JP7108727B1 - 樹脂複合体の製造方法、及びセルロース繊維予備解繊物 - Google Patents
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Abstract
Description
(1) 樹脂およびセルロース繊維を含む樹脂複合体であって、前記樹脂複合体は、前記樹脂と、セルロース繊維予備解繊物とを一軸または多軸混練機を用いて混練してなり、前記セルロース繊維予備解繊物は、パルプを機械的処理してなり、前記セルロース繊維予備解繊物は、繊維長0.1mm以上0.5mm未満が40%以上58%未満、繊維長1.5mm以上2.0mm未満が5%以上10%未満の割合で存在し、前記樹脂複合体に含まれる前記セルロース繊維は、平均繊維幅が1μm以下の割合が50体積%以上であることを特徴とする、樹脂複合体。
(2) 前記機械的処理時の前記パルプの固形分濃度が10質量%以上であることを特徴とする、(1)記載の樹脂複合体。
(3) 前記機械的処理が、ディスクリファイナーおよびコニカルリファイナーの少なくとも一方を用いて行われることを特徴とする、(1)または(2)記載の樹脂複合体。
(4) 樹脂およびセルロース繊維を含む樹脂複合体の製造方法であって、パルプを機械的処理してセルロース繊維予備解繊物を得る機械的処理工程と、前記樹脂と、前記セルロース繊維予備解繊物とを一軸または多軸混練機を用いて混練することにより樹脂複合体を得る混練工程とを含み、前記セルロース繊維予備解繊物は、繊維長0.1mm以上0.5mm未満が40%以上58%未満、繊維長1.5mm以上2.0mm未満が5%以上10%未満の割合で存在し、前記樹脂複合体に含まれる前記セルロース繊維は、平均繊維幅が1μm以下の割合が50体積%以上である、樹脂複合体の製造方法。
(5) 樹脂複合体に用いられるセルロース繊維予備解繊物であって、繊維長0.1mm以上0.5mm未満が40%以上58%未満、繊維長1.5mm以上2.0mm未満が5%以上10%未満の割合で存在するセルロース繊維予備解繊物。
本発明において、セルロース繊維とは、繊維状のセルロースであり、繊維状のセルロース誘導体をさらに含んでもよい。本発明の樹脂複合体に含まれるセルロース繊維は、平均繊維幅が1μm以下の割合が、十分な強度の向上効果と伸びのバランスが得られるという観点から50体積%以上であり、55体積%以上が好ましく、60体積%以上がより好ましく、65体積%以上がさらに好ましい。ここで、樹脂複合体に含まれるセルロース繊維の平均繊維幅は、X線コンピューティッドトモグラフィ(以下、X-CTと略することとがある。)により、測定することができる。
本発明に用いる樹脂としては、溶融温度が250℃以下の、以下の一般的な熱可塑性樹脂を挙げることができる。
本発明に用いることができる相溶化樹脂としては、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸などの酸無水物を形成することが可能な低分子量のジカルボン酸を、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン鎖上に有する高分子樹脂を挙げることができ、中でもマレイン酸を付加させた無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)や無水マレイン酸変性ポリエチレン(MAPE)を主成分とする樹脂を、それぞれ希釈用樹脂と共に用いることが好ましい。
本発明の樹脂複合体の製造方法は、パルプを機械的処理してセルロース繊維予備解繊物を得る機械的処理工程、及び樹脂と、得られたセルロース繊維予備解繊物とを一軸または多軸混練機を用いて混練することにより樹脂複合体を得る混練工程とを含む。
本発明の機械的処理工程では、セルロース原料のうちパルプを機械的処理してセルロース繊維予備解繊物を得る。
本発明において、セルロース原料とは、セルロースを主体とした様々な形態の材料をいい、リグノセルロース(NUKP)を含むものであり、パルプ(晒又は未晒木材パルプ、晒又は未晒非木材パルプ、精製リンター、ジュート、マニラ麻、ケナフ等の草本由来のパルプなど)、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロース、セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等の何らかの溶媒に溶解した後に再沈殿された再生セルロース、及び上記セルロース原料に加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル等の機械的処理等をすることによってセルロースを解重合した微細セルロース、アセチル化変性に影響を及ぼさない程度の各種セルロース誘導体などが例示される。
