JP2024048823A - 熱収縮性フィルム、包装資材、成形品または容器 - Google Patents

熱収縮性フィルム、包装資材、成形品または容器 Download PDF

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Abstract

【課題】剛性のバランスと優れた包装適性を有する熱収縮性フィルムを提供する。【解決手段】ポリエステル系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、前記ポリエステル系樹脂組成物がジオール残基として、1,3-プロパンジオール骨格を有する残基を少なくとも1種含み、JIS K7122(2012)に準拠して、示差走査熱量測定により、10℃/分で昇温した際の結晶融解ピーク面積から算出される結晶融解エンタルピー(ΔHm)が10J/g以上、JIS K7121(2012)に準拠して、示差走査熱量測定により、10℃/分で昇温した際の結晶融解ピーク温度が170℃以上であり、70℃での主収縮方向における収縮率が10%以上である、熱収縮性フィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、食品用包装材料、飲料用包装材料、医薬・医療用包装材料、化学品用包装材料、化粧品用包装材料、トイレタリー用包装材料、工業用包装材料、農業資材用包装材料等に好適に利用することができる熱収縮性フィルムに関する。
近年、ペットボトルのラベル包装を中心に商品保護と表示を兼ねた熱収縮性フィルムが広く使用されている。このような熱収縮性フィルムには、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂も使用されるが、なかでも印刷時の耐溶剤性に優れたポリエステル系樹脂の使用が増加している。
このような熱収縮性フィルムとして、特定の一方向に大きく収縮させるものが広く利用される。一般に主収縮方向は収縮特性を発現するために、高倍率の延伸が施されるが、主収縮方向と直交する方向(以下、単に「直交方向」と称する場合がある)に関しては、充分な延伸を行わないため、直交方向の剛性が低い傾向にある。そのような中、近年の低コスト化、環境問題を踏まえた省資源化の観点から、ラベル包装には薄肉化の要望が高まっている。しかしながら、薄肉化に伴い直交方向の剛性は、更なる低下を生じるため、フィルム全体での剛性のバランスがより低下し、ボトルへのラベル包装時に折跡をはじめとした不具合を生じていた。また、熱収縮性フィルムは、直交方向にも僅かに収縮特性を有するため、ペットボトルの頭頂部や底面部に収縮後のフィルムが残らず、しっかりとボトル容器全面を包装できない問題があった。
このような剛性向上の取り組みとして、特許文献1では、ポリエステル系樹脂を50重量%以上含有する5~65層の積層構成からなるフィルムが開示されており、多層構造とすることで、厚さが薄い場合でも高い剛性を維持できるとしている。しかしながら、複雑な多層構造とすることで、製造工程では高コストを要し、また、近年のモノマテリアル化によるリサイクル促進にも反するため、改善の余地がある。
また、特許文献2では、非晶質成分となりうるモノマー成分を15モル%以上含有したポリエステル系樹脂フィルムが開示されており、長手方向の機械強度に優れるとしている。長手方向の機械強度向上に特殊な延伸方法が明示されているが、延伸時の分子鎖配向に伴う機械強度向上は一般的に知られており、基材構成に対する言及には乏しいため、改善の余地がある。
特開2015-179135号公報 特開2008-291200号公報
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、剛性のバランスに優れ、それによって優れた包装適性の熱収縮性フィルムを提供することを課題とする。
本発明は、以下の[1]~[14]を提供する。
[1] ポリエステル系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、前記ポリエステル系樹脂組成物がジオール残基として、1,3-プロパンジオール骨格を有する残基を少なくとも1種含み、JIS K7122(2012)に準拠して、示差走査熱量測定により、10℃/分で昇温した際の結晶融解ピーク面積から算出される結晶融解エンタルピー(ΔHm)が10J/g以上、JIS K7121(2012)に準拠して、示差走査熱量測定により、10℃/分で昇温した際の結晶融解ピーク温度が170℃以上であり、70℃での主収縮方向における収縮率が10%以上である、熱収縮性フィルム。
[2] 前記熱収縮性フィルムのJIS P8126(2015)に準拠して測定した主収縮方向と直交する方向のリングクラッシュ圧縮強さを、前記熱収縮性フィルムの厚さの三乗で割った値が、9.5×10-5N/μm3以上である、[1]に記載の熱収縮性フィルム。
[3] 前記1,3-プロパンジオール骨格を持つ残基が、ネオペンチルグリコール、2,2ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の残基である、[1]または[2]に記載の熱収縮性フィルム。
[4] 前記1,3-プロパンジオール骨格を有する残基の含有量が、ポリエステル系樹脂組成物に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、5モル%以上28モル%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
[5] 前記ジオール残基として、さらにジエチレングリコール残基を含み、前記ジエチレングリコール残基の含有量が、ポリエステル系樹脂組成物に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、2モル%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
[6] JIS K7127(1999)に準拠して測定した主収縮方向と直交する方向の引張強度が90MPa以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
[7] JIS K7161-1(2014)に準拠して測定した主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が2200MPa以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
[8] JIS K7161-1(2014)に準拠して測定した引張弾性率において、主収縮方向の引張弾性率と、主収縮方向と直交する方向の引張弾性率との差が2450MPa以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
[9] 前記主収縮方向と直交する方向の引張弾性率に対する、前記主収縮方向の引張弾性率の比が、0.5以上2.1以下である、[1]~[8]のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
[10] JIS K7136(2000)に準拠して測定したヘーズが10%以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
[11] 主収縮方向と直交する方向の70℃の温水中に10秒間浸漬したときの収縮率が、-10~3%である、[1]~[10]のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
[12] 少なくとも一軸方向に延伸されてなる、[1]~[11]のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
[13] [1]~[12]のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを用いてなる包装資材。
[14] [13]に記載の包装資材が装着された成形品または容器。
本発明の熱収縮性フィルムは、フィルム全体としての剛性バランスに優れるため、優れた包装適性を示す。また、本発明の包装資材は、上記の優れた包装適性を示す熱収縮性フィルムを用いているため優れた品質を有するものとなる。
