JP2015011195A - 静電潜像現像用キャリア、およびそれを用いた補給用現像剤、現像剤入り容器、並びに画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁性を有する芯材粒子と、該芯材粒子の表面を被覆する樹脂層と、を備える静電潜像現像剤用キャリアであって、前記樹脂層は、樹脂と、導電性微粒子と、を含み、前記導電性微粒子は少なくとも、基体と、該基体の表面を被覆しスズを含有する導電層を有し、前記基体は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウムより選ばれる1種または2種以上であって、当該静電潜像現像用キャリアの深さ方向ごとにXPS測定を行った結果におけるスズが検出された深さをA[nm]、前記基体が検出された深さをB[nm]としたとき、前記Aと前記Bとの差が30〜200[nm]であることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
フルカラー画像形成では、一般に、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラートナー又はこれに黒色を加えた4色のカラートナーを積層させて全ての色の再現を行う。したがって、色再現性に優れ、鮮明なフルカラー画像を得るためには、定着されたトナー像の表面を平滑にして光散乱を減少させる必要がある。このような理由から、従来のフルカラー複写機等の画像光沢は、10〜50%の中〜高光沢のものが多かった。
このため、モノクロ画像形成では、溶融したトナーが内部破断しないように、溶融時の粘弾性が大きく、離型剤を含有するトナーを用いることにより、定着ローラにオイルを塗布しないオイルレスシステム、或いはオイルの塗布量を微量とするシステムが採用される傾向にある。
しかしながら、近年のさらなる画像形成装置の高速化、長寿命化による環境廃棄負荷の低減、ならびに一枚あたりの印刷コストダウンを求められるようになり、一層高耐久化したキャリアが必要とされている。
また、特許文献12の特許4307352号公報、特許文献13の特開2006−79022号公報、特許文献14の特開2008−262155号公報、特許文献15の特開2009−186769号公報、特許文献16の特開2009−251483号公報では、基体粒子に導電材としてITOを皮膜させた導電性微粒子について記載されている。このような導電性能に優れた導電材を用いた導電性微粒子の構成は、基体粒子に導電材が薄膜として被覆されている。この導電性微粒子をキャリアの芯材を被覆する樹脂層に用いた場合、印刷速度の速い画像形成装置で用いると現像機内でのキャリア粒子同士の衝突により、キャリア粒子表面に露出している導電性微粒子含有の導電層が削れる。このため、抵抗の高い基体が露出し、比較的初期の段階でキャリアの抵抗上昇を起こし、これに伴いキャリアの抵抗値に関係の強いキャリア表層の帯電が上昇し、その結果印字密度が安定しないといった不具合を起こす。
しかして、本発明に係る静電潜像現像用キャリアは、磁性を有する芯材粒子と、該芯材粒子の表面を被覆する樹脂層と、を備える静電潜像現像剤用キャリアであって、前記樹脂層は、樹脂と、導電性微粒子と、を含み、前記導電性微粒子は少なくとも、基体と、該基体の表面を被覆しスズを含有する導電層を有し、前記基体は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウムより選ばれる1種または2種以上であって、当該静電潜像現像用キャリアの深さ方向ごとにXPS測定を行った結果におけるスズが検出された深さをA[nm]、前記基体が検出された深さをB[nm]としたとき、前記Aと前記Bとの差が30〜200[nm]であることを特徴とする。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
本発明に係る静電潜像現像用キャリアは、磁性を有する芯材粒子と、該芯材粒子の表面を被覆する樹脂層と、を備える。
本発明に係る静電潜像現像用キャリアについて、各構成およびその材料、並びに諸特性について順に説明する。
また、以下において静電潜像現像用キャリアを単にキャリアと称することもある。
キャリア粒子の体積平均粒径が23μm未満であると、キャリア付着が発生することがあり、57μmを超えると、画像細部の再現性が低下し、精細な画像を形成できなくなることがある。
なお、体積平均粒径は、例えば、マイクロトラック粒度分布計モデルHRA9320−X100(日機装社製)を用いて測定することができる。
また実際の使用状況下においては、トナー濃度、芯材粒子の磁化特性、使用環境など体積固有抵抗以外の要因も絡んでくる。このことを考えると体積固有抵抗が9.5〜12.1[LogΩ・cm]であることがさらに望ましい。
具体的には、まず、表面積2.5cm×4cmの電極(1a)及び電極(1b)を、0.16cmの距離を隔てて収容したフッ素樹脂製容器(2)からなるセルに、キャリア(3)を充填し、落下高さ1cm、タッピングスピード30回/分で、10回のタッピングを行う。次に、電極(1a)及び(1b)の間に1000Vの直流電圧を印加して30秒後の抵抗値r[Ω]を、ハイレジスタンスメーター4329A(横河ヒューレットパッカード社製)を用いて測定し、下記式2から、体積固有抵抗[Ω・cm]を算出することができる。
