JP2020122502A - 車輪用軸受装置および車輪用軸受装置の製造方法 - Google Patents

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Shigeaki Fukushima
茂明 福島
奈都子 永井
Natsuko Nagai
奈都子 永井
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Abstract

【課題】直進時の振動を抑制するとともに軸受寿命を向上させることができる車輪用軸受装置および車輪用軸受装置の製造方法を提供する。【解決手段】内周に複列の外側軌道面2c・2dが形成された外輪2と、外周面に、複列の外側軌道面2c・2dに対向する複列の内側軌道面3c・4aが形成されたハブ輪3および内輪4と、外輪2とハブ輪3および内輪4との両軌道面間に転動自在に収容された複列のボール列5・6と、を有する車輪用軸受装置1であって、複列の外側軌道面2c・2dの少なくとも一つ、または複列の内側軌道面3c・4aの少なくとも一つが、無負荷の状態で、車体に取り付けられる姿勢において重力Gが加わる方向の直径よりも重力が加わる方向に垂直な方向の直径が大きい。【選択図】図2

Description

本発明は車輪用軸受装置および車輪用軸受装置の製造方法に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置は、車輪に接続される内方部材であるハブ輪が転動体を介して車体に固定されている外方部材に回転自在に支持されている内輪回転方式と、車輪に接続される外方部材である外輪が転動体を介して車体に固定されている内方部材に回転自在に支持されている外輪回転方式のものがある。
このような車輪用軸受装置は、車両の走行状態において、車輪からの外力によって固定側の部材が弾性変形し、転動体の軌道面の真円度が劣化してしまう場合があった。車輪用軸受装置は、軌道面の真円度が劣化するほど軸受寿命が低下することが知られている。そこで、このような課題を解決するために、例えば、特許文献1に記載の車輪用軸受装置がある。
特開2015−190557号公報
特許文献1に記載の内輪回転方式の車輪用軸受装置は、外方部材の外周面の数か所をチャックによって固定し、外側軌道面の形状を水平方向に短径、垂直方向に長径となる楕円形状に弾性変形させた状態で研削加工が施されている。このように加工された車輪用軸受装置は、車両の旋回時に加わる旋回荷重によって外方部材が弾性変形することで外側軌道面が適正な真円度の形状になり、良好な旋回走行状態を維持することができる。しかし、車輪用軸受装置では、旋回荷重が加わる時間的割合よりも直進・停止状態の荷重が加わる時間的割合が多い。また、外方部材の数か所をチャックで固定した状態で加工するだけでは、荷重が加わった際の軌道面の真円度を精度よく所望の状態にすることが難しい。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、直進時の振動を抑制するとともに軸受寿命を向上させることができる車輪用軸受装置および車輪用軸受装置の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、第一の発明は、複列の静止側軌道面が形成された静止輪と、前記複列の静止側軌道面に対向する複列の回転側軌道面が形成された回転輪と、前記静止輪と前記回転輪との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を有する車輪用軸受装置であって、前記複列の静止側軌道面の少なくとも一つが、車体に取り付けられる姿勢において重力が加わる方向の直径よりも、重力が加わる方向に垂直な方向の直径が大きい車輪用軸受装置である。
第二の発明は、前記静止側軌道面は、車両が停止または直進している際の弾性変形によって真円度が小さくなる形状である車輪用軸受装置である。
第三の発明は、複列の静止側軌道面が形成された静止輪と、前記複列の静止側軌道面に対向する複列の回転側軌道面が形成された回転輪と、前記静止輪と前記回転輪との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を有する車輪用軸受装置の製造方法であって、前記静止輪が車体に取り付けられた状態で車両が停止または直進している際の前記静止輪の弾性変形の形状を算出し、前記静止側軌道面の少なくとも一つに径方向視で重複する位置に拘束治具を嵌合し、前記静止輪を前記算出した弾性変形の形状になるように弾性変形させた状態で前記静止側軌道面を加工する車輪用軸受装置の製造方法である。