本発明の実施例に係る熱収縮フィルムを示差走査型熱量計で測定したチャート図である。 本発明の比較例に係る熱収縮フィルムを示差走査型熱量計で測定したチャート図である。
以下、本発明の実施形態の一例としての本発明の熱収縮性フィルム、包装資材、成形品、容器について説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「フィルム」とは、厚いシートから薄いフィルムまでを包括した意を有する。
本明細書において、「少なくとも1方向」とは、熱収縮性フィルムの製造工程において、押出機からの流れ方向を縦方向(MD)、その直交方向を横方向(TD)としたとき、縦方向と横方向のいずれかまたは両方向を意味し、「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち、熱収縮率が大きい方向を意味する。
また、本明細書における数値範囲の上限値および下限値は、本発明が特定する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものとする。
本発明の熱収縮性フィルム(以下、「本フィルム」と称する場合がある)は、ポリエステル系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、前記ポリエステル系樹脂組成物に含まれるジオール残基として、1,3-プロパンジオール骨格を有するジオールを少なくとも1種含み、JIS K7122(2012)に準拠して、示差走査熱量測定により、10℃/分で昇温した際の結晶融解ピーク面積から算出される結晶融解エンタルピー(ΔHm)が10J/g以上、JIS K7121(2012)に準拠して、示差走査熱量測定により、10℃/分で昇温した際の結晶融解ピーク温度が170℃以上であり、70℃での主収縮方向における収縮率が10%以上である、熱収縮性フィルムである。
以下、本フィルムの特性について説明する。
(1)結晶融解エンタルピー(ΔHm)
本フィルムは、JIS K7122(2012)に準拠して、示差走査熱量測定により、10℃/分で昇温した際の結晶融解ピーク面積から算出される結晶融解エンタルピー(ΔHm)が10J/g以上であることが必要である。結晶融解エンタルピー(ΔHm)は、12J/g以上であることがより好ましく、14J/g以上であることがさらに好ましく、16J/g以上であることが特に好ましい。また上限は、50J/g以下であることが好ましく、45J/g以下であることがより好ましく、40J/g以下であることさらに好ましい。
前記結晶融解エンタルピー(ΔHm)は、JIS K7122(2012)に準拠して、示差走査型熱量測定により、熱収縮性フィルムを0℃から300℃まで加熱速度10℃/分で昇温させた際に、前記熱収縮性フィルムに由来する結晶融解ピーク面積から算出される(図1、2を参照)。また前記結晶融解ピーク面積にて、頂点となる温度をJIS K7121(2012)に準拠して、示差走査熱量測定により、10℃/分で昇温した際の結晶融解ピーク温度とした(図1、2を参照)。
なお、本発明の規定するΔHmは、上記昇温過程において、半結晶性樹脂にみられるような冷結晶化が生じる場合であっても、昇温過程で生じる結晶融解ピークから算出されたΔHmを適用する。すなわち、昇温過程において生じる冷結晶化における発熱ピーク面積から算出される結晶化エンタルピー(ΔHc)を、昇温過程で得られるΔHmから差し引くことは行わない。
また、本発明の規定するΔHmは、示差走査型熱量計で、熱収縮性フィルムを0℃から300℃まで加熱速度10℃/分で昇温後、1分間保持し、次に高温保持温度から0℃まで冷却速度10℃/分で降温後、1分間保持し、更に0℃から300℃まで加熱速度10℃/分で再昇温させた際の、再昇温過程で生じる結晶融解ピークから算出されたΔHmは適用しない。これは、熱収縮性フィルムを評価するためであり、再昇温してしまうと、熱収縮性フィルムの結晶融解ピークと言えないためである。
前記ポリエステル系樹脂組成物には、結晶成分として剛直非晶成分を含むことが、結晶融解エンタルピー(ΔHm)を10J/g以上とする点から好ましい。また、結晶成分として延伸等の変形により引き起こされた配向結晶成分を含んでもよい、
ポリエステル系樹脂の構造は、一般的に結晶成分と非晶成分だけでなく、非晶成分を可動非晶成分と剛直非晶成分に分けた三相構造を示すことがあるといわれている。すなわち、ポリエステル系樹脂は、結晶成分と可動非晶成分(ガラス転移を示す非晶成分)、および剛直非晶成分(ガラス転移を示さない非晶成分)の三相から構成されることがある。ここで、可動非晶成分はガラス転移温度以上の温度で運動する非晶成分であり、剛直非晶成分はガラス転移温度の前後では運動しないが、結晶成分ではないので、ある温度以上になると運動する非晶成分のことである。そのため、剛直非晶成分は、非晶成分ではあるが、剛性をはじめとする機械物性に大きく影響し、結晶成分と同等とみなすことができる。
本フィルムは、ポリエステル系樹脂組成物に非晶成分となりうるジオール残基を含んでいるにもかかわらず、結晶成分とみなせる剛直非晶成分が多く存在するため、図1に示すように結晶融解ピーク面積が大きくなる。そのため、結晶融解ピーク面積から算出される結晶融解エンタルピー(ΔHm)が10J/g以上となり、優れた剛性を有する。一方、剛直非晶成分を含む結晶成分が少ない場合は、図2に示すように結晶融解エンタルピー(ΔHm)が10J/g以上とはならない。また、結晶融解エンタルピー(ΔHm)が50J/g以下であることにより、剛直非晶成分を含む結晶成分が多くなり過ぎず、収縮特性との両立が可能となる。
また、本フィルムのJIS K7121(2012)に準拠して、示差走査熱量測定により、10℃/分で昇温した際の結晶融解ピーク温度は、170℃以上であることが好ましい。結晶融解ピーク温度は、174℃以上であることがより好ましく、176℃以上であることがさらに好ましく、178℃以上であることが特に好ましい。また上限は、250℃以下であることが好ましく、248℃以下であることがより好ましい。
(2)熱収縮率
本フィルムの70℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向における熱収縮率は、10%以上であり、11~60%であることが好ましく、12~55%であることがより好ましく、15~50%であることがさらに好ましい。
なお、本発明における熱収縮率は、具体的には、実施例に記載の方法で測定されるものである。
一般的に、熱収縮性フィルムは、装着する容器等の被覆対象物を被覆した後、ヒーターや熱風、水蒸気等により加熱された雰囲気内を比較的短時間(数秒~十数秒程度)で通過させることで、収縮させて、被覆対象物に装着させる。そのため、熱収縮性フィルムの熱収縮率は、被覆対象物への密着性や形状追随性を判断するための指標となる。したがって、70℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が前記数値以上であると、熱収縮性フィルムが収縮加工時間内に充分に被覆対象物に装着できる。
本フィルムは、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向における熱収縮率が、30%以上であることが好ましく、33~90%であることがより好ましく、35~80%であることがさらに好ましい。
本フィルムは、90℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向における熱収縮率が、20%以上であることが好ましく、25~80%であることがより好ましく、30~75%であることがさらに好ましい。
本フィルムは、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向における熱収縮率が、15%以上であることが好ましく、20~70%であることがより好ましく、25~60%であることが好ましい。
本フィルムは、60℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向における熱収縮率が、0~5%であることがより好ましく、0~3%であることが好ましい。
一般的に、熱収縮性フィルムを収縮させ、被覆対象物へ装着させる収縮工程においては、熱収縮性フィルムを被覆対象物に対して完全に被覆する前に、低温で少し収縮(プレシュリンク)させた状態で、被覆対象物のフィルムの位置固定を行う。その際、各温度における熱収縮率が上述の好ましい範囲にある場合、より低温から少しずつ被覆対象物にフィルムを収縮させることができる傾向がある。
