムの析出が抑制されることで、急激な劣化や内部短絡による安全性の低下を抑制することができる。
更に、アパタイト層のリブ・スリットをなくし、平滑にすることにより、リチウムイオンがアパタイトを含有するセパレータを通過する際の抵抗が局所的に変化することがなくなるので、負極の反応ムラが抑制され、負極の局所的な過充電による金属リチウムの析出、負極活物質の局所的な劣化が抑制される。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の概略構造を示す模式図である。 本実施形態のリチウムイオン二次電池のセパレータの構造を示す断面図である。 本実施形態のアパタイト粒子の走査型電子顕微鏡像である。 実施例1のリチウムイオン電池における試験後の負極表面の元素分析結果である。 比較例1のリチウムイオン電池における試験後の負極表面の元素分析結果である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態のリチウムイオン二次電池の概略構造を示す模式図である。なお、本図は単電池の内部の概略構造を示している。図2は、本実施形態のリチウムイオン二次電池のセパレータの構造を示す断面図である。図3は、本実施形態のアパタイト粒子の走査型電子顕微鏡像である。
図1に示すように、本発明が適用されるリチウムイオン二次電池1は、電解液を充填する容器2内に、正極3と負極4とが収納され、正極3と負極4との間で容器2内を仕切るセパレータ5を有して構成されている。
正極3は、導電性を有する箔状の正極集電体6の表面に正極活物質7が結着されて構成されている。正極活物質7は、リチウムと他の金属の複合酸化物であり、例えばマンガンスピネル(LiMn)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)が用いられる。
負極4は、導電性を有する箔状の負極集電体8の表面に負極活物質9が結着されて構成されている。負極活物質9は、グラファイト等のカーボン材料が用いられている。
容器2内に充填される電解液は、例えばエチレンカーボネート等の非水溶媒に、へキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)等のリチウム塩を溶解させたものが使用されている。
図2に示すように、本実施形態のセパレータ5は、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂膜20(膜状部材)と、樹脂膜20の片面全面を覆うように設けられたアパタイトシート21とを有している。図2、3に示すように、アパタイトシート21は、粒子状のアパタイト22が膜状に結着して形成されたものであり、樹脂膜20にアパタイト22を塗布して形成される。
アパタイトシート21のアパタイト22は、0.02μm以上の粒子サイズに設定されている。更に、アパタイトシート21の空孔率は20〜70%に設定されている。なお、空孔率は、断面における空隙の面積の割合である。
また、樹脂膜20とアパタイトシート21とを含むセパレータ5の合計厚さは、100μm以下である。なお、セパレータ5の厚さについては均一にすることが望ましい。
樹脂膜20は、リチウムイオンが通過する図示しない多数の微少な透過孔が形成されている。また、樹脂膜20は、所定温度以上となると透過孔を塞ぐシャットダウン機能を有している。即ち、短絡によりセパレータ5を電流が通過して樹脂膜20の温度が大幅に上昇したときに、セパレータ5にてリチウムイオンの移動を阻止して電流の流れを遮断し、リチウムイオン二次電池1の溶損を抑制する機能を有している。
また、セパレータ5は、樹脂膜20の正極3側にアパタイトシート21が位置するように、正極3と負極4との間に配置されている。
そして、これらの正極3、負極4及びセパレータ5は容器2内に多層に配置されて、リチウムイオン二次電池1が形成されている。
以上のように、本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、セパレータ5にアパタイト22が用いられている。
リチウムイオン二次電池1では、上記のように正極3に例えばマンガン等のリチウム以外の金属を含む酸化物が使用されており、充電時にはリチウムイオン以外にも微量のマンガン等の金属イオンが電解液中に溶出する。
本実施形態のようなリチウムイオン二次電池1では、充電時において、正極3から放出されたリチウムイオンがセパレータ5を通過して負極4に移動し、負極活物質へ吸蔵される。
一方、正極3から放出された金属イオンは、リチウムイオンと同様に負極4に移動しようとするが、本実施形態のリチウムイオン二次電池1ではセパレータ5におけるアパタイトシート21によって金属イオンが吸着される。
