JP2020128513A - 食器用複合体および成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な強度を有する成形品を得ることができる食器用複合体を提供する。【解決手段】食器用複合体は、変性セルロースナノファイバーと、生分解性樹脂とを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、変性セルロースナノファイバーを含有する食器用複合体に関するものである。具体的には、生分解性を有する皿、カップ、コップなどの容器、並びに、包装体、ストローなどの成形品に用いられる食器用複合体に関する。
セルロースナノファイバーは、1000nm以下のナノレベルの繊維径を持つ繊維であり、軽量で、且つ、高い強度および弾性率を有し、低い線熱膨張係数を有することから、樹脂複合体の補強材料として好適に使用されている。
従来、セルロースナノファイバーを含む樹脂複合体を製造する方法としては、セルロース原料を化学変性して得られた変性セルロース繊維を解繊し、セルロースナノファイバーとしてから樹脂と混練して樹脂複合体を得る方法等が知られている。また、変性セルロース繊維と樹脂を、混練機のせん断力により樹脂と複合化しながら変性セルロース繊維を解繊することにより、セルロースナノファイバーを含む樹脂複合体を得る方法が知られている(特許文献1参照)。この方法は、混練しながら解繊も行うことができるため、解繊してから樹脂と混練する方法と比較して、製造コストを抑えることができる利点がある。
一方、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの樹脂は、軽量、且つ加工性、耐久性に優れているため、日用品、家電製品、自動車部品、建築材料、包装材料などの様々な分野に使用されている。しかしながらこれらの樹脂製品は、生分解性に劣るため、生態系に影響を及ぼす可能性がある。
このため、従来の樹脂の代替として、生分解性樹脂(ポリ乳酸、乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導される脂肪族ポリエステル等)が注目されている。これらの生分解性樹脂は、土壌、海水中、動物の体内などで、自然界に存在あるいは微生物から産出される酵素により、人体に無害な乳酸、二酸化炭素、水などに分解される。生分解性樹脂の中でもポリ乳酸樹脂は、トウモロコシ、芋などから大量かつ安価に製造され、さらに食品安全性が高いことから、食品用途の様々な分野に展開されることが期待されており、特許文献2には、ポリ乳酸を用いた成形品(ストロー)が開示されている。
特開2017−171713号公報 特開2006−136657号公報
しかしながら、特許文献2に記載のストローは十分な強度が得られず、簡単に折れたり、割れたりする問題があった。
そこで、本発明は、十分な強度を有する成形品を得ることができる食器用複合体を提供することを目的とする。さらに、この食器用複合体を用いた成形品を提供することを目的する。
本発明は、以下の(1)〜(8)を提供する。
(1)変性セルロースナノファイバーと、生分解性樹脂とを含有する食器用複合体。
(2)前記変性セルロースナノファイバーと、前記生分解性樹脂との配合比率が、変性セルロースナノファイバー/生分解性樹脂の重量比で1/99〜30/70である、(1)記載の食器用複合体。
(3)前記生分解性樹脂は、ポリ乳酸樹脂であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の食器用複合体。
(4)前記変性セルロースナノファイバーは、アセチル化セルロースナノファイバーである、(1)〜(3)の何れかに記載の食器用複合体。
(5)前記アセチル化セルロースナノファイバーは、アセチル基置換度が0.4〜1.3である(4)記載の食器用複合体。
(6)前記変性セルロースナノファイバーは、前記生分解性樹脂中で解繊されてなるものである(1)〜(5)の何れかに記載の食器用複合体。
(7)(1)〜(6)記載の食器用複合体を用いた成形品。
(8)前記成形品がストローである、(7)記載の成形品。
本発明によれば、十分な強度を有する成形品を得ることができる食器用複合体、およびこの食器用複合体を用いた成形品を提供することができる。
以下、本発明の食器用複合体、およびこの食器用複合体を用いた成形品について説明する。本発明において「〜」は端値を含む。すなわち「X〜Y」はその両端の値XおよびYを含む。
本発明の食器用複合体は、変性セルロースナノファイバーと、生分解性樹脂とを含有する。
(変性セルロースナノファイバー)
本発明においては、変性セルロース繊維と生分解性樹脂とを混練機内で溶融混練しつつ、変性セルロース繊維を解繊することで、変性セルロースナノファイバーと生分解性樹脂を含有する食器用樹脂複合体(以下、単に「食器用複合体」という)を調製することができる。
本発明に用いる変性セルロースナノファイバーとしては、繊維径が4〜1000nm程度、アスペクト比が100以上の微細繊維であることが好ましい。
(変性セルロース繊維)