本フィルムは、70℃の温水中で10秒間浸漬したときの直交方向における熱収縮率が、-10~3%であることが好ましく、-8~2.8%であることがより好ましく、-6~2.5%であることがさらに好ましい。
ここで、熱収縮率がマイナスの値を示す場合は、フィルムが、その方向に膨張することを示す。食品用容器や飲料用容器等に装着されるラベル等のように、ほぼ一方向の収縮特性を必要とする用途に用いる場合、直交方向の熱収縮率が僅かでも存在すると、ペットボトルの頭頂部や底面部に収縮後のフィルムが残らず、ボトル容器全面をしっかりと包装できないため、問題を生じやすい。直交方向における熱収縮率が、上記範囲内であると、被覆対象物への装着において、熱収縮性フィルムに印刷された文字や図柄が歪むことを抑制することができる傾向がある。さらには、上述のプレシュリンクでの位置固定において、固定位置のずれを抑制できる傾向がある。
本フィルムは、100℃の温水中で10秒間浸漬したときの直交方向における熱収縮率が、-10~10%であることが好ましく、-8~8%であることがより好ましく、-6~5%であることがさらに好ましい。
本フィルムは、90℃の温水中で10秒間浸漬したときの直交方向における熱収縮率が、-10~10%であることが好ましく、-8~8%であることがより好ましく、-6~6%であることがさらに好ましい。
本フィルムは、80℃の温水中で10秒間浸漬したときの直交方向における熱収縮率が、-10~3%であることが好ましく、-8~2.8%であることがより好ましく、-6~2.5%であることがさらに好ましい。
本フィルムは、60℃の温水中で10秒間浸漬したときの直交方向における熱収縮率が、-5~2%であることが好ましく、-2~1%であることがより好ましい。
直交方向における熱収縮率が、各温度における熱収縮率が上述の好ましい範囲にある場合、被覆対象物への装着において、より低温から少しずつ被覆対象物にフィルムを収縮させる過程で熱収縮性フィルムに印刷された文字や図柄が歪むことを抑制することができる傾向がある。さらには、上述のプレシュリンクでの位置固定において、固定位置のずれを抑制できる傾向がある。
(3)リングクラッシュ圧縮強さ
本フィルムの、JIS P8126(2015)に準拠して測定した直交方法のリングクラッシュ圧縮強さは、フィルム厚さが20μmの場合1.2N以上であることが好ましく、1.4N以上であることがより好ましく、1.6N以上であることが特に好ましい。本フィルムの直交方向のリングクラッシュ圧縮強さを、1.2N以上とすることにより、剛性に優れた熱収縮性フィルムとすることができる傾向がある。
また、上限は、3.0N以下であることが好ましく、2.5N以下であることがより好ましく、2.2N以下であることが特に好ましい。
本フィルムの、JIS P8126(2015)に準拠して測定した直交方法のリングクラッシュ圧縮強さは、フィルム厚さが40μmの場合、6.3N以上であることが好ましく、6.5N以上であることがより好ましく、7.0N以上であることが特に好ましい。本フィルムの直交方向のリングクラッシュ圧縮強さを、6.3N以上とすることにより、剛性に優れた熱収縮性フィルムとすることができる傾向がある。
また、上限は、16N以下であることが好ましく、14N以下であることがより好ましく、12N以下であることが特に好ましい。
また、曲げ剛性はフィルムの厚さの三乗に比例することが知られており、リングクラッシュ圧縮強さも同様の曲げ試験であることから厚さの三乗に比例すると言える。そのため、リングクラッシュ圧縮強さをフィルムの厚さの三乗で割ることにより、フィルムの厚さの影響を除外することができる。
本フィルムのJIS P8126(2015)に準拠して測定した直交方法のリングクラッシュ圧縮強さを、フィルムの厚さの三乗で割った数値は、9.5×10-5N/μm3以上であることが好ましく、9.8×10-5N/μm3以上であることがより好ましく、1.0×10-4N/μm3以上であることが特に好ましい。本フィルムの直交方向のリングクラッシュ圧縮強さを、フィルムの厚さの三乗で割った数値を9.5×10-5N/μm3以上とすることにより、剛性に優れた熱収縮性フィルムとすることができる傾向がある。
また、上限は、3.5×10-4N/μm3以下であることが好ましく、3.0×10-4N/μm3以下であることがより好ましく、2.5×10-4N/μm3以下であることが特に好ましい。
(4)引張強度
本フィルムの、JIS K7127(1999)に準拠して測定される直交方向の引張強度は、フィルムの剛性の観点から、90MPa以下であり、80MPa以下であることが好ましく、70MPa以下であることがより好ましく、60MPa以下であることが特に好ましい。直交方向の引張強度が前記数値以下であることにより、直交方向が縦方向(MD)である場合の縦方向(MD)の収縮率を抑えることができ、フィルム全体としての剛性バランスに優れるようになる。また、直交方向の引張強度は、35MPa以上であることが好ましく、40MPa以上であることがより好ましく、45MPa以上であることが特に好ましい。縦方向(MD)の引張強度が前記数値以上であることにより、印刷工程等の二次加工工程において、熱収縮性フィルムが破断する等の不具合が生じにくい傾向がある。
本フィルムの、JIS K7127(1999)に準拠して測定される主収縮方向の引張強度は、特に限定されるものではないが、フィルム全体としての剛性バランスの観点から、400MPa以下であり、300MPa以下であることが好ましく、200MPa以下であることが特に好ましく、下限は直交方向の引張強度より大きいことが好ましく、例えば、60MPa以上であり、80MPa以上であることが好ましく、100MPa以上であることがより好ましく、120MPa以上であることが特に好ましい。
本フィルムの、JIS K7127(1999)に準拠して測定される直交方向の引張伸度は、特に限定されるものではないが、100%以上であることが好ましく、150%以上であることがより好ましく、200%以上であることがさらに好ましい。直交方向の引張伸度が、前記数値以上であることにより、印刷工程等の二次加工工程において、熱収縮性フィルムが破断する等の不具合が生じにくくなる傾向がある。
本フィルムの、JIS K7127(1999)に準拠して測定される主収縮方向の引張伸度は、特に限定されるものではないが、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。主収縮方向の引張伸度が、前記数値以上であることにより、印刷工程等の二次加工工程において、熱収縮性フィルムが破断する等の不具合が生じにくくなる傾向がある。
(5)引張弾性率
本フィルムの、JIS K7161-1(2014)に準拠して測定される、雰囲気温度23℃における直交方向の引張弾性率は、フィルムの剛性の観点から、2200MPa以上であることが好ましく、2250MPa以上であることがより好ましく、2300MPa以上であることが特に好ましい。また、直交方向の引張弾性率の上限は、特に制限されないが、通常使用される熱収縮性フィルムの引張弾性率の上限値を考慮すれば、5000MPa以下であるのが好ましい。直交方向の引張弾性率が前記数値以上であれば、フィルム全体としての剛性が高く、特にフィルムの厚さを薄くしていった場合にも、熱収縮性フィルムをラベリングマシン等で容器に被覆する際に、熱収縮性フィルムが折れてしまう等の加工不具合を生じにくい傾向がある。
本フィルムの、JIS K7161-1(2014)に準拠して測定される、雰囲気温度23℃における主収縮方向の引張弾性率は、6000MPa以下であることが好ましく、5500MPa以下であることがより好ましく、5000MPa以下であることがさらに好ましい。主収縮方向の引張弾性率を前記数値以下とすることで、主収縮方向と直交方向の引張弾性率との差を抑えることができ、フィルム全体としての剛性バランスが優れたものとなり、包装時の不具合を生じにくい傾向がある。
また、本フィルムは、前記主収縮方向の引張弾性率と、直交方向の引張弾性率との差(主収縮方向の引張弾性率-直交方向の引張弾性率)が、2450MPa以下であることが好ましく、2440MPa以下であることがより好ましく、2430MPa以下であることがさらに好ましく、2410MPa以下であることが特に好ましい。主収縮方向の引張弾性率と直交方向の引張弾性率との差を上記数値以下とすることで、主収縮方向と直交方向の引張弾性率との差を抑えることができ、フィルム全体としての剛性バランスが優れたものとなり、包装時の不具合を生じにくい傾向がある。
