以下、図面を参照しながら、本発明に係るインク供給システム、および、インク供給システムを備えたインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという。)の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係るプリンタ100について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ100の斜視図である。以下の説明では、前、後、左、右、上、下とは、プリンタ100を正面から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味する。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Xは、前後方向であり、主走査方向Yと平面視において直交している。なお、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ100の設置態様を何ら限定するものではない。
プリンタ100は、インクジェット式のプリンタである。プリンタ100は、媒体5(図1参照)に印刷を行う。媒体5は、例えばロール状の記録紙である。ただし、媒体5は、記録紙に限定されず、例えばシート状の媒体であってもよいし、樹脂製のシートであってもよい。
図1に示すように、プリンタ100は、ケーシングを有する本体10と、本体10の下部に設けられ、本体10を支持する脚11と、利用者が印刷に関する操作を行う操作パネル12と、本体10の上部に設けられたカバー15とを備えている。カバー15の下方であって、本体10の前部には、媒体5を排出するための排出口13が形成されている。排出口13の前方かつ下方の位置には、排出口13から排出された媒体5を案内するガイド14が設けられている。
図2は、プリンタ100の内部構成を示す平面図である。図3は、インクヘッド32のノズル面34を示す図である。図2に示すように、プリンタ100は、ガイドレール16と、プラテン18とを備えている。ガイドレール16は主走査方向Yに延びている。プラテン18は、本発明の支持台の一例であり、媒体5への印刷を行う際、媒体5を支持する。プラテン18は、ガイド14(図1参照)と連なっており、ガイドレール16の下方に配置されている。
図3に示すように、プリンタ100は、キャリッジ20を備えている。図2に示すように、キャリッジ20は、ガイドレール16に摺動可能に係合している。キャリッジ20は、ガイドレール16に沿って主走査方向Yに移動する。
プリンタ100は、キャリッジ移動機構21と、媒体移動機構22とを備えている。キャリッジ移動機構21は、キャリッジ20をガイドレール16に沿って主走査方向Yに移動させる。キャリッジ移動機構21は、プーリ25a、25bと、ベルト26と、モータ27とを有している。プーリ25aはガイドレール16の右端部分に設けられ、プーリ25bはガイドレール16の左端部分に設けられている。ベルト26は、無端状であり、プーリ25a、25bに巻き掛けられている。ベルト26にはキャリッジ20が取り付けられている。モータ27は例えばプーリ25aに接続されている。モータ27の駆動に伴いプーリ25aが駆動することで、プーリ25a、25bの間においてベルト26が走行する。ベルト26の走行によって、キャリッジ20が主走査方向Yに移動する。
媒体移動機構22は、プラテン18に支持された媒体5を副走査方向Xに移動させる。媒体移動機構22は、上下一対のローラ28と、モータ29とを有している。なお、一対のローラ28において、図2では上側のローラ28が図示されており、下側のローラ28は省略されている。一対のローラ28の数および位置は特に限定されない。ここでは、一対のローラ28のうち、一方のローラ28はグリットローラである。グリットローラ28には、モータ29が接続されている。モータ29が駆動することで、グリットローラ28は回転する。一対のローラ28のうち、他方のローラ28は、上記グリットローラと共に媒体5を挟み込むためのピンチローラである。一対のローラ28で媒体5を挟みこんだ状態でモータ29が駆動することで、媒体5は副走査方向Xに搬送される。
図4は、インク供給システム30を示す模式図である。プリンタ100は、複数のインク供給システム30(図4参照)を備えている。インク供給システム30は、後述のインクタンク31から後述のインクヘッド32に向かってインクを供給するシステムである。インク供給システム30は、後述するノズル列33a(図3参照)ごとに設けられている。図3に示すように、本実施形態では、ノズル列33aの数は4つであるため、インク供給システム30の数は4つである。ただし、インク供給システム30の数は特に限定されない。ここでは、複数のインク供給システム30は、何れも同じ構成を有している。図4では、複数のインク供給システム30のうちの1つのインク供給システム30が示されており、他のインク供給システム30の図示は省略されている。なお、複数のインク供給システム30のうち、一部のインク供給システム30の構成は、他のインク供給システム30の構成と異なっていてもよい。以下、図4に示した1つのインク供給システム30の構成について説明する。
図4に示すように、インク供給システム30は、インクタンク31と、インクヘッド32と、ダンパー35と、インク流路36と、開閉バルブ38と、送液ポンプ39と、制御装置70(図8参照)を備えている。