変性セルロース繊維は、セルロース原料に対して各種の化学変性を行うことで得ることができる。化学変性の種類としては、アシル化、リン酸化、亜リン酸化等のエステル化、酸化(カルボキシル化)、カルボキシメチル化、シランカップリング、フッ素化、カチオン化等が挙げられる。中でも、アシル化によるエステル化が好ましく、アシル基の中でも、アセチル基を用いるアセチル化がより好ましい。
(セルロース原料)
本発明において、セルロース原料とは、セルロースを主体とした様々な形態の材料をいい、リグニンを含むリグノセルロース、パルプ(晒又は未晒木材パルプ、晒又は未晒非木材パルプ、精製リンター、ジュート、マニラ麻、ケナフ等の草本由来のパルプなど)、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロース、セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等の何らかの溶媒に溶解した後に紡糸された再生セルロース、及び上記セルロース原料に加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル等の機械的処理等をすることによってセルロースを解重合した微細セルロースなどが例示される。
なお、リグノセルロースは、植物の細胞壁を構成する、複合炭化水素高分子であり、主に多糖類のセルロース、ヘミセルロースと、芳香族高分子であるリグニンから構成されている。リグニンの含有量は、原材料となるパルプ等に対して、脱リグニン、又は漂白を行うことにより、調整することができる。
本発明におけるセルロース原料は、高い結晶性と重合度が高いという観点から、木材由来のパルプを用いることが好ましく、食器用途という点からリグニン含有が少ない晒パルプ(BKP)や低リグニン量である未晒しパルプ(UKP)を用いることが特に好ましい。
(化学変性)
(エステル化)
本発明において、セルロース原料をエステル化して、エステル化セルロース繊維を得る方法は、特に限定されないが例えば、セルロース原料にアシル基やリン酸基を導入する方法が挙げられ、疎水化が容易で、樹脂と混ざりやすくなる観点から、アシル基を導入する方法(アシル化)が好ましい。
(アシル化)
アシル化セルロース繊維としては、セルロース表面に存在する水酸基が低級アシル基で置換されていることが好ましい。なお、上記「低級」は「炭素数が1〜5である」ことを示す。アシル基(R−CO−)で、「低級アシル基」と言う場合、そのRは炭素数が1〜5のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基(ピバル基)、ペンチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。
本発明に用いることができるアシル化セルロース繊維は、セルロース及びヘミセルロースの少なくとも一種中に存在する水酸基(即ち、糖鎖の水酸基)が、飽和脂肪酸、不飽和カルボン酸、モノ不飽和脂肪酸、ジ不飽和脂肪酸、トリ不飽和脂肪酸、テトラ不飽和脂肪酸、ペンタ不飽和脂肪酸、ヘキサ不飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、アミノ酸、
マレイミド化合物:
Figure 2020128513
フタルイミド化合物:
Figure 2020128513
からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物のカルボキシ基から水素原子を除去した残基によって置換されていることが好ましい。
本発明においては、アシル化セルロース繊維として、セルロースの糖鎖の水酸基が、上記カルボン酸のカルボキシ基から水酸基を除いた残基(アシル基(アルカノイル基))でアシル化されていることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ペラルゴン酸、デカン酸(カプリン酸)、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸及びアラキジン酸から選ばれる飽和脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の飽和脂肪酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。