JP2020131376A - スカイビング加工用カッタおよびスカイビング加工装置 - Google Patents

スカイビング加工用カッタおよびスカイビング加工装置 Download PDF

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雅信 三▲崎▼
哲次 門田
Tetsuji Kadota
哲次 門田
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Abstract

【課題】より一層の長寿命化が可能なスカイビング加工用カッタを提供すること。【解決手段】スカイビング加工用カッタ10は、軸周りに回転されることでワークを切削する複数の切削刃20を備える。各切削刃20は、ワークを切削する切削過程を分担可能に構成された少なくとも分断刃21および分断刃23を含み、分断刃21は、第1材質から構成され、分断刃23は、第1材質とは異なる第2材質から構成されている。分断刃21は、例えば、削り代を残して切削する荒刃であり、分断刃23は、例えば、ワークの形状を仕上げる仕上刃である。【選択図】図2

Description

本発明は、スカイビング加工に用いられる切削工具であるカッタ、および当該カッタを備えるスカイビング加工装置に関する。
歯車の歯切りに用いられるスカイビング加工用カッタは、主軸ユニットに装着される基体の外周部に、ワークを切削する複数の切削刃を備えている。かかるスカイビング加工用カッタは、カッタの軸線と、ワークの軸線とが交差するように配置される。そして、カッタとワークとを同期制御により回転させると、切削刃がワークの被削部とすべりを生じつつワークを切削する。カッタはワークの軸線方向に送られる。
切削時の負荷を分散させるため、切削刃が溝により分断されることで多刃状に形成されたスカイビング加工用カッタが提供されている(例えば、特許文献1)。分断された刃が切削に寄与するように、カッタの基体は形成されている。
特許文献1では、カッタの軸線方向の位置に応じて、切削刃に適切なねじれ角を与えることにより、加工精度を高め、かつカッタの長寿命化を図っている。
特開2018−069349号公報
しかし、ねじれ角の最適化などの対策を取るだけでは、長寿命化にも限界がある。
本発明は、特にカッタの材質の観点から、より一層の長寿命化が可能な新規な構成のスカイビング加工用カッタおよびそれを備えた加工装置を提供することを目的とする。
本発明のスカイビング加工用カッタは、軸周りに回転されることで被削材を切削する複数の切削刃を備え、各切削刃は、被削材を切削する切削過程を分担可能に構成された少なくとも第1刃および第2刃を含む。
そして、本発明は、第1刃が、第1材質から構成され、第2刃が、第1材質とは異なる第2材質から構成されていることを特徴とする。
本発明のスカイビング加工用カッタにおいて、第1刃は、削り代を残して切削する荒刃であり、第2刃は、被削材の形状を仕上げる仕上刃であることが好ましい。
本発明のスカイビング加工用カッタにおいて、切削刃は、被削材の形状を仕上げる仕上刃と共に切削過程を分担可能に構成された少なくとも第1荒刃および第2荒刃を含み、第1荒刃は、第1材質から構成され、第2荒刃は、第2材質から構成されていることが好ましい。
本発明のスカイビング加工用カッタにおいて、切削刃は、第1刃および第2刃を含めて合計N段の刃を有し、切削過程の開始に対応する刃についてn=1であり、n段目の刃を構成する材質の靱性がZ(n)であるとすると、Z(1)>Z(N)かつ、Z(n)≧Z(n+1)であることが好ましい。
本発明のスカイビング加工用カッタは、第1材質から構成され、第1刃を含む第1カッタ部品と、第2材質から構成され、第2刃を含む第2カッタ部品と、を備えることが好ましい。
本発明のスカイビング加工用カッタにおいて、第1カッタ部品および第2カッタ部品を含めて合計M個のカッタ部品を備え、切削刃は、第1刃および第2刃を含めて合計N段の刃を有し、N=Mであり、M個のカッタ部品はそれぞれ、N段の刃を個別に含むことが好ましい。
本発明のスカイビング加工用カッタにおいて、第1材質は、高速度工具鋼であり、第2材質は、超硬合金であることが好ましい。
本発明のスカイビング加工用カッタにおいて、切削刃は、第1刃および第2刃を含めて2段以上の刃を有し、少なくとも1段の刃には、耐摩耗性硬質皮膜からなるコーティングが施されていることが好ましい。
また、本発明のスカイビング加工装置は、上述のスカイビング加工用カッタと、スカイビング加工用カッタに回転駆動力を伝達する回転軸装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、詳しくは後述するように、スカイビング加工用カッタの第1刃および第2刃を含む複数の刃のそれぞれに、切削時の負荷や摩耗の度合に応じて適切な材質が与えられることにより、刃先の欠けやチッピング、刃の摩耗を抑制して長寿命化を図ることができる。