インクタンク31は、インクを貯留するものである。インクタンク31とは、例えばインクカートリッジのことである。なお、インクタンク31の形状は特に限定されず、例えばパウチ状である。なお、インクタンク31には、水頭値が一意的に設定されている。この水頭値は、インクタンク31の形状や種類、内部に貯留されているインクの量に応じて一意的に決定されるものである。なお、本実施形態では、インクタンク31の数は、インク供給システム30の数と同じ4つである。ただし、インクタンク31の数は特に限定されない。1つのインクタンク31に貯留されるインクは、例えばシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク、および、ブラックインクなどのプロセスカラーインクと、ホワイトインク、メタリックインク、オレンジインク、および、クリアインクなどの特色インクのうち何れかのインクである。
インクヘッド32は、例えばプラテン18(図2参照)に支持された媒体5(図1参照)に向かってインクを吐出する。図3に示すように、インクヘッド32は、キャリッジ20に設けられている。インクヘッド32は、キャリッジ20と共にガイドレール16に沿って主走査方向Yに移動可能である。インクヘッド32は、インクを吐出する複数のノズル33が形成されたノズル面34を有している。1つのインクヘッド32において、複数のノズル33は、副走査方向Xに並んで配置されている。ここでは、副走査方向Xに並んだ複数のノズル33の列のことをノズル列33aという。ノズル面34は、インクヘッド32の下面を形成しており、プラテン18(図2参照)と対向している。なお、インクヘッド32の数は特に限定されない。本実施形態では、インクヘッド32は、インク供給システム30の数と同じ4つである。4つのインクヘッド32は、主走査方向Yに並んで配置されている。
ただし、インクヘッド32の数は、インク供給システム30の数と同じでなくてもよい。例えば、1つのインクヘッド32のノズル面34に2つのノズル列33aが形成されていてもよい。この場合、1つのインクヘッド32のそれぞれのノズル列33aは、異なるインク供給システム30を構成していてもよい。この場合、インクヘッド32の数は、インク供給システム30の数の半分となる。
本実施形態では、図4に示すように、インクヘッド32は、インクタンク31よりも下方に配置されている。インクヘッド32のノズル面34は、インクタンク31よりも下方に配置されている。詳しくは、ノズル面34は、インクタンク31の上記水頭値よりも下方に配置されている。
ダンパー35は、インクの圧力変動を緩和して、インクヘッド32のインクの吐出動作を安定させるものである。ダンパー35は、ダンパー35に流入するインクの流量(言い換えると、ダンパー35内の圧力)を検出する。そして、インクの流量の検出結果に基づいて、送液ポンプ39が制御される。ダンパー35は、インクヘッド32に接続されている。ここでは、ダンパー35は、インクヘッド32の上部に設けられている。なお、ダンパー35の構成は特に限定されない。ダンパー35の構成は後述する。
インク流路36は、インクタンク31に貯留されたインクをインクヘッド32に供給する流路である。インク流路36の一端は、インクタンク31に接続されている。インク流路36の他端は、ダンパー35を介してインクヘッド32に接続されている。本実施形態では、インク流路36の途中部分に、開閉バルブ38および送液ポンプ39が設けられている。インク流路36は、第1流路36aと、第2流路36bとを有している。
第1流路36aは、インクタンク31に貯留されたインクを送液ポンプ39に向かって流す流路である。第1流路36aの一端はインクタンク31に着脱可能に接続されている。第1流路36aの他端は送液ポンプ39に接続されている。第1流路36aの途中部分には、開閉バルブ38が設けられている。本実施形態では、第1流路36aは、第1−1流路36aaと、第1−1流路36aaよりもインクヘッド32側に配置された第1−2流路36abとを有している。開閉バルブ38は、第1−1流路36aaと第1−2流路36abとの間に配置されている。詳しくは、第1−1流路36aaの一端はインクタンク31に着脱可能に接続され、第1−1流路36aaの他端は開閉バルブ38に接続されている。第1−2流路36abの一端は開閉バルブ38に接続され、第1−2流路36abの他端は送液ポンプ39に接続されている。
第2流路36bは、第1流路36aよりもインクヘッド32側に配置されている。第2流路36bは、送液ポンプ39からダンパー35に向かってインクを流す流路である。第2流路36bの一端は送液ポンプ39に接続されている。第2流路36bの他端は、ダンパー35に接続されており、ダンパー35を介してインクヘッド32に接続されている。
開閉バルブ38は、開閉自在であり、インク流路36を開閉するバルブである。開閉バルブ38が開放されることで、インクタンク31に貯留されたインクをインクヘッド32に供給することが可能になる。開閉バルブ38は、上述のように、第1流路36aの途中部分に設けられている。なお、開閉バルブ38の種類は特に限定されない。ここでは、開閉バルブ38は、電気的に制御されるバルブであり、例えばチョークバルブである。
