JP2020131937A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮機の上限回転数を適切に設定可能な車両用空調装置を提供する。【解決手段】車両用空調装置は、冷凍サイクル装置を循環する冷媒を圧縮する圧縮機と、冷凍サイクル装置の一部を構成し、車室内に提供される空気を冷却する蒸発器とを備えている。車両用空調装置は、車両の速度を測定する車速測定装置と、車速以外の情報である暗騒音情報を取得する暗騒音情報取得部と、圧縮機の制御を行う空調制御部とを備えている。空調制御部は、車速に基づいて圧縮機の上限回転数を算出するとともに、暗騒音情報に基づいて上限回転数を補正する。このため、圧縮機の上限回転数を車速と車速以外の情報との複数の情報に基づいて設定することができる。したがって、圧縮機の上限回転数を適切に設定可能な車両用空調装置を得ることができる。【選択図】図3
Description
この明細書における開示は、車両用空調装置に関する。
特許文献1は、車速検出手段により検知された車速に基づいて電動コンプレッサの回転数上限候補を算出する車両用空調装置を開示している。また、騒音検知手段により検知された騒音の大きさに基づいて電動コンプレッサの回転数上限候補を算出する車両用空調装置を開示している。これにより、乗員に与える電動コンプレッサの騒音による不快感をなくしている。従来技術として挙げられた先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
従来技術の構成では、車速と騒音とのどちらか一方の情報を用いて圧縮機の上限回転数を算出している。言い換えると、圧縮機の上限回転数を車速や騒音などの1つの情報に基づいて算出している。このため、圧縮機の上限回転数を車速と車速以外の情報との複数の情報に基づいて設定することができなかった。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、車両用空調装置にはさらなる改良が求められている。
開示される1つの目的は、圧縮機の上限回転数を適切に設定可能な車両用空調装置を提供することにある。
ここに開示された車両用空調装置は、冷凍サイクル装置(30、230)を循環する冷媒を圧縮する圧縮機(31)と、冷凍サイクル装置の一部を構成し、車室内に提供される空気を冷却する蒸発器(39)と、車両の速度を測定する車速測定装置(80)と、車速以外の情報である暗騒音情報を取得する暗騒音情報取得部(60)と、圧縮機の制御を行う空調制御部(50)とを備え、空調制御部は、車速に基づいて圧縮機の上限回転数を算出するとともに、暗騒音情報に基づいて上限回転数を補正する。
開示された車両用空調装置によると、車速に基づいて圧縮機の上限回転数を算出するとともに、暗騒音情報に基づいて上限回転数を補正する空調制御部を備えている。このため、車速の情報と車速以外の情報である暗騒音情報との複数の情報に基づいて圧縮機の上限回転数を設定することができる。したがって、圧縮機の上限回転数を適切に設定可能な車両用空調装置を提供できる。
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
車両用空調装置1は、車両に搭載される空調装置である。車両は、例えば走行用モータを搭載した電気自動車である。ただし、車両としては、ガソリン駆動のエンジンを搭載した自動車や、エンジンとモータとの両方を搭載したハイブリッド自動車なども採用可能である。車両用空調装置1は、取り込まれた空気の温度や湿度を調整して車室内に吹き出す装置である。言い換えると、車両用空調装置1は、車室内の暖房運転や冷房運転や除湿運転などの空調運転を行う装置である。
車両用空調装置1は、車両に搭載される空調装置である。車両は、例えば走行用モータを搭載した電気自動車である。ただし、車両としては、ガソリン駆動のエンジンを搭載した自動車や、エンジンとモータとの両方を搭載したハイブリッド自動車なども採用可能である。車両用空調装置1は、取り込まれた空気の温度や湿度を調整して車室内に吹き出す装置である。言い換えると、車両用空調装置1は、車室内の暖房運転や冷房運転や除湿運転などの空調運転を行う装置である。
図1において、車両用空調装置1は、空気を送風する送風ユニット10と空気温度を調整する空調ユニット20とを備えている。送風ユニット10は、送風ケース11と送風機15とを備えている。送風ケース11は、内気導入口14aと外気導入口14bとの2つの導入口を備えている。送風ケース11の内部には、内気導入口14aと外気導入口14bとの開閉を切り替える内外気切り替えドア12が設けられている。内外気切り替えドア12は、空調風が室内を循環するモードである内気循環モードを実行可能である。内外気切り替えドア12は、空調風を室外から導入するモードである外気導入モードを実行可能である。
送風機15は、送風ケース11の内部に設けられている。送風機15は、電動モータを用いて回転数を制御可能な電動送風機である。送風機15は、導入口から取り込んだ空気を送風ユニット10から空調ユニット20に向かって送るための装置である。送風機15は、例えば遠心式送風機であってシロッコファンやターボファンを採用可能である。
空調ユニット20は、空調ケース21とヒータ装置32と蒸発器39とを備えている。ヒータ装置32は、空調運転において空気の加熱を行うための装置である。ヒータ装置32は、出力のオンオフ制御だけでなく、出力の大きさを電気的に制御可能な電気ヒータである。ただし、ヒータ装置32を内部に高温のエンジン冷却水が循環するヒータコアで構成してもよい。