また、アシル化セルロース繊維のアシル基は、フェノキシ酢酸、3−フェノキシプロピオン酸、4−フェノキシ酪酸及び5−フェノキシ吉草酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族置換飽和脂肪酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の不飽和カルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸及びリシノール酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノ不飽和脂肪酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、ソルビン酸、リノール酸及びエイコサジエン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のジ不飽和脂肪酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、リノレン酸、ピノレン酸及びエレオステアリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のトリ不飽和脂肪酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、ステアリドン酸及びアラキドン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラ不飽和脂肪酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、ボセオペンタエン酸及びエイコサペンタエン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のペンタ不飽和脂肪酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、ドコサヘキサエン酸及びニシン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のヘキサ不飽和脂肪酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシベンゼンカルボン酸)及びケイ皮酸(3−フェニルプロパ−2−エン酸)からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族カルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸及びマレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、グリシン、β−アラニン及びε−アミノカプロン酸(6−アミノヘキサン酸)からなる群から選ばれる少なくとも一種のアミノ酸のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
アシル化セルロース繊維のアシル基は、マレイミド化合物及びフタルイミド化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物のカルボキシル基から水素原子を除去した残基であることが好ましい。
上記の中でも、アシル化セルロース繊維としては、製造の容易さ、製造コストの観点から、アシル基がアセチル基(CH−CO−)であるアセチル化セルロース繊維が好ましい。また、アセチル化セルロース繊維のアセチル基置換度(DS)が、食器用複合体となったときの強度発現の観点から、好ましくは0.4〜1.3、より好ましくは0.6〜1.1となるように調整する。
アシル化反応は、セルロース原料を膨潤させることのできる無水非プロトン性極性溶媒、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中に原料を懸濁し、上記カルボン酸の無水物又は酸塩化物で、塩基の存在下で行うと短時間で反応を行うことが可能となるが、撹拌しながら反応を行うことなどにより塩基無しの条件で反応を行うことも可能である。このアシル化反応で用いる塩基としては、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等が好ましく、炭酸カリウムがより好ましい。
アシル化反応は、例えば、室温〜100℃で撹拌しながら行うことが好ましい。
(酸化)
本発明において、セルロース原料の酸化(カルボキシル化)は公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されるものではないが、セルロース繊維の絶乾重量に対して、カルボキシル基の量が0.5mmol/g〜3.0mmol/gになるように調整することが好ましい。
その一例として、セルロースをN−オキシル化合物、及び、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化することにより得ることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基またはカルボキシレート基を有するセルロース系繊維(酸化セルロース繊維)を得ることができる。反応時のセルロースの濃度は特に限定されないが、5重量%以下が好ましい。N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。