本発明の実施形態に係るスカイビング加工装置を示す斜視図である。 図1に示す加工装置に備わるスカイビング加工用カッタの一例を示す側面図である。このカッタは3つに分割されている。 スカイビング加工用カッタと、主軸ユニットのアーバとの縦断面図である。 スカイビング加工用カッタおよびワークを示す図である。カッタの軸線とワークの軸線とが交差している。 加工速度と送り量を説明するための模式図である。 (a)および(b)はいずれも、2つに分割されているスカイビング加工用カッタの例を示す側面図である。 はすば歯車と噛み合う内歯車に対応する切削刃を備えたスカイビング加工用カッタの一例を示す側面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すスカイビング加工装置1は、スカイビング加工用カッタ10(カッタ10)により、円環状のワーク9(被削材)の内側に内歯車を加工する。
スカイビング加工装置1は、ベッド2と、コラム3と、サドル4と、旋回ヘッド5と、スライダ6と、主軸ユニット7と、回転テーブル8と、図示しない制御装置とを備えている。
主軸ユニット7には、スカイビング加工のための切削工具であるカッタ10(図2)が着脱可能に取り付けられる。
以下、鉛直方向のことをZ軸方向と称する。Z軸方向と直交する水平面内にX軸方向を定め、X軸方向およびZ軸方向の双方に対して直交する方向をY軸方向と称する。
図1に示すように、ベッド2上には、コラム3がX軸方向に水平移動可能に支持されている。このコラム3には、サドル4がZ軸方向に昇降可能に支持されている。
サドル4には、旋回ヘッド5がヘッド軸5x周りに回転可能に支持されている。ヘッド軸5xはX軸方向に沿っている。
旋回ヘッド5には、スライダ6がY軸方向に水平移動可能に支持されている。スライダ6には、主軸ユニット7が固定されている。
主軸ユニット7は、サーボモータ等の図示しない駆動源と、カッタ10を支持する支持体であるアーバ71(図3)とを備えている。
図3に示すように、カッタ10がアーバ71に装着されると、主軸ユニット7の駆動源から得られる回転駆動力がアーバ71を介してカッタ10に伝達されることで、カッタ10が主軸ユニット7の主軸線A周りに回転する。主軸線Aは、カッタ10の軸線と一致する。
ベッド2(図1)上におけるコラム3の正面の位置には、回転テーブル8が軸線8z周りに回転可能に設けられている。軸線8zはZ方向に沿っている。軸線8zは、回転テーブル8に固定されるワーク9の軸線と一致している。
図示しない制御装置により、コラム3、サドル4、およびスライダ6のそれぞれを駆動することで主軸ユニット7およびカッタ10をX軸、Y軸、およびZ軸のそれぞれの方向に移動可能である。
また、旋回ヘッド5を駆動することにより、ヘッド軸5xを回転中心として主軸ユニット7およびカッタ10を旋回させて、回転テーブル8およびワーク9に対して傾斜させることができる。
カッタ10は、図4に示すように、ワーク9の軸線に対してカッタ10の軸線である主軸線Aが所定の角度θ(交差角)で交差し、かつ、カッタ10がワーク9に内接した状態に位置決めされる。このときカッタ10とワーク9との内接位置で、カッタ10の軸線に対して直交する方向へ引いた接線L3が、ワーク9の軸線と交差している。
ワーク9とカッタ10とのすべりによる加工速度も考慮し、ワーク9に切削される内歯車のねじれ角とカッタ10の切削刃20のねじれ角とが対応するように、交差角θが適切に定められる。
交差角θは、例えば、10°〜30°に定めることができる。但し、これに限られない。
図示しない制御装置により主軸ユニット7および回転テーブル8を制御することで、カッタ10とワーク9とが同期するように、カッタ10を主軸線A周りに回転させ、ワーク9を軸線周りに回転させる。それぞれ回転するカッタ10の切削刃20はワーク9における被削部とすべりを生じつつワーク9を切削する。カッタ10およびワーク9を回転させながら、サドル4の位置を制御することで、主軸ユニット7およびカッタ10がワーク9に対してZ軸方向に送られることにより、ワーク9に内歯車が形成される。
切削時におけるカッタ10やワーク9の冷却や潤滑、切り屑の除去等のため、必要に応じて切削液を使用することができる。
図5に示すように、カッタ10とワーク9とのすべりによる加工速度Vは、カッタ10の切削刃20の周速V1と、ワーク9の内周部91の周速V2との差に相当する。交差角θを大きくすると、加工速度Vが増大する。
カッタ10とワーク9とは、サドル4によりZ方向に所定の送り速度で相対移動される。送り速度は、典型的には、カッタ10を1回転させる間にカッタ10とワーク9とがZ方向に相対変位する量(以下、送り量)により表される。
図2および図3を参照して、カッタ10(以下、カッタ10)の構成を説明する。
カッタ10は、略円筒状の基体11と、基体11の外周部に形成された複数の切削刃20とを備えている。カッタ10は、はすば歯車(helical gear)と噛み合う内歯車をワーク9に切削するための切削刃20を備えている。
切削刃20は、基体11の軸線に対してねじれた状態で、基体11の周方向に並んでいる。各切削刃20は、3つの分断刃21〜23からなり、多段に構成されている。
本実施形態のカッタ10は、後述するように分断刃21,22の材質と、分断刃23の材質とが相違することを特徴としている。
カッタ10は、軸線方向において、複数(ここでは3つ)のカッタ部品に分割されている。カッタ10の基体11は3つに分割され、各切削刃20も3つに分割されている。
本実施形態のカッタ10は、3つのカッタ部品101〜103が一体化されてなる。
図3に示すように、カッタ10は、カッタ部品101、カッタ部品102、およびカッタ部品103を軸線方向に貫通する孔12にピン13を嵌め込むことで、一体に組み付けることができる。
