JP2020125426A - 超高分子量エチレン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
近年、電気自動車(EV)の普及が加速する可能性が高まってきており、バッテリー及びバッテリー部材の生産効率の改善や、安価な製造方法の確立が更に求められている。
本発明者らが検討した結果、この様なファウリングが生じるケースは、主として、供給する原料ガスの組成(エチレンガス含有率)が、反応器中の気相部のそれに比して、エチレン濃度がかなり高い場合が多いことが判明した。
「生産性を高める目的等で、触媒濃度を高めたり、エチレン濃度(分圧等)を高めたりする等の操作を行う場合に特に顕著になろうが、反応器に導入したエチレンが十分に反応系で均一に拡散する前に、原料ガスの供給口付近で重合反応が過剰に起こってしまう。このような現象は、スケールが大きくなるほどガスの拡散に時間を要すると考えられるので、顕著になるであろう。エチレンの重合は、相対的に発生する反応のエンタルピー(重合熱に相当)が高く、重合器の冷却状態によっては生成するエチレン重合体が十分に冷却できず、半溶融状態/あるいは溶融状態となり、凝集による粗粒を形成したり、重合装置の内壁付着が生じたりする可能性が高まるのであろう。
通常の分子量レベルのエチレン重合体の製造の場合、上記のような現象が起こっても、粒子の凝集力や内壁への付着力が相対的に低い為、ファウリングが顕在化し難かったと考えればつじつまが合う。」
よって、本発明が解決しようとする課題は、上述した背景技術の種々の問題点に鑑み、特に原料ガス供給部のファウリングを抑制し、長期安定的に超高分子量ポリエチレンを連続重合法で生産を可能とする方法を提供することにある。
(I)遷移金属化合物と有機金属化合物との存在下、エチレンと、(A)水素、窒素、周期律表の18族元素及び飽和炭化水素ガスからなる群から選ばれるガス〔(A)ガス〕とが、50/50〜97/3のモル比で含まれるガスを供給する工程を有する、
(II)エチレン系重合体の極限粘度[η]が4.5dl/g以上、20dl/g以下である。
(2) 液相部と気相部とを有する反応装置にて超高分子量エチレン系重合体の製造を行い、前記供給するエチレンと前記(A)ガスとのモル比と、
前記気相部のエチレンと前記(A)ガスとのモル比との差が、5〜50であることを特徴とする(1)に記載の超高分子量エチレン系重合体の製造方法。
(3) 前記、供給するエチレンと(A)ガスが、前記液相中、又は液相近傍に供給されることを特徴とする(2)に記載の超高分子量エチレン系重合体の製造方法。
(I)遷移金属化合物と有機金属化合物との存在下、エチレンと、(A)水素、窒素、周期律表の18族元素及び飽和炭化水素ガスからなる群から選ばれるガス〔(A)ガス〕とが、50/50〜97/3のモル比で含まれるガスを供給する工程を有する、
(II)エチレン系重合体の極限粘度[η]が4.5dl/g以上、20dl/g以下である。
本発明者は、本発明の製造方法により、特に連続重合において、長期安定的に超高分子量エチレン系重合体を製造することができる理由を以下のように考えている。
従来、超高分子量エチレン系重合体を製造するプロセスにおいては、その重合条件により、例えば反応器内のガス組成と、供給するガス組成とが大きく異なる条件で安定する場合や、前記、両ガス組成の差が少ない条件で安定する場合等、様々である。特に連続重合プロセスにおいては、未反応ガスを循環させて再利用する方法を用いる場合と用いない場合で、反応器内のガス組成と、供給するガス組成との差は大きく異なる場合がある。また再利用する条件によってもその差は影響を受ける。
即ち、前述の要件(I)及び(II)を設定することにより、超高分子量エチレン系重合体の長期安定的な製造の妨げとなるファウリングは起こり難くなり、前述の本発明の効果が奏される。
(α−オレフィン)
本発明において、エチレンと共重合しても良いα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン等の炭素数3〜20の直鎖状又は分岐状のα−オレフィンを例示することができる。α−オレフィンとしては、炭素数3〜10の直鎖状又は分岐状のα−オレフィンが好ましく、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンがより好ましく、得られる共重合体を用いた潤滑油の剪断安定性の点からプロピレンが最も好ましい。これらのα−オレフィンは1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明においては、エチレンとα−オレフィンに加えて、他の共重合可能なオレフィン性モノマーを用いて、共重合をおこなってもよい。該オレフィン性モノマーとしては、ポリエン、ビニル芳香族化合物、ビニル脂環式化合物、環状オレフィン等を挙げることができる。
