JP2020127373A - 麹菌、麹菌由来の酵素、血糖値上昇抑制剤、飲食品、医薬組成物、食品添加物、サプリメント及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】空腹時血糖値を低下させるための麹菌、麹菌由来の酵素、血糖値上昇抑制剤、飲食品、医薬組成物、食品添加物、サプリメント及びこれらの製造方法の提供。【解決手段】空腹時血糖値を低下させるための、麹菌。【選択図】なし
Description
本発明は、麹菌、麹菌由来の酵素、血糖値上昇抑制剤、飲食品、医薬組成物、食品添加物、サプリメント及びこれらの製造方法に関する。
近年、飲食品に含まれる機能性成分の研究とこれを利用した飲食品、栄養補助剤、医薬品等の開発が盛んに進められている。日本の伝統食品である味噌、醤油等の原料となる麹についてもその効能に関する研究成果は多数存在している。
例えば、特許文献1には豆類又は穀類からアスペルギウス属のかびを用いて得られた培養物の水抽出物がα−グルコシダーゼを阻害する活性を有し、これを用いることで血糖値の上昇の抑制等に有用であると記載されている。
特許文献1に記載された発明は、抽出物中の成分がα−グルコシダーゼ阻害活性を有することで血糖値の上昇が抑制されることを見出したものであるが、α−グルコシダーゼ阻害活性に限らず生体内において血糖値の上昇の抑制をもたらす作用機序及びそれに関わる成分を新たに見出すことは、血糖値の上昇を抑制する手段の選択肢を広げるうえで有益である。
さらに、例えば、食後の血糖値の急激な上昇を短時間に下げる場合と、慢性的に高い傾向にある血糖値を長時間かけて正常値に近づける場合とでは、血糖値の変動の要因や対処策も異なると考えられる。
本発明は上記事情に鑑み、空腹時血糖値を低下させるための麹菌、麹菌由来の酵素、血糖値上昇抑制剤、飲食品、医薬組成物、食品添加物、サプリメント及びこれらの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1>空腹時血糖値を低下させるための、麹菌。
<2>米麹に含まれる、<1>に記載の麹菌。
<3>前記空腹時血糖値の低下は細胞への糖の取り込みを促進することで行われる、<1>又は<2>に記載の麹菌。
<4>空腹時血糖値を低下させるための、麹菌由来の酵素。
<5>米麹により得られる、<4>に記載の麹菌由来の酵素。
<6>前記空腹時血糖値の低下は細胞への糖の取り込みを促進することで行われる、<4>又は<5>に記載の麹菌由来の酵素。
<7>麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値低下剤。
<8>麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための飲食品。
<9>麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための医薬組成物。
<10>麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための食品添加物。
<11>麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるためのサプリメント。
<12>麹から麹菌又は麹菌由来の酵素を含む抽出物を抽出する工程を含む、<7>に記載の空腹時血糖値低下剤の製造方法。
<13>麹菌又は麹菌由来の酵素を飲食品又は飲食品の原料に添加して混合する工程を含む、<8>に記載の飲食品の製造方法。
<14>麹菌又は麹菌由来の酵素と、添加剤又は薬学的に許容可能な担体とを混合する工程を含む、<9>に記載の医薬組成物の製造方法。
<15>麹菌又は麹菌由来の酵素と、食品用添加物用の他の成分とを混合する工程を含む、<10>に記載の食品添加物の製造方法。
<16>麹菌又は麹菌由来の酵素と、サプリメント用の他の成分とを混合する工程を含む、<11>に記載のサプリメントの製造方法。
<1>空腹時血糖値を低下させるための、麹菌。
<2>米麹に含まれる、<1>に記載の麹菌。
<3>前記空腹時血糖値の低下は細胞への糖の取り込みを促進することで行われる、<1>又は<2>に記載の麹菌。
<4>空腹時血糖値を低下させるための、麹菌由来の酵素。
<5>米麹により得られる、<4>に記載の麹菌由来の酵素。
<6>前記空腹時血糖値の低下は細胞への糖の取り込みを促進することで行われる、<4>又は<5>に記載の麹菌由来の酵素。
<7>麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値低下剤。
<8>麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための飲食品。
<9>麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための医薬組成物。
<10>麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための食品添加物。
<11>麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるためのサプリメント。
<12>麹から麹菌又は麹菌由来の酵素を含む抽出物を抽出する工程を含む、<7>に記載の空腹時血糖値低下剤の製造方法。
