JP2020129030A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の実施形態に係るトナーは、トナー粒子を含む。トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備える。トナー母粒子は、結着樹脂及び磁性粉を含有する。外添剤は、外添剤粒子(以下、外添剤粒子(A)と記載することがある)を含む。外添剤粒子(A)は、チタン酸ストロンチウムを含有する基体と、基体を被覆する導電層と、導電層を直接又は間接的に被覆する表面処理層とを備える。表面処理層は、疎水化処理剤に由来する成分を含有する。
図1は、トナーに含まれるトナー粒子1の一例を示す。図1に示すトナー粒子1は、トナー母粒子2と、トナー母粒子2の表面に付着した外添剤とを備える。外添剤は、外添剤粒子(A)3を含む。
外添剤粒子(A)は、チタン酸ストロンチウムを含有する基体と、基体を被覆する導電層と、導電層を直接又は間接的に被覆する表面処理層とを備える。表面処理層は、疎水化処理剤に由来する成分を含有する。以下、外添剤粒子(A)の構造について、図面に沿って2つの例を挙げて説明する。
基体は、チタン酸ストロンチウムを含有する。基体におけるチタン酸ストロンチウムの含有割合としては、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
導電層は、導電性を有する酸化物を含有することが好ましく、導電性を有する金属酸化物を含有することがより好ましい。導電性を有する金属酸化物としては、例えば、酸化スズを含有する金属酸化物(例えば、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウムスズ(ITO)及びフッ素ドープ酸化スズ(FTO))と、酸化亜鉛を含有する金属酸化物(例えば、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)及びガリウムドープ酸化亜鉛(GZO))とが挙げられる。導電層は、アンチモンドープ酸化スズを含有することが好ましい。導電層における導電性を有する酸化物の含有割合としては、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
保護層は、導電層の剥離を抑制する。保護層は、チタネートカップリング剤に由来する成分、含窒素樹脂又は水酸化アルミニウムを含有することが好ましい。即ち、保護層としては、チタネートカップリング剤により形成される層、又は含窒素樹脂若しくは水酸化アルミニウムを含有する層が好ましい。
表面処理層は、疎水化処理剤により形成される層であり、外添剤粒子(A)に疎水性を付与する。疎水化処理剤としては、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤、シリコーンオイル、脂肪酸及び脂肪酸金属塩が挙げられる。疎水化処理剤としては、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤、又はシリコーンオイルが好ましい。
その他の外添剤粒子としては、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、又は金属酸化物(具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等)の粒子がより好ましく、シリカ粒子又は酸化チタン粒子が更に好ましい。但し、その他の外添剤粒子として、脂肪酸金属塩(具体的には、ステアリン酸亜鉛等)のような有機酸化合物の粒子、又は樹脂粒子を使用してもよい。
トナー母粒子は、結着樹脂及び磁性紛を含有する。トナー母粒子は、必要に応じて、内添剤(例えば、着色剤、離型剤及び電荷制御剤の少なくとも1つ)を更に含有してもよい。トナー母粒子の製造方法としては、粉砕法及び凝集法が挙げられ、粉砕法が好ましい。
トナー母粒子は、例えば主成分として結着樹脂を含有する。低温定着性に優れたトナーを提供する観点から、トナー母粒子は、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、結着樹脂全体の85質量%以上の割合で熱可塑性樹脂を含有することがより好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰り返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等)も、結着樹脂として使用できる。結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、及びこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト及び二酸化クロム等)、及び強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。