ビニル芳香族化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等を挙げることがでる。また、ビニル脂環式化合物としては、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、ビニルシクロオクタン等を挙げることができる。環状オレフィンとしては、シクロヘキセン、2−ノルボルネン等を挙げることができる。
(A)ガスは、水素、窒素、周期律表の18族元素及び飽和炭化水素ガスからなる群から選ばれる。水素は、オレフィンの重合反応では連鎖移動剤である。また、窒素、周期律表の18元素及び飽和炭化水素は、所謂、オレフィンの重合反応においては不活性ガスや溶媒としての例が知られている。前記の周期律表の18族元素の中では、ネオン、アルゴンが好ましい例として挙げることが出来る。また飽和化水素ガスとしては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等の炭素原子数1〜6の飽和炭化水素を挙げることが出来るが、前記の通り、高圧時においてもガス状であることが好ましい。このため、飽和炭化水素ガスのより好ましい具体例は、メタン、エタン、プロパンであり、より一層好ましくはメタンとエタンである。
但し、反応に使用されない(A)ガスは、連続重合重合プロセスなどでガスを循環(リサイクル)させながら利用すると、反応系中に経時的に蓄積してエチレンの含有率、分圧を必要以上に下げる場合が有る。このような場合は、ガスパージ等の操作で、(A)ガス濃度を下げる工程を併用することが必要な場合もある。
これらの(A)ガスの中でも、主として生産性の点から、水素が好ましく用いられる。
本発明では、オレフィン重合用触媒としては、遷移金属化合物と有機金属化合物とを組み合わせた触媒を用いることができる。このような触媒としては、例えば、国際公開2008/013144号パンフレットに記載の触媒、具体的には、
[A]マグネシウム、ハロゲン、チタンを含む固体状チタン触媒成分及び
[B]周期表の第1族、第2族及び第13族から選ばれる金属元素を含む有機金属化合物触媒成分、を含むオレフィン重合用触媒が挙げられる。これらの触媒の例を以下に詳しく述べる。
上記のチタン、マグネシウム、ハロゲンを含む固体状チタン触媒成分[A]は、前述の特許文献1、特許文献2の他、特開昭56−811号公報、特開昭57−63310号公報、特開昭58−83006号公報、特開平3−706号公報、特開平2−255810号公報、特開平4−218509号公報等に記載されている固体状チタン触媒成分を例示することが出来る。このような固体状チタン触媒成分は、下記のようなマグネシウム化合物、チタン化合物や必要に応じて電子供与体を接触させて得ることが出来る。
マグネシウム化合物としては、具体的には、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム;
メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、フェノキシ塩化マグネシウム等のアルコキシマグネシウムハライド;
エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム;
フェノキシマグネシウム等のアリーロキシマグネシウム;
ステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩
等の公知のマグネシウム化合物を挙げることができる。
チタン化合物としては、たとえば一般式(1);
Ti(OR)gX4−g (1)
(一般式(1)中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、gは0≦g≦4である。)で示される4価のチタン化合物を挙げることができる。より具体的には、
TiCl4、TiBr4等のテトラハロゲン化チタン;
Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC2H5)Cl3、Ti(O−n−C4H9)Cl3、Ti(OC2H5)Br3、Ti(O−isoC4H9)Br3等のトリハロゲン化アルコキシチタン;
Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC2H5)2Cl2等のジハロゲン化アルコキシチタン;