N−オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.02〜1mmolがより好ましく、0.05〜0.5mmolがさらに好ましい。また、反応系に対し0.1〜4mmol/L程度がよい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムは好ましい。酸化剤の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.7〜50mmolがより好ましく、1〜25mmolがさらに好ましく、3〜10mmolが最も好ましい。また、例えば、N−オキシル化合物1molに対して1〜40molが好ましい。
酸化(カルボキシル化)方法の別の例として、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、グルコピラノース環の少なくとも2位及び6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50〜250g/mであることが好ましく、70〜220g/mであることがより好ましい。セルロース原料に対するオゾン添加量は、セルロース原料の固形分を100重量部とした際に、0.1〜30重量部であることが好ましく、5〜30重量部であることがより好ましい。オゾン処理温度は、0〜50℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、特に限定されないが、1〜360分程度であり、30〜300分程度が好ましい。オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度に酸化及び分解されることを防ぐことができ、酸化セルロース繊維の収率が良好となる。オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、溶液中にセルロース原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
(カルボキシメチル化)
本発明において、セルロース原料をカルボキシメチル化してカルボキシメチル化セルロース繊維を得る方法としては公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではないが、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.01〜0.50となるように調整することが好ましい。その一例として次のような製造方法を挙げることができるが、従来公知の方法で合成してもよく、市販品を使用してもよい。セルロースを発底原料にし、溶媒に3〜20重量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールの混合割合は、60〜95重量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
(カチオン化)
本発明において、セルロース原料のカチオン化は公知の方法を用いて行うことができ、カチオン化により例えば、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、これらアンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムを有する基をセルロース分子に有することができるが、アンモニウムを有する基が好ましく、特に、四級アンモニウムを含む基が好ましい。具体的なカチオン化の方法としては、特に限定されるものではないが、一例として、セルロース原料にグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハライド又はそのハロヒドリン型などのカチオン化剤と触媒である水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を水及び/又は炭素数1〜4のアルコールの存在下で反応させることによって、四級アンモニウムを含む基を有する、カチオン変性されたセルロース繊維を得ることができる。
(酸添加処理)
上記のようにして得られた変性セルロース繊維がナトリウム塩等の塩型である場合には、酸添加処理を行って、酸型の変性セルロース繊維とすることにより、疎水性とすることができ、樹脂と混ざりやすい観点から好ましい。酸添加処理とは、変性セルロース繊維の分散液中に酸を添加する処理である。酸は、無機酸でも有機酸でもよい。無機酸としては例えば、硫酸、塩酸、硝酸、亜硫酸、亜硝酸、リン酸、二酸化塩素発生装置の残留酸などの鉱酸が挙げられ、好適には塩酸である。有機酸としては例えば、酢酸、乳酸、蓚酸、クエン酸、蟻酸などが挙げられる。酸処理時のpHは、通常2以上であり、3以上が好ましい。上限は6以下が好ましく、5以下が好ましい。従ってpHは、2〜6が好ましく、2〜5がより好ましく、3〜5が更に好ましい。酸の添加量に特に制限はなく、変性セルロース繊維が凝集して半透明のゲル状物質が沈殿した時点で酸の添加を終了すればよい。
(洗浄)
化学変性により得られた変性セルロース繊維は、変性処理後(必要に応じて酸添加処理後)に、水などを用いた洗浄処理を行うことが好ましい。
(脱水)
洗浄処理においては必要に応じて脱水を行ってもよい。脱水は例えば、遠心分離法による脱水が挙げられる。脱水は、溶媒中の固形分が25〜50%程度になるまで行うことが好ましい。