トナー母粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質な画像を形成する観点から、着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
トナー母粒子は、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーに耐オフセット性を付与する目的で使用される。トナーに充分な耐オフセット性を付与する観点から、離型剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、より優れた帯電安定性又は優れた帯電立ち上がり特性を有するトナーを提供する目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。
シェル層は、実質的に樹脂から構成される。シェル層は、実質的に熱硬化性樹脂から構成されていてもよく、実質的に熱可塑性樹脂から構成されていてもよく、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との両方を含有していてもよい。例えば、低温で溶融するトナーコアを、耐熱性に優れるシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることが可能になる。シェル層を構成する樹脂中には、添加剤が分散していてもよい。シェル層は、トナーコアの全面を被覆していてもよく、トナーコアの表面を部分的に被覆していてもよい。
本発明に係るトナーは、例えば、トナー母粒子の表面に外添剤粒子(A)を含む外添剤を付着させる工程(外添工程)を備える方法により製造することができる。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる方法としては、特に限定されないが、例えば、トナー母粒子及び外添剤をミキサー等で攪拌する方法が挙げられる。
以下の方法により、外添剤粒子(A−1)〜(A−29)及び(a−1)〜(a−7)を調製した。まず、各外添剤粒子の調製に際して実施した「導電層の形成処理」、「チタネートカップリング剤処理」、「シランカップリング剤処理」、「シリコーンオイル処理」、「ウレタン樹脂による被覆処理」、「メラミン樹脂による被覆処理」及び「水酸化アルミニウムによる被覆処理」の詳細について説明する。
基体300gを、プライミクス株式会社製「ホモミクサーMARK II 2.5型」を用いて純水に分散させることにより、2リットルの懸濁液を調製した。得られた懸濁液を70℃に加熱した。別途用意した2.4N塩酸750ミリリットルに、塩化第二スズ・5水和物(SnCl4・5H2O)及び三塩化アンチモン(SbCl3)を溶解させ、酸溶液を調製した。酸溶液の調製において、塩化第二スズ・5水和物及び三塩化アンチモンの添加量は、下記表1に示す通りとした。その後、上述の懸濁液に、5Nアンモニア水溶液及び酸溶液を1時間かけて並行滴下した。並行滴下においては、懸濁液を70℃に保持し、かつ懸濁液のpHが7〜8に保持されるように滴下量を調節した。その後、懸濁液をろ過した。得られたろ物に純水を添加した後、再度ろ過した(洗浄処理)。洗浄処理は、ろ液の導電率が50μS/cm以下になるまで繰り返し行った。洗浄後のろ物を110℃で12時間乾燥させた後、700℃の電気炉にて2時間焼成した。得られた焼成物を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、導電層で被覆された基体を得た。
原料粒子300gと、チタネートカップリング剤(味の素株式会社製「プレンアクト(登録商標)TTS」、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート)24gとを、混合装置(株式会社カワタ製「ナノパージョンピッコロ」)に投入し、80℃、6000rpmの条件で1時間混合した。その後、得られた混合物を110℃で12時間乾燥させた。その後、乾燥後の混合物を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、チタネートカップリング剤に由来する成分を含有する層で被覆された原料粒子を得た。