送液ポンプ39は、インクタンク31に貯留されたインクをインクヘッド32に供給すると共に、インクヘッド32からインクを吐出させることを促進させるためのポンプである。送液ポンプ39は、本発明のポンプの一例である。本実施形態では、送液ポンプ39の種類および構成は特に限定されないが、送液ポンプ39は開閉可能なポンプである。送液ポンプ39は例えばチューブポンプである。例えばチューブポンプは、内部チューブと、ローラと、ローラに接続された駆動モータとを備えている。この駆動モータが駆動して、ローラで内部チューブを押し潰しながらローラを遊星回転させることによって、ローラの進行方向にインクを送液する。このことによって、インクタンク31からインクヘッド32にインクが供給される。なお、本実施形態において、送液ポンプ39が開放されているとは、内部チューブがローラに押し潰されていない状態のことをいう。送液ポンプ39が閉鎖されているとは、内部チューブがローラに押し潰されている状態のことをいう。
本実施形態では、送液ポンプ39は、インク流路36の途中部分に設けられており、開閉バルブ38よりもインクヘッド32側に配置されている。詳しくは、送液ポンプ39は、第1流路36aと第2流路36bとの間に配置されている。
次に、上記のダンパー35の構成について説明する。図5は、ダンパー35の平面図であり、貯留室42の圧力が所定の判定圧力以下の状態を示す図である。図6は、ダンパー35の平面断面図であり、貯留室42の圧力が所定の判定圧力より大きい状態を示す図である。本実施形態では、図5に示すように、ダンパー35は、ダンパー本体41と、貯留室42と、ダンパー膜43と、検出機構44とを備えている。
ダンパー本体41は中空のものである。貯留室42は、ダンパー本体41内に形成されており、一部に形成された開口を有している。貯留室42には、インクが一時的に貯留される。貯留室42は、第2流路36b(図4参照)およびインクヘッド32(図4参照)と連通している。本実施形態では、ダンパー本体41の上部には、第2流路36bが接続された流入口45aが形成され、ダンパー本体41の下部には、インクヘッド32に接続された流出口45b(図4参照)が形成されている。ただし、流入口45aおよび流出口45bの形成位置は特に限定されない。本実施形態では、ダンパー35は、インクタンク31内のインクが消費される際に、流入口45aから貯留室42に流入したインクが流出口45bを通じてインクヘッド32へ流れるように構成されている。
図5に示すように、ダンパー膜43は、貯留室42の開口部分を覆うようにダンパー本体41に設けられている。ここでは、ダンパー膜43とダンパー本体41によって囲まれた空間が貯留室42である。ダンパー膜43は、例えば可撓性を有する樹脂製のフィルムによって構成されている。ダンパー膜43は、貯留室42内のインクの貯留量や、貯留室42内の圧力に基づいて、図5および図6に示すように、貯留室42の内側および外側に変形可能である。ダンパー膜43は、貯留室42の内側および外側にそれぞれ撓むことができる程度の張力で、ダンパー本体41に取り付けられている。
本実施形態では、図5に示すように、貯留室42には、バネ45が設けられている。バネ45は、圧縮された状態で貯留室42に配置されており、ダンパー膜43に向かって弾性力を付与する。ここでは、バネ45は、ダンパー膜43の貯留室42側の面に接続されている。なお、バネ45の種類は特に限定されず、例えば、バネ45はコイルバネである。
検出機構44は、貯留室42内の圧力を検出する機構である。ここでは、検出機構44は、貯留室42内の圧力を検出することで、インク流路36(図4参照)内の圧力を間接的に検出する。なお、検出機構44の構成は特に限定されない。本実施形態では、検出機構44は、押圧体46と、フィラー47と、フィラーセンサ48とを備えている。押圧体46は、ダンパー膜43に設けられている。本実施形態では、押圧体46は、ダンパー膜43の貯留室42側の面に設けられている。押圧体46は、バネ45に支持されており、ダンパー膜43の撓みと共に、貯留室42の内側および外側に移動可能である。
フィラー47は、ダンパー膜43または押圧体46と接触可能にダンパー本体41に設けられている。本実施形態では、ダンパー本体41には、支持バネ49が設けられており、フィラー47は、支持バネ49に支持されている。フィラー47の形状は特に限定されない。ここでは、フィラー47は、略コの字状に形成されている。詳しくは、フィラー47は、押圧体46の右方において、前後方向に延びた接触部47aと、接触部47aの後部から左方に延びた支持部47bと、接触部47aの前部から左方に延びた被検出部47cとを有している。接触部47aは、ダンパー膜43または押圧体46に接触する。支持部47bは、支持バネ49に支持されている。被検出部47cは、フィラーセンサ48によって検出される部位である。
フィラーセンサ48は、フィラー47の位置を検出することによって、貯留室42内の圧力を検出する。フィラーセンサ48は、貯留室42内の圧力を検出することで、インク流路36内の圧力を間接的に検出する。本実施形態では、フィラーセンサ48は、フィラー47に対して非接触式のセンサであるが、接触式のセンサであってもよい。本実施形態では、フィラーセンサ48は、一対の検出部48aを有している。図5に示すように、一対の検出部48aの間に、フィラー47の被検出部47cが位置しているとき、フィラーセンサ48は、貯留室42の圧力(言い換えると、検出圧力)が所定の判定圧力以下であることを検出する。
