JP2020139198A - 無方向性電磁鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄損が低くかつ磁束密度が高い第一の無方向性電磁鋼板及び高強度でありながら、打抜き材を焼鈍した後には、鉄損が低くかつ磁束密度が高い第二の無方向性電磁鋼板の提供。【解決手段】所定の化学組成を有し、{100}面強度が2.4以上であり、{100}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率が18%以上であり、平均結晶粒径が55μm〜200μmであり、板厚が0.10mm〜0.30mmであり、表面側に厚さが0.01μm以上0.5μm以下のCr酸化物を含む層を有し、以下の式1及び式2を満たす第一の無方向性電磁鋼板。また、平均結晶粒径が20μm以下であり、750℃で120分焼鈍した後に第一の無方向性電磁鋼板と同じ特性を満たす第二の無方向性電磁鋼板。10質量%≦2[Si]+2[Al]+[Cr]<15質量%(式1)(2[Al]+[Cr])/2[Si]−10t2≦0.35(式2)【選択図】なし

Description

本発明は,無方向性電磁鋼板に関するものである。
近年、電気機器(特に、無方向性電磁鋼板がその鉄心材料として使用される回転機、中小型変圧器、電装品等)の分野においては、世界的な電力・エネルギー節減、CO削減等に代表される地球環境保全の動きがある。その中で、高効率化、及び小型化の要請はますます強まりつつある。このような社会環境下において、当然、無方向性電磁鋼板に対しても、その性能向上は、喫緊の課題である。
周知のように、無方向性電磁鋼板においては、その性能向上に対して数多の手段がとられてきた。鉄損はヒステリシス損と渦電流損との2つに大別される。一般的に、鉄損低減は、固有抵抗増大による渦電流損低減の観点から、Si、Al等の含有量を高める方法がとられてきた。しかし、Si、Alの含有量を過度に高めると、鋼板が脆化し生産性が低下するという問題があった。また、Mnを添加した場合には、鋼板の硬度の上昇幅は小さいが、固有抵抗を上昇させる効果はSiおよびAlと比較して半分程度である。さらに、熱間圧延工程において赤熱脆性の問題を引き起こすことがあるため、添加量に上限がある。
そこで、固有抵抗を高める他の技術として、例えば特許文献1には、Crを1.5%〜20%添加して固有抵抗を高める技術が開示されている。Crを添加した場合の固有抵抗の上昇効果はMnと同程度であるが、20%以下の添加であれば鋼板の硬度はそれほど上がらず、脆化の懸念は低い。また、Mnと異なり赤熱脆性の課題も少ない。
ところで、電気自動車及びハイブリッド自動車の駆動モータは、高速走行だけではなく、起動時及び登坂時の低速高トルク走行でも使用され、また高効率が要求される高頻度走行領域はそれらの中間の速度であることが考えられる。そのため、モータコア用の電磁鋼板には、高周波数での鉄損低減のみならず、低周波数での鉄損低減も要求されるが、特許文献1の技術では、一定の周波数以上、例えば3000Hzでの鉄損は良好となるが、例えば800Hzなどの低い周波数ではむしろCr添加量の増加に伴い鉄損が劣化してしまう問題点がある。また、製品の板厚によっては、鉄損が劣化し始める周波数が変化する。
また、鋼板中のSi及びAlは酸化されやすいため、高温で酸素が鋼板中に拡散して内部酸化が生じると、磁壁移動を妨げてヒステリシス損を劣化させる。さらに、内部酸化が生じると、非磁性である酸化層が存在することにより磁束を通すことのできる実効的な断面積を減少させて磁束密度を上げてしまい、渦電流損も劣化させる。また、高周波では表皮効果により磁束が鋼板表層近傍に集中するため、前記の影響はより顕著になる。一方で、Cr酸化物は薄く非常にち密な構造を有し、鋼板表面に形成されるとその後の酸素の侵入を防止し、Si及びAlの内部酸化を抑制すると考えられる。
特許文献5には、C:0.005質量%以下、S:0.003質量%以下、N:0.003質量%以下、Si:2.0質量%以上4.5質量%未満、Al:0.15質量%以上2.5質量%未満、及びCr:0.3質量%以上5.0質量%未満を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、表面側に厚さが0.01μm以上0.5μm以下のCr酸化物を含む層を有し、さらに以下の式1及び式2を満たし、板厚が0.3mm以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板について、Si、Al及びCrの質量%の比が製品の板厚とある一定の式を満たすことにより、幅広い周波数で鉄損の優れた無方向性電磁鋼板を提供することができると記載されている。
しかし、Cr含有量増加はSi、Al、Mnの場合と比較して、同程度固有抵抗を増加させ、渦電流損を低減させる含有量での飽和磁束密度低下代が大きく、磁束密度B50の低下代も大きいという課題がある。
磁束密度を向上させる手法の一つとして、特許文献6に記載されているように、Pを添加し、粒界に偏析させる手法が知られている。また、特許文献7に記載されているように、急速加熱を用いる方法が知られている。
また、磁束密度を向上させる手段として、特許文献8に記載されているように、急冷凝固を用いる方法が知られている。しかし、急冷凝固を工業的に実施すると、仕上げ焼鈍時に微細な析出物が粒成長を阻害するという課題がある。この課題に対しては、特許文献9に記載されているように、REM、及びCaの1種又は2種を含有させることで解決する方法も知られている。
特許第5780013号公報 特開2003−183788号公報 特開2002-317254号公報 特開2002-115035号公報 特許第5429411号公報 特許第5995002号公報 特許第5825494号公報 特開昭62−240714号公報 特許第4648910号公報
しかし、特許文献6〜7の方法では、必ずしも高い磁束密度が得られるものではなかった。特許文献8の方法では、仕上げ焼鈍時の粒成長が阻害され、高い磁束密度を得られるが、低鉄損という点で満足できるものではなかった。特許文献9の方法では、特許文献8の粒成長阻害の課題は解決したが、Al含有によるヒステリシス損劣化の課題がある。
ここで、モータ、特にステータ用無方向性電磁鋼板には、低鉄損、かつ高磁束密度が求められるが、一方、ロータ用無方向性電磁鋼板には、高速回転時の変形を抑制するために高強度が求められる。特に、最近の高速回転化、IPM(Interier Permanent Magnet、磁石埋め込み型)化進展に伴い、よりロータ用電磁鋼板への高強度化要求は高まっている。鋼板の高強度化には、高合金化に加え、結晶粒の微細化が有効である。
ところで、同じ電磁鋼板から、ステータ用の鋼板、ロータ用の鋼板を共取りすることが検討されている。具体的には、結晶粒の微細化による高強度な無方向性電磁鋼板をロータ用の鋼板としてそのまま用いる一方で、ステータ用の鋼板は、結晶粒の微細化による高強度な無方向性電磁鋼板を打抜いた後、打抜き材を焼鈍し、結晶粒成長によって低鉄損化させて用いることが検討されている。
しかし、ステータ用の鋼板では、打抜き材の焼鈍時に鋼中の微細析出物の存在によって十分な結晶粒の成長が生じず低鉄損化され難くなり、また、結晶粒の成長に伴って磁束密度が低下することがある。
また、ロータ用、ステータ用によらず、熱処理過程で不可避的に生ずる鋼板表面の酸化、特に内部酸化のために磁気特性の劣化を生じることがあり、この回避が課題となっている。
そこで、本発明の課題は、上記問題を鑑み、鉄損が低くかつ磁束密度が高い第一の無方向性電磁鋼板、および、高強度でありながら、打抜き材を焼鈍した後には、鉄損が低くかつ磁束密度が高い第二の無方向性電磁鋼板を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>
質量%で
C:0%超〜0.0030%、
Si:2.00%〜4.50%、
sol.Al:0.15%〜2.50%、
Mn:0.20%〜1.50%、
Cr:0.30〜5.00%
P:0.005%〜0.200%、
S:0.0010%〜0.0100%、
Ti:0.0005%〜0.0100%、
Ca:0.0005%〜0.0100%、
Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上:総計0.0005%〜0.0200%、並びに、
残部:Fe及び不純物を含む化学組成を有し
インバースポールフィギュアの{100}面強度が2.4以上であり、
電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{100}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率が18%以上であり、
平均結晶粒径が55μm〜200μmであり、
板厚が0.10mm〜0.30mmであり、
鋼板の表面に厚さが0.01μm以上0.5μm以下のCr酸化物を含む層を有し、
前記Siの含有量(質量%)を[Si]、前記Alの含有量(質量%)を[Al]、前記Crの含有量(質量%)を[Cr]、無方向性電磁鋼板の板厚(mm)をtとしたときに以下の式1及び式2を満たす無方向性電磁鋼板。
10.00%≦2[Si]+2[Al]+[Cr]<15.00% (式1)
(2[Al]+[Cr])/2[Si]−10t≦0.35 (式2)
<2>
前記Siの含有量(質量%)を[Si]、前記Alの含有量(質量%)を[Al]、前記Mnの含有量(質量%)を[Mn]、前記Crの含有量(質量%)を[Cr]としたときに下記式3で表されるRが64.00以上である<1>に記載の無方向性電磁鋼板。
R=9.9+12.4×[Si]+10.0×[Al]+6.6×[Mn]+5.0×[Cr] (式3)
<3>
電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{411}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率が70%以上である<1>又は<2>に記載の無方向性電磁鋼板。
<4>
電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{111}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率が25%以下である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
<5>
750℃で120分焼鈍により、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板が得られる無方向性電磁鋼板であって、
質量%で
C:0%超〜0.0030%、
Si:2.00%〜4.50%、
sol.Al:0.15%〜2.5%、
Mn:0.20%〜1.50%、
Cr:0.30%〜5.0%