さらには、本フィルムは、前記直交方向の引張弾性率に対する、主収縮方向の引張弾性率の比(主収縮方向の引張弾性率/直交方向の引張弾性率)が、0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.7以上であることがさらに好ましい。また、上限は2.1以下であることが好ましく、2.05以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。直交方向の引張弾性率に対する、主収縮方向の引張弾性率の比を上記数値範囲とすることで、フィルム全体としての剛性バランスに優れるため、包装時の不具合を生じにくい傾向がある。
(6)ヘーズ
本フィルムの、JIS K7136(2000)に準拠して測定されるヘーズは、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、6%以下が特に好ましい。一方で下限として、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。ヘーズが10%以下であれば、透明性に優れる傾向がある。また、ヘーズが0.5%以上であれば、視認性を確保でき、包装時に誤って食品へ混入することを防ぐことができる傾向がある。
(7)厚さ
本フィルムの厚さは特に限定されないが、包装資材への適用の観点から、5~200μmであることが好ましく、7~150μmであることがより好ましく、10~70μmであることがさらに好ましく、15~50μmであることが特に好ましい。厚さが70μm以下であれば、透明性に優れる。また、厚さが5μm以上であれば、ハンドリング性を確保できる。
近年、ペットボトルなどの容器へのラベル包装用フィルムでは、環境面や省資源化などからフィルムの薄肉化の要望があり、例えば、10~30μm程度の厚さのフィルムが要望されているいるが、薄肉化しても剛性が高くハンドリング性がよいので、本フィルムであれば好適に使用できる。
<ポリエステル系樹脂組成物>
上述のとおり本フィルムは、ジオール残基として、1,3-プロパンジオール骨格を有する残基を少なくとも1種含むポリエステル系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有するものである。また、前記ポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂を主成分として含むものである。
前記ポリエステル系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有することにより、剛直非晶を含む結晶成分が適度に存在するため、収縮率と剛性のバランスに優れ、それによって優れた包装適性の熱収縮性フィルムを得ることができる。
なお、本明細書において、「主成分」とは、対象物の合計を100質量%したとき、もっとも多い質量%を占める成分であることを示し、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
以下に、本フィルムに用いられるポリエステル系樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
〔ポリエステル系樹脂〕
前記ポリエステル系樹脂組成物に主成分として含まれるポリエルテル系樹脂は、ジカルボン酸残基とジオール残基とから誘導されるポリエステル系樹脂であることが好ましい。
前記ジカルボン酸残基とジオール残基とから誘導されるポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂やポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート系樹脂、ポリ-1,4-シクロへキシレンジメチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンサクシネート系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、または2種以上のポリエステル系樹脂を使用していてもよい。また、ポリエステル系樹脂が2種類以上で構成される場合、その合計がポリエステル系樹脂の質量となり、ポリエステル系樹脂の質量比率が算出される。
また、前記ジカルボン酸残基とジオール残基とから誘導されるポリエステル系樹脂は、共重合ポリエステル系樹脂であることが好ましい。すなわち、上記ポリエステル系樹脂の重合成分であるジカルボン酸残基、およびジオール残基の少なくとも一方が、2種以上の残基からなる混合物であることが好ましい。なお、前記ポリエステル系樹脂が2種類以上のジカルボン酸残基で構成される場合、全ジカルボン酸残基100モル%に対して、最も多いモル%を占めるジカルボン酸残基を第1ジカルボン酸残基とし、以下、モル%の多い順に第2ジカルボン酸残基、第3ジカルボン酸残基、・・・とする(以下、これらをまとめて、第2以下ジカルボン酸残基と称す。)。また、前記ポリエステル系樹脂が2種類以上のジオール残基で構成される場合も同様に、全ジオール残基100モル%に対して、最も多いモル%を占めるジオール残基を第1ジオール残基とし、以下、モル%の多い順に第2ジオール残基、第3ジオール残基、・・・とする(以下、これらをまとめて、第2以下ジオール残基と称す。)。
前記ポリエステル系樹脂において、ジカルボン酸残基とジオール残基の少なくとも一方が2種以上の残基からなることにより、ポリエステル系樹脂の結晶性を低くできるため、熱収縮性フィルムの結晶化の進行を抑制し、充分な熱収縮特性を付与できる傾向がある。
前記ジカルボン酸残基としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フランジカルボン酸、2-クロロテレフタル酸、2,5-ジクロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、4,4-スチルベンジカルボン酸、4,4-ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p-カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4-ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-Naスルホイソフタル酸、エチレン-ビス-p-安息香酸等の芳香族ジカルボン酸残基、ダイマー酸、水添ダイマー酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸残基、またはそれらのエステル誘導体から誘導される残基が挙げられる。これらのジカルボン酸残基は、1種を単独で、または2種以上を含有していてもよい。
なかでも、本発明で用いるポリエステル系樹脂は、第1ジカルボン酸残基としてテレフタル酸残基を含むことが好ましい。また、第2以下ジカルボン酸残基としてイソフタル酸、フランジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の残基を含むことが好ましく、第2以下ジカルボン酸残基としてイソフタル酸残基を含むことがより好ましい。
前記ポリエステル系樹脂が2種類以上のジカルボン酸残基で構成される場合、前記第2以下ジカルボン酸残基の合計含有量は、全ジカルボン酸残基100モル%に対して、0.1~10モル%であることが好ましく、0.5~5モル%であることがより好ましい。前記第2以下ジカルボン酸残基の合計含有率が前記数値範囲の下限値以上であれば、得られるポリエステル系樹脂の結晶化度を低く抑えることができ、熱収縮性フィルムの収縮性を向上させることができる傾向がある。また、前記第2以下ジカルボン酸残基の合計含有量が前記数値範囲の上限値以下であれば、ポリエステル系樹脂の耐熱性を阻害しにくい傾向がある。