これにより、金属イオンが負極4に到達することが抑制される。したがって、負極4にて金属イオンが析出することが抑制され、負極4からの金属の成長を回避して短絡の防止を図ることができる。また、負極4にて金属イオンが析出することが抑制されることで、負極4上での電解液の分解及びリチウムイオン損失を抑制することができる。
更に、本実施形態では、上記のように、アパタイトシート21におけるアパタイト22の粒子サイズを0.02μm以上とするとともに、アパタイトシート21の空孔率(セパレータ5の空孔率)を20〜70%に設定している。このように、アパタイトシート21におけるアパタイトの粒子サイズを0.02μm以上とすると、アパタイトシート21における空孔が大きくなり、また、アパタイトシート21の空孔率を20%以上に設定することで、リチウムイオンの通過が容易となる。
詳しく説明すると、一般的に、粒子サイズが0.02μm(20nm)未満の粒子を可能な限り充填しようとしても、充填率は70%から80%程度になる。これは、粒子サイズが小さくなると、粒子自体が硬くなり、潰れにくくなるためである。なお、潰れない球体を物理的に可能な最密充填にすると充填率は68〜77%となる。アパタイトは比較的やわらかい物質なので、容易に潰れることと、粒子サイズについてもある程度のバラツキがあるため、上記の充填率以上に充填できる可能性はあるが、粒子サイズが0.02μm(20nm)未満であると、粒子間の隙間も粒子サイズと同等程度になり、セパレータ5を介した電解液(リチウムイオン)の往来が非常にし難くなる。
また、充填率が80%以上(空孔率が20%以下)であると、パーコレーションの原理により孔が連続的に繋がっていない状態が多くなる。パーコレーションの原理に基づくと、孔が連続的に繋がることと繋がらないことが分かれる閾値は一般的には15%前後である。
このように、リチウムイオンの通過を容易にすることで、リチウムイオン二次電池1の出力効率や充電効率を向上させることができる。また、アパタイトシート21の空孔率を70%以下に設定することで、アパタイトシート21におけるリチウム以外の金属イオンの吸着性能を確保することができる。
また、セパレータ5の合計厚さを100μm以下とすることによって、セパレータ5での分極を抑え、リチウムイオン二次電池1の起電力の低下を抑制することができる。なお、セパレータ5の合計厚さについては、正負極間での過電圧を抑えるために、50μm以下にすることがより望ましい。
また、セパレータ5の合計厚さを均一にすることで、リチウムイオンの通過し易い箇所と通過し難い箇所の差を低減させ、正極3及び負極4の局所的な充放電反応による劣化を抑制することができる。
また、本実施形態のセパレータ5は、シャットダウン機能を有するポリプロピレンやポリエチレンにより形成される樹脂膜20を有しているので、例えば入出力電流が許容以上に増加してリチウムイオン二次電池1が高温となった場合に、樹脂膜20が溶融して空孔を塞ぎリチウムイオンの移動が阻害される。これにより、リチウムイオン二次電池1の入出力電流の増加を抑えることができ、リチウムイオン二次電池1の熱暴走を抑制することができる。
以上のように、リチウムイオン二次電池1のセパレータ5にアパタイトシート21を有し、アパタイトの粒子径及びアパタイトシート21の空孔率を限定することで、リチウムイオンの透過性能を確保しつつ、リチウム以外の金属イオンの透過を効果的に抑制することができ、出力性能及び耐久性、安全性能の優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
なお、本願発明は上記実施形態に限定するものではない。例えば、上記実施形態では、アパタイトシート21が平滑に形成されているが、樹脂膜20上に多数の四角形のブロック状のアパタイトシート21を互いに僅かな隙間をおいて格子状に並べて構成してもよい。但し、この場合の僅かな隙間とは、負極上で反応ムラが生じない、もしくは一次的に反応ムラが生じても、負極上の拡散現象により直ちに反応ムラが解消される程度の隙間とすることが望ましい。
このようにアパタイトシート21を僅かな間隔をあけて、ブロック状に配置しておいても局所的な充放電反応による電極の劣化を更に抑えることができる。
本願発明は、正極にリチウム以外の金属を含有するリチウムイオン二次電池に広く適用することができる。
以下に、発明の効果を確認するために行った実験の内容及び結果について記載する。
なお、図4Aは、実施例1のリチウムイオン電池における試験後の負極表面の元素分析結果である。図4Bは、比較例1のリチウムイオン電池における試験後の負極表面の元素分析結果である。
[実施例1]
1.正極の作製
LiMnとLiNi1/3Co1/3Mn1/3Oを3:7の割合で混合した正極活物質を使用する。正極活物質:カーボンブラック:PVDFFバインダーを質量比で90:5:5の割合になるようにポリプロピレン製の容器に入れ、ハイブリットミキサーを用いて2000rpmの回転数で10秒混ぜ合わせる。この混合粉末に、N-メチルーピロリドン(NMP)を数回に分けて投入して正極スラリーを作製する。NMP溶液を投入後、2000rpmで2分撹拌を繰り返しながら固形分比率が最終的に60%になるように調整して、正極スラリーを得た。
