JP2020132179A - スパウト付きパウチの内容物充填方法及びスパウト付きパウチ用内容物充填装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スパウトの開口が栓により閉塞されたスパウト付きパウチを用いた場合であっても、内容物の充填前に十分に滅菌することができ、充填された内容物の長期保存を可能とした内容物充填方法及び内容物充填装置を提供する。【解決手段】スパウト付きパウチ100に内容物を充填するにあたり、スパウト120の開口が栓130により閉塞された内容物充填前のスパウト付きパウチ100を準備し、無菌チャンバー10内にてスパウト付きパウチ100の外面を全体的に殺菌した後、無菌チャンバー10内にてスパウト付きパウチ100の栓130を含む部分を部分的に滅菌し、無菌チャンバー10内にて栓130をスパウト120から取り外して内容物を充填し、内容物充填後に無菌チャンバー10内にて栓130をスパウト120に取り付けるようにした。【選択図】図1
Description
本発明は、栓によりスパウトの開口が閉塞されたスパウト付きパウチの内容物充填方法及びスパウト付きパウチ用内容物充填装置に関する。
スパウトの開口が栓により閉塞された内容物充填前のスパウト付きパウチを無菌チャンバーに供給し、無菌チャンバー内で栓を取り外して内容物を充填した後、栓により再びスパウトの開口を閉塞する内容物の充填方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の充填方法では、無菌チャンバーに供給されたスパウト付きパウチは、過酸化水素の噴霧及び紫外線の照射により殺菌された後、内容物が充填される。特許文献1によれば、この方法により、簡便にスパウト付きパウチに食品等の内容物を無菌充填でき、改ざん防止機能を有する複雑な構造のキャップを用いたとしても、装置の小型化が図れ、メンテナンスが容易であるとしている。
しかしながら、特許文献1に記載の充填方法では、スパウト付きパウチが過酸化水素の噴霧及び紫外線の照射により殺菌されているものの、栓及びスパウトの開口まわりを十分に滅菌することができておらず、充填された内容物の長期保存ができないという問題点がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、スパウトの開口が栓により閉塞されたスパウト付きパウチを用いた場合であっても、内容物の充填前に十分に滅菌することができ、充填された内容物の長期保存を可能としたスパウト付きパウチの内容物充填方法及びスパウト付きパウチ用内容物充填装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、スパウトの開口が栓により閉塞された内容物充填前のスパウト付きパウチを準備する準備工程と、前記準備工程の後に、前記スパウト付きパウチを無菌チャンバー内に搬入する搬入工程と、前記搬入工程の後に、前記無菌チャンバー内にて、前記スパウト付きパウチの外面を全体的に所定の殺菌レベルまで殺菌する殺菌工程と、前記殺菌工程の後に、前記無菌チャンバー内にて、前記スパウト付きパウチの前記栓を含む部分を部分的に、前記所定の殺菌レベルより高い所定の滅菌レベルまで滅菌する滅菌工程と、前記滅菌工程の後に、前記無菌チャンバー内にて、前記栓を前記スパウトから取り外す開封工程と、前記開封工程の後に、前記無菌チャンバー内にて、前記スパウトの前記開口を通じて前記スパウト付きパウチ内に内容物を充填する充填工程と、前記充填工程の後に、前記無菌チャンバー内にて、前記栓を前記スパウトに取り付ける密封工程と、前記密封工程の後に、前記スパウト付きパウチを無菌チャンバーから搬出する搬出工程と、を含むスパウト付きパウチの内容物充填方法が提供される。
上記スパウト付きパウチの内容物充填方法において、前記殺菌工程において、過酸化水素の噴霧及び紫外線の照射により、前記スパウト付きパウチの外面を殺菌し、前記滅菌工程において、電子線の照射により、前記スパウト付きパウチの前記栓を含む部分を滅菌してもよい。
上記スパウト付きパウチの内容物充填方法において、前記滅菌工程において、電子線の照射は、前記無菌チャンバー内にて放射線を遮蔽した状態で行われてもよい。