P:0.005%〜0.200%、
S:0.0010%〜0.0100%、
Ti:0.0005%〜0.0100%、
Ca:0.0005%〜0.0100%、
Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上:総計0.0005%〜0.0200%、並びに、
残部:Fe及び不純物を含む化学組成を有し、
750℃で120分焼鈍した後、
インバースポールフィギュアの{100}面強度が2.4以上であり、
電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{100}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率が18%以上であり、
平均結晶粒径が20μm以下であり、
板厚が0.10mm〜0.30mmであり、
鋼板の表面に厚さが0.01μm以上0.5μm以下のCr酸化物を含む層を有し、 前記Siの含有量(質量%)を[Si]、前記Alの含有量(質量%)を[Al]、前記Crの含有量(質量%)を[Cr]、無方向性電磁鋼板の板厚(mm)tとしたときに前記の式1及び式2を満たす無方向性電磁鋼板。
本発明によれば、鉄損が低くかつ磁束密度が高い第一の無方向性電磁鋼板、および、高強度でありながら、打抜き材を焼鈍した後には、鉄損が低くかつ磁束密度が高い第二の無方向性電磁鋼板が提供できる。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
なお、本明細書中において、化学組成の各元素の含有量の「%」表示は、「質量%」を意味する。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
「〜」の前後に記載される数値に「超」または「未満」が付されている場合の数値範囲は、これら数値を下限値または上限値として含まない範囲を意味する。
「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
連続鋳造と熱間圧延との工程を経て得られる無方向性電磁鋼板は「CC材」とも称する。
「インバースポールフィギュアの{100}面強度」を単に「{100}面強度」と称することがある。
「電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の、「{100}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率」、「{411}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率」、「{111}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率」を、各々、単に、「{100}方位粒の面積率」、「{411}方位粒の面積率」、「{111}方位粒の面積率」とも称する。
<無方向性電磁鋼板>
第一の実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、所定の化学組成を有し、次の(1)、(2)、(3A)、(4)、(5)および(6)の特性を満たす。
一方、第二の実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、750℃で120分焼鈍により、第一の実施形態に係る無方向性電磁鋼板が得られる無方向電磁鋼板であって、所定の化学組成を有し、次の(1)、(2)、(3B)、(4)、(5)および(6)の特性を満たす。つまり、第二の実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、750℃で120分焼鈍により、平均結晶粒径が55μm〜200μmとなり、第一の実施形態に係る無方向性電磁鋼板の特性を満たすようになる鋼板である。
(1)インバースポールフィギュアの{100}面強度が2.4以上である。
(2)電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{100}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率が18%以上である。
(3A)平均結晶粒径が55μm〜200μmである。
(3B)平均結晶粒径が20μm以下である。
(4)板厚が0.10mm〜0.30mmである。
(5)鋼板の表面に厚さが0.01μm以上0.5μm以下のCr酸化物を含む層(以下、「Cr酸化物を含む層」を「Cr酸化層」とも称する)を有する。
(6)Siの含有量(質量%)を[Si]、Alの含有量(質量%)を[Al]、Crの含有量(質量%)を[Cr]、無方向性電磁鋼板の板厚(mm)をtとしたときに以下の式1及び式2を満たす。
10.00%≦2[Si]+2[Al]+[Cr]<15.00% (式1)
(2[Al]+[Cr])/2[Si]−10t≦0.35 (式2)
第一の実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、上記構成により、鉄損が低くかつ磁束密度が高い無方向性電磁鋼板となる。
一方、第二の実施形態に係る無方向電磁鋼板は、上記構成により、高強度でありながら、打抜き材を焼鈍した後には、鉄損が低くかつ磁束密度が高い無方向性電磁鋼板となる。
そして、これら本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、次に示す知見により見出された。
Si、Al、MnおよびCrは含有量を増加させることで鋼板固有抵抗を上げて渦電流損を低減する。一方で、Si、Al、MnおよびCrは鋼板の飽和磁束密度を低下させる。同程度の固有抵抗を上昇させる含有量で比較すると、SiとMnの飽和磁束密度低下代はほぼ同等であるが、Alは飽和磁束密度低下代がSiおよびMnより大きく、Crは飽和磁束密度低下代がAlより大きい。さらにAl、Crは含有量を増加させるとヒステリシス損が劣化するため、ヒステリシス損の割合の大きい周波数では固有抵抗ほど鉄損が下がらない場合がある。SiおよびMnはヒステリシス損への影響はAl、Crより小さく、Si量6.5%近傍ではヒステリシス損が大きく低減することが知られている。
一方で、SiはAl、MnおよびCrに比べて鋼板を脆化させ易く、過度に含有させると製造時の脆性破断の懸念が増大する。CrはSi、AlおよびMnに比べて鋼板を脆化させにくいが、過度に含有すると、鋼板の飽和磁束密度が著しく低下し、磁束密度B50の低下が顕著になる。
さらにSi、AlおよびMnは強力な酸化物形成元素であり、熱処理過程で鋼板表面において内部酸化を増長し、磁気特性を劣化させることがある。
しかし、式1および式2を満足させると、ヒステリシス損の劣化と共に、磁束密度B50の低下が抑えられる。また、式1および式2を満足するように含有させるCrが緻密なCr酸化物層を形成することで内部酸化が抑制され、内部酸化に起因する磁気特性の劣化を回避できる。
低鉄損化のためには、仕上げ焼鈍により平均結晶粒径を55μm〜200μmまで増大させる。
ただし、高強度の鋼板を得る場合、低温での仕上げ焼鈍により平均結晶粒径を20μm以下に抑える。そして、平均結晶粒径を20μm以下に抑えた場合、例えば、ユーザーで鋼板を打抜き、積層してモータコアを製作した後、歪取りの目的で高温(例えば750〜850℃、60〜180分)焼鈍すると、平均結晶粒径が増大し(例えば平均結晶粒径を55μm〜200μmまで増大し)、低鉄損化が実現できる。
一方、Si量およびMn量を増加させると、通常、飽和磁束密度は低下する。しかし、集合組織を改善することで、高磁束密度が得られる。磁束密度向上に寄与する集合組織としては、{100}近傍の結晶方位が重要である。
{100}面強度及び{100}方位粒の存在確率を高めることで、Si量およびMn量を増加しても、磁束密度が向上し、低鉄損かつ高磁束密度が実現できる。
そして、無方向性電磁鋼板の板厚を0.10mm〜0.30mmにすると、鉄損の1種である渦電流損が低下するため、ヒステリシス損と渦電流損の両方が低い鋼板を得ることができる。
また、打抜き材の焼鈍時に、結晶粒の成長を阻害するのは、鋼中の微細析出物の存在である。しかし、Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdの少なくとも一種(以下、これら元素をXと表記することがある)の含有により、結晶粒成長を阻害する微細析出物のうち、MnS等の硫化物は、X−S化合物、X−OS化合物として粗大析出させることで無害化できる。
一方、Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdの少なくとも一種の含有により、結晶粒成長を阻害する微細析出物のうち、微量に含有したAlによる、微細なAl系析出物(AlN、Al等)は、析出物を複合析出させることで、無害化できる。
このように、Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdの少なくとも一種の含有により、打抜き材の焼鈍時に、十分に結晶粒が成長し(例えば平均結晶粒径が55μm〜200μmまで成長し)、低鉄損化が図られる。
また、打抜き材の焼鈍時に、結晶粒の成長に伴う磁束密度の低下は、{111}<112>結晶粒等の{111}方位粒の粒成長が主要因である。しかし、平均結晶粒径が20μm以下の段階で、{111}方位粒の面積率を抑える(つまり、{111}<112>結晶粒等の{111}方位粒を極微量に抑える)ことで、打抜き材の焼鈍時に、結晶粒が成長(例えば結晶粒が平均結晶粒径55μm〜200μmまで成長)しても、磁束密度の低下が生じ難くなる。
また、鋼板の表面に、0.01μm以上0.5μm以下のCr酸化層を存在させることにより、ヒステリシス損および渦電流損を劣化させる内部酸化が抑制できる。
以上の知見により、第一の実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、上記構成により、鉄損が低くかつ磁束密度が高い無方向性電磁鋼板となることが見出された。
一方、第二の実施形態に係る無方向電磁鋼板は、上記構成により、高強度でありながら、打抜き材を焼鈍した後には、鉄損が低くかつ磁束密度が高い無方向性電磁鋼板となることが見出された。
そして、第一の実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、ステータ用の鋼板として適する。一方、第二の実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、ロータ用の鋼板として適すると共に、ステータ用の鋼板およびロータ用の鋼板を共取りするための鋼板として適する。
以下、第一および第二の実施形態に係る無方向性電磁鋼板(以下、共通事項については、「本実施形態に係る無方向性電磁鋼板」と称する)の詳細について説明する。