第四の発明は、前記拘束治具は、円環状部材から成り、少なくとも一ヶ所が開放されるとともにその端部同士を近接させる締結手段が設けられ、前記端部同士が密着した状態で前記静止側軌道面を前記算出した弾性変形の形状に弾性変形させる形状の内周面を有し、
前記締結手段によって前記端部同士を密着させることで前記拘束治具の内周面で前記静止輪の外周面を押圧して前記静止輪を弾性変形させる車輪用軸受装置の製造方法である。
第五の発明は、前記拘束治具は、軸状部材から成り、前記静止輪を前記算出した弾性変形の形状に弾性変形させる形状の外周面を有し、前記静止輪に前記拘束治具を圧入嵌合することで前記拘束治具の外周面で前記静止輪の内周面を押圧して前記静止輪を弾性変形させる車輪用軸受装置の製造方法である。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、第一の発明は、車両が停止または直進している時に車輪用軸受装置に加わる荷重の方向である重力Gが加わる方向に軌道面が弾性変形することで各方向の軌道面の直径の差が小さくなる。これにより、直進時の振動を抑制するとともに軸受寿命を向上させることができる。
第二の発明は、時間的割合が最も多い車両が停止または直進している時に軌道面の真円度が適切な状態に保たれる。これにより、直進時の振動を抑制するとともに軸受寿命を向上させることができる。
第三の発明から第五の発明は、拘束治具の嵌合によって外方部材または内方部材の全周を車両が停止または直進している時の形状に弾性変形させているので、高精度に所望の形状の軌道面に加工される。これにより直進時の振動を抑制するとともに軸受寿命を向上させることができる。
本発明の第一実施形態における車輪用軸受装置の全体構成を示す断面図。 図2は本発明の第一実施形態における車輪用軸受装置の外輪単体を示す。(A)は外輪単体の軸方向正面図、(B)は外側軌道面の輪郭を示す図。 図3は外輪の外側軌道面を加工する状態を示す。(A)は拘束治具が嵌合された状態を示す断面図、(B)は拘束治具を嵌合させた軸方向正面図。 本発明の第一実施形態における車輪用軸受装置の製造方法に使用する拘束治具の正面図。 本発明の第二実施形態における車輪用軸受装置の全体構成を示す断面図。 本発明の第二実施形態における車輪用軸受装置の内輪単体を示す軸方向正面図。 図7は内輪の内側軌道面を加工する状態を示す。(A)は拘束治具が嵌合された状態を示す断面図、(B)は図7(A)におけるX矢視断面図。
以下に、図1と図2とを用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第一実施形態である内輪4回転方式の車輪用軸受装置1について説明する。
図1に示すように、車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材である外輪2、内方部材であるハブ輪3、内輪4、転動列である二列のインナー側ボール列5、アウター側ボール列6、インナー側シール部材9、アウター側シール部材10を具備する。車輪用軸受装置1は、外方部材である外輪2を静止輪とし、内方部材であるハブ輪3および内輪4を回転輪とする内輪回転方式の車輪用軸受装置である。ここで、インナー側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。また、軸方向とは、車輪用軸受装置1の回転軸に沿った方向を表す。
外輪2は、例えばS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。外輪2のインナー側端部には、インナー側シール部材9が嵌合可能なインナー側開口部2aが形成されている。外輪2のアウター側端部には、アウター側シール部材10が嵌合可能なアウター側開口部2bが形成されている。外輪2の内周面には、環状に形成されているインナー側の外側軌道面2cと、アウター側の外側軌道面2dとが形成されている。インナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとには、例えば高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲とする硬化層が形成されている。外輪2の外周面には、図示しない車体側の部材(ナックル)に取り付けるための車体取り付けフランジ2eが一体に形成されている。車体取り付けフランジ2eには、複数のボルト孔2f(図2、3参照)が軸方向に形成されている。