また、上記目的を達成するため、本発明では、スパウトの開口が栓により閉塞されたスパウト付きパウチを搬入する搬入口と、前記スパウト付きパウチを搬出する搬出口と、を有する無菌チャンバーと、前記搬入口から前記搬出口まで前記スパウト付きパウチを搬送する搬送部と、前記無菌チャンバー内における前記搬入口の下流側に配置され、前記スパウト付きパウチの外面を全体的に所定の殺菌レベルまで殺菌する殺菌部と、前記無菌チャンバー内における前記殺菌部の下流側に配置され、前記スパウト付きパウチの前記栓を含む部分を部分的に、記所定の殺菌レベルより高い所定の滅菌レベルまで滅菌する滅菌部と、前記無菌チャンバー内における前記滅菌部の下流側に配置され、前記栓を前記スパウトから取り外す開封部と、前記無菌チャンバー内における前記開封部の下流側に配置され、前記スパウトの前記開口を通じて前記スパウト付きパウチ内に内容物を充填する充填部と、前記無菌チャンバー内における前記充填部の下流側に配置され、前記栓を前記スパウトに取り付ける密封部と、を備えたスパウト付きパウチ用内容物充填装置。が提供される。
上記スパウト付きパウチ用内容物充填装置において、前記殺菌部は、過酸化水素を噴霧する噴霧部と、紫外線を照射する紫外線照射部と、を有し、前記滅菌部は、電子線を照射する電子線照射部を有してもよい。
上記スパウト付きパウチ用内容物充填装置において、前記無菌チャンバーは、前記電子線照射部及び前記スパウト付きパウチの電子線が照射される部分を覆い放射線を遮蔽する遮蔽部を有してもよい。
本発明によれば、スパウトの開口が栓により閉塞されたスパウト付きパウチを用いた場合であっても、内容物の充填前に十分に滅菌することができ、充填された内容物の長期保存が可能となる。
図1から図6は本発明の一実施形態を示し、図1はスパウト付きパウチ用内容物充填装置の概略説明図、図2はスパウト付きパウチが集積されている状態を示すホルダーの斜視図、図3はキャップ装着前のスパウトの斜視図、図4はキャップ装着前のスパウトの断面図、図5はキャップ装着後のスパウトの断面図、図6は使用時にキャップが取り外された状態を示すスパウトの断面図である。
図1に示すように、このスパウト付きパウチ用内容物充填装置1は、スパウト120(図2参照)の開口120a(図4参照)が栓130(図2参照)により閉塞されたスパウト付きパウチ100を搬入する搬入口10a及びスパウト付きパウチ100を搬出する搬出口10bを有する無菌チャンバー10と、搬入口10aから搬出口10bまでスパウト付きパウチ100を搬送する搬送コンベア20と、を備えている。搬送部としての搬送コンベア20は、搬入口10aの上流側で、複数のスパウト付きパウチ100を整列した状態で集積するホルダー200に接続され、スパウト付きパウチ100がホルダー200から連続的に供給される。また、搬送コンベア20は、搬出口10bの下流側のキャッピング部80まで、スパウト付きパウチ100を搬送する。
図1に示すように、内容物充填装置1は、それぞれ無菌チャンバー10内に配置された、搬入口10aの下流側の殺菌部30、殺菌部30の下流側の滅菌部40、滅菌部40の下流側の開封部50、開封部50の下流側の充填部60及び充填部60の下流側の密封部70を備えている。本実施形態においては、無菌チャンバー10は、殺菌部30が配置される殺菌室11と、滅菌部40が配置される滅菌室12と、開封部50、充填部60及び密封部70が配置される充填室13と、に仕切られている。殺菌室11は、さらに、第1隔壁30a及び第2隔壁30bにより、過酸化水素噴霧空間11aと、紫外線照射空間11bと、乾燥空間11cと、に仕切られる。第1隔壁30a及び第2隔壁30bには、搬送コンベア20で搬送されるスパウト付きパウチ100が通過可能な通過孔30c,30dが形成される。また、殺菌室11と滅菌室12の間及び滅菌室12と充填室13の間には、搬送コンベア20で搬送されるスパウト付きパウチ100が通過可能な上流側連通穴10c及び下流側連通穴10dがそれぞれ形成されている。無菌チャンバー10は、HEPAフィルター付き空気清浄機等を通過した空気で全体として陽圧に維持される。また、内容物充填装置1は、無菌チャンバー10外の搬出口10bの下流側に配置されたキャッピング部80を有する。