原料粒子300gと、シランカップリング剤(東京化成工業株式会社製「イソブチルトリエトキシシラン」)26gと、エタノール水溶液(エタノール90質量%)50gとを混合した。得られた混合液を、混合装置(株式会社カワタ製「ナノパージョンピッコロ」)に投入し、80℃、1時間、6000rpmの条件で混合した。その後、得られた混合物を110℃で12時間乾燥させた。その後、乾燥後の混合物を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、シランカップリング剤に由来する成分を含有する層で被覆された原料粒子を得た。
混合装置(プライミクス社製「T.K.ハイビスディスパーミックスHM−3D−5型」)に、n−ヘキサン(和光純薬工業株式会社製「n−ヘキサン一級」)1.5Lと、メチルハイドロジェンシリコーンオイル(信越化学株式会社製「KF−99」)21gとを投入して、メチルハイドロジェンシリコーンオイルをn−ヘキサンに溶解させた。次いで、混合装置内のn−ヘキサン溶液に、原料粒子300gを加えた。その後、常温にて30分間、30rpmの条件で、混合装置の内容物を攪拌した。攪拌後、混合装置の内容物を、温度計及び攪拌羽根を備えた3Lのセパラブルフラスコに移した。セパラブルフラスコの内容物を、攪拌装置を用いて300rpmの条件で攪拌しながら35℃から70℃まで5℃/15分の速度で昇温した。その後、セパラブルフラスコの内容物の温度を70℃に維持しつつ、減圧乾燥機にて乾燥させた(減圧乾燥処理)。減圧乾燥処理は、フラスコの内容物が完全に乾燥して質量が一定になるまで続けた。減圧乾燥処理後の内容物を電気炉に投入し、窒素雰囲気下、200℃で3時間の焼成を行った。焼成により得られた粗粉体を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、シリコーンオイルを含有する層で被覆された原料粒子を得た。
混合装置(プライミクス社製「T.K.ハイビスディスパーミックスHM−3D−5型」)を用い、イオン交換水1.5Lと、原料粒子300gとを、常温にて30分間、30rpmの条件で攪拌することで分散液を調製した。得られた分散液に水溶性ウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス(登録商標)170」、固形分濃度30質量%の水溶液)100gを投入し、常温にて5分間、30rpmの条件で攪拌して混合した。混合後、混合装置の内容物を、温度計及び攪拌羽根を備えた3Lのセパラブルフラスコに移した。セパラブルフラスコの内容物を、攪拌装置を用いて300rpmの条件で攪拌しながら35℃から70℃まで5℃/15分の速度で昇温させた。次いで、温度を70℃に維持しつつ、30分間、回転数90rpmの条件で、セパラブルフラスコの内容物を攪拌した。その後、セパラブルフラスコの内容物を、常温まで冷却した後、ブフナーロートを用いてろ取した。得られたウェットケーキ状のろ物をエタノール水溶液(エタノール50質量%)に分散させることでスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)に供給し、スラリーを乾燥させることで粗粉体を得た。連続式表面改質装置を用いた乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分とした。得られた粗粉体を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、ウレタン樹脂を含有する層で被覆された原料粒子を得た。
以下の点を変更した以外は、ウレタン樹脂による被覆処理と同様の方法により、メラミン樹脂による被覆処理を行った。メラミン樹脂による被覆処理では、水溶性ウレタン樹脂の代わりに、メチロールメラミン(日本カーバイド工業株式会社製「ニカレジン(登録商標)S−260」)25gを分散液に投入した。これにより、メラミン樹脂を含有する層で被覆された原料粒子を得た。
混合装置(プライミクス社製「T.K.ハイビスディスパーミックスHM−3D−5型」)を用い、イオン交換水1.5Lと、原料粒子300gとを、常温にて30分間、30rpmの条件で攪拌することで分散液を調製した。この分散液を45℃に加熱した後、100g/Lのポリ塩化アルミニウム(高杉製薬株式会社製)800gと、5N水酸化ナトリウム水溶液とを同時に滴下した。滴下においては、分散液を45℃に保ち、かつ分散液のpHが6.0に保たれるように滴下量を調節した。滴下後の分散液を30℃に冷却した後、ブフナーロートを用いてろ取した。得られたウェットケーキ状のろ物を、エタノール水溶液(エタノール50質量%)に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)に供給し、スラリーを乾燥させることで粗粉体を得た。連続式表面改質装置を用いた乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分とした。得られた粗粉体を、粉砕機を用いて粉砕圧0.6MPaで粉砕した。これにより、水酸化アルミニウムを含有する層で被覆された原料粒子を得た。