カッタ10の内周部にアーバ71の小径部711を挿入し、小径部711の先端部711Aに取り付けられるナット25によりカッタ10をアーバ71に締結すると、カッタ10がナット25とアーバ71の大径部712との間に固定される。
アーバ71の小径部711に、軸線方向に沿って形成されているキー713が、カッタ部品101〜103に亘り形成されているキー溝14に挿入されることによって、カッタ10とアーバ71との相対回転が規制される。また、分断刃21〜23の周方向の位相が合うようにカッタ部品101〜103が相互に位置決めされる。カッタ10はアーバ71と一体に回転する。
図3に示すように、カッタ部品101〜103のそれぞれにおける軸線から分断刃の外端までの距離は、アーバ71の先端部711Aに近いものほど小さい。こうすることで、カッタ10がワーク9に干渉するのを避けて、カッタ部品101〜103が切削に寄与するようにしている。
カッタ10によりワーク9の切削を開始してから歯車の形状に仕上げるまでの切削過程は、削り代を残して切削する荒加工と、ワーク9の内歯車の形状を仕上げる仕上加工とからなる。上記の荒加工を行う分断刃が「荒刃」であり、上記の仕上加工を行う分断刃が「仕上刃」であるものとする。
図2に示すように、カッタ10は、全体として、荒加工を担う分断刃21(第1荒刃)と、分断刃21に次いで荒加工を担う分断刃22(第2荒刃)と、分断刃21および分断刃22による荒加工に続いて仕上加工を担う分断刃23(仕上刃)とを備えている。
これらの分断刃21〜23は、一の切削刃20の刃すじLの方向において分断されている。隣接する分断刃21,22の間、および隣接する分断刃22,23の間にはそれぞれ空隙が存在する。
分断刃21〜23は、カッタ10の軸線に対して適切なねじれ角が与えられている。ねじれ角は、軸線と刃すじL(図2)とがなす角度を言う。分断刃21〜23のそれぞれのねじれ角は同一であってもよいし、相違していてもよい。分断刃21〜23は、図4に示すように、同一の弦巻線L1上、あるいは同一の弦巻線L1の近傍に位置している。図4には、ワーク9に切削される内歯車のねじれ角に対応する弦巻線L2も示している。
本実施形態の切削刃20は、ワーク9を順次切削する複数段の分断刃21〜23からなる。「段」は、分断刃21〜23のそれぞれに相当する。本実施形態における分断刃の段数Nは3である。
分断刃の段数Nに制限はなく、カッタ10が、2段、あるいは4段以上の分断刃を備えるものであってもよい。2段の場合は、カッタ10が、1段の荒刃と、1段の仕上刃とを備えている。荒刃の段数にも制限はない。なお、カッタ10は、典型的には1段の仕上刃のみを備えているが、複数段の仕上刃を備えることも許容される。
本実施形態のカッタ10は、分断刃21〜23の段数と同じ3つのカッタ部品101〜103に分割されている。つまり、分断刃21〜23の段数をN、カッタ部品101〜103の個数をMとすると、N=Mである。
そのため、カッタ部品101〜103は、分断刃21〜23を個別に含む。
このようにカッタ10が段毎に分割されていると、各段に異なる特性、物理量を与えることができる。
分断刃21、分断刃22、および分断刃23は、切削時の負荷や、削り取る範囲、発生させる切り屑の厚さ等に応じて、基体11から立ち上がる刃の高さ(刃丈)、刃の断面形状、ねじれ角、刃すじの長さ等がそれぞれ定められている。
例えば、刃の強度を確保するため、分断刃21〜23のうち切削時の負荷が最も大きい分断刃21の刃丈が最も低い。また、分断刃23は、ワーク9に切削される内歯車の輪郭に対応する形状を有している。
分断刃22を例に取り、切削刃の形状を簡単に説明する。分断刃21および分断刃23も基本的な形状は同様である。
図2および図3に示すように、分断刃22は、すくい面22Aと、外周逃げ面22Bと、背面22Cと、側方逃げ面22D,22E(図2)とを有している。すくい面22Aと外周逃げ面22Bとが外周切れ刃22F(図3)をなしている。すくい面22Aと側方逃げ面22D,22Eとがそれぞれ、側方切れ刃22G,22H(図2)をなしている。
カッタ10は、分断刃21,22の材質と分断刃23の材質とが異なる。
分断刃21,22はいずれも、第1材質である高速度工具鋼(High speed steels)から構成されている。本実施形態において、分断刃21,22は、第1材質から構成された第1刃に相当する。
第1材質である高速度工具鋼は、炭素鋼に、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、コバルト(Co)等を添加することで得られる特殊鋼であり、高速度切削に適する。
高速度工具鋼は、材料を溶解させてインゴットを成形する鋳造法によるものと、材料の粉末に熱と圧力を加えてインゴットを成形、焼結させる粉末冶金法によるものとに大別され、いずれの製法による高速度工具鋼をも用いることができる。
粉末冶金法によれば、金属粉末から微細で均一な組織が得られる。そのため、靱性(粘り強さ)、耐摩耗性、耐熱性等の特性を均一に得る観点から好ましい。
一方、分断刃23は、第2材質である超硬合金(超硬質合金、Cemented Carbide)から構成されている。本実施形態において、分断刃23は、第2材質から構成された第2刃に相当する。第2材質である超硬合金は、高速度工具鋼よりも硬度が高い。