ここで、本実施形態の内容物充填装置1で使用されるスパウト付パウチ100について説明する。図2に示すように、スパウト付パウチ100は、袋状のパウチ110と、パウチ110に取り付けられるスパウト120と、スパウト120の開口120a(図3参照)を閉塞する栓130と、スパウト120と螺合するキャップ140(図5参照)と、を有する。尚、図2中のスパウト付パウチ100は、キャップ140が装着される前の状態である。本実施形態においては、パウチ110は、正面視にて略四角形状に形成され、内容物充填前は前後方向に薄く、内容物充填後は前後方向に膨張する。
パウチ110は、可撓性を有する樹脂からなり、本実施形態においては、スパウト120との接着性を考慮してオレフィン系樹脂フィルムが用いられる。パウチ110は、積層フィルムとすることができ、例えば、印刷適性を重視した基材層、ガス透過性を重視したバリア層、強靭性を重視した機能層、接着性を重視した熱融着層等を必要に応じて適宜組み合わせることができる。パウチ110の容量は、任意であり、例えば、20mL〜3000mLの範囲で自由に設定することができる。
スパウト120は、パウチ110の内外を連通する管状に形成され、本実施形態においては、パウチ110の上部に取り付けられる。スパウト120は、プラスチックの樹脂からなり、本実施形態においては、ポリオレフィンが用いられる。図3に示すように、スパウト120は、円筒状に形成された本体121と、本体121の下側に連続的に形成されたパウチ接続部122と、本体121の外周面に形成されたねじ山123と、本体121の外周面におけるねじ山123の下方に形成された第1フランジ部124と、本体121の外周面における第1フランジ部124の下方に形成された第2フランジ部125と、を有する。
本体121は、内容物の種類、容量等に応じて、厚さ寸法及び径寸法を任意に変更される。例えば、本体121の厚さ寸法を0.5mm以上5.0mm以下とし、内径寸法を5.0mm以上30mm以下とすることができる。本実施形態においては、本体121の上端がスパウト120の開口120aをなす。
パウチ接続部122は、平面視にて、本体121から前後方向及び左右方向へ突出する。パウチ接続部122は、前後方向及び左右方向に対称に形成され、平面視にて、本体121から左右方向へ比較的大きく突出する。本実施形態においては、パウチ接続部122は、本体121から左右方向外側へ向かって、前後方向寸法が徐々に小さくなるよう形成される。パウチ110は、熱融着により、パウチ接続部122に密着して固定される。
図4に示すように、ねじ山123は、後述するキャップ140のねじ山143と螺合する。本実施形態においては、ねじ山123は、周方向に断続的に形成されている。
第1フランジ部124は、平面視にて、本体121から前後方向及び左右方向へ突出する。第1フランジ部124は、前後方向及び左右方向に対称に形成され、平面視にて、本体121から左右方向へ比較的大きく突出する。本実施形態においては、第1フランジ部124は、平面視にて、角部を落とした長方形状に形成される。
第2フランジ部125は、本体121の下端に形成される。第2フランジ部125は、平面視にて、本体121から前後方向及び左右方向へ突出する。第2フランジ部125は、前後方向及び左右方向に対称に形成され、平面視にて、本体121から左右方向へ比較的大きく突出する。本実施形態においては、第2フランジ部125は、平面視にて、第1フランジ部124と同形状に形成される。
栓130は、プラスチックの樹脂からなり、本実施形態においては、ポリオレフィンが用いられる。図3に示すように、栓130は、円板状の底部131と、底部131の周縁から上方へ延びる側壁部132と、側壁部132の上端から径方向外側へ延びる外縁部133と、底部131の上面から上方へ突出する突出部134と、を有する。
図4に示すように、栓130は、側壁部132がスパウト120の本体121の内周面と密着するとともに、外縁部133の下面が本体121の上端と接触している。栓130の側壁部132の外径は、スパウト120の本体121の内径よりも大きく形成され、栓130はスパウト120に圧入されている。栓130の寸法は任意であるが、例えば、側壁部132の外径寸法を、スパウト120の本体121の内径寸法に対して、0.05mm以上0.5mm以下の範囲で大きくすることができ、側壁部132の上下寸法を、1.5mm以上10mm以下とすることができる。また、例えば、側壁部132の厚さを本体121よりも薄くする等により栓130の強度をスパウト120より低くし、栓130がスパウト120に圧入された際に、栓130側の変形量をスパウト120よりも大きくすることができる。