(基体の調製)
硫酸チタニル(米山薬品工業株式会社製)に、4N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH9.0の溶液を調製した(脱硫処理)。この溶液に6N塩酸を添加してpH5.5に調節した後、濾過水洗を行った。洗浄後、ウェットケーキ状のろ物に水を加えてスラリーを調製した。水の添加量は、スラリーのTiO2換算での濃度が1.25モル/Lとなる量とした。このスラリーに6N塩酸を添加し、pHを1.2に調節した(解膠処理)。解膠処理後のスラリーのうち、TiO2換算で0.156モルのスラリーを3Lの反応容器に投入した。反応容器に、塩化ストロンチウム水溶液を添加した。添加後の反応液は、SrO/TiO2換算でのモル比が1.15であり、かつTiO2換算での濃度が0.156モル/Lであった。その後、反応容器に窒素ガスを流しながら20分間放置することで、反応容器内を窒素ガスで置換した。次に、この反応容器に窒素ガスを流しながら、反応容器内の混合溶液を300rpmの条件で攪拌混合しつつ13.5℃/分の条件で90℃に加熱した。その後、混合溶液を90℃に維持しつつ、300rpmの条件で攪拌混合を行いながら、2.5N水酸化ナトリウム水溶液143mLを添加した。2.5N水酸化ナトリウム水溶液の添加にかけた時間(添加時間A)は、下記表1に示す通りとした。その後、混合溶液を90℃、1時間、600rpmの条件で攪拌することで反応させた。反応後、混合溶液を40℃まで冷却した後、窒素雰囲気下で混合溶液の上澄み液を除去した。その後、窒素雰囲気下において、混合溶液に含まれていた沈殿物(生成物)に2.5Lの純水を加えた後、デカンテーションで上澄み液を除去するという一連の操作を2回行った。洗浄後、生成物をブフナー漏斗でろ過し、得られたウェットケーキ状のろ物(生成物)を110℃の大気中で8時間乾燥させた。これにより、基体(チタン酸ストロンチウム粒子)を得た。
以下の点を変更した以外は、外添剤粒子(A−1)の調製と同様の方法により、外添剤粒子(A−2)〜(A−29)及び(a−1)〜(a−5)を調製した。
塩素法によって得た四塩化チタンと、酸素ガスとの混合物を気相酸化反応器に導入し、気相にて温度1000℃で反応させることによってバルク状の酸化チタンを得た。このバルク状の酸化チタンをハンマーミルで粉砕し、得られた粉砕物を洗浄した後に110℃で乾燥させた。乾燥後の粉砕物を、超音速ジェット粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製「ジェットミルIDS−2」)を用いて解砕することで、酸化チタン粒子(個数平均一次粒子径:90nm、結晶型:ルチル型)を得た。なお、酸化チタン粒子の個数平均一次粒子径は、ハンマーミルの設定によって調節した。
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10」)を用いて、結着樹脂としての非晶性ポリエステル樹脂(日本合成化学工業株式会社製「ポリエスター(登録商標)HP−313」)100質量部と、着色剤としてのカーボンブラック(三菱化学株式会社製「MA100」)6質量部と、電荷制御剤としてのニグロシン染料(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)N−71」)2質量部、及び藤倉化成株式会社製「アクリベ−ス(登録商標)FCA−201PS」(成分:4級アンモニウム塩由来の繰り返し単位を含むスチレン−アクリル酸系樹脂)4質量部と、離型剤としてのカルナバワックス(東亜化成株式会社製)4質量部と、磁性粉としてのマグネタイト粒子(三井金属株式会社製「TN−15」、個数平均一次粒子径0.17μm)77質量部とを混合した。
外添剤(外添剤粒子(A−1)〜(A−29)及び(a−1)〜(a−7)の何れか)1.0質量部と、正帯電性シリカ粒子(キャボット社製「CAB−O−SIL(登録商標)TG−308F」)1.5質量部と、トナー母粒子100質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10」)を用いて回転数3,500rpm、5分間の条件で混合した。これにより、実施例1〜29及び比較例1〜7のトナーを得た。