機械的処理を行う際のパルプ濃度を高く設定することで、パルプの膨潤のし過ぎによる後述するファイン分の増加を抑え、樹脂複合体中に適切な長繊維を残すことが可能となる。
本発明に用いることができるアセチル化変性されたセルロース繊維予備解繊物(単に、「アセチル化パルプ」ということがある。)は、セルロース原料のセルロース表面に存在する水酸基の水素原子がアセチル基(CH3-CO-)で置換されているものである。アセチル基で置換されることにより疎水性が高まり、乾燥時の凝集が減少するため作業性が高まり、混練後の樹脂中で分散や解繊しやすくなる。また反応性の高い水酸基がアセチル基で置換されるためセルロースの熱分解が抑制され、混練時の耐熱性が向上する。アセチル化パルプのアセチル基置換度(DS)は、作業性およびセルロース繊維の結晶性維持の観点から、好ましくは0.4~1.3、より好ましくは0.6~1.1となるように調整する。
アセチル化反応は、セルロース原料を膨潤させることのできる無水非プロトン性極性溶媒、例えばN-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中に原料を懸濁し、無水酢酸、アセチルクロリド等のハロゲン化アセチル等を使用して、塩基の存在下で行うと短時間で反応を行うことが可能となる。このアセチル化反応で用いる塩基としては、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等が好ましく、炭酸カリウムがより好ましい。また、無水酢酸などのアセチル化試薬を過剰に使用することで無水非プロトン性極性溶媒や塩基を使用しない条件で反応を行うことも可能である。
アセチル化反応により得られたアセチル化パルプは、アセチル化処理後に水置換などの洗浄処理を行うことが好ましい。
洗浄処理においては必要に応じて脱水を行ってもよい。脱水法としてはスクリュープレスを用いた加圧脱水法、揮発などによる減圧脱水法などで実施も可能だが、効率の点から遠心脱水法が好ましい。脱水は、溶媒中の固形分が10~60%程度になるまで行うことが好ましい。
本発明に用いることができるアセチル化パルプは、上記脱水工程の後、乾燥処理が施される。乾燥処理は、例えば、マイクロ波乾燥機、送風乾燥機や真空乾燥機を用いて行うことができるが、ドラム乾燥機、パドルドライヤー、ナウターミキサー、攪拌羽根のついた回分乾燥機など、攪拌しながら乾燥することができる乾燥機が好ましい。乾燥は、アセチル化パルプの含水率が1~40%程度になるまで行うことが好ましく、1~10%まで乾燥するがより好ましく、1~5%まで乾燥することがさらに好ましい。乾燥を施したパルプを使用することで、後述する混練工程において水によるパルプへの加水分解の影響を小さくすることが可能となる。
酸化は公知のとおりに実施できる。酸化処理により、予備解繊時のパルプ高濃度化の際のハンドリングが良好となる。例えばN-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物およびこれらの混合物からなる群より選択される物質との存在下で、酸化剤を用いて水中で原料パルプを酸化する方法が挙げられる。この方法によれば、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基、カルボキシル基、およびカルボキシレート基からなる群より選ばれる基が生じる。あるいは、オゾン酸化方法が挙げられる。この酸化反応によればセルロースを構成するグルコピラノース環の少なくとも2位および6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース〕=a〔mL〕×0.05/酸化セルロース質量〔g〕
エーテル化及びエステル化としては、カルボキシメチル化や、リン酸エステル化、亜リン酸エステル、硫酸エステル化等、公知の方法で変性を行うことができる。
カルボキシメチル化は公知のとおりに実施できる。カルボキシメチル化処理により、予備解繊時のパルプ高濃度化の際のハンドリングが良好となる。カルボキシメチル化セルロースのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度の測定は例えば、次の方法による。すなわち、1)カルボキシメチル化セルロース(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。2)硝酸メタノール(メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(カルボキシメチル化セルロース)を水素型カルボキシメチル化セルロースにする。3)水素型カルボキシメチル化セルロース(絶乾)を1.5g以上2.0g以下程度精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。4)80%メタノール15mLで水素型カルボキシメチル化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。5)指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定する。6)カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’-(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型カルボキシメチル化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1-0.058×A)
