JP2020131436A - 積層フィルム、熱収縮性積層フィルム、包装資材、成形品、容器 - Google Patents
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Abstract
Description
また、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
また、本明細書における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものとする。
本発明の積層フィルムは、ポリエステル系樹脂(A)を主成分とする樹脂組成物からなる(I)層、ポリスチレン系樹脂(B)を主成分とする樹脂組成物からなる(II)層、ポリウレタン系樹脂成分(C−1)とポリスチレン系樹脂成分(C−2)とを含む樹脂組成物からなる(III)層が、(I)/(III)/(II)の順に隣接した、少なくとも3層を有する積層フィルムである。
本発明では、(I)層は、ポリエステル系樹脂(A)を主成分とする樹脂組成物からなる層である。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)は、主鎖にエステル結合を有する樹脂であれば、特にその種類を限定するものではない。例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクタム等のポリエステル系樹脂などを挙げることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレートや、ポリブチレンテレフタレートなどの、ジカルボン酸残基と多価アルコール残基をとから誘導されるポリエステル系樹脂であることが好ましい。
ジカルボン酸残基の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、エチレン−ビス−p−安息香酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそれらのエステル誘導体から誘導される残基が挙げられる。これらのジカルボン酸残基は、1種を単独で、または2種以上を含有していてもよい。中でも、前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジカルボン酸残基としてテレフタル酸残基を含むことが好ましい。
本発明では、(II)層は、ポリスチレン系樹脂(B)を主成分とする樹脂組成物からなる層である。
本発明で用いられるポリスチレン系樹脂(B)は、芳香族ビニル炭化水素を有する樹脂であれば、特にその種類を限定するものではない。芳香族ビニル炭化水素としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−、m−又はo−メチルスチレン)、ポリ(2,4−、2,5−、3,4−又は3,5−ジメチルスチレン)、ポリ(p−t−ブチルスチレン)等のポリアルキルスチレン;ポリ(o−、m−又はp−クロロスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−ブロモスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−フルオロスチレン)、ポリ(o−メチル−p−フルオロスチレン)等のポリハロゲン化スチレン;ポリ(o−、m−又はp−クロロメチルスチレン)等のポリハロゲン化置換アルキルスチレン;ポリ(p−、m−又はo−メトキシスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−エトキシスチレン)等のポリアルコキシスチレン;ポリ(o−、m−、又はp−カルボキシメチルスチレン)等のポリカルボキシアルキルスチレン;ポリ(p−ビニルベンジルプロピルエーテル)等のポリアルキルエーテルスチレン;ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)等のポリアルキルシリルスチレン;さらにはポリビニルベンジルジメトキシホスファイド等が挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂(B)は、これらの芳香族ビニル炭化水素の単独重合体、共重合体及び/又は芳香族ビニル炭化水素以外の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。本発明においては、積層フィルムの剛性の観点から、前記ポリスチレン系樹脂(B)の芳香族ビニル炭化水素の含有量が50質量%以上であることが好ましい。
また、本発明の(II)層で用いられるポリスチレン系樹脂(B)に、汎用ポリスチレン(GPPS)を含有する場合、GPPSのTg(損失弾性率E”のピーク温度)が100℃程度と非常に高いため、熱収縮特性の観点から、混合するGPPSの含有率は、(II)層を構成する樹脂総量の20質量%以下、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下とすることが望ましい。
本発明のフィルムの(II)層は、前記ポリエステル系樹脂(A)と前記ポリスチレン系樹脂(B)の相溶化を促進する相溶化剤をさらに含有し、前記相溶化剤が、下記(a)〜(f)の少なくとも1種であることが好ましい
(a)オキサゾリン基含有スチレン系共重合体
(b)スチレン−無水マレイン酸共重合体
(c)ポリエステル系エラストマーまたは変性ポリエステル系エラストマー