実施例1〜29及び比較例1〜7のトナーの各外添剤粒子について、蛍光X線分析により「基体の質量に対する酸化スズ(SnO2)の質量の比」及び「導電層におけるスズ原子及びアンチモン原子の合計物質量に対するアンチモン原子の物質量の比」を測定した。また、各外添剤粒子について、粒子径と、脱離スズ量と、粉体比抵抗とを測定した。測定結果を下記表2に示す。
各外添剤粒子を蛍光X線で分析し、分析結果に基づいて「基体の質量に対する酸化スズの質量の比(SnO2/基体)」及び「導電層におけるスズ原子及びアンチモン原子の合計物質量に対するアンチモン原子の物質量の比(Sb/(Sn+Sb))」を算出した。蛍光X線分析の条件は、以下の通りとした。なお、外添剤粒子(A−1)〜(A−29)及び(a−1)〜(a−5)の測定における検量線の作成には、チタン酸ストロンチウム、酸化スズ(SnO2)及び五酸化アンチモンを特定の配合比率で混合した複数種の検量線用サンプルを用いた。また、外添剤粒子(a−6)及び(a−7)の測定における検量線の作成には、酸化チタン、酸化スズ(SnO2)及び五酸化アンチモンを特定の配合比率で混合した複数種の検量線用サンプルを用いた。
・試料:外添剤粒子を圧力20MPa、加圧時間3秒間の条件で加圧成形した円柱状ペレット
・分析装置:走査型蛍光X線分析装置(株式会社リガク製「ZSX」)
・X線管球(X線源):Rh(ロジウム)
・励起条件:管電圧50kV、管電流50mA
・測定領域(X線照射範囲):直径30mm
・測定元素:ストロンチウム、アンチモン、チタン、スズ
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いてトナーの断面画像(倍率:3万倍)を撮影した。撮影した断面画像に基づき、100個の外添剤粒子(詳しくは、外添剤粒子(A−1)〜(A−29)及び(a−1)〜(a−7)の何れか)の円相当径を画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて解析し、その平均値を個数平均一次粒子径とした。
50mLガラス瓶に、外添剤粒子(詳しくは、外添剤粒子(A−1)〜(A−29)及び(a−1)〜(a−7)の何れか)5gと、エタノール25gとを投入し、沈降物がなくなるまでハンドシェイクした。得られた混合物を、超音波洗浄機(株式会社エスエヌディ製「US−2KS」)で1分間超音波処理(120W、38kHz)した。その後、混合物にエタノール10gを更に添加した後、沈降物がなくなるまで再びハンドシェイクした。その後、混合物を超音波プラスチックウエルダ(超音波工業株式会社製「UPW0128A1H」)で5分間超音波処理(100W、28kHz)した。その後、混合物を5mLの遠心チューブに移し、遠心分離(8000rpm、1分)を行った後、上澄みを採取した。ピペッターを用い、上澄み液1000μLを、X線測定用のフィルター状の微量粉末用容器(リガク製「試料板20ミリ(3399O053)」)に注ぎ、乾燥させた。その後、微量粉末用容器に含まれるSnの強度(脱離スズ量[kcps/mL])を蛍光X線分析装置にて測定した。蛍光X線分析の条件は、上述した外添剤粒子の蛍光X線分析における条件と同様とした。脱離スズ量が多い(導電層が剥離し易い)外添剤粒子を備えるトナーは、剥離した導電層が他の部材等に付着して帯電安定性が変動し易い傾向がある。
電気抵抗計(株式会社アドバンテスト製「R6561」)の円筒状の測定セルに外添剤粒子5gを投入した。なお、測定セルは、底面が金属製の電極であり、筒部がフッ素樹脂製であった。続けて、測定セルに充填した外添剤粒子に電気抵抗計の電極を繋いだ。この電極に1kgの荷重をかけた。続けて、両電極間にDC電圧10Vを印加し、印加開始から1分後における外添剤粒子の電気抵抗を測定した。なお、印加開始から測定終了までの間は1kgの荷重を電極にかけ続けた。測定は、温度25℃、湿度50%RHの環境下で行った。そして、測定された電気抵抗の値と、電気抵抗測定時における外添剤粒子(詳しくは、測定セルに充填された外添剤粒子)の寸法とに基づき、下記式に基づいて外添剤粒子の粉体比抵抗(体積固有抵抗値)を求めた。
粉体比抵抗[Ω・cm]=電気抵抗値×電流路の断面積/電流路の長さ
以下に示す方法により、実施例1〜29及び比較例1〜7のトナーの画像濃度、耐フィルミング性、感光体ピンホール及び耐かぶり性について評価した。評価結果を下記表3に示す。
評価機として、モノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「ECOSYS(登録商標)LS−2100DN」)を使用した。評価機のブラック用現像装置にトナー(詳しくは、外添剤粒子(A−1)〜(A−29)及び(a−1)〜(a−7)のうち何れかを含むトナー)を投入した。また、評価機のブラック用トナーコンテナに、補給用トナー(詳しくは、ブラック用現像装置に投入したトナーと同一のトナー)を投入した。