前記ジオール残基としては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、イソソルビド等が挙げられる。これらのジオール残基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、本フィルムで用いるポリエステル系樹脂は、第1ジオール残基としてエチレングリコール残基、または、1,4-ブタンジオール残基を含むことが好ましく、第1ジオール残基としてエチレングリコール残基を含むことがより好ましい。
また、前記第2以下ジオール残基としては、剛直非晶成分である1,3-プロパンジオール骨格を有する残基を含むことが好ましい。例えば、ネオペンチルグリコール、2,2ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールからなる群より選択される少なくとも1種の残基を含むことが好ましい。第2以下ジオール残基として1,3-プロパンジオール骨格を有する残基を含むことにより、延伸時の配向性を低下させ、延伸方向への過度な機械強度や弾性率の向上を抑制しつつ、延伸方向に対して直交方向の弾性率を高く維持することができる。
さらには、優れた剛性バランスと包装適性有するフィルムとすることができる点で、第2以下ジオール残基として、前記1,3-プロパンジオール骨格を有するジオール残基以外に、ジエチレングリコール残基を含むことが好ましい。
前記ポリエステル系樹脂が2種類以上のジオール残基で構成される場合、前記第2以下ジオール残基の合計含有量は、全ジオール残基100モル%に対して、2~45モル%であることが好ましく、3~40モル%であることがより好ましい。前記第2以下ジオール残基の合計含有量が前記数値範囲の下限値以上であれば、得られるポリエステル系樹脂の結晶化度を低く抑えることができ、熱収縮性フィルムの収縮特性や耐破断性を向上させることができる傾向にある。また、前記第2以下ジオール残基の合計含有量が前記数値範囲の上限値以下であれば、ポリエステル系樹脂の耐熱性や耐薬品性を阻害しにくい傾向がある。
また、前記ポリエステル系樹脂の合計を100質量%としたとき、第1ジカルボン酸残基としてテレフタル酸残基を含み、第1ジオール残基としてエチレングリコール残基を含むポリエチレンテレフタレート系樹脂が50質量%以上含まれることが好ましく、60質量%以上含まれることがより好ましく、70質量%以上含まれることがさらに好ましい。前記ポリエステル系樹脂中に、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂が前記数値以上含まれることにより、熱収縮性フィルムとして好適な収縮特性を付与することができる傾向がある。前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、または2種以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂を使用していてもよい。ポリエチレンテレフタレート系樹脂が2種類以上で構成される場合、その合計がポリエチレンテレフタレート系樹脂の質量となり、前記ポリエステル系樹脂中におけるポリエチレンテレフタレート系樹脂の質量比率が算出される。
また、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂の極限粘度(IV)は特に限定されるものではないが、PET系樹脂の極限粘度(IV)としては、0.3dl/g~1.5dl/gであることが好ましく、0.4dl/g~1.2dl/gであることがより好ましく、0.5dl/g~1.0dl/gであることがさらに好ましい。極限粘度(IV)が0.3dl/g以上であれば、フィルムの機械強度が充分となり、1.5dl/g以下であれば、フィルムの機械強度と、溶融時の流動性を両立させることができる傾向となる。
前記PET系樹脂の市販例としては、例えば、「PETGcoplyester」(イーストマンケミカル社製)、「Embrace」(イーストマンケミカル社製)、「PETGSKYGREEN」(SKケミカル社製)等が挙げられる。
また、本発明においては、環境適合性の観点から、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂として、ペットボトルリサイクル原料(以下、単に「リサイクル原料」と記すことがある)を用いてもよい。一般に、リサイクル原料は、第1カルボン酸残基としてテレフタル酸、第1ジオール残基としてエチレングリコールを含み、ペットボトルにする際の成形性をよくするために第2カルボン酸残基としてイソフタル酸を含む、ポリエチレンテレフタレートが主な構成成分である。
さらに、本発明で用いるポリエステル系樹脂としては、本発明の熱収縮性フィルムの製造過程で生じる、耳等のトリミングロス(端材)や、印刷が施されていない熱収縮性フィルム等のリサイクル樹脂が含まれていてもよい。なお、前記リサイクル樹脂を用いる場合は、フラフやリペレット等にして用いればよい。
また、本発明で用いるポリエステル系樹脂としては、前記ジカルボン酸残基とジオール残基とから誘導されるポリエステル系樹脂以外のポリエステル系樹脂が含まれていてもよい。そのようなポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリ-ε-カプロラクタム等のカルボン酸残基とアルコール残基とを1分子中に持つモノマーを重合したポリエステル系樹脂、およびこれらの共重合体等が挙げられる。
前述のとおり本発明においては、前記ポリエステル系樹脂を単独でもしくは2種以上を併せて用い、このポリエステル系樹脂組成物にジオール残基として、1,3-プロパンジオール骨格を有する残基を含むことが好ましい。
一般的に、ポリエステル系樹脂組成物に含まれるポリエステル系樹脂は、成形加工時の溶融状態においてエステル交換反応が生じるため、2種以上のポリエステル系樹脂を使用した場合、それぞれの樹脂の含有比率の同定や、混合物か共重合体かの判別が困難となる場合がある。そのため、ポリエステル系樹脂組成物に含まれる残基の種類、および、残基の含有量により、熱収縮性フィルムとしての特性を精査することができる。
本発明において、前記1,3-プロパンジオール骨格を有する残基の含有量は、ポリエステル系樹脂組成物に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、好ましくは5モル%以上28モル%以下であり、より好ましくは8モル%以上25モル%以下であり、さらに好ましくは10モル%以上23モル%以下である。ポリエステル系樹脂組成物が、1,3-プロパンジオール骨格を有する残基の含有量が前記数値の範囲内であることにより、延伸時の配向性を低下させ、延伸方向への過度な機械強度や弾性率の向上を抑制しつつ、延伸方向に対して直交方向の弾性率を高く維持することができる傾向がある。
前記1,3-プロパンジオール骨格を有する残基としてネオペンチルグリコール残基が含まれる場合、その含有量は、ポリエステル系樹脂組成物に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、好ましくは1モル%以上40モル%以下であり、より好ましくは2モル%以上30モル%以下であり、さらに好ましくは3モル%以上20モル%以下である。ネオペンチルグリコール残基の含有量が前記数値範囲内であることにより、優れた剛性バランスと包装適性有するフィルムとすることができる傾向がある。
前記1,3-プロパンジオール骨格を有する残基として2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール残基が含まれる場合、その含有量は、ポリエステル系樹脂組成物に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、好ましくは1モル%以上40モル%以下であり、2モル%以上30モル%以下であり、さらに好ましくは3モル%以上20モル%以下である。2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール残基の含有量が前記数値範囲内であることにより、優れた剛性バランスと包装適性有するフィルムとすることができる傾向がある。
また、前記1,3-プロパンジオール骨格を有する残基としてネオペンチルグリコール残基と2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール残基が含まれる場合、その含有比率(ネオペンチルグリコール残基/2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール残基)は、1/99~99/1であることが好ましく、30/70~90/10であることがより好ましく、50/50~80/20であることが特に好ましい。