<13>麹菌又は麹菌由来の酵素を飲食品又は飲食品の原料に添加して混合する工程を含む、<8>に記載の飲食品の製造方法。
<14>麹菌又は麹菌由来の酵素と、添加剤又は薬学的に許容可能な担体とを混合する工程を含む、<9>に記載の医薬組成物の製造方法。
<15>麹菌又は麹菌由来の酵素と、食品用添加物用の他の成分とを混合する工程を含む、<10>に記載の食品添加物の製造方法。
<16>麹菌又は麹菌由来の酵素と、サプリメント用の他の成分とを混合する工程を含む、<11>に記載のサプリメントの製造方法。
本発明によれば、空腹時血糖値を低下させるための麹菌、麹菌由来の酵素、麹菌又は麹菌由来の酵素を用いた血糖値上昇抑制剤、飲食品、医薬組成物、食品添加物、サプリメント及びこれらの製造方法、並びに麹菌又は麹菌由来の酵素を用いた血糖値上昇抑制方法及び細胞への糖取り込み促進方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、以下の説明によって本発明の範囲が制限されるものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<麹菌又は麹菌由来の酵素>
本発明の麹菌又は麹菌由来の酵素は、空腹時血糖値を低下させるための麹菌又は麹菌由来の酵素である。麹菌又は麹菌由来の酵素は、麹菌又は麹菌由来の酵素単独の状態でも、麹等の中に含まれた状態であっても、麹等から抽出された状態であってもよい。
本発明の麹菌又は麹菌由来の酵素は、空腹時血糖値を低下させるための麹菌又は麹菌由来の酵素である。麹菌又は麹菌由来の酵素は、麹菌又は麹菌由来の酵素単独の状態でも、麹等の中に含まれた状態であっても、麹等から抽出された状態であってもよい。
本発明者らの検討により、麹菌又は麹菌由来の酵素は空腹時血糖値を低下させる成分として機能することがわかった。
麹菌は、酵素を生成してデンプン、タンパク質等を分解する性質を有することから、種々の発酵食品の製造に用いられている。麹菌又は麹菌由来の酵素が空腹時血糖値を低下させる成分として機能する理由は必ずしも明らかとはなっていないが、麹菌由来の酵素が細胞への糖の取り込みを促進するように作用する結果、血中の糖の量が抑制されるためと推測される。一般的に酵素はデンプンを単糖類に分解し、血糖値を上昇させる方向に作用すると考えられるが、酵素が空腹時血糖値を低下させるという知見は、今まで報告されていないものである。
本発明において空腹時血糖値とは、10時間以上絶食した後に測定される血糖値(血液1dLに含まれるブドウ糖の量)である。
本発明は、空腹時血糖値が100mg/dL以上である場合、すなわち、平常時の血糖値が正常高値から高い傾向にある状態での血糖値を低下させるために好ましく用いられる。特に、空腹時血糖値が100mg/dL〜110mg/dLである場合に、空腹時血糖値を低下させる効果が顕著である。
本発明は特に、空腹時血糖値を長時間(例えば、5日〜10日)にわたり低下させる効果が顕著である。すなわち、本発明は、慢性的に高い傾向にある血糖値を正常値に近づけるために特に好ましく用いられる。さらに本発明は、摂取期間が長期にわたっても血糖値の上昇が生じない。
本発明において「麹菌」とは、コウジカビ(Aspergillus)属の不完全菌のうち、食用に利用されるものを意味する。麹菌としてはニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)、ショウユコウジカビ(Aspergillus sojae)、タマリコウジカビ(Aspergillus tamari)、カワチコウジカビ(Aspergillus kawachii)、アワモリコウジカビ(Aspergillus awamori)、サイトウコウジカビ(Aspergillus saitoi)等が挙げられ、これらのアルビノ等の変異種も麹菌に含まれる。麹菌の種類は特に制限されず、本発明の効果が達成される範囲内において選択することができる。本発明のある実施態様では、麹菌はニホンコウジカビのW−20株(MA728株とも称する場合がある)である。W−20株は、例えば、株式会社樋口松之介商店より入手可能である。
本発明において「麹菌由来の酵素」とは、麹菌により生成される酵素を意味する。具体的には、例えば、米、麦、大豆などの穀物に付着した麹菌が繁殖する際に産生する酵素を意味する。
本発明において麹とは、米、麦、大豆などの穀物に麹菌を付着させて繁殖させたものを意味する。麹の種類は特に制限されず、本発明の効果が達成される範囲内において選択することができる。本発明のある実施態様では、麹菌は米麹に含まれる。また、本発明のある実施態様では、麹菌由来の酵素は米麹より得られる。
麹菌又は麹菌由来の酵素は、種々の用途で使用できる。例えば、後述する空腹時血糖値低下剤、医薬組成物、飲食品、食品添加物、サプリメント等の成分として使用することができる。
<空腹時血糖値低下剤>
本発明の空腹時血糖値低下剤は、麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む。本発明の空腹時血糖値低下剤を生体に投与すると、空腹時血糖値が低下する効果が得られる。
