JP2020128766A - 円すいころ軸受 - Google Patents

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涼太 近藤
Ryota Kondo
涼太 近藤
川村 隆之
Takayuki Kawamura
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Abstract

【課題】高温・高負荷条件においても優れた軸受寿命を有する円すいころ軸受を提供する。【解決手段】円すいころ軸受11は、軌道面12aを有する内輪12と、軌道面13aを有する外輪13と、複数の円すいころ14と、円すいころ14の周囲に充填されたグリース16とを備え、内輪12は鍔部を有し、該鍔部において円すいころ14とすべり接触する軸受であって、円すいころ軸受11は、高温条件、かつ、高負荷条件で使用され、高温条件は80℃以上であり、高負荷条件は、内輪および外輪における最大接触面圧が0.5〜2.3GPaであり、かつ、鍔部の面圧が0.08〜1.2GPaであり、グリース16は、基油と、増ちょう剤としての複合リチウム石けんと、添加剤とを含み、添加剤が、分子構造内にリンを含む極圧剤およびアルカリ土類金属スルホネートを含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、高温かつ高負荷条件下で使用される円すいころ軸受に関し、特に車両の車輪を回転支持するテーパハブユニットに用いられる円すいころ軸受に関する。
円すいころ軸受は、自動車や産業用の動力伝達系などの軸受として広く使用されている。例えば、自動車などの車輪を回転可能に支持する車輪支持装置では、アクスルハブを回転自在に支持する転がり軸受として、負荷容量の大きい剛性の高い円すいころ軸受が用いられる。この円すいころ軸受は、アクスルとアクスルハブ間に充填されたグリースによって潤滑される。
車輪支持装置に用いられる円すいころ軸受は、高速、高荷重という過酷な使用条件のため、特に、ころの大端面と軌道輪の鍔部がすべり運動するため、潤滑グリースの潤滑油膜が破断しやすくなる。潤滑油膜が破断すると金属接触が起こり、発熱、摩擦摩耗が増大する不具合が発生する。そのため、高速、高荷重下での潤滑性および耐荷重性を向上させ、潤滑油膜破断による金属接触を防止するために、極圧剤含有グリースが使用されている。
このような極圧剤含有グリースとして、例えば、基油と、ジウレア系増ちょう剤と、有機モリブデン化合物とを含有する自動車車輪軸受用グリースが知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、該グリースを用いることで、フレーキング寿命および潤滑寿命を延長させ、フレッチングの低減を図っている。
特開2006−77056号公報
近年、円すいころ軸受が使用される装置の高性能化、高回転化、高荷重化などに伴い、軸受の使用環境がますます厳しくなっている。軸受用グリースの増ちょう剤として、一般には、特許文献1のようなジウレア系増ちょう剤が用いられる場合が多いが、高温・高負荷条件では潤滑性が十分でなくなるおそれがある。そのため、円すいころ軸受の使用条件が過酷になるにつれて、従来のグリースでは長期使用が困難になることが懸念される。
特に、円すいころ軸受は、内、外輪の軌道面と転動体である「ころ」との間に転がり摩擦が発生するとともに、スラスト摺動面である鍔部と「ころ」との間にすべり摩擦が発生する。転がり摩擦に比べるとすべり摩擦は大きいので、使用条件が過酷になると鍔部の焼付きが生じやすくなる。そのため、グリースの交換作業などが頻繁になり、メンテンスフリー化が困難となるおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高温・高負荷条件においても優れた軸受寿命を有する円すいころ軸受を提供することを目的とする。