ハブ輪3は、例えばS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪3のインナー側端部には、外周面にアウター側端部よりも縮径された小径段部3aが形成されている。ハブ輪3のアウター側端部には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3bが一体的に形成されている。車輪取り付けフランジ3bには、円周等配位置に複数のハブボルト3eが設けられている。また、ハブ輪3には、外輪2のアウター側の外側軌道面2dに対向するようにアウター側の内側軌道面3cが設けられている。また、ハブ輪3には、車輪取り付けフランジ3bの基部側にアウター側シール部材10のリップ摺動面3dが形成されている。ハブ輪3の小径段部3aには、内輪4が設けられている。
内輪4は、転動列であって車載時に車体側に配置されるインナー側ボール列5と車載時に車輪側に配置されるアウター側ボール列6とに予圧を与えるものである。内輪4の外周面には、周方向に環状の内側軌道面4aが形成されている。内輪4は、圧入および加締加工によりハブ輪3の小径段部3aに固定されている。つまり、ハブ輪3のインナー側には、内輪4によって内側軌道面4aが構成されている。内輪4の内側軌道面4aは、外輪2のインナー側の外側軌道面2cに対向している。
転動列であるインナー側ボール列5とアウター側ボール列6とは、転動体である複数のボール8が保持器7によって環状に保持されている。インナー側ボール列5は、内輪4の内側軌道面4aと、外輪2のインナー側の外側軌道面2cとの間に転動自在に挟まれている。アウター側ボール列6は、ハブ輪3の内側軌道面3cと、外輪2のアウター側の外側軌道面2dとの間に転動自在に挟まれている。
車輪用軸受装置1は、外輪2と、ハブ輪3および内輪4と、インナー側ボール列5と、アウター側ボール列6とから複列アンギュラ玉軸受で構成されている。なお、本実施形態において、車輪用軸受装置1は、複列円錐ころ軸受で構成されていてもよい。
密閉部材であるインナー側シール部材9は、外輪2のインナー側開口部2aと内輪4との隙間を塞ぐパックシールである。インナー側シール部材9は、例えば二枚のシールリップを接触させる二サイドリップタイプのエンコーダ付パックシールから構成されている。
密閉部材であるアウター側シール部材10は、主に外輪2とハブ輪3との隙間を塞ぐシール部材である。アウター側シール部材10は、外輪2のアウター側開口部2bに円筒部分が嵌合され、ハブ輪3のリップ摺動面3dに複数のシールリップが油膜を介して接触または近接することでハブ輪3に対して摺動可能に構成されている。
図2(A)に示すように、外輪2のインナー側の外側軌道面2cは、外輪2の車体に取り付けられる姿勢において、重力Gが加わる方向(黒塗矢印参照)に垂直な方向が直径Aの大径部分になり、重力Gが加わる方向が直径Bの小径部分になる形状に形成されている。つまり、インナー側の外側軌道面2cは、車体取り付けフランジ2eに対して所定の位置に大径部分と小径部分とが形成されている。また、インナー側の外側軌道面2cは、大径部分が小径部分の中央よりも一方に偏った、単純な楕円形状ではなく、荷重負荷時の弾性変形に呼応する状態で、略涙滴状に形成されている。同様に、外輪2のアウター側の外側軌道面2dは、車体取り付けフランジ2eに対して所定の位置に大径部分と小径部分とが形成されている。
図2(B)に示すように、インナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとの直径Aの大径部分は、基準となる真円S1の直径よりも大きく、直径Bの小径部分は、基準となる真円S1の直径よりも小さい。このような形状のインナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとは、車両の停止時または前進時において車輪用軸受装置1に加わる車両の自重等によって、小径部分が重力Gの方向に増大し、大径部分が重力Gの方向に垂直な方向に減少するように弾性変形する。これにより、インナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとは、基準となる真円S1に近づく(真円度が小さくなる)。
インナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとの具体的な形状は、車輪用軸受装置1の三次元モデルを用いたFEM解析(有限要素法解析)の解析結果に基づいて算出されている。車輪用軸受装置1のFEM解析は、車体取り付けフランジ2eのボルト孔2fを拘束し、外輪2のインナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dに車両の重量に相当する荷重と車輪からの反力に相当する荷重を加えた場合の外輪2の弾性変形量を算出する。インナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとは、外輪2に解析結果と同様の弾性変形が生じた場合に真円度が所定値以下になる形状に形成されている。
図3(A)に示すように、車輪用軸受装置1の製造方法において、インナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとを研削加工する場合、外輪2に解析結果の弾性変形が生じるように外力を加えた状態でインナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとの研削加工を行う。研削加工時において外輪2には、外周面であってインナー側の外側軌道面2cに径方向視で重複する位置にインナー側拘束治具13が嵌合され、アウター側の外側軌道面2dに径方向視で重複する位置にアウター側拘束治具14が嵌合されている。
図3(B)と図4とに示すように、インナー側拘束治具13は、外輪2のインナー側の外側軌道面2cのタッチ径または溝底径と周方向で重複する位置の外周面に嵌合可能な内径の円環から成り、その一部が切断されて開放されている。つまり、インナー側拘束治具13は、軸方向からみて馬蹄形状に形成されている。また、インナー側拘束治具13は、切断されている部分の一側端部13aと他側端部13bとを近接させて内径を縮径する締結手段を有する。締結手段は、ねじ13cを締めこむことで一側端部13aと他側端部13bとを密着させる。
インナー側拘束治具13の内周面13dは、一側端部13aと他側端部13bとを密着させることで外輪2の解析結果におけるインナー側の外側軌道面2cのタッチ径または溝底径と周方向で重複する位置の外周面の形状と一致する形状に形成されている。つまり、インナー側拘束治具13の内周面13dは、基準となる真円S2の直径よりも大きい直径Cの大径部分と、基準となる真円S2の直径よりも小さい直径Dの小径部分を有するように形成されている。同様に、アウター側拘束治具14の内周面は、拘束治具の一側端部14aと他側端部14bとを密着させることで外輪2の解析結果におけるアウター側の外側軌道面2dのタッチ径または溝底径と周方向で重複する位置の外周面の形状と一致する形状に形成されている(図3(A)参照)。
図3(B)に示すように、外輪2の外周面であってインナー側の外側軌道面2cに径方向視で重複する位置に嵌合されるインナー側拘束治具13(薄墨部分)は、締結手段であるねじ13cによって一側端部13aと他側端部13bとが密着されている。すなわち、インナー側拘束治具13は、ねじ13cの締結力によってインナー側の外側軌道面2c近傍を所定の力で締め付けている(白塗矢印参照)。外輪2の外周面のうちインナー側は、全周に亘ってインナー側拘束治具13の内周面13dに押圧されることで、解析結果におけるインナー側の外側軌道面2cのタッチ径または溝底径と周方向で重複する位置の外周面の形状に弾性変形されている。同様に、外輪2の外周面のうちアウター側は、全周に亘ってアウター側拘束治具14の内周面14d(図3(A)参照)に押圧されることで、解析結果におけるアウター側の外側軌道面2dのタッチ径または溝底径と周方向で重複する位置の外周面の形状に弾性変形されている。これにより、外輪2は、車輪用軸受装置1が車体に取り付けられている状態で車両が停止または直進している際の弾性変形の形状が再現される。即ち、拘束治具13、14を締め付けた状態で、外輪2の外周面のインナー側およびアウター側との嵌合締め代を、周方向で適宜変化させるように、拘束治具13、14の内周面の形状を、精密に加工仕上げしている。