突出部134は、底部131の上面の中心に形成される。本実施形態においては、突出部134は、底部131から上方へ延びる円柱状の円柱部134aと、円柱部134aの外周面に形成された第3フランジ部134bを有する。本実施形態においては、第3フランジ部134bの外形は平面視円形を呈する。
図5に示すように、キャップ140は、プラスチックの樹脂からなり、本実施形態においては、ポリオレフィンが用いられる。キャップ140は、円筒状の被覆部141と、円板状の蓋部142と、被覆部141の内周面に形成され本体121のねじ山123と螺合するねじ山143と、被覆部141の周縁から下方へ延び栓130の外縁部133が嵌め込まれる円筒状の嵌合部144と、嵌合部144の下端と被覆部141の上端を接続する接続部145と、を有する。嵌合部144の内径及び外形は、蓋部142の内径及び外形よりも小さく形成され、接続部145は下方へ向かって拡がるよう形成される。
キャップ140は、被覆部141がスパウト120の本体121と螺合するとともに、蓋部142の下面が栓130の外縁部133及び突出部134の上端と接触している。キャップ140の嵌合部144の内径は、栓130の外縁部133の外形よりも小さく形成され、キャップ140がスパウト120と螺合した際に、キャップ140の嵌合部144と栓130の外縁部133が嵌合する。キャップ142の寸法は任意であるが、例えば、厚さ寸法を0.5mm以上5.0mm以下とすることができる。また、例えば、嵌合部144の内径寸法を、栓130の外縁部133の外径寸法に対して、0.05mm以上0.5mm以下の範囲で小さくすることができる。さらに、例えば、嵌合部144の厚さを側壁部132よりも厚くする等によりキャップ140の強度をスパウト120より高くし、キャップ140が栓130と嵌合した際に、栓130側の変形量をキャップ140側よりも大きくすることができる。
以上のように構成されたスパウト付きパウチ100の内部は、予め放射線照射により滅菌され、本実施形態においては、γ線により滅菌されている。図2に示すように、内部が滅菌された複数のスパウト付きパウチ100は、キャップ140が未装着の状態で、所定方向へ延びる溝210が形成された搭載面220を有するホルダー200に整列された状態で集積される。ホルダー200では、各スパウト付きパウチ100は前後方向(厚さ方向)に並べられて集積され、本実施形態においては1個のホルダー200に10個のパウト付きパウチ100が集積される。溝210は各スパウト付きパウチ100の本体121を受容し、搭載面220に各スパウト付きパウチ100の第1フランジ部124が載置される。ホルダー200の各スパウト付きパウチ100は、内部が滅菌されているものの、外側は菌により汚染された状態となっている。従って、内容物を充填する前に、各スパウト付きパウチ100の外側を滅菌する必要がある。
図1に示すように、HEPAフィルター付き空気清浄機等を通過した空気で陽圧に維持された殺菌室11において、殺菌部30により、スパウト付きパウチ100の外面が全体的に所定の殺菌レベルまで殺菌される。殺菌レベルは、内容物、保存期間等に応じて適宜変更することができるが、例えば、3D(99.9%)とすることができる。殺菌部30は、過酸化水素噴霧空間11aに配置された噴霧部31と、紫外線照射空間11bに配置された紫外線照射部32と、を有し、殺菌室11で過酸化水素及び紫外線を用いた殺菌が行われる。具体的に、噴霧部31は、各パウチ100を所定時間の間、所定量の気相過酸化水素に当て、露出した外部に0.1〜3.0%の過酸化水素の薄層を形成させる。また、紫外線照射部32は、過酸化水素の薄層が形成された各パウチ100に対し、所定時間の間、紫外線を照射する。また、殺菌室11の乾燥空間11cには乾燥した加熱空気を吐出するドライヤー33が配置され、紫外線照射後の各スパウト付きパウチ100に付着した過酸化水素は完全に除去される。