本施形態に係る無方向性電磁鋼板の化学組成について説明する。なお、鋼板の成分組成について、「%」は「質量%」である。
無方向性電磁鋼板の化学組成は、
C:0.0030%以下、
Si:2.00%〜4.50%、
sol.Al:0.15%〜2.5%、
Mn:0.20%〜1.50%、
Cr:0.30%〜5.00%
P:0.005%〜0.200%、
S:0.0010%〜0.0100%、
Ti:0.0005%〜0.0100%、
Ca:0.0005%〜0.0100%、
Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群(以下「特定元素群」とも称する)から選択された一種以上:総計0.0005%〜0.0200%、並びに、
残部:Fe及び不純物を含む。
なお、無方向性電磁鋼板は、C、Si、sol.Al、Mn、P、S、Ti、Ca、及び特定元素群から選択された一種以上の元素を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学成分を有する無方向性電磁鋼板であってもよい。
[C:0%超〜0.0030%以下]
C(炭素)は、不可避的に含有される(すなわち、含有量が0%超となる)元素であるとともに、鉄損劣化を引き起こす元素である。Cの含有量が0.0030%を超える場合には、無方向性電磁鋼板において鉄損劣化が生じ、良好な磁気特性が得られ難くなる。よって、Cの含有量を、0.0030%以下とする。Cの含有量は、好ましくは、0.0020%以下であり、更に好ましくは、0.0015%以下である。
一方、Cの含有量の下限は、好ましくは0%超であり、精錬コストの観点から、より好ましくは0.0005%以上である。
[Si:2.00%〜4.50%]
Si(ケイ素)は、鋼の固有抵抗を上昇させて渦電流損を低減させ、鉄損を改善する元素である。また、Siは、固溶強化能が大きいため、無方向性電磁鋼板の高強度化にも有効な元素である。高強度化は、モータの高速回転時の変形抑制及び疲労破壊抑制といった観点から重要である。かかる効果を十分に発揮させるためには、2.00%のSiを含有させることが必要である。よって、Siの含有量は2.00%とする。
一方、Siの含有量が4.50%を超える場合には、加工性が劣化する傾向がある。よって、Siの含有量は、4.50%以下とする。
Siの含有量は、好ましくは、2.50%〜3.90%であり、更に好ましくは、3.20%〜3.80%である。
[Sol.Al:0.15%〜2.50%]
Al(アルミニウム)は、鋼中に固溶されると、無方向性電磁鋼板の固有抵抗を上昇させることで渦電流損を低減し、高周波鉄損を改善する元素である。一方で、Alは、Siに比べ、飽和磁束密度の低下、透磁率の低下、ヒステリシス損の増加が大きい。0.15%未満では固有抵抗を十分増加させることができず、鉄損を低減させる効果が十分に得られない。一方でAlは鋼板の飽和磁束密度を低下させるため、2.50%を超えると飽和磁束密度が著しく低下し、磁束密度B50の低画家顕著となる。よって、Alの含有量は、0.15%〜2.50%とする。
Alの含有量の下限は、好ましくは0.30%であり、より好ましくは0.60%以上である。
Alの含有量の上限は、好ましくは1.80%であり、より好ましくは1.20%以下である。
[Mn:0.20%〜1.50%]
Mnは、固有抵抗を増大させて渦電流損を低減する効果を有する。さらに、Mnは、結晶粒成長に有害なMnS等の微細硫化物の析出を抑制する効果を有する。かかる効果を発揮するためには、Mn含有量は一定量以上必要だが、0.20%未満では十分な渦電流損低減効果が得られず、微細硫化物の析出も抑制できない。そのため、Mnの含有量は、0.20%以上とする。
一方、Mnの含有量が1.50%を超える場合には、焼鈍時の結晶粒成長性そのものが低下し、鉄損が増大する。そのため、Mn含有量は1.50%以下とする。
Mn含有量は、好ましくは0.25%以上1.30%以下、より好ましくは0.50%以上1.10%以下である。
[Cr:0.30%〜5.00%]
Crは、Si、Alより効果代は小さいものの鋼板の固有抵抗を増大させて渦電流損を低減する効果を有する。また、Crは、熱処理過程での鋼板の酸化挙動が変化し、鋼板表面においてCrを主体とする酸化物を形成する。さらに、Ca、Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdのような強力な硫化物形成元素を含有する鋼板においては、Crは、後述するように、熱処理において緻密なCr酸化物層を形成し易くなる。そして、Crは、緻密なCr酸化層の形成により内部酸化を抑制し、磁気特性の劣化を回避する効果を発現させる。かかる効果を発揮するためには、Cr含有量は一定量以上必要だが、0.30%未満では十分な効果が得られない。そのため、Crの含有量は、0.30%以上とする。
一方、Crの含有量が5.00%を超える場合には、鋼板の飽和磁束密度が著しく低下し、磁束密度B50の低下が顕著となる。そのため、Cr含有量は0.30%〜5.00%とする。
Cr含有量は、好ましくは0.60%以上4.00%以下、より好ましくは1.20%以上3.00%以下である。
[P:0.005%〜0.200%]
P(リン)は、焼鈍時に粒界からの再結晶を抑制し、磁気特性に劣位な{111}方位粒等の成長を抑制する効果を有する元素である。かかる効果を発揮させるためには、0.005%以上のPを含有させることが必要である。従って、Pの含有量は、0.005%以上とする。
一方、Pの含有量が0.200%を超える場合には、鋼板が脆化する。よって、Pの含有量は、0.200%以下とする。
Pの含有量は、好ましくは、0.06%以上0.15%以下であり、更に好ましくは、0.08%以上0.12%以下である。
[S:0.0010%〜0.0100%]
S(硫黄)は、MnS等の微細硫化物を形成することで鉄損を増加させ、磁気特性を劣化させる元素である。また、MnS等の微細硫化物は、焼鈍時等における再結晶および結晶粒成長を阻害する。
よって、Sは、精錬コストを考慮し、0.0010%〜0.0100%とする。
Sの含有量は、好ましくは、0.0080%以下であり、更に好ましくは0.0060%以下である。
[Ti:0.0005%〜0.0100%]
Ti(チタン)は、地鉄中のC、N、Oなどと結合してTiN、TiC、Ti酸化物などの微小析出物を形成し、焼鈍中の結晶粒の成長を阻害して磁気特性を劣化させる元素である。
よって、Tiは、精錬コストを考慮し、0.0005%〜0.0100%とする。
Tiの含有量は、好ましくは、0.0008%以上0.0080%以下であり、より好ましくは、0.0010%以上0.0060%以下である。
[Ca:0.0005%〜0.0100%]
Caは、硫化物または酸硫化物としてSを固定し、MnS等の微細析出を回避し、磁壁の移動をスムーズにし、鉄損を低下させる効果を有する元素である。かかる効果を発揮するためには、0.0005%以上のCaを含有させる必要がある。よって、Caの含有量は、0.0005%以上とする。
一方、Caの含有量が0.0100%を超える場合には、硫化物または酸硫化物自体が過剰となり、鉄損が悪化する傾向にある。よって、Caの含有量は、0.0100%以下とする。
Caの含有量は、好ましくは、0.0010%以上0.0080%以下であり、より好ましくは、0.0015%以上0.0060%以下である。
[Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上:総計0.0005%〜0.0200%]
Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdは、硫化物または酸硫化物としてSを固定し、MnS等の微細析出を回避し、磁壁の移動をスムーズにし、鉄損を低下させる効果を有する。そのため、これら特定元素から選択される1種以上を含有する必要がある。かかる効果を発揮するには、特定元素群から選択される1種以上の含有量を総計で、0.0005%以上とする。
一方、特定元素群から選択される少なくとも1種の含有量が総計で0.0200%を超える場合には、硫化物または酸硫化物自体が過剰となり、鉄損が悪化する。そのため、特定元素群から選択される少なくとも1種の含有量は、総計で0.0100%以下とすることする。
特定元素群から選択される1種以上の含有量は、総計で、好ましくは、0.0010%以上0.0150%以下であり、更に好ましくは、0.0020%以上0.0100%以下である。
また、強力な硫化物形成元素であるCaおよび上記特定元素群の含有は、熱処理の過程において鋼板表面を純化し、鋼板の酸化挙動に影響を及ぼすと考えられ、本発明においては後述する緻密なCr酸化物層を好ましく形成するように作用する。
[残部]
無方向性電磁鋼板の残部は、Feおよび不純物である。ここで、不純物とは、原材料に含まれる成分、または、製造の過程で混入する成分であって、意図的に鋼板に含有させたものではない成分を指す。さらに、不純物は、意図的に含有させた成分であっても、鋼板の性能に影響を与えない範囲の量で含有する成分も含む。
[(式1) 10.00%≦2[Si]+2[Al]+[Cr]<15.00%]
Siの含有量(質量%)を[Si]、Alの含有量(質量%)を[Al]、Crの含有量(質量%)を[Cr]としたときに下記式1の条件を満たすようにする。
10.00%≦2[Si]+2[Al]+[Cr]<15.00% (式1)
2[Si]+2[Al]+[Cr]が10%未満では、3000Hzの鉄損が大きくなりすぎる。一方で、15.00%を超えると、鋼板の飽和磁束密度が著しく低下し、磁束密度B50の低下が顕著となる。なお、Crに対してSiおよびAlの比重を2倍としているのは、Crでは効果代が小さいことに基づいている。
また、強力な酸化物形成元素であるSiおよびAlとの合計含有量の制御は、後述する緻密なCr酸化物層を好ましく形成するためにも必要である。
[(式2) (2[Al]+[Cr])/2[Si]−10t≦0.35]
Siの含有量(質量%)を[Si]、Alの含有量(質量%)を[Al]、Crの含有量(質量%)を[Cr]、製品の板厚をt(mm)としたときに下記式2の条件を満たすようにする。
(2[Al]+[Cr])/2[Si]−10t≦0.35 (式2)
本発明者らが実験を重ねた結果、Si含有量を多くしても、ヒステリシス損はそれほど劣化しないが、AlおよびCrの含有量を多くすると、ヒステリシス損が急激に劣化することが分かった。その結果、同等の固有抵抗および板厚であっても、すなわち同等の渦電流損であっても、(2[Al]+[Cr])/2[Si]の比率が大きくなると鉄損が劣化すること、すなわちヒステリシス損が劣化することを見出した。
また、さらなる実験の結果、ヒステリシス損の比率が増加する低周波数の領域、或いは高周波数の領域でも板厚が小さくなり、渦電流損が低減するとこの傾向がより顕著になった。渦電流損は周波数の2乗と板厚の2乗に比例し、ヒステリシス損は周波数の1乗に比例するが板厚に依存しないものと考えられ、実験データに基づき、式2を導出した。