(d)ポリスチレン系エラストマーまたは変性ポリスチレン系エラストマー
(e)ポリウレタン系樹脂−ポリスチレン系樹脂共重合体
(f)幹成分と枝成分が異なるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分、または枝成分が、ポリエステル系樹脂、またはポリスチレン系樹脂からなる樹脂組成物
本発明では、(III)層は、ポリウレタン系樹脂成分(C−1)とポリスチレン系樹脂成分(C−2)とを含む樹脂組成物からなる層である。
前記ポリウレタン系樹脂成分(C−1)は、イソシアネートとポリオールとがウレタン結合により結合した重合体成分である。また、イソシアネートと鎖延長剤とがウレタン結合により結合したハードセグメントと、イソシアネートとポリオールとがウレタン結合により結合したソフトセグメントを繰り返し単位とする共重合体成分なども挙げられる。これらの重合体単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
前記ポリスチレン系樹脂成分(C−2)は、芳香族ビニル炭化水素を有する重合体成分である。芳香族ビニル炭化水素としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−、m−又はo−メチルスチレン)、ポリ(2,4−、2,5−、3,4−又は3,5−ジメチルスチレン)、ポリ(p−t−ブチルスチレン)等のポリアルキルスチレン;ポリ(o−、m−又はp−クロロスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−ブロモスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−フルオロスチレン)、ポリ(o−メチル−p−フルオロスチレン)等のポリハロゲン化スチレン;ポリ(o−、m−又はp−クロロメチルスチレン)等のポリハロゲン化置換アルキルスチレン;ポリ(p−、m−又はo−メトキシスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−エトキシスチレン)等のポリアルコキシスチレン;ポリ(o−、m−、又はp−カルボキシメチルスチレン)等のポリカルボキシアルキルスチレン;ポリ(p−ビニルベンジルプロピルエーテル)等のポリアルキルエーテルスチレン;ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)等のポリアルキルシリルスチレン;さらにはポリビニルベンジルジメトキシホスファイド等が挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂成分(C−2)は、これらの芳香族ビニル炭化水素の単独重合体、共重合体及び/又は芳香族ビニル炭化水素以外の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
前記ポリスチレン系樹脂成分(C−2)が芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体、または、その水添物である場合、共役ジエン系炭化水素ブロック、またはその水添物ブロックは、これらの共役ジエン系炭化水素、またはその水添物の単独重合体、共重合体及び/又は共役ジエン系炭化水素以外の共重合可能なモノマーをブロック内に含んでいてもよい。
本発明の積層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲において、各層を構成する樹脂組成物には、主成分となる樹脂以外の他の樹脂を含有することを許容することができる。
他の樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂等が挙げられる。
また、熱可塑性エラストマーが含有されていてもよく、含有し得る熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、動的加硫系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマーや、アクリル系熱可塑性エラストマー、乳酸系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、アイオノマー、及び、これらのブレンドやアロイ、変性物、動的架橋物、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、コアシェル型多層構造ゴムなどが挙げられる。
本発明の積層フィルムは、前記(I)層、前記(II)層、前記(III)層が、(I)/(III)/(II)の順に隣接した、少なくとも3層を有する積層フィルムであれば、層構成は特に限定されるものではない。
また、各層は、共押出によって積層としてもよいし、別工程で得たフィルムをプレスやラミネートなどにより積層してもよい。また、上述したその他の層としては、不織布、紙、金属などを積層してもよい。
なお、本明細書において「少なくとも1方向」とは、積層フィルムの押出機からの流れ方向(MD)を縦方向、その直交方向(TD)としたとき、縦方向と横方向のいずれか又は両方向を意味し、「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの熱収縮率が大きい方向を意味する。