超硬合金は、硬質の金属粉末を金型に入れ、焼結することで得られる合金である。典型的な超硬合金は、炭化タングステン(WC)の粉末と結合材であるコバルト(Co)の粉末とを混合して焼結したものである。炭化チタン(TiC)や炭化タンタル(TaC)等が添加される場合もある。
JIS B4053の材料の分類に記載されている超硬合金(HW)、および超微粒超硬合金(HF)が、「超硬合金」に該当する。
JIS B4053の材料の分類にHTとして記載されているように、広義には、サーメット(cermet)も超硬合金に含まれる。サーメットも、金属や金属化合物の粉末を混合して焼結したものであるが、主成分がチタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)の炭化物、炭窒化物、窒化物であって、上述の狭義の「超硬合金」と比べて炭化タングステン(WC)の比率が少ない。
高速度工具鋼と超硬合金とを比べると、大略、高速度工具鋼は靱性に優れ、超硬合金は耐熱性および耐摩耗性に優れる。超硬合金の耐熱温度は、例えば、800〜1000℃である。
また、サーメットは、超硬合金(狭義)よりも耐摩耗性に優れる。
さらに、立方晶窒化ホウ素の粉末を結合材の粉末と混合して焼結することで得られた多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN;Polycrystalline Cubic Boron Nitride)の耐摩耗性は、サーメットよりも優れる。
後述するように、サーメットやPCBN、あるいはCBN(Cubic Boron Nitride)をカッタ10の切削刃20の材質として使用することもできる。
本実施形態では、加工速度(切削速度)、送り量、潤滑、交差角θ、ワーク9の材質等の加工条件に応じて、切れ刃に加えられる負荷、切削に伴うせん断熱、ワーク9や切り屑との摩擦等を考慮し、切削過程を分担する複数の分断刃21〜23のそれぞれの材質を定めている。各分断刃21〜23の材質を下記にまとめる。
(実施形態に係るカッタ10の各刃の材質)
分断刃21 : 高速度工具鋼(第1材質)
分断刃22 : 高速度工具鋼(第1材質)
分断刃23 : 超硬合金 (第2材質)
カッタ部品101は、分断刃21および基体を備えた形状に高速度工具鋼を切削し、熱処理後に研削することで製造することができる。研削後に、以下で述べる耐摩耗性コーティングを施工してもよい。カッタ部品102も同様である。
カッタ部品103についても、カッタ部品101,102とは材質が異なることを除いて、同様である。
本実施形態では、分断刃21と、分断刃22とに同一の材質が使用される。そのため、図6(a)に示すように、分断刃21と分断刃22とを一体に形成することもできる。
図6(a)に示す例では、分断刃21〜23の段数N(3)とは異なり、カッタ10が2つのカッタ部品151,152に分割されている。
耐摩耗性を向上させるため、分断刃21〜23のうち少なくとも1段に、耐摩耗性硬質皮膜からなる耐摩耗コーティングが施されることが好ましい。特に、高速度工具鋼が用いられた分断刃21,22に耐摩耗コーティング211,221(図3)を施すことが好ましい。耐摩耗性を有する耐摩耗コーティング211,221により、超硬合金と比べて耐摩耗性に劣る高速度工具鋼が使用された分断刃21,22にも耐摩耗性を十分に確保することができる。
耐摩耗性を有する材質としては、例えば、TiAlN、TiAlCrN、TiSiN、AlCrN、AlCrSiN等を挙げることができる。これらは、高速度工具鋼よりも耐摩耗性に優れ、切削時に要求される耐熱性を備えている。これらの材質からなる耐摩耗コーティングの厚さは、例えば、1〜10μm程度である。
分断刃21に施される耐摩耗コーティング211と、分断刃22に施される耐摩耗コーティング221とのそれぞれの材質や厚さは、同一であっても相違していてもよい。
勿論、超硬合金が使用された分断刃23に耐摩耗コーティングを施すこともできる。
耐摩耗コーティングは、異なる材質から構成された複数の層からなるものであってもよい。その場合は、耐摩耗性を有するTiAlN、TiAlCrN、TiSiN、AlCrN、AlCrSiN等からなる層を少なくとも一部に含むことが好ましい。各層の材質は、母材に対する密着性や、靱性や、表層の酸化抑制等を考慮し、TiAlN、TiAlCrN、TiSiN、AlCrN、AlCrSiNに限らず、適宜に定めることができる。複数の層からなる積層構造のコーティングの厚さも、例えば、1〜10μm程度である。
例えば、イオンプレーティングやスパッタリング等の物理気相成長法(PVD;Physical Vapor Deposition)法や、プラズマ化学気相成長法(PECVD;plasma-enhanced chemical vapor deposition)等により、カッタ部品101等の母材にTiAlN、TiAlCrN、TiSiN、AlCrN、AlCrSiN等を蒸着することで、耐摩耗コーティングを施すことができる。
母材の耐熱温度等を考慮して、適宜な方法により耐摩耗コーティングを施すことができる。
耐摩耗コーティングは、カッタ部品101等における切削刃20が形成された領域のみに施工し、カッタ部品同士の組付けに関わる基体の端面101A(図3)や内周部101Bには施工しないことが好ましい。蒸着時には、端面101Aや内周部101Bを覆うようにマスキングを施すことが好ましい。
図1,4等を参照し、カッタ10によりワーク9が切削される過程を説明する。