滅菌室12において、滅菌部40により、スパウト付きパウチ100の栓130を含む部分が部分的に、殺菌部30による殺菌レベルより高い所定の滅菌レベルまで滅菌される。滅菌レベルは、内容物、保存期間等に応じて適宜変更することができるが、例えば、6D(99.9999%)とすることができる。滅菌部40は、電子線を照射する電子線照射部41を有し、滅菌室12で電子線を用いた滅菌が行われる。電子線照射源は、加速電圧が300KeV以下の低エネルギー電子線が用いられ、例えば加速電圧を100KeV〜200KeV、あるいは80KeV〜100KeVとすることができる。低エネルギー電子線は、大気中での散乱が大きいため、スパウト120の本体121の外周面のねじ山123や、栓130の突起部134により形成される凹部にも電子線が回り込み殺菌が可能となる。電子線照射部41としては、例えば、非走査型でカーテン状の電子線を照射し照射幅に対応した窓箔が用いられる真空管式の電子線照射装置、或いは、PETボトルの滅菌に用いられるスポット型の電子線照射装置を使用することができる。
滅菌室12の上側の壁部12aには、電子線の粒子が周りの金属等の構造物と反応して放出されるX線等の放射線を遮蔽する鉛、ステンレス等の遮蔽材料が用いられる。また、滅菌室12には、搬送コンベア20の下側に隣接して、放射線を遮蔽する材料からなる遮蔽壁12bが設けられている。すなわち、スパウト付きパウチ100におけるスパウト120の上部及び栓130が遮蔽壁12bの上側に位置している。さらに、滅菌室12における殺菌室11側の上流側連通穴10cには遮蔽壁12bから上側を塞ぐ上流側シャッター15が、充填室13側の下流側連通穴10dには遮蔽壁12bから上側を塞ぐ下流側シャッター16がそれぞれ設けられている。各シャッター15,16は、スパウト120の上部及び栓130が通過する際に開閉する。各シャッター15,16もまた、放射線を遮蔽する材料で構成される。これにより、電子線照射に伴って2次的に発生するX線等の放射線が滅菌室12の外部へ放射されることのない自己遮蔽構造となっている。滅菌室12には、電子線と空気が反応して発生するオゾンガスを排気する排気装置が併設される。
HEPAフィルター付き空気清浄機等を通過した空気で陽圧に維持された充填室13において、開封部50により栓130がスパウト120から取り外され、充填部60によりスパウト120の開口120aを通じてスパウト付きパウチ100に内容物が充填され、密封部70により栓130がスパウト120の開口120aに取り付けられる。開封部50は、突起134の第3フランジ部134bを利用して、栓130を本体121から引き抜く。充填部60は、滅菌処理が施された内容物をパウチ100に充填する。密封部70は、本体121に栓130を嵌め込む。
キャッピング部80は、無菌チャンバー10外に配置されたキャップ巻締機81を有し、キャップ140を本体121に螺合する。キャップ140は、品質上清潔にされたものであればよく、滅菌されたものでなくてよい。
以上のように構成されたスパウト付きパウチ用内容物充填装置1を用いた充填方法について説明する。
まず、スパウト120の開口120aが栓130により閉塞された内容物充填前のスパウト付きパウチ100を準備する(準備工程)。本実施形態においては、複数のスパウト付きパウチ100が、キャップ140未装着の状態で、ホルダー200に集積される。
まず、スパウト120の開口120aが栓130により閉塞された内容物充填前のスパウト付きパウチ100を準備する(準備工程)。本実施形態においては、複数のスパウト付きパウチ100が、キャップ140未装着の状態で、ホルダー200に集積される。
次いで、スパウト付きパウチ100を無菌チャンバー10内に搬入する(搬入工程)。本実施形態においては、ホルダー200が搬送コンベア20に接続され、スパウト付きパウチ100が無菌チャンバー10内に連続的に供給される。各スパウト付きパウチ100は、搬送コンベア20により第1フランジ部124が支持され、下部が吊り下げられた状態となる。また、本実施形態においては、図1に示すように、前後方向(厚さ方向)が搬送方向となるよう搬送コンベア20に供給された各スパウト付きパウチ100は、無菌チャンバー10の手前で左右方向(幅方向)が搬送方向となるよう向きを変えられ、等間隔に整列された状態で無菌チャンバー10へ進入する。