蒸発器39は、液相冷媒を気相冷媒に蒸発させるための装置である。蒸発器39は、冷媒を蒸発させる際に、周囲から熱を奪う熱交換器である。言い換えると、蒸発器39は、空調運転において空気の冷却を行うための冷却用熱交換器である。空調ケース21の内部において、蒸発器39は、ヒータ装置32よりも空気の流れの上流に位置して設けられている。
空調ケース21は、デフロスタ開口24aとフェイス開口24bとフット開口24cとの3つの開口を備えている。デフロスタ開口24aは、フロントウィンドウに向かう空調風が流れる開口である。フェイス開口24bは、乗員の顔を含む上半身に向かう空調風が流れる開口である。フット開口24cは、乗員の足もとを含む下半身に向かう空調風が流れる開口である。
空調ケース21の内部には、エアミックスドア25が設けられている。エアミックスドア25は、蒸発器39を通過した空気をヒータ装置32に流す割合を調整するドアである。空調ケース21の内部には、デフロスタドア22aとフェイスドア22bとフットドア22cとが設けられている。デフロスタドア22aは、デフロスタ開口24aの開閉を制御するドアである。フェイスドア22bは、フェイス開口24bの開閉を制御するドアである。フットドア22cは、フット開口24cの開閉を制御するドアである。
冷凍サイクル装置30は、蒸発器39を冷却用の熱源として機能させる冷却装置である。冷凍サイクル装置30は、蒸発器39に加えて、圧縮機31と室外機35と冷媒配管40とを備えている。圧縮機31は、気相冷媒を圧縮して高温高圧の状態とする装置である。圧縮機31は、電気で駆動を制御可能な電動圧縮機である。圧縮機31は、停止状態と駆動状態との2つの状態に制御される。圧縮機31の駆動状態において、圧縮機31の回転数を変更することで冷凍サイクル装置30を循環する冷媒の量を調整可能である。すなわち、圧縮機31の回転数を高くすることで、冷凍サイクル装置30を循環する冷媒の量を増加させることができる。
室外機35は、空調ケース21の外部に設けられて、室外空気と熱交換を行う熱交換器である。冷房運転において、室外機35は、外気に熱を放出して冷媒のエネルギーを下げることで、気相冷媒を液相冷媒に凝縮する熱交換器である。室外機35は、室外送風機36を備えている。室外送風機36は、室外機35の周囲に熱交換前の外気を供給することで、外気と冷媒との熱交換を促進させるための装置である。
冷媒配管40は、圧縮機31と室外機35と蒸発器39とを接続して、冷媒が循環する冷媒経路を提供している。冷媒配管40は、室外機35と蒸発器39とを接続する部分に膨張弁48を備えている。膨張弁48は、蒸発器39に流入する液相冷媒を膨張させて、蒸発器39で蒸発しやすくするための装置である。膨張弁48は、冷媒の圧力を低減させる減圧装置とも呼ばれる。
図2は、制御システムを示す図である。この明細書における制御装置(ECU)は、電子制御装置(Electronic Control Unit)とも呼ばれる場合がある。制御装置は、(a)if−then−else形式と呼ばれる複数の論理としてのアルゴリズム、または(b)機械学習によってチューニングされた学習済みモデル、例えばニューラルネットワークとしてのアルゴリズムによって提供される。
制御装置は、少なくとも1つのコンピュータを含む制御システムによって提供される。制御システムは、データ通信装置によってリンクされた複数のコンピュータを含む場合がある。コンピュータは、ハードウェアのプロセッサである少なくとも1つのハードウェアプロセッサを含む。ハードウェアプロセッサは、以下の(i)、(ii)、または(iii)により提供することができる。
(i)ハードウェアプロセッサは、少なくとも1つのメモリに格納されたプログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサコアである場合がある。この場合、コンピュータは、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサコアとによって提供される。プロセッサコアは、CPU:Central Processing Unit、GPU:Graphics Processing Unit、RISC−CPUなどと呼ばれる。メモリは、記憶媒体とも呼ばれる。メモリは、プロセッサによって読み取り可能な「プログラムおよび/またはデータ」を非一時的に格納する非遷移的かつ実体的な記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリ、磁気ディスク、または光学ディスクなどによって提供される。プログラムは、それ単体で、またはプログラムが格納された記憶媒体として流通する場合がある。
(ii)ハードウェアプロセッサは、ハードウェア論理回路である場合がある。この場合、コンピュータは、プログラムされた多数の論理ユニット(ゲート回路)を含むデジタル回路によって提供される。デジタル回路は、ロジック回路アレイ、例えば、ASIC:Application−Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、PGA:Programmable Gate Array、CPLD:Complex Programmable Logic Deviceなどとも呼ばれる。デジタル回路は、プログラムおよび/またはデータを格納したメモリを備える場合がある。コンピュータは、アナログ回路によって提供される場合がある。コンピュータは、デジタル回路とアナログ回路との組み合わせによって提供される場合がある。
(iii)ハードウェアプロセッサは、上記(i)と上記(ii)との組み合わせである場合がある。(i)と(ii)とは、異なるチップの上、または共通のチップの上に配置される。これらの場合、(ii)の部分は、アクセラレータとも呼ばれる。
