JP2020137438A - 培養容器の製造方法、及び培養容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数の凹部が形成された培養面にコーティング剤として細胞低接着性ポリマーが塗工された培養容器を製造するにあたり、使用するコーティング剤の量を低減することを可能とする。【解決手段】 培養基材の表面に予めコーティング剤として細胞低接着性ポリマーを塗工し、その後、培養基材に加工を行い、コーティング剤が塗工された培養基材の表面を培養面とする培養容器を形成する。【選択図】 なし

Description

本発明は、細胞培養技術に関し、特に細胞低接着処理を施した培養容器の製造方法に関する。
近年、iPS細胞やES細胞などの幹細胞を培養する場合に、細胞を培養容器に接着させて培養する方法だけではなく、培養容器内で細胞同士を接着、凝集させることによってスフェア(スフェロイド,凝集塊)やオルガノイドを形成させ、細胞をより生体内に近い三次元的な状態で培養する方法が用いられている。
スフェアを形成させる細胞培養においては、培養部に複数のウェル(凹部)を備えた培養容器を使用して、その凹部でスフェアを形成させることにより、細胞を培養することが行われている。
このようなスフェアを形成させるための培養容器には、その培養部の表面(以下、培養面と称する)に細胞が接着しないように、培養面に対して細胞低接着処理を行うことが必要である。
細胞低接着性処理としては、一般的に、培養面へのコーティング剤の塗工が行われており、そのコーティング剤として細胞低接着性ポリマーが使用されている。
ここで、96ウェルプレートなどの比較的大きなウェルを備えた培養容器に細胞低接着性ポリマーを塗工する場合、一つ一つのウェルに対してポリマーを塗工する作業は非常に手間がかかるものであり、大きな問題であった。
また、ウェルに対してポリマーを均一に塗工する手法として、ウェル内全体をポリマー溶液に浸漬した後に直ぐ溶液を排出するという、ディップコートに類似した方法がある。しかしながら、このような方法によるポリマーの塗工では、培養面に塗布されるポリマー量よりも多くのポリマー溶液が必要となるため、コストが高くなってしまうという問題があった。
また、培養部に非常に小さい複数凹部が微細加工された培養容器に対して細胞低接着性ポリマーを塗工する場合は、凹部に気泡が入り込み、これを除去することが難しく、培養面を均一に塗工することが非常に難しいという問題があった。例えば、培養面に数十μm〜1mm程度の開口を有する凹部が形成されている場合、凹部への気泡の噛み込みが一度生じてしまうと、それを除去することは、ほぼ不可能であった。
特開平8−131153号公報 特開2013−106531号公報
ウェルを備えた培養容器にコーティング剤を塗工する方法として、特許文献1に記載の細胞培養容器とその製造方法を挙げることができる。この方法では、ウェルを備えたプレートにコーティング剤を注入して直ちに吸引排出した後、プレートを裏返し、空気を吹き付けて乾燥させることによって塗工が行われている。
しかしながら、この方法は、手間がかかり、多くのポリマー溶液が必要になるためコストが高くなってしまうという問題を解消することはできない。また、この方法では、非常に小さい凹部が微細加工された培養容器に対してコーティング剤を均一に塗工することは、困難であった。
また、コーティング剤が塗工された培養容器を製造する方法として、特許文献2に記載の細胞培養容器の製造方法を挙げることができる。この方法は、予めコーティング剤を塗工した基材を、インサート射出成形によって培養容器内に組み込むものである。
しかしながら、この方法は、複数の凹部を備えた培養面にコーティング剤を塗工する方法に関するものではないため、複数の凹部を備えた培養面にコーティング剤を均一に塗工する場合における上記の問題を解消可能なものではなかった。
そこで、本発明者らは鋭意研究して、培養基材の表面に予めコーティング剤として細胞低接着性ポリマーを塗工し、その後、培養基材に加工を行い、培養容器を形成することによって、塗工に使用するコーティング剤の濃度と量を低減させることに成功した。また、コーティング剤が均一に塗工された非常に小さい複数の凹部を有する培養面を備えた培養容器を得ることに成功して、本発明を完成させた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の凹部が形成された培養面にコーティング剤として細胞低接着性ポリマーが塗工された培養容器を製造するにあたり、使用するコーティング剤の量を低減することが可能な培養容器の製造方法、及び培養容器の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の培養容器の製造方法は、培養基材の表面に予めコーティング剤として細胞低接着性ポリマーを塗工し、その後、前記培養基材に加工を行い、前記コーティング剤が塗工された前記培養基材の表面を培養面とする培養容器を形成する方法としてある。