本発明の円すいころ軸受は、外周面にテーパ状の軌道面を有する内輪と、内周面にテーパ状の軌道面を有する外輪と、上記内輪の軌道面と上記外輪の軌道面との間を転動する複数の円すいころと、上記円すいころの周囲に充填されたグリースとを備え、上記内輪および上記外輪のいずれか一方は鍔部を有し、該鍔部において上記円すいころとすべり接触する円すいころ軸受であって、上記円すいころ軸受は、高温条件、かつ、高負荷条件で使用され、上記高温条件は80℃以上であり、上記高負荷条件は、上記内輪および上記外輪における最大接触面圧が0.5〜2.3GPaであり、かつ、上記鍔部の面圧が0.08〜1.2GPaであり、上記グリースは、基油と、増ちょう剤としての複合リチウム石けんと、添加剤とを含み、上記添加剤が、分子構造内にリンを含む極圧剤(以下、リン系極圧剤ともいう)およびアルカリ土類金属スルホネートを含有することを特徴とする。
上記アルカリ土類金属スルホネートがCaスルホネートであり、上記Caスルホネートが、上記グリース全体に対してCa量換算で0.05〜0.3質量%含まれることを特徴とする。
上記極圧剤が、上記グリース全体に対してリン量換算で0.05〜0.3質量%含まれることを特徴とする。
上記基油の40℃における動粘度が150〜200mm/sであることを特徴とする。また、上記基油の50質量%以上がエステル油であることを特徴とする。
上記内輪、上記外輪、および上記円すいころの少なくともいずれか一つの軸受部材が浸炭鋼からなることを特徴とする。
上記円すいころ軸受は、大型車両の車輪を回転支持するテーパハブユニットとして用いられることを特徴とする。
本発明の円すいころ軸受は、グリースが、基油と、増ちょう剤としての複合リチウム石けんと、添加剤とを含み、添加剤がリン系極圧剤およびアルカリ土類金属スルホネートを含有するので、増ちょう剤繊維が破壊されにくく、せん断安定性に優れるとともに、極圧性が得られる。その結果、高温条件、かつ、高負荷条件での使用においても優れた軸受寿命を有する。特に、アルカリ土類金属スルホネートとして所定量のCaスルホネートを配合することで、ちょう度変化を抑制し、せん断安定性を向上させることができると考えられる。
本発明の円すいころ軸受の一例を示す断面図である。 本発明の円すいころ軸受をテーパハブユニットとして用いた例を示す断面図である。
本発明の円すいころ軸受の一例を図1に基づいて説明する。図1に示すように、円すいころ軸受11は、外周面にテーパ状の軌道面12aを有する内輪12と、内周面にテーパ状の軌道面13aを有する外輪13と、内輪12の軌道面12aと外輪13の軌道面13aとの間を転動する複数の円すいころ14と、各円すいころ14をポケット部で転動自在に保持する保持器15とを備えている。保持器15は、大径リング部と小径リング部とを複数の柱部で連結してなり、柱部同士の間のポケット部に円すいころ14を収納している。内輪12において、大径側端部には大鍔12bが一体形成され、小径側端部には小鍔12cが一体形成されている。円すいころ軸受における内輪は、テーパ状の軌道面を有することから軸方向に見て小径側と大径側とがあり、「小鍔」は小径側端部に設けられた鍔であり、「大鍔」は大径側端部に設けられた鍔である。荷重が作用した場合には、円すいころ14が大径側に押圧され、大鍔12bでこの荷重を受ける。また、軸受を各種装置に組み込むまでの間に、円すいころ14が小径側に脱落することを小鍔12cで防止する。
図1において、円すいころ14は、内輪12の軌道面12aと外輪13の軌道面13aとの間で転がり摩擦を受け、内輪12の大鍔12bとの間ですべり摩擦を受ける。これらの摩擦を低減するために、少なくとも円すいころ14の周囲にグリース16が充填されている。円すいころ軸受11の使用時には、大鍔12bと円すいころ14とがすべり接触する部分の負担が特に大きいため、この部分が損傷しやすく軸受寿命に影響する。
本発明の円すいころ軸受は、高温条件、かつ、高負荷条件下で使用されることを特徴とする。高負荷条件として、具体的な数値でいえば、軌道輪における最大接触面圧が0.5〜2.3GPaであり、鍔部(円すいころ軸受にあっては大鍔)の面圧が0.08〜1.2GPaである。さらに、軌道輪における最大接触面圧が1.5〜2.3GPaであり、鍔部の面圧が0.1〜0.5GPaであることがより好ましい。なお、高負荷条件における軸受回転速度は、例えば、5000min−1程度である。高温条件は、80℃以上であり、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上である。