外輪2は、拘束治具13、14とによって弾性変形された状態で、インナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとを所定の真円度に研削加工される。つまり、インナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとは、外輪2が研削加工時の形状に弾性変形することで所定の真円度になる形状に加工される。このように、外輪2は、インナー側拘束治具13とアウター側拘束治具14とを嵌合させるだけで、インナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとが使用時の弾性変形に応じた複雑な形状に加工される。
このように構成される車輪用軸受装置1は、負荷状態の時間的割合が最も多い車両の停止時または直進時に重力G(図2(A)参照)が加わる方向から車両の自重が加わるのでインナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとの小径部分が大きくなるように変形する。つまり、インナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとは、車両の自重によって直径Aの大径部分と直径Bの小径部分との差が小さくなり、軌道面の真円度が適切な状態に保たれる。これは、車輪用軸受装置1の製造方法において、外輪2をインナー側拘束治具13とアウター側拘束治具14との嵌合によって外周面の全周を車両が停止または直進している時の形状に弾性変形させた状態で所望の真円度に収まるように軌道面を高精度に加工しているので、車両の自重等が加わった場合にインナー側の外側軌道面2cとアウター側の外側軌道面2dとの真円度が小さくなる。これにより、車輪用軸受装置1は、外輪2の剛性を高める、即ち、肉厚を上げたりして、重量を増加させることなく、外側軌道面2c、2dの真円度悪化を防ぐため、直進時の回転振動を抑制するとともに軸受寿命を向上させることができる。また、本実施形態では、両列の外側軌道面2c,2dいずれの真円度悪化も防ぐため、高速直進時の回転振動を抑制することができる。
なお、本実施形態において、車輪用軸受装置1は、従動輪用の車輪用軸受装置として説明したが、ハブ輪3にスプライン溝等が形成され、車両の駆動軸が嵌合される駆動輪用の車輪用軸受装置でもよい。また、外輪2には、インナー側拘束治具13とアウター側拘束治具14とが嵌合された状態で研削加工が施されているが、インナー側拘束治具13とアウター側拘束治具14のいずれか一つが嵌合された状態で研削加工してもよい。インナー側拘束治具13およびアウター側拘束治具14は、外輪2に嵌合された状態をFEM解析し、その結果をフィードバックすることでさらに精度を向上させることができる。
次に、図5と図6を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第二実施形態である車輪用軸受装置11について説明する。なお、以下の各実施形態に係る車輪用軸受装置11は、図1に示す車輪用軸受装置1において、車輪用軸受装置1に替えて適用されるものとして、その説明で用いた名称、図番、符号を用いることで、同じものを指すこととし、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
図5に示すように、車輪用軸受装置11は、外方部材である外輪2、内方部材である一対の内輪12、転動列である二列のインナー側ボール列5、アウター側ボール列6、インナー側シール部材9を具備する。車輪用軸受装置11は、外方部材である外輪2を回転輪とし、内方部材である一対の内輪12を静止輪とする外輪回転方式の車輪用軸受装置である。
外輪2のアウター側端部には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ2gが一体的に形成されている。車輪取り付けフランジ2gには、円周等配位置に複数のハブボルト2hが設けられている。外輪2の内周面には、環状に形成されているインナー側の外側軌道面2cと、アウター側の外側軌道面2dとが形成されている。
一対の内輪12は、転動列であって車載時に車体側に配置されるインナー側ボール列5と車載時に車輪側に配置されるアウター側ボール列6とに予圧を与えるものである。一対の内輪12は、インナー側内輪12aとアウター側内輪12bとから構成されている。インナー側内輪12aの外周面には、車両への組み付け時の位相合わせのため、周方向に環状の内側軌道面12cと周方向の基準点12dが形成されている。(ここで、基準点12dは、ディンプル様の小凹部で表現しているが、切欠き形状や、面落とし形状、あるいは、塗料やレーザーによるマーキングなど、周方向の位置が特定、識別できる形状やマークであればよい。)アウター側内輪12bの外周面には、周方向に環状の内側軌道面12eと周方向の基準点12fが形成されている。また、一対の内輪12は、圧入および軸方向の拘束により図示しない車両の取付軸に固定されている。インナー側内輪12aの内側軌道面12cは、外輪2のインナー側の外側軌道面2cに対向している。アウター側内輪12bの内側軌道面12eは、外輪2のアウター側の外側軌道面2dに対向している。