本発明の積層フィルム、及び、本発明の熱収縮性積層フィルムは、従来公知の製造方法において条件を適宜変更して製造することができ、特に製造方法が限定されるものではないが、前記(I)層を構成する樹脂組成物と前記(II)層を構成する樹脂組成物と前記(III)層を構成する樹脂組成物とを(I)/(III)/(II)の順に隣接するように同時又は逐次的に積層して積層フィルムを作製することができる。次いで該積層フィルムを加熱し、少なくとも1軸方向に延伸して得られるより熱収縮性積層フィルムを作製することができる。
また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状フィルムを製造する方法も適用できる。また、前記積層フィルムは、各層を構成する樹脂を別々にフィルム状にした後にプレス法やロールニップ法などを用いて積層して逐次的に作製することもできる。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上であることが重要である。また、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率は、40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。また、90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。
また、該主収縮方向は、熱収縮フィルムの押出機からの流れ方向(MD)を縦方向、その直交方向(TD)としたとき、押出機からの直交方向(TD)であることが好ましい。容器の収縮ラベルは、収縮加工工程において比較的短時間(数秒〜十数秒程度)で収縮する必要がある。熱収縮率は、熱収縮性フィルムが収縮ラベル用途に適応できるかどうかの可能性を判断する際の指標となる。すなわち、容器のラベル装着用途に工業的に最も多く用いられている収縮加工機は、収縮加工を行う加熱媒体として水蒸気を用いる蒸気シュリンカーと一般に呼ばれているものであり、熱収縮性フィルムは被覆対象物への熱の影響等の点からできるだけ短時間で十分熱収縮することが必要である。
このような工業生産性を考慮すると、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上であれば、収縮加工時間内に十分に被覆対物に密着することができると判断することができるため、重要となる。
また、70℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率は10%以上50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることがより好ましく、10%以上30%以下であることがさらに好ましい。
また、50℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
また、70℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率の下限を10%以上とすることで熱収縮力が大きくなるため、例えば積層フィルムを前記の容器用ラベルとして用いた場合に、熱収縮工程でフィルムが天面の方向にずれ上がってしまうことがなく好ましい。一方、70℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率の上限を50%以下とすることで、低温域で急激に熱収縮が起きることなく好ましい。
また、50℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が5%以下であれば、フィルムの自然収縮率が小さく抑えられるので、ロール状に巻いて保管した際の巻き絞まりや、ロール端面が不揃いとなる外観不良を引き起こすことがなく好ましい。
本発明の熱収縮性積層フィルムの透明性はJIS K7105に準拠して測定されたヘイズ値により評価され、ヘイズ値は10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下がさらに好ましい。ヘイズ値が10%以下であれば、良好な透明性を得られ、美麗な印刷等が可能となる。
(常温引張破断伸度)
本発明の熱収縮性積層フィルムは、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/分の条件下で、JISK7127に準拠して測定される、主収縮方向に直交する方向の引張破断伸度が、100%以上であることが好ましい。より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上である。23℃環境下での引張破断伸度が上記範囲内であれば、印刷・製袋などの工程時にフィルム状物が破断するなどの不具合が生じにくく、好ましい。また被覆物との密着部分から破袋等が発生しにくく、好ましい。なお、主収縮方向に直交する方向は、フィルム状物の引き取り(流れ)方向(又は、MD)であることが好ましい。
雰囲気温度23℃での引張破断伸度を上記範囲とするには、配合の調整、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整などを適宜行うことによって調整できる。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、雰囲気温度0℃、引張速度100mm/分の条件下で、JISK7127に準拠して測定される、主収縮方向に直交する方向の引張破断伸度が、100%以上であることが好ましく、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上である。0℃環境下での引張破断伸度が上記範囲内であれば、印刷・製袋などの工程時にフィルム状物が破断するなどの不具合が生じにくく、好ましい。また被覆物との密着部分から破袋等が発生しにくく、好ましい。なお、主収縮方向に直交する方向は、フィルム状物の引き取り(流れ)方向(又は、MD)であることが好ましい。