また、本発明の培養容器の製造方法を、前記培養基材がフィルム又はシートであり、前記培養容器が袋状である方法とすることも好ましく、前記加工において、凹凸加工により前記培養基材の表面に複数の凹部を形成し、当該表面を前記培養容器の培養面とすることも好ましい。
さらに、本発明の培養容器の製造方法を、前記加工において、前記培養基材を袋状に形成した後、前記凹凸加工をブロー成形、真空成形、及び圧空成形の少なくともいずれかにより行うことも好ましく、前記加工において、前記凹凸加工を加熱転写により行い、次いで、前記培養基材を袋状に形成することも好ましい。
また、本発明の培養容器は、少なくとも一つのポートを備えた培養容器であって、フィルム又はシートからなる培養基材の表面への細胞低接着性ポリマーの塗工後に、複数の凹部が形成された前記表面を培養面として袋状に形成され、前記ポート内及び当該培養容器内における前記培養面の対面に細胞低接着性ポリマーが付着していない構成としてある。
本発明によれば、複数の凹部が形成された培養面にコーティング剤として細胞低接着性ポリマーが塗工された培養容器を製造するにあたり、使用するコーティング剤の量を低減することが可能な培養容器の製造方法、及び培養容器の提供が可能となる。
従来の培養容器の製造方法により、様々な量のポリマー溶液を用いて得られた培養容器について、凹部に対する細胞の張り付きを確認した試験の結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る培養容器の製造方法により、真空圧空成形で凹部が形成された培養容器を用いた場合のスフェア形成の結果を示す図である。 本発明の実施形態に係る培養容器の製造方法において、加熱転写で凹凸加工を行うための微細凸部を有するシリコン型の顕微鏡写真(700倍)、及びこれを用いて得られた微細凹部を有する培養面の顕微鏡写真(600倍)を示す図である。 本発明の実施形態に係る培養容器の製造方法により、加熱転写で凹部が形成された培養容器を用いた場合のスフェア形成の結果を示す図である。
以下、本発明の培養容器の製造方法、及び培養容器の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態及び実施例の具体的な内容に限定されるものではない。
本実施形態の培養容器の製造方法は、培養基材の表面に予めコーティング剤として細胞低接着性ポリマーを塗工し、その後、培養基材に加工を行い、コーティング剤が塗工された培養基材の表面を培養面とする培養容器を形成することを特徴とする。
培養基材の表面への細胞低接着性ポリマーの塗工は、例えば、バーコーターやグラビアコーターを用いて好適に行うことができる。
培養基材としては、フィルム又はシートを用いることが好ましい。
培養基材の材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。その他用いることができる材料として、ポリメチルペンテン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル、ポリアミド、アイオノマー、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂、塩化ポリエチレンなどが挙げられる。また、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーも用いることができる。また、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの熱硬化性エラストマーや、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミドなどの熱硬化性樹脂も用いることができる。
培養基材の表面に塗工する細胞低接着性ポリマーとしては、リン脂質ポリマー、ポリビニルアルコール誘導体、リン脂質・高分子複合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、アガロース、キトサン、ポリエチレングリコール、アルブミン等を用いることができる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