また、より低周波数の領域(例えば、400Hz)で鉄損を良好にするためには、さらに以下の式の条件を満たすようにすることが好ましい。
(2[Al]+[Cr])/2[Si]−5t≦0.35
また、強力な酸化物形成元素であるSiおよびAlとのバランスの制御は、後述する緻密なCr酸化物層をより好ましく形成するために好ましい条件となる。
[(式3)R=9.9+12.4×[Si]+10.0×[Al]+6.6×[Mn]+5.0×[Cr]:64.00以上]
Siの含有量(質量%)を[Si]、Alの含有量(質量%)を[Al]、Mnの含有量(質量%)を[Mn]、Crの含有量(質量%)を[Cr]としたときに下記式3で表されるRは、64.00以上であることが好ましい。
R=9.9+12.4×[Si]+10.0×[Al]+6.6×[Mn]+5.0×[Cr] (式3)
ここで、Si量、Al量、Mn量およびCr量を増加させると、上述のように、固有抵抗が増加し、渦電流損が低下する。一方で、Siは、Al、MnおよびCrに比べて、鋼板を脆化させ易いので、比較的脆化させにくいCr量を増加させて固有抵抗を高くすることが良い。
そのため、固有抵抗を増加させ、より低鉄損化する観点から、R値(=9.9+12.4×[Si]+10.0×[Al]+6.6×[Mn]+5.0×[Cr])を、64.00以上とすることが好ましく、66.00以上とすることがより好ましい。
一方、Si量、Al量およびMn量が過度に増加すると、鋼板が脆化する傾向が高まる。また、Si量、Al量、Mn量およびCr量が過度に増加すると、飽和磁束密度が著しく低下し、磁束密度B50の低下が顕著になる。そのため、R値は、85.00以下が好ましく、80.00以下がより好ましい。
なお、Mnは、SiおよびAlに次ぐ強力な酸化物形成元素でもあるため、Mnも含めた含有量の制御は、後述する緻密なCr酸化物層を好ましく形成するためにも必要である。
(無方向性電磁鋼板の金属組織等)
次に、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の金属組織について説明する。
[Cr酸化物を含む層の厚さ:0.01μm以上0.5μm以下]
適切な熱処理条件において形成されるCr酸化物は非常に緻密な構造を有し、鋼板表面に形成されるとその後の酸素の侵入を防止し、SiおよびAlの内部酸化を抑制すると考えられる。鋼板中のSiおよびAlは酸化されやすいため、高温で酸素が鋼板中に拡散して内部酸化が生じると、磁壁移動を妨げてヒステリシス損を劣化させる。さらに、内部酸化が生じると、非磁性である酸化層が存在することにより磁束を通すことのできる実効的な断面積を減少させて磁束密度を上げてしまい、渦電流損も劣化させる。また、高周波では表皮効果により磁束が鋼板表層近傍に集中するため、前記の影響はより顕著になる。
これらの効果を好ましく得るためには、式1および式2で規定されるSiおよびAl含有量、さらに式3で規定されるMn含有量とのバランス、さらにCa等の強力な硫化物形成元素の適量の含有が必要となる。
以上のことを考慮し、鋼板の表面に形成されるCr酸化層の厚さは0.01μm以上0.5μm以下となるようにする。Cr酸化層の厚さが0.01μm未満では、酸素の侵入を防止してSiおよびAlの内部酸化を抑制する効果が不十分である。また、Cr酸化層の厚さが0.5μmを超えると、磁気特性への悪影響が出始める。冷間圧延後の仕上焼鈍における酸素ポテンシャルが十分に低い場合、Cr酸化層は薄く緻密な構造の外部酸化膜を形成するが、酸素ポテンシャルが高い場合、外部酸化膜ではなく厚く疎で酸素を通し易い内部酸化層を形成する。鋼中のCr含有量を低減すると、外部酸化膜を形成する酸素ポテンシャルの上限は低下する。特に仕上焼鈍の昇温時の酸素ポテンシャルが重要であり、Cr酸化層の厚みを0.01μm以上0.5μm以下にするには、冷間圧延後の仕上焼鈍において、その焼鈍全体を低酸素ポテンシャルにするとともに、昇温時においても低酸素ポテンシャルにする。例えば、Crを2%以上含有する鋼を焼鈍する場合、昇温時の300℃〜500℃をPH2O/PH2≦5×10−2にし、Cr含有量が0.3%の鋼を焼鈍する場合、昇温時の300℃〜500℃をPH2O/PH2≦10−2にする。
なお、PH2O/PH2は、HO分圧とH分圧との比である。
[{100}面強度:2.4以上]
{100}面強度(インバースポールフィギュアの{100}面強度)は、2.4以上である。
ここで、{100}近傍の結晶方位は、磁束密度向上に寄与する集合組織である。上述のように、Si量およびMn量を増加すると、飽和磁束密度が低下するが、{100}面強度を高めると、磁束密度B50(励磁磁化力5000A/mで鋼板を磁化した時に鋼板に発生する磁束密度)が向上する。かかる高磁束密度化を実現するためには、2.4以上の{100}面強度が必要である。よって、インバースポールフィギュアの{100}面強度は、2.4以上とする。
{100}面強度は強いほど磁気特性が良好であり、上限は規定する必要がない。
高磁束密度化の観点から、インバースポールフィギュアの{100}面強度は、3.5以上が好ましく、3.8以上がより好ましい。
[{100}方位粒の面積率:18%以上]
{100}方位粒の面積率(電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{100}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率)は、18%以上である。
ここで、上記同様に、{100}近傍の結晶方位は、磁束密度向上に寄与する集合組織である。上述のように、Si量およびMn量を増加すると、飽和磁束密度が低下するが、{100}方位粒の面積率の存在確率を高めると、磁束密度B50が向上する。かかる高磁束密度化を実現するためには、{100}方位粒の面積率で18%必要である。よって、{100}方位粒の面積率は、18%以上とする。
{100}単結晶の{100}面積率は100%であり、{100}面積率は高いほど磁気特性が良好であり、上限は規定する必要がない。
高磁束密度化の観点から、{100}方位粒の面積率は、20%以上が好ましく、22%以上がより好ましい。
[板厚]
板厚は、0.10mm〜0.30mmである。板厚が薄すぎると、冷間圧延が難しくなり、工業生産ができなくなる。一方、板厚が厚すぎると、渦電流損が多くなり、鉄損が劣化する。そのため、板厚は、0.10mm〜0.30mmとする。板厚は、好ましくは0.20mm〜0.27mmである。
[平均結晶粒径]
第一の実施形態に係る電磁鋼板の平均結晶粒径は55μm〜200μmである。結晶粒径が微細化するとヒステリシス損が劣化し、55μm未満ではヒステリシス損の劣化が顕著となり、ステータコア用無方向性電磁鋼板に要求される低鉄損が実現できなくなるため、下限を55μmとする。平均結晶粒径が200μ超になると異常渦電流損が増加し、ステータコア用無方向性電磁鋼板に要求される低鉄損が実現できなくなるため、上限を200μmとする。平均結晶粒径は、好ましくは60μm〜150μmである。
一方、第二の実施形態に係る電磁鋼板の平均結晶粒径は、20μm以下である。結晶粒が粗大化すると、強度が低下する。そのため、平均結晶粒径は、20μm以下とする。平均粒径の下限は特に限定する必要はなく、100%未再結晶組織でもよい。再結晶粒が観察されない場合、本発明で規定する平均結晶粒径は0(ゼロ)μmであるものとする。ただし、結晶粒が過度に微細化し、平均結晶粒径が小さすぎると、鋼成分、熱間圧延および冷間圧延の条件によっては製品鋼板の板形状が悪くなり、打抜き時の形状精度が低下する懸念を生じることがあるため、平均結晶粒径は10μm以上とすることが好ましい。鋼板の高強度化を含めた発明効果の発現、および打抜き時の形状精度を高いレベルで両立するための観点から、平均結晶粒径は、好ましくは13μm〜17μmである。
なお、第二の実施形態に係る電磁鋼板を750℃で120分焼鈍した後の平均結晶粒径は、55μm〜200μmとする。結晶粒が粗大化せず、平均結晶粒径が小さすぎると、ユーザーで鋼板を打抜き、積層してモータコアを製作した後、歪取りの目的で高温(例えば750〜850℃、60〜180分)焼鈍した際の鉄損が十分に向上しない。一方、結晶粒が過度に粗大化し、平均結晶粒径が大きくなりすぎると、ユーザーで鋼板を打抜き、積層してモータコアを製作した後、歪取りの目的で高温(例えば750〜850℃、60〜180分)焼鈍した際の渦電流損が悪化する。そのため、第二の実施形態に係る電磁鋼板を750℃で120分焼鈍した後の平均結晶粒径は、55μm〜200μmとする。平均結晶粒径は、好ましくは60μm〜150μmである。
[{411}方位粒の面積率:70%以上]
{411}方位粒の面積率(電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{411}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率)は、70%以上であることが好ましい。
さらに、無方向性電磁鋼板の磁気特性を向上させ、低鉄損および高磁束密度を実現するには、磁気特性に優位な{411}方位粒の存在確率を高めることが良い。そのため、{411}方位粒の面積率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。なお、{411}方位粒の面積率は高い程好ましいが、製造上の観点から、{411}方位粒の面積率の上限は、例えば95%以下である。
[{111}方位粒の面積率:25%以下]
{111}方位粒の面積率(電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{111}}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率)は、25%以下であることが好ましい。
さらに、無方向性電磁鋼板の磁気特性を向上させ、低鉄損および高磁束密度を実現するには、磁気特性に劣位な{111}方位粒の存在確率を低減することが良い。そのため、{111}方位粒の面積率は、25%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。なお、{111}方位粒の面積率は0%が最も好ましいが、製造上の観点から、{111}方位粒の面積率の下限は、例えば5%以上である。
[引張強度]
第二の実施形態に係る電磁鋼板の引張強度は、600MPa以上が好ましい。引張強度が上記範囲であると、ロータ用無方向性電磁鋼板として適する鋼板となる。引張強度は、600MPa〜800MPaがより好ましく、650MPa〜800MPaがさらに好ましい。