旋回ヘッド5によりカッタ10に交差角θが与えられた状態で、主軸ユニット7によりカッタ10を軸線周りに回転させ、回転テーブル8によりワーク9を軸線周りに回転させるとともに、サドル4を駆動することでカッタ10をZ方向に沿ってワーク9の上端面の位置まで降ろす。
次いで、コラム3を駆動することで、ワーク9に対する所定の切込み量に対応したX軸方向の移動量をカッタ10に与える。
そして、カッタ10とワーク9とを同期回転させながら、カッタ10をワーク9の軸方向(Z軸方向)に所定の送り量で送ると、カッタ10の分断刃21〜23が切削を分担することで、ワーク9の内周部を周方向および軸方向に亘り削り出す。そうすることで、ワーク9の内周部の全体に亘り内歯車が形成される。
ここで、切削速度は、例えば80〜200m/minであり、送り量は、例えば0.01mm〜1.0mmである。
カッタ10の複数の段(分断刃21〜23)に亘り断続的に切削が進行する様子を説明する。まず、カッタ10の分断刃21がワーク9を切削する。分断刃21のすくい面の周りの切れ刃がワーク9に食い込み、分断刃21の凸形状に対応する凹形状の溝をワーク9の内周部91に形成しながら、カッタ10の周方向に並ぶ分断刃21が順次、内周部91の溝と噛み合い、すべりを生じつつ内周部91を切削する。切削に伴い、切り屑が発生する。
分断刃21には、内周部91からの切削抵抗を受けて大きな切削負荷が加えられ、刃先に欠け、チッピングが発生しやすい。この欠け・チッピングの発生を防ぐためには分断刃21の材料は靱性が高いことが好ましい。分断刃21は、分断刃22および分断刃23による削り代を残して内周部91を切削する。
カッタ10がワーク9に対して送られることで、分断刃21による切削を終えたワーク9の部位に分断刃22が位置することとなる。このとき、未切削の部位には分断刃21が位置する。
分断刃22は、分断刃21と同様にすくい面の周りの切れ刃により内周部91を切削する。分断刃22は、分断刃23による削り代(仕上代)を残して内周部91を切削する。分断刃22に加えられる切削負荷の大きさは分断刃21による切削時と比べれば小さい。
引き続き、カッタ10を送ると、分断刃21および分断刃22により、内周部91において歯車の概略の形状に切削された箇所に分断刃23が位置することとなる。
分断刃23も、切れ刃により内歯車の形状に内周部91を切削する。内周部91には、分断刃23の形状に対応する歯溝が形成される。分断刃23による切削時には、分断刃21,22による切削時と比べて薄い切り屑が発生する。分断刃23に加わる切削負荷は、分断刃21〜23のうちで最も小さい。一方、分断刃23は、切れ刃の食い込みが浅く、薄い切り屑が発生するため摩擦が大きくなり、特に逃げ面が摩耗し易い。従って分断刃23の材料は耐摩耗性が高いことが好ましい。
以上のように、それぞれに切れ刃を備える分断刃21〜23によりワーク9が断続的に切削されることで、一連の切削過程が終了する。多刃に切削の負荷が分散されることで、長寿命化が図られ、パス数を抑えることができるのでサイクルタイムを短縮することができる。
カッタ10によれば、分断刃21〜23による切削過程を1回のみ行う(パス数が1)、あるいは、複数回繰り返すことにより、ワーク9に内歯車を形成することができる。
さて、カッタ10には、長寿命であることに加えて、加工能率が高いことも要求される。ここで、カッタ10およびワーク9のそれぞれの回転速度を増大させて、すべりによる加工速度を増大させると、加工能率が向上する。あるいは、ワーク9に対するカッタ10の送り量を増大させることによっても、加工能率が向上する。
上述したように、分断刃21〜23のそれぞれにおける切削負荷の大きさや摩耗の程度は同一ではなく、相違している。これに基づいて、分断刃21,22には靱性に優れた高速度工具鋼を用いているとともに、摩耗し易い分断刃23には耐摩耗性および耐熱性に優れた超硬合金を用いることが好ましい。つまり、分断刃21,22には荒工程において特に要求される特性(靱性)を十分に有する材質を使用し、かつ、分断刃23には仕上加工において特に要求される特性(耐熱性および耐摩耗性)を十分に有する材質を使用する。
本実施形態のカッタ10によれば、送り量を増大させることで分断刃21,22の切削負荷が大きくなるとしても、高速度工具鋼が有する靱性により、分断刃21,22に欠けやチッピングが発生することを防ぐことができる。
また、加工速度を増大させても、超硬合金が十分な耐摩耗性および耐熱性を有していることにより、分断刃23のすくい面でのクレータ摩耗や逃げ面でのフランク摩耗を抑えることができる。
したがって、送り量や加工速度を増大させて加工能率を向上させつつ、欠け、チッピングや摩耗を抑制して寿命を、より長く確保することができる。
なお、分断刃21,22や分断刃23に耐摩耗コーティングが施されている場合は、その耐摩耗コーティングによっても、加工速度の増大に伴う摩耗を抑えることができる。
カッタ10が多数回に亘り使用された結果、許容される限度を超えて刃が摩耗した場合は、摩耗した分断刃のみを研磨(再研磨と呼ばれる)することで使用可能な状態に修理することができる。かかる再研磨後に、耐摩耗コーティングを施工することも可能である。このとき、コーティングの剥離を防止するため、既存のコーティングの残部を薬品等により除去してから、母材に直接、耐摩耗コーティングを施工することが好ましい。