上記手順で得られた正極スラリーを厚さ20μmのAL箔にバーコーターを用いて所定の塗布重量となるように調整し、テストコータにて片面塗布した。
その後、100℃に予熱した恒温槽にて乾燥させ、ロールプレス機にて所定の厚み・塗布密度になるようプレスし後、15.95mmΦに打ち抜き、試験正極を得た。
・ 負極の作製
活物質として天然黒鉛と、1.2wt%CMC溶液、50%SBR分散水溶液、純水を用いて、固形分換算での重量比を天然黒鉛:CMC:SBR=97:1.5:1.5とし、固形分比率で60%となるように秤量しプロピレン製の容器へ投入後、ハイブリットミキサーで2000rpmの回転数で2分撹拌して負極スラリーを得た。
上記手順で得られた負極スラリーを厚さ30μmのCu箔にバーコーターを用いて所定の塗布重量となるように調整し、テストコータにて片面塗布した。
その後、100℃に予熱した恒温槽にて乾燥させ、ロールプレス機にて所定の厚み・塗布密度になるようプレスした後、直径16.15mmの円形に打ち抜き試験負極を得た。
・ セパレータの作製
肉を取り除いた魚骨(コチ、ハマチ、タイの背骨部分)を、0.1M/L(モル/リットル)のNaCO水溶液中で1時間煮沸後、純水で洗浄した。その後、0.1M/LのCHCOOH水溶液で1時間煮沸、純水で洗浄した後、乾燥させた。
上記手順で洗浄した魚骨を600℃で5時間大気雰囲気で焼成した後、乳鉢にて粉砕し、ヒドロキシアパタイト粉末を得た。
この粉末とPTFEバインダーを乳鉢にて練り合わせ、アパタイト/PTFEの混合物を作製した。
これをガラス板上で30μmのSUS製のシム板とSUSローラー用いて引き伸ばし、直径17.5mmの円形に打ち抜いた。
打ち抜いたアパタイトシートを直径17.5mmの円形に打ち抜かれた厚さ20μmのPE製セパレータの正極側に設置して、試験セルを作製した。
・ 試験セルの作製
所定寸法に打ち抜かれた正極、負極、セパレータを用い、Ar雰囲気下のグローブボックス内で2032型コインセルを作製する。
組み立て手順は、以下のとおりである。
負極缶にスペーサ、負極、PE製セパレータ、アパタイトシート、ガスケット、正極、スペー、スプリングワッシャー、正極缶の順に設置してカシメ機にて封止する。
なお、電解液は、1M(モル)のLiPF,EC:DEC=3:7組成の電解液であり、この電解液を0.2〜0.3mL、PE製セパレータを設置した後に注液した。
注液後、12時間以上静置したのち、25℃環境下にて、上限電圧4.1V、電流値0.2CA、終止電流値0.02CAの条件にて充電し、30分休止したのち、0.2CAで2.8Vまで放電し、30分休止を5サイクル繰り返して試験用コインセルを得た。
このようにして得られた試験セルを、上記の表1に定める試験条件にて負荷特性を取得した後、上記の表2に定める試験、25℃環境下にて、上限電圧4.1V、電流値0.2CA、終止電流値0.02CAの条件にて充電し、30分休止したのち、1CAにて30分放電して充電状態を調整した。これを環境温度55℃に設定した恒温槽内にて1週間保持後、25℃環境下にて、0.2CAにて2.8Vまで放電した。その後表1で定めた試験にて、負荷特性を取得した後、Ar雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを分解して負極を取り出した。この負極をDECで洗浄し、乾燥させた後、金属Liの析出の有無を目視にて確認してから、グローブボックスから取り出した。取り出した負極は走査型電子顕微鏡にて表面の元素分析を実施した。
[比較例1]
実施例1において、アパタイトシートを設置しない以外、実施例1と同様にセルを作製し、試験した。
[実施例2]
上記実施例1において、表2の試験内容を下記の表3のように変更した以外、実施例1と同様に試験した。
[実施例3]
上記実施例1において、80μのSUS製シム板を用いてアパタイトシートを引き伸ばした以外、実施例2と同様にセルを作製して試験した。
[比較例2]
上記実施例1において、100μmのシム板を用いてアパタイトシートを引き伸ばした以外、実施例2と同様にセルを作製し、試験した。
[比較例3]
上記実施例1において、100μmと80μmのシム板を組み合わせて、180μmのアパタイトシートを作製した以外、実施例2と同様にセルを作製し、試験した。
[比較例4]
上記実施例1において、200μmと80μmのシム板を組み合わせて、280μmのアパタイトシートを作製した以外、実施例2と同様にセルを作製し、試験した。
[比較例5]
上記実施例3において、80μのSUS製シム板を用いてアパタイトシートを作製する際、厚さ30μm、幅3mmで短冊状に切り出したCu箔を。これをPE製セパレータの正極側へ1mm間隔で配置し、実施例2と同様にセルを作製して試験した。