また、培養基材の表面に細胞低接着性ポリマーを均等に塗工し、当該表面に凹凸加工を行うために、培養基材の初期表面は、平滑であることが好ましい。
形成される培養容器としては、軟包材からなる袋状の培養容器(培養バッグ)であることが好ましい。
培養バッグは、下面フィルム(底部側フィルム)と上面フィルム(天板側フィルム)の周辺部をヒートシールなどにより貼り合わせることによって形成することができる。
培養バッグにおいて、細胞低接着性ポリマーが塗工された培養基材の表面は、培養面として形成される。これにより、この培養バッグを用いてスフェアを形成させたり、シングルセル(単一細胞)での培養を行なう場合に、スフェアやシングルセルが培養面に接着することを防止することができる。
培養バッグには、少なくとも一つのポートが設けられる。このポートにチューブが接続されて、チューブに配設されたポンプなどの送液手段により、ポートを介して、培養バッグへの培地の注入及び培養バッグからの培地の排出などの培地の送液が行われる。
ポートの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン系エラストマー、FEPなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。
本実施形態の培養容器の製造方法では、まず培養基材の表面に細胞低接着性ポリマーが塗工され、次いで、培養基材に加工が行われる。
培養基材の加工として、凹凸加工により、培養基材の表面(底部側フィルムの上面)に複数の凹部を形成することが好ましい。この場合、凹部が形成された当該表面が、培養容器における培養面として用いられる。
また、培養基材の加工において、培養基材を袋状に形成した後、凹凸加工をブロー成形、真空成形、及び圧空成形の少なくともいずれかにより行うことが好ましい。また、凹凸加工として、真空圧空成形を行うことが特に好ましい。
真空圧空成形としては、例えば、複数の凹部に対応するサイズの開口が形成された型に培養バッグを配置して、真空圧空成形を行う治具に挟み込んで加圧し、培養バッグ内に高圧エアーを吹き込み、型の外側から真空引きを行い、型を加熱することで、培養バッグ内に複数の凹部を成形させることができる。
また、培養基材の加工において、凹凸加工を加熱転写により行い、次いで、培養基材を袋状に形成することも好ましい。
具体的には、ベース材上に緩衝材を配置し、緩衝材の上に培養基材としてのフィルム又はシートを設置する。次に、培養基材上に複数の凹部に対応する凸部が形成された型を配置し、型の上から加熱プレートを用いて培養基材を押圧して、加圧しながら加熱することにより、培養基材に複数の凹部を形成させることができる。
この型としては、シリコン型や、ニッケルなどの金属型などを好適に用いることができる。
またこのとき、加熱転写において用いる型から培養基材を引き剥し易くするために、この型における培養基材に対面する表面に離型剤を塗布した後、凹凸加工を行うことが好ましい。
この離型剤としては、フッ素系離型剤やシリコン系離型剤を好適に用いることができる。
培養基材の加工をこのようにすれば、多数の微細な凹部を培養面に有する培養バッグを製造することができる。例えば、凹部の開口部の円又は内接円の直径が、1μm以上10mm以下である培養バッグを好適に製造することが可能である。
培養バッグの底部側フィルムの培養面に形成される複数の凹部の形状は、例えば円錐や四角錐などの錐状や、半球状やアール状とすることができる。
また、底部側フィルムの培養面に形成される凹部の形状を、側壁の少なくとも一部が略垂直状に形成されたものとすることも好ましい。具体的には、これらの凹部において、側壁の略垂直部分の垂直方向の長さを、培養対象物の最大径の半分より長くすることが好ましい。また、凹部における側壁が略垂直である領域の形状を、例えば、円柱状、四角柱状等とすることが好ましい。
培養バッグにおける凹部をこのような形状にすることで、ポートから培養バッグ内に培地を送液する場合に、その流速を1ml/分以上にしても、凹部からスフェアなどの培養対象物が飛び出して、他の凹部へ移動することを防止することが可能である。
培養対象物がスフェアである場合、凹部の深さとしては、50〜500μmとすることが好ましい。凹部の深さを500μmより大きくすると、培養バッグに培地を送液しても、凹部内の培地を十分に置換することが困難になる場合があるためであり、500μmより深い凹部を備えた培養バッグは、加工難易度が高くなるためである。また、スフェアの大きさは、小さいもので、50μm〜100μm程度であり、大きいものでは、200μm〜300μm程度であるためである。