引張強度が600MPaに満たないと、ロータコアの変形を十分に抑制できない。ただし、引張強度が850MPaを超えると、打抜きが困難になり、形状精度を得ることが難しくなることがある。そのため、引張強度の上限は850MPa以下が好ましい。
[その他]
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、片面又は両面に絶縁被膜を有していてもよい。
無方向性電磁鋼板の磁気特性を向上させるためには、鉄損を低減することが重要である。鉄損は、渦電流損とヒステリシス損とから構成されている。無方向性電磁鋼板の表面に絶縁被膜を設けることで、鉄心として積層された無方向性電磁鋼板間の導通を抑制して鉄心の渦電流損を低減することが可能となり、無方向性電磁鋼板の実用的な磁気特性を更に向上させることが可能となる。
ここで、絶縁被膜は、無方向性電磁鋼板の絶縁被膜として用いられるものであれば、特に限定されるものではなく、公知の絶縁被膜を用いることが可能である。このような絶縁被膜として、例えば、無機物を主体とし、更に有機物を含んだ複合絶縁被膜を挙げることができる。ここで、複合絶縁被膜とは、例えば、クロム酸金属塩、リン酸金属塩又はコロイダルシリカ、Zr化合物、Ti化合物等の無機物の少なくとも何れかを主体とし、微細な有機樹脂の粒子が分散している絶縁被膜である。特に、近年ニーズの高まっている製造時の環境負荷低減の観点からは、リン酸金属塩やZrあるいはTiのカップリング剤、又は、これらの炭酸塩やアンモニウム塩を出発物質として用いた絶縁被膜が好ましく用いられる。
絶縁被膜の付着量は、特に限定するものではないが、例えば、片面あたり0.1g/m以上2.0g/m以下程度とすることが好ましく、片面あたり0.2g/m以上1.8g/m以下とすることが更に好ましい。かかる付着量となるように絶縁被膜を形成することで、優れた均一性を保持することが可能となる。なお、かかる絶縁被膜の付着量を、事後的に測定する場合には、公知の各種測定法を利用することが可能である。
なお、絶縁被膜の付着量は、例えば、絶縁被膜を形成した無方向性電磁鋼板を熱アルカリ溶液に浸漬することで絶縁被膜のみを除去し、絶縁被膜の除去前後の質量差から算出することが可能である。
次に、各種測定方法について説明する。
[{100}面強度]
{100}面強度は、次の通り測定する。
例えば、通常のX線回折プロファイルから、各結晶面の回折の積分強度をランダム方位材料における理想強度比と比較することにより、面配向性を求めることができる。測定は、例えばリガク製試料水平型強力X線回折装置RINT-TTR3や粉末X線回折装置RINT−2000を用いて行うことができるが、測定結果は本質的には測定機器に依存するものではない。
[各方位粒の面積率]
各方位粒の面積率({100}方位粒、{411}方位粒、{111}方位粒)は、次の通り測定する。
OIMアナリシス(TSL社製)を用いて、下記測定条件で観察した走査型電子顕微鏡による観察視野の中から、目的とする各方位粒の面積率を抽出(トレランスは20°に設定)する。その抽出した面積を、観察視野の面積で割り、百分率を求める。この百分率を各方位粒の面積率とする。
なお、各方位粒の面積率を求める測定条件の詳細は、次の通りである。
・測定装置:電子線後方散乱回折装置付き走査型電子顕微鏡(SEM−EBSD)「SEMの型番JSM−6400(JEOL社製)EBSD検出器は型番「HIKARI」(TSL社製)を使用」
・ステップ間隔:2μm
・測定対象:鋼板のZ面(板厚方向に鋼板を切断した切断面)の中心層(板厚1/2部)
・測定領域:8000μm×2400μmの領域
・粒界:結晶方位の角度差が15°以上(角度差が15°未満の連続する領域を一つの結晶粒とする)
[平均結晶粒径]
上記面積率を求める際のデータにおいて、各結晶粒の面積と等しくなる円の直径を各結晶粒の結晶粒径とする。そして、測定領域内で結晶粒と認識された(EBSDの菊池線パターンにより結晶方位が特定できた)すべての結晶粒についての結晶粒径の算術平均を本発明で規定する平均結晶粒径とする。なお、EBSDの菊池線パターンが不明瞭で結晶方位が特定できない領域は未再結晶組織と判断する。測定領域すべてで結晶方位が特定できない場合が完全未再結晶組織であり、本発明ではこの場合の平均結晶粒径は0(ゼロ)μmと判定する。
[Cr酸化層の厚さ]
Cr酸化層(Cr酸化物を含む層)の厚さは、次の通り測定する。
まず、鋼板断面を現出させ、エッチングせずにSEM観察し、エネルギー分散型X線分析(EDS)して、地鉄よりCrとO濃度の高い領域を、Cr酸化層と特定する。
そして、観察した5個所のCr酸化層の厚さを測定し、その算術平均をCr酸化層の厚さとする。なお、Cr酸化層の厚さ測定には、電子線マイクロアナライザ(EPMA)やオージェ電子分光(AES)を用いてもよい。
[引張強度]
引張強度は、引張試験をJIS Z 2241(2011)に準拠して測定する。
次に、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の製造方法の一例について説明する。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の製造方法としては、次の(1)ストリップキャスティング法、(2)薄スラブ連続鋳造法、(3)潤滑熱延法、(4)高温熱延板焼鈍+冷延強圧下法、(5)複数回冷延法などが挙げられる。
(1)ストリップキャスティング法
ストリップキャスティング法は、次の通り、無方向性電磁鋼板を製造する。
まず、製鋼工程で、ストリップキャスティングにより直接1〜3mm厚さの熱延コイルを製造する。
ストリップキャスティングでは、溶鋼を水冷した1対のロール間で急速に冷却することで、直接熱延コイル相当厚さの鋼板を得ることができる。その際、水冷ロールに接触している鋼板最表面と溶鋼との温度差を十分に高めてやることで、表面で凝固した結晶粒が鋼板垂直方向に成長し、柱状晶を形成する。
BCC構造を持つ鋼では、柱状晶は{100}面が鋼板面に平行になるように成長する。{100}面強度が増加し、{100}方位粒の存在確率が高まる。そして、変態、加工又は再結晶で、{100}面からなるべく変化させないことが重要である。具体的には、フェライト促進元素であるSiを含有させ、オーステナイト促進元素であるMnの含有量を制限することで、高温でのオーステナイト相生成を経ずに、凝固直後から室温までをフェライト単相とすることが重要である。
オーステナイト−フェライト変態が生じても一部{100}面は維持されるが、SiおよびMnの含有量を上記範囲に調整して、オーステナイト−フェライト変態の生じない成分系とする。
次に、ストリップキャスティングにより得られた熱延コイルの鋼板を熱間圧延し、その後、得られた熱延板を焼鈍(熱延板焼鈍)する。
なお、熱間圧延は実施せず、そのまま後工程を実施してもよい。
また、熱延板焼鈍も実施せずに、そのまま後工程を実施してもよい。ここで、熱間圧延で鋼板に30%以上の歪みを導入した場合、550℃以上の温度で熱延板焼鈍を実施すると歪み導入部から再結晶が生じ、結晶方位が変化することがある。そのため、熱間圧延で30%以上の歪みを導入した場合、熱延板焼鈍は、実施しないか、再結晶しない温度で実施する。
次に、鋼板に対して、冷間圧延前の酸洗を実施する。
酸洗は、鋼板表面のスケールを除去するために必要な工程である。スケール除去の状況に応じて、酸洗条件を選択する。なお、酸洗の代わりに、グラインダでスケールを除去してもよい。
次に、鋼板に対して、冷間圧延を実施する。
冷間圧延は、所望の製品厚を得るために必須な工程である。ただし、冷間圧延の圧下率が過大になると、製品において望ましい結晶方位が得られなくなる。そのため、冷間圧延の圧下率は、好ましくは90%以下とし、より好ましくは85%以下とし、さらに好ましくは80%以下とする。冷間圧延の圧下率の下限は、特に設ける必要はないが、冷間圧延前の鋼板の板厚と所望の製品厚とから圧下率の下限を決める。また、積層鋼板として求められる表面性状および平坦度が得られていない場合も、冷間圧延が必要になるため、その目的での最小の冷間圧延が必要となる。
冷間圧延は、リバースミルで実施してもよいし、タンデムミルで実施してもよい。
なお、冷間圧延の代わりに、脆性破断回避の観点から、材料の延性/脆性遷移温度以上の温度で、温間圧延を実施しても良い。
次に、鋼板に対して、仕上げ焼鈍を実施する。
仕上げ焼鈍は、所望の磁気特性および強度が得られる結晶粒径を得るために条件を決める必要があるが、通常の無方向性電磁鋼板の仕上げ焼鈍条件の範囲であれば良い。
仕上げ焼鈍は、連続焼鈍でも、バッチ焼鈍でもよい。コストの観点から、仕上げ焼鈍は連続焼鈍で実施するのが好ましい。
仕上焼鈍は、鋼板の表面に形成されるCr酸化層の厚さが0.01μm以上0.5μm以下となるようにする。Cr酸化層の厚さが0.01μm未満では、酸素の侵入を防止してSiおよびAlの内部酸化を抑制する効果が不十分である。また、Cr酸化層の厚さが0.5μmを超えると、磁気特性への悪影響が出始める。冷間圧延後の仕上焼鈍における酸素ポテンシャルが十分に低い場合、Cr酸化層は薄く緻密な構造の外部酸化膜を形成する。一方で、酸素ポテンシャルが高い場合、外部酸化膜ではなく厚く疎で酸素を通し易い内部酸化層を形成する。鋼中のCr含有量を低減すると、外部酸化膜を形成する酸素ポテンシャルの上限は低下する。特に仕上焼鈍の昇温時の酸素ポテンシャルが重要であり、Cr酸化層の厚みを0.01μm以上0.5μm以下にするには、冷間圧延後の仕上焼鈍において、その焼鈍全体を低酸素ポテンシャルにするとともに、昇温時においても低酸素ポテンシャルにする。例えば、Crを2%以上含有する鋼を焼鈍する場合、昇温時の300℃〜500℃をPH2O/PH2≦5×10−2にし、Cr含有量が0.3%の鋼を焼鈍する場合、昇温時の300℃〜500℃をPH2O/PH2≦10−2にする。
特にストリップキャスティング法では、鋳造で発達させた柱状晶が、熱間圧延、冷間圧延で加工されて、仕上焼鈍で{100}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒を再結晶させる。一方で、仕上焼鈍昇温時に鋼板表面に形成されるCr酸化層の厚さが規定の範囲外では、{100}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の再結晶が不十分となるため、仕上焼鈍において、その焼鈍全体を低酸素ポテンシャルにするとともに、昇温時においても低酸素ポテンシャルにすることが重要である。
以上の工程を経て、(1)ストリップキャスティング法では、目的とする無方向性電磁鋼板が得られる。
(2)薄スラブ連続鋳造法
薄スラブ連続鋳造法では、次の通り、無方向性電磁鋼板を製造する。
薄スラブ連続鋳造法では、製鋼工程で30〜60mm厚さのスラブを製造し、熱間圧延工程の粗圧延を省略する。薄スラブで{100}面が鋼板面に平行な柱状晶を十分に発達させ、熱間圧延で柱状晶を加工して得られる{100}<011>方位を熱延板に残すことが望ましい。この目的のためには連続鋳造での電磁撹拌を実施しない方が望ましい。また、凝固核生成を促進させる溶鋼中の微細介在物は極力低減することが望ましい。