Ti(OCH3)3Cl、Ti(O−n−C4H9)3Cl、Ti(OC2H5)3Br等のモノハロゲン化アルコキシチタン;
Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(OC4H9)4、Ti(O−2−エチルヘキシル)4等のテトラアルコキシチタン
等を挙げることができる。
これらの中で好ましいものは、テトラハロゲン化チタンであり、特に四塩化チタンが好ましい。これらのチタン化合物は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の固体状チタン触媒成分[A]は、公知の電子供与体やその置換体が含まれていても良い。電子供与体の好ましい例としては、芳香族カルボン酸エステル、脂環族カルボン酸エステル、複数の炭素原子を介して2個以上のエーテル結合を有する化合物、即ちポリエーテル化合物から選ばれる電子供与体(a)が挙げられる。
この様な芳香族カルボン酸エステルとしては、具体的には安息香酸エステル類、トルイル酸エステル等の芳香族カルボン酸モノエステルの他、フタル酸エステル類等の芳香族多価カルボン酸エステルが挙げられる。これらの中でも芳香族モノカルボン酸エステルが好ましく、具体的には安息香酸エチル、安息香酸イソブチル、安息香酸へキシル。p-トルイル酸メチル、p-トルイル酸エチルなどが挙げられる。
2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、
2−メチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、
2−シクロヘキシル−2−メチル−1,3−ジメトキシプロパン、
2−イソブチル−2−メチル−1,3−ジメトキシプロパン、
2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、
2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、
2,2−ジイソブチル−1,3−ジエトキシプロパン、
2,2−ジイソブチル−1,3−ジブトキシプロパン、
2,2−ジ−sec−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、
2,2−ジネオペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、
2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、
2−イソペンチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、
2−シクロヘキシル−2−シクロヘキシルメチル−1,3−ジメトキシプロパン、
2−メチル−2−n−プロピル−1,3−ジエトキシプロパン、
2,−2−ジエチル−1,3−ジエトキシプロパン
等の2置換ジアルコキシプロパン類
2−メトキシメチル−2−メチル−1,3−ジメトキシプロパン、
2−シクロヘキシル−2−エトキシメチル−1,3−ジエトキシプロパン、
2−シクロヘキシル−2−メトキシメチル−1,3−ジメトキシプロパン
等のトリアルコキシアルカン類、
2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシ−シクロヘキサン、
2−イソアミル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシシクロヘキサン、
2−シクロヘキシル−2−メトキシメチル−1,3−ジメトキシシクロヘキサン、
2−イソプロピル−2−メトキシメチル−1,3−ジメトキシシクロヘキサン、
2−イソブチル−2−メトキシメチル−1,3−ジメトキシシクロヘキサン、
2−シクロヘキシル−2−エトキシメチル−1,3−ジメトキシシクロヘキサン、
2−エトキシメチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシシクロヘキサン、
2−イソブチル−2−エトキシメチル−1,3−ジメトキシシクロヘキサン
等のジアルコキシシクロアルカン
等を例示することができる。
脂環族カルボン酸エステル化合物としては、下記一般式(3)で表される。
環状骨格中の炭素原子間結合は、すべてが単結合であることが好ましいが、環状骨格中のCa−Ca結合以外のいずれかの単結合は、二重結合に置き換えられていてもよい。
このような環の骨格としては、ノルボルナン骨格、テトラシクロドデセン骨格等が挙げられる。
3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸エステル、
3−メチル−6−プロピルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸エステル
シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸エステル
等が挙げられる。
(P−1)マグネシウム化合物及びアルコール等の電子供与体からなる固体状付加物と、電子供与体(a)と、液状状態チタン化合物とを、不活性炭化水素溶媒共存下、懸濁状態で接触させる方法。
(P−2)マグネシウム化合物及びアルコール等の電子供与体からなる固体状付加物と、電子供与体(a)と、液状状態のチタン化合物とを、複数回に分けて接触させる方法。
(P−3)マグネシウム化合物及びアルコール等の電子供与体からなる固体状付加物と、電子供与体(a)と、液状状態のチタン化合物とを、不活性炭化水素溶媒共存下、懸濁状態で接触させ、且つ複数回に分けて接触させる方法。
(P−4)マグネシウム化合物及びアルコール等の電子供与体からなる液状状態のマグネシウム化合物と、液状状態のチタン化合物と、電子供与体(a)とを接触させる方法。
電子供与体(a)/チタン(モル比)(すなわち、芳香族カルボン酸エステル、脂環族カルボン酸エステル、ポリエーテル化合物から選ばれる電子供与体のモル数/チタン原子のモル数)は、0〜100、好ましくは0.2〜10であることが望ましい。
前述のオレフィン重合用触媒は、
上記の本発明に係る固体状チタン触媒成分[A]と、
周期表の第1族、第2族及び第13族から選ばれる金属元素を含む有機金属化合物触媒成分[B]とを含むことを特徴としている。
有機金属化合物触媒成分[B]としては、第13族金属を含む化合物、たとえば、有機アルミニウム化合物、第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、第2族金属の有機金属化合物等を用いることができる。これらの中でも有機アルミニウム化合物が好ましい。
Ra nAlX3−n (4)
(一般式(4)中、Raは炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲン又は水素であり、nは1≦n≦3である)で示される有機アルミニウム化合物を例示することができる。上記一般式(4)において、Raは炭素原子数1〜12の炭化水素基、たとえばアルキル基、シクロアルキル基又はアリ−ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基等である。この中でもn=3のトリアルキルアルミニウム、特に、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が好ましい。これらの化合物は、2種以上混合して用いることもできる。
また、オレフィン重合用触媒は、上記の有機金属化合物触媒成分[B]と共に、必要に応じて公知の触媒成分[C]を含んでいてもよい。触媒成分[C]として好ましくは、有機ケイ素化合物が挙げられる。この有機ケイ素化合物としては、たとえば以下の一般式(5)で表される化合物を例示できる。
RnSi(OR’)4−n (5)
Si(ORa)3(NRbRc) (6)
ジメチルアミノトリエトキシシラン、
ジエチルアミノトリエトキシシラン、
ジエチルアミノトリメトキシシラン、
ジエチルアミノトリエトキシシラン、
ジエチルアミノトリn−プロポキシシラン、
ジn−プロピルアミノトリエトキシシラン、
メチルn−プロピルアミノトリエトキシシラン、
t−ブチルアミノトリエトキシシラン、
エチルn−プロピルアミノトリエトキシシラン、
エチルiso−プロピルアミノトリエトキシシラン、
メチルエチルアミノトリエトキシシラン
が挙げられる。
本発明では、重合反応は、通常、炭化水素媒体中で実施される。このような炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ガソリン、灯油、軽油等の石油留分等を挙げることができる。さらに、重合に用いるオレフィンを用いることもできる。
本発明において、エチレン単独又はエチレンと前記のα−オレフィン及び/又は他のオレフィンとを(共)重合させてなる超高分子量エチレン系重合体の製造は、前記の遷移金属化合物と前記の有機金属化合物との存在下に、エチレン単独又はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを前記の要件(I)及び(II)を満たす条件で(共)重合することによって実施する以外は、従来公知の超高分子量エチレン系重合体の製造方法と同様の方法を適宜採用可能である。以下、各条件等について説明する。