32.5℃、湿度80%RH環境下(HH環境下)にて、ソリッド画像を含む印字率4%の画像パターンを5000枚の印刷用紙に印刷した。最後に印刷した印刷物(5000枚目の印刷物)について、ソリッド画像の反射濃度(ID)を測定した。反射濃度の測定には、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いた。画像濃度は、以下の基準で評価した。
A(最も良好):IDが1.3以上
B(特に良好):IDが1.2以上1.3未満
C(良好):IDが1.1以上1.2未満
D(不良):IDが1.1未満
画像濃度の評価後の評価機を用いて、23℃、湿度50%RH環境下(常温常湿下)で印字率4%の画像パターンを10万枚の印刷用紙に印刷した。得られた印刷物のうち、5万枚目、7.5万枚目及び10万枚目の印刷物を目視で観察し、フィルミングに起因する画像不良(ダッシュマーク)の有無と、感光体ピンホールに起因する画像不良の有無とを確認した。耐フィルミング性及び感光体ピンホールは、以下の基準で評価した。
A(特に良好):フィルミングに起因する画像不良が、10万枚目の印刷物においても確認されない。
B(良好):フィルミングに起因する画像不良が、5万枚目の印刷物には確認されないが、10万枚目の印刷物には確認される。
C(不良):フィルミングに起因する画像不良が、5万枚目の印刷物に確認される。
A(特に良好):感光体ピンホールに起因する画像不良が、10万枚目の印刷物においても確認されない。
B(良好):感光体ピンホールに起因する画像不良が、5万枚目の印刷物には確認されないが、10万枚目の印刷物には確認される。
C(不良):感光体ピンホールに起因する画像不良が、5万枚目の印刷物に確認される。
耐フィルミング性及び感光体ピンホールの評価後の評価機を用いて、24℃、湿度50%RH環境下で、印字率1%の画像パターンを1000枚の印刷用紙に印刷した後、印字率80%の画像パターンを100枚の印刷用紙に印刷した。その後、印字率80%で印刷した100枚の印刷物のそれぞれについて、非印刷部(白地部)の反射濃度Xを、反射濃度計(X−Rite社製「RD918」)を用いて測定した。また、未印刷の印刷用紙の反射濃度Yを、反射濃度計(X−Rite社製「RD918」)を用いて測定した。そして、100枚の印刷物(印字率80%)のそれぞれについて「反射濃度X−反射濃度Y」を算出し、その最大値をかぶり濃度の評価値(FD)とした。耐かぶり性は、以下の基準に基づいて評価した。
A(最も良好):FDが0.0005以下
B(特に良好):FDが0.0005超0.010以下
C(良好):FDが0.010超0.015以下
D(不良):FDが0.015超
2 トナー母粒子
3、3a、3b 外添剤粒子
4 基体
5 導電層
6 表面処理層
7 保護層
Claims (7)
- トナー粒子を含むトナーであって、
前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備え、
前記トナー母粒子は、結着樹脂及び磁性粉を含有し、
前記外添剤は、外添剤粒子を含み、
前記外添剤粒子は、チタン酸ストロンチウムを含有する基体と、前記基体を被覆する導電層と、前記導電層を直接又は間接的に被覆する表面処理層とを備え、
前記表面処理層は、疎水化処理剤に由来する成分を含有する、トナー。 - 前記導電層は、アンチモンドープ酸化スズを含有する、請求項1に記載のトナー。
- 前記外添剤粒子において、前記基体の質量に対する酸化スズ(SnO2)の質量の比は、0.65以上1.55以下である、請求項2に記載のトナー。
- 前記導電層におけるスズ原子及びアンチモン原子の合計物質量に対するアンチモン原子の物質量の比は、0.13以上0.28以下である、請求項2又は3に記載のトナー。
- 前記表面処理層は、前記導電層を直接被覆し、
前記表面処理層は、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤又はシリコーンオイルに由来する成分を含有する、請求項1〜4の何れか一項に記載のトナー。 - 前記外添剤粒子は、前記導電層及び前記表面処理層の間に設けられる保護層を更に備え、
前記保護層は、チタネートカップリング剤に由来する成分、含窒素樹脂又は水酸化アルミニウムを含有し、
前記表面処理層は、シランカップリング剤又はシリコーンオイルに由来する成分を含有する、請求項1〜4の何れか一項に記載のトナー。 - 前記外添剤粒子の個数平均一次粒子径は、60nm以上300nm以下である、請求項1〜6の何れか一項に記載のトナー。
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