JP2020137238A - 変位拡大装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変位拡大装置の生産性を高める。【解決手段】第1のリンク部5を、第1の剛体8と、第1の剛体8を支持部3および可動部4にそれぞれ連結する第1の板ばね7とから構成する。第2のリンク部6を、第1の剛体10と、第1の剛体10を支持部3および可動部4にそれぞれ連結する第2の板ばね9とから構成する。この構成において、第1の剛体8および第2の剛体10は、第1の板ばね7および第2の板ばね9の撓みを抑える役割を果たす。また、第1の板ばね7および第2の板ばね9の支持部3とのつなぎ部J1,J2、可動部4とのつなぎ部J3,J4は、弾性ヒンジの役割を果たす。これにより、フライス加工などの汎用的な加工方法を採用し、簡単に製作することができるようになり、生産性が高まるものとなる。【選択図】 図1

Description

本発明は、変位拡大装置に関し、特に圧電素子および変位拡大機構を備えた変位拡大装置に関する。
従来より、変位拡大装置として、圧電素子および変位拡大機構を備えた変位拡大装置が用いられている。図7および図8に、従来の変位拡大装置の平面図および斜視図を示す(例えば、特許文献1参照。)。この変位拡大装置200は、圧電素子21と、圧電素子21の変位を拡大する変位拡大機構22とを備えている。
変位拡大機構22は、圧電素子21を支持する支持部23と、この支持部23と隙間を置いてほぼ平行に対向して設けられた角柱形状の可動部24と、支持部23と可動部24とを連結する、互いに平行な一対のリンク部(第1のリンク部25および第2のリンク部26)とを有し、これらは一体に形成されている。
第1のリンク部25は、角柱形状に形成され、その両端は、幅狭とされた弾性ヒンジ271,272を介して支持部23および可動部24に連結されている。また、第2のリンク部26は肉厚の薄い柱とされ、板ばねとして作用する。圧電素子21は、支持部23に一体的に設けられた台座部23aの側壁面23a1と、第1のリンク部25の側面に一体的に突出して形成されている受圧面25aとの間に固定されている。
この変位拡大装置200において、圧電素子21が矢印Cの方向へ微小変位すると、その変位によって生じる力が受圧面25aを介して第1のリンク部25に伝達される。すると、圧電素子21からの力を受けた第1のリンク部25が、てこの原理で、弾性ヒンジ271を支点として斜めに傾き、これに追随して第2のリンク部26も斜めに傾き、可動部24が矢印Dの方向に移動する。
すなわち、この変位拡大装置200では、圧電素子21が微小変位すると、支持部23と可動部24と第1のリンク部25と第2のリンク部26とにより形成されたほぼ矩形枠状の変位拡大機構22が平行四辺形の枠状に変位する。これにより、圧電素子21の変位量が変位拡大機構22より拡大され、可動部24の変位量として出力される。
特許第5025949号公報
この変位拡大装置200では、支持部23と可動部24と第1のリンク部25と第2のリンク部26とが一体化されており、この一体化された1つの部品の中に弾性ヒンジ271,272を作り込む必要がある。しかしながら、弾性ヒンジ271,272の幅は狭く、フライス加工などの汎用的な加工方法で作り込むことは難しい。このため、従来においては、ワイヤカット加工のような特殊な加工方法を採用しているが、その加工方法は、加工性が悪く、生産性を悪化させる原因となっていた。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、生産性を高めることができる変位拡大装置を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明に係る変位拡大装置は、圧電素子(1)と、前記圧電素子の変位量を拡大する変位拡大機構(2)とを備え、前記変位拡大機構は、前記圧電素子を支持した支持部(3)と、前記支持部に隙間をおいて対向して設けられた可動部(4)と、前記支持部と前記可動部とを連結する互いに平行な一対のリンク部(5,6)とを備え、前記圧電素子は、前記支持部と前記可動部との対向方向に対して直交する方向を当該圧電素子の変位方向として前記支持部に取り付けられ、前記一対のリンク部の一方(5)は、前記圧電素子の変位によって生じる力を受ける受圧面(8a1)を有する第1の剛体(8)と、前記第1の剛体を前記支持部および前記可動部にそれぞれ連結する第1の板ばねと(9)から構成されていることを特徴とする。
この発明において、圧電素子が微小変位すると、その変位によって生じる力が第1の剛体の受圧面を介して一対のリンク部の一方(第1のリンク部)へ伝達される。すると、圧電素子からの力を受けた第1のリンク部が、てこの原理で、第1の板ばねの支持部とのつなぎ部を支点として斜めに傾き、これに追随して一対のリンク部の他方(第2のリンク部)が斜めに傾き、支持部と可動部との対向方向に直交する方向に可動部が移動する。