雰囲気温度0℃での引張破断伸度を上記範囲とするには、配合の調整、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整などを適宜行うことによって調整できる。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、雰囲気温度−10℃、引張速度100mm/分の条件下で、JISK7127に準拠して測定される、主収縮方向に直交する方向の引張破断伸度が、100%以上であることが好ましい。より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上である。−10℃環境下での引張破断伸度が上記範囲内であれば、印刷・製袋などの工程時にフィルム状物が破断するなどの不具合が生じにくく、高速化されたラインにおいても耐破断性を維持できるため、好ましい。また被覆物との密着部分から破袋等が発生しにくく、好ましい。なお、主収縮方向に直交する方向は、フィルム状物の引き取り(流れ)方向(又は、MD)であることが好ましい。
雰囲気温度−10℃での引張破断伸度を上記範囲とするには、配合の調整、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整などを適宜行うことによって調整できる。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、フィルムの腰(常温での剛性)の観点から、フィルム主収縮方向と直交する方向(以下「直交方向」ともいう)の、雰囲気温度23℃における引張弾性率が1500MPa以上であることが好ましく、1600MPa以上であることがより好ましく、1700MPa以上であることがさらに好ましい。また、フィルム直交方向の引張弾性率の上限は特に制限されないが、通常使用される熱収縮性フィルムの引張弾性率の上限値を考慮すれば、上限値は2500MPa〜3000MPa程度であるのが好ましい。フィルム直交方向の引張弾性率が1500MPa以上であれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)が高く、特にフィルムの厚さを薄くしていった場合にも、容器に製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際に斜めに被る、フィルムの腰折れ等で歩留まりが低下しやすい等の問題点が発生し難く、好ましい。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、80℃シリコンオイルに10秒間浸漬したときのフィルム主収縮方向の最大収縮応力が10MPa以下、好ましくは8MPa以下、さらに好ましくは6MPa以下であることが好ましい。一方、フィルム主収縮方向の最大収縮応力の下限は、ボトルと熱収縮性フィルムとの密着性を維持する観点から0.5MPa以上であることが好ましい。フィルム主収縮方向の最大収縮応力が10MPa以下であれば、蒸気シュリンカーでのラベル装着時、シュリンカー内の温度斑に対して、フィルムの収縮挙動の異なる部位が発生し難く、斑、皺、アバタ等が発生し難いため、収縮仕上がりが良好となりやすい。
本発明の積層フィルムの層間剥離強度は、23℃50%RH環境下で、T型剥離法にて試験速度50mm/分で剥離する方法を用いて評価する。一般的に剥離試験では、180度剥離法とT型剥離法があるが、本発明者らが評価確認した結果、180度剥離法と比較し、T型剥離法の方が、層間剥離強度が低く算出される傾向が見られた。今回の評価においては、強度が低く算出されるT型剥離法においても、高い層間剥離強度を有するように鋭意検討を行った。本発明の積層フィルムの層間剥離強度は、0.5N/10mm幅以上が好ましく、0.6N/10mm幅以上がより好ましく、0.7N/10mm幅以上がさらに好ましい。また、本発明の熱収縮性積層フィルムの層間剥離強度は、23℃50%RH環境下で、T型剥離法にて試験速度50mm/分で剥離する方法を用いて評価される。層間剥離強度は、1.0N/15mm幅以上が好ましく、1.2N/15mm幅以上がより好ましく、1.4N/15mm幅以上がさらに好ましい。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、各種用途への利用が可能であるが、好ましくは、フィルムの片面又は両面に印刷層を形成して、ガラス製容器やペットボトル等のプラスチック製容器に装着する熱収縮性ラベルなどの包装資材を形成することができる。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、フィルムの腰(常温での剛性)、耐指紋白化性、収縮仕上がり性、透明性、再生添加性等の機械的強度等に優れ、かつ自然収縮及び収縮応力が小さいため、成形品又は容器に装着する際、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)の成形品又は容器であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗に装着する包装資材とすることができる。よって、本発明の熱収縮性積層フィルムを装着する対象物としては、例えば瓶、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器など、様々な形状の成形品又は容器が挙げられる。