図6に示すように、インナー側内輪12aの内側軌道面12cは、基準となる真円S3の直径よりも大きい直径Eの大径部分と小さい直径Fの小径部分とを有している。インナー側内輪12aの内側軌道面12cには、車体の取付軸に取り付けられる姿勢において、重力Gが加わる方向(黒塗矢印参照)に垂直な方向が大径部分になり、重力Gが加わる方向が小径部分になる形状に形成されている。つまり、インナー側内輪12aの内側軌道面12cには、周方向の基準点12dに対して所定の位置に大径部分と小径部分とが形成されている。また、インナー側内輪12aの内側軌道面12cは、大径部分が小径部分の中央よりも一方に偏った、単純な楕円形状ではなく、荷重負荷時の弾性変形に呼応する状態で、略涙滴状に形成されている。同様に、アウター側内輪12bの内側軌道面12eには、周方向の基準点に対して所定の位置に大径部分と小径部分とが形成されている(図5参照)。このような形状のインナー側内輪12aの内側軌道面12cとアウター側内輪12bの内側軌道面12eとは、車両の停止時または前進時において車輪用軸受装置11に加わる車両の自重等の荷重による弾性変形によって小径部分が大きくなり基準となる真円に近づく(真円度が小さくなる)。
インナー側内輪12aの内側軌道面12cとアウター側内輪12bの内側軌道面12eとの具体的な形状は、車輪用軸受装置11の三次元モデルを用いたFEM解析(有限要素法解析)の解析結果に基づいて算出されている。車輪用軸受装置11のFEM解析は、外輪2の車輪取り付けフランジ2gを拘束し、車両の取付軸に車両の重量に相当する荷重を加えた場合の一対の内輪12の弾性変形量を算出する。インナー側内輪12aの内側軌道面12cとアウター側内輪12bの内側軌道面12eとは、一対の内輪12に解析結果と同様の弾性変形が生じた場合に真円度が所定値以下になる形状に形成されている。
図7(A)に示すように、車輪用軸受装置11の製造方法において、インナー側内輪12aの内側軌道面12cとアウター側内輪12bの内側軌道面12eとを研削加工する場合、一対の内輪12に解析結果の弾性変形が生じるように外力を加えた状態でインナー側内輪12aの内側軌道面12cとアウター側内輪12bの内側軌道面12eとの研削加工を行う。研削加工時において一対の内輪12には、インナー側内輪12aの内側軌道面12cとアウター側内輪12bの内側軌道面12eとに径方向視で重複する位置に拘束治具15が嵌合されている。
拘束治具15は、インナー側内輪12aの内側軌道面12cとアウター側内輪12bの内側軌道面12eとのタッチ径または溝底径と周方向で重複する位置の内周面に圧入嵌合可能な外径の軸状部材からなる。拘束治具15の外周面15aは、内輪の解析結果におけるインナー側内輪12aの内側軌道面12cとアウター側内輪12bの内側軌道面12eとのタッチ径または溝底径と周方向で重複する位置の内周面の形状と一致する形状に形成されている。
図7(B)において、インナー側内輪12aの内側軌道面12cに径方向視で重複する位置に嵌合される拘束治具15は、インナー側内輪12aの内側軌道面12cの近傍を径方向外側に押し広げている(白塗矢印参照)。インナー側内輪12aの内側軌道面12cは、全周に亘って拘束治具15の外周面15aに押圧されることで、解析結果におけるインナー側内輪12aの内側軌道面12cのタッチ径または溝底径と周方向で重複する位置の内周面の形状に弾性変形されている。同様に、アウター側内輪12bの内側軌道面12eは、解析結果におけるインナー側内輪12aの内側軌道面12cのタッチ径または溝底径と周方向で重複する位置の内周面の形状に弾性変形されている。これにより、一対の内輪12は、車輪用軸受装置11が車体に取り付けられている状態で車両が停止または直進している際の弾性変形の形状が再現される。即ち、拘束治具15を圧入嵌合させた状態で、インナー側内輪12a、および、アウター側内輪12bの内周面との嵌合締め代を、周方向で適宜変化させるように、拘束治具15の外周面15aの形状を、精密に加工仕上げしている。