この発明において、第1の剛体は、第1の板ばねの撓みを抑える役割を果たす。また、第1の板ばねの支持部とのつなぎ部、可動部とのつなぎ部は、弾性ヒンジの役割を果たす。これにより、本発明では、1つの部品の中に幅の狭い弾性ヒンジを作り込む必要がなく、フライス加工などの汎用的な加工方法を採用することができるようになる。
本発明において、第1の板ばねは、1枚の板ばね(70)からなるものとしたり、2枚の板ばね(71,72)からなるものとしたりしてもよい。1枚の板ばねとする場合、その1枚の板ばねを支持部と可動部との間に架け渡して、支持部にその板ばねの一端を固定し、可動部にその板ばねの他端を固定するようにする。2枚の板ばねとする場合、支持部に1枚目の板ばねの一端を固定し、第1の剛体に1枚目の板ばねの他端を固定するようにする。また、可動部に2枚目の板ばねの一端を固定し、第1の剛体に2枚目の板ばねの他端を固定するようにする。
また、本発明において、一対のリンク部の他方(6)を、支持部と可動部との間に位置する第2の剛体(10)と、第2の剛体を支持部および可動部にそれぞれ連結する第2の板ばね(9)とから構成するようにしてもよい。
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって示している。
以上説明したように、本発明によれば、一対のリンク部の一方を、圧電素子の変位によって生じる力を受ける受圧面を有する第1の剛体と、第1の剛体を支持部および可動部にそれぞれ連結する第1の板ばねとから構成するようにしたので、1つの部品の中に幅の狭い弾性ヒンジを作り込む必要がなく、フライス加工などの汎用的な加工方法を採用し、簡単に製作することができるようになり、生産性が高まるものとなる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る変位拡大装置の要部を示す平面図である。 図2は、実施の形態1の変位拡大装置の側面図である。 図3は、実施の形態1の変位拡大装置において圧電素子を微小変位させた状態を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態2に係る変位拡大装置の要部を示す平面図である。 図5は、本発明の実施の形態1に係る変位拡大装置の変形例を示す平面図である。 図6は、本発明の実施の形態2に係る変位拡大装置の変形例を示す平面図である。 図7は、従来の変位拡大装置の平面図である。 図8は、従来の変位拡大装置の斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1は本発明の実施の形態1に係る変位拡大装置100の要部を示す平面図であり、図2は側面図である。この変位拡大装置100は、圧電素子1と、圧電素子1の変位を拡大する変位拡大機構2とを備えている。
この変位拡大装置100において、圧電素子1としては、PZT(PbZrO3−PbTiO3)に代表される圧電材料を多層に積層した積層型の圧電素子を用いている。
また、変位拡大機構2は、圧電素子1を支持する支持部3と、この支持部3と隙間を置いてほぼ平行に対向して設けられた角柱形状の可動部4と、支持部3と可動部4との対向方向に対して直交する方向に、支持部3と可動部4との間の隙間を挾んで対向して設けられた、支持部3と可動部4とを連結する、互いに平行な一対のリンク部(第1のリンク部5および第2のリンク部6)とを有している。
第1のリンク部5は、角柱形状の第1の剛体8と、この第1の剛体8を支持部3および可動部4にそれぞれ連結する第1の板ばね7とから構成されている。第2のリンク部6は、角柱形状の第2の剛体10と、この第2の剛体10を支持部3および可動部4にそれぞれ連結する第2の板ばね9とから構成されている。
第1のリンク部5において、第1の板ばね7は、支持部3と可動部4との間に架け渡された1枚の板ばねとされており(以下、この1枚の板ばねを符号70で示す。)、この板ばね70の一端が支持部3にネジ11によって固定され、板ばね70の他端が可動部4にネジ12によって固定されている。第1の剛体8は、支持部3と可動部4との間の隙間に位置し、板ばね70の支持部3と可動部4との間の部分に、ネジ13,14によって固定されている。
第2のリンク部6において、第2の板ばね9は、支持部3と可動部4との間に架け渡された1枚の板ばねとされており(以下、この1枚の板ばねを符号90で示す。)、板ばね90の一端が支持部3にネジ15によって固定され、板ばね90の他端が可動部4にネジ16によって固定されている。第2の剛体10は、支持部3と可動部4との間の隙間に位置し、板ばね90の支持部3と可動部4との間の部分に、ネジ17,18によって固定されている。