本発明の重合形態は、バルク重合法、溶解重合、懸濁重合等の液相重合法あるいは気相重合法のいずれにおいても実施できる。
本発明において、超高分子量エチレン系重合体を製造する際の好ましい重合温度は−20〜200℃、より好ましくは0〜150℃、特に好ましくは20〜100℃である。
前述の触媒の種類に影響を受けることもあるが、この様な範囲の温度であれば、高い重合活性で、所望の超高分子量エチレン系重合体を生産することが出来る傾向がある。
本発明において、超高分子量エチレン系重合体を製造する際の重合圧力(P)は、0.1〜10MPaが好ましく、より好ましくは0.2〜5Mpa、特に好ましくは0.3〜2Mpaである。
この様な範囲の重合圧力であれば、高い重合活性で、所望の超高分子量エチレン系共重合体を生産することが出来る傾向がある。
(原料の供給について)
前記固体状チタン触媒成分[A]は、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は0.0001ミリモル〜0.5ミリモル、好ましくは0.005ミリモル〜0.1ミリモルの量で用いられる。また、前記有機金属化合物触媒成分[B]は、重合系中の予備重合触媒成分中のチタン原子1モルに対し、通常1モル〜2000モル、好ましくは5モル〜500モルとなるような量で用いられる。前記触媒成分[C]を使用する場合は、前記有機金属化合物触媒成分[B]に対して、0.001モル〜50モル、好ましくは0.01モル〜30モル、特に好ましくは0.05モル〜20モルの量で用いられる。但し、前述の触媒の各成分の使用量は、同文献でいう予備重合を除く本重合の場合の使用量であり、予備重合等を行なう場合の触媒の使用量等の各条件については、同文献に記載の通りである。
以上説明した超高分子量エチレン系重合体の製造は、例えば、図1に示される反応装置にて行なわれる。
図1で示される反応装置は、液相部(液相)と気相部(気相)とを有し、反応器内に、撹拌翼を有する回転可能な撹拌軸が備えられている反応装置である。また図1の反応装置は、未反応のガスを循環させて再利用するラインが設けられており、原料ガスは、この未反応のガスの全部又は一部と共に、反応装置に供給される。
これらのガスは、前述した循環ガスとして前述のオレフィンと共に反応装置に導入される。その方法は一般的にはフランジ部分に設けた供給口から直接導入する方法が挙げられるが、図1の反応装置のように溶液重合や懸濁重合の様な液相重合であれば、液相部の他、気相部に導入することが出来る。この場合、図1に示すように、液相部の近傍に供給口を配置することが好ましい。近傍とは、反応装置の大きさにもよるが、通常は、液相部から50cm以内、より好ましくは30cm以内であることが好ましい。また、前記のガスは、導入管を経由して反応系内の液相部に直接導入することも好ましい態様の一つである。このような場合、導入口近くに粒子の付着が起こり始めたとしても。液流や、懸濁粒子の流れが付着物に衝突して、付着を阻害する効果が期待できる。
本発明の超高分子量エチレン系重合体の製造方法で得られる超高分子量エチレン系重合体は、エチレンの単独重合体、又はエチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンもしくは3−メチル−1−ペンテン等の炭素原子数3〜10のα−オレフィンから選ばれる1種以上のα−オレフィンとの共重合体からなる。
本発明の方法で得られる超高分子量ポリエチレンはフィルムに成形できる。具体的には、プレス成形法、押出成形法、インフレーション法、カレンダー法等の公知の方法でフィルム成形することにより製造できる。超高分子量ポリエチレンは、そのまま利用することも出来るし、公知の溶媒を用いてゲル状態にしてから成型することも可能である。このような成形は公知の方法を制限なく用いることが出来る。
本発明の方法で得られる超高分子量ポリエチレンは微多孔膜に成型することが出来る、前記微多孔膜は、公知の方法で製造することが出来る。具体的には、下記のような方法を挙げることが出来る。
b)ポリオレフィン組成物をダイより押し出し、冷却してゲル状シートを形成する工程、
c)延伸・可塑剤除去工程
d)得られた膜を乾燥、熱処理する工程
以下、各工程について説明する。
前記ポリオレフィン樹脂組成物及び可塑剤を溶融混練し、微多孔膜用、特にバッテリーセパレータ用に好適なポリオレフィン組成物を調製する。
溶融混練したポリオレフィン組成物を直接に又は別の押出機を介して、或いは一旦冷却してペレット化した後再度押出機を介してダイから押し出す。ダイとしては、通常はシート用ダイを用いるが、二重円筒状の中空状ダイ、インフレーションダイ等も用いることができる。この押し出し時の溶融温度は通常、140〜280℃である。