特に本発明の熱収縮性積層フィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用又は食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用の収縮性ラベルとして用いた場合には、前述のように複雑な形状であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる点で特に優れている。
JISK7136に準拠して、実施例、比較例で採取した熱収縮性積層フィルムのヘイズ値を測定した。
得られた熱収縮性積層フィルムをMDに120mm、TDに15mmの大きさに切り出し、JISK7127に準拠し、引張速度200mm/minで、雰囲気温度23℃におけるフィルムのMDの引張破断強度、引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定した。
得られた熱収縮性積層フィルムをTDに120mm、MDに15mmの大きさに切り出し、JISK7127に準拠し、引張速度200mm/minで、雰囲気温度23℃におけるフィルムのTDの引張破断強度、引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定した。
得られた熱収縮性積層フィルムをMDに120mm、TDに15mmの大きさに切り出し、JISK7127に準拠し、引張速度100mm/minで雰囲気温度0℃におけるフィルムの引き取り方向(MD)の引張破断強度、引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定した。
得られた熱収縮性積層フィルムをMDに120mm、TDに15mmの大きさに切り出し、JISK7127に準拠し、引張速度100mm/minで雰囲気温度−10℃におけるフィルムの引き取り方向(MD)の引張破断強度、引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定した。
得られた熱収縮性積層フィルムをMD10mm、TD200mmの大きさに切り取り、50℃、70℃、80℃、100℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、TDの収縮量を測定した。熱収縮率は、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。また、得られた熱収縮性フィルムをMD200mm、TD10mmの大きさに切り取り、TDの熱収縮率測定と同様の測定条件にて、MDの熱収縮率を測定した。
実施例、比較例で採取した積層フィルム、及び、熱収縮性積層フィルムの層間剥離強度を測定した。測定は、23℃50%RH環境下で、T型剥離法にて試験速度50mm/分で剥離する方法にて行い、積層フィルムのサンプル幅は10mm、熱収縮性積層フィルムのサンプル幅は15mmにて、積層フィルムのTDに剥離することで層間剥離強度の算出を行った。層間剥離強度の算出は、剥離試験にて得られる荷重がある程度一定となったところの平均値を層間剥離強度とした。
<ポリエステル系樹脂(A)>
・共重合ポリエステル、商品名;SKYGREEN PETG S2008(SK Chemicals社製)、以下「a−1」と略する。
・共重合ポリエステル、商品名:EmbreceLV(イーストマンケミカル社製)、以下「a−2」と略する。
<ポリスチレン系樹脂(B)>
・スチレン/ブタジエン=82質量%/18質量%、貯蔵弾性率E’(0℃):2.14×109Pa、損失弾性率E”のピーク温度74℃のスチレン−ブタジエン共重合体、以下「b−1」という。
・スチレン−ブタジエン共重合体、商品名;アサフレックス830(旭化成ケミカルズ社製)、以下「b−2」という。
<ポリウレタン系樹脂>
・エーテル系ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、商品名;エラストラン1195A10TR(BASF社製)、以下「TPU−1」という。
・エーテル系ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、商品名;エラストランET−385−10(BASF社製)、以下「TPU−2」という。
・エステル系ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、商品名;エラストランC85A10(BASF社製)、以下「TPU−3」という。
・エステル系ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、商品名;エラストランET595−10U(BASF社製)、以下「TPU−4」という。
<ポリウレタン系樹脂成分(C−1)とポリスチレン系樹脂成分(C−2)とを含む樹脂組成物>
・下記ポリウレタン系樹脂成分と下記ポリスチレン系樹脂成分の共重合体を使用した。
「ポリウレタン系樹脂成分」:4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とアジピン酸と1,4−ブタンジオールとで構成されるウレタン系熱可塑性エラストマー、「ポリスチレン系樹脂成分」:スチレン/共役ジエン系炭化水素の水添物=32質量%/68質量%のスチレン−共役ジエン系炭化水素の水添物共重合体、「ポリウレタン系樹脂成分」/「ポリスチレン系樹脂成分」=45質量%/55質量%、以下、「D−1」という。