支持部3は、可動部4側に突出した台座部3aを備えており、この台座部3aの側壁面3a1と第1の剛体8の受圧面8a1との間に圧電素子1が固定されている。第1の剛体8には、圧電素子1側に突出した凸部8aが形成されており、この凸部8aの先端面が圧電素子1に接する受圧面8a1とされている。また、第1の剛体8において、凸部8aは、第1の剛体8につながる根元の部分8a2の幅が狭くされている。
この変位拡大装置100において、支持部3、可動部4、第1の剛体8および第2の剛体10は炭素鋼とされ、板ばね70および板ばね90はSS材(一般構造用圧延鋼材)とされている。なお、板ばね70および板ばね90をばね鋼としたり、ステンレス鋼としたり、もしくはセラミックやCFRP(炭素繊維強化樹脂)としてもよく、支持部3、可動部4、第1の剛体8および第2の剛体10も金属製に相応する高剛性材料であればよく、炭素鋼に限られるものではない。また、第1の剛体8および第2の剛体10の長さを変えることによって、板ばね70および板ばね90に対する剛性を調整するようにしてもよい。
この変位拡大装置100において、圧電素子1が矢印Aの方向へ微小変位すると、その変位によって生じる力が第1の剛体8の受圧面8a1を介して第1のリンク部5へ伝達される。すると、圧電素子1からの力を受けた第1のリンク部5が、てこの原理で、板ばね70の支持部3とのつなぎ部J1を支点として斜めに傾き(図3参照)、これに追随して第2のリンク部6が斜めに傾き、可動部4が矢印Bの方向に移動する。
すなわち、この変位拡大装置100では、圧電素子1が微小変位すると、支持部3と可動部4と第1のリンク部5と第2のリンク部6とにより形成されたほぼ矩形枠状の変位拡大機構2が、平行四辺形の枠状に変位する。これにより、圧電素子1の変位量が変位拡大機構2より拡大され、可動部4の変位量として出力される。本実施の形態において、可動部4の変位量は34μm程度とされ、変位拡大率は2.2倍とされている。
この変位拡大装置100において、第1の剛体8および第2の剛体10は、板ばね70および板ばね90の撓みを抑える役割を果たす。また、板ばね70および板ばね90の支持部3とのつなぎ部J1,J2、可動部4とのつなぎ部J3,J4は、弾性ヒンジの役割を果たす。これにより、この変位拡大装置100では、1つの部品の中に幅の狭い弾性ヒンジを作り込む必要がなく、フライス加工などの汎用的な加工方法を採用し、簡単に製作することができるようになり、生産性が高まるものとなる。
なお、この変位拡大装置100では、圧電素子1からの力を効率よく第1のリンク部5へ伝達させることができるように、第1の剛体8の凸部8aの根元の部分8a2の幅を狭くしている。また、フライス加工でも作成することができるように、根元の部分8a2の削り幅を広くしている。
また、この例では、凸部8aの根元の部分8a2の幅を狭くしているが、必ずしも狭くしなくてもよい。すなわち、凸部8aの全てを受圧面8a1の幅と同じとしてもよい。但し、凸部8aの全てを受圧面8a1の幅と同じとすると、圧電素子1からの力を受ける際に曲げモーメントが発生するために、第1のリンク部5へ伝達される力は小さくなる。
〔実施の形態2〕
図4に、本発明の実施の形態2に係る変位拡大装置101の要部の平面図を示す。この変位拡大装置101では、第1の板ばね7を、2枚の板ばね71と72とで構成し、板ばね71の一端を支持部3に固定し、板ばね71の他端を第1の剛体8に固定している。また、板ばね72の一端を可動部4に固定し、板ばね72の他端を第1の剛体8に固定している。この構成において、板ばね71が本発明でいう第1の支持部側板ばねに相当し、板ばね72が第1の可動部側板ばねに相当する。
また、第2の板ばね部9を、2枚の板ばね91と92とで構成し、板ばね91の一端を支持部3に固定し、板ばね91の他端を第2の剛体10に固定している。また、板ばね92の一端を可動部4に固定し、板ばね92の他端を第2の剛体10に固定している。この構成において、板ばね91が本発明でいう第2の支持部側板ばねに相当し、板ばね92が第2の可動部側板ばねに相当する。
この変位拡大装置101において、第1の剛体8および第2の剛体10は、板ばね71,72および板ばね91,92の撓みを抑える役割を果たす。また、板ばね71,72および板ばね91,92の支持部3とのつなぎ部J1,J2、可動部4とのつなぎ部J3,J4は、弾性ヒンジの役割を果たす。これにより、この実施の形態2の変位拡大装置101でも、実施の形態1の変位拡大装置100と同様、1つの部品の中に幅の狭い弾性ヒンジを作り込む必要がなく、フライス加工などの汎用的な加工方法を採用し、簡単に製作することができるようになり、生産性が高まるものとなる。