図6に示すように、貯留室42の圧力が大きくなるにしたがって、ダンパー膜43が貯留室42の外側に撓む。このとき、押圧体46によって、フィラー47が貯留室42の外側に押されることで、フィラー47は、接触部47aと支持部47bとの間に位置する軸47dを軸にして回転する。そして、貯留室42の圧力が所定の判定圧力より大きくなったとき、フィラー47の被検出部47cがフィラーセンサ48の一対の検出部48aの間から外れた位置に移動する。フィラーセンサ48は、一対の検出部48aの間に、フィラー47の被検出部47cが位置していないとき、貯留室42の圧力が所定の判定圧力よりも大きいことを検出する。なお、本実施形態では、ダンパー35における一対の検出部48aの間の範囲は、本発明の所定の範囲に対応する。
以下の説明において、図5に示すように、フィラーセンサ48の一対の検出部48aの間に、フィラー47の被検出部47cが位置しているとき、すなわち、貯留室42の圧力が所定の判定圧力以下のとき、「フィラー47がヒットしている」という。一方、図6に示すように、フィラーセンサ48の一対の検出部48aの間に、フィラー47の被検出部47cが位置していないとき、すなわち、貯留室42の圧力が所定の判定圧力よりも大きいとき、「フィラー47がアンヒットしている」という。
図4に示すように、インク供給システム30は、キャップ51と、キャッピング機構52と、吸引ポンプ53とを備えている。図2に示すように、キャップ51は、ガイドレール16の右端部に位置するホームポジションHPに配置されている。ここで、ホームポジションHPとは、非印刷時、すなわち、印刷が行われていないときに、インクヘッド32が待機する位置のことである。キャップ51は、インクヘッド32のノズル33に付着したインクが硬化して、ノズル33が詰まることを抑制するものである。キャップ51は、インクヘッド32のノズル面34に装着される。キャップ51は、非印刷時において、インクヘッド32のノズル33を覆うようにインクヘッド32に装着される。
キャッピング機構52は、キャップ51を支持し、図4の矢印Aのように、ノズル面34に対してキャップ51を装着させたり、離間させたりする機構である。キャッピング機構52は、キャップ51に接続されている。キャッピング機構52は、ホームポジションHPにおいてインクヘッド32のノズル面34に向かってキャップ51を移動させる機構である。このキャッピング機構52の構成は特に限定されない。例えばキャッピング機構52は、駆動モータを備えている。駆動モータが駆動することで、キャップ51は、ノズル面34に向かって移動したり、ノズル面34から離間したりする。
吸引ポンプ53は、ノズル面34にキャップ51が装着されている状態において、インクヘッド32内のインクを吸引するものである。吸引ポンプ53は、キャップ51内のインクを吸引するものである。吸引ポンプ53は、キャップ51に接続されている。ここでは、キャップ51は、チューブを一例とする排出流路54を介して廃液タンク55に接続されている。吸引ポンプ53は、排出流路54の途中部分に設けられている。吸引ポンプ53によって吸引されたインクは、廃液タンク55に排出される。
図7は、ワイパー60およびワイピング機構61の正面図である。本実施形態では、インク供給システム30は、ワイパー60と、ワイピング機構61とを備えている。ワイパー60およびワイピング機構61は、ガイドレール16の右端部分であって、ホームポジションHPの近傍(詳しくは、ホームポジションHPの左方)に配置されている。ワイパー60およびワイピング機構61は、インクヘッド32のノズル面34を拭ってクリーニング(換言すると、ワイピング)する機構である。図7に示すように、ワイパー60は、インクヘッド32のノズル面34を拭う部材である。ワイパー60は、前後方向と上下方向に延びる平板状の部材である。ワイパー60の前後方向の長さは、インクヘッド32の前後方向の長さよりも長く構成されている。ワイパー60は、例えば、ゴムで形成されている。
ワイピング機構61は、ワイパー60を支持し、ワイパー60をインクヘッド32のノズル面34に接触させたり、ノズル面34から離間させたりするものである。ワイピング機構61は、回転軸62と、洗浄液槽63と、回転モータ64とを備えている。回転軸62は、ワイパー60の一端を支持しており、ワイパー60の一端に接続されている。ワイパー60は、回転軸62を中心に回転可能である。回転軸62は、前後方向に延びている。ワイパー60が、回転軸62から遠い方の端部を上にするような回転位置に配置されるとき、当該端部は、インクヘッド32のノズル面34よりもわずかに高い位置に位置する。そこで、ワイパー60をこのような回転位置に配置しつつ、キャリッジ20を走行させると、ワイパー60によりノズル面34をワイピングすることができる。一方、ワイパー60は、回転軸62から遠い方の端部を下にするような回転位置に配置されるとき、回転軸62の下方に設置された洗浄液槽63中の洗浄液に浸漬される。ワイパー60は、回転モータ64によって回転されている。
なお、本実施形態では、キャリッジ移動機構21(図2参照)によってインクヘッド32を主走査方向Yに移動させることで、ワイパー60に対してインクヘッド32を相対的に主走査方向Yに移動させている。
次に、制御装置70について説明する。図8は、プリンタ100のブロック図である。制御装置70は、印刷に関する制御、および、送液ポンプ39の異常を検出する制御を行う装置である。制御装置70の構成は特に限定されない。例えば制御装置70は、コンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えていてもよい。