凹部内の底部の形状は、特に限定されないが、培養対象物がスフェアの場合には、シングルセルを凝集し易くしてスフェアの形成を好適に行えるようにするため、錐体状、半球状、又はアール状とすることが好ましい。
培養対象物がシングルセルである場合、凹部の深さとしては、5〜50μmとすることが好ましい。シングルセルの大きさは、6μm〜15μm程度であり、10μm程度のものが多いためである。
凹部の開口部の形状は、特に限定されず、円形、又は正方形などの矩形状とすることができる。また、凹部の開口部の幅は、培養対象物のサイズに合わせて、適宜設定することができる。
例えば、培養対象物をスフェアとする場合、凹部の開口部の円又は内接円の直径の下限を、60μm以上,70μm以上,80μm以上,90μm以上,100μm以上,110μm以上,120μm以上,150μm以上等としてもよい。また、凹部の開口部の円又は内接円の直径の上限を、1mm以下,900μm以下,800μm以下,700μm以下,500μm以下等としてもよい。
また、培養対象物をシングルセルとする場合、凹部の開口部の円又は内接円の直径の下限を、5μm以上,6μm以上,8μm以上等としてもよい。また、凹部の開口部の円又は内接円の直径の上限を、50μm以下,40μm以下,30μm以下等としてもよい。
さらに、培養部における複数の凹部の配置は、例えば千鳥状や格子状等とすることができる。
また、培養基材の加工において、培養容器の培養面のみに細胞低接着性ポリマーを塗工することが好ましい。培養面の周辺部などに細胞低接着性ポリマーを塗工すると、この周辺部をヒートシールすることができず、製袋が困難になるためである。
そこで、培養基材に枠材(マスキング材)を配置した後、培養基材に細胞低接着性ポリマーを塗工して、培養基材において細胞低接着性ポリマーが塗工されていないヒートシール可能な領域を設けることが好ましい。
また、培養基材の加工において、培養容器の底部側フィルムの培養面の周辺部を含めて細胞低接着性ポリマーを塗工した後、周辺部に塗工された細胞低接着性ポリマーに対して、エキシマ処理や紫外線照射を行うようにすることも好ましい。これにより、周辺部をヒートシール可能にすることができる。また、周辺部に塗工された細胞低接着性ポリマーを溶剤を用いて除去することも好ましい。
さらに、バーコーターやグラビアコーターなどを用いて培養容器の培養面のみに部分的に細胞低接着性ポリマーを塗工することも好ましい。
さらに、培養基材の加工において、培養基材の表面に予め親水化処理を行い、その後、当該表面に細胞低接着性ポリマーを塗工することが好ましい。これにより、細胞低接着性ポリマーによる培養基材の表面に対する接着性を向上できるためである。
このような本実施形態の培養容器の製造方法によれば、培養基材の表面に予めバーコーターなどを用いて細胞低接着性ポリマーを塗工した後、真空圧空成形や加熱転写などにより、培養面に複数の凹部が形成された培養容器を得ることができる。
このため、実施例において後述するように、塗工に必要な細胞低接着性ポリマー量を大きく低減することが可能である。
また、特に、非常に小さい凹部が微細加工された培養バッグを製造する場合でも、培養面に細胞低接着性ポリマーが均一に塗工された培養バッグを得ることが可能である。
なお、このような本実施形態の培養容器の製造方法は、コーティング剤として細胞低接着性ポリマー以外のもの、例えば乾燥に強いタンパク質からなるコーティング剤などを用いる場合にも適用することが可能である。
また、本実施形態により製造する培養容器を、天板側フィルムにおいて、培養容器の内側に天板突起部を備え、天板突起部の幅を底部側フィルムに形成された凹部の開口部の幅よりも小さくし、かつ、天板突起部の高さを培養対象物の最小径より小さくして、天板突起部が培養部の上端面の一部に接触した場合に、上端面と天板側フィルムの下面に間隙が形成されるものとすることも好ましい。
本実施形態における培養容器をこのような構成にすれば、天板突起部を上端面の一部に接触させて、培養対象物のサイズよりも小さい間隙を上端面と天板部に形成させた状態にすることができる。これにより、培地などの液状物を間隙から通液可能としつつ、スフェアなどの培養対象物の移動を防止することが可能となる。