本発明の円すいころ軸受において、内輪、外輪、円すいころの軸受部材は鉄系金属材料からなる。鉄系金属材料としては、軸受鋼、浸炭鋼、機械構造用炭素鋼、冷間圧延鋼、または熱間圧延鋼を用いることができる。これらの中でも耐熱性が高い浸炭鋼を用いることが好ましい。浸炭鋼としては例えばSCM415等を挙げることができる。なお、各軸受部材に用いる鉄系金属材料は、互いに異なる材料であってもよい。
本発明の円すいころ軸受に充填されるグリースは、基油と増ちょう剤と添加剤とを含み、該添加剤が、リン系極圧剤およびアルカリ土類金属スルホネートを含有することを特徴とする。基油としては、特に限定されず、通常グリースの分野で使用される一般的なものを使用できる。例えば、高度精製油、エーテル油、エステル油、合成炭化水素油、シリコーン油、フッ素油などの合成油、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油などの鉱油などが使用できる。また、これらの混合油も使用できる。本発明では、基油として合成油を用いることが好ましく、基油の50質量%以上がエステル油であることがより好ましい。
基油の動粘度(混合油の場合は、混合油の動粘度)としては、40℃において100〜200mm/sが好ましい。より好ましくは150〜200mm/sであり、さらに好ましくは150〜180mm/sである。
上記基油は、基油および増ちょう剤の合計量に対して60〜95質量%含有することが好ましい。基油の含有量が60質量%未満では、寿命低下のおそれがあり、95質量%をこえると、相対的に増ちょう剤量が少なくなり、グリース化が困難になるおそれがある。より好ましくは、基油および増ちょう剤の合計量に対して上記基油が80〜90質量%含まれる。
本発明では、グリースの増ちょう剤として複合リチウム石けんを用いることを特徴とする。複合リチウム石けんは、水酸化リチウムと、脂肪族モノカルボン酸と、脂肪族ジカルボン酸などの二塩基酸とから合成されるものである。脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシラウリン酸、16−ヒドロキシパルミチン酸などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などが挙げられる。
複合リチウム石けんの中でも、炭素数10以上の脂肪酸モノカルボン酸と、炭素数10未満の脂肪酸ジカルボン酸を組み合わせて用いることが好ましい。特に、炭素数10以上の脂肪酸モノカルボン酸としてステアリン酸または12−ヒドロキシステアリン酸がより好ましく、炭素数10未満の脂肪酸ジカルボン酸としてアゼライン酸がより好ましい。
基油と増ちょう剤からなるベースグリースは、基油中で脂肪酸モノカルボン酸と、脂肪族ジカルボン酸と、水酸化リチウムとを反応させて作製する。ベースグリースに占める複合石けんの配合割合は、5〜30質量%であり、好ましくは10〜20質量%である。
添加剤として用いるリン系極圧剤は、分子構造内にリンを含む化合物であり、周知の極圧剤を用いることができる。例えば、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル、酸性リン酸エステル、トリクレジルホスファイト、トリフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、チオホスフェート、チオホスファイト、アルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、アルキルジチオリン酸モリブデン(MoDTP)などが挙げられる。これらは、単独または複数組み合わせて用いることができる。リン系極圧剤として、アルキルジチオリン酸亜鉛以外の極圧剤を用いることが好ましく、酸化安定性や熱安定性に優れるアルキル化トリフェニルホスフェートを用いることがより好ましい。
リン系極圧剤は、グリース全体に対してリン量換算で0.05〜0.3質量%含まれることが好ましい。この数値範囲とすることで、良好な極圧性を得つつも、せん断安定性を維持することができる。リン系極圧剤は、リン量換算で0.1〜0.2質量%含まれることがより好ましい。