ポリエステル系樹脂「a−1」100質量%を、設定温度を210℃とした2軸押出機に導入し、溶融混練を行い、溶融樹脂をTダイ(口金)から72℃に設定したキャストロールで引き取り、冷却固化させて厚さ200μmのフィルムを得た。
ポリスチレン系樹脂「b−1」100質量%を、設定温度を210℃とした2軸押出機に導入し、溶融混練を行い、溶融樹脂をTダイ(口金)から70℃に設定したキャストロールで引き取り、冷却固化させて厚さ200μmのフィルムを得た。
ポリエステル系樹脂「a−2」65質量%、ポリスチレン系樹脂「b−2」35質量%を、設定温度を210℃とした2軸押出機に導入し、溶融混練を行い、溶融樹脂をストランドダイからストランドを引き取り、水槽にて冷却固化させた後、ペレタイザーにてコンパウンドペレットを得た。以下、該ペレット(ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂の混合物)を「CPD−1」という。
保護フィルムとして、ユーピレックス50S(宇部興産社製)2枚を用いて、ポリウレタン系樹脂成分とポリスチレン系樹脂成分の共重合体「D−1」5gを、上記保護フィルムに挟み、温度210℃、圧力20MPaに設定した熱プレス機にて3分間プレスし、厚さ200μmのフィルムを得た。
実験例4で用いた「D−1」を、「TPU−1」に変更した以外は、実験例4と同様の手法にて、厚さ200μmのフィルムを得た。
実験例4で用いた「D−1」を、「TPU−4」に変更した以外は、実験例4と同様の手法にて、厚さ200μmのフィルムを得た。
実験例4で用いた「D−1」を、「CPD−1」に変更した以外は、実験例4と同様の手法にて、厚さ200μmのフィルムを得た。
実験例1で得た「a−1」フィルム、実験例4で得た「D−1」フィルム、実験例2で得た「b−1」フィルムと、実験例4で用いた保護フィルムを用いて、保護フィルム/「a−1」フィルム/「D−1」フィルム/「b−1」フィルム/保護フィルムの順に重ね合わせ、温度210℃、圧力0.2MPaで10秒間プレスした後、2枚の保護フィルムを剥がして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムを手で剥離しようとした際、「a−1」フィルム/「D−1」フィルム間は剥離できないほど強固に接着していたため、「D−1」フィルム/「b−1」フィルム間で層間剥離強度を評価した。結果を表1に纏める。
実施例1で用いた「D−1」フィルムを、実験例5で得た「TPU−1」フィルムに変更した以外は、実施例1と同様の手法により積層フィルムを得た。得られた積層フィルムを手で剥離しようとした際、「a−1」フィルム/「D−1」フィルム間は剥離できないほど強固に接着していたため、「D−1」フィルム/「b−1」フィルム間で層間剥離強度を評価した。結果を表1に纏める。
実施例1で用いた「D−1」フィルムを、実験例6で得た「TPU−4」フィルムに変更した以外は、実施例1と同様の手法により積層フィルムを得た。得られた積層フィルムを手で剥離しようとした際、「a−1」フィルム/「D−1」フィルム間は剥離できないほど強固に接着していたため、「D−1」フィルム/「b−1」フィルム間で層間剥離強度を評価した。結果を表1に纏める。
実施例1で用いた「D−1」フィルムを、実験例7で得た「CPD−1」フィルムに変更した以外は、実施例1と同様の手法により積層フィルムを得た。得られた積層フィルムを手で剥離しようとした際、「a−1」フィルム/「D−1」フィルム間は剥離できないほど強固に接着していたため、「D−1」フィルム/「b−1」フィルム間で層間剥離強度を評価した。結果を表1に纏める。
3台の単軸押出機(三菱重工業社製)、および3種5層マルチマニホールド口金により、(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層の積層共押出が可能な設備において、(I)層を形成する単軸押出機に、ポリエステル系樹脂「a−1」100質量%を導入し、(II)層を形成する単軸押出機に、ポリスチレン系樹脂「b−1」100質量%を導入し、(III)層を形成する単軸押出機に、ポリウレタン系樹脂成分とポリスチレン系樹脂成分の共重合体「D−1」100質量%を導入し、各押出機設定温度210℃で溶融混合後、各層の厚さが、(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層=25μm/5μm/140μm/5μm/25μmとなるよう共押出し、70℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて厚さ200μmの積層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度97℃、延伸温度88℃で横一軸方向に5.0倍延伸後、76℃にて熱処理を行い、厚さ40μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
実施例2で用いた「D−1」100質量%を、「TPU−1」100質量%に変更し、(III)層を形成する単軸押出機に導入した以外は、実施例2と同様の手法により、厚さ40μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