本発明において、エチレングリコール残基の含有量は、ポリエステル系樹脂組成物に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、好ましくは55モル%以上95モル%以下であり、より好ましくは60モル%以上90モル%以下であり、さらに好ましくは65モル%以上85モル%以下である。含まれるエチレングリコール残基が前記数値範囲内であることにより、熱収縮性フィルムに必要な耐熱性と耐薬品性を維持することができる傾向がある。
前記ジオール残基にジエチレングリコール残基が含まれる場合、その含有量は、樹脂組成物に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、好ましくは2モル%以上であり、より好ましくは3モル%以上20モル%以下であり、さらに好ましくは3.5モル%以上15モル%以下である。ジエチレングリコール残基の含有量を前記数値の下限値以上とすることにより、優れた剛性バランスと包装適性有するフィルムとすることができる傾向がある。
本発明において、テレフタル酸残基の含有量は、ポリエステル系樹脂組成物に含まれる全ジカルボン酸残基100モル%に対して、好ましくは75モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、さらに好ましくは85モル%以上である。なお、上限は通常100モル%である。テレフタル酸残基の含有量を前記数値の下限値以上とすることにより、熱収縮性フィルムに必要な耐熱性と剛性を維持することができる傾向がある。
(その他の成分)
前記ポリエステル系樹脂組成物には、前記ポリエステル系樹脂以外の他の樹脂を本発明の効果を阻害しない範囲(例えば、ポリエステル系樹脂組成物の10質量%以下)で含有してもよい。
他の樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、前記で説明した以外のポリエステル系樹脂(以下、「他のポリエステル系樹脂」と称する)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
前記他のポリエステル系樹脂には、熱可塑性エラストマーが挙げられる。前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマーや、アクリル系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、アイオノマー、および、これらのブレンドやアロイ、変性物、動的架橋物、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、コアシェル型多層構造ゴム等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。ただし、エステル系熱可塑性エラストマーは主鎖にエステル結合を有するため、前記ポリエステル系樹脂に含まれる。
また、前記ポリエステル系樹脂組成物には、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を適宜添加できる。前記添加剤は、成形加工性、生産性および熱収縮性フィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される。前記添加剤としては、例えば、アンチブロッキング剤、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、スリップ剤、着色剤等の添加剤が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい
前記アンチブロッキング剤としては、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子、無機酸化物、炭酸塩、または、架橋アクリル系樹脂、架橋ポリエステル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等の有機粒子等が挙げられる。また、前記有機粒子としては、多段階で重合せしめた多層構造を形成した有機粒子も用いることができる。なかでも、シリカや有機粒子が好ましい。
前記アンチブロッキング剤はフィルム表面を荒らすことにより、滑り性や耐ブロッキング性を発現させるため、適切な添加量、および、種類を選択しなければ、透明性や、フィルムの光沢を阻害してしまう。そのため、アンチブロッキング剤の添加量は、樹脂組成物全体の質量を基準(100質量%)として、0.01~2質量%とすることが好ましく、0.015~1.5質量%がより好ましく、0.02~1質量%がさらに好ましい。前記アンチブロッキング剤の添加量が少なすぎる場合、フィルム表面へアンチブロッキング剤が析出しづらく、フィルム表面に凹凸を形成しづらいため、充分な滑り性や耐ブロッキング性を発現しづらい傾向がある。また、逆に多すぎる場合、フィルム表面の過剰な凹凸が生じやすく、表面荒れによる透明性の阻害や、過剰な滑り性の付与によるフィルムロールの巻きづれ等が生じやすい傾向がある。
前記アンチブロッキング剤の形状は、特に限定されるものではないが、凝集抑制、均一分散の観点、透過する光の乱反射抑制、およびフィルム表面に形成される凹凸の観点から球状のものが好ましく用いられる。前記アンチブロッキング剤の粒径は、0.5~10μmが好ましく、1~8μmがより好ましく、1~6μmがさらに好ましい。前記アンチブロッキング剤の粒径が小さすぎる場合、表面へ析出しづらく、また、表面に析出したアンチブロッキング剤においても、滑り性や耐ブロッキング性を発現するに充分な凹凸を付与しづらい傾向がある。一方、前記アンチブロッキング剤の粒径が大きすぎる場合、本発明の熱収縮性フィルムに印刷を施し、意匠性を高める場合において、インキ抜け等が生じやすく、印刷図柄の外観を損ねる傾向がある。前記アンチブロッキング剤の粒径分布は、特に制限されるものではないが、前記粒径の大小による弊害の関係より、粒径分布が狭いものの方が好ましい。粒径分布が広くなりすぎると、前述した好ましく用いられる粒径の範囲より逸脱するものが含まれる可能性がある。
<熱収縮性フィルムの製造方法>
本フィルムは、従来公知の製造方法により製造することができる。また、本フィルムの形態は特に限定されず、平面状、チューブ状のいずれであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や印刷の容易さの観点から、平面状の形態であることが好ましい。
前記平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、押出機を用いてポリエステル系樹脂組成物を溶融し、Tダイ等の口金から平面状に溶融樹脂を押出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸フィルムを得た後、得られた未延伸フィルムを少なくとも一軸方向に延伸をし、その後、アニール、冷却、必要に応じてコロナ放電処理等を経る工程により、平面状の熱収縮性フィルムを製造する方法が挙げられる。また、設備構造および必要性に応じて、ベント口に減圧機を接続し、水分や分低分子量物質を除去してもよい。
また、押出機を用いてポリエステル系樹脂組成物を溶融し、丸ダイ等の口金からチューブ状に溶融樹脂を押出し、空冷装置や水冷装置で冷却固化して未延伸フィルムを得た後、チューブラー法により加熱されたトンネル炉内でチューブに内圧を掛け、風船状に膨らませることにより少なくとも一軸方向に延伸を行い、その後、アニール、冷却したチューブ状延伸フィルムを切り開くことにより平面状のフィルムを製造することもできる。
前記延伸方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等により、少なくとも一軸方向に延伸する方法が挙げられる。また、これらの延伸方法の組み合わせで行うこともでき、縦方向のみ延伸してもよく、横方向のみ延伸してもよく、縦方向に延伸した後、横方向に延伸してもよく、横方向に延伸した後、縦方向に延伸してもよい。また、同じ方向に2回以上延伸してもよい。さらには、縦方向に延伸した後、横方向に延伸し、さらに縦方向に延伸してもよい。また、同時二軸延伸機により縦方向、横方向に同時に延伸されてもよい。また、チューブラー成形により内圧によってチューブ状の未延伸フィルムを放射状に延伸してもよい。