A:水素型カルボキシメチル化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F:0.1NのH2SO4のファクター
F’:0.1NのNaOHのファクター
本発明の混練工程では、樹脂と、セルロース繊維予備解繊物とを一軸または多軸混練機を用いて混練することにより、樹脂複合体を得る。本発明においては、セルロース繊維予備解繊物と樹脂とを一括して混練する方法により樹脂複合体を得ても良いし、セルロース繊維予備解繊物と樹脂(以下、「マスターバッチ用樹脂」ということがある)とを含むマスターバッチを作製し、次いでこのマスターバッチと樹脂(希釈用樹脂)とを混練(希釈混練)して樹脂複合体を得ても良い。また、混練工程においては、必要に応じて、尿素等を一緒に混練しても良い。
本発明の混練工程では、一軸または多軸混練機を用いる。樹脂、及びセルロース繊維予備解繊物を溶融混練可能であることに加え、セルロース繊維予備解繊物のナノ化を促す強い混練力を有する観点から、二軸混練機、四軸混練機等の多軸混練機を使用し、スクリューを構成するパーツにニーディングやローターなどを複数含む構成であることが望ましい。
本発明の樹脂複合体の製造方法は、上記の混練工程で得られた樹脂複合体と、希釈用樹脂とを混練する希釈混練工程をさらに含んでいても良い。希釈混練工程を含む場合、混練工程によって調製した樹脂複合体をマスターバッチとして使用することが可能である。また、希釈混練工程を含む場合、希釈混練工程後に得られる樹脂複合体が、平均繊維幅が1μm以下の割合が50体積%以上であるセルロース繊維を含むものであればよい。
本発明で用いる希釈用樹脂としては、上記した溶融温度が250℃以下の、一般的な熱可塑性樹脂を使用することができる。希釈用樹脂は、1種類を単独で使用してもよく、2種以上の樹脂を混合して使用してもよい。
本発明の製造方法により得られる樹脂複合体は、樹脂とセルロース繊維予備解繊物とを一括して混練する方法により得られたものであっても良いし、樹脂とセルロース繊維予備解繊物とを混練して得られたマスターバッチと、希釈用樹脂とを混練する希釈混練工程で得られた樹脂複合体であっても良い。
本発明の樹脂複合体を用いて、成形材料及び成形体(成型材料及び成型体)を製造することができる。成形体の形状としては、フィルム状、シート状、板状、ペレット状、粉末状、立体構造など各種形状等の各種形状の成形体が挙げられる。成形方法として、金型成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等を用いることができる。
セルロース繊維予備解繊物の繊維長分布およびファイン分測定は、Lorentzen & Wettre社製ファイバーテスターを用いて測定した。本発明において繊維長とは、ISO16065に基づく数平均繊維長の事を示す。具体的には、パルプ乾燥質量0.1gを300mLの水で撹拌・離解し、ファイバーテスターにて測定した。
(逆滴定方法によるDSの測定)
アセチル化セルロースパルプの試料を乾燥し、0.5g(A)を正確に秤量した。そこにエタノール75mL、0.5NのNaOH 50mL(0.025mol)(B)を加え、3~4時間撹拌した。これを濾過、水洗、乾燥し、濾紙上の試料のFT-IR測定を行い、エステル結合のカルボニルに基づく吸収ピークが消失していること、つまりエステル結合が加水分解されていることを確認した。
濾液を下記の逆滴定に用いた。
濾液には加水分解の結果生じた酢酸ナトリウム塩及び過剰に加えられたNaOHが存在する。このNaOHの中和滴定を1NのHClを用いて行った(指示薬にはフェノールフタレインを使用)。
=セルロースなどの水酸基にエステル結合していたアセチル基のモル数(C)
・(セルロース繰り返しユニット分子量162
×セルロース繰り返しユニットのモル数(未知(D))
+(アセチル基の分子量43×(C))
=秤量した試料0.5g(A)
上記式より、セルロースの繰り返しユニットのモル数(D)を算出した。
・DS=(C)/(D)