添加剤として用いるアルカリ土類金属スルホネートとしては、例えば、石油スルホン酸のアルカリ土類金属塩、ジノニルナフタレンスルホン酸やアルキルベンゼンスルホン酸などのアルキル芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
アルカリ土類金属スルホネートにおいて、全塩基価(TBN)は特に限定されないが、10〜500mgKOH/gを有することが好ましく、50〜400mgKOH/gがより好ましく、100〜400mgKOH/gがさらに好ましい。アルカリ土類金属スルホネートとして過塩基性アルカリ土類金属スルホネートを用いることで、含有される炭酸カルシウムなどが増ちょう剤と同様の作用を示し、ちょう度変化が抑制され、せん断安定性に寄与すると考えられる。TBNは、JIS K 2501に準拠して測定される。TBNは、試料1g中に含まれている全塩基性成分を中和するのに要する塩酸または過塩素酸と当量の水酸化カリウムのミリグラム(mg)数と定義される。TBNの測定は、例えば過塩素酸法で行われる。
アルカリ土類金属スルホネートとしては、Mgスルホネート、Caスルホネート、Baスルホネートが挙げられる。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。せん断安定性がより向上する観点から、アルカリ土類金属スルホネートとしてCaスルホネートを用いることが好ましい。
Caスルホネートは、グリース全体に対してCa量換算で0.05〜0.3質量%含まれることが好ましく、0.1〜0.2質量%含まれることがより好ましい。リン系極圧剤の含有量との関係では、グリースにおいて、リン系極圧剤由来のリン元素量の方が、Caスルホネート由来のCa元素量よりも多く含まれることがさらに好ましい。
また、上記グリースには、必要に応じて公知の添加剤を添加できる。添加剤としては、例えば、アミン系化合物、フェノール系化合物などの酸化防止剤や、グラファイトなどの固体潤滑剤、エステル、アルコールなどの油性剤などが挙げられる。
本発明に用いるグリースには、金属石けんやウレア化合物といった増ちょう剤が含まれないことが好ましい。ここで言う金属石けんは、脂肪族モノカルボン酸のみからなる金属塩である。増ちょう剤としては、複合リチウム石けんのみを用いることがより好ましい。
本発明に用いるグリースの混和ちょう度(JIS K 2220)は、200〜350の範囲にあることが好ましい。ちょう度が200未満である場合は、油分離が小さく潤滑不良となるおそれがある。一方、ちょう度が350をこえる場合は、グリースが軟質で軸受外に流出しやすくなり好ましくない。混和ちょう度は、280〜320の範囲にあることがより好ましい。
本発明の円すいころ軸受は、車両の車輪を回転支持するテーパハブユニットとして用いることができる。図2は、テーパハブユニットの断面図である。図2に示すように、テーパハブユニット21は、車輪構成部材とともに回転する内輪22と、内輪22に対向配置され、車体構成部材に固定されて非回転状態に維持される外輪23と、これら内輪22および外輪23にそれぞれ形成されて相互に対向する複列の軌道面28a、23a間および軌道面29a、23b間に転動自在に収容される複数の円すいころ(転動体)24a、24bとを備えている。また、円すいころ24a、24bは、保持器25に形成されたポケット内に1つずつ回転自在に保持されている。ここで、軸方向に関して「外」とは車両への組付け状態で幅方向外側をいい、「内」とは幅方向中央側をいう。
内輪22は、車輪(図示省略)などとともに回転するハブ輪27と、ハブ輪27の外周面に外嵌され、小径側端部同士を互いに突き合わせた状態で配置される2つの内輪部材28、29とを有する。ハブ輪27はその一端部に車輪を取付けるための車輪取付けフランジ27cを一体に有し、軸方向に延びる段部27aが形成されている。
ハブ輪27の段部27aには、内輪部材28、29が圧入されている。そして、ハブ輪27の軸方向内方の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部27bにより、ハブ輪27に対して内輪部材28、29が軸方向へ抜けるのを防止している。内輪部材28は、ハブ輪27の軸方向内方側に配置されており、その外周面には、外輪23の軌道面23aと対向する軌道面28aが形成される。また、内輪部材29は、ハブ輪27の軸方向外方側に配置されており、その外周面には、外輪23の軌道面23bと対向する軌道面29aが形成されている。