制御装置と信号源と制御対象物とは、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、ブロック、モジュール、またはセクションと呼ぶことができる。さらに、制御システムに含まれる要素は、意図的な場合にのみ、機能的な手段と呼ばれる。
この開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つまたは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。代替的に、この開示に記載の制御部及びその手法は、1つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。代替的に、この開示に記載の制御部及びその手法は、1つまたは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと1つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
図2において、空調制御部50は、空調用センサ91と空調用スイッチ92と車速センサ80と暗騒音情報取得部60とに接続している。空調用センサ91は、外気温センサや内気温センサや蒸発器温度センサなどからなるセンサである。外気温センサは、車外の温度を測定するセンサである。内気温センサは、車内の温度を測定するセンサである。蒸発器温度センサは、蒸発器39の表面温度を測定する温度センサである。空調制御部50は、空調用センサ91から空調運転に用いる各種の情報を取得する。
空調用スイッチ92は、乗員によって操作されるスイッチである。空調用スイッチ92には、空調運転のオンオフを切り替えるスイッチや、設定温度の切り替えを行うスイッチや、内気循環モードと外気導入モードとの切り替えを行うスイッチなどが含まれる。空調用スイッチ92には、フェイスモードなどの吹き出し口の異なる複数の吹き出しモードのうち、どのモードで空調運転を行うかを選択するスイッチが含まれている。ただし、オートモードで空調運転を行う場合には、乗員による操作で吹き出しモードなどを切り替えるのではなく、自動で切り替えが行われる。空調制御部50は、空調用スイッチ92を用いて乗員が設定した空調設定に基づいて空調運転を行うこととなる。
車速センサ80は、現在の車両の走行速度を測定するセンサである。車速センサ80は、タイヤの回転数を検出することで車速を測定する。ただし、車速センサ80での車速の検出方法は、タイヤの回転数を検出する方法に限られない。空調制御部50は、車速センサ80で測定した車速情報に基づいて、空調制御を変更する。車速センサ80は、車速測定装置の一例を提供する。
暗騒音情報取得部60は、圧縮機31の発する音以外の音である暗騒音の大きさを推定する情報である暗騒音情報を取得する。暗騒音情報取得部60は、時計61と日射センサ62と座席センサ63と位置情報センサ64とレインセンサ65とを備えている。時計61は、現在時刻を取得する手段である。日射センサ62は、車両が受けている日射量を測定するセンサである。座席センサ63は、座席に乗員が着座しているか否かを検出するセンサである。座席センサ63は、シートベルトが装着されているか否かを検出するセンサや、重量センサや赤外線センサなどを用いることができる。位置情報センサ64は、GPS(Global Positioning Systems)などの衛星測位システムを用いて車両の位置情報を取得するセンサである。レインセンサ65は、フロントウィンドウに付着した雨滴の量を検出するセンサである。レインセンサ65は、例えば、フロントウィンドウを撮影するカメラを備え、フロントウィンドウの撮影画像から雨が降っているか否かを検出する。空調制御部50は、暗騒音情報取得部60で取得した情報に基づいて、空調制御を変更する。
空調制御部50は、内外気切り替えドア12とデフロスタドア22aとフェイスドア22bとフットドア22cとエアミックスドア25とに接続している。空調制御部50は、各ドア12、22a、22b、22c、25のサーボモータの駆動を制御することで開度を変更している。これにより、内気循環モードと外気導入モードとの切り替えや、空調風の温度制御や、空調風の吹き出し口の変更制御などを行う。
空調制御部50は、送風機15と圧縮機31とヒータ装置32と室外送風機36とに接続している。空調制御部50は、送風機15の出力を制御して、空調風の風速を調整する。空調制御部50は、圧縮機31の回転数を上限回転数から下限回転数までの範囲で制御して、冷凍サイクル装置30を循環する冷媒の量を調整する。空調制御部50は、ヒータ装置32の出力を制御して、空調風の加熱量を調整する。空調制御部50は、室外送風機36の出力を制御して、外気と室外機35を流れる冷媒との熱交換量を調整する。
圧縮機31は、必要な空調能力に応じて回転数を変更して制御される装置である。すなわち、車室内の温度と乗員によって設定された目標温度との温度差が大きい場合には、圧縮機31を高い回転数で駆動することで冷凍サイクル装置30の能力を高くする。これにより、素早く車室内の温度を目標温度に近づける。この時、送風機15や室外送風機36の出力も高くすることで、車両用空調装置1全体の空調能力を高める。一方、車室内の温度と乗員によって設定された目標温度との温度差が小さい場合には、圧縮機31を低い回転数で駆動することで冷凍サイクル装置30の能力を低くする。これにより、圧縮機31の駆動時の振動による騒音を低減する。