さらにカッタ10の使用が継続されることで、所定量以上に減耗した状態やチッピング等を生じた状態に至った場合、複数のカッタ部品101〜103のうち更新が必要なカッタ部品のみを新しい部品に交換することができ、経済的である。なお、カッタ10が分割されていることで、カッタ部品単体の処理が可能となるため、再研磨や再コーティングも容易に行える。
分断刃21〜23の材質が相違していると、同一材質の場合と比べて各段における摩耗の程度の差が大きい場合がある。そのことで、段毎に修理や交換を行う機会が増えたとしても、カッタ10が分割されていると、一部のカッタ部品のみの修理や交換を容易に行えるため、有利である。その意味で、本実施形態のように分断刃の段数Nとカッタ部品の個数Mとが一致していると好ましい。
また、カッタ部品101〜103が個別に製造されるため、カッタ部品101〜103を各々任意の材質から容易に構成することができる。この結果、切削過程における負荷や摩耗の度合に対応して、適切な材質を分断刃21〜23に選択することができる。つまり、切削負荷や摩耗の度合に応じて適切な材質から各段が構成されるようにカッタ部品101〜103のそれぞれの材質を定め、切削、熱処理、研削等の過程を経てカッタ部品101〜103を個別に製造することが可能となる。この結果、各段が同一の材質から構成されているカッタに対し、さらなる長寿命化、加工能率向上を実現することができる。
(変形例)
下記に示すように、分断刃22を分断刃23と同様に超硬合金から構成することもできる。
(分断刃22に超硬合金を使用した例)
分断刃21 : 高速度工具鋼(第1材質)
分断刃22 : 超硬合金 (第2材質)
分断刃23 : 超硬合金 (第2材質)
この例において、分断刃22,23は、第2材質から構成された第2刃に相当する。分断刃21は、第1材質から構成された第1刃に相当する。
上記変形例を選択する加工条件においては、分断刃22に超硬合金を採用していても、刃先に欠けやチッピングが、より発生し難くなる。そのため、超硬合金の採用により分断刃22の摩耗を抑制して長寿命化を図ることができる。
上記変形例のように、分断刃22に分断刃23と同一の材質が使用される場合は、図6(b)に示すように、分断刃22と分断刃23とを一体に形成することができる。図6(b)に示す例では、カッタ10が2つのカッタ部品161,162に分割されている。
カッタ10は、荒刃(21,22)および仕上刃(23)を備えているため、荒加工および仕上加工の両方を担う。
しかし、カッタ10が荒加工のみを担い、別のカッタが仕上加工を担うとすれば、カッタ10は、荒刃である分断刃21,22のみを備えるものであってよい。その場合でも、上記変形例の分断刃21,22の材質と同様に、切削過程における負荷や摩耗の度合に応じて適切な材質を分断刃21と分断刃22とに与えることができるため、長寿命化、加工能率向上に寄与できる。
上記の例外を除いて、仕上刃である分断刃23は、最終段である。仮に、仕上刃の次に、仕上刃に該当しない刃が存在した場合は、当該刃の材質は問わない。つまり、仕上刃の材質が超硬合金であり、当該刃の材質が高速度工具鋼であってもよい。
カッタ10の分断刃21〜23のそれぞれの材質は、カッタ10やワーク9に係る加工条件(切削条件)を想定した試験やシミュレーション等を行い、試験結果やシミュレーションの結果における刃の状態に基づいて定めることができる。
例えば、送り量を増大させていくことで分断刃21の切削負荷が増大し、刃先に欠けやチッピングが発生する場合は、超硬合金よりも靱性が高い高速度工具鋼を分断刃21に採用するとよい。分断刃22についても同様である。
また、加工速度を増大させていくことで、分断刃23のすくい面でのクレータ摩耗や逃げ面でのフランク摩耗等が急速に増大する場合は、高速度工具鋼よりも耐熱性および耐摩耗性に優れる超硬合金を分断刃23に採用するとよい。
送り量を増大させていっても、分断刃22に欠け等の支障がなければ、上記の変形例のように、超硬合金を分断刃22に採用することができる。
以上のように、試験やシミュレーションに基づいて分断刃21〜23の材質を決めることにより、寿命と加工能率とをバランスさせつつ高度に両立できる。
耐摩耗コーティングも、試験やシミュレーションの結果に応じて、分断刃21〜23のいずれか、あるいは全てに、適宜な材質を用いて施工することができる。
上記の変形例のように分断刃22に超硬合金を採用すると、分断刃22の耐摩耗性が向上するので、高速度工具鋼を採用する場合には耐摩耗コーティングが必要であったとしても、分断刃22への耐摩耗コーティングをなくすことができる。
試験結果やシミュレーションの結果によっては、高速度工具鋼や超硬合金に限らず、サーメットやPCBN、あるいはCBN等の材質を採用することもできる。下記に示す例では、カッタ10の全体として3種類の材質を用いている。
(3種類の材質を使用した例)
分断刃21 : 高速度工具鋼
分断刃22 : 超硬合金
分断刃23 : サーメットまたはPCBN、あるいはCBN
種々の加工条件によって、機能としては同じ2段目の荒刃である分断刃22について、上述のように高速度工具鋼が適合している場合と、超硬合金が適合している場合とがあり得る。そのため、高速度工具鋼と超硬合金のように材質が異なる複数のカッタ部品102−1、102−2、102−3・・・を製造し、加工条件に応じて使い分けることができる。材質の相違に加えて、耐摩耗コーティング有りのカッタ部品102と、耐摩耗コーティング無しのカッタ部品102とを製造することもできる。