図8に示すように、制御装置70は、開閉バルブ38、送液ポンプ39、ダンパー35の検出機構44のフィラーセンサ48に通信可能に接続されており、開閉バルブ38、送液ポンプ39およびフィラーセンサ48を制御する。また、制御装置70は、キャッピング機構52および吸引ポンプ53に通信可能に接続され、キャッピング機構52および吸引ポンプ53を制御する。制御装置70は、ワイピング機構61の回転モータ64に通信可能に接続され、回転モータ64を制御する。さらに、制御装置70は、操作パネル12、キャリッジ移動機構21のモータ27、媒体移動機構22のモータ29に通信可能に接続されており、操作パネル12、モータ27、29を制御する。
本実施形態では、制御装置70は、記憶部71と、印刷開始部72と、吐出制御部74と、判定制御部76と、印刷停止部78と、キャッピング制御部80と、エラー処理実行部82とを備えている。ここで、印刷停止部78は、本発明の処理停止部の一例である。制御装置70の上記各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。上記各部は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
以上、本実施形態に係るインク供給システム30およびプリンタ100の構成について説明した。次に、開閉可能な送液ポンプ39の異常を検出する制御について、図9のフローチャートに沿って説明する。この送液ポンプ39の異常を検出する制御は、インクタンク31内のインクの消費に関する処理中に行われる制御である。ここで、「インクタンク31内のインクの消費に関する処理」とは、例えば印刷、フラッシング動作などである。印刷のとき、インクヘッド32内のインクを媒体5に向かって吐出する。インクヘッド32内のインクが消費されることで、インクタンク31内のインクがインクヘッド32に供給され、消費される。フラッシング動作では、ノズル面34にキャップ51が装着された状態で、インクヘッド32内のインクがキャップ51に排出される。そのため、インクヘッド32内のインクが消費され、インクタンク31からのインクがインクヘッド32に供給される。その結果、インクタンク31内のインクが消費される。以下では、印刷中における送液ポンプ39の異常を検出する制御について説明する。
本実施形態では、印刷開始時において、印刷開始部72は、開閉バルブ38を開放させるように開閉バルブ38を制御する。このことで、開閉バルブ38が開放され、第1流路36aは連通した状態となる。その後、印刷が開始される。ここでは、予め指定された画像を媒体5に印刷する。印刷時、制御装置70は、キャリッジ移動機構21のモータ27を駆動させることにより、インクヘッド32を主走査方向Yに移動させつつ、インクヘッド32からインクを吐出させる。これにより、一走査ラインの印刷が行われる。インクヘッド32の主走査方向Yの往復移動が終了すると、媒体移動機構22のモータ29を駆動させることによって、次の走査ラインの位置まで媒体5を副走査方向Xに移動させる。媒体5の副走査方向Xへの移動が終了すると、再びキャリッジ移動機構21のモータ27を駆動させると共にインクヘッド32を制御し、次の走査ラインの印刷を行う。以下、制御装置70は、上記画像の印刷の終了まで同様の動作を繰り返す。
本実施形態では、印刷時において、インクヘッド32のノズル33からインクが吐出されたときに、図9のフローチャートの処理が行われる。
図9のステップS101では、吐出制御部74は、インクタンク31内のインクの消費に関する処理中、ここでは印刷中、ダンパー35の貯留室42の圧力が所定の判定圧力より大きい状態で(図6参照)、ノズル33から所定の量のインクを吐出させ、かつ、送液ポンプ39を閉鎖するように制御する。本実施形態では、貯留室42の圧力が所定の判定圧力より大きい場合、すなわちフィラー47がアンヒットのときに、ノズル33からインクが吐出される制御が行われる。そして、所定の量のインクが吐出されたとき、送液ポンプ39が正常の場合、送液ポンプ39は閉鎖された状態となる。ここで、上記所定の量は、特に限定されないが、例えば1/16mlである。
このように、所定の量のインクがノズル33から吐出された後、ステップS103では、判定制御部76は、ダンパー35の検出機構44によって貯留室42の検出圧力を検出し、検出圧力が所定の判定圧力よりも大きいか否かを判定する。本実施形態では、判定制御部76は、フィラーセンサ48によってフィラー47が所定の範囲内に位置していないか否かを判定する。言い換えると、判定制御部76は、フィラー47のアンヒットの状態が維持されているか否かを判定する。
ステップS103において、判定制御部76によってフィラー47がヒットしている(図5参照)と判定された場合、貯留室42の圧力が小さくなっている。貯留室42の圧力が小さくなったということは、インクが吐出されて貯留室42内のインクが減少し、かつ、インクタンク31からのインクが貯留室42に供給されていないことを意味する。インクタンク31からのインクが貯留室42に供給されていないということは、送液ポンプ39が閉鎖していることを意味する。ここでは、インクが吐出されて、送液ポンプ39が正常に閉鎖しているとき、フィラー47がアンヒットの状態からヒットの状態に移行する。このように、判定制御部76によってフィラー47がヒットしていると判定されたとき、送液ポンプ39は正常であると判定することができる。