圧縮機31は、駆動時に振動するため、圧縮機31の周囲の部品に振動が伝達されるなどして騒音が発生しやすい。特に、圧縮機31の回転数が高いほど、圧縮機31が激しく振動するため大きな騒音が発生しやすい。圧縮機31の駆動に起因して発生した音は、車両の近くにいる人々に車外騒音として不快感を与えてしまう場合がある。したがって、空調制御部50は、冷凍サイクル装置30の能力を上昇させる目的で圧縮機31の回転数を高くするか、圧縮機31から発生する騒音を低減する目的で圧縮機31の回転数を低くするかを空調運転の中で判定して制御する。車両用空調装置1の空調運転について以下に説明する。
図3において、乗員によって空調用スイッチ92がオンされるなどして、車両用空調装置1の空調運転が開始されると、ステップS101で車速情報を取得する。車速情報は、車速センサ80を用いて測定した現在の車両の走行速度である。車両が停止している場合には、車速がゼロとなる。ここで、車速情報の取得は、車速センサ80を用いる場合に限られない。例えば、GPSなどの位置情報センサ64に基づく絶対位置の変化量から算出した車速を取得してもよい。あるいは、車両に周辺監視装置として機能するカメラを備え、カメラにより取得される相対位置の変化量から算出した車速を取得してもよい。車速情報を取得した後、ステップS102に進む。
ステップS102では、算出上限回転数を算出する。算出上限回転数とは、車速情報などの現在の車両やその周囲の状況に応じて算出される圧縮機31の上限回転数である。算出上限回転数は、車速が速いほど高い回転数が算出される。言い換えると、算出上限回転数は、車速がゼロの状態で最も低い回転数となる。例えば、車速が25km/h以上の高速走行状態における算出上限回転数は、9000rpmである。一方、車速がゼロの停止状態における算出上限回転数は、5000rpmである。ただし、非常に速度が遅い状態も算出上限回転数を、停止状態と同じ回転数としてもよい。例えば、車速が15km/h未満である場合に、算出上限回転数を5000rpmとしてもよい。算出上限回転数を算出した後、ステップS109に進む。
ステップS109では、暗騒音情報を取得する。すなわち、暗騒音情報取得部60を用いて車両周辺の暗騒音の大小を推定するための情報を取得する。具体的には、時計61を用いて現在時刻を取得する。また、日射センサ62を用いて日射量を取得する。また、座席センサ63を用いて乗車人数を取得する。また、位置情報センサ64を用いて現在位置を取得する。また、レインセンサ65を用いて天候情報を取得する。複数の暗騒音情報を取得した後、ステップS110に進む。
ステップS110では、算出上限回転数を補正する。すなわち、車速情報のみから決定した算出上限回転数を、車速以外の情報である暗騒音情報に基づいて増減させる。これにより、算出上限回転数は、車速情報と暗騒音情報との異なる種類の情報から算出されることとなる。圧縮機31の駆動に起因する騒音が問題となりにくい場合には、算出上限回転数を増加させて、空調能力を高めることを優先する。一方、圧縮機31の駆動に起因する騒音が問題となりやすい場合には、算出上限回転数を増加させず、空調運転において高い静音性を維持することを優先する。算出上限回転数の補正方法の詳細については、後に説明する。算出上限回転数を補正した後、ステップS151に進む。
ステップS151では、算出上限回転数が仕様上限回転数未満であるか否かを判定する。ここで、仕様上限回転数とは、圧縮機31の仕様によって決定される上限回転数である。仕様上限回転数とは、圧縮機31としての安定した駆動が保証されている回転数の上限値である。仕様上限回転数は、例えば、高速走行状態における算出上限回転数と同じ回転数である9000rpmである。算出上限回転数が仕様上限回転数未満である場合には、算出上限回転数で圧縮機31を駆動しても、圧縮機31を安定して駆動可能であると判断して、ステップS152に進む。一方、算出上限回転数が仕様上限回転数以上である場合には、算出上限回転数で圧縮機31を駆動すると、圧縮機31を安定して駆動できない場合があると判断して、ステップS153に進む。
ステップS152では、算出上限回転数を上限回転数に設定する。ここで、上限回転数とは、実際に圧縮機31を駆動する際の回転数の上限値である。圧縮機31を駆動する場合には、下限回転数から上限回転数までの範囲内で、回転数を決定することになる。ここで、下限回転数とは、実際に圧縮機31を駆動する際の回転数の下限値である。下限回転数は、圧縮機31の仕様によって決定される仕様下限回転数である。仕様下限回転数とは、圧縮機31としての安定した駆動が保証されている回転数の下限値である。仕様下限回転数は、例えば、停止状態における算出下限回転数と同じ回転数である5000rpmである。ただし、下限回転数は、暗騒音情報に基づく補正を行わず、あらかじめ設定した回転数を下限回転数として変更を加えない。
ステップS152において、算出上限回転数は、仕様上限回転数未満であるため、仮に算出上限回転数で圧縮機31が駆動しても、安定して駆動を継続できる。したがって、圧縮機31に起因する騒音が乗員の快適性を大きく損なうことがない算出上限回転数を上限回転数に設定する。上限回転数を算出上限回転数に設定した後、ステップS155に進む。
ステップS153では、仕様上限回転数を上限回転数に設定する。算出上限回転数は、仕様上限回転数以上であるため、仮に算出上限回転数で圧縮機31が駆動した場合に、安定して駆動を継続できないことがある。したがって、騒音の観点からであれば、さらに回転数を高くしても問題ないが、安定して駆動を継続できる仕様上限回転数を上限回転数に設定する。上限回転数を仕様上限回転数に設定した後、ステップS155に進む。