本発明において、磁性を有する芯材粒子としては、磁性体であれば、特に限定されないが、鉄、コバルト等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;各種合金や化合物;これらの磁性体を樹脂中に分散させた樹脂粒子等が挙げられる。中でも、環境面への配慮から、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Srフェライト等が好ましい。
樹脂層は、芯材表面を被覆するものであり、樹脂と、導電性微粒子と、を含む。
本発明のキャリアの樹脂層は主に樹脂と導電性微粒子で構成され、それぞれ機能を持たせている。
導電性微粒子には抵抗調整の機能、キャリア表面に微小凹凸を持たせることで凹部のスペント物を凸部がかきとる機能、樹脂層強度向上、の以上3つの機能を持たせる。
樹脂はそのバインダーとしての機能と、トナーがキャリア表面に付着する所謂スペントを抑制する機能を持たせる。
<<導電性微粒子>>
導電性微粒子は少なくとも、基体と、該基体の表面を被覆しスズを含有する導電層を有し、
なお、後述するように導電性微粒子は表面処理を施しても良く、また、基体及び導電層以外の層を有していても良い。
導電性微粒子の粉体比抵抗は4〜80[Ω・cm]であることが好ましく、4〜20[Ω・cm]であることが非常に好ましい。
なお、粉体比抵抗の異なる導電性微粒子を複数併用することは可能である。例えば粉体比抵抗の低い導電性微粒子と、高いものを併用させてキャリア抵抗値と処方量を依存させない方法は可能である。
しかし、前記離脱の観点からも粉体比抵抗は4[Ω・cm]以上のものを用いることが好ましい。
抵抗が高くなると、黒ベタを印字した際に端部の濃度が特に濃くなる所謂エッジ効果が問題となる。またこの他に、ハーフトーンの中に黒ベタの部分があるような画像を印刷した際に図2に示すように黒ベタの部分に対して通紙方向のハーフトーン部が薄くなった画像になりやすくなる。以後この画像をハロー画像と呼ぶが、導電層が削れ、または離脱し、基体が露出してキャリア抵抗が高くなるとこのようなハロー画像が発生しやすくなる。
本発明は、導電性微粒子として基体(酸化アルミニウム、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウムより選ばれる1種または2種以上;白色無機顔料)に導電材としてスズをある程度量皮膜した微粒子を用いることが極めて重要である。前述したように、これまでに導電性微粒子としてカーボンブラック、ITOが優れた抵抗調整剤として用いられてきたが、画像形成装置の高速化に伴い、カーボンブラックは高ストレス下での色汚れ、ITOは大量枚数印刷後での膜削れによる抵抗低下が発生し、改善の必要がある。
このため、導電性微粒子の導電層の膜削れが急激に進むことなく、大量枚数印刷後でも安定した画像品質を保つことができる。
また、本発明に用いるスズはITOほどの抵抗調整能力はないなかで、還元処理することで導電性を上げ、低抵抗を発現することが可能である。
スズを導電材に使ったものにはほかにも、ニオブ、タンタル、アンチモン、フッ素ドープ品などがあるが、製造性、安全面、コスト等から総合的に判断するとスズが、さらに好ましくはリンドープスズ、またはタングステンドープスズが好適である。
ここでは、AとBの差が小さいほど薄膜、AとBとの差が大きいほど厚膜であることを表す。AとBの差が30nmより小さいと、早期に基体が露出するため、キャリア抵抗が上昇し、画像品質が悪化することがある。一方、AとBとの差が200nmより大きいと、導電層が比較的初期の段階で塊として離脱しやすくなり、やはり基体が露出しやすくなり、画像品質が悪化することがある。
キャリアコート樹脂の深さ方向に対する解析は、キャリアを4mmΦ程度の穴に充填しタッピング等で表面をならすよう充填させる。次いで、下記スパッタ条件によりキャリア表面層を微量に削りながら下記測定条件によりXPS測定する。
測定装置 : Kratos 社製 AXIS−Ultra
測定光源 : Al(モノクロメータ)
測定出力 : 150W(15kV、10mA)
分析エリア : 900×600 μm2
測定モード : Electrostatic モード
パスエネルギー : (wide scan) 160eV,
(narrow scan) 40eV
エネルギーstep : (wide scan) 1.0 eV,
(narrow scan) 0.2eV
相対感度係数 : Kratos社の相対感度係数を使用
加速電圧・電流 : 3.5kV、20mA
AMPL : (1.6、1.6)
ガス圧 : (STC) 3.0×10-7 Pa
スパッタレート : 3.16 nm/min(SiO2 換算)
本発明における測定は全て(0秒、0.5分、5.5分、15.5分、35.5分、55.5分、75.5分、95.5分)で行った。また、前記測定の2点間において定量結果は線形性が成立するものとし、5サンプル測定の平均でプロットして判断した。
また、検出量1.0atomic%以下のデータについては検出ばらつきの観点から、検出されていないもの、と判断した。
なお、スパッタに関しては検出器が試料鉛直方向にあるため、Arイオンを上方斜め45度から照射することで行う。Arイオンはキャリアに比べると充分にサイズが小さいので、キャリア上部を削ることが可能である。
基体は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウムより選ばれる1種または2種以上である。