本実施形態の培養容器は、少なくとも一つのポートを備えた培養容器であって、フィルム又はシートからなる培養基材の表面への細胞低接着性ポリマーの塗工後に、複数の凹部が形成された上記の表面を培養面として袋状に形成され、ポート内及び当該培養容器内における培養面の対面に細胞低接着性ポリマーが付着していないことを特徴とする。
すなわち、従来の方法ように、袋状に形成された培養容器に細胞低接着性ポリマーを注入して直ちに吸引排出した後、培養容器を裏返して乾燥させる場合、得られる培養容器は、ポート内や培養面の対面(培養容器内における天板側フィルムの下面)に細胞低接着性ポリマーが付着してしまうため、細胞低接着性ポリマーが余分に必要になるという問題があった。
これに対して、本実施形態の培養容器では、培養基材の表面への細胞低接着性ポリマーの塗工後に、凹凸加工により表面に複数の凹部が行われ、その表面を培養面として袋状に形成して得られているため、ポート内及び培養面の対面に細胞低接着性ポリマーが付着していないという特徴がある。
このため、従来の方法における細胞低接着性ポリマーが余分に必要になるという問題を解消することが可能になっている。
また、本実施形態の培養容器において、培養面に塗工された細胞低接着性ポリマーの面密度は、100μg/cm〜1μg/cmとすることが好ましい。
本実施形態の培養容器は、実施例で後述する通り、100μg/cm、50μg/cm、15μg/cm、5μg/cm、3μg/cm、2μg/cmの少ない面密度で細胞低接着性ポリマーを塗工して得ることができるためである。また、培養面に半球状の凹部を形成する凹凸加工を行う場合には、細胞低接着性ポリマーの面密度が1/2になるためである。
以下、本発明の実施形態の培養容器の製造方法、及び培養容器による効果を確認するために行った試験について説明する。
(試験1)
まず、培養バッグにおける培養面に複数の凹部を形成した後、培養面に細胞低接着性ポリマーを塗布する従来法において、必要となる細胞低接着性ポリマーの量を確認するための試験を比較例として実施した。
具体的には、LLDPE(linear low-density polyethylene,直鎖状低密度ポリエチレン)を用いて、長辺が12cmで短辺が7.5cmである長方形のフィルムを複数枚作成した。そして、その半分を底部側フィルムとし、残りの半分を天板側フィルムとした。
次に、底部側フィルムと天板側フィルムを重ねて周辺部をヒートシールにより貼り合わせ、培養バッグを形成した。このとき、培養バッグの一辺にポートを挟み込んで貼り合わせ、1つのポートを備えた培養バッグとした。
次に、開口部の直径が2mmの複数の凹部を形成するための金型を備えた自社製の治具に培養バッグを挟み込んで加圧し、培養バッグ内に高圧エアーを吹き込むと共に、金型の外側から真空引きを行い、下金型を80℃になるまで加熱することにより、培養バッグ内に複数の半球状の凹部を成形させる真空圧空成形を行った。
このようにして、培養面全面に複数の凹部を千鳥状に密に備え、培養部の面積が60cmである培養バッグを3個製造した。
次に、得られた培養バッグに濃度2%のMPCポリマー溶液を細胞低接着性ポリマーとして封入した後、直ちに当該溶液を排出して、培養バッグの上下を反転して静置し、培養バッグを乾燥させた。
このとき、培養バッグに封入するMPCポリマーの溶液量を、1.5mL、2mL、3mLの3種類として、各培養バッグを作成した。
そして、各培養バッグに培地としてStemFit AK02N(品番RCAK02N,味の素株式会社)を封入すると共に、iPS細胞(1231A3株)を播種し、24時間経過後に、凹部の表面への細胞の張り付きの有無を確認した。その結果を図1に示す。
このとき、培養バッグの凹部にMPCポリマーが適切に塗布されている場合、凹部への細胞の張り付きは無く、培養バッグの凹部にMPCポリマーが適切に塗布されていない場合、凹部への細胞の張り付きは有ると考えられる。
図1に示すように、培養バッグに封入するMPCポリマーの溶液量が1.5mLの場合、凹部への細胞の張り付きが存在していた。このとき、MPCポリマーの総量は、30mgであった。
これに対して、培養バッグに封入するMPCポリマーの溶液量が2mLと3mLの場合、凹部への細胞の張り付きは見られなかった。このとき、MPCポリマーの総量は、それぞれ40mgと60mgであった。
すなわち、上記のように複数の凹部を備え、培養部の面積が60cmである培養バッグに細胞低接着性ポリマーを適切に塗布するためには、従来法では、最低限2mLの溶液量が必要であることが分かった。
(試験2)
次に、本実施形態の培養容器の製造方法に従って、真空圧空成形により凹部を形成した培養バッグを製造する場合についての試験を行った。