一対の内輪12は、拘束治具15によって弾性変形された状態で、内側軌道面12c,内側軌道面12eが所定の真円度に研削加工される。つまり、内側軌道面12c,内側軌道面12eは、内輪2が研削加工時の形状に弾性変形することで所定の真円度になる形状に加工される。
なお、本実施形態において、インナー側内輪12aの内側軌道面12cとアウター側内輪12bの内側軌道面12eとは、拘束治具15が嵌合された状態で研削加工が施されているが、インナー側内輪12aの内側軌道面12cとアウター側内輪12bの内側軌道面12eのいずれか一つに重複する位置に拘束治具15が嵌合された状態で研削加工してもよい。また、拘束治具15は、内輪の解析結果におけるインナー側内輪12aの内側軌道面12cとアウター側内輪12bの内側軌道面12eとのタッチ径または溝底径と周方向で重複する位置の内周面の形状と一致する形状に外周面を形成した車両の取付軸でもよい。拘束治具15は、インナー側内輪12aとアウター側内輪12bに嵌合された状態をFEM解析し、その結果をフィードバックすることでさらに精度を向上させることができる。
本願における車輪用軸受装置1、11は、外輪と一対の内輪で構成された第1世代構造であってもよいし、内輪回転方式の車輪用軸受装置1に限っては、一対の内輪がハブ輪の外周に嵌合される内輪回転仕様の第2世代構造であってもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 車輪用軸受装置
2 外輪
2c インナー側の外側軌道面
2d アウター側の外側軌道面
4a インナー側の内側軌道面
3c アウター側の内側軌道面
3 ハブ輪
4 内輪
5 インナー側ボール列
6 アウター側ボール列
G 重力

Claims (5)

  1. 複列の静止側軌道面が形成された静止輪と、
    前記複列の静止側軌道面に対向する複列の回転側軌道面が形成された回転輪と、
    前記静止輪と前記回転輪との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を有する車輪用軸受装置であって、
    前記複列の静止側軌道面の少なくとも一つが、車体に取り付けられる姿勢において重力が加わる方向の直径よりも、重力が加わる方向に垂直な方向の直径が大きい車輪用軸受装置。
  2. 前記静止側軌道面は、車両が停止または直進している際の弾性変形によって真円度が小さくなる形状である請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 複列の静止側軌道面が形成された静止輪と、
    前記複列の静止側軌道面に対向する複列の回転側軌道面が形成された回転輪と、
    前記静止輪と前記回転輪との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を有する車輪用軸受装置の製造方法であって、
    前記静止輪が車体に取り付けられた状態で車両が停止または直進している際の前記静止輪の弾性変形の形状を算出し、
    前記静止側軌道面の少なくとも一つに径方向視で重複する位置に拘束治具を嵌合し、前記静止輪を前記算出した弾性変形の形状になるように弾性変形させた状態で前記静止側軌道面を加工する車輪用軸受装置の製造方法。
  4. 前記拘束治具は、円環状部材から成り、少なくとも一ヶ所が開放されるとともにその端部同士を近接させる締結手段が設けられ、前記端部同士が密着した状態で前記静止側軌道面を前記算出した弾性変形の形状に弾性変形させる形状の内周面を有し、
    前記締結手段によって前記端部同士を密着させることで前記拘束治具の内周面で前記静止輪の外周面を押圧して前記静止輪を弾性変形させる請求項3に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  5. 前記拘束治具は、軸状部材から成り、前記静止輪を前記算出した弾性変形の形状に弾性変形させる形状の外周面を有し、
    前記静止輪に前記拘束治具を圧入嵌合することで前記拘束治具の外周面で前記静止輪の内周面を押圧して前記静止輪を弾性変形させる請求項3に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
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