本発明の空腹時血糖値低下剤は、麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む。本発明の空腹時血糖値低下剤を生体に投与すると、空腹時血糖値が低下する効果が得られる。
空腹時血糖値低下剤に含まれる麹菌由来の酵素の詳細は上述したとおりであり、以降の説明においても同様である。
空腹時血糖値低下剤の状態は特に制限されず、液体、粉末、ゲル、固形等から用途に応じて選択できる。
空腹時血糖値低下剤に含まれる麹菌又は麹菌由来の酵素の量は、特に制限されない。例えば、空腹時血糖値低下剤全体の0.01質量%〜99質量%、好ましくは0.01質量%〜80質量%、より好ましくは0.01質量%〜50質量%とすることができる。
<飲食品>
本発明の飲食品は、麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための飲食品である。本発明の飲食品を摂取すると、空腹時血糖値が低下する効果が得られる。
本発明の飲食品は、麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための飲食品である。本発明の飲食品を摂取すると、空腹時血糖値が低下する効果が得られる。
飲食品の種類は、特に制限されず、飲料類、麺類、菓子類、肉類又は畜産加工食品、乳製品、油脂加工品、調味料等が挙げられる。本発明の飲食品は、例えば、麹菌又は麹菌由来の酵素を一般的な飲食品に添加したり、飲食品の原料として用いることにより得ることができる。
飲食品は、充分な空腹時血糖値の低下効果を得る観点からは、酵素の分解等が抑制される条件で加工されたものであることが好ましい。例えば、加熱工程を経ないか、加熱される場合は60℃以下の加熱工程を経たものであることが好ましい。
飲食品の摂取量は、特に制限されない。例えば、成人1日当たりの麹菌の摂取量が1mg〜1000mg、好ましくは10mg〜100mgの範囲となるようにすることができる。麹菌の摂取量の測定は、例えば、F. Fujii et al J. Bruw.Soc. Japan, Vol.87, No.10, p.757-759, 1992 を参考にして行うことができる。
<医薬組成物>
本発明の医薬組成物は、麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための医薬組成物である。本発明の医薬組成物を投与すると、空腹時血糖値が低下する効果が得られる。
本発明の医薬組成物は、麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための医薬組成物である。本発明の医薬組成物を投与すると、空腹時血糖値が低下する効果が得られる。
医薬組成物は、麹菌又は麹菌由来の酵素以外の添加物又は薬学的に許容可能な担体を含んでもよい。このような添加物又は薬学的に許容可能な担体としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、緩衝剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、溶剤、増粘剤、粘液溶解剤、湿潤剤、防腐剤などが挙げられる。
医薬組成物に含まれる麹菌又は麹菌由来の酵素の量は、特に制限されない。例えば、医薬組成物全体の0.01質量%〜99質量%、好ましくは0.01質量%〜80質量%、より好ましくは0.01質量%〜50質量%とすることができる。
医薬組成物の形態は特に制限されず、経口剤又は非経口剤のいずれであってもよい。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤等が挙げられる。非経口剤としては、注射剤、点滴剤、軟膏剤、点鼻剤、坐剤等が挙げられる。
医薬組成物の投与量は、特に制限されない。例えば、成人1日当たりの麹菌の摂取量が1mg〜1000mg、好ましくは10mg〜100mgの範囲となるような投与量とすることができる。
<食品添加物>
本発明の食品添加物は、麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための食品添加物である。本発明の食品添加物を添加した飲食品を摂取すると、空腹時血糖値が低下する効果が得られる。
本発明の食品添加物は、麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための食品添加物である。本発明の食品添加物を添加した飲食品を摂取すると、空腹時血糖値が低下する効果が得られる。
食品添加物は、必要に応じて食品用添加物用の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、着色料、保存料、甘味料、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、酸化防止剤、乳化剤、香料等が挙げられる。
食品添加物中における麹菌又は麹菌由来の酵素の量は、特に制限されない。例えば、食品添加物全体の0.01質量%〜99質量%、好ましくは0.01質量%〜80質量%、より好ましくは0.01質量%〜50質量%とすることができる。
<サプリメント>
本発明のサプリメント(栄養補助食品)は、麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるためのサプリメントである。本発明のサプリメントを摂取すると、空腹時血糖値が低下する効果が得られる。