ステップS155では、圧縮機31を駆動する。圧縮機31は、下限回転数から上限回転数までの範囲内の回転数で駆動される。ただし、空調運転が継続している場合であっても、車室内の温度が目標温度に到達するなどして、圧縮機31の駆動が必要ない場合には、圧縮機31の回転数をゼロとして、圧縮機31を停止してもよい。また、圧縮機31以外の空調部品である送風機15や室外送風機36についても、必要に応じて駆動する。圧縮機31を駆動した後、ステップS161に進む。
ステップS161では、空調要求があるか否かを判定する。乗員によって空調用スイッチ92がオフ状態にされるなどして、空調要求がないと判定した場合には、圧縮機31や送風機15などの空調部品の駆動を停止して空調運転を終了する。一方、空調要求が有ると判定した場合には、ステップS101に戻って一連の制御を繰り返す。これにより、車速や暗騒音の状態が変化した場合であっても、現在の車速や暗騒音の状態に基づいて圧縮機31の上限回転数を設定することができる。
ステップS110における算出上限回転数の補正方法について以下に説明する。図4において、ステップS111では、現在時刻は昼間であるか否かを判定する。より具体的には、時計61で取得した現在時刻が日の出から日の入りまでの時間に属していれば、現在時刻が昼間であると判断する。一方、時計61で取得した現在時刻が日の入りから日の出までの時間に属していれば、現在時刻が夜間であると判断する。
ただし、昼間か否かの判断を日の出及び日の入りの時刻から判断しなくてもよい。例えば、正午の前後5時間を昼間に設定して、午前7時から午後5時までの時刻を昼間、それ以外の時刻は夜間と判断するようにしてもよい。また、現在時刻が昼間であるか否かの判断は、時計61によるものに限られない。例えば、日射センサ62で取得した日射量の情報から、日射量が所定量以上であれば昼間と判断し、日射量が所定量未満であれば夜間と判断するなどしてもよい。また、時刻情報を外部との通信によって取得してもよい。現在時刻が昼間である場合には、算出上限回転数を増加させる必要があると判断して、ステップS112に進む。一方、現在時刻が昼間ではなく、夜間である場合には、算出上限回転数を増加させる必要がないと判断して、ステップS121に進む。
ステップS112では、算出上限回転数を増加させる。現在時刻が昼間に属している場合には、人々が活動を行っている可能性が高いと考えられる。このため、車両に搭載されている圧縮機31に起因する騒音が発生したとしても、生活音にかき消されることで車両の周囲の人々には聞こえにくいと考えられる。したがって、算出上限回転数を増加させて、出力の高い空調運転を許容する。ステップS112での算出上限回転数の増加量は、例えば、500rpm程度である。算出上限回転数を増加させた後、ステップS121に進む。
ステップS121では、乗車人数が複数であるか否かを判定する。より具体的には、座席センサ63を用いて、各座席に乗員が着座しているか否かを判断する。乗車人数が複数人であれば、算出上限回転数を増加させる必要があると判断して、ステップS122に進む。一方、乗車人数が1人であれば、算出上限回転数を増加させる必要がないと判断して、ステップS131に進む。ただし、乗車人数が複数であるか否かで判定するのではなく、乗車人数が3人以上であるか否かを判定するなどしてもよい。この場合、乗車人数が3人以上であれば、ステップS122に進み、乗車人数が2人以下であれば、ステップS131に進む。
ステップS122では、算出上限回転数を増加させる。乗車人数が複数である場合には、乗車人数が1人である場合に比べて、車両の重量が増加している。このため、圧縮機31の振動が車両に伝達された場合であっても、車両の重量が重く、車両が大きく振動しにくい。したがって、算出上限回転数を増加させて、出力の高い空調運転を許容する。ステップS122での算出上限回転数の増加量は、例えば、500rpm程度である。算出上限回転数を増加させた後、ステップS131に進む。
ステップS131では、現在位置が都会エリアであるか否かを判定する。より具体的には、位置情報センサ64を用いて、車両の現在位置があらかじめ設定された都会エリアに属しているか否かを判定する。現在位置が都会エリアに属していれば、算出上限回転数を増加させる必要があると判断して、ステップS132に進む。一方、現在位置が都会エリアに属していなければ、算出上限回転数を増加させる必要がないと判断して、ステップS133に進む。
ステップS132では、算出上限回転数を増加させる。現在位置が都会である場合には、現在位置が都会でない場合に比べて、多くの人々が活動を行っている可能性が高いと考えられる。このため、車両に搭載されている圧縮機31に起因する騒音が発生したとしても、人々の生活音に騒音がかき消されやすい。すなわち、騒音が車両の周囲の人々には聞こえにくいと考えられる。したがって、算出上限回転数を増加させて、出力の高い空調運転を許容する。ステップS132での算出上限回転数の増加量は、例えば、500rpm程度である。算出上限回転数を増加させた後、ステップS141に進む。
ステップS133では、現在位置が住宅地エリアであるか否かを判定する。より具体的には、位置情報センサ64を用いて、車両の現在位置があらかじめ設定された住宅地エリアに属しているか否かを判定する。現在位置が住宅地エリアに属していれば、算出上限回転数を減少させる必要があると判断して、ステップS134に進む。一方、現在位置が住宅地エリアに属していなければ、算出上限回転数を減少させる必要がないと判断して、ステップS141に進む。
ステップS134では、算出上限回転数を減少させる。現在位置が住宅地である場合には、現在位置が住宅地でない場合に比べて、車両の周囲に騒音の影響を受けやすい人が存在している可能性が高いと考えられる。このため、車両に搭載されている圧縮機31に起因する騒音が発生した場合に、騒音が車両の周囲の人々に影響を与えやすい。したがって、算出上限回転数を減少させて、空調運転によって大きな騒音が発生することを抑制する。ステップS134での算出上限回転数の減少量は、例えば、500rpm程度である。算出上限回転数を減少させた後、ステップS141に進む。