延伸温度は、熱収縮性フィルムを構成する樹脂の軟化温度や熱収縮性フィルムに要求される収縮特性等によって変える必要があるが、60~130℃であることが好ましく、70~120℃であることがより好ましく、80~110℃であることがさらに好ましい。
また、延伸倍率は、熱収縮性フィルムの構成成分、延伸方法、延伸温度、求められる熱収縮率等によって変える必要があるが、主収縮方向の延伸倍率が2~8倍であることが好ましく、3~7倍であることがより好ましく、4~6倍であることがさらに好ましい。
本フィルムを容器やトレーのオーバーラップ等の用途に用いる場合、縦方向、および、横方向に延伸されることが好ましい。このとき、主収縮方向は、縦方向でもよく、横方向でもよい。また、食品用容器や飲料用容器等に装着されるラベル等のように、ほぼ一方向の収縮特性を必要とする用途に用いる場合、主収縮方向に一軸に延伸されることが好ましいが、前述の収縮率範囲内であれば、主収縮方向と直交する方向に1.03~1.5倍の延伸倍率で延伸をしてもよい。また、本フィルムにおいては、主収縮方向が横方向(TD)、主収縮方向と直交する方向が縦方向(MD)であることが好ましい。
延伸後は必要に応じて、熱収縮性フィルムの熱収縮率や諸物性の調整を目的として、50~120℃の温度で熱処理や弛緩処理を行うことができる。また、延伸や、熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却することにより、熱収縮性フィルムに収縮特性を付与することができる。さらに、冷却した熱収縮性フィルムは、耳等をトリミングし、巻取り機等を用いて熱収縮性フィルムをコアに巻き付け、フィルムロール状物にすることができる。
本フィルムの層構成は、ポリエステル系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有していれば、特に制限されるものではなく、本発明で特定する物性の範囲内であれば、他の層をさらに備えていてもよい。
<包装資材>
本フィルムは、各種用途への利用が可能であるが、好ましくは、熱収縮性フィルムの片面または両面に印刷層を形成して、ガラス製容器やペットボトル等のプラスチック製容器に装着する熱収縮性ラベル等の包装資材とすることである。
一般に、ラベル用途に用いられる熱収縮性フィルムは、表面および裏面の少なくとも一方の全面または一部にグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、バーコータ等の公知方法により印刷層やオーバーコート層が形成される。印刷インキは特に限定されず、前記印刷法に応じて適宜選択でき、例えば、溶剤系(非水性)または水性のアクリル樹脂系やウレタン樹脂系インキ、発泡性インキ、加熱発泡性インキ等を挙げることができる。
ラベル用途の包装資材は、被包装物によってフラット状から円筒状等に加工して包装に供される。例えば、ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要するものは、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、これを必要な幅にカットしつつ、印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシール(シール部の形状はいわゆる封筒貼り)して円筒状とすればよい。センターシール方法としては、有機溶剤によるシール法、ヒートシールによる方法、接着剤による方法、およびインパルスシーラーによる方法があるが、外観の見栄えを考慮すると、有機溶剤のシール法を用いることが好ましい。
<成形品または容器>
本フィルムは、フィルムの腰(常温での剛性)、収縮仕上がり性、透明性、機械的強度等に優れるため、成形品または容器に装着する際、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱等)の成形品または容器であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等を生じることなく美麗に装着できる包装資材とすることができる。よって、フィルムを装着する対象物としては、例えば、ペットボトル、プラスチック製容器、金属、磁器、ガラス、紙、瓶、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等、様々な形状の成形品または容器が挙げられる。
特に本フィルムをブローボトルの熱収縮性ラベルとして用いた場合には、前述のように複雑な形状であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる点で特に優れている。
本発明の包装資材が装着されるプラスチック製容器を構成する材質としては、ポリエチレテレフタレート、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン-ブチルアクリレート共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、メタクリル酸エステル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができ、ポリエチレテレフタレートであることが好ましい。これらのプラスチック製容器は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。
以下に実施例および比較例を示し、本発明の熱収縮性フィルムについてさらに詳しく説明するが、本発明は何ら制限を受けるものではない。
以下、実施例に先立って下記の成分を準備した。
<ポリエステル系樹脂>
・(PET-1)ジカルボン酸残基として、テレフタル酸残基100モル%、ジオール残基として、エチレングリコール残基77モル%、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール残基15モル%、ジエチレングリコール残基8モル%からなるポリエステル系樹脂(極限粘度(IV):0.75dl/g)
・(PET-2)ジカルボン酸残基として、テレフタル酸残基100モル%、ジオール残基として、エチレングリコール残基68.3モル%、ネオペンチルグリコール残基29.7モル%、ジエチレングリコール残基2モル%からなるポリエステル系樹脂(極限粘度(IV):0.83dl/g)
・(PET-3)ジカルボン酸残基として、テレフタル酸残基100モル%、ジオール残基として、エチレングリコール残基65モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基32モル%、ジエチレングリコール残基3モル%からなるポリエステル系樹脂(極限粘度(IV):0.84dl/g)
・(PET-4)ジカルボン酸残基として、テレフタル酸残基100モル%、ジオール残基として、エチレングリコール残基65モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基23モル%、ジエチレングリコール残基12モル%からなるポリエステル系樹脂
(極限粘度(IV):0.82dl/g)
・(PET-5)ペットボトルリサイクル原料:ジカルボン酸残基として、テレフタル酸残基98.6モル%、イソフタル酸残基1.4モル%、ジオール残基として、エチレングリコール残基97モル%、ジエチレングリコール残基3モル%からなるポリエステル系樹脂(極限粘度(IV):0.75dl/g)
<アンチブロッキング剤>
・(シリカ-1)サイシリア320(平均粒子径3.2μm、富士シリシア化学社製)
(実施例1)
後記の表1に示す配合、構成に従い、「PET-1」を100質量部、「シリカ-1」を0.15質量部の割合にて混合した。その後、混合した原料を、設定温度を250℃とした二軸押出機にそれぞれ供給し、押出機にて溶融混錬を行うことで、単層構成の未延伸フィルムを押出し、70℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて未延伸フィルムを得た。次いで、予熱温度105~95℃、延伸温度90℃、熱処理温度70℃に設定したフィルムテンター設備にて、得られた未延伸フィルムを、延伸倍率4.0倍にてTDに一軸延伸し、熱収縮性フィルムを得た。なお、得られた熱収縮性フィルムの主収縮方向は、TDである。