無菌チャンバー10へ進入した各スパウト付きパウチ100は、まず、殺菌室11で外面が全体的に所定の殺菌レベルまで殺菌される(殺菌工程)。このとき、各スパウト付きパウチ100は、左右方向が搬送方向となるよう向きを変えられているので、外面への過酸化水素の噴霧及び紫外線の照射を的確に行うことができる。殺菌室11にて各スパウト付きパウチ100に付着した過酸化水素が除去された後、滅菌室12へ進入する。
滅菌室12へ進入した各スパウト付きパウチ100は、栓130を含む部分を部分的に所定の滅菌レベルまで滅菌される(滅菌工程)。このとき、電子線照射部41及び各スパウト付きパウチ100の上部は、滅菌室12の上側の壁部12a、遮蔽壁12b、上流側シャッター15及び下流側シャッター16により包囲されているので、電子線照射時に2次的に発生する放射線が外部に漏れることはない。本実施形態においては、滅菌室12の上側の壁部12a、遮蔽壁12b、上流側シャッター15及び下流側シャッター16が、電子線照射部41及びスパウト付きパウチ100の電子線が照射される部分を覆い放射線を遮蔽する遮蔽部をなす。尚、上流側シャッター15及び下流側シャッター16に代えて、各スパウト付きパウチ100の上部が通過可能な穴が設けられた仕切り壁を設けてもよい。この後、各スパウト付きパウチ100は、充填室13へ進入する。
充填室13へ進入した各スパウト付きパウチ100は、栓130がスパウト120から取り外され(開封工程)、スパウト120の開口120aを通じて内容物が充填された後(充填工程)、栓130が再びスパウト120に取り付けられる(密封工程)。充填される内容物は任意であるが、例えば、液状、ゼリー状等の、食品、飲料、内服薬、医薬部外品等である。本実施形態においては、充填部60の所定部分にはCIP装置が接続されており、稼働開始時、レシピ生産切替時等に、洗剤及び水を用いて洗浄される。
本実施形態においては、栓130の取り外しは、所定の開封位置にて、所定の把持具を用いて突起134を把持して行われる。このとき、突起134の第3フランジ部134bの下側を把持することにより、把持具を第3フランジ部134bに引っ掛けて、栓130を簡単容易に本体120から引き抜くことができる。また、本実施形態においては、栓130を把持した把持具を、開封位置から所定の密封位置まで移動させて、本体120への栓130の嵌め込みを行う。栓130の嵌め込みは、底部131または第3フランジ部134bを下方向へ押圧して行われる。
内容物が充填され、栓130がスパウト120に取り付けられたスパウト付きパウチ100は、無菌チャンバー10から搬出される(搬出工程)。無菌チャンバー10から搬出されたスパウト付きパウチ100は、スパウト120にキャップ140が取り付けられる(キャッピング工程)。本実施形態においては、キャップソーター及び振動フィーダーにより搬送されたキャップ140を、巻締機81を用いてスパウト120に螺合させる。キャップ140は滅菌されている必要はなく、改ざん防止機能を有する複雑な構造のキャップ140を滅菌処理を行うことなく使用することができる。図5に示すように、キャップ140がスパウト120に装着されると、キャップ140が栓130と嵌合する。図6に示すように、キャップ140が上方向へ移動すると、キャップ140とともに栓130も上方向へ移動するので、使用に際して使用者は栓130の取り外し作業を行う必要はない。
以上詳述したように、本実施形態の内容物充填装置1によれば、スパウト120の開口120aが栓130により閉塞されたスパウト付きパウチ100を用いた場合であっても、内容物の充填前に十分に滅菌することができ、内容物の長期保存が可能となる。