具体的には、LLDPE(linear low-density polyethylene,直鎖状低密度ポリエチレン)を用いて、長辺が12cmで短辺が7.5cmである長方形のフィルムを複数枚作成した。そして、その半分を底部側フィルムとし、残りの半分を天板側フィルムとした。
そして、底部側フィルムの片面の周辺部を除いた領域に対して、バーコーター(安田精機製作所、ROD.No.3)を用いて細胞低接着性ポリマーとしてMPCポリマーを塗工し、この領域を培養面とした。塗工に用いた溶液量は、0.5mLであり、細胞低接着性ポリマーの塗工した培養面の面積は、60cmである。
この塗工に用いた溶液量0.5mLは、バーコーターを用いて塗工面積60cmに対して塗工する場合に必要な最低限の量であり、これよりも溶液量が少ない場合、塗工面積60cmを塗工することは困難であった。
このとき、MPCポリマーの濃度として、4%、2%、0.5%、0.15%、0.1%、0.067%の5種類を準備し、濃度0.5%のMPCポリマーを塗工した底部側フィルムを4枚、残りの濃度のMPCポリマーを塗工した底部側フィルムをそれぞれ1枚作成して、これらの8枚を実施例として使用した。
濃度4%、2%、0.5%、0.15%、0.1%、0.067%のMPCポリマーが塗工された底部側フィルムの作成に用いられたMPCポリマーの総量は、それぞれ20mg、10mg、2.5mg、0.83mg、0.5mg、0.33mgである。
また、底部側フィルムのうちの1枚には、MPCポリマーを塗工せず、これを比較例として使用した。
また、実施例において使用した底部側フィルムの培養面に塗工されたMPCポリマーの面密度を、フーリエ変換赤外分光光度計(VARIAN社、品番:FTS7000)を用いて測定した。
その結果、濃度4%、2%、0.5%、0.15%、0.1%、0.067%のMPCポリマーが塗工された底部側フィルムにおけるMPCポリマーの面密度は、それぞれ100μg/cm、50μg/cm、15μg/cm、5μg/cm、3μg/cm、2μg/cmであった。
次いで、MPCポリマーを塗工した底部側フィルムの培養面が内側に配置されるように、底部側フィルムに天板側フィルムを重ねて、周辺部をヒートシールにより貼り合わせて培養バッグを形成した。また、このとき培養バッグの一辺にポートを挟んで貼り合わせた。
そして、所定の各種サイズの凹部を形成するための金型を備えた自社製の治具に培養バッグを挟み込んで加圧し、培養バッグ内に高圧エアーを吹き込むと共に、金型の外側から真空引きを行い、下金型を80℃になるまで加熱することにより、培養バッグ内に複数の半球状の凹部を成形させる真空圧空成形を行った。
このようにして、開口部の直径が0.5mmの複数の凹部を培養面全面に千鳥状に密に備えた培養バッグ1個、開口部の直径が2mmの複数の凹部を同様に備えた培養バッグ7個、開口部の直径が4mmの複数の凹部を同様に備えた培養バッグ1個、開口部の直径が7mmの複数の凹部を同様に備えた培養バッグ1個をそれぞれ製造した。
開口部の直径が2mmの複数の凹部を備えた培養バッグは、実施例の5種類の濃度のMPCポリマーを塗工したもの5個と、MPCポリマーを塗工せず、比較例として使用したもの1個である。
開口部の直径が0.5mm、4mm、7mmの複数の凹部を備えた培養バッグは、実施例の0.5%の濃度のMPCポリマーを塗工したものそれぞれ1個ずつである。
このようにして得られた培養バッグのポートにチューブを連結して、チューブを介して培養バッグに培地を送液する構成とした。
そして、iPS細胞(1231A3株)を使用して、これらの培養バッグによりスフェアの形成を行った。
具体的には、播種に用いた細胞数は、およそ3.0×10cellsであった。また、培地としては、StemFit AK02N(品番RCAK02N,味の素株式会社)を使用した。10 mM Y-27632(和光純薬工業株式会社)を含む上記培地を培養バッグに注入し、上記iPS細胞を含む細胞懸濁液を注入して、一晩静置させた。その結果を図2に示す。
図2に示すように、本実施形態の培養容器の製造方法に従って得られた培養バッグによれば、いずれもスフェアを適切に形成することができた。
一方、培養面にMPCポリマーを塗工していない培養バッグでは、スフェアは形成されなかった。
このように、本実施形態の培養容器の製造方法では、塗工に用いた溶液量は0.5mLであり、試験1の比較例において最低限必要であった2mLよりも少ない量で培養面にMPCポリマーを塗工することができた。