樹脂複合体中のアセチル化セルロース繊維について、平均繊維幅が1μm以下の割合は、X線コンピューティッドトモグラフィ(以下X-CTと略する)(SKYSCAN1272(ブルカー社製):分解能0.5μm)により行った。本装置は具体的には、作製したセルロース繊維を10%含有する樹脂複合体内部を1cm角で切り出し、これを上述の1ボクセル0.5μmの条件で測定した。これを3次元に再構成の後、200×200μm以上の平面を選択し、形状から繊維部と非繊維部を分離したのち、この画像を2値化し2ボクセル以下の繊維およびノイズを除去した。この平面画像をZ軸方向に対し200μmの範囲で10平面以上を使用して、繊維部(未解繊繊維量)の平均を求めた。上記操作により画像中に表示されている繊維は繊維幅が1μmより大きい繊維を意味する。この平均した未解繊繊維量の値を用いて以下の式で、平均繊維幅が1μm以下のセルロース繊維の割合を求めた。
なお、上記式において、実施例ではセルロース繊維を10%含有しているため、セルロース量は10%、セルロース密度は1.5g/cm3とした。
実施例および比較例で得られたペレット状の樹脂成型体150gを小型成形機(Xplore Instruments社製「MC15」)に投入し、加熱筒(シリンダー)の温度200℃、金型温度は40℃の条件で、ダンベル型試験片(タイプA12、JIS K 7139)を成形した。得られた試験片について、精密万能試験機(島津製作所(株)製「オートグラフAG-Xplus」)を用いて、試験速度1mm/分、初期標線間距離は30mmで、引張弾性率、引張強度、及び引張伸び(破断までのひずみ、伸び)を測定した。引張伸びの結果を表1に示す。また、希釈用樹脂のみを用いて上記と同様にダンベル型試験片を成形し、得られた試験片について上記と同様に引張弾性率、引張強度を測定し、PA6ニート樹脂およびPPニート樹脂の引張弾性率及び引張強度を100としたときの、各サンプルの測定値の比率を補強率とし、その結果を表1に示す。
(株)テクノベル製「MFU15TW-45HG-NH」二軸混練機
スクリュー径:15mm、L/D:45、処理速度:300g/時
スクリュー回転数200rpm、設定温度は各樹脂の融点+5℃で運転した。
(パルプの叩解処理)
50%含水の針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP:リグニン含量8質量%)を固形分濃度20%に調整し、この20kgに対してシングルディスクリファイナー(熊谷理機工業社製、プレートの刃幅:4mm、溝幅:5mm)を用い、クリアランス:0.25mmの条件で2回通し、濾水度が5点の測定値が350mL~450mLになるよう処理することにより(叩解処理)、セルロース繊維予備解繊物を準備した。得られたセルロース繊維予備解繊物について、Lorentzen & Wettre社製を用いて繊維長分布を測定した。結果を表1に示す。
上記のセルロース繊維予備解繊物、すなわち叩解処理を行った含水針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)20.0kg(固形分4.0kg)を、撹拌機(日本コークス工業(株)製「FM150L」)に投入した後、撹拌を開始し、50℃で減圧脱水した。次いで、無水酢酸4.0kgを加え、80℃で2時間反応させた。反応後、パルプを十分に水洗・脱水・減圧乾燥をしてパルプ固形分濃度が98質量%のアセチル化パルプ、すなわちアセチル化セルロース繊維予備解繊物を得た。アセチル化セルロース繊維予備解繊物のアセチル基置換度(DS)は0.5であった。
(a)アセチル化セルロース繊維予備解繊物
(b)マスターバッチ用樹脂
・PA6:(宇部興産(株)製PA6 P1011F)
(c)希釈用樹脂
・PA6:(宇部興産(株)製PA6 1011FB)
上記のアセチル化セルロース繊維予備解繊物(絶対乾燥物として460g)、マスターバッチ用樹脂(PA6:720g)を、ポリエチレン製の袋に入れ、振り交ぜて混合した。得られた混合物1180gを前述の二軸混練機に付属するフィーダー((株)テクノベル製)を用いて混練機に投入、加熱温度下で混練し、アセチル化セルロース繊維予備解繊物が樹脂との混練により本解繊されて得られたアセチル化セルロース繊維、及びマスターバッチ用樹脂を含むマスターバッチAを製造した。
得られたマスターバッチA60gと希釈用樹脂(PA6)120gとを混合し、前記二軸混練機にて加熱温度下で混練した。次いで溶融混練物を、ペレタイザーを用いてペレット化し、アセチル化セルロース繊維、マスターバッチ用樹脂、及び希釈用樹脂を含むペレット状の樹脂複合体(成形体)Aを得た。なお、樹脂複合体Aに含まれるアセチル化セルロース繊維は、平均繊維幅が1μm以下の割合が67体積%であった。なお、樹脂と混練後のアセチル化セルロース繊維については、樹脂と繊維の分離が困難なため、繊維長の測定が困難であった。
(a)アセチル化セルロース繊維予備解繊物
(b)マスターバッチ用樹脂
・ MAPP:(東洋紡製MAPP PMAH1000P)