なお、図1に示した変位拡大装置100では、第2のリンク部6を第2の板ばね9と第2の剛体10とから構成するようにしたが、図5に変位拡大装置100’として示すように、従来の変位拡大装置200(図7)における第2のリンク部26と同様に、第2のリンク部6を支持部3と可動部4と一体に形成された肉厚の薄い柱とし、板ばねとして作用させるようにしてもよい。図4に示した変位拡大装置101でも、図6に変位拡大装置101’として示すように、同様の構造を採用することができる。
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
1…圧電素子、2…変位拡大機構、3…支持部、3a…台座部、3a1…側壁面、4…可動部、5…第1のリンク部、6…第2のリンク部、7…第1の板ばね、70,71〜74…板ばね、8…第1の剛体、8a…凸部、8a1…受圧面、8a2…根元の部分、9…第2の板ばね、90,91〜94…板ばね、10…第2の剛体、100,100’,101,101’…変位拡大装置。

Claims (9)

  1. 圧電素子と、
    前記圧電素子の変位量を拡大する変位拡大機構とを備え、
    前記変位拡大機構は、
    前記圧電素子を支持した支持部と、
    前記支持部に隙間をおいて対向して設けられた可動部と、
    前記支持部と前記可動部とを連結する互いに平行な一対のリンク部とを備え、
    前記圧電素子は、
    前記支持部と前記可動部との対向方向に対して直交する方向を当該圧電素子の変位方向として前記支持部に取り付けられ、
    前記一対のリンク部の一方は、
    前記圧電素子の変位によって生じる力を受ける受圧面を有する第1の剛体と、
    前記第1の剛体を前記支持部および前記可動部にそれぞれ連結する第1の板ばねとから構成されている
    ことを特徴とする変位拡大装置。
  2. 請求項1に記載された変位拡大装置において、
    前記第1の板ばねは、
    前記支持部と前記可動部との間に架け渡されて、前記支持部にその一端が固定され、前記可動部にその他端が固定された、1枚の板ばねからなり、
    前記第1の剛体は、
    前記第1の板ばねの前記支持部と前記可動部との間の部分に固定されている
    ことを特徴とする変位拡大装置。
  3. 請求項1に記載された変位拡大装置において、
    前記第1の板ばねは、
    前記支持部と前記第1の剛体とを連結する第1の支持部側板ばねと、前記可動部と前記第1の剛体とを連結する第1の可動部側板ばねとからなる
    ことを特徴とする変位拡大装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載された変位拡大装置において、
    前記一対のリンク部の他方は、
    前記支持部と前記可動部との間に位置する第2の剛体と、
    前記第2の剛体を前記支持部および前記可動部にそれぞれ連結する第2の板ばねとから構成されている
    ことを特徴とする変位拡大装置。
  5. 請求項4に記載された変位拡大装置において、
    前記第2の板ばねは、
    前記支持部と前記可動部との間に架け渡されて、前記支持部にその一端が固定され、前記可動部にその他端が固定された、1枚の板ばねからなり、
    前記第2の剛体は、
    前記第2の板ばねの前記支持部と前記可動部との間の部分に固定されている
    ことを特徴とする変位拡大装置。
  6. 請求項4に記載された変位拡大装置において、
    前記第2の板ばねは、
    前記支持部と前記第2の剛体とを連結する第2の支持部側板ばねと、前記可動部と前記第2の剛体とを連結する第2の可動部側板ばねとからなる
    ことを特徴とする変位拡大装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載された変位拡大装置において、
    前記支持部は、
    前記可動部側に突出した台座部を備え、
    前記圧電素子は、
    前記台座部の側壁面と前記第1の剛体の受圧面との間に固定されている
    ことを特徴とする変位拡大装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載された変位拡大装置において、
    前記第1の剛体は、
    前記圧電素子側に突出した凸部を備え、
    前記第1の剛体の凸部は、
    その先端面が前記受圧面として前記圧電素子に接している
    ことを特徴とする変位拡大装置。
  9. 請求項8に記載された変位拡大装置において、
    前記第1の剛体の凸部は、
    前記第1の剛体につながる根元の部分の幅が狭くされている
    ことを特徴とする変位拡大装置。
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