また、試験1の比較例では、総ポリマー量として最低限40mg必要であった。これに対して、本実施形態の培養容器の製造方法によれば、試験1の比較例と同じ濃度2%のMPCポリマー溶液の場合、使用した総ポリマー量は10mgであり、比較例の総ポリマー量に比較して25%の量で塗工することができた。
さらに、濃度0.5%のMPCポリマー溶液の場合、使用した総ポリマー量は2.5mgであり、比較例の総ポリマー量に比較して6.25%の量で塗工することができた。また、濃度0.15%のMPCポリマー溶液の場合、使用した総ポリマー量は0.83mgであり、比較例の総ポリマー量に比較して2.075%の量で塗工することができた。また、濃度0.1%のMPCポリマー溶液の場合、使用した総ポリマー量は0.5mgであり、比較例の総ポリマー量に比較して1.25%の量で塗工することができた。また、濃度0.067%のMPCポリマー溶液の場合、使用した総ポリマー量は0.33mgであり、比較例の総ポリマー量に比較して0.825%の量で塗工することができた。
このように、本実施形態の培養容器の製造方法、及び培養容器によれば、使用するポリマー量を大きく低減できることが明らかとなった。
ここで、本実施形態の培養容器の製造方法では、平滑な底部側フィルムにMPCポリマーを塗布した後、培養面に半球状の凹部を形成している。このため、加工後の凹部の表面積は、元の表面積の2倍になっている。すなわち、培養面のMPCポリマーの面密度が、2μg/cmである場合、加工後の培養面のMPCポリマーの面密度は、約1μg/cmであり、これが図2に示す実施例の最低塗工量となっている。
(試験3)
次に、本実施形態の培養容器の製造方法に従って、加熱転写により凹部を形成した培養バッグを製造する場合についての試験を行った。
具体的には、LLDPE(linear low-density polyethylene,直鎖状低密度ポリエチレン)を用いて、長辺が12cmで短辺が7.5cmである長方形のフィルムを複数枚作成した。そして、その半分を底部側フィルムとし、残りの半分を天板側フィルムとした。
そして、底部側フィルムの片面の周辺部を除いた領域に対して、バーコーター(安田精機製作所、ROD.No.3)を用いて細胞低接着性ポリマーとしてMPCポリマーを塗工し、この領域を培養面とした。塗工に用いた溶液量は、0.5mLであり、細胞低接着性ポリマーを塗工した培養面の面積は、60cmである。
このとき、MPCポリマーの濃度を0.5%として、MPCポリマーを塗工した底部側フィルムを1枚作成した。底部側フィルムの作成に用いられたMPCポリマーの総量は、2.5mgである。
また、実施例において使用した底部側フィルムの培養面に塗工されたMPCポリマーの面密度を、フーリエ変換赤外分光光度計(VARIAN社、品番:FTS7000)を用いて測定した。その結果、底部側フィルムにおけるMPCポリマーの面密度は、15μg/cmであった。
次に、この底部側フィルムに加熱転写を行うことによって、凹凸加工を行った。
具体的には、ベース材上に緩衝材を配置し、緩衝材の上に上記の底部側フィルムを設置した。
次いで、底部側フィルム上にシリコン型を配置し、この型の上から加熱プレートを用いて培養基材を押圧して、加圧しながら加熱することにより、底部側フィルムの培養面に凹凸加工を行った。
このとき、シリコン型の加熱温度は120℃とし、加圧は0.4MPaで行った。また、加圧時間は8秒とした。
またこのとき、シリコン型に離型剤を塗布した後に、凹凸加工を行った。離型剤としては、フッ素系離型剤(フロロテクノロジー社製,フロロサーフFG-5084)を使用した。
シリコン型は、図3の左の写真に示すように、四角錐の微細な凸部を格子状に密に備えたものを使用した。シリコン型の開口部の一辺は160μmであり、凸部の高さは150μmである。
また、この型を用いて作成した底部側フィルムの培養面は、図3の右の写真に示すように、四角錐の微細な凹部を培養面全面に格子状に密に備えていた。
次いで、MPCポリマーが塗工され、かつ複数の凹部が形成された底部側フィルムの培養面が内側に配置されるように、底部側フィルムに天板側フィルムを重ねて、周辺部をヒートシールにより貼り合わせて培養バッグを形成した。また、このとき培養バッグの一辺にポートを挟んで貼り合わせた。
このようにして得られた培養バッグのポートにチューブを連結して、チューブを介して培養バッグに培地を送液する構成とした。
そして、iPS細胞(1231A3株)を使用して、この培養バッグによりスフェアの形成を行った。
