以下、図面に基づいて、実施形態における車両用充電口について説明する。以下に示す実施形態において、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して、重複した説明は繰り返さない。
図1は、実施形態における車両用充電口1の外観を示す模式図である。車両用充電口1は、電気自動車またはプラグインハイブリッド車などの、電動車両に搭載されている。車両用充電口1は、AC(交流)インレットカバー14と、DC(直流)インレットカバー24とを備えている。充電インレットを覆うカバーが、ACインレットカバー14とDCインレットカバー24とに分割されている。
ACインレットカバー14は、ヒンジ部18を回転中心として両方向に回転可能に構成されている。ACインレットカバー14は、ヒンジ式に開閉可能に構成されている。DCインレットカバー24は、ヒンジ部28を回転中心として両方向に回転可能に構成されている。DCインレットカバー24は、ヒンジ式に開閉可能に構成されている。図1に示されるACインレットカバー14とDCインレットカバー24とは、いずれも閉じられている。
図2は、図1に示すACインレットカバー14を開いた状態の車両用充電口1を示す模式図である。図1と図2とを比較して、ACインレットカバー14がヒンジ部18を中心として回転することにより、ACインレットカバー14が開かれ、ACインレット10が露出している。この状態で、ACインレット10への外部からのアクセスが可能になり、ACインレット10への充電コネクタの接続が可能になる。
図1では、ACインレット10はACインレットカバー14によって覆われているため外部から視認不能であり、したがって図示されていない。ACインレットカバー14に覆われた状態のACインレット10は、外部に露出しておらず、したがってACインレット10の防水および防塵機能が達成されるとともに、外部からのACインレット10へのアクセスができなくされている。
図3は、図1に示すACインレットカバー14およびDCインレットカバー24を開いた状態の車両用充電口1を示す模式図である。図1および図2と図3とを比較して、DCインレットカバー24がヒンジ部28を中心として回転することにより、DCインレットカバー24が開かれ、DCインレット20が露出している。この状態で、DCインレット20への外部からのアクセスが可能になり、DCインレット20への充電コネクタの接続が可能になる。
図1および図2では、DCインレット20はDCインレットカバー24によって覆われているため外部から視認不能であり、したがって図示されていない。DCインレットカバー24に覆われた状態のDCインレット20は、外部に露出しておらず、したがってDCインレット20の防水および防塵機能が達成されるとともに、外部からのDCインレット20へのアクセスができなくされている。
車両用充電口1は、充電インレットを含んでいる。充電インレットは、AC充電用のACインレット10と、DC充電用のDCインレット20とを含んでいる。ACインレット10とDCインレット20とは、互いに隣り合って配置されている。ACインレット10がDCインレット20の上隣に配置されており、DCインレット20がACインレット10の下隣に配置されている。ACインレット10とDCインレット20とは、1つのユニットとして設けられている。充電インレットは、AC充電機能とDC充電機能とが一体となったCCS(Combined Charging System)方式に適合したものである。
ACインレットカバー14は、閉じられた状態においてACインレット10を覆う。DCインレットカバー24は、閉じられた状態においてDCインレット20を覆う。ACインレットカバー14はDCインレット20の上方に配置されており、DCインレット20はACインレットカバー14によっては覆われない。DCインレットカバー24はACインレット10の下方に配置されており、ACインレット10はDCインレットカバー24によっては覆われない。
図4は、図1に示すIV−IV線に沿う車両用充電口1の断面図である。なお図1には、図4中に示す矢印I方向から見た車両用充電口1が図示されている。図4に示される車両用充電口1においては、図1と同様に、ACインレットカバー14とDCインレットカバー24とは、いずれも閉じられている。閉じられた状態のACインレットカバー14の表面(外面)と、閉じられた状態のDCインレットカバー24の表面(外面)とは、略同一平面上に配置されている。
ACインレット10には、ロックピン12が設けられている。DCインレット20には、ロックピン22が設けられている。ロックピン12,22は、その長手方向に往復移動可能に構成されている。ロックピン12,22は、図4中の上下方向に往復移動可能である。ロックピン12,22は、図示しないロックアクチュエータからの駆動力を受けて、往復移動する。
ACインレットカバー14の裏面には、嵌合部16が設けられている(図2,3も併せて参照)。ACインレットカバー14が閉じられた状態で、嵌合部16は充電インレットの内部へ向けて突出している。図4に示される嵌合部16は、ACインレット10に嵌め合わされている。
DCインレットカバー24の裏面には、嵌合部26が設けられている(図3も併せて参照)。DCインレットカバー24が閉じられた状態で、嵌合部26は充電インレットの内部へ向けて突出している。図4に示される嵌合部26は、DCインレット20に嵌め合わされている。