尚、前記実施形態においては、滅菌部40を殺菌部30と開封部50の間にのみ配置したものを示したが、殺菌部30と開封部50の間以外にも滅菌部を配置してもよい。例えば図7に示すように、密封部70とキャッピング部80の間に追加的に第2の滅菌部340を配置すると、開封工程、充填工程及び密封工程において内容物の飛沫等によりスパウト120及び栓130が万が一汚損されたとしても、スパウト120及び栓130を滅菌することができる。図7の内容物充填装置301の無菌チャンバー310は、殺菌部30が配置される殺菌室11と、滅菌部40が配置される第1の滅菌室12と、開封部50、充填部60及び密封部70が配置される充填室13と、第2の滅菌部340が配置される第2の滅菌室312と、に仕切られている。第2の滅菌部340は、電子線を照射する電子線照射部341を有する。第2の滅菌室312は、第1の滅菌室12と同様に、上側の壁部312aには放射線を遮蔽する遮蔽材料が用いられ、搬送コンベア20の下側に隣接して放射線を遮蔽する材料からなる遮蔽壁312bが設けられている。滅菌室312における充填室13側の上流側連通穴310cには遮蔽壁312bから上側を塞ぐ上流側シャッター315が、キャッピング部80側の下流側連通穴310dには遮蔽壁312bから上側を塞ぐ下流側シャッター316がそれぞれ設けられている。図7の内容物充填装置301では、下流側連通穴310dがスパウト付きパウチ100の搬出口をなしている。各シャッター315,316は放射線を遮蔽する材料で構成され、スパウト120の上部及び栓130が通過する際に開閉する。これにより、第2の滅菌室312も第1の滅菌室12と同様に、放射線が外部へ放射されることのない自己遮蔽構造となっている。第2の滅菌室312にも、オゾンガスを排気する排気装置が併設される。
また、前記実施形態においては、滅菌工程において、スパウト付きパウチ100の上側が滅菌されるものを示したが、スパウト付きパウチ100の全体が滅菌されるよう構成してもよい。また、殺菌工程で過酸化水素噴霧及び紫外線照射による殺菌を行い、滅菌工程で電子線照射による滅菌を行うものを示したが、他の殺菌・滅菌手段を用いてもよいことは勿論である。
また、前記実施形態においては、栓130の突起部134にフランジ部134bを形成したものを示したが、突起部134の形状は任意に変更可能である。また、取り外し用のフランジ部を側壁部132を設けたり、開封工程において栓130の底部を吸引して持ち上げるようにし、底部131に突起部134を設けない構成としてもよい。
また、前記実施形態においては、栓130と嵌合するキャップ140を例示したが、栓130と係わらないキャップとすることも可能である。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 スパウト付きパウチ用内容物充填装置
10 無菌チャンバー
10a 搬入口
10b 搬出口
12a 壁部
12b 遮蔽壁
15 上流側シャッター
16 下流側シャッター
20 搬送コンベア
30 殺菌部
31 噴霧部
32 紫外線照射部
40 滅菌部
41 電子線照射部
50 開封部
60 充填部
70 密封部
100 スパウト付きパウチ
120 スパウト
130 栓
301 スパウト付きパウチ用内容物充填装置
10 無菌チャンバー
10a 搬入口
10b 搬出口
12a 壁部
12b 遮蔽壁
15 上流側シャッター
16 下流側シャッター
20 搬送コンベア
30 殺菌部
31 噴霧部
32 紫外線照射部
40 滅菌部
41 電子線照射部
50 開封部
60 充填部
70 密封部
100 スパウト付きパウチ
120 スパウト
130 栓
301 スパウト付きパウチ用内容物充填装置
Claims (6)
- スパウトの開口が栓により閉塞された内容物充填前のスパウト付きパウチを準備する準備工程と、
前記準備工程の後に、前記スパウト付きパウチを無菌チャンバー内に搬入する搬入工程と、
前記搬入工程の後に、前記無菌チャンバー内にて、前記スパウト付きパウチの外面を全体的に所定の殺菌レベルまで殺菌する殺菌工程と、
前記殺菌工程の後に、前記無菌チャンバー内にて、前記スパウト付きパウチの前記栓を含む部分を部分的に、前記所定の殺菌レベルより高い所定の滅菌レベルまで滅菌する滅菌工程と、
前記滅菌工程の後に、前記無菌チャンバー内にて、前記栓を前記スパウトから取り外す開封工程と、
前記開封工程の後に、前記無菌チャンバー内にて、前記スパウトの前記開口を通じて前記スパウト付きパウチ内に内容物を充填する充填工程と、
前記充填工程の後に、前記無菌チャンバー内にて、前記栓を前記スパウトに取り付ける密封工程と、