例えば、カッタ部品101,103に対して、高速度工具鋼から構成されたカッタ部品102−1あるいは超硬合金から構成されたカッタ部品102−2のいずれかを組み付けることで、カッタ部品の材質の組み合わせを変更することができる。
分断刃23や、分断刃21についても、材質の違いや、コーティングの有無によって複数種類をストックしておき、加工条件に応じてカッタ部品を組み替えることが可能である。
カッタ10は、量産に対応する他、各段の材質を変えることでワーク9の違いに容易に対応できるので、多品種少量生産にも好適である。
以上で説明してきたように、カッタ10による切削過程を分担する分断刃21〜23のうち、切削負荷が小さいものについては、加工速度の増大に伴う摩耗増大を抑えるため、靱性に劣るとしても耐摩耗性および耐熱性に優れた超硬合金等の材質を使用することが好ましい。
一方、分断刃21〜23のうち切削負荷が大きいものについては、送り量の増大に伴い刃先の欠けやチッピングが発生しないように、靱性に優れた高速度工具鋼等の材質を使用することが好ましい。
以上から、材質の靱性の相違に基づいて分断刃21〜23のそれぞれの材質を定めることができる。
カッタ10は、上記の実施形態に限らず、2段、あるいは4段以上の分断刃を備えるものであってもよい。
切削過程を分担する合計N段の分断刃を備えているカッタであって、切削過程の開始に対応する分断刃についてn=1であり、n段目の分断刃の材質の靱性がZ(n)であるとする。ここで、アーバ71の先端部711A側に位置する分断刃21について、n=1である。
その場合に、下記(A)および(B)の双方が成り立つ。
Z(1)>Z(N) ・・・(A)
Z(n)≧Z(n+1) ・・・(B)
上記の(A)より、切削過程の開始に対応する分断刃の材質の靱性(Z(1))は、切削過程の終了に対応する分断刃の材質の靱性(Z(N))と比べて、高い。
上記実施形態のカッタ10(図2)の例で言うと、分断刃21を構成する高速度工具鋼の靱性(Z(1))は、分断刃23を構成する超硬合金の靱性(Z(N))と比べて、高い。
上記の(B)より、隣接する分断刃の間で、前段の分断刃の材質と比べて後段の分断刃の材質の靱性が必ずしも高い必要はなく、両者は同一であってもよい。
上記実施形態のカッタ10(図2)の例で言うと、分断刃21,22にそれぞれ、靱性が同一である同種の高速度工具鋼が使用されるとすると、分断刃21の材質の靱性(Z(1))は、分断刃22の材質の靱性(Z(2))と同一である。
上記実施形態において、分断刃23の材質は、分断刃22の材質とは相違する超硬合金である。分断刃23の材質の靱性(Z(3))は、分断刃22の材質の靱性(Z(2))よりも高い。
高速度工具鋼は、組成や製法、製造条件等によって靱性が相違する。超硬合金も同様である。そのため、下記のように分断刃21〜23の材質が相違していてもよい。下記に示す例においても、上述した(A)および(B)が成り立つものとする。
(高速度工具鋼の製法が異なる例)
分断刃21 : 鋳造による高速度工具鋼
分断刃22 : 粉末冶金法による高速度工具鋼
分断刃23 : 超硬合金
(超硬合金の組成が異なる例)
分断刃21 : 高速度工具鋼
分断刃22 : 第1組成の超硬合金
分断刃23 : 第2組成の超硬合金
上述した(A)および(B)が成り立つ限り、仕上刃である分断刃23に高速度工具鋼を用いることも許容される。
次に、比較的段数が多い場合として、N=5(5段)である場合の各段の材質例を示す。
(5段の例1)
段1(第1荒刃) : 高速度工具鋼
段2(第2荒刃) : 高速度工具鋼
段3(第3荒刃) : 高速度工具鋼
段4(第4荒刃) : 高速度工具鋼
段5(仕上刃) : 超硬合金
(5段の例2)
段1(第1荒刃) : 高速度工具鋼
段2(第2荒刃) : 高速度工具鋼
段3(第3荒刃) : 超硬合金
段4(第4荒刃) : 超硬合金
段5(仕上刃) : サーメット
上記に示す例1,2のいずれについても、上述した(A)および(B)が成り立つ。
分断刃の段数Nと、カッタ部品の個数Mとは、必ずしも一致しない。例えば、上記の例1,2のように4段の荒刃と、1段の仕上刃との合計5段の分断刃を備えているカッタが、4つのカッタ部品に分割されていてもよい(N=5、M=4)。その場合、例えば、第1、第2荒刃/第3荒刃/第4荒刃/仕上刃というように4つの領域に区分することができる。
以上では、分断刃の各段の材質を定めるために靱性を指標として用いているが、靱性に代えて、あるいは靱性と共に、例えば、耐熱温度、耐摩耗性、硬さ等を指標に用いることも可能である。その場合も、各段の材質の物理量であるZに関して上述の(A)および(B)の双方が成り立つように各段の材質を定めることができる。
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
図7は、はすば歯車(helical gear)と噛み合う内歯車を図示しないワークに加工するためのスカイビング加工用カッタ30(カッタ30)を示している。このカッタ30は、切削刃40として平歯車とほぼ同様の形状の分断刃41〜43を備えており、分断刃41〜43を個別に含むカッタ部品301〜303に分割されている。