本発明において導電性微粒子中の導電層にスズを用いる重要性は前述のとおりであるが、被覆する対象である基体の選択も非常に重要である。すなわちその重要性は以下の2点であると考えている。
1つはその大きさである。ある程度の大きさをもうけることで、キャリア表面に適度な凹凸を与え、キャリア凹部にトナー成分が付着した際に凸部でかきとることができ、大量枚数印刷後でのキャリア表面状態を安定させる。2つ目は導電層すなわちスズ層との付着性である。理由については明らかになっていないが、この相性が悪いと製造時に導電性微粒子からスズ層が塊で剥がれ落ち、狙いのキャリアが作れないという問題がある。またこのことは、現像器内での攪拌ストレスに対しても同様のことが言える。
一方、体積平均粒径が900[nm]を超えても、離脱が起こりやすくなる点から好ましくない。
本発明における導電性微粒子は、種々の方法によって製造することができ、例えば、基体(白色無機顔料粒子)表面に、リン又はタングステン塩の水和物を含むスズ塩水和物層を均一に沈着させ、得られた基体を被覆する層(導電層)を焼成することにより製造することができる。
キャリアの芯材粒子を被覆する樹脂層に用いられる樹脂としては、周知慣用のものを使用することができるが、シリコン樹脂、アクリル樹脂、またはこれらを併用して使用することが好ましい。
なかでもシリコン樹脂を用いることが望ましい。本発明に用いる導電剤のスズは還元させることで抵抗を下げることが望ましいことは前述の通りであるが、それはすなわち製造後大気に触れることで抵抗が上昇しやすくなるということを意味する。このことは導電性微粒子単体だけでなく、キャリアの状態においても同様の議論になる。すなわち導電層がキャリア表層に存在していればキャリア抵抗は大量枚数印刷後で上昇する。この問題に関して本発明者らは研究を重ね、シリコン樹脂は表面エネルギーが低く空気透過性が低いことに着目した。すなわち樹脂層に導電性微粒子とシリコン樹脂を併用し、キャリア表面で導電性微粒子の外殻にシリコン部分を存在させることで抵抗上昇を抑制させることを知見した。
なお、Si/Snの測定は前述のXPS測定方法と同一の条件でキャリア表面を測定すれば良い。
これにより、適度な弾性を維持したまま、樹脂層同士の融着を抑制することができる。
アミノ樹脂と架橋し得るアクリル樹脂としては、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有するものが好ましく、ヒドロキシル基を有するものがさらに好ましい。これにより、芯材粒子や導電性微粒子との密着性をさらに向上させることができ、導電性微粒子の分散安定性も向上させることができる。このとき、アクリル樹脂は、水酸基価が10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上がさらに好ましい。
これにより、導電性微粒子を安定に分散させることができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、r−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−r−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、r−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、r−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、r−クロルプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、r−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、r−クロルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
本発明の補給用現像剤および現像剤入り容器に含有される現像剤は、本発明の静電潜像現像用キャリア及びトナーを有する。
さらに、カラートナー、特に、イエロートナーは、一般に、キャリアを被覆する層(樹脂層)の削れによる色汚れが発生するという問題があるが、本発明に用いられる現像剤は、色汚れの発生を抑制することができる。
このとき、トナー材料を混練する装置としては、特に限定されないが、バッチ式の2本ロール;バンバリーミキサー;KTK型2軸押出し機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出し機(東芝機械社製)、2軸押出し機(KCK社製)、PCM型2軸押出し機(池貝鉄工社製)、KEX型2軸押出し機(栗本鉄工所社製)等の連続式の2軸押出し機;コ・ニーダ(ブッス社製)等の連続式の1軸混練機等が挙げられる。
さらに、粉砕された溶融混練物を分級する際には、風力式分級機等を用いることができる。なお、母体粒子の平均粒径が5〜20μmとなるように分級することが好ましい。
圧力定着用の結着樹脂としては、特に限定されないが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂等のオレフィン共重合体;エポキシ樹脂、ポリエステル、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、マレイン酸変性フェノール樹脂、フェノール変性テルペン樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、本発明の静電潜像現像用キャリアおよびトナーを含む現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着工程とを有する。