内輪部材28と内輪部材29は、小径側端部と大径側端部とを有する略円すい台状に形成されている。内輪部材28、29の大径側端部の外周面には径方向外方に向けて突出した大鍔28b、29bがそれぞれ形成され、内輪部材28、29の小径側端部の外周面には径方向外方に向けて突出した小鍔28c、29cがそれぞれ形成されている。小鍔28cと大鍔28bの間に軌道面28aが形成され、小鍔29cと大鍔29bの間に軌道面29aが形成されている。円すいころ24a、24bは、内輪22の軌道面28a、29aと外輪23の軌道面23a、23bとの間で転がり摩擦を受け、内輪22の大鍔28b、29bとの間ですべり摩擦を受ける。
外輪23は、外周に車体取付けフランジを一体に有し、内周面には、軌道面23a、23bが形成されている。外輪23の軸方向両端には、シール部材30、31が設けられている。シール部材30は、外輪23と内側部材28との間をシールし、シール部材31は、外輪23と内側部材29との間をシールする。シール部材30と、外輪23と、シール部材31と、内輪22とで囲まれた内部空間にグリース26が充填されており、円すいころ24a、24bの転動面と内輪の軌道面28a、29aおよび外輪の軌道面23a、23bとの転がり接触やすべり接触の潤滑に供される。このグリース26として、上述したグリースが用いられる。
本発明の円すいころ軸受は、特に、高温条件、かつ、高負荷条件下でも優れた軸受寿命を有することから、大型車両の車輪を回転支持するテーパハブユニットに好適である。ここで、「大型車両」とは、特に限定するものではないが、例えば2tトラック程度以上の貨物自動車、旅客自動車(バン、バス)、牽引自動車(トレーラ、タンクローリー)、クレーン車などのような特殊自動車などが挙げられる。
本発明の円すいころ軸受は、図1および図2に示した形態に限らない。例えば、図1および図2では、鍔部を内輪に設けた構成としたが、外輪に設けてもよい。また、本発明の円すいころ軸受は、後述の実施例で示すように、高負荷条件下でも、広範囲の負荷条件下で優れた軸受寿命を示すことから、使用回転速度がそれぞれ設定された高負荷用の円すいころ軸受の規格に幅広く対応できる。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
表1に示す組成のグリースを調整し、30204サイズの円すいころ軸受に封入して、試験用軸受をそれぞれ作製した。表1に示す複合リチウム石けんには、アゼライン酸とステアリン酸を反応させて作製したものを用いた。なお、表1中、添加剤の元素量とは、添加剤に由来する各元素(リン、Caなど)のグリース全体に対する含有率(質量%)である。
表1の基油を以下に示す。
・合成油1(エステル油):HATCO社製、H2372(40℃における動粘度120mm/s)
・鉱油1:出光興産社製、ダフニータービンオイル100(40℃における動粘度98.6mm/s)
・鉱油2:出光興産社製、ダフニーイタニティーオイル220(40℃における動粘度227.3mm/s)
・合成油2:モービル社製、SHC627(40℃における動粘度100mm/s)
・合成油3:モービル社製、SHC630(40℃における動粘度227.3mm/s)
<高温グリース寿命試験>
得られた各試験用軸受を、温度120℃、アキシアル荷重640N、ラジアル荷重67Nの条件下(負荷条件A)で、5000min−1の回転速度で回転させて、焼き付きに至るまでの時間を測定した。この負荷条件Aにおける軌道輪の最大接触面圧は0.5GPaであり、内輪の大鍔での面圧は0.08GPaであった。負荷条件Aでは、寿命時間5000時間以上を合格とした。
同様に上記各試験用軸受を用いて、温度120℃、アキシアル荷重1470N、ラジアル荷重2940Nの条件下(負荷条件B)で、5000min−1の回転速度で回転させて、焼き付きに至るまでの時間を測定した。この負荷条件Bにおける軌道輪の最大接触面圧は1.7GPaであり、内輪の大鍔での面圧は0.16GPaであった。負荷条件Bでは、寿命時間1000時間以上を合格とした。