(乾燥)
本発明に用いる変性セルロース繊維は、生分解性樹脂と溶融混練する前に乾燥させることが好ましい。乾燥は、例えば、送風乾燥機や真空乾燥機を用いて行うことができる。乾燥は、変性セルロース繊維の含水率が1〜5%程度になるまで行うことが好ましい。
本発明に用いる変性セルロース繊維は、乾燥後に粉砕し、さらにスクリーンを通過させてから、生分解性樹脂と溶融混錬することが好ましい。
(生分解性樹脂)
本発明に用いる生分解性樹脂としては、JIS K6953(ISO14855)「制御された好気的コンポスト条件の好気的かつ究極的な生分解度及び崩壊度試験」に基づいた生分解性を有するポリエステル樹脂が好ましい。
本発明に用いる生分解性樹脂は、自然界において微生物が関与して低分子化合物に分解される生分解性を有していればよく、特に限定されるものではない。例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の脂肪族ポリエステル;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の脂肪族芳香族コポリエステル;デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン等の天然高分子と上記の脂肪族ポリエステルあるいは脂肪族芳香族コポリエステルとの混合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのなかでも、加工性および経済性に優れ、かつ、大量に入手できることなどから、脂肪族ポリエステルが好ましく、物性の点からポリ乳酸樹脂がさらに好ましい。ここで、ポリ乳酸樹脂とは、ポリ乳酸、又は乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーである。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられ、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。
好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位20〜100モル%とそれぞれの対掌体の乳酸単位0〜20モル%からなるものである。また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル%からなるものである。これらのポリ乳酸樹脂は、L−乳酸、D−乳酸及びヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトン等から必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。但し、主原料は、D−ラクチド又はL−ラクチドが好ましい。
市販されている生分解性樹脂としては、例えば、デュポン社製、商品名バイオマックス;BASF社製、商品名Ecoflex;EastmanChemicals社製、商品名EasterBio;昭和高分子(株)製、商品名ビオノーレ;日本合成化学工業(株)製、商品名マタービー;三井化学(株)製、商品名レイシア;日本触媒(株)製、商品名ルナーレ;チッソ(株)製、商品名ノボン;カーギル・ダウ・ポリマーズ社製、商品名Nature Works;NatureWorks社製、商品名Ingeo;ダイセル化学工業(株)製、商品名セルグリーン;三菱化学(株)製、商品名GS−Pla等が挙げられる。
これらの中では、好ましくはポリ乳酸樹脂(例えば三井化学(株)製、商品名レイシアH-100,H-280,H-400,H-440;NatureWorks社製、商品名Ingeo)、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル(例えば昭和高分子(株)製、商品名ビオノーレ)、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)等の脂肪族芳香族コポリエステル(デュポン社製、商品名バイオマックス)が挙げられる。
耐熱性の観点では、L-乳酸純度が高い結晶性生分解性樹脂が好ましく、延伸により配向結晶化させることが好ましい。結晶性生分解性樹脂としては、三井化学(株)製、レイシアH-100、H-400、H-440等が挙げられる。
(食器用複合体)
本発明の食器用複合体は、変性セルロース繊維と生分解性樹脂を必須成分とする樹脂とを溶融混練しつつ、変性セルロース繊維を解繊することで、変性セルロースナノファイバーと生分解性樹脂を含有する食器用複合体として調製される。
本発明の食器用複合体においては、変性セルロースナノファイバーと、生分解性樹脂との配合比率が、所望の強度を向上させるという観点及び樹脂の成型性に優れるという観点から、変性セルロースナノファイバー/生分解性樹脂の重量比で1/99〜30/70であることが好ましく、2/98〜20/80であることがより好ましく、2/98〜10/90であることが特に好ましい。