ステップS141では、天候が雨天であるか否かを判定する。より具体的には、レインセンサ65を用いて、所定量以上の雨が降っているか否かを判断する。天候情報は、外部との通信によって取得してもよい。天候が雨天であれば、算出上限回転数を増加させる必要があると判断して、ステップS142に進む。一方、天候が雨天でなければ、算出上限回転数を増加させる必要がないと判断して、算出上限回転数の補正を終了する。ただし、天候が雨天であっても、きわめて弱い雨など雨量が所定量に満たない場合には、算出上限回転数を増加させる必要がないと判断して、算出上限回転数の補正を終了してもよい。
ステップS142では、算出上限回転数を増加させる。天候が雨天である場合には、雨音が発生している可能性が高いと考えられる。このため、車両に搭載されている圧縮機31に起因する騒音が発生したとしても、雨音に騒音がかき消されやすい。すなわち、騒音が車両の周囲の人々に聞こえにくいと考えられる。また、晴天に比べて外にいる人が少なく、車両の周りに騒音の影響を受ける人が少ないことが想定される。したがって、算出上限回転数を増加させて、出力の高い空調運転を許容する。ステップS142での算出上限回転数の増加量は、例えば、500rpm程度である。算出上限回転数を増加させた後、算出上限回転数の補正を終了する。
算出上限回転数の補正は、一連の流れにおける補正を累積して適用する。すなわち、現在時刻が昼間であり、かつ、現在位置が都会であれば、算出上限回転数を2回分増加させる。この場合、例えば、算出上限回転数を1000rpm増加させる。あるいは、乗車人数が複数であり、かつ、現在位置が住宅地であれば、算出上限回転数を一度増加させた後、減少させる。この場合、例えば、算出上限回転数を500rpm増加させた後、500rpm減少させることになる。すなわち、算出上限回転数は、結果として車速に基づいて設定された値から変更されないこととなる。
算出上限回転数が仕様下限回転数を下回った場合には、仕様下限回転数を算出上限回転数とみなす。この場合には、圧縮機31が駆動している間は、上限回転数と下限回転数とがともに仕様下限回転数の回転数に設定される。このため、常に仕様下限回転数で駆動され、騒音の発生を抑制し続けることとなる。
算出上限回転数の補正は、現在時刻と乗車人数と現在位置と天候との4つの暗騒音情報に基づいて補正を行う例に限られない。例えば、現在時刻のみに基づいて、算出上限回転数を補正するなどして、1つの暗騒音情報から補正を行ってもよい。あるいは、上述した暗騒音情報以外の例示以外の情報から、算出上限回転数を補正してもよい。例えば、車両に周辺監視装置として機能するカメラを備え、カメラを用いて取得した画像を解析することで、車両の周囲に人が存在しているか否かを判定してもよい。この場合、車両の周辺に人がいなければ、圧縮機31に起因する騒音の発生を抑制する必要がないと判断して、算出上限回転数を増加させる。一方、車両の周辺に人がいれば、圧縮機31に起因する騒音の発生を抑制する必要があると判断して、算出上限回転数を減少させる。
上述した実施形態によると、空調制御部50は、車速に基づいて圧縮機31の上限回転数の候補である算出上限回転数を算出するとともに、暗騒音情報に基づいて算出上限回転数を補正している。このため、算出上限回転数を、車速と車速以外の情報である暗騒音情報との両方の情報に基づいて決めることができる。したがって、車速や暗騒音情報の一方の情報のみから算出上限回転数を算出する場合に比べて、多くの要素を考慮して算出上限回転数を決定できる。よって、圧縮機31の上限回転数を適切に設定可能な車両用空調装置1を提供できる。
暗騒音情報取得部60は、種類の異なる複数の暗騒音情報を取得し、空調制御部50は、複数の暗騒音情報に基づいて、上限回転数の候補である算出上限回転数を補正する。このため、現在時刻や乗車人数など種類の異なる複数の暗騒音情報に基づいて、現在の状況に合わせて細かく算出上限回転数を補正可能である。したがって、1つの暗騒音情報に基づいて算出上限回転数を補正する場合に比べて、算出上限回転数をより適切に補正しやすい。
空調制御部50は、現在時刻が昼間であれば、現在時刻が夜間である場合に比べて上限回転数の候補である算出上限回転数を高く補正する。このため、車両の周囲の人々が活動を行っている可能性が高く、夜間に比べて騒音が人々に影響しにくい昼間における圧縮機31の上限回転数を高くしやすい。したがって、車両用空調装置1の空調能力を高めて、車室内の温度を素早く目標温度に近づけやすい。よって、車室内の快適性を高めやすい。
空調制御部50は、日射量が所定量以上であれば、日射量が所定量未満である場合に比べて上限回転数の候補である算出上限回転数を高く補正する。日射量が所定量以上であれば、現在は晴天の昼間であることが想定される。このため、車両の周囲の人々が活動を行っている可能性が高く、夜間に比べて騒音が人々に影響しにくいと判断できる。したがって、圧縮機31の上限回転数を高めることで車両用空調装置1の空調能力を高めて、車室内の温度を素早く目標温度に近づけやすい。特に、夏の晴天で昼間の時間帯には、車両用空調装置1に高い冷房能力が求められる。このような状況で、圧縮機31の算出上限回転数を高く補正することは、高い冷房能力を得るために非常に有用である。