そして、薄スラブを再加熱炉で加熱した後、熱間圧延工程で連続的に仕上げ圧延し、約2mm厚さの熱延コイルを得る。
その後、熱延コイルの鋼板に対して、(1)ストリップキャスティング法と同様にして、熱延板焼鈍、酸洗、冷間圧延、仕上げ焼鈍を実施する。
以上の工程を経て、(2)薄スラブ連続鋳造法では、目的とする無方向性電磁鋼板が得られる。
(3)潤滑熱延法
潤滑熱延法では、次の通り、無方向性電磁鋼板を製造する。
まず、製鋼工程でスラブを製造する。スラブを再加熱炉で加熱した後、熱間圧延工程で連続的に粗圧延および仕上げ圧延し、熱延コイルを得る。
ここで、熱間圧延は、通常無潤滑で実施するが、適切な潤滑条件で熱間圧延する。適切な潤滑条件で熱間圧延を実施すると、鋼板表層近傍に導入される剪断変形が低減する。それにより、通常鋼板中央で発達するαファイバと呼ばれるRD//<011>方位を持つ加工組織を鋼板表層近傍まで発達させることができる。例えば、特開平10−36912号に記載のように、熱間圧延時に潤滑剤として熱延ロール冷却水に0.5〜20%の油脂を混入し、仕上熱延ロールと鋼板との平均摩擦係数を0.25以下にすることで、αファイバを発達させることができる。
その後、熱延コイルの鋼板に対して、(1)ストリップキャスティング法と同様にして、熱延板焼鈍、酸洗、冷間圧延、仕上げ焼鈍を実施する。熱延コイルの鋼板でαファイバを鋼板表層近傍まで発達させると、その後の熱延板焼鈍で{h11}<1/h 1 2>、特に{100}<012>〜{411}<148>が再結晶する。この鋼板を酸洗後、冷間圧延し、仕上げ焼鈍を実施すると、{100}<012>〜{411}<148>が再結晶する。それにより、{100}面強度が増加し、{100}方位粒の存在確率が高まる。
以上の工程を経て、(3)潤滑熱延法では、目的とする無方向性電磁鋼板が得られる。
(4)高温熱延板焼鈍+冷延強圧下法
高温熱延板焼鈍+冷延強圧下法では、次の通り、無方向性電磁鋼板を製造する。
まず、製鋼工程でスラブを製造する。スラブを再加熱炉で加熱した後、熱間圧延工程で連続的に粗圧延および仕上げ圧延し、熱延コイルを得る。
次に、熱延コイルの鋼板に対して、熱延板焼鈍を実施する。熱延板焼鈍により、再結晶させ、結晶粒を結晶粒径300〜500μmまで粗大に成長させる。
熱延板焼鈍は、連続焼鈍でも、バッチ焼鈍でもよい。コストの観点から、熱延板焼鈍は連続焼鈍で実施するのが好ましい。連続焼鈍を実施するには、高温短時間で結晶粒成長させる必要があり、具体的には、例えば、最高到達温度1,000℃〜1,050℃、均熱時間30分〜60分で焼鈍を実施する。ここで、均熱時間とは最高到達温度−10℃が保持される時間を指す。
次に、鋼板に対して、酸洗後、冷間圧延を実施する。
ここで、Si含有量の高い高級無方向性電磁鋼板では、結晶粒径を粗大にしすぎると鋼板が脆化し、冷間圧延での脆性破断懸念が生じる。そのため、冷間圧延前の鋼板の平均結晶粒径を、通常200μm以下に制限する。一方で、本発明では、冷間圧延前の平均結晶粒径を300〜500μmとし、続く冷間圧延を圧下率80〜95%で実施する。
なお、冷間圧延の代わりに、脆性破断回避の観点から、材料の延性/脆性遷移温度以上の温度で、温間圧延を実施しても良い。
その後、仕上げ焼鈍を実施すると、ND//<100>再結晶粒が成長する。それにより、{100}面強度が増加し、{100}方位粒の存在確率が高まる。
なお、酸洗、仕上げ焼鈍は、1)ストリップキャスティング法と同様にして実施する。
以上の工程を経て、(4)高温熱延板焼鈍+冷延強圧下法では、目的とする無方向性電磁鋼板が得られる。
(5)複数回冷延法
複数回冷延法では、次の通り、無方向性電磁鋼板を製造する。
まず、製鋼工程でスラブを製造する。スラブを再加熱炉で加熱した後、熱間圧延、熱延板焼鈍、酸洗を実施する。
次に、酸洗後の鋼板に対して、冷間圧延を実施する。
ここで、高級無方向性電磁鋼板では、通常熱間圧延、熱延板焼鈍、酸洗を行った後に、1回の冷間圧延で所望の製品厚を得る。製品厚が0.3mm以下に薄くなると、冷間圧延の圧下率は高くなり、磁気特性にとって好ましくないγファイバと呼ばれるND//<111>集合組織が発達する。
そのため、冷間圧延は、1回以上の焼鈍を挟んで2回以上実施し、最終冷延圧下率を55〜75%にする。それにより、γファイバの発達を抑制でき、所望の製品特性を得ることができる。
さらに、冷間圧延は、2回以上の焼鈍を挟んで3回以上実施し、最終の冷間圧延と最終から2番目の冷間圧延の圧下率を55〜75%にすることが良い。それにより、よりγファイバの発達を抑制でき、ND//<001>集合組織を発達させ、所望の製品特性を得ることができる。
冷間圧延は、リバースミルで実施してもよいし、タンデムミルで実施してもよい。
なお、冷間圧延の代わりに、脆性破断回避の観点から、材料の延性/脆性遷移温度以上の温度で、温間圧延を実施しても良い。
その後、冷延コイルの鋼板に対して、(1)ストリップキャスティング法と同様にして、仕上げ焼鈍を実施する。
以上の工程を経て、(5)複数回冷延法では、目的とする無方向性電磁鋼板が得られる。
ここで、以上説明した、(1)ストリップキャスティング法、(2)薄スラブ連続鋳造法、(3)潤滑熱延法、(4)高温熱延板焼鈍+冷延強圧下法、(5)複数回冷延法など製造方法により、第一の実施形態に係る無方向性電磁鋼板を製造し、例えば、ステータコア用無方向性電磁鋼板に要求される低鉄損を実現する場合には、仕上焼鈍は高温で実施する。具体的には、例えば、最高到達温度900℃〜1100℃、均熱時間10秒〜60秒で仕上げ焼鈍を実施する。ここで、均熱時間とは最高到達温度−10℃が保持される時間を指す。
この高温での仕上げ焼鈍により、結晶粒を成長させて、平均結晶粒径を55μm〜200μmとし、低鉄損な無方向性電磁鋼板が得られる。
一方、第二の実施形態に係る無方向性電磁鋼板を製造し、例えば、ロータコア用無方向性電磁鋼板に要求される高強度を実現する場合には、仕上げ焼鈍は低温で実施する。具体的には、例えば、最高到達温度750℃〜850℃、均熱時間10秒〜60秒で仕上げ焼鈍を実施する。ここで、均熱時間とは最高到達温度−10℃が保持される時間を指す。
この低温での仕上げ焼鈍により、結晶粒の成長を抑えて、平均結晶粒径を20μm以下とし、高強度な無方向性電磁鋼板が得られる。
そして、得られた第二の実施形態に係る無方向性電磁鋼板をロータ用の鋼板として使用する場合、得られた鋼板をそのまま使用する。
一方、得られた第二の実施形態に係る無方向性電磁鋼板をステータ用の鋼板として使用する場合、得られた鋼板を打抜いた後、打抜き材を焼鈍(例えば、最高到達温度750〜850℃、均熱時間60分〜180分で焼鈍)して使用する。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1A:板厚0.20mm)
表1に示す化学組成の鋼を溶製し、熱間圧延で1.7mm厚の熱延板を作製した。熱延板は1,050℃で30分焼鈍後、酸洗で表面スケールを除去した。その後、冷間圧延で0.20mm厚に仕上げ、昇温時の300℃〜500℃のPH2O/PH2によりCr酸化層厚みを制御して、750℃で15秒仕上げ焼鈍した。なお、鋼D1Aと鋼K1Aは冷間圧延時に破断した。
以上の工程を経て、無方向性電磁鋼板を得た。
なお、表1中、「総計」は、Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdの合計量を示す。
得られた各無方向性電磁鋼板について、次の測定を実施した。結果を表2に示す。
−{100}面強度、各方位粒の面積率、平均結晶粒径、Cr酸化層の厚さ、引張強度−
既述の方法に従って、{100}面強度、各方位粒の面積率({100}方位粒、{411}方位粒、{111}方位粒)、平均結晶粒径、Cr酸化層の厚さ、引張強度を測定した。
−鉄損、および磁束密度−
得られた無方向性電磁鋼板から、幅55mm、長さ55mmに切り出して測定試料を得た。
そして、測定試料の鉄損W15/50、鉄損W10/400、および磁束密度B50を測定した。各磁気特性は、圧延方向(L方向)と圧延直角方向(C方向)を単板磁気試験器で測定し、その平均値で評価した。
−750℃120分焼鈍後の特性−
得られた無方向性電磁鋼板を打ち抜き、特性評価用の鋼板を得た。そして、特性評価用の鋼板を、温度750℃、120分で焼鈍した。
焼鈍後の特性評価用の鋼板について、既述の方法に従って、{{100}面強度、各方位粒の面積率、平均結晶粒径を測定した。そして、鉄損、および磁束密度を測定した。
上記結果からわかるように、鋼A1A、鋼B1A、鋼C1A、鋼E1A、鋼F1A、鋼H1A、鋼L1A、鋼M1A、鋼N1A、鋼O1A、鋼Y1Aは{100}面強度2.4以上であり、磁束密度B50は高かったが、焼鈍後の平均結晶粒径が50μm未満で、粗大粒と微細粒とが混在する組織となり、鉄損W15/50、W10/400が劣化した。さらに、鋼C1A、鋼E1A、鋼H1Aは式3のRが64未満であり、特にW10/400が劣化した。
鋼G1A、鋼I1Aは、{100}面強度2.4以上であったが、それぞれMn、Crが上限を超えており、B50が低下した。
鋼J1Aは結晶粒径が55μm以上であったが、{100}面強度が2.4未満であり、磁束密度B50が劣化した。
鋼Z1Aは結晶粒径が55μm以上、{100}面強度2.4以上であったが、Cr酸化層厚さがほぼ0μmであり、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50が劣化した。鋼WW1Aは結晶粒径が55μm以上、{100}面強度2.4以上であったが、Cr酸化層厚さが1μmであり、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50が劣化した。
それに対して、鋼P1A〜X1A、鋼XX1A、ZZ1Aは、750℃120分焼鈍後において、鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が共に良化した。また、750℃120分焼鈍前においては、高い引張強度を有しつつも、良好な鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が得られた。
ただし、鋼XX1A、ZZ1Aは、{411}方位粒面積率が70%未満、{111}方位粒面積率が25%超えであったため、鋼P1A〜X1Aに比べ、鉄損W15/50、W10/400が高く、磁束密度B50が低かった。
鋼T1A1〜T1A5は、仕上焼鈍の昇温時の300℃〜500℃のPH2O/PH2を変化させた結果、結晶粒径が55μm以上、{100}面強度2.4以上であったが、Cr酸化層厚みが0〜0.6μmとなり、規定範囲外の鋼T1A1、鋼T1A5では鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50が劣化した。