本発明の食器用複合体は、変性セルロース繊維と生分解性樹脂を必須成分とする樹脂とを一括して混練する方法で製造することができる。また、先に、変性セルロース繊維と生分解性樹脂を必須成分とする樹脂(以下、「マスターバッチ用樹脂」ということがある)とを含むマスターバッチを作製し、次いでこのマスターバッチと樹脂(希釈用樹脂)とを混練して製造することもできる。
変性セルロース繊維と樹脂とを混練する際に用いる混練機としては、変性セルロース繊維および樹脂を溶融混練することができ、せん断力を付与できるものであれば、特に限定されることなく使用することができ、例えば、ベンチロール、バンバリーミキサー、ニーダー、プラネタリーミキサー等の混練機が挙げられる。また、二軸混練機、四軸混練機等の多軸混練機も使用することができる。
混練機に投入された変性セルロース繊維と樹脂は、溶融混練され、この溶融混練時に発生するせん断力により変性セルロース繊維が解繊され、変性セルロースナノファイバーおよび生分解性樹脂を含有する本発明の食器用複合体を製造することができる。
溶融混練温度は、使用する樹脂に合わせて調整することができる。溶融混練時の加熱設定温度は、熱可塑性樹脂供給業者が推奨する、最低加工温度±10℃程度が好ましい。混合温度をこの温度範囲に設定することにより、変性セルロースナノファイバーおよび樹脂を均一に混合することができる。
このようにして得られる本発明の食器用複合体は、変性セルロースナノファイバーを含むため、曲げ弾性率に優れる。また、上記の製造方法により得られる変性セルロースナノファイバーおよび樹脂を含有する食器用複合体は、さらに希釈用樹脂で希釈して用いることもできる。
本発明において、食器用複合体に用いる樹脂(マスターバッチ用樹脂)としては、上記生分解性樹脂を単独で用いてもよく、2種以上の混合樹脂として用いてもよい。2種以上混合する場合、以下の樹脂を使用しても構わないが生分解性樹脂の重量及び体積以下の配合量とする。
マスターバッチ用樹脂として2種以上の混合樹脂とする場合において、生分解性樹脂に添加できる樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド(以下「PA」とも記す、またナイロン樹脂とも記す)、ポリエステル、ポリグリコール酸、乳酸とエステルとの共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、(熱可塑性)ポリウレタン、ポリアセタール、アセタールとオキシエチレンとの共重合体、ビニルエーテル樹脂、セルロース系樹脂(ジアセチル化セルロース等)等を好ましく使用することができる。中でも、ポリアミド(PA)は、分子構造内に極性の高いアミド結合を有するため、セルロース系材料との親和性が高いため、好ましく使用することができる。
ポリアミド(PA)として、ナイロン6(ポリアミド6、PA6)、ナイロン11(ポリアミド11、PA11)、ナイロン12(ポリアミド12、PA12)、ナイロン66(ポリアミド66、PA66)、ナイロン46(ポリアミド46、PA46)、ナイロン610(ポリアミド610、PA610)、ナイロン612(ポリアミド612、PA612))等の脂肪族PA、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンと塩化テレフタロイルや塩化イソフタロイル等の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体からなる芳香族PA等を挙げることができる。変性セルロース繊維、変性セルロースナノファイバー、および後述する希釈用樹脂との親和性が高い観点から、脂肪族PAを用いることが好ましく、PA6、PA66、PA11、PA12を用いることがより好ましく、PA6を用いることが特に好ましい。
本発明に用いることができる希釈用樹脂としては、上記の生分解性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド(PA、ナイロン樹脂)、ポリエステル、ポリグリコール酸、乳酸とエステルとの共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、(熱可塑性)ポリウレタン、ポリアセタール、ビニルエーテル樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂(トリアセチル化セルロース、ジアセチル化セルロース等)等が挙げられる。
変性セルロースナノファイバーおよびマスターバッチ用樹脂を含有する食器用複合体(マスターバッチ)に、希釈用樹脂を加えて溶融混練することにより、希釈用樹脂をさらに含む食器用複合体を得ることができる。食器用複合体中の生分解性樹脂の重量及び体積以下であれば、上記の内、生分解性樹脂以外の樹脂を1種以上含んでもよい。また、希釈用樹脂を加えて溶融混練する場合、両成分を室温下で加熱せずに混合してから溶融混練しても、加熱しながら混合して溶融混練しても良い。