(c)尿素:(和光純薬工業製)
(d)希釈用樹脂
・ PP:(日本ポリプロ(株)製PP MA04A)
上記のアセチル化セルロース繊維予備解繊物(絶対乾燥物として460g)、マスターバッチ用樹脂(MAPP:110g)及び粉末状の尿素(180g)を、ポリエチレン製の袋に入れ、振り交ぜて混合した。得られた混合物750gを前述の二軸混練機に付属するフィーダー((株)テクノベル製)を用いて混練機に投入、加熱温度下で混練し、アセチル化セルロース繊維の予備解繊物が樹脂との混練により本解繊されて得られたアセチル化セルロース繊維、及びマスターバッチ用樹脂を含むマスターバッチBを製造した。
得られたマスターバッチB38gと希釈用樹脂(PP)142gとを混合し、前記二軸混練機にて加熱温度下で混練した。次いで溶融混練物を、ペレタイザーを用いてペレット化し、アセチル化セルロース繊維、マスターバッチ用樹脂、及び希釈用樹脂を含むペレット状の樹脂複合体(成形体)Bを得た。なお、樹脂成形体Bに含まれるアセチル化セルロース繊維は、平均繊維幅が1μm以下の割合が60体積%であった。
パルプの叩解処理において、シングルディスクリファイナーに通す回数を3回とし、濾水度5点の測定値が150mL~250mLとなるように変更したこと以外は実施例1と同様に、セルロース繊維予備解繊物を準備した。また、このセルロース繊維予備解繊物を用いたこと以外は実施例1と同様にアセチル化セルロース繊維予備解繊物を準備した。実施例2で得られた予備解繊物を用いたこと以外は、実施例1と同様にマスターバッチA,Bおよび樹脂複合体A,Bを製造した。なお、樹脂複合体A,Bに含まれるアセチル化セルロース繊維は、平均繊維幅が1μm以下の割合がそれぞれ71体積%、65体積%であった。
パルプに対して叩解処理をおこなわず、これを実施例1の条件でアセチル化したものをアセチル化セルロース繊維予備解繊物に代えて用いたこと以外は、実施例1と同様にマスターバッチA,Bおよび樹脂複合体A,Bを製造した。なお、樹脂複合体A,Bに含まれるアセチル化セルロース繊維は、平均繊維幅が1μm以下の割合がそれぞれ59体積%、51体積%であった。
パルプの叩解処理において、シングルディスクリファイナーに通す回数を1回とし、濾水度5点の測定値が450mL~550mLとなるように変更したこと以外は実施例1と同様に、セルロース繊維予備解繊物を準備した。また、このセルロース繊維予備解繊物を用いたこと以外は実施例1と同様にアセチル化セルロース繊維予備解繊物を準備した。比較例2で得られた予備解繊物を用いたこと以外は、実施例1と同様にマスターバッチA,Bおよび樹脂複合体A,Bを製造した。なお、樹脂複合体A,Bに含まれるアセチル化セルロース繊維は、平均繊維幅が1μm以下の割合がそれぞれ61体積%、54体積%であった。
パルプの叩解処理において、固形分濃度を3%に調整したNUKPに対して、シングルディスクリファイナーのクリアランスを0.15mmの条件で5回処理し、濾水度5点の測定値が150mL~250mLのセルロース繊維予備解繊物を得たこと以外は実施例1と同様に、セルロース繊維予備解繊物を準備した。また、このセルロース繊維予備解繊物を用いたこと以外は実施例1と同様にアセチル化セルロース繊維予備解繊物を準備した。比較例3で得られた予備解繊物を用いたこと以外は、実施例1と同様にマスターバッチA,Bおよび樹脂複合体A,Bを製造した。なお、樹脂複合体A、Bに含まれるアセチル化セルロース繊維は、平均繊維幅が1μm以下の割合がそれぞれ75体積%、71体積%であった。
Claims (3)
- 樹脂およびセルロース繊維を含む樹脂複合体の製造方法であって、
固形分濃度が10質量%以上のパルプを、濾水度が120mL~450mLとなるまで叩解処理してセルロース繊維予備解繊物を得る叩解処理工程と、
前記樹脂と、前記セルロース繊維予備解繊物とを一軸または多軸混練機を用いて混練することにより樹脂複合体を得る混練工程とを含み、
前記セルロース繊維予備解繊物は、繊維長0.1mm以上0.5mm未満が40%以上58%未満、繊維長1.5mm以上2.0mm未満が5%以上10%未満の割合で存在し、
前記樹脂複合体に含まれる前記セルロース繊維は、平均繊維幅が1μm以下の割合が50体積%以上である、樹脂複合体の製造方法。 - 前記叩解処理が、ディスクリファイナーおよびコニカルリファイナーの少なくとも一方を用いて行われることを特徴とする、請求項1記載の樹脂複合体の製造方法。
- 樹脂複合体に用いられるセルロース繊維予備解繊物であって、
繊維長0.1mm以上0.5mm未満が40%以上58%未満、繊維長1.5mm以上2.0mm未満が5%以上10%未満の割合で存在する
セルロース繊維予備解繊物。
Priority Applications (3)
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