分断刃41〜43は、上述した分断刃21〜23と同様に、切削過程における負荷や摩耗の程度に応じて、例えば、次のような材質から構成されている。
分断刃41 : 高速度工具鋼
分断刃42 : 高速度工具鋼
分断刃43 : 超硬合金
分断刃41〜43の表面には、特に分断刃41,42の表面には、TiAlN、TiAlCrN、TiSiN、AlCrN、AlCrSiN等の材質から耐摩耗コーティングが施されることが好ましい。
図7に示すカッタ30によっても、刃の欠けやチッピング、摩耗を抑制しながら送り量や加工速度を増大させることができるため、加工能率の向上と工具の長寿命化を実現することができる。
本発明は、外歯車を加工するスカイビング加工用カッタと、それを備えたスカイビング加工装置も包含する。
本発明のスカイビング加工用カッタは、平歯車(spur gear)の軸線とカッタの軸線を交差するように配置して平歯車と噛み合う歯車を加工するように構成された複数の分断刃を備えるものであってもよい。
本発明のスカイビング加工用カッタの刃の形状は制限されない。
また、本発明のスカイビング加工用カッタは、外観の形態に限定されず、ストレート型、樽型、テーパ型など任意の形態でも成り立つ。
本発明のスカイビング加工用カッタは、分断刃が基部の外周部に一体に形成されている形態に限定されない。分断刃は基部の外周に別途取り付けたものであっても構わない。
1 スカイビング加工装置
2 ベッド
3 コラム
4 サドル
5 旋回ヘッド
5x ヘッド軸
6 スライダ
7 主軸ユニット(回転軸装置)
8 回転テーブル
8z 軸線
9 ワーク(被削材)
10,30 スカイビング加工用カッタ
11 基体
12 孔
13 ピン
14 キー溝
20,40 切削刃
21〜23 分断刃
211,221 耐摩耗コーティング
22A すくい面
22B 外周逃げ面
22C 背面
22D,22E 側方逃げ面
22F 外周切れ刃
22G,22H 側方切れ刃
25 ナット
41〜43 分断刃
71 アーバ
91 内周部
101 カッタ部品(第1カッタ部品)
101A 端面
101B 内周部
102 カッタ部品
103 カッタ部品(第2カッタ部品)
301〜303 カッタ部品
711 小径部
711A 先端部
712 大径部
713 キー
A 主軸線
L 刃すじ
L1 弦巻線
L2 弦巻線
L3 接線
V 加工速度
V1 周速
V2 周速
θ 交差角

Claims (9)

  1. スカイビング加工用カッタであって、
    軸周りに回転されることで被削材を切削する複数の切削刃を備え、
    前記各切削刃は、
    前記被削材を切削する切削過程を分担可能に構成された少なくとも第1刃および第2刃を含み、
    前記第1刃は、第1材質から構成され、
    前記第2刃は、前記第1材質とは異なる第2材質から構成されている、
    ことを特徴とするスカイビング加工用カッタ。
  2. 前記第1刃は、削り代を残して切削する荒刃であり、
    前記第2刃は、前記被削材の形状を仕上げる仕上刃である、
    請求項1に記載のスカイビング加工用カッタ。
  3. 前記切削刃は、
    前記被削材の形状を仕上げる仕上刃と共に前記切削過程を分担可能に構成された少なくとも第1荒刃および第2荒刃を含み、
    前記第1荒刃は、前記第1材質から構成され、
    前記第2荒刃は、前記第2材質から構成されている、
    請求項1に記載のスカイビング加工用カッタ。
  4. 前記切削刃は、前記第1刃および前記第2刃を含めて合計N段の刃を有し、
    前記切削過程の開始に対応する前記刃についてn=1であり、n段目の前記刃を構成する材質の靱性がZ(n)であるとすると、
    Z(1)>Z(N) かつ、
    Z(n)≧Z(n+1) である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のスカイビング加工用カッタ。
  5. 前記第1材質から構成され、前記第1刃を含む第1カッタ部品と、
    前記第2材質から構成され、前記第2刃を含む第2カッタ部品と、を備える、
    請求項1から4のいずれか一項に記載のスカイビング加工用カッタ。
  6. 前記第1カッタ部品および前記第2カッタ部品を含めて合計M個のカッタ部品を備え、
    前記切削刃は、前記第1刃および前記第2刃を含めて合計N段の刃を有し、
    N=Mであり、
    前記M個のカッタ部品はそれぞれ、前記N段の刃を個別に含む、
    請求項5に記載のスカイビング加工用カッタ。
  7. 前記第1材質は、高速度工具鋼であり、
    前記第2材質は、超硬合金である、
    請求項1から6のいずれか一項に記載のスカイビング加工用カッタ。
  8. 前記切削刃は、
    前記第1刃および前記第2刃を含めて2段以上の刃を有し、
    少なくとも1段の前記刃には、
    耐摩耗性硬質皮膜からなるコーティングが施されている、
    請求項1から7のいずれか一項に記載のスカイビング加工用カッタ。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載のスカイビング加工用カッタと、
    前記スカイビング加工用カッタに回転駆動力を伝達する回転軸装置と、を備える、
    ことを特徴とするスカイビング加工装置。
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