同様に上記各試験用軸受を用いて、温度120℃、アキシアル荷重2940N、ラジアル荷重5880Nの条件下(負荷条件C)で、5000min−1の回転速度で回転させて、焼き付きに至るまでの時間を測定した。この負荷条件Cにおける軌道輪の最大接触面圧は2.3GPaであり、内輪の大鍔での面圧は0.3GPaであった。負荷条件Cでは、寿命時間200時間以上を合格とした。試験結果を表1に示す。
Figure 2020128766
表1より、いずれの負荷条件A〜Cにおいても、増ちょう剤としての複合リチウム石けんと、リン系極圧剤と、Caスルホネートとを含むグリース(実施例1)のみ合格となった。比較例2は、増ちょう剤としての複合リチウム石けんと、リン系極圧剤とを含むが、実施例1に比べて軸受寿命が大幅に低下した。
以上より、本発明の円すいころ軸受に係るグリースは、基油と、増ちょう剤としての複合リチウム石けんと、リン系極圧剤と、アルカリ土類金属スルホネートとを含むことにより、ちょう度変化を抑制し、せん断安定性が向上することで軸受寿命が延長したと考えられる。
本発明の円すいころ軸受は、高温・高負荷条件においても優れた軸受寿命を有するので、該条件下で使用される円すいころ軸受として広く用いられる。
11 円すいころ軸受
12 内輪
13 外輪
14 円すいころ
15 保持器
16 グリース
21 テーパハブユニット
22 内輪
23 外輪
24 円すいころ
25 保持器
26 グリース
27 ハブ輪
28 内輪部材
29 内輪部材
30 シール部材
31 シール部材

Claims (7)

  1. 外周面にテーパ状の軌道面を有する内輪と、内周面にテーパ状の軌道面を有する外輪と、前記内輪の軌道面と前記外輪の軌道面との間を転動する複数の円すいころと、前記円すいころの周囲に充填されたグリースとを備え、前記内輪および前記外輪のいずれか一方は鍔部を有し、該鍔部において前記円すいころとすべり接触する円すいころ軸受であって、
    前記円すいころ軸受は、高温条件、かつ、高負荷条件で使用され、
    前記高温条件は80℃以上であり、前記高負荷条件は、前記内輪および前記外輪における最大接触面圧が0.5〜2.3GPaであり、かつ、前記鍔部の面圧が0.08〜1.2GPaであり、
    前記グリースは、基油と、増ちょう剤としての複合リチウム石けんと、添加剤とを含み、前記添加剤が、分子構造内にリンを含む極圧剤およびアルカリ土類金属スルホネートを含有することを特徴とする円すいころ軸受。
  2. 前記アルカリ土類金属スルホネートがCaスルホネートであり、
    前記Caスルホネートが、前記グリース全体に対してCa量換算で0.05〜0.3質量%含まれることを特徴とする請求項1記載の円すいころ軸受。
  3. 前記極圧剤が、前記グリース全体に対してリン量換算で0.05〜0.3質量%含まれることを特徴とする請求項1または請求項2記載の円すいころ軸受。
  4. 前記基油の40℃における動粘度が150〜200mm/sであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の円すいころ軸受。
  5. 前記基油の50質量%以上がエステル油であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の円すいころ軸受。
  6. 前記内輪、前記外輪、および前記円すいころの少なくともいずれか一つの軸受部材が浸炭鋼からなることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の円すいころ軸受。
  7. 前記円すいころ軸受は、大型車両の車輪を回転支持するテーパハブユニットとして用いられることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項記載の円すいころ軸受。
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Citations (4)

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