本発明のサプリメント(栄養補助食品)は、麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるためのサプリメントである。本発明のサプリメントを摂取すると、空腹時血糖値が低下する効果が得られる。
サプリメントの形態は特に制限されず、錠剤、顆粒剤、散剤、ドリンク剤等を挙げることができる。サプリメントは、麹菌又は麹菌由来の酵素と、サプリメント用の成分として使用可能な別の成分との組み合わせにより構成されていてもよい。そのような他の成分としては、多糖類、酸化防止剤、タンパク質、塩類などが挙げられる。
サプリメントにおける麹菌又は麹菌由来の酵素の量は、特に制限されない。例えば、サプリメント全体の0.01質量%〜99質量%、好ましくは0.01質量%〜80質量%、より好ましくは0.01質量%〜50質量%とすることができる。
サプリメントの摂取量は、特に制限されない。例えば、成人1日当たりの麹菌の摂取量が1mg〜1000mg、好ましくは10mg〜100mgの範囲となるような摂取量とすることができる。
<空腹時血糖値低下剤の製造方法>
本発明の血糖値低下剤の製造方法は、麹から麹菌又は麹菌由来の酵素を含む抽出物を抽出する工程を含む。前記方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。
本発明の血糖値低下剤の製造方法は、麹から麹菌又は麹菌由来の酵素を含む抽出物を抽出する工程を含む。前記方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。
麹から麹菌又は麹菌由来の酵素を含有する抽出物を得る際には、その抽出方法は特に制限されず、一般的な抽出方法を用いることができる。例えば、麹に溶媒を加えて抽出液を作製し、必要に応じて希釈、濃縮等を行う方法が挙げられる。溶媒は、麹菌又は麹菌由来の酵素の活性を維持する観点から、水が好ましい。
必要に応じ、麹菌又は麹菌由来の酵素を含有する抽出物をさらに精製してもよい。精製は、例えば、オープンカラム、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、LC−MS(液体クロマトグラフィー質量分析)などにより行うことができる。
製造された空腹時血糖値低下剤の状態は特に制限されず、液体、粉末、ゲル、固形等から用途に応じて選択できる。
<飲食品の製造方法>
本発明の飲食品の製造方法は、麹菌又は麹菌由来の酵素を、飲食品又は飲食品の原料に添加して混合する工程を含む。前記方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。添加及び混合の方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。
本発明の飲食品の製造方法は、麹菌又は麹菌由来の酵素を、飲食品又は飲食品の原料に添加して混合する工程を含む。前記方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。添加及び混合の方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。
<医薬組成物の製造方法>
本発明の医薬組成物の製造方法は、麹菌又は麹菌由来の酵素と、添加剤又は薬学的に許容可能な担体とを混合する工程を含む。前記方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。混合の方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。添加物又は薬学的に許容可能な担体としては、本発明の医薬組成物に関連して例示したものを挙げることができる。
本発明の医薬組成物の製造方法は、麹菌又は麹菌由来の酵素と、添加剤又は薬学的に許容可能な担体とを混合する工程を含む。前記方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。混合の方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。添加物又は薬学的に許容可能な担体としては、本発明の医薬組成物に関連して例示したものを挙げることができる。
<食品添加物の製造方法>
本発明の食品添加物の製造方法は、麹菌又は麹菌由来の酵素を、必要に応じて食品添加用の他の成分と混合する工程を含む。前記方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。混合の方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。食品添加用成分の例としては、本発明の食品添加物に関連して例示したものを挙げることができる。
本発明の食品添加物の製造方法は、麹菌又は麹菌由来の酵素を、必要に応じて食品添加用の他の成分と混合する工程を含む。前記方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。混合の方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。食品添加用成分の例としては、本発明の食品添加物に関連して例示したものを挙げることができる。