希釈用樹脂を加えて溶融混練する場合における混練機としては、上記で例示した混練機と同様のものを使用することができる。また、溶融混練温度は、使用する樹脂に合わせて調整することができる。溶融混練時の加熱設定温度は、熱可塑性樹脂供給業者が推奨する、最低加工温度±10℃程度が好ましい。混合温度をこの温度範囲に設定することにより、変性セルロースナノファイバーおよび樹脂を均一に混合することができる。
本発明の食器用複合体は、更に、例えば、界面活性剤;でんぷん類、アルギン酸等の多糖類;ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の天然たんぱく質;タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末等の無機化合物;着色剤;可塑剤;香料;顔料;流動調整剤;レベリング剤;導電剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;紫外線分散剤;消臭剤、酸化防止剤等の添加剤を配合してもよい。任意の添加剤の含有割合としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜含有されてもよい。
本発明によれば、曲げ弾性率の高い食器用複合体を提供することが可能である。
(成形品)
本発明の食器用複合体は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形等の種々の成形方法を用いて、例えば、シート等の成形品とすることができる。ただし、成形温度は、ポリエステルの融点以上、配合するポリ乳酸系樹脂の融点未満であることが好ましい。成形温度がポリエステルの融点未満であると、耐熱性や成形加工性が不十分となる場合があり、ポリ乳酸系樹脂の融点以上であると、剛性や成形加工性に問題が生じる場合がある。
本発明の食器用複合体を用いて形成される成形品としては、例えば、弁当箱、鮮魚・精肉・青果・豆腐・惣菜・デザート・インスタントラーメン等の食品用のトレーやカップ、ストロー、プリン・ジャム・カレー等のホットフィル容器が挙げられる。また、歯ブラシ・医薬品・化粧品等の包装用容器にも用いることができる。
また、本発明の食器用複合体からシートを形成する場合には、一般的なシート形成方法を用いることができ、例えば、Tダイキャスト法による押出成形により製造することができる。ただし、ポリ乳酸系樹脂は吸湿性が高く、加水分解性も高いため、製造工程における水分管理が必要であり、一般的な一軸押出機を用いて押出成形する場合には、真空乾燥器等によって除湿乾燥した後に、製膜する。またベント式二軸押出機を用いて押出成形する場合には、脱水効果が高いので効率的な製膜が可能であり、また複数押出機による多層シートとすることも可能である。
本発明の食器用複合体を用いてストローを製造する場合には、例えば、食器用複合体を押出成形機などを使用して、筒状に成形した後に切断する方法や、シート状に成形した後に丸めて筒状にしてから切断する方法等により製造することができる。
本発明の食器用複合体は、副次的添加剤を加えることにより、種々の改質を行うことができる。副次的添加剤としては、例えば、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、静電剤、導電剤、離型剤、可塑剤、香料、抗菌剤、核形成剤やその他類似のもの等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(アセチル基置換度(DS)の測定方法)
(逆滴定方法によるDSの測定)
アセチル化セルロース繊維の試料を乾燥し、0.5g(A)を正確に秤量した。そこにエタノール75mL、0.5NのNaOH 50mL(0.025mol)(B)を加え、3〜4時間撹拌した。これを濾過、水洗、乾燥し、濾紙上の試料のFT−IR測定を行い、エステル結合のカルボニルに基づく吸収ピークが消失していること、つまりエステル結合が加水分解されていることを確認した。
濾液を下記の逆滴定に用いた。
濾液には加水分解の結果生じた酢酸ナトリウム塩及び過剰に加えられたNaOHが存在する。このNaOHの中和滴定を1NのHClを用いて行った(指示薬にはフェノールフタレインを使用)。
・0.025mol(B)−(中和に使用したHClのモル数)
=セルロースなどの水酸基にエステル結合していたアセチル基のモル数(C)
・(セルロース繰り返しユニット分子量162
×セルロース繰り返しユニットのモル数(未知(D))
+(アセチル基の分子量43×(C))
=秤量した試料0.5g(A)
上記式より、セルロースの繰り返しユニットのモル数(D)を算出した。
DSは、下記式により算出した。
・DS=(C)/(D)
(曲げ弾性率の測定)
実施例および比較例で得られたペレット状の樹脂複合体150gを小型成形機(Xplore Instruments社製「MC15」)に投入し、加熱筒(シリンダー)の温度250℃、金型温度は40℃の条件で、バー試験片を成形した。(厚さ4mm、並行部長さ80mm)得られた試験片について、精密万能試験機(島津製作所(株)製「オートグラフAG−Xplus」を用いて、試験速度10mm/分、標点間距離は64mmで、曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示す。