具体的には、凹部ごとシングルセル(単一細胞)が200個含まれるように細胞の播種を行った。また、培地としては、StemFit AK02N(品番RCAK02N,味の素株式会社)を使用した。10 mM Y-27632(和光純薬工業株式会社)を含む上記培地を培養バッグに注入し、上記iPS細胞を含む細胞懸濁液を注入して、一晩静置させた。その結果を図4に示す。
図4に示すように、凹部ごとに、約80μmのスフェアが適切に形成されていた。
また、試験3では、濃度0.5%のMPCポリマー溶液を使用し、その総ポリマー量は2.5mgである。
すなわち、試験1の比較例における最低量の総ポリマー量である40mgに対して、6.25%のポリマー量で十分に塗工することができており、本試験によっても、使用するポリマー量を大きく低減できることが明らかとなった。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る培養容器の製造方法、及び培養容器によれば、複数の凹部が形成された培養面に細胞低接着性ポリマーが塗工された培養容器を得るにあたり、使用するコーティング剤の量を大きく低減できることが明らかとなった。
本発明は、以上の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、製造する培養バッグの大きさは、実施例のサイズに限定されず、例えば50万個〜100万個のスフェアを形成可能な大きさのものにするなど適宜変更することが可能である。
本発明は、等間隔に配列された均一なサイズのスフェアを効率的に大量に作成する場合などに、好適に利用することが可能である。

Claims (12)

  1. 培養基材の表面に予めコーティング剤として細胞低接着性ポリマーを塗工し、その後、前記培養基材に加工を行い、前記コーティング剤が塗工された前記培養基材の表面を培養面とする培養容器を形成することを特徴とする培養容器の製造方法。
  2. 前記培養基材がフィルム又はシートであり、前記培養容器が袋状であることを特徴とする請求項1記載の培養容器の製造方法。
  3. 前記加工において、凹凸加工により前記培養基材の表面に複数の凹部を形成し、当該表面を前記培養容器の培養面とすることを特徴とする請求項1又は2記載の培養容器の製造方法。
  4. 前記加工において、前記培養基材を袋状に形成した後、前記凹凸加工をブロー成形、真空成形、及び圧空成形の少なくともいずれかにより行うことを特徴とする請求項3記載の培養容器の製造方法。
  5. 前記加工において、前記凹凸加工を加熱転写により行い、次いで、前記培養基材を袋状に形成することを特徴とする請求項3記載の培養容器の製造方法。
  6. 前記加熱転写において用いる型に離型剤を塗布した後、前記凹凸加工を行うことを特徴とする請求項5記載の培養容器の製造方法。
  7. 前記凹部の開口部の円又は内接円の直径が、1μm以上10mm以下であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の培養容器の製造方法。
  8. 前記培養容器の培養面のみに前記コーティング剤を塗工することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の培養容器の製造方法。
  9. 前記培養基材に枠材を配置した後、前記コーティング剤を塗工し、前記培養基材において前記コーティング剤が塗工されていないヒートシール可能な領域を設けることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の培養容器の製造方法。
  10. 前記培養基材の表面に予め親水化処理を行い、その後、当該表面に前記コーティング剤を塗工することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の培養容器の製造方法。
  11. 少なくとも一つのポートを備えた培養容器であって、
    フィルム又はシートからなる培養基材の表面への細胞低接着性ポリマーの塗工後に、複数の凹部が形成された前記表面を培養面として袋状に形成され、前記ポート内及び当該培養容器内における前記培養面の対面に細胞低接着性ポリマーが付着していない
    ことを特徴とする培養容器。
  12. 前記表面に塗工された細胞低接着性ポリマーの面密度が、100μg/cm〜1μg/cmであることを特徴とする請求項11記載の培養容器。
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