<サプリメントの製造方法>
本発明のサプリメントの製造方法は、麹菌又は麹菌由来の酵素を、必要に応じてサプリメント用の他の成分と混合する工程を含む。前記方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。混合の方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。サプリメント用成分の例としては、本発明のサプリメントに関連して例示したものが挙げられる。
本発明のサプリメントの製造方法は、麹菌又は麹菌由来の酵素を、必要に応じてサプリメント用の他の成分と混合する工程を含む。前記方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。混合の方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。サプリメント用成分の例としては、本発明のサプリメントに関連して例示したものが挙げられる。
<空腹時血糖値低下方法>
本発明の空腹時血糖値低下方法は、麹菌又は麹菌由来の酵素を体内に摂取させることを含む。麹菌又は麹菌由来の酵素を体内に摂取させる方法は、特に制限されない。例えば、上述した空腹時血糖値低下剤、医薬組成物、飲食品、食品添加物、サプリメント等として摂取してもよい。麹菌又は麹菌由来の酵素を摂取させる対象は、ヒトであってもヒト以外の動物であってもよい。また、血糖値の作為的な制御が必要とされる疾患、体質、生活習慣等を有していても、有していなくてもよい。
本発明の空腹時血糖値低下方法は、麹菌又は麹菌由来の酵素を体内に摂取させることを含む。麹菌又は麹菌由来の酵素を体内に摂取させる方法は、特に制限されない。例えば、上述した空腹時血糖値低下剤、医薬組成物、飲食品、食品添加物、サプリメント等として摂取してもよい。麹菌又は麹菌由来の酵素を摂取させる対象は、ヒトであってもヒト以外の動物であってもよい。また、血糖値の作為的な制御が必要とされる疾患、体質、生活習慣等を有していても、有していなくてもよい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、以下の実施例ではニホンコウジカビのW−20株(MA728株とも称する場合がある、株式会社樋口松之介商店より入手)を用いて製造した麹又はその加工品を使用した。
<糖取り込み活性促進成分の精製と同定>
乾燥麹(米麹)16gに純水を30%(w/v)となるように添加し、4℃で一晩撹拌した。これを12000×g、4℃で30分の遠心分離を行い、上清を0.45mmディスクフィルターにて濾過して麹抽出物を得た。次いで、下記の手順で硫安分画を行い、活性画分の粗分画を行った。
乾燥麹(米麹)16gに純水を30%(w/v)となるように添加し、4℃で一晩撹拌した。これを12000×g、4℃で30分の遠心分離を行い、上清を0.45mmディスクフィルターにて濾過して麹抽出物を得た。次いで、下記の手順で硫安分画を行い、活性画分の粗分画を行った。
(1)麹抽出物(約50mL)を、一晩凍結乾燥した。
(2)凍結乾燥物の全量に、氷上にて10mM Tris−HCl(pH7.4)緩衝液を5mL加え、懸濁した。
(3)15mLコニカルチューブに全量を移し、4℃、15000rpmで15分の遠心分離を行った。その後、上清を別のコニカルチューブに移した。
(4)得られた上清に313g/L(50%飽和)となるよう硫酸アンモニウムを添加し、氷上で20分間撹拌後、4℃、14000×gで15分の遠心分離を行った。ここで生じた沈殿を回収し、5mLの10mM Tris−HCl(pH7.4)緩衝液にて懸濁後、176g/L(30%飽和)となるよう硫酸アンモニウムを添加し、氷上で20分間撹拌後、4℃、14000×gで15分の遠心分離を行って得た上清を「フラクション1」とした。
(5)沈殿を回収した際の上清は別のコニカルチューブに移し、214g/L(80%飽和)の硫酸アンモニウムを添加し、氷上で20分間撹拌後、4℃、14000×gで15分の遠心分離を行った。ここで生じた沈殿を回収し、5mLの10mM Tris−HCl(pH7.4)緩衝液にて懸濁後、313g/L(50%飽和)となるよう硫酸アンモニウムを添加し、氷上で20分間撹拌後、4℃、14000×gで15分の遠心分離を行って得た上清を「フラクション2」とした。また、沈殿を回収した際の上清を「フラクション3」とした。
(2)凍結乾燥物の全量に、氷上にて10mM Tris−HCl(pH7.4)緩衝液を5mL加え、懸濁した。
(3)15mLコニカルチューブに全量を移し、4℃、15000rpmで15分の遠心分離を行った。その後、上清を別のコニカルチューブに移した。
(4)得られた上清に313g/L(50%飽和)となるよう硫酸アンモニウムを添加し、氷上で20分間撹拌後、4℃、14000×gで15分の遠心分離を行った。ここで生じた沈殿を回収し、5mLの10mM Tris−HCl(pH7.4)緩衝液にて懸濁後、176g/L(30%飽和)となるよう硫酸アンモニウムを添加し、氷上で20分間撹拌後、4℃、14000×gで15分の遠心分離を行って得た上清を「フラクション1」とした。