なお、鋼ZZ1Aは仕上げ焼鈍後の組織が100%未再結晶組織(平均結晶粒径0μmと記載)であり、引張強度はロータ用無方向性電磁鋼板として好適な範囲を満たした。750℃120分焼鈍後の平均結晶粒径は85μmであり、{100}面強度5.2であり、鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が共に良化した。
鋼PP1Aは仕上げ焼鈍後の{100}面強度2.4以上であったが、結晶粒径が85μmであったため、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50は良好であったが、引張強度が劣化した。750℃120分焼鈍後において、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50は良好であった。
鋼PPP1Aは仕上げ焼鈍後の{100}面強度2.4以上であったが、結晶粒径が40μmであったため、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50は良好であったが、引張強度が劣化した。750℃120分焼鈍後において、鉄損W15/50、W10/400がともに良化した。
(実施例1B:板厚0.15mm)
表3に示す化学組成の鋼を溶製し、熱間圧延で1.25mm厚の熱延板を作製した。熱延板は1,050℃で30分焼鈍後、酸洗で表面スケールを除去した。その後、冷間圧延で0.15mm厚に仕上げ、昇温時の300℃〜500℃のPH2O/PH2によりCr酸化層厚みを制御して、750℃で15秒仕上げ焼鈍した。なお、鋼D1Bと鋼K1Bは冷間圧延時に破断した。
以上の工程を経て、無方向性電磁鋼板を得た。
なお、表3中、「総計」は、Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdの合計量を示す。
得られた各無方向性電磁鋼板について、次の測定を実施した。結果を表4に示す。
−{100}面強度、各方位粒の面積率、平均結晶粒径、Cr酸化層の厚さ、引張強度−
既述の方法に従って、{100}面強度、各方位粒の面積率({100}方位粒、{411}方位粒、{111}方位粒)、平均結晶粒径、Cr酸化層の厚さ、引張強度を測定した。
−鉄損、および磁束密度−
得られた無方向性電磁鋼板から、幅55mm、長さ55mmに切り出して測定試料を得た。
そして、測定試料の鉄損W15/50、鉄損W10/400、および磁束密度B50を測定した。各磁気特性は、圧延方向(L方向)と圧延直角方向(C方向)を単板磁気試験器で測定し、その平均値で評価した。
−750℃120分焼鈍後の特性−
得られた無方向性電磁鋼板を打ち抜き、特性評価用の鋼板を得た。そして、特性評価用の鋼板を、温度750℃、120分で焼鈍した。
焼鈍後の特性評価用の鋼板について、既述の方法に従って、{{100}面強度、各方位粒の面積率、平均結晶粒径を測定した。そして、鉄損、および磁束密度を測定した。
上記結果からわかるように、鋼A1B、鋼B1B、鋼C1B、鋼E1B、鋼F1B、鋼H1B、鋼L1B、鋼M1B、鋼N1B、鋼O1B、鋼Y1Bは{100}面強度2.4以上であり、磁束密度B50は高かったが、焼鈍後の平均結晶粒径が50μm未満で、粗大粒と微細粒とが混在する組織となり、鉄損W15/50、W10/400が劣化した。さらに、鋼C1B、鋼E1B、鋼H1Bは式3のRが64未満であり、特にW10/400が劣化した。
鋼G1B、鋼I1Bは、{100}面強度2.4以上であったが、それぞれMn、Crが上限を超えており、B50が低下した。
鋼J1Bは結晶粒径が55μm以上であったが、{100}面強度が2.4未満であり、磁束密度B50が劣化した。
鋼Z1Bは結晶粒径が55μm以上、{100}面強度2.4以上であったが、Cr酸化層厚さがほぼ0μmであり、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50が劣化した。鋼WW1Bは結晶粒径が55μm以上、{100}面強度2.4以上であったが、Cr酸化層厚さが1μmであり、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50が劣化した。
それに対して、鋼P1B〜X1B、鋼XX1B、ZZ1Bは、750℃120分焼鈍後において、鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が共に良化した。また、750℃120分焼鈍前においては、高い引張強度を有しつつも、良好な鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が得られた。
ただし、鋼XX1B、ZZ1Bは、{411}方位粒面積率が70%未満、{111}方位粒面積率が25%超えであったため、鋼P1B〜X1Bに比べ、鉄損W15/50、W10/400が高く、磁束密度B50が低かった。
鋼S1A1〜S1A5は、仕上焼鈍の昇温時の300℃〜500℃のPH2O/PH2を変化させた結果、結晶粒径が55μm以上、{100}面強度2.4以上であったが、Cr酸化層厚みが0〜0.6μmとなり、規定範囲外の鋼S1A1、鋼S1A5では鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50が劣化した。
なお、鋼ZZ1Bは仕上げ焼鈍後の組織が100%未再結晶組織(平均結晶粒径0μmと記載)であり、引張強度はロータ用無方向性電磁鋼板として好適な範囲を満たした。750℃120分焼鈍後の平均結晶粒径は85μmであり、{100}面強度5であり、鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が共に良化した。
鋼PP1Bは仕上げ焼鈍後の{100}面強度2.4以上であったが、結晶粒径が75μmであったため、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50は良好であったが、引張強度が劣化した。750℃120分焼鈍後において、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50は良好であった。
鋼PPP1Bは仕上げ焼鈍後の{100}面強度2.4以上であったが、結晶粒径が35μmであったため、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50は良好であったが、引張強度が劣化した。750℃120分焼鈍後において、鉄損W15/50、W10/400がともに良化した。
(実施例1C:板厚0.25mm)
表5に示す化学組成の鋼を溶製し、熱間圧延で2.1mm厚の熱延板を作製した。熱延板は1,050℃で30分焼鈍後、酸洗で表面スケールを除去した。その後、冷間圧延で0.25mm厚に仕上げ、昇温時の300℃〜500℃のPH2O/PH2によりCr酸化層厚みを制御して、750℃で15秒仕上げ焼鈍した。なお、鋼D1Cと鋼K1Cは冷間圧延時に破断した。
以上の工程を経て、無方向性電磁鋼板を得た。
なお、表5中、「総計」は、Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdの合計量を示す。
得られた各無方向性電磁鋼板について、次の測定を実施した。結果を表6に示す。
−{100}面強度、各方位粒の面積率、平均結晶粒径、Cr酸化層の厚さ、引張強度−
既述の方法に従って、{100}面強度、各方位粒の面積率({100}方位粒、{411}方位粒、{111}方位粒)、平均結晶粒径、Cr酸化層の厚さ、引張強度を測定した。
−鉄損、および磁束密度−
得られた無方向性電磁鋼板から、幅55mm、長さ55mmに切り出して測定試料を得た。
そして、測定試料の鉄損W15/50、鉄損W10/400、および磁束密度B50を測定した。各磁気特性は、圧延方向(L方向)と圧延直角方向(C方向)を単板磁気試験器で測定し、その平均値で評価した。
−750℃120分焼鈍後の特性−
得られた無方向性電磁鋼板を打ち抜き、特性評価用の鋼板を得た。そして、特性評価用の鋼板を、温度750℃、120分で焼鈍した。
焼鈍後の特性評価用の鋼板について、既述の方法に従って、{{100}面強度、各方位粒の面積率、平均結晶粒径を測定した。そして、鉄損、および磁束密度を測定した。
上記結果からわかるように、鋼A1C、鋼B1C、鋼C1C、鋼E1C、鋼F1C、鋼H1C、鋼L1C、鋼M1C、鋼N1C、鋼O1C、鋼Y1Cは{100}面強度2.4以上であり、磁束密度B50は高かったが、焼鈍後の平均結晶粒径が50μm未満で、粗大粒と微細粒とが混在する組織となり、鉄損W15/50、W10/400が劣化した。さらに、鋼C1C、鋼E1C、鋼H1Cは式3のRが64未満であり、特にW10/400が劣化した。
鋼G1C、鋼I1Cは、{100}面強度2.4以上であったが、それぞれMn、Crが上限を超えており、B50が低下した。
鋼J1Cは結晶粒径が55μm以上であったが、{100}面強度が2.4未満であり、磁束密度B50が劣化した。
鋼Z1Cは結晶粒径が55μm以上、{100}面強度2.4以上であったが、Cr酸化層厚さがほぼ0μmであり、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50が劣化した。鋼WW1Cは結晶粒径が55μm以上、{100}面強度2.4以上であったが、Cr酸化層厚さが1μmであり、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50が劣化した。
それに対して、鋼P1C〜X1C、鋼XX1C、ZZ1Cは、鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が共に良化した。また、750℃120分焼鈍前においては、高い引張強度を有しつつも、良好な鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が得られた。
ただし、鋼XX1C、ZZ1Cは、{411}方位粒面積率が70%未満、{111}方位粒面積率が25%超えであったため、鋼P1C〜X1Cに比べ、鉄損W15/50、W10/400が高く、磁束密度B50が低かった。
鋼T1A1〜T1A5は、仕上焼鈍の昇温時の300℃〜500℃のPH2O/PH2を変化させた結果、結晶粒径が55μm以上、{100}面強度2.4以上であったが、Cr酸化層厚みが0〜0.6μmとなり、規定範囲外の鋼T1A1、鋼T1A5では鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50が劣化した。