ACインレットカバー14は、その下縁に、係合部15を有している。ACインレットカバー14の本体部分の下縁部に下向きに開口する凹部が形成され、これにより係合部15が形成されている。係合部15は、ACインレットカバー14の一部が下向きに突起した突起形状を有している。係合部15は、ACインレットカバー14の本体部分が下向きに拡径したフランジ形状を有している。
DCインレットカバー24は、その上縁に、係合部25を有している。係合部25は、DCインレットカバー24の本体部分から上方に突起するリブ状に形成されている。係合部25は、DCインレットカバー24の一部が上向きに突起した突起形状を有している。係合部25は、DCインレットカバー24の本体部分が上向きに拡径したフランジ形状を有している。
係合部15と係合部25とは、互いに向き合っている。係合部15は、DCインレットカバー14の本体部分にも対向している。係合部25は、ACインレットカバー14の本体部分にも対向している。
ACインレットカバー14とDCインレットカバー24との両方が閉じられた状態で、係合部15と係合部25とは、互いに重なっている。係合部15と係合部25とは、その厚み方向に並んで配置されている。係合部15と係合部25とは、ACインレットカバー14の係合部15が外側に配置され、DCインレットカバー24の係合部25が内側に配置されるように、重なって配置されている。
ACインレットカバー14とDCインレットカバー24とは、その両方が閉じられた状態で、一部が重なっている。ACインレットカバー14とDCインレットカバー24とが両方とも閉じているときに、ACインレットカバー14がDCインレットカバー24を覆っている。
図2に示されるように、DCインレットカバー24が閉じられた状態で、ACインレットカバー14を開くことが可能である。一方、閉じられた状態のACインレットカバー14がDCインレットカバー24の開閉を妨げることから、DCインレットカバー24のみを開くことはできない。DCインレットカバー24を開くためには、図3に示されるように、ACインレットカバー14とDCインレットカバー24との両方を開くことになる。つまり、ACインレットカバー14が開かない限り、DCインレットカバー24も開かないことになる。
図5は、AC充電コネクタ30の外観を示す模式図である。AC充電コネクタ30は、AC充電時にACインレット10に接続される。AC充電コネクタ30は、AC充電コネクタ30を取り扱う取扱者が手で把持する持ち手部分31を有している。
AC充電コネクタ30は、先端部分32を有している。先端部分32は、AC充電コネクタ30をACインレット10に接続するとき、ACインレット10に差し込まれてACインレット10と結合する部分である。先端部分32には、ロック穴34が形成されている。
AC充電コネクタ30は、フランジ部35を有している。フランジ部35は、先端部分32から拡径している。フランジ部35は、先端部分32に向くフランジ面36を有している。フランジ面36は、先端部分32よりも大径である。
図6は、AC充電コネクタ30がACインレット10に接続された状態を示す模式図である。図6では、図2と同様に、ACインレットカバー14が開かれており、一方DCインレットカバー24は閉じられている。ACインレットカバー14は、明確化のために図6では図示を省略されている。
AC充電のときは、ACインレットカバー14のみを開いて、ACインレット10にAC充電コネクタ30を接続して、充電する。ロックピン12が、AC充電コネクタ30の先端部分32に形成されたロック穴34に挿通されている。これにより、AC充電コネクタ30がロックされ、AC充電コネクタ30がACインレット10から抜けない構成とされている。
AC充電コネクタ30がACインレット10に接続され、AC充電コネクタ30の先端部分32がACインレット10に差し込まれているとき、DCインレットカバー24、より特定的には係合部25が、AC充電コネクタ30のフランジ面36と充電インレットとの間に挟まれている。係合部25は、フランジ面36と充電インレットとの隙間内に収容されている。
このときフランジ面36(フランジ部35)は、係合部25の自在な移動を妨げている。ACインレット10に差し込まれたAC充電コネクタ30の一部を構成するフランジ面36が、DCインレットカバー24のヒンジ部28まわりの回転移動を妨げている。これにより、DCインレットカバー24は自在に開閉できなくされている。すなわち、図6に示されるDCインレットカバー24が閉じられた状態から、DCインレットカバー24を開くことができなくされている。
ACインレット10にAC充電コネクタ30が接続されているがDCインレット20には充電コネクタが接続されていない状態で、閉状態のDCインレットカバー24が開かない構成とすることにより、AC充電中にDCインレット10へのアクセスを防止することができる。したがって、DCインレット10内への異物の侵入などの不具合を確実に抑制することができる。AC充電コネクタ30をACインレット10に接続することでDCインレットカバー24を動かなくする機能が達成され、DCインレットカバー24を開かなくするために追加の構成は必要ないため、簡単な構成でDCインレット10へのアクセス防止を実現することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。