(5)沈殿を回収した際の上清は別のコニカルチューブに移し、214g/L(80%飽和)の硫酸アンモニウムを添加し、氷上で20分間撹拌後、4℃、14000×gで15分の遠心分離を行った。ここで生じた沈殿を回収し、5mLの10mM Tris−HCl(pH7.4)緩衝液にて懸濁後、313g/L(50%飽和)となるよう硫酸アンモニウムを添加し、氷上で20分間撹拌後、4℃、14000×gで15分の遠心分離を行って得た上清を「フラクション2」とした。また、沈殿を回収した際の上清を「フラクション3」とした。
得られたフラクション1〜3をゲルろ過スピンカラムで脱塩した後、3T3−L1前脂肪細胞を用いて2DG取り込み活性測定を行った。測定は、既報(Anal Biochem.412:9−17(2011))に従い実施した。また、細胞への糖取り込みを促進する作用があることが知られているインスリンを添加したものをポジティブコントロールとして、何も添加しないものをネガティブコントロールとしてそれぞれ使用した。
測定には、下記の反応液A〜Dを用いた。なお、上記論文では反応液B中のG6PDH濃度が860U/mLであったが、この濃度での使用により反応に不具合が生ずることが判明したため、200U/mLとした。
反応液A:10mM Tris−HCl(pH8.1)、1.8U/mL グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)(Sigma Aldrich社)、2.1U/mL グルコース−6−リン酸イソメラーゼ(Sigma Aldrich社)、2.1mM EDTA、315μM NAD+(オリエンタル酵母工業株式会社)
反応液B:10mM Tris−HCl(pH8.1)、200μM NADP+(Sigma Aldrich社)、40mM EDTA、200U/mL G6PDH
反応液C:10mM Tris−HCl(pH8.1)、20mM グルコース−6−リン酸(G6P)(Sigma Aldrich社)、40μM グルタチオン(酸化型)(Sigma Aldrich社)、4mM EDTA、80U/mL G6PDH、6U/mL グルタチオンンレダクターゼ(Sigma Aldrich社)
反応液D:100mM Tris−HCl(pH8.1)、5mM 5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(Sigma Aldrich社)
反応液B:10mM Tris−HCl(pH8.1)、200μM NADP+(Sigma Aldrich社)、40mM EDTA、200U/mL G6PDH
反応液C:10mM Tris−HCl(pH8.1)、20mM グルコース−6−リン酸(G6P)(Sigma Aldrich社)、40μM グルタチオン(酸化型)(Sigma Aldrich社)、4mM EDTA、80U/mL G6PDH、6U/mL グルタチオンンレダクターゼ(Sigma Aldrich社)
反応液D:100mM Tris−HCl(pH8.1)、5mM 5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(Sigma Aldrich社)
測定に用いる細胞は、下記の手順で調製した。
マウス3T3−L1細胞を一晩無血清のDMEM培地で培養後、KRPH緩衝液(30mM HEPES、1.2mM KH2PO4、1.2mM MgSO4、1.3mM CaCl2、118mM NaCl、5mM KCl、pH7.4)で1回洗浄し、麹抽出液(0.1%又は1%)又はインスリン(最終濃度100nM)を添加したKRPH緩衝液中で30分インキュベートした。次いで、2DG(0.2mM)を添加してさらに20分インキュベートした。20分後に氷冷PBS(−)で2回洗浄し、10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)と0.1% Triton−X 100を添加して細胞を溶解し、回収した。その後、95℃で15分熱処理し、15000×gで15分間の遠心分離を行い、上清を回収した。
マウス3T3−L1細胞を一晩無血清のDMEM培地で培養後、KRPH緩衝液(30mM HEPES、1.2mM KH2PO4、1.2mM MgSO4、1.3mM CaCl2、118mM NaCl、5mM KCl、pH7.4)で1回洗浄し、麹抽出液(0.1%又は1%)又はインスリン(最終濃度100nM)を添加したKRPH緩衝液中で30分インキュベートした。次いで、2DG(0.2mM)を添加してさらに20分インキュベートした。20分後に氷冷PBS(−)で2回洗浄し、10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)と0.1% Triton−X 100を添加して細胞を溶解し、回収した。その後、95℃で15分熱処理し、15000×gで15分間の遠心分離を行い、上清を回収した。
調製した上清を用いて、2DG取り込み活性の測定を下記の手順で実施した。
(1)調製した上清20μLを96ウェル丸底プレートに添加し、ここに55μLの10mM Tris−HCl(pH8.1)を加えた。
(2)反応液Bを加え、38℃で1時間インキュベートした。
(3)5μLの1.5M NaOHを加え、70℃で1時間インキュベートした後、5μLの1.5M HClと50mM Tris−HCl(pH8.1)で中和した。