(実施例2~6、比較例1~5)
後記の表1に記載の原料配合比にて混合物を作製し、実施例1と同様の方法で単層構成の未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを実施例1と同様に延伸を行い、熱収縮性フィルムを得た。
(実施例7)
後記の表1に記載の原料配合比にて混合物を作製し、実施例1と同様の方法で単層構成の未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを実施例1と同様の温度条件にて、延伸倍率5.0倍にてTDに一軸延伸し、熱収縮性フィルムを得た。
実施例および比較例で得られた熱収縮性フィルムに関して、厚さ、結晶融解エンタルピー、リングクラッシュ、熱収縮率、引張強度、引張伸度、引張弾性率、ヘーズについて以下の方法で測定した。
(1)厚さ
得られた熱収縮性フィルムに対し、1/1000mmのダイアルゲージを用いて無作為に10点の厚さを測定して、その平均値を厚さとした。
(2)示差走査熱量測定(DSC)
・結晶融解エンタルピー(ΔHm)
得られた熱収縮性フィルムをJIS K7122(2012)に基づき、示差走査熱量測定により、熱収縮性フィルムを0℃から300℃まで加熱速度10℃/分で昇温させた際に、前記熱収縮性フィルムに由来する結晶融解ピーク面積から結晶融解エンタルピー(ΔHm)を算出した。
・結晶融解ピーク温度、ガラス転移温度(Tg)
得られた熱収縮性フィルムをJIS K7121(2012)に基づき、示差走査熱量測定により、熱収縮性フィルムを0℃から300℃まで加熱速度10℃/分で昇温させた際に、前記熱収縮性フィルムに由来する結晶融解ピーク温度、および、ガラス転移温度を測定した。
(3)リングクラッシュ圧縮強さ
得られた熱収縮性フィルムをJIS P8126(2015)に準拠して、加重を掛ける速度を10mm/分として、試料が圧懐する際の最大荷重を測定した。また、最大荷重を熱収縮性フィルムの厚さの三乗で割った値を求めた。
(4)熱収縮率
得られた熱収縮性フィルムを、MD200mm、TD10mmの大きさで短冊状に切り取り、MDに対しMDの中央が真ん中になるように間隔100mmで標線をマークした。その後、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃のそれぞれの温度に設定した温水バスに短冊状フィルムを10秒間それぞれ浸漬し、収縮後の標線間隔を測定し、MDの収縮量(=収縮前の標線間隔-収縮後の標線間隔)を測定した。MDの熱収縮率は、収縮前の標線間隔に対する収縮量の比率(=(収縮量/収縮前の標線間隔)×100%)として算出した。
また、得られた熱収縮性フィルムを、MD10mm、TD200mmの大きさに切り取り、TDに対しTDの中央が真ん中になるように間隔100mmで標線をマークした。その後、MDの熱収縮率測定と同様の測定を行い、TDの熱収縮率を測定した。
(5)引張強度、引張伸度
得られた熱収縮性フィルムを、MD120mm、TD15mmの大きさに切り出し、JIS K7127(1999)に準拠し、チャック間150mm、引張速度200mm/分で、雰囲気温度23℃におけるフィルムのMDの引張強度、引張伸度を測定し、5回の測定値の平均値を算出した。
また、得られた熱収縮性フィルムを、MD15mm、TD120mmの大きさに切り出し、JIS K7127(1999)に準拠し、チャック間150mm、引張速度200mm/分で、雰囲気温度23℃におけるフィルムのTDの引張強度、引張伸度を測定し、5回の測定値の平均値を算出した。
(6)引張弾性率
得られた熱収縮性フィルムを、MD120mm、TD15mmの大きさに切り出し、JIS K7161-1(2014)に準拠し、チャック間150mm、引張速度200mm/分で、雰囲気温度23℃におけるフィルムの、MD、TDの引張弾性率を測定し、5回の測定値の平均値を算出した。
(7)ヘーズ
得られた熱収縮性フィルムを、JIS K7136(2000)に準拠して、ヘーズ値を測定した。
下記の表1に実施例、比較例に関する評価結果を併せて示す。
Figure 2024048823000001
実施例1~7の熱収縮性フィルムは、本発明で特定する要件を全て満たすため、フィルム全体としての剛性バランスに優れ、優れた包装適性を示すものであった。一方、本発明で特定する要件を一つでも満たさない比較例1~5の熱収縮性フィルムは、フィルム全体としての剛性バランスに劣り、包装時に問題を生じるおそれがある。
本発明の熱収縮性フィルムは、食品用包装材料、飲料用包装材料、医薬・医療用包装材料、化学品用包装材料、化粧品用包装材料、トイレタリー用包装材料、工業用包装材料、農業資材用包装材料等に好適に使用することができる。

Claims (14)

  1. ポリエステル系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、前記ポリエステル系樹脂組成物がジオール残基として、1,3-プロパンジオール骨格を有する残基を少なくとも1種含み、JIS K7122(2012)に準拠して、示差走査熱量測定により、10℃/分で昇温した際の結晶融解ピーク面積から算出される結晶融解エンタルピー(ΔHm)が10J/g以上、JIS K7121(2012)に準拠して、示差走査熱量測定により、10℃/分で昇温した際の結晶融解ピーク温度が170℃以上であり、70℃での主収縮方向における収縮率が10%以上である、熱収縮性フィルム。
  2. 前記熱収縮性フィルムのJIS P8126(2015)に準拠して測定した主収縮方向と直交する方向のリングクラッシュ圧縮強さを、前記熱収縮性フィルムの厚さの三乗で割った値が、9.5×10-5N/μm3以上である、請求項1記載の熱収縮性フィルム。
  3. 前記1,3-プロパンジオール骨格を持つ残基が、ネオペンチルグリコール、2,2ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の残基である、請求項1または2記載の熱収縮性フィルム。
  4. 前記1,3-プロパンジオール骨格を有する残基の含有量が、ポリエステル系樹脂組成物に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、5モル%以上28モル%以下である、請求項1または2記載の熱収縮性フィルム。
  5. 前記ジオール残基として、さらにジエチレングリコール残基を含み、前記ジエチレングリコール残基の含有量が、ポリエステル系樹脂組成物に含まれる全ジオール残基100モル%に対して、2モル%以上である、請求項1または2記載の熱収縮性フィルム。
  6. JIS K7127(1999)に準拠して測定した主収縮方向と直交する方向の引張強度が90MPa以下である、請求項1または2記載の熱収縮性フィルム。
  7. JIS K7161-1(2014)に準拠して測定した主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が2200MPa以上である、請求項1または2記載の熱収縮性フィルム。
  8. JIS K7161-1(2014)に準拠して測定した引張弾性率において、主収縮方向の引張弾性率と、主収縮方向と直交する方向の引張弾性率との差が2450MPa以下である、請求項1または2記載の熱収縮性フィルム。
  9. 前記主収縮方向と直交する方向の引張弾性率に対する、前記主収縮方向の引張弾性率の比が、0.5以上2.1以下である、請求項1または2記載の熱収縮性フィルム。
  10. JIS K7136(2000)に準拠して測定したヘーズが10%以下である、請求項1または2記載の熱収縮性フィルム。
  11. 主収縮方向と直交する方向の70℃の温水中に10秒間浸漬したときの収縮率が、-10~3%である、請求項1または2記載の熱収縮性フィルム。
  12. 少なくとも一軸方向に延伸されてなる、請求項1または2記載の熱収縮性フィルム。
  13. 請求項1または2記載の熱収縮性フィルムを用いてなる包装資材。
  14. 請求項13に記載の包装資材が装着された成形品または容器。
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