空調制御部50は、乗車人数が多いほど上限回転数の候補である算出上限回転数を高く補正する。このため、車両の重量が重く、圧縮機31の駆動に起因して車両が大きく振動しにくい状況において、圧縮機31の算出上限回転数を高く補正できる。したがって、車両用空調装置1の空調能力を高めて、車室内の温度を素早く目標温度に近づけやすい。特に、冷房運転時には、乗車人数が多いほど冷房の効きが悪くなるため、車両用空調装置1の冷房能力を高めることは、非常に有用である。
空調制御部50は、車両の現在位置が住宅地であれば、現在位置が住宅地でない場合に比べて上限回転数を低く補正する。このため、賑やかな商業地などに比べて騒音が人々に影響しやすい住宅地における圧縮機31の上限回転数を低くしやすい。したがって、車両用空調装置1の静音性が低下することを抑制して、車両周囲への配慮を高めた状態で空調運転を行うことができる。
空調制御部50は、天候が雨天であれば、天候が雨天でない場合に比べて上限回転数を高く補正する。このため、圧縮機31に起因する騒音が雨音にかき消されるなどして、人々に影響しにくい雨天における圧縮機31の上限回転数を高くしやすい。したがって、車両用空調装置1の空調能力を高くして、車室内の温度を素早く目標温度に近づけやすい。
算出上限回転数が、仕様上限回転数未満であれば、上限回転数を算出上限回転数に設定する。一方、算出上限回転数が、仕様上限回転数以上であれば、上限回転数を仕様上限回転数に設定する。言い換えると、上限回転数は、圧縮機31の仕様に基づいて決定される仕様上限回転数を超えない回転数に設定される。このため、圧縮機31の回転数が仕様上限回転数を超えてしまい、圧縮機31を安定して駆動することができないと言いた事態を抑止絵できる。
算出上限回転数の増加量は500rpmに限られない。例えば、現在時刻が昼間の場合の、増加量は400rpmとし、天候が雨天の場合の増加量は600rpmとするなどしてもよい。あるいは、算出上限回転数の10%分増加させるなどしてもよい。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、冷凍サイクル装置230が室内空気を加熱するための加熱手段を提供している。言い換えると、冷凍サイクル装置230は、冷媒を凝縮させる際に排出する熱を暖房用の熱源に用いるヒートポンプ装置である。
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、冷凍サイクル装置230が室内空気を加熱するための加熱手段を提供している。言い換えると、冷凍サイクル装置230は、冷媒を凝縮させる際に排出する熱を暖房用の熱源に用いるヒートポンプ装置である。
図5において、空調ユニット20は、空調ケース21と冷凍サイクル装置230の一部をなす凝縮器232と蒸発器39とを備えている。凝縮器232は、気相冷媒を液相冷媒に凝縮させるための装置である。凝縮器232は、冷媒を凝縮させる際に、周囲に熱を放出する熱交換器である。言い換えると、凝縮器232は、空調運転において空気の加熱を行うための加熱用熱交換器である。空調ケース21の内部において、蒸発器39は、凝縮器232よりも空気の流れの上流に位置して設けられている。
冷凍サイクル装置230は、凝縮器232を加熱用の熱源として機能させ、蒸発器39を冷却用の熱源として機能させるヒートポンプ装置である。冷凍サイクル装置230は、凝縮器232と蒸発器39とに加えて、圧縮機31と室外機35と冷媒配管40とを備えている。圧縮機31の駆動状態において、圧縮機31の回転数を変更することで冷凍サイクル装置230を循環する冷媒の量を調整可能である。
室外機35は、空調ケース21の外部に設けられて、室外空気と冷媒との熱交換を行う熱交換器である。冷房運転において、室外機35は、外気に熱を放出して冷媒を凝縮させる。あるいは、凝縮した冷媒の温度を低下させるサブクールを行う。一方、暖房運転において、室外機35は、外気から熱を奪って冷媒を蒸発させる。
冷媒配管40は、圧縮機31と凝縮器232と室外機35と蒸発器39とを接続して、冷媒が循環する冷媒経路を提供している。冷媒配管40は、凝縮器232と室外機35とを接続する部分に室外膨張弁243を備えている。室外膨張弁243は、絞り量を任意に調整可能な電磁弁である。室外膨張弁243は、暖房運転などにおいて、室外機35に流入する液相冷媒を膨張させて、室外機35で蒸発しやすくするための装置である。室外膨張弁243は、冷房運転時には冷媒を膨張させない。
冷媒配管40は、室外機35と圧縮機31とを接続して蒸発器39をバイパスさせるバイパス配管を備えている。バイパス配管には、開閉弁245が設けられている。開閉弁245は、冷媒経路を閉じた状態と開いた状態とに切り替え可能な弁である。蒸発器39に冷媒を流す必要がある場合には、開閉弁245を閉状態とする。一方、蒸発器39に冷媒を流す必要がない場合には、開閉弁245を開状態とする。例えば、冷房運転中は、室外膨張弁243を絞らない全開状態とし、開閉弁245を閉状態とする。これにより、蒸発器39に液相冷媒を多く流して蒸発器39で空気を冷却することができる。暖房運転中は、室外膨張弁243を絞り状態とし、開閉弁245を開状態とする。これにより、室外機35で冷媒を蒸発させるとともに、蒸発器39を経由することなく気相冷媒を圧縮機31に戻すことができる。
冷房運転においては、蒸発器39を流れる冷媒量を増加させるために圧縮機31の回転数を高めることで、冷房能力を上昇させることができる。暖房運転においては、凝縮器232に流れる冷媒量を増加させるために圧縮機31の回転数を高めることで、暖房能力を上昇させることができる。このため、冷房運転と暖房運転とのどちらの運転においても、空調能力を高めるために圧縮機31を高い回転数で駆動することが重要である。