また、本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項1乃至6のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリアおよびトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像手段と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、を有する。
なお、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段(工程)、例えば、除電手段(工程)、クリーニング手段(工程)、リサイクル手段(工程)、制御手段(工程)等を有していても良い。
なお、本発明に係るプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、本発明の静電潜像現像用キャリアおよびトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像手段と、が少なくとも一体に支持されているものである。従って、本発明に係るプロセスカートリッジは、上述した他の構成については必ずしも備えることを要しない。
MnCO3、Mg(OH)2、およびFe2O3粉を秤量し混合して混合粉を得た。この混合粉を、加熱炉により900℃、3時間、大気雰囲気下で仮焼し、得られた仮焼物を冷却後、粉砕して、ほぼ粒径7μm径の粉体とした。この粉体を1wt%の分散剤を水と共に加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、体積平均粒径約40μmの造粒物を得た。
この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1250℃、5時間焼成した。
得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、体積平均粒径が約35μmの球形フェライト粒子C1[芯材粒子1]を得た。
体積平均粒径は、マイクロトラック粒度分布計モデルHRA9320−X100(日機装社製)を用いて水中にて、物質屈折率2.42、溶媒屈折率1.33、濃度を約0.06に設定して測定した。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて標準ポリスチレン換算で求めた。動粘度は25℃でJIS−K2283に準じて測定した。また、不揮発分はコーティング剤組成物1gをアルミ皿に秤取り、150℃で1時間加熱した後の重量を測定して、次式に従って算出した。
次いでこれに、CH2=CMe−COO−C3H66−Si(OSiMe3)3(式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン84.4g(200ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン 39g(150ミリモル)、メタクリル酸メチル65.0g(650ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体1を得た。
得られたメタクリル系共重合体1の重量平均分子量は33,000であった。
次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の動粘度は8.8mm2/sであり、比重は0.91であった。
なお、導電性微粒子製造例9〜10については酸化アルミニウム(住友化学製AKP−20)を、導電性微粒子製造例11については酸化アルミニウム(昭和電工製A−43−M)を用いた。
酸化アルミニウム(住友化学製AKP−30)を粒度分布調整させた体積平均粒径300nm粉体100gを水1リットルに分散させ懸濁液とし、この液を65℃に加温した。その懸濁液に塩化第二錫130gと五酸化リン3.9gを2N塩酸1リットルに溶かした溶液と、12重量%アンモニア水とを懸濁液のPHが7〜8になるように156分かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥した。
次にこの乾燥粉末を窒素気流中で500℃1時間処理し、体積平均粒径570nm、粉体比抵抗9Ω・cmの「導電性微粒子1」を得た。この時のAとBの差は70nmであった。
体積平均粒径はナノトラックUPA−EX150(日機装社製)を用いて水中で物質屈折率1.66、溶媒屈折率1.33に設定して測定した。
導電性微粒子の粉体比抵抗は試料粉末を250kg/cm2で圧縮成形後、横河ヒューレットパッカード社製のLCRメーターを用いて電気抵抗値を測定し、比抵抗に換算した。
なお、詳細については表1に記載する。
導電性微粒子製造例2〜11の調整においては、基体の粒径(導電性粒子9〜11については製品種も変更した。)と塩化第二錫と五酸化リン処方量、滴下分数を変更した以外は導電性微粒子1と全く同様にして導電性微粒子を得た。詳細については表1に記載する。