次いで、得られたシートを延伸した後液体溶剤を抽出して除去するか、シートから液体溶剤を抽出して除去した後延伸するか、又はシートを延伸した後液体溶剤を抽出して除去しさらに延伸する。なお、シートとしては、ゲル状のものが好ましい。
延伸及び可塑剤除去により得られた膜を、加熱乾燥法又は風乾法等により乾燥することができる。乾燥温度は、超高分子量エチレン重合体(A)の結晶分散温度以下の温度であるのが好ましく、特に結晶分散温度より5℃以上低い温度であるのが好ましい。
温度制御のできるジャケットを付した内容積155リットルの攪拌機付耐圧反応器に、未反応ガス等を循環するライン(熱交換器、回収ガスを循環させるコンプレッサー及びバルブを具備)、溶媒フィードライン、原料ガスのフィードライン、触媒のフィードライン、及び内容物抜出ラインを付した装置を用いて、エチレンと水素とを、公知のMg化合物担持固体状チタン触媒(WO2008/013144の比較例1に記載の触媒)を用いて、未反応ガス(エチレン、水素)を循環利用させながら下記条件で定常状態となる様にエチレンの連続重合を行った。その結果、極限粘度[η]が約5dl/gの超高分子量エチレン重合体を得た。なお、超高分子量エチレン重合体の極限粘度[η]は、ASTM D4020に準じて、135℃のデカリン中で測定した極限粘度を[η]とした。
・重合温度:75℃
・各成分の供給速度
ヘキサン:36.5リットル/時間
触媒(WO2008/013144の比較例1と同様の成分):チタン原子として0.9mmol/時間
トリイソブチルアルミニウム:11.25mmol/時間
エチレン:8.8kg/時間
水素:60NL/時間
圧力:0.50MPa
抜出量:44.3リットル/時間
その際のガス組成は以下の通りとなった。
(ガス組成)
水素/エチレン比:0.17m.r.(気相部)
エチレン/水素比:5.88m.r.(気相部)
水素/エチレン比:0.10m.r.(フィードライン)
エチレン/水素比:10.1m.r.(フィードライン)
エチレン濃度:91.0mol%(フィードライン)
循環ラインのバルブを閉め、下記の条件で運転して極限粘度[η]が約5dl/gの超高分子量エチレン重合体を得た以外は、実施例1と同様にしてエチレンの連続重合を行った。結果として、エチレンフィードライン付近に塊の付着が顕著な傾向があった。
・重合温度:75℃
・各成分の供給速度
ヘキサン:36.5リットル/時間
触媒(WO2008/013144の実施例1と同様の成分):0.9mmol/時間
トリイソブチルアルミニウム:11.25mmol/時間
エチレン:8.8kg/時間
水素:60NL/時間
圧力:0.50MPa
抜出量:44.3リットル/時間
その際のガス組成は以下の通りとなった。
(ガス組成)
水素/エチレン比:0.17m.r.(気相部)
エチレン/水素比:5.88m.r.(気相部)
水素/エチレン比:0.005m.r.(フィードライン)
エチレン/水素比:200m.r.(フィードライン)
エチレン濃度:99.5mol%(フィードライン)
以上より、本発明の超高分子量ポリエチレンの製造方法によれば、連続重合時のファウリング起因のトラブルによる運転停止が起こり難いと考えられる。
Claims (3)
- 遷移金属化合物と有機金属化合物との存在下に、エチレン単独又はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを以下の要件(I)及び(II)を満たす条件で重合することを特徴とする超高分子量エチレン系重合体の製造方法、
(I)遷移金属化合物と有機金属化合物との存在下、エチレンと、(A)水素、窒素、周期律表の18族元素及び飽和炭化水素ガスからなる群から選ばれるガス〔(A)ガス〕とが、50/50〜97/3のモル比で含まれるガスを供給する工程を有する、
(II)エチレン系重合体の極限粘度[η]が4.5dl/g以上、20dl/g以下である。 - 液相部と気相部とを有する反応装置にて超高分子量エチレン系重合体の製造を行い、前記供給する前記(A)ガスとエチレンとのモル比と、
前記気相部の前記(A)ガスとエチレンとのモル比との差が、
0.01〜0.120であることを特徴とする請求項1に記載の超高分子量エチレン系重合体の製造方法。 - 前記、供給するエチレンと(A)ガスが、前記液相中、又は液相近傍に供給されることを特徴とする請求項2に記載の超高分子量エチレン系重合体の製造方法。
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