以上のことから、ステップS103において、判定制御部76によってフィラー47がヒットしていると判定された場合、判定結果をNOとして、印刷を継続する。
一方、ステップS103において、判定制御部76によってフィラー47がアンヒットしている(図6参照)と判定された場合、貯留室42の圧力が維持された状態である。貯留室42の圧力が維持されたということは、インクが吐出されたにも関わらず、貯留室42内のインクが減少していないことを意味する。貯留室42内のインクが減少していないのは、インクタンク31からのインクが貯留室42に供給されたと推察される。ステップS101において、送液ポンプ39は閉鎖するように制御されているため、送液ポンプ39が正常に閉鎖されている場合、インクタンク31からのインクが貯留室42に供給されない。しかし、この場合では、インクタンク31からインクが供給されたため、送液ポンプ39に異常が発生し、正常に閉鎖していないと考えられる。このように判定制御部76によってフィラー47がアンヒットしていると判定されたとき、送液ポンプ39に異常が発生していると判定することができる。このように送液ポンプ39に異常が発生している状態で、印刷が継続されると、インクヘッド32のノズル33からインクが漏れるおそれがあり得る。
そこで、ステップS103において、判定制御部76によってフィラー47がアンヒットしていると判定された場合、判定結果をYESとして、次にステップS105の処理を行う。ステップS105では、印刷停止部78は、印刷を停止する。ここでは、印刷停止部78は、予め指定された画像を媒体5に印刷する処理を停止し、例えば開閉バルブ38を閉鎖するように制御する。そして、印刷停止部78は、インクヘッド32がホームポジションHP(図2参照)に移動するようにキャリッジ移動機構21を制御する。インクヘッド32がホームポジションHPに移動し、かつ、ホームポジションHPで待機したとき、キャッピング制御部80は、ノズル面34にキャップ51を装着させるようにキャッピング機構52を制御する。本実施形態では、キャッピング制御部80は、キャップ51を上昇させるようにキャッピング機構52を制御する。そして、ノズル33を覆うようにノズル面34にキャップ51が装着されたとき、キャッピング制御部80は、キャップ51の移動を停止させる。このことで、ノズル33はキャップ51によって覆われた状態となり、例えばノズル33からインクが漏れた場合であっても、ノズル33から漏れたインクは、キャップ51内に排出される。
このように、印刷を停止し、かつ、ノズル面34にキャップ51を装着させた後、ステップS107では、エラー処理実行部82は、所定のエラー処理を行う。このエラー処理の具体的な処理は特に限定されない。例えば、エラー処理実行部82は、エラー処理として、送液ポンプ39に異常が発生した旨のエラー通知を利用者に行う。なお、利用者にエラー通知を行う具体的な手段は特に限定されない。例えばエラー処理実行部82は、操作パネル12の表示画面(図示せず)に所定のエラーメッセージを表示してもよい。例えばエラー処理実行部82は、本体10に設けられたブザー(図示せず)を介して、エラー音を発するように制御してもよいし、本体10に設けられたLEDなどの光源を点灯させることで、エラー通知を行ってもよい。
なお、エラー処理として、所定のリカバリ動作が行われてもよい。このリカバリ動作は、例えばクリーニング動作である。エラー処理実行部82は、例えばクリーニング動作として、ワイピング動作やフラッシング動作を行う。エラー処理実行部82は、ワイピング動作として、ワイパー60によってノズル面34をワイピングする。ここでは、エラー処理実行部82は、ワイピング機構61(図7参照)の上方にインクヘッド32が移動するように、キャリッジ移動機構21を制御する。そして、インクヘッド32がワイピング機構61の上方を通過するとき、エラー処理実行部82は、ワイパー60を回転させ、ワイパー60でインクヘッド32のノズル面34をワイピングする。
エラー処理実行部82は、フラッシング動作として、インクヘッド32のノズル面34にキャップ51が装着された状態で、ノズル33から所定のフラッシング量のインクをキャップ51内に吐出させる。所定のフラッシング量は、予め設定されている量であり、記憶部71に記憶されている。所定のフラッシング量は、インクの種類やダンパー35の種類、形状、大きさなどによって設定される。以上のように、エラー処理の一部として、クリーニング動作が行われてもよい。また、エラー処理実行部82は、リカバリ動作として、送液ポンプ39の内部チューブがローラに押し潰されて送液ポンプ39が閉鎖するように送液ポンプ39を制御してもよい。
以上、本実施形態では、図4に示すように、インクヘッド32のノズル面34がインクタンク31よりも下方に配置されている。そのため、ノズル33から所定の量のインクが吐出され、かつ、送液ポンプ39が正常に閉鎖すると、貯留室42の圧力が小さくなり、所定の判定圧力以下になる。一方、ノズル33から所定の量のインクが吐出されて、送液ポンプ39が閉鎖しないなどのポンプの異常が発生していると、貯留室42にインクタンク31からのインクが流入するため、貯留室42の圧力は所定の判定圧力よりも大きいままである。よって、ノズル33から所定の量のインクを吐出させた後の貯留室42の圧力を判定することで、送液ポンプ39に異常が発生しているか否かを判定することができる。そして、送液ポンプ39に異常が発生した場合、印刷が停止されるため、インクヘッド32に不具合が発生した状態でインクを消費する処理が継続することを軽減することができる。