実施例2で用いた「D−1」100質量%を、「TPU−2」100質量%に変更し、(III)層を形成する単軸押出機に導入した以外は、実施例2と同様の手法により、厚さ40μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
実施例2で用いた「D−1」100質量%を、「TPU−3」100質量%に変更し、(III)層を形成する単軸押出機に導入した以外は、実施例2と同様の手法により、厚さ40μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
実施例2で用いた「D−1」100質量%を、「TPU−4」100質量%に変更し、(III)層を形成する単軸押出機に導入した以外は、実施例2と同様の手法により、厚さ40μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
実施例2で用いた「D−1」100質量%を、「CPD−1」100質量%に変更し、(III)層を形成する単軸押出機に導入した以外は、実施例2と同様の手法により、厚さ40μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
一方、比較例1、2で得られた積層フィルムは、(III)層がポリウレタン系樹脂のみで構成されており、本発明が規定するポリスチレン系樹脂成分(C−2)を含まないため、(I)層/(III)層の層間においては、十分な接着強度を有するものの、(III)層/(II)層との層間接着強度が非常に低く、ほとんど接着力を示さなかった。
また、比較例3で得られた積層フィルムは、(III)層がポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂の混合物で構成されており、発明が規定するポリウレタン系樹脂成分(C−1)が含まれていないため、(III)層/(II)層との層間接着強度が不十分であった。
また、表2より、実施例2で得られた本発明の熱収縮性積層フィルムは、比較例4〜8と比較し、高い剥離強度を有する熱収縮性積層フィルムであることが分かる。また、実施例2で得られた本発明の熱収縮性積層フィルムは、透明性、耐衝撃性、剛性、熱収縮特性の観点からも熱収縮性フィルムとしての機能を十分に達成できることがわかった。
Claims (13)
- ポリエステル系樹脂(A)を主成分とする樹脂組成物からなる(I)層、ポリスチレン系樹脂(B)を主成分とする樹脂組成物からなる(II)層、ポリウレタン系樹脂成分(C−1)とポリスチレン系樹脂成分(C−2)とを含む樹脂組成物からなる(III)層が、(I)/(III)/(II)の順に隣接した、少なくとも3層を有する積層フィルム。
- 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジカルボン酸残基としてテレフタル酸残基を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジオール残基としてエチレングリコール残基を含む、請求項1または請求項2に記載の積層フィルム。
- 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジオール残基として1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記ポリスチレン系樹脂(B)の芳香族ビニル炭化水素の含有量が50質量%以上である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記ポリスチレン系樹脂(B)が芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記ポリウレタン系樹脂成分(C−1)を構成するイソシアネートの主成分が芳香族イソシアネートである、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記ポリスチレン系樹脂成分(C−2)を100質量%としたとき、ポリスチレン系樹脂成分(C−2)の芳香族ビニル炭化水素の含有量が1質量%以上50質量%以下である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記(III)層を構成する樹脂組成物100質量%としたとき、前記ポリウレタン系樹脂成分(C−1)が10質量%以上80質量%以下であり、前記ポリスチレン系樹脂成分(C−2)が10質量%以上80質量%であり、前記(C−1)と前記(C−2)の合計が50質量%以上100質量%以下である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の積層フィルムであって、23℃50%RH環境下、T型剥離法にて試験速度50mm/分での層間剥離強度が0.5N/10mm幅以上である積層フィルム。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層フィルムを少なくとも1方向に延伸してなる熱収縮性積層フィルムであって、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上である熱収縮性積層フィルム。
- 請求項11に記載の熱収縮性積層フィルムを用いてなる包装資材。
- 請求項12に記載の包装資材が装着された成形品又は容器。
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