導電性微粒子製造例12〜13においては基体に市販の一般的な酸化亜鉛を分級し、14〜15においては基体に市販の一般的な酸化ジルコニウムを分級し、16〜17においては硫酸バリウム(堺化学工業製B−50)を分級して用いた。基体の種類と塩化第二錫と五酸化リン処方量、滴下分数を変更した以外は導電性微粒子1と全く同様にして導電性微粒子を得た。詳細については表1に記載する。
導電性微粒子18においてはS−2000(三菱マテリアル電子化成株式会社(ジェムコ社)製、体積平均粒径:30nm)を用いてキャリアの精製を行った。なお、S−2000とは、酸化スズの微粒子である。
導電性微粒子19においてはカーボンブラックREGAL330(キャボット社製、体積平均粒径25nm)を用いてキャリアの精製を行った。
[実施例1:キャリアAの製造方法]
≪キャリア樹脂層処方≫
・メタクリル系共重合体1[固形分25重量%] 54.0重量部
・シリコン樹脂溶液[固形分20重量%]
(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 582.0重量部
・アミノシラン[固形分100重量%]
(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 11.7重量部
・導電性微粒子1 156.0重量部
・トルエン 750.0重量部
キャリアB〜T及びAA〜AFの製造方法においては、実施例1記載のメタクリル系共重合体1[固形分25重量%]、シリコン樹脂溶液[固形分20重量%]、アミノシラン[固形分100重量%]、トルエン、TC−750[固形分60重量%]の重量を変更し、導電性微粒子に関しては種類と処方量を変更した以外は同様の精製方法を行った。
表2及び表3にキャリアの処方量と後述の評価結果およびケイ素検出量/スズ検出量を示す。処方量の数値については重量部で記載している。
<初期キャリア評価>
実施例及び比較例で得られたキャリアを40℃70%Rhの環境下に1週間放置し、放置前後でのキャリア体積固有抵抗の差で評価した。なお、放置に関しては容器は環境下で変化しないものであれば特に限定はされず、環境のなじみを考え、サンプルの高さが1cm以下になるように広げて行う。
ここでは、体積固有抵抗を段落[0020]〜[0021]において前述した方法で測定した。
「◎:非常に良好」、「○:良好」「△:許容し得るレベル」を合格とし、「×:実用上使用できないレベル」を不合格とした。
◎ : 抵抗変動が0.5[Ω・cm]未満
○ : 抵抗変動が1.0[Ω・cm]未満
△ : 抵抗変動が1.5[Ω・cm]未満
× : 抵抗変動が1.5[Ω・cm]以上
(現像剤の作製)
実施例及び比較例で得られた[キャリアA]〜[キャリアT]及び[キャリアAA]〜[キャリアAF](930質量部)、及び市販のデジタルフルカラープリンター(RICOH Pro C901、リコー社製)用のトナー(70質量部)を混合して、タービュラーミキサーを用いて81rpmで5分間攪拌し、評価用現像剤を作製した。また、補給用現像剤は、前記キャリア及び前記トナーを用いてキャリア100質量部、トナー900質量部の割合(トナー濃度が補給用現像剤中において90質量%の割合)で配合し作製した。
実施例及び比較例で得られた静電潜像現像用キャリアを評価した。
作製した各現像剤及び各補給現像剤を、市販のデジタルフルカラープリンター(RICOH Pro C901、株式会社リコー製)にセットし、画像面積8%の文字チャート(1文字の大きさ;2mm×2mm程度)を1枚印字した後に後述の4項目について評価し、更に10万枚印字した後にも同様の評価を行った。
印刷したキャリアと新品キャリアについて、トナー成分をメチルエチルケトンで抽出し、その差をスペントトナー量(キャリア重量に対するwt%で表示)として評価した。
「◎◎:極めて良好」「◎:非常に良好」、「○:良好」「△:許容し得るレベル」を合格とし、「×:実用上使用できないレベル」を不合格とした。
◎◎:0.02wt%未満
◎ :0.02wt%以上〜0.05wt%未満
○ :0.05wt%以上〜0.07wt%未満
△ :0.07wt%以上〜0.15wt%未満
× :0.15wt%以上
1枚印刷時の現像スリーブ上の現像剤、及び10万枚印刷時の現像スリーブ上の現像剤を採取し、帯電量を測定した。なお、帯電量に関してはブローオフ装置TB−200(東芝ケミカル社製)を用いて測定した。
なお、1枚と10万枚での帯電量の差の絶対値が小さいほど、帯電量が安定していることを意味し、「◎◎:極めて良好」「◎:非常に良好」、「○:良好」「△:許容し得るレベル」を合格とし、「×:実用上使用できないレベル」を不合格とした。
比較例3及び4においては10万枚に対して比較的初期の段階から帯電低下を起こしていた。
◎◎: 帯電量差≦4.0
◎ : 4.0<帯電量差≦7.0
○ : 7.0<帯電量差≦10.0
△ :10.0<帯電量差≦15.0
× :15.0<帯電量差
前記帯電安定性の評価を行った後のキャリアを用い、1枚目、10万枚時ともにキャリア抵抗の測定を行った。なおキャリア抵抗の測定については初期キャリア評価同様に行う。
キャリア抵抗に関してはキャリア付着の観点から9.5[Ω・cm]以上を、エッジ効果及びハロー画像発生の観点から12.1[Ω・cm]以下を合格とした。
比較例2については10万枚印刷前後で芯材が露出し、抵抗低下が著しく、キャリア付着が問題となった。
比較例3及び比較例4については10万枚印刷前後での帯電低下が著しく、画像濃度の安定性が得られなかった。