上述した実施形態によると、冷凍サイクル装置230の一部を構成し、車室内に提供される空気を加熱する凝縮器232を備えている。このため、冷凍サイクル装置230を効率の高いヒートポンプ装置として活用できる。また、冷房運転と暖房運転との両方の空調運転で、圧縮機31を駆動する必要がある。したがって、車速に基づいて算出上限回転数を算出するとともに、暗騒音情報に基づいて算出上限回転数を補正することで、冷房運転と暖房運転の両方の運転において、圧縮機31の上限回転数を適切に設定可能である。よって、周囲への騒音を配慮しつつ、快適性の高い空調運転を実施可能な車両用空調装置1を提供できる。
他の実施形態
車速と暗騒音情報とに基づいて上限値を補正する対象は、圧縮機31に限られない。例えば、室外送風機36の回転数を車速と暗騒音情報とに基づいて上限値を補正してもよい。例えば、室外送風機36の高速回転によって発生する騒音が、周囲に影響を及ぼしにくい場合には、高速回転を許容し、周囲に影響を及ぼしやすい場合には、高速回転を許容しない。これによると、周囲への騒音の影響が大きくない範囲で室外送風機36の回転数を高め、車両用空調装置1の空調能力を高めることができる。また、室外送風機36ではなく、エンジン冷却水を冷却するためのラジエータに送風を行う電動送風機にも適用できる。
車速と暗騒音情報とに基づいて上限値を補正する対象は、圧縮機31に限られない。例えば、室外送風機36の回転数を車速と暗騒音情報とに基づいて上限値を補正してもよい。例えば、室外送風機36の高速回転によって発生する騒音が、周囲に影響を及ぼしにくい場合には、高速回転を許容し、周囲に影響を及ぼしやすい場合には、高速回転を許容しない。これによると、周囲への騒音の影響が大きくない範囲で室外送風機36の回転数を高め、車両用空調装置1の空調能力を高めることができる。また、室外送風機36ではなく、エンジン冷却水を冷却するためのラジエータに送風を行う電動送風機にも適用できる。
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
1 車両用空調装置、 10 送風ユニット、 20空調ユニット、 30 冷凍サイクル装置、 31 圧縮機、 32 ヒータ装置、 35 室外機、 36 室外送風機、 39 蒸発器、 40 冷媒配管、 48 膨張弁、 50 空調制御部、 60 暗騒音情報取得部、 61 時計、 62 日射センサ、 63 座席センサ、 64 位置情報センサ、 65 レインセンサ、 80 車速センサ(車速測定装置)、 91 空調用センサ、 92 空調用スイッチ、 230 冷凍サイクル装置、 232 凝縮器、 243 室外膨張弁、 245 開閉弁
Claims (8)
- 冷凍サイクル装置(30、230)を循環する冷媒を圧縮する圧縮機(31)と、
前記冷凍サイクル装置の一部を構成し、車室内に提供される空気を冷却する蒸発器(39)と、
車両の速度を測定する車速測定装置(80)と、
車速以外の情報である暗騒音情報を取得する暗騒音情報取得部(60)と、
前記圧縮機の制御を行う空調制御部(50)とを備え、
前記空調制御部は、車速に基づいて前記圧縮機の上限回転数を算出するとともに、前記暗騒音情報に基づいて前記上限回転数を補正する車両用空調装置。 - 前記暗騒音情報取得部は、種類の異なる複数の前記暗騒音情報を取得し、
前記空調制御部は、複数の前記暗騒音情報に基づいて、前記上限回転数を補正する請求項1に記載の車両用空調装置。 - 前記暗騒音情報取得部は、現在時刻を取得し、
前記空調制御部は、現在時刻が昼間であれば、現在時刻が夜間である場合に比べて前記上限回転数が高くなるように補正する請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。 - 前記暗騒音情報取得部は、日射量を取得し、
前記空調制御部は、日射量が所定量以上であれば、日射量が所定量未満である場合に比べて前記上限回転数が高くなるように補正する請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両用空調装置。 - 前記暗騒音情報取得部は、乗車人数を取得し、
前記空調制御部は、乗車人数が多いほど前記上限回転数を高くなるように補正する請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両用空調装置。 - 前記暗騒音情報取得部は、車両の現在位置を取得し、
前記空調制御部は、現在位置が住宅地であれば、現在位置が住宅地でない場合に比べて前記上限回転数が低くなるように補正する請求項1から請求項5のいずれかに記載の車両用空調装置。 - 前記暗騒音情報取得部は、天候情報を取得し、
前記空調制御部は、天候が雨天であれば、天候が雨天でない場合に比べて前記上限回転数が高くなるように補正する請求項1から請求項6のいずれかに記載の車両用空調装置。 - 前記冷凍サイクル装置(230)の一部を構成し、車室内に提供される空気を加熱する凝縮器(232)を備えている請求項1から請求項7のいずれかに記載の車両用空調装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114103595A (zh) * | 2021-12-28 | 2022-03-01 | 东风汽车有限公司东风日产乘用车公司 | 空调控制方法、装置、设备及存储介质 |
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-
2019
- 2019-02-20 JP JP2019028179A patent/JP2020131937A/ja active Pending
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