(4)25μLの反応液Cと20μLの反応液Dを加え、405nmの吸光度を経時的に測定し、その傾きを評価した。
(1)調製した上清20μLを96ウェル丸底プレートに添加し、ここに55μLの10mM Tris−HCl(pH8.1)を加えた。
(2)反応液Bを加え、38℃で1時間インキュベートした。
(3)5μLの1.5M NaOHを加え、70℃で1時間インキュベートした後、5μLの1.5M HClと50mM Tris−HCl(pH8.1)で中和した。
(4)25μLの反応液Cと20μLの反応液Dを加え、405nmの吸光度を経時的に測定し、その傾きを評価した。
2DG取り込み活性の測定結果を、図1に示す。統計検定はDunnett法により行い、有意水準は両側5%とした。データはmean±SDで示す(n=3)。図1に示す結果より、フラクション1〜3のすべてに活性が見られたが、80%飽和硫安の沈殿画分(フラクション2)を用いて疎水性相互作用クロマトグラフィーによる精製を実施した。
疎水性相互作用クロマトグラフィーは、AKTA/Unicorn Ver.4.0(GE Healthcare社)を用いて下記の条件で実施した。
緩衝液A:10mM Tris−HCl(pH7.4)、硫酸アンモニウム(50%飽和)
緩衝液B:10mM Tris−HCl(pH7.4)
流速:1mL/min
溶離条件:サンプルアプリケーション5分間、緩衝液Aでのカラム洗浄3分間、緩衝液A100%、20分間→緩衝液A0%、20分間のグラジエント溶離、緩衝液Bでのカラム洗浄3分間
サンプリング:30サンプル/分
カラム:HiTrap phenyl HP、1mL(GE Healthcare社)
検出:UV215nm、220nm、280nm
緩衝液A:10mM Tris−HCl(pH7.4)、硫酸アンモニウム(50%飽和)
緩衝液B:10mM Tris−HCl(pH7.4)
流速:1mL/min
溶離条件:サンプルアプリケーション5分間、緩衝液Aでのカラム洗浄3分間、緩衝液A100%、20分間→緩衝液A0%、20分間のグラジエント溶離、緩衝液Bでのカラム洗浄3分間
サンプリング:30サンプル/分
カラム:HiTrap phenyl HP、1mL(GE Healthcare社)
検出:UV215nm、220nm、280nm
215nmと220nmはペプチド結合に、280nmは芳香族アミノ酸の側鎖に、それぞれ由来する吸収ピークを示す。なお、一般的には280nmをタンパク質濃度の指標とする。
疎水性相互作用クロマトグラフィーを実施したところ、保持時間18分及び24分付近の280nmの吸収ピークに活性が認められた。その後の検討では、保持時間18分付近の活性には再現が得られなかったため、保持時間24分付近の画分からの活性成分の単離を試みた。
TCA沈殿により、保持時間24分付近の画分の濃縮を下記の手順で実施した。
(1)溶出液450uLに50uL(=10%v/v)のTCA/アセトン溶液を懸濁した。
(2)−20℃で1時間インキュベートした後、15000×gで15分間の遠心分離を行い、ペレットを回収した。
(3)冷却アセトン1mLで3回洗浄した後、ペレットを乾燥してアセトンを完全に除去した。
(4)5%TCA溶液で1回洗浄し、vortexにて撹拌後、15000×gで15分間の遠心分離を行った。上清を除去後、同様にアセトン洗浄を行い、ペレットを回収した。
(5)得られたペレットに1xSDSサンプルバッファーを50uL添加し、95℃で3分間煮沸した。
(6)15000×gで5分間の遠心分離を行い、得られた上清(50uL)を泳動用サンプルとした。
(1)溶出液450uLに50uL(=10%v/v)のTCA/アセトン溶液を懸濁した。
(2)−20℃で1時間インキュベートした後、15000×gで15分間の遠心分離を行い、ペレットを回収した。
(3)冷却アセトン1mLで3回洗浄した後、ペレットを乾燥してアセトンを完全に除去した。
(4)5%TCA溶液で1回洗浄し、vortexにて撹拌後、15000×gで15分間の遠心分離を行った。上清を除去後、同様にアセトン洗浄を行い、ペレットを回収した。
(5)得られたペレットに1xSDSサンプルバッファーを50uL添加し、95℃で3分間煮沸した。
(6)15000×gで5分間の遠心分離を行い、得られた上清(50uL)を泳動用サンプルとした。
得られた泳動用サンプルを用いて、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を下記の手順で実施した。
(1)10%及び15%ポリアクリルアミドゲルを作製し(http://www.assay−protocol.com/molecular−biology/electrophoresis/denaturing−pageを参照)、泳動サンプル10 uLを分子量マーカーと共に定電流23mAで75分泳動した。
(2)泳動終了後、ゲルをEzStain Aqua(アトー株式会社)15mLに浸し、電子レンジで1分間加熱後、シェーカー上で振盪させた。
(3)鮮明なバンドが見られた時点で振盪を止め、MQ水15mLで3回ゲルを洗浄し、撮像を行った。結果を図2に示す。