比較例5については10万枚印刷に伴いトナースペントが増加し、そのためと思われる帯電低下も著しい結果となった。
比較例6については10万枚印刷に伴いトナースペントが増加し、そのためと思われる帯電低下も著しい結果となった。また芯材の露出に伴う抵抗低下が発生し、キャリア付着が問題となった。
本発明の静電潜像現像用キャリアは、表面エネルギーが小さいシラン系の架橋成分、及び前記導電性微粒子により強靭な被膜が形成され、かつ、抵抗が調節されて長期間帯電安定性に優れ、キャリア抵抗や現像剤の汲み上げ量が変化し難く、被膜削れ/剥がれが少なく、かつトナースペントが少ない、かつキャリア付着を抑制できる高耐久キャリア、および現像剤を得ることができる。
さらに、帯電の環境変動を抑制し、さまざまな使用環境においても画像濃度変動、地肌汚れ、トナー飛散による機内汚染などを生じない。
加えて、信頼性の高い現像方法、画像形成装置を提供することができる、という極めて優れた効果を奏するものである。
1a 電極
1b 電極
2 フッ素樹脂製容器
3 キャリア
(図3について)
10 プロセスカートリッジ
11 感光体
12 帯電装置
13 現像装置
14 クリーニング装置
Claims (11)
- 磁性を有する芯材粒子と、該芯材粒子の表面を被覆する樹脂層と、を備える静電潜像現像剤用キャリアであって、
前記樹脂層は、樹脂と、導電性微粒子と、を含み、
前記導電性微粒子は少なくとも、基体と、該基体の表面を被覆しスズを含有する導電層を有し、
前記基体は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウムより選ばれる1種または2種以上であって、
当該静電潜像現像用キャリアの深さ方向ごとにXPS測定を行った結果におけるスズが検出された深さをA[nm]、前記基体が検出された深さをB[nm]としたとき、前記Aと前記Bとの差が30〜200[nm]であることを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。 - 前記導電性微粒子は、体積平均粒径が350〜900[nm]であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 前記樹脂は、シリコン樹脂を含有し、
前記樹脂層の最表面におけるケイ素とスズとの検出比率であるケイ素検出量/スズ検出量が15以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電潜像現像剤用キャリア。 - 前記樹脂は、下記一般式(A)で表されるA部分、及び下記一般式(B)で表されるB部分を含む共重合体を加水分解し、シラノール基を生成して縮合することにより得られる架橋物を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記芯材粒子の嵩密度が、1.8〜2.2[g/cm3]であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記導電性微粒子の粉体比抵抗が、4〜80[Ω・cm]であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 静電潜像担持体と、
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項1乃至6のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリアおよびトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像手段と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。 - 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項1乃至6のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリアおよびトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像工程と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着工程と、を有することを特徴とする画像形成方法。 - 静電潜像担持体と、
該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項1乃至6のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリアおよびトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像手段と、が少なくとも一体に支持されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリアと、トナーと、を含有する現像剤を有することを特徴とする現像剤入り容器。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリアと、トナーと、からなる補給用現像剤であって、
前記静電潜像現像用キャリアとトナーとの配合割合が、静電潜像現像用キャリア1質量部に対してトナーが2〜50重量部であることを特徴とする補給用現像剤。
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