なお、鋼ZZ1Cは仕上げ焼鈍後の組織が100%未再結晶組織(平均結晶粒径0μmと記載)であり、引張強度はロータ用無方向性電磁鋼板として好適な範囲を満たした。750℃120分焼鈍後の平均結晶粒径は85μmであり、{100}面強度5.1であり、鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が共に良化した。
鋼PP1Cは仕上げ焼鈍後の{100}面強度2.4以上であったが、結晶粒径が80μmであったため、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50は良好であったが、引張強度が劣化した。750℃120分焼鈍後において、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50は良好であった。
鋼PPP1Cは仕上げ焼鈍後の{100}面強度2.4以上であったが、結晶粒径が35μmであったため、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50は良好であったが、引張強度が劣化した。750℃120分焼鈍後において、鉄損W15/50、W10/400がともに良化した。
(実施例2)
表7に示す化学成分の溶鋼を水冷した1対のロール間で急速に冷却して1mm厚の鋳片を作製した。鋳片は酸洗で表面スケールを除去した後、冷間圧延で0.20mm厚に仕上げ、昇温時の300℃〜500℃のPH2O/PH2によりCr酸化層厚みを制御して、750℃で15秒仕上げ焼鈍した。なお、鋼D2と鋼K2は冷間圧延時に破断した。
以上の工程を経て、無方向性電磁鋼板を得た。そして、実施例1と同様に、得られた無方向性電磁鋼板に対して、各種測定を実施した。その結果を表8に示す。
なお、表7中、「総計」は、Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdの合計量を示す。
上記結果からわかるように、所定の範囲の成分で、{100}面強度≧2.4、{100}方位粒面積率≧18%、とすることで、高い引張強度を有しつつも、良好な鉄損W15/50、W10/400および磁束密度B50が得られた。
鋼A2、鋼B2、鋼C2、鋼E2、鋼F2、鋼H2、鋼M2、鋼N2、鋼O2、およびY2は、{100}面強度2.4以上であり、磁束密度B50は高かったが、750℃120分焼鈍後の平均結晶粒径が50μm未満で、粗大粒と微細粒とが混在する組織となり、鉄損W15/50、W10/400が劣化した。さらに、鋼C2、鋼E2、鋼H2は式3のRが64未満であり、特にW10/400が劣化した。
鋼G2、鋼I2は、{100}面強度2.4以上であったが、それぞれMn、Crが上限を超えており、磁束密度B50が低下した。
鋼Z2は結晶粒径が50μm、{100}面強度2.4以上であったが、Cr酸化層厚さが1μmであり、鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50が劣化した。
それに対して、鋼P2〜X2、鋼ZZ2、鋼WW2は、750℃120分焼鈍後において、鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が共に良化した。また、750℃120分焼鈍前においては、高い引張強度を有しつつも、良好な鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が得られた。
ただし、鋼ZZ2、鋼WW2は、{111}方位粒面積率が25%超えであったため、鋼P1A〜X1Aに比べ、鉄損W15/50、W10/400が高く、磁束密度B50が低かった。
鋼S21〜S25は、仕上焼鈍の昇温時の300℃〜500℃のPH2O/PH2を変化させた結果、結晶粒径が55μm以上、{100}面強度2.4以上であったが、Cr酸化層厚みが0〜0.6μmとなり、規定範囲外の鋼S21、鋼S25では鉄損W15/50、W10/400、磁束密度B50が劣化した。
なお、鋼WW2は仕上げ焼鈍後の組織が100%未再結晶組織(平均結晶粒径0μmと記載)であり、引張強度はロータ用無方向性電磁鋼板として好適な範囲を満たした。750℃120分焼鈍後の平均結晶粒径は80μmであり、{100}面強度5.4であり、鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が共に良化した。
(実施例3)
表9に示す化学組成の鋼Aを溶製し、熱間圧延で2.1mm厚の熱延板と1.25mm厚の熱延板を作製した。
2.1mm厚の熱延板を、条件1)1,050℃で30分、条件2)1,050℃で5分焼鈍した後、又は条件3)1.25mm厚の熱延板を1,050℃で30分焼鈍した後、条件4)1.8mm厚の熱延板を1.050℃で30分焼鈍した後、又は条件5)1.8mm厚の熱延板を1,050℃で30分焼鈍した後、酸洗で表面スケールを除去した。
その後、冷間圧延で0.25mm厚に仕上げ、昇温時の300℃〜500℃のPH2O/PH2を10−3以下に制御して、750℃で15秒仕上げ焼鈍した。
以上の工程を経て、無方向性電磁鋼板を製造した。なお、条件1)、条件2)、条件3)、条件4)、条件5)で熱延板の焼鈍を施した無方向性電磁鋼板Noを、各々、C−1、C−2、C−3、C−4、C−5とした。
そして、実施例1と同様に、得られた無方向性電磁鋼板に対して、各種測定を実施した。その結果を表10に示す。C−5については、得られた無方向性電磁鋼板を打ち抜いて得た特性評価用の鋼板を、温度750℃、60分で焼鈍した。
なお、表5中、「総計」は、Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdの合計量を示す。
上記結果からわかるように、鋼C−2、鋼C−3は{100}面強度が2.4未満となり、磁束密度B50が劣化した。
それに対して、鋼C−1、鋼C−4、鋼C−5は、750℃120分焼鈍前において、高い引張強度を有しつつも、鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が共に良化した。そして、鋼C−5は、750℃120分焼鈍後、良好な鉄損W15/50、W10/400、および磁束密度B50が得られた。

Claims (5)

  1. 質量%で
    C:0%超〜0.0030%、
    Si:2.00%〜4.50%、
    sol.Al:0.15%〜2.50%、
    Mn:0.20%〜1.50%、
    Cr:0.30%〜5.00%
    P:0.005%〜0.200%、
    S:0.0010%〜0.0100%、
    Ti:0.0005%〜0.0100%、
    Ca:0.0005%〜0.0100%、
    Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上:総計0.0005%〜0.0200%、並びに、
    残部:Fe及び不純物を含む化学組成を有し
    インバースポールフィギュアの{100}面強度が2.4以上であり、
    電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{100}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率が18%以上であり、
    平均結晶粒径が55μm〜200μmであり、
    板厚が0.10mm〜0.30mmであり、
    鋼板の表面に厚さが0.01μm以上0.5μm以下のCr酸化物を含む層を有し、
    前記Siの含有量(質量%)を[Si]、前記Alの含有量(質量%)を[Al]、前記Crの含有量(質量%)を[Cr]、無方向性電磁鋼板の板厚(mm)をtとしたときに以下の式1及び式2を満たす無方向性電磁鋼板。
    10.00%≦2[Si]+2[Al]+[Cr]<15.00% (式1)
    (2[Al]+[Cr])/2[Si]−10t≦0.35 (式2)
  2. 前記Siの含有量(質量%)を[Si]、前記Alの含有量(質量%)を[Al]、前記Mnの含有量(質量%)を[Mn]、前記Crの含有量(質量%)を[Cr]としたときに下記式3で表されるRが64.00以上である請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
    R=9.9+12.4×[Si]+10.0×[Al]+6.6×[Mn]+5.0×[Cr] (式3)
  3. 電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{411}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率が70%以上である請求項1又は請求項2に記載の無方向性電磁鋼板。
  4. 電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{111}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率が25%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
  5. 750℃で120分焼鈍により、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板が得られる無方向性電磁鋼板であって、
    質量%で
    C:0%超〜0.0030%、
    Si:2.00%〜4.50%、
    sol.Al:0.15%〜2.5%、
    Mn:0.20%〜1.50%、
    Cr:0.30%〜5.00%
    P:0.005%〜0.200%、
    S:0.0010%〜0.0100%、
    Ti:0.0005%〜0.0100%、
    Ca:0.0005%〜0.0100%、
    Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上:総計0.0005%〜0.0200%、並びに、
    残部:Fe及び不純物を含む化学組成を有し、
    750℃で120分焼鈍した後、
    インバースポールフィギュアの{100}面強度が2.4以上であり、
    電子線後方散乱回折(EBSD)で測定した際の{100}方位(裕度20°以内)の結晶方位を有する結晶粒の全視野に対する面積率が18%以上であり、
    平均結晶粒径が20μm以下であり、
    板厚が0.10mm〜0.30mmであり、
    鋼板の表面に厚さが0.01μm以上0.5μm以下のCr酸化物を含む層を有し、 前記Siの含有量(質量%)を[Si]、前記Alの含有量(質量%)を[Al]、前記Crの含有量(質量%)を[Cr]、無方向性電磁鋼板の板厚(mm)tとしたときに前記の式1及び式2を満たす無方向性電磁鋼板。
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