(1)10%及び15%ポリアクリルアミドゲルを作製し(http://www.assay−protocol.com/molecular−biology/electrophoresis/denaturing−pageを参照)、泳動サンプル10 uLを分子量マーカーと共に定電流23mAで75分泳動した。
(2)泳動終了後、ゲルをEzStain Aqua(アトー株式会社)15mLに浸し、電子レンジで1分間加熱後、シェーカー上で振盪させた。
(3)鮮明なバンドが見られた時点で振盪を止め、MQ水15mLで3回ゲルを洗浄し、撮像を行った。結果を図2に示す。
図2の(A)に示すように10%のゲルに3本、図2の(B)に示すように15%のゲルに3本の合計6本のバンドが確認された。この6本のバンドについて、GENOMINE社にPMF解析を依頼し、活性タンパク質の同定を行った。6本中2本(Band 3及びBand 6)については、MALDI−TOF/MS解析において良好なピークは得られたものの、同定には至らなかったが、残り4本中3本(Band 1、2、4)については、ニホンコウジカビ由来の酵素(α−アミラーゼ)と同定された。解析可能であった4本のうち1本(Band 5)はスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)と同定された。
上記の結果を踏まえ、3T3−L1細胞において、麹菌由来のα−アミラーゼの純品(Sigma Aldrich社)1ug/mLに相当する活性を示した保持時間24分付近の画分(B5/B6)の濃度を1単位(U)/mLとし、2U及び6U相当について上記と同様にSDS−PAGEを実施した。結果を図3に示す。
図3に示すように、B5/B6画分の泳動レーンにおいて、α−アミラーゼの純品で得られた2本のバンドの下方バンドとほぼ同位置にシングルバンドが認められ、活性ベースで考えるとほぼ100%の活性がα−アミラーゼに起因することが示唆された。
<空腹時血糖値の低下作用の確認>
麹菌又は麹菌由来の酵素による空腹時血糖値の低下作用を検証するため、下記の試験を実施した。
麹菌又は麹菌由来の酵素による空腹時血糖値の低下作用を検証するため、下記の試験を実施した。
試験前の空腹時血糖値が110mg/dL未満である被験者(40歳以上)24名を被験食品摂取群(A)12名とプラセボ摂取群(P)12名とに分け、空腹時血糖値の推移を調べた。被験者の属性を下記表1に示す。表中の数値は、平均値±標準偏差を示す。性別の比較にはχ2検定を使用し、その他の項目の比較は2標本t検定を使用した。
試験期間中、各群の被験者は被験食品又はプラセボ食品を、1日1回(15g)食事とともに加熱しない状態で摂取した。被験食品としては米麹を発酵させた塩麹を、プラセボ食品としては塩麹に形状と味を似せた粥状の食品をそれぞれ使用した。被験食品及びプラセボ食品の詳細を下記表2に示す。
試験の開始時と、試験の開始から4週間後、8週間後及び12週間後に、被験者の空腹時血糖値を測定した。(1)試験の開始から4週間後にかけての血糖値の変化量、(2)4週間後から8週間後にかけての血糖値の変化量、及び(3)8週間後から12週間後にかけての血糖値の変化量を、被験食品摂取群とプラセボ群とを比較した2標本t検定のp値とともに表3に示す。
表3に示すように、被験食品摂取群の試験開始後の空腹時血糖値は、試験開始前の空腹時血糖値に比べて有意に低下する傾向が確認された。
Claims (16)
- 空腹時血糖値を低下させるための、麹菌。
- 米麹に含まれる、請求項1に記載の麹菌。
- 前記空腹時血糖値の低下は細胞への糖の取り込みを促進することで行われる、請求項1又は請求項2に記載の麹菌。
- 空腹時血糖値を低下させるための、麹菌由来の酵素。
- 米麹により得られる、請求項4に記載の麹菌由来の酵素。
- 前記空腹時血糖値の低下は細胞への糖の取り込みを促進することで行われる、請求項4又は請求項5に記載の麹菌由来の酵素。
- 麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値低下剤。
- 麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための飲食品。
- 麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための医薬組成物。
- 麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるための食品添加物。
- 麹菌又は麹菌由来の酵素を有効成分として含む、空腹時血糖値を低下させるためのサプリメント。
- 麹から麹菌又は麹菌由来の酵素を含む抽出物を抽出する工程を含む、請求項7に記載の空腹時血糖値低下剤の製造方法。
- 麹菌又は麹菌由来の酵素を飲食品又は飲食品の原料に添加して混合する工程を含む、請求項8に記載の飲食品の製造方法。
- 麹菌又は麹菌由来の酵素と、添加剤又は薬学的に許容可能な担体とを混合する工程を含む、請求項9に記載の医薬組成物の製造方法。
- 麹菌又は麹菌由来の酵素と、食品用添加物用の他の成分とを混合する工程を含む、請求項10に記載の食品添加物の製造方法。
- 麹菌又は麹菌由来の酵素と、サプリメント用の他の成分とを混合する工程を含む、請求項11に記載のサプリメントの製造方法。
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