(変性セルロース繊維の粉砕に使用した粉砕機)
(株)ホーライ製「UGO3−280XKFT」
回転刃形式:オープンストレートカッタ
(マスターバッチ及び樹脂複合体の製造に使用した混練機と運転条件)
(株)テクノベル製「MFU15TW−45HG−NH」二軸混練機
スクリュー径:15mm、L/D:45、処理速度:300g/時
スクリュー回転数は、通常200rpmで運転した。混練温度は200〜220℃で運転した。
(実施例1)
(アセチル化セルロース繊維の調製)
含水針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)8.0kg(固形分4.0kg)を、撹拌機(日本コークス工業(株)製「FM150L」)に投入した後、撹拌を開始し、50℃で減圧脱水した。次いで、無水酢酸4.0kgを加え、80℃で2時間反応させた。反応後、水で洗浄し変性セルロース繊維としてのアセチル化セルロース繊維(アセチル化修飾NBKP)を得た。次いでアセチル化セルロース繊維を乾燥機に投入し、60〜70℃で減圧乾燥した。得られたアセチル化セルロース繊維の含水率を、赤外水分計で測定した。含水率は、2.3重量%であった。アセチル化セルロース繊維のアセチル基置換度(DS)は0.7であった。
(アセチル化セルロース繊維の粉砕機による処理)
この時点で上記アセチル化セルロース繊維は綿状の繊維塊となっていた。この繊維塊を解す目的で粉砕機による処理を実施した。粉砕機は上記の装置を用い、径が1mmのスクリーンを通したアセチル化セルロース繊維を準備した。
(マスターバッチ及び樹脂複合体の製造に使用した材料)
(a)変性セルロース繊維(アセチル化セルロース繊維)
(b)マスターバッチ用樹脂
・PLA:(NatureWorks社製 IngeoTM Biopolymer 3251D)
(c)希釈用樹脂
・PLA:(NatureWorks社製 IngeoTM Biopolymer 3251D)
(マスターバッチの製造)
上記の粉砕機による処理を行ったアセチル化セルロース繊維(絶対乾燥物として300g)及びマスターバッチ用樹脂(700g)を、ポリエチレン製の袋に入れ、振り交ぜて混合した。得られた混合物1000gを前述の二軸混練機に付属するフィーダー((株)テクノベル製)を用いて混練機に投入、加熱温度下で混練し、(a)アセチル化セルロース繊維に由来するアセチル化セルロースナノファイバー及び(b)マスターバッチ用樹脂を含む繊維量(CNF濃度)30%を含むマスターバッチを製造した。
(樹脂複合体の製造)
得られたマスターバッチと希釈用樹脂とを、アセチル化セルロース繊維に由来する繊維の量(CNF濃度)が、樹脂と繊維の合計量の2%となる配合で混合し、前記二軸混練機にて加熱温度下で混練した。次いで溶融混練物をペレタイザーによりペレット化し、(a)アセチル化セルロース繊維に由来するアセチル化セルロースナノファイバー、(b)マスターバッチ用樹脂、及び(c)希釈用樹脂を含むペレット状の樹脂複合体(成形品)を得た。
(実施例2−実施例6)
希釈用樹脂の配合量を、CNF濃度が各々表1に示す濃度となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレット状の樹脂複合体(成形品)を得た。
(比較例1)
樹脂複合体に代えて、ニート樹脂(NatureWorks社製 IngeoTM Biopolymer 3251D)を用いてバー試験片を成形し、曲げ弾性率を測定した。
Figure 2020128513
表1より、生分解性樹脂に変性セルロースナノファイバー(CNF)を添加することで樹脂の補強がなされ、曲げ弾性率が向上することが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 変性セルロースナノファイバーと、生分解性樹脂とを含有する食器用複合体。
  2. 前記変性セルロースナノファイバーと、前記生分解性樹脂との配合比率が、変性セルロースナノファイバー/生分解性樹脂の重量比で1/99〜30/70である、請求項1記載の食器用複合体。
  3. 前記生分解性樹脂は、ポリ乳酸樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の食器用複合体。
  4. 前記変性セルロースナノファイバーは、アセチル化セルロースナノファイバーである、請求項1〜3の何れか一項に記載の食器用複合体。
  5. 前記アセチル化セルロースナノファイバーは、アセチル基置換度が0.4〜1.3である請求項4記載の食器用複合体。
  6. 前記変性セルロースナノファイバーは、前記生分解性樹脂中で解繊されてなるものである請求項1〜5の何れか一項に記載の食器用複合体。
  7. 請求項1〜6記載の食器用複合体を用いた成形品。
  8. 前記成形品がストローである、請求項7記載の成形品。
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