前記密封工程の後に、前記スパウト付きパウチを無菌チャンバーから搬出する搬出工程と、を含むスパウト付きパウチの内容物充填方法。 - 前記殺菌工程において、過酸化水素の噴霧及び紫外線の照射により、前記スパウト付きパウチの外面を殺菌し、
前記滅菌工程において、電子線の照射により、前記スパウト付きパウチの前記栓を含む部分を滅菌する請求項1に記載のスパウト付きパウチの内容物充填方法。 - 前記滅菌工程において、電子線の照射は、前記無菌チャンバー内にて放射線を遮蔽した状態で行われる請求項2に記載のスパウト付きパウチの内容物充填方法。
- スパウトの開口が栓により閉塞されたスパウト付きパウチを搬入する搬入口と、前記スパウト付きパウチを搬出する搬出口と、を有する無菌チャンバーと、
前記搬入口から前記搬出口まで前記スパウト付きパウチを搬送する搬送部と、
前記無菌チャンバー内における前記搬入口の下流側に配置され、前記スパウト付きパウチの外面を全体的に所定の殺菌レベルまで殺菌する殺菌部と、
前記無菌チャンバー内における前記殺菌部の下流側に配置され、前記スパウト付きパウチの前記栓を含む部分を部分的に、記所定の殺菌レベルより高い所定の滅菌レベルまで滅菌する滅菌部と、
前記無菌チャンバー内における前記滅菌部の下流側に配置され、前記栓を前記スパウトから取り外す開封部と、
前記無菌チャンバー内における前記開封部の下流側に配置され、前記スパウトの前記開口を通じて前記スパウト付きパウチ内に内容物を充填する充填部と、
前記無菌チャンバー内における前記充填部の下流側に配置され、前記栓を前記スパウトに取り付ける密封部と、を備えたスパウト付きパウチ用内容物充填装置。 - 前記殺菌部は、過酸化水素を噴霧する噴霧部と、紫外線を照射する紫外線照射部と、を有し、
前記滅菌部は、電子線を照射する電子線照射部を有する請求項4に記載のスパウト付きパウチ用内容物充填装置。 - 前記無菌チャンバーは、前記電子線照射部及び前記スパウト付きパウチの電子線が照射される部分を覆い放射線を遮蔽する遮蔽部を有する請求項5に記載のスパウト付きパウチ用内容物充填装置。
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JP2019025632A JP2020132179A (ja) | 2019-02-15 | 2019-02-15 | スパウト付きパウチの内容物充填方法及びスパウト付きパウチ用内容物充填装置 |
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JP2019025632A Pending JP2020132179A (ja) | 2019-02-15 | 2019-02-15 | スパウト付きパウチの内容物充填方法及びスパウト付きパウチ用内容物充填装置 |
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JP (1) | JP2020132179A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024135113A1 (ja) * | 2022-12-23 | 2024-06-27 | ソニーグループ株式会社 | パウチ供給装置、パウチ供給方法及び充填システム |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008030784A (ja) * | 2006-07-27 | 2008-02-14 | Mitsubishi Heavy Industries Food & Packaging Machinery Co Ltd | 殺菌装置 |
JP2016104648A (ja) * | 2015-11-26 | 2016-06-09 | 大日本印刷株式会社 | 飲料充填方法及び装置 |
JP6404612B2 (ja) * | 2014-06-23 | 2018-10-10 | 株式会社細川洋行 | 内容物が無菌充填されたスパウト付きパウチの製造方法及び集積物 |
-
2019
- 2019-02-15 JP JP2019025632A patent/JP2020132179A/ja active Pending
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