[比較例6]
上記実施例3において、200μmと80μmのシム板を組み合わせて、280μmのアパタイトシートを作製する際、直径200μmのNi線を3mm間隔にならべ、深さ200μmのリブのついた、厚さ280μmのアパタイトシートを作製した以外、実施例2と同様にセルを作製し、試験した。
[比較例7]
上記実施例3において、200μmと80μmのシム板を組み合わせて、280μmのアパタイトシートを作製する際、厚み200μm幅3mmのNi製タブを3mm間隔にならべ、深さ200ミμmのリブのついた、厚さ280μmのアパタイトシートを作製した以外、実施例2と同様にセルを作製し、試験した。
[比較例8]
上記実施例1において、ペレッターにて空孔率20%、厚み30μmのアパタイトシートを作製した以外、実施例2と同様にセルを作製し、試験した。
[比較例9]
上記実施例1において、ペレッターにて空孔率20%、厚み80μmのアパタイトシートを作製した以外、実施例2と同様にセルを作製し、試験した。
[結果]
図4A及び表4に示すように、実施例1の負極表面では、Mnは検出されなかったが、図4B及び表4に示すように、比較例1ではMnが検出された。このことから、正極から溶出したMnイオンは、アパタイト層にトラップされることにより負極表面への析出が抑制されたことがわかる。また、貯蔵試験後の容量測定では、実施例1よりも比較例1の方が容量および負荷特性の低下が抑制されていた。これは、Mnの負極への析出が抑制されたことにより、負極上での電解液の分解反応が抑制された結果と考えられる。
表5に示すように、実施例2〜3、比較例2〜4より、セパレータの厚みが100μmを超えると、厚みが増えるに従い負荷特性が低下し、サイクル後の解体調査にて、負極上にLi金属の析出が確認された。
これは、膜厚が増加するほど、分極によるか電圧が大きくなり、Li金属が析出しやすくなったと考えられる。
比較例5では、80μmのアパタイト層に、深さ30μm、幅3mmのリブを設けたが、同じ80μmのアパタイト層を有する実施例3ではLi金属の析出は確認されなかったのに対し、比較例5ではLi金属の析出は確認された。リブを設けることで抵抗差が生じ、負極平面での反応ムラが生じた、もしくは分極が大きくなった結果、負極上に金属Liが析出したと考えられる。
比較例6、7では、負荷特性が悪く、負極上にリブにそったLi金属の析出が確認された。
これは、セパレータが厚く、分極が大きいことに加え、リブを設けることで、負極上の反応ムラが生じることにより、金属Liが析出したと考えられる。
比較例8、9では、負荷特性が極めて悪く、ほとんど充放電できなかった。また、ペレットの割れ目にそってLi金属の析出が確認された。
これは、アパタイト粒子の充電密度が高く、Liイオンがセパレータ間を透過する抵抗が極めて高い、またはが透過できなかったと考えられる。また分極が大きいことに加え、ペレットの割れ目のように、透過しやすい部位に反応が集中することによって、Li金属が析出したと考えられる。
上述のように、正極から溶出したMnイオンの負極上への析出とそれに伴う劣化抑制のためには、セパレータにアパタイト層を設けることが有効であることが判明した。
また、アパタイト層の設置にともない、厚さ、形状(平滑さ)、密度によってLi金属の析出を抑制され、急激な容量低下や安全性の低下が抑制されることが判明した。
1 リチウムイオン二次電池
3 正極
4 負極
5 セパレータ
20 樹脂膜(膜状部材)
21 アパタイトシート
22 アパタイト

Claims (4)

  1. リチウムと当該リチウム以外の金属を含有する正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されるセパレータを有するリチウムイオン二次電池において、
    前記セパレータにアパタイトを含有し、
    前記アパタイトの粒子径は0.02μm以上であるとともに、
    前記セパレータの空孔率は20〜70%であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 前記セパレータの厚さは、100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記セパレータは、リチウムイオンが通過する透過孔を有する膜状部材に前記アパタイトを塗布して形成され、
    前記膜状部材は、所定温度以上で前記透過孔を塞ぐシャットダウン機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記セパレータは、前記膜状部材の表面に平滑な膜状のアパタイトが配置されていることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
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