仮に送液ポンプ39に異常が発生した状態で印刷が継続されると、インクヘッド32のノズル33からインクが漏れるおそれがあり、ノズル33から漏れたインクが媒体5に付着し、印刷物の品質が低下することがあり得る。しかしながら、本実施形態では、送液ポンプ39に異常が発生した場合、印刷が停止されるため、ノズル33からインクが漏れ難い。
本実施形態では、キャッピング制御部80は、判定制御部76によって貯留室42の検出圧力が判定圧力よりも大きいと判定された場合、ノズル面34にキャップ51を装着させるようにキャッピング機構52を制御する。このことによって、仮にノズル33からインクが漏れた場合であっても、ノズル33から漏れたインクはキャップ51内に排出される。よって、仮にノズル33からインクが漏れた場合であっても、漏れたインクが媒体5などに付着し難い。
本実施形態では、判定制御部76は、フィラーセンサ48によってフィラー47が所定の範囲内に位置していないか否かを判定することで、貯留室42の圧力が所定の判定圧力より大きいか否かを判定している。このことによって、フィラーセンサ48によって貯留室42の圧力が所定の判定圧力より大きいか否かを容易に判定することができる。本実施形態では、ダンパー35の貯留室42の圧力から送液ポンプ39の異常を検出している。ダンパー35は、印刷時のインク吐出時に使用されるものである。このように、送液ポンプ39の異常を検出するための専用のセンサを設けることなく、印刷時に使用されるダンパー35を使用して、送液ポンプ39の異常を検出することができる。よって、部品点数を削減することができる。
本実施形態では、エラー処理実行部82は、判定制御部76によって貯留室42の検出圧力が判定圧力よりも大きいと判定された場合、所定のエラー処理を行う。エラー処理実行部82は、この所定のエラー処理として、例えば利用者にエラー通知を行う。このことによって、利用者は、送液ポンプ39に異常が発生したことによって印刷が停止されたことを認識し易い。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るプリンタ200について説明する。図10は、第2実施形態に係るプリンタ200のインク供給システム130を示す模式図であり、図4相当図である。プリンタ200は、複数のインク供給システム130を備えている。図10には、複数のインク供給システム130のうち1つのインク供給システム130が図示されている。インク供給システム130は、第1実施形態のインク供給システム30と同様に、インクタンク31と、インクヘッド32と、ダンパー35と、インク流路36と、開閉バルブ38と、送液ポンプ39とを備えている。インクタンク31、インクヘッド32、ダンパー35、インク流路36、開閉バルブ38および送液ポンプ39のそれぞれの構成は、第1実施形態と同様のため、ここでの説明は省略する。
本実施形態では、第1実施形態と異なり、インクヘッド32は、図10に示すようにインクタンク31よりも上方に配置されている。インクヘッド32のノズル面34は、インクタンク31よりも上方に配置されている。詳しくは、ノズル面34は、インクタンク31の水頭値よりも上方に配置されている。
本実施形態では、インク供給システム130は、制御装置170を備えている。制御装置170は、コンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えている。ここでは、制御装置170は、第1実施形態の制御装置70と同様の構成を有している。すなわち、制御装置170は、図8に示すように、記憶部71と、印刷開始部72と、吐出制御部74と、判定制御部76と、印刷停止部78と、キャッピング制御部80と、エラー処理実行部82とを備えている。
次に、本実施形態において、開閉可能な送液ポンプ39の異常を検出する制御について図11のフローチャートに沿って説明する。以下の説明では、インクタンク31内のインクが消費される処理の一例として印刷を挙げ、印刷中において実行される制御であって、送液ポンプ39の異常を検出する制御について説明する。
本実施形態では、印刷中、フィラー47がヒットしているとき(図5参照)、すなわち、貯留室42の圧力が判定圧力以下のとき、ノズル33からインクが吐出される制御が行われる。図11のステップS201では、吐出制御部74は、印刷中、貯留室42の圧力が所定の判定圧力以下の場合において、ノズル33から所定の量のインクを吐出させ、かつ、送液ポンプ39を閉鎖するように制御する。
このように、所定の量のインクがノズル33から吐出された後、ステップS203では、判定制御部76は、ダンパー35の検出機構44によって貯留室42の検出圧力を検出し、検出圧力が所定の判定圧力以下であるか否かを判定する。本実施形態では、判定制御部76は、フィラーセンサ48によってフィラー47が所定の範囲内に位置しているか否かを判定する。言い換えると、判定制御部76は、フィラー47のヒットの状態が維持されているか否かを判定する。
ステップS203において、判定制御部76によってフィラー47がアンヒットしている(図6参照)と判定された場合、貯留室42の圧力が大きくなっている。本実施形態において貯留室42の圧力が大きくなったということは、インクが吐出されて貯留室42内のインクが減少し、かつ、インクタンク31からのインクが貯留室42に供給されていない、すなわち送液ポンプ39が閉鎖していることを意味する。ここでは、インクが吐出されて、送液ポンプ39が正常に閉鎖しているとき、フィラー47がヒットの状態からアンヒットの状態に移行する。このように、判定制御部76によってフィラー47がアンヒットしていると判定されたとき、送液ポンプ39は正常であると判定することができる。そのため、ステップS203において、判定制御部76によってフィラー47がアンヒットしていると判定された場合、判定結果をNOとして、印刷を継続する。
一方、ステップS203において、判定制御部76によってフィラー47がヒットしている(図5参照)と判定された場合、貯留室42の圧力が維持された状態である。貯留室42の圧力が維持されたということは、インクが吐出されたにも関わらず、貯留室42内のインクが減少していない、すなわちインクタンク31からのインクが貯留室42に供給されていることを意味する。送液ポンプ39が正常に閉鎖している場合、インクタンク31からのインクが貯留室42に供給されないため、この場合、送液ポンプ39に異常が発生し、送液ポンプ39が正常に閉鎖していないと考えられる。よって、このように判定制御部76によってフィラー47がヒットしていると判定されたとき、送液ポンプ39に異常が発生していると判定することができる。
そこで、ステップS203において、判定制御部76によってフィラー47がヒットしていると判定された場合、判定結果をYESとして、次にステップS205の処理を行う。ステップS205では、印刷停止部78は、印刷を停止する。キャッピング制御部80は、ノズル面34にキャップ51を装着させるようにキャッピング機構52を制御する。なお、ステップS205の処理は、図9のステップS105の処理と同様のため、ここでの説明は省略する。
次に、ステップS207では、エラー処理実行部82は、所定のエラー処理を行う。このエラー処理は、第1実施形態と同様の処理であり、例えば送液ポンプ39に異常が発生した旨のエラー通知を利用者に行う。また、このエラー処理は、上述のようなリカバリ動作であってもよい。なお、ステップS207の処理は、図9のステップS107の処理と同様のため、ここでの説明は省略する。
以上、本実施形態では、図10に示すように、インクヘッド32のノズル面34がインクタンク31よりも上方に配置されている。そのため、ノズル33から所定の量のインクが吐出され、かつ、送液ポンプ39が正常に閉鎖していると、貯留室42の圧力が大きくなり、所定の判定圧力よりも大きくなる。一方、ノズル33から所定の量のインクが吐出されて、送液ポンプ39が閉鎖していないなどの送液ポンプ39の異常が発生していると、貯留室42にインクタンク31からのインクが流入するため、貯留室42の圧力は所定の判定圧力以下のままである。よって、ノズル33から所定の量のインクを吐出させた後の貯留室42の圧力を判定することで、送液ポンプ39に異常が発生しているか否かを判定することができる。そして、送液ポンプ39に異常が発生した場合、印刷を停止するため、インクヘッド32に不具合が発生した状態でインクを消費する処理が継続することを軽減することができる。
本実施形態では、仮に送液ポンプ39に異常が発生した状態で印刷が継続されると、インクヘッド32のノズル33に空気が入り込むことがある。このことによって、いわゆるノズル抜けが発生するおそれがある。ノズル抜けが発生すると、印刷物の品質が低下する。しかしながら、本実施形態では、送液ポンプ39に異常が発生した場合、印刷が停止されるため、ノズル抜けが発生し難い。
本実施形態では、キャッピング制御部80は、判定制御部76によって貯留室42の検出圧力が判定圧力以下と判定された場合、ノズル面34にキャップ51を装着させるようにキャッピング機構52を制御する。このことによって、送液ポンプ39に異常が発生した場合には、ノズル33はキャップ51に覆われているため、ノズル33から空気が入り込み難い。
本実施形態では、判定制御部76は、フィラーセンサ48によってフィラー47が所定の範囲内に位置しているか否かを判定することで、貯留室42の圧力が所定の判定圧力以下であるか否かを判定している。このことによって、フィラーセンサ48によって貯留室42の圧力が所定の判定圧力以下であるか否かを容易に判定することができる。本実施形態では、ダンパー35の貯留室42の圧力から、送液ポンプ39の異常を検出している。ダンパー35は、印刷時のインク吐出時に使用されるものである。このように、送液ポンプ39の異常を検出するための専用のセンサを設けることなく、印刷時に使用されるダンパー35を使用して、送液ポンプ39の異常を検出することができる。よって、部品点数を削減することができる。
本実施形態では、エラー処理実行部82は、判定制御部76によって貯留室42の検出圧力が判定圧力以下と判定された場合、所定のエラー処理として、例えば利用者にエラー通知を行う。このことによって、利用者は、送液ポンプ39に異常が発生したことによって印刷が停止されたことを認識し易い。
上記各実施形態において、制御装置70、170の記憶部71、印刷開始部72、吐出制御部74、判定制御部76、印刷停止部78、キャッピング制御部80およびエラー処理実行部82をコンピュータに実現させるための送液ポンプ39の異常検出用のコンピュータプログラムが含まれる。
上記各実施形態では、本発明の検出機構は、ダンパー35のフィラーセンサ48を有していた。しかしながら、本発明の検出機構は、ダンパー35の貯留室42の圧力を検出する圧力センサを有していてもよい。この場合、圧力センサによって貯